(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20220708BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
G01R1/073 E
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2017079748
(22)【出願日】2017-04-13
【審査請求日】2020-03-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達哉
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】中塚 直樹
【審判官】濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122872(JP,A)
【文献】特開2015-118064(JP,A)
【文献】特表2016-522404(JP,A)
【文献】特開2007-127488(JP,A)
【文献】特開2013-80888(JP,A)
【文献】特開2005-134285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の電気的特性の測定に使用される電気的接続装置であって、
測定時に先端部が前記被検査体と接触する複数のプローブと、
前記複数のプローブのいずれかの基端部と電気的に接続される第1の端子が第1主面に配置されるとともに第2の端子が第2主面に露出する接続配線を複数有し、前記複数のプローブのうちで測定時に同一電位に設定される複数の同一電位プローブの基端部を同一の前記接続配線と電気的に接続する短絡配線パターンが前記第1主面に形成されたスペーストランスフォーマと
を備え、
前記スペーストランスフォーマが、前記第1主面を下面とする支持基板の上面に前記第2主面を上面とする樹脂層を配置した構成であり、
前記第2の端子を含む前記接続配線の一部が前記第2主面から延伸することによって前記第2の端子が前記第2主面に露出し、
前記接続配線が、
前記第1の端子から
前記第2の端子まで同一の連続する柔軟性を有する導電性ワイヤであり、前記接続配線が前記樹脂層の内部において湾曲し、前記接続配線の前記第2主面から延伸する部分を湾曲させることによって、前記第2の端子の間隔を前記第1の端子の間隔よりも広くする
ことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
前記短絡配線パターンが、隣接する複数の前記同一電位プローブを接続することを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項3】
1つの前記短絡配線パターンと電気的に接続する前記接続配線が複数あることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気的接続装置。
【請求項4】
複数の前記第2の端子のそれぞれと電気的に接続される複数の電極パッドが配置された電極基板を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項5】
前記接続配線の前記第2主面から延伸する部分によって、前記プローブの基端部と前記電極パッドとが電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電気的接続装置。
【請求項6】
前記第2主面で前記樹脂層によって前記接続配線の位置が固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の電気的特性の測定に使用される電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの被検査体の電気的特性を基板の状態で測定するために、被検査体に接触させるプローブを有する電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置には、プローブを保持するプローブヘッドを、プローブと電気的に接続する電極パッドが配置された電極基板に取り付けた構成などが使用される。
【0003】
プローブの間隔は、被検査体に配置された検査用パッドの間隔に対応する。プローブの間隔よりも電極基板に配置する電極パッドの間隔を広くするために、プローブヘッドと電極基板との間にスペーストランスフォーマを配置した構成の電気的接続装置が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。スペーストランスフォーマのプローブヘッドと対向する主面には、プローブの基端部と接続する端子が配置される。一方、スペーストランスフォーマの電極基板と対向する主面には、電極基板の電極パッドと接続する端子が配置される。スペーストランスフォーマと電極基板とは、例えば導電性のワイヤなどによって電気的に接続される。スペーストランスフォーマと電極基板とを接続するワイヤを、以下において「接続ワイヤ」という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スペーストランスフォーマのプローブと接続する端子は、プローブの本数と同数の個数が用意される。これに応じてスペーストランスフォーマの電極基板の電極パッドと接続する端子の個数をプローブの本数と同数にした場合、種々の問題が生じる。例えば、スペーストランスフォーマと電極基板とを接続する接続ワイヤの集積度が高くなることにより、接続ワイヤを固定する樹脂がスペーストランスフォーマの表面に流れ込みにくくなる。また、プローブの本数の増加に伴って接続ワイヤの本数が増加し、製造工程が増大する。