(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】触感呈示デバイス用トップパネル及び触感呈示デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
G06F3/041 460
G06F3/041 480
(21)【出願番号】P 2017081766
(22)【出願日】2017-04-18
【審査請求日】2019-11-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 晋作
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 敦己
【合議体】
【審判長】▲吉▼田 耕一
【審判官】稲葉 和生
【審判官】林 毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157491(WO,A1)
【文献】特開2016-102045(JP,A)
【文献】特開2016-184391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0207895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータにより超音波を印加する触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネルであって、
前記触感呈示デバイス用トップパネルが、ガラスによって構成されており、
内部摩擦が、1.0×10
-4以上、1.0×10
-3以下であり、
ヤング率が、
77GPa以上である、触感呈示デバイス用トップパネル。
【請求項2】
透明である、請求項1に記載の触感呈示デバイス用トップパネル。
【請求項3】
前記触感呈示デバイス用トップパネルが、前記触感呈示デバイスに用いたときに外側に配置される主面を備え、前記主面が凹凸を有する、請求項1又は2に記載の触感呈示デバイス用トップパネル。
【請求項4】
前記主面の算術平均粗さ(Ra)が、2nm以上である、請求項3に記載の触感呈示デバイス用トップパネル。
【請求項5】
厚みが、0.1mm~2mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の触感呈示デバイス用トップパネル。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の触感呈示デバイス用トップパネルと、
前記触感呈示デバイス用トップパネルに超音波を印加するアクチュエータと、
を備える、触感呈示デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触感呈示デバイス用トップパネル及び触感呈示デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、触覚を通じて情報を提供する触感呈示デバイスに対する注目が高まってきている。具体的には、タッチパネルにより人が操作する際に、人が触れたときの触感を変化させることができる触感呈示デバイスが知られている。特許文献1には、一例として、人が触れたときの摩擦力を変化させる触感呈示デバイスが開示されている。この触感呈示デバイスは、人に触れられる部分であるトップパネルを有する。トップパネルに超音波を印加することにより、触感を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載されているような触感呈示デバイスでは、アクチュエータからの振動が減衰し、振動を指に十分に伝えられない場合があり、それによって触感の表現の幅の広さが不十分となる場合があることを見出した。
【0005】
本発明の目的は、触感の表現力を高めることができる、触感呈示デバイス用トップパネル及び触感呈示デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の触感呈示デバイス用トップパネルは、触感呈示デバイスに用いられる触感呈示デバイス用トップパネルであって、内部摩擦が、1.0×10-2以下であることを特徴としている。
【0007】
本発明においては、内部摩擦が、5.0×10-3以下であることが好ましい。
【0008】
本発明の触感呈示デバイス用トップパネルは、ガラスからなっていてもよい。
【0009】
本発明の触感呈示デバイス用トップパネルは、透明であってもよい。
【0010】
本発明の触感呈示デバイスは、上記本発明の触感呈示デバイス用トップパネルと、触感呈示デバイス用トップパネルに超音波を印加するアクチュエータとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、触感の表現力を高めることができる、触感呈示デバイス用トップパネル及び触感呈示デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る触感呈示デバイスを示す模式的断面図である。
【
図2】内部摩擦の測定方法の一例を説明するためのグラフである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る触感呈示デバイスの変形例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る触感呈示デバイスを示す模式的断面図である。
図1に示すように、本実施形態の触感呈示デバイス10は、開口部2aを有する筐体2と、開口部2aを封止しているトップパネル1と、トップパネル1に接触するように設けられているアクチュエータ5とを備える。トップパネル1は本発明の一実施形態に係る触感呈示デバイス用トップパネルである。アクチュエータ5は、トップパネル1に超音波を印加する圧電素子である。
【0015】
触感呈示デバイス10は、筐体2内に設けられているディスプレイ3と、ディスプレイ3上に設けられているタッチセンサ4とをさらに備える。本実施形態では、トップパネル1は透明なガラスからなり、タッチセンサ4は光を透過させるタッチパネルである。
【0016】
トップパネル1は、触感呈示デバイス10の外側(ユーザー側)に位置する外側主面1aを有する。触感呈示デバイス10は、外側主面1aの触感が変化するデバイスである。より具体的には、外側主面1aの摩擦力が変化する。例えば、人が指を外側主面1a上において滑らせたとき、その部分にアクチュエータ5によって超音波が印加されると、指は振動する外側主面1aにより突き上げられる。それによって、指と外側主面1aとの間の摩擦力が小さくなる。
【0017】
触感呈示デバイス10は、アクチュエータ5によりトップパネル1に超音波を印加する位置や振幅を制御する振動制御部(図示せず)と、ディスプレイ3に表示する画像を制御する画像制御部(図示せず)とを有する。振動制御部は、アクチュエータ5、タッチセンサ4及び画像制御部に接続されている。人の指がトップパネル1に触れた際、タッチセンサ4により人の指が触れている位置が検出される。タッチセンサ4から、人の指が触れている位置の位置データが振動制御部に入力される。さらに、画像制御部から、ディスプレイ3に表示される画像に係る位置データ等も振動制御部に入力される。振動制御部は、上記位置データ及びディスプレイ3に表示される画像に応じて、アクチュエータ5によりトップパネル1に超音波を印加する位置や振幅を制御する。
【0018】
振動制御部により、超音波を印加している部分と印加していない部分とを組み合わせることによって、トップパネル1の外側主面1aにおける各部分の摩擦力を調整することができる。超音波を印加している部分と印加していない部分とを交互に配置することにより、凹凸感を表現することもできる。あるいは、印加する超音波の振幅が大きい部分と小さい部分とを交互に配置することによっても、凹凸感を表現することができる。それによって、人の指が触れている部分やディスプレイ3に表示された画像に応じて、触感を変化させることができる。
【0019】
本実施形態の触感呈示デバイス10においては、トップパネル1の内部摩擦が、1.0×10-2以下である。
【0020】
本発明者らは、トップパネル1の内部摩擦が上記上限値以下である場合、アクチュエータ5からの振動がトップパネル1で減衰し難く、振動を指に確実に伝えることができ、それによって触感の表現力を高めることができることを見出した。
【0021】
また、本発明においては、アクチュエータ5からの振動を指に確実に伝えることができるので、アクチュエータ5の出力を抑え、省エネルギー化を図ることができる。また、アクチュエータ5の小型化を図ることもできる。
【0022】
アクチュエータ5からの振動をより一層減衰し難くし、振動を指により一層確実に伝える観点から、トップパネル1の内部摩擦は、好ましくは5.0×10-3以下であり、より好ましくは1.0×10-3以下である。トップパネル1の内部摩擦の下限値としては特に限定されないが、材料の性質上、例えば、1.0×10-4とすることができる。
【0023】
本発明において、トップパネル1のヤング率は、好ましくは5GPa以上、より好ましくは10GPa以上、さらに好ましくは50GPa以上である。トップパネル1のヤング率が上記下限以上である場合、アクチュエータ5からの振動をより一層減衰し難くし、振動を指により一層確実に伝えることができる。また、トップパネル1の機械的強度がより一層向上し、より一層破損(変形)しにくくなる。トップパネル1のヤング率の上限値としては特に限定されないが、材料の性質上、例えば、470GPaとすることができる。
【0024】
本発明において、トップパネル1の内部摩擦及びヤング率は、JIS R1602の動的弾性率測定法(曲げ共振法)に準拠して測定することができる。
【0025】
図2には、内部摩擦の測定方法の一例を説明するためのグラフを示している。内部摩擦は、
図2に示す共振周波数ピークの周波数をω
0とし、共振周波数ピークの振幅Lの1/√2の振幅(L/√2)となる周波数をω
1,ω
2としたときに下記式(1)を用いて求めることができる。
【0026】
内部摩擦=(ω2-ω1)/ω0 …式(1)
【0027】
本発明において、トップパネル1の密度は、特に限定されないが、密度が小さいほどアクチュエータの消費エネルギーをより一層低減することができる。そのような観点から、トップパネル1の密度は、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.0g/cm3以下である。
【0028】
なお、本実施形態において、触感呈示デバイス10のトップパネル1は、ガラスからなる基板である。もっとも、トップパネル1の材料は、内部摩擦が上記上限値以下である限りにおいて特に限定されず、例えば、樹脂やセラミックス等のガラス以外の材料からなっていてもよい。なかでも、トップパネル1の内部摩擦をより一層小さくすることができるので、トップパネル1はガラスにより構成されることが好ましい。
【0029】
上記ガラスとしては、内部摩擦が上記上限値以下である限りにおいて特に限定されず、例えば、アルカリアルミノホウケイ酸ガラス、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、石英ガラスなどを用いることができる。なお、上記ガラスは化学強化されていてもよい。上記ガラスを化学強化することにより、内部摩擦をより一層低減することが可能となる。化学強化は、例えば、ガラスを溶融塩に浸漬しイオン交換することによって、ガラスの表面に圧縮層を形成することにより行うことができる。
【0030】
なお、本発明において、トップパネル1の外側主面1aに凹凸を形成することにより、摩擦力の変化をより一層効果的に大きくすることができ、触感の表現力をより一層高めることができる。具体的には、トップパネル1の外側主面1aの算術平均粗さ(Ra)は、2nm以上であることが好ましく、特に5nm以上であることがより好ましい。それによって、摩擦力の変化をより一層大きくすることができる。
【0031】