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、スペーストランスフォーマに接続する接続ワイヤの本数を抑制できる電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、測定時に先端部が被検査体と接触する複数のプローブと、複数のプローブのいずれかの基端部と電気的に接続される第1の端子が第1主面に配置されるとともに第2の端子が第2主面に露出する接続配線を複数有し、複数のプローブのうちで測定時に同一電位に設定される複数の同一電位プローブの基端部を同一の接続配線と電気的に接続する短絡配線パターンが第1主面に形成されたスペーストランスフォーマとを備え、スペーストランスフォーマが、第1主面を下面とする支持基板の上面に第2主面を上面とする樹脂層を配置した構成であり、第2の端子を含む接続配線の一部が第2主面から延伸することによって第2の端子が第2主面に露出し、接続配線が、第1の端子から第2の端子まで同一の連続する柔軟性を有する導電性ワイヤであり、接続配線が樹脂層の内部において湾曲し、接続配線の第2主面から延伸する部分を湾曲させることによって、第2の端子の間隔を第1の端子の間隔よりも広くする電気的接続装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スペーストランスフォーマに接続する接続ワイヤの本数を抑制できる電気的接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマと電極基板の構成を示す模式図である。
【
図3】比較例のスペーストランスフォーマと電極基板の構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマと電極基板の他の構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマの製造方法を説明するための模式図である(その1)。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマの製造方法を説明するための模式図である(その2)。
【
図7】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマの製造方法を説明するための模式図である(その3)。
【
図8】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマの製造方法を説明するための模式図である(その4)。
【
図9】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマの製造方法を説明するための模式図である(その5)。
【
図10】本発明の実施形態に係る電気的接続装置によって接続ワイヤの本数を削減した例を示す表である。
【
図11】本発明のその他の実施形態に係る電気的接続装置の配線パターンの例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0011】
図1に示す本発明の実施形態に係る電気的接続装置1は、被検査体2の電気的特性の測定に使用される。電気的接続装置1は、複数のプローブ10を保持するプローブヘッド20と、プローブ10と接続されるスペーストランスフォーマ30と、スペーストランスフォーマ30を介してプローブ10と電気的に接続される電極パッド41が配置された電極基板40とを備える。
【0012】
図1に示した電気的接続装置1は垂直動作式プローブカードであり、プローブヘッド20の下面に露出したプローブ10の先端部が、電気的接続装置1の下方に配置された被検査体2の検査用パッド(図示略)と接触する。
図1では、プローブ10が被検査体2に接触していない状態を示しているが、例えば被検査体2を搭載したチャック3が上昇して、プローブ10の先端部が被検査体2に接触する。
【0013】
電極基板40の電極パッド41は、電極基板40の内部に形成された内部配線によって、電極基板40の上面に配置された接続パッド42と電気的に接続されている。接続パッド42は、図示を省略するICテスタなどの検査装置と電気的に接続される。プローブ10を介して、検査装置によって被検査体2に所定の電圧や電流が印加される。そして、被検査体2から出力される信号がプローブ10を介して検査装置に送られ、被検査体2の特性が検査される。
【0014】
図1に示すように、スペーストランスフォーマ30は、プローブヘッド20と対向する第1主面301から電極基板40と対向する第2主面302まで内部を貫通する導電性を有する複数の接続配線33を有する。接続配線33の第1の端子が、スペーストランスフォーマ30の第1主面301に配置されている。接続配線33の第2の端子は、スペーストランスフォーマ30の第2主面302に露出している。
【0015】
接続配線33の第1の端子とそれぞれ接続する配線パターン341~344が、スペーストランスフォーマ30の第1主面301に配置されている。以下において、第1主面301に配置される配線パターンを総称して「配線パターン34」という。プローブ10の基端部は配線パターン34と接触しており、導電性を有する配線パターン34を介して、プローブ10の基端部と接続配線33の第1の端子が電気的に接続されている。配線パターン34には、金属膜などが好適に使用される。
【0016】
接続配線33の第2の端子のそれぞれは、電極基板40に配置された複数の電極パッド41と電気的に接続されている。
図1に示した例では、接続配線33の一部が第2主面302から延伸して、電極パッド41に接続している。つまり、接続配線33によって、プローブ10の基端部と電極パッド41とが電気的に接続されている。このように、接続配線33の第2主面302から延伸する部分を、スペーストランスフォーマ30と電極基板40を電気的に接続する接続ワイヤとして使用している。
【0017】
スペーストランスフォーマ30は、接続配線33が通過する貫通孔が形成された支持基板31と、支持基板31の上面に配置された樹脂層32を有する。
図1に示したスペーストランスフォーマ30では、支持基板31の上面に形成された凹部に樹脂を埋め込んで樹脂層32が形成されており、接続配線33が樹脂層32の上方に突き抜けている。つまり、支持基板31の下面が第1主面301であり、樹脂層32の上面が第2主面302である。支持基板31には、セラミック基板などが使用される。
【0018】
接続配線33には、金属材などからなる導電性ワイヤが好適に使用される。導電性ワイヤの一方の端部が第1の端子であり、他方の端部が第2の端子である。一定の柔軟性を有する接続配線33を使用することにより、樹脂層32の内部、及びスペーストランスフォーマ30と電極基板40との間で接続配線33が湾曲する。このため、第2の端子の配置された間隔を第1の端子の配置された間隔よりも広くすることができる。これにより、電極基板40の電極パッド41を配置する間隔を広くできる。したがって、スペーストランスフォーマ30と電極基板40を電気的に接続するワイヤボンディングなどの接続作業が容易になる。スペーストランスフォーマ30は、プローブ10の間隔が狭い場合には特に有効である。
【0019】
図1に示した電気的接続装置1では、被検査体2の測定時に同一電位に設定される複数のプローブ10(以下において「同一電位プローブ」という。)を電気的に接続する配線パターン34(以下において「短絡配線パターン」という。)が、スペーストランスフォーマ30の第1主面301に形成されている。
図1に示した例では、配線パターン342と配線パターン344が短絡配線パターンである。このため、スペーストランスフォーマ30と接続するプローブ10の本数よりも接続配線33の本数が少ない。
【0020】
例えば、被検査体2の接地(GND)端子にそれぞれ接続する複数のプローブ10に接続する配線パターン34を短絡して、1つの短絡配線パターンを形成する。そして、この短絡配線パターンと電気的に接続する接続配線33を1つ用意する。これにより、接続配線33の本数を削減することができる。
【0021】
スペーストランスフォーマ30の第1主面301に形成される短絡配線パターンの個数や配置する位置は、任意に設定可能である。例えば、GND電位に設定されるプローブ10以外にも、被検査体2の同一電位の電源端子にそれぞれ接続する複数のプローブ10を同一電位プローブとして短絡配線パターンによって短絡することができる。また、電源の電位の種類が複数ある場合には、それぞれの電位の電源端子に対して短絡配線パターンを形成できる。
【0022】
なお、同一電位のプローブ10が第1主面301に離間して接続されている場合には、近接する同一電位のプローブ10をグループとして、複数のグループについてそれぞれ短絡配線パターンを形成してもよい。これにより、離間して配置されている同一電位のプローブ10を短絡するために短絡配線パターンの面積が広くなることに起因して第1主面301の面積が増大することを抑制できる。例えば、隣接する同一電位プローブのみを1つの短絡配線パターンによって短絡する。
【0023】
図2に、短絡配線パターンの構成例を示す。
図2に示した例では、被検査体2のGND端子に接続するプローブ10をGNDプローブ10G、電源端子に接続するプローブ10を電源プローブ10V、信号端子に接続するプローブ10を信号プローブ10Sとして、それぞれ示した(以下において同様。)。スペーストランスフォーマ30の第1主面301において、2本のGNDプローブ10Gが短絡配線パターンである配線パターン344によって短絡され、2本の電源プローブ10Vが短絡配線パターンである配線パターン342によって短絡される。このため、接続配線33の本数はプローブ10の本数よりも少ない。
【0024】
これに対し、
図3に示した比較例のスペーストランスフォーマ30Aでは、GNDプローブ10G及び電源プローブ10Vのそれぞれが異なる接続配線33の第1の端子に接続されている。つまり、プローブ10の本数と接続配線33の本数は同一である。
【0025】
図2に示したスペーストランスフォーマ30では、
図3に示した比較例と同様に、プローブ10の配列と同様のレイアウトで第1の端子を第1主面301に配置する。しかし、上記のように短絡配線パターンを形成することにより、スペーストランスフォーマ30と電極基板40とを接続する接続配線33の本数を削減できる。即ち、スペーストランスフォーマ30と電極基板40とを電気的に接続する接続ワイヤの本数を削減できる。このため、製造工程が減少し、電気的接続装置1の製造コストを抑制できる。
【0026】
また、接続配線33の本数を削減することにより、電極基板40の電極パッド41及び接続パッド42の個数を削減できる。このため、
図2に示すように、電極基板40の上面に電子部品50を配置する領域を確保できる。例えば、コンデンサや抵抗器などを電極基板40の上面に配置することができる。
【0027】
また、電極基板40の電極パッド41と接続パッド42の個数を削減できることにより、電極パッド41と接続パッド42とを接続する電極基板40の内部配線が減少する。例えば、
図3に示した比較例では、内部配線のために電極基板40の内部に3層の配線層401~403が形成されている。これに対し、電極パッド41と接続パッド42の個数を削減することにより、電極パッド41と接続パッド42のレイアウトの自由度が増大する。このため、
図4に示すように、電極基板40の内部配線の層数を配線層401~402の2層に削減することが可能である。配線層の層数を削減することにより、製造コストを低減できる。
【0028】
更に、接続配線33の本数を削減することにより、スペーストランスフォーマ30と電極基板40との間で接続ワイヤの密集度が低くなる。このため、電気的接続装置1の製造工程において、樹脂層32を形成するための樹脂が支持基板31の上面に流れ込みやすい。これに対し、接続ワイヤの密集度が高く、支持基板31の上面に樹脂が流れ込みにくい場合には、樹脂層32の形成される領域にむらができる。その場合、接続ワイヤの固定が不十分になって接続ワイヤが周囲と接触したり、支持基板31の上面で接続ワイヤが露出した部分に異物が付着したりする。その結果、接続ワイヤが短絡したり接続ワイヤが損傷したりするなどして、電気的接続装置の特性や信頼性が低下する。
【0029】
電気的接続装置1のスペーストランスフォーマ30では、上記のような問題は生じない。したがって、電気的接続装置1の製造歩留まりや信頼性の低下を抑制できる。
【0030】
以下に、
図5~
図9を参照して、本発明の実施形態に係る電気的接続装置1のスペーストランスフォーマ30の製造方法の例を説明する。なお、以下に述べる製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
【0031】
先ず、
図5に示すように、接続配線33が配置される貫通孔310を形成した支持基板31を用意する。そして、貫通孔310に接続配線33を挿入した後、
図6に示すように、支持基板31の上面に樹脂を流れ込ませる。樹脂が固まって樹脂層32が形成されることにより、第2主面302で接続配線33の位置が固定される。
【0032】
その後、第1主面301で接続配線33を切断した後、
図7に示すように、第1主面301にスパッタ法などにより金属膜601を形成し、更に、フォトレジスト膜602を形成する。そして、露光、現像によって
図8に示すようにフォトレジスト膜602をパターニングし、接続配線33の第1の端子が配置された領域で金属膜601を露出させる。
【0033】
次いで、
図9に示すように、露出した金属膜601の表面にメッキ層603を形成する。その後、フォトレジスト膜602を除去し、スパッタエッチングなどによって余分な領域の金属膜601を除去することにより、配線パターン34が所定の領域に形成される。
【0034】
上記のように、短絡配線パターンを含む配線パターン34は、フォトリソグラフィ技術などを用いてスペーストランスフォーマ30の第1主面301に容易に形成可能である。
【0035】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る電気的接続装置1によれば、同一電位プローブを短絡配線パターンによって短絡することにより、接続配線33の本数をプローブ10の本数よりも少なくすることができる。このため、電極基板40に接続する接続ワイヤの本数を抑制できる。また、接続ワイヤの密集度を低くできる。
【0036】
したがって、電気的接続装置1によれば、電気的接続装置1の製造の工数を削減することとともに、製造歩留まりを向上させることができる。その結果、製造コストが抑制される。また、接続ワイヤの本数を削減することにより、多ピン化された被検査体2を検査するためにプローブ10の本数が多い検査にも対応することができる。
【0037】
図10に、本発明の実施形態に係る電気的接続装置1によって、5種類の電源端子を有する被検査体2について接続ワイヤの本数を削減した実施例を示す。
図10の参考例は、プローブ10のそれぞれに接続配線33を対応させた場合である。
図10の実施例では、短絡配線パターンを配置してGND端子、第3電源端子~第5電源端子について接続配線33の本数を削減した。なお、第1電源端子及び第2電源端子については、短絡配線パターンを用いた接続配線33の削減を行っていない。接続配線33を削減することにより、接続ワイヤが削減される。
図10に示したように、実施例では比較例よりも1030本の接続ワイヤを削減できている。
【0038】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0039】
例えば、上記では、1つの短絡配線パターンに1つの接続配線33を接続する例を示した。しかし、1つの短絡配線パターンに複数の接続配線33を接続してもよい。例えば、5本の同一電位プローブを短絡する短絡配線パターンに、2本の接続配線33を接続してもよい。即ち、同一電位プローブに流れる電流の合計値などに応じて、同一電位プローブに接続する接続配線33の本数を設定することができる。
【0040】
また、
図1などでは、同一電位プローブが隣接している場合を例示的に示した。しかし、例えば
図11に示すように、離間して配置された同一電位プローブを短絡配線パターンによって短絡してもよい。
図11は、被検査体2において同一電位の電源端子が離間して配置されている場合の、プローブ10の基端部がスペーストランスフォーマ30に接続する位置を示している。
図11は、配線パターン34が配置された第1主面301の平面図であり、GND端子に接続するGNDプローブ10G、電源端子に接続する電源プローブ10V及び信号端子に接続する信号プローブ10Sの基端部の位置を、それぞれ符号G、V、Sで示している。
図11に示しように、隣接して配置されていない電源プローブ10Vを短絡配線パターンで短絡することができる。
【0041】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0042】
1…電気的接続装置
2…被検査体
10…プローブ
20…プローブヘッド
30…スペーストランスフォーマ
31…支持基板
32…樹脂層
33…接続配線
34…配線パターン
40…電極基板
41…電極パッド
42…接続パッド
50…電子部品