一方で、外側主面1aの算術平均粗さ(Ra)が大きすぎると、摩擦力の変化がより小さくなる傾向がある。また、外側主面1aの算術平均粗さ(Ra)が大きいほど、トップパネル1のヘイズがより大きくなる傾向がある。ヘイズが大きすぎる場合には、トップパネル1を通して見る画像に滲みが生じるおそれがある。よって、外側主面1aの算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは80nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは30nm以下、最も好ましくは20nm以下である。それによって、摩擦力の変化をより一層大きくすることができ、また画像の滲みをより一層効果的に抑制することができる。
【0032】
なお、本明細書における算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2013において規定される算術平均粗さ(Ra)を示す。
【0033】
トップパネル1の外側主面1aに凹凸を形成する方法としては、ウェットブラスト処理が好ましい。ウェットブラスト処理は、アルミナ等の固体粒子により構成される砥粒と、水等の液体とを均一に撹拌してスラリーとしたものを、高速で元パネル(原板)に噴射することにより行う。上記噴射は、噴射ノズルを用いて行うことができる。噴射ノズルから、圧縮エアと共にスラリーを高速で噴射する。
【0034】
ウェットブラスト処理においては、高速で噴射されたスラリーが元パネルに衝突した際に、スラリー内の砥粒が元パネルの表面を削ることにより、元パネルの主面に凹凸が形成されることとなる。これにより、外側主面1aに凹凸が形成されたトップパネル1を得ることができる。
【0035】
また、本発明において、上記のようなガラスからなるトップパネル1に対してエッチング処理を施すことにより、表面粗さや厚みを変化させてもよい。この場合、エッチングには、例えば、フッ化水素(HF)ガスまたはフッ化水素酸を用いることができる。
【0036】
本発明において、トップパネル1のヘイズは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。ヘイズが大きすぎる場合には、トップパネル1を通して見る画像に滲みが生じるおそれがある。
【0037】
トップパネル1の厚みは0.1mm~2mmであることが好ましく、0.3mm~1.5mmであることがより好ましい。トップパネル1の厚みが小さすぎると、機械的強度が低下しやすくなる。一方、トップパネル1の厚みが大きすぎると、アクチュエータ5による振動が外側主面1aに伝わりにくくなり、指と外側主面1aとの間の摩擦力が大きくなることがある。
【0038】
本実施形態において、トップパネル1は透明であるが、トップパネル1は透明ではなくともよい。例えば、トップパネル1の外側主面1aに模様等が付されていてもよい。このような場合には、触感呈示デバイス10はディスプレイ3を有しなくともよい。この場合、タッチセンサ4は、トップパネル1の外側主面1a側とは反対側の面に設けられていればよい。なお、赤外線光学イメージング方式のタッチセンサを用いることも可能である。赤外線光学イメージング方式のタッチセンサは、例えばトップパネル1の外側の筐体2上に配置されるものであり、人の指が触れている位置を三角測量により検出する。
【0039】
なお、
図1に示すように、触感呈示デバイス10は、複数のアクチュエータ5を有する。より具体的には、触感呈示デバイス10は、トップパネル1の一方端部付近に接触するように設けられたアクチュエータ5と、他方端部付近に接触するように設けられたアクチュエータ5とを有する。複数のアクチュエータ5は、トップパネル1と筐体2との間に設けられている。なお、アクチュエータ5の配置は上記に限定されず、トップパネル1に超音波を印加することができるように設けられていればよい。アクチュエータ5は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態に係る触感呈示デバイス用の変形例を示す模式的断面図である。
図3に示すように、変形例においては、トップパネル21上に外層膜26が設けられている。上記の点以外においては、本変形例の触感呈示デバイス20は、上記触感呈示デバイス10と同様の構成を有する。
【0041】
外層膜26は、例えば、無機膜である。上記無機膜の材料は、特に限定されないが、例えば、SiO2等を用いることができる。外層膜26は、例えばトップパネル1の表面を保護する役割を有する。また、外層膜26の表面に凹凸が形成されていてもよい。
【0042】
外層膜26の形成方法は、特に限定されず、例えば、トップパネル21の外側主面21a上に、シリカ前駆体を含むコーティング剤をスプレーコート法により塗布し加熱することにより形成することができる。加熱温度は、80℃~250℃の範囲内であることが好ましく、100℃~230℃の範囲内であることがより好ましい。
【0043】
外層膜26として、反射防止膜、あるいは、指紋の付着等の汚れを防止するための、撥水性や撥油性の防汚膜を形成してもよい。
【0044】
反射防止膜としては、例えばトップパネル1よりも屈折率が低い低屈折率膜、または、相対的に屈折率が低い低屈折率と相対的に屈折率が高い高屈折率膜とが交互に積層された誘電体多層膜等が用いられる。反射防止膜は、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor deposition;化学気相成長)法等により形成することができる。
【0045】
防汚膜は、主鎖中にケイ素を含む含フッ素重合体であることが好ましい。含フッ素重合体としては、例えば、-Si-O-Si-ユニットを主鎖として有し、かつ、フッ素を含む撥水性の官能基を側鎖として有する重合体を用いることができる。含フッ素重合体は、例えばシラノールの脱水縮合により合成することができる。
【0046】
反射防止膜と防汚膜の両方を形成する場合は、トップパネル1の外側主面1a上に反射防止膜を形成し、さらに反射防止膜上に防汚膜を形成する。
【0047】
本変形例においても、トップパネル21の内部摩擦が上記上限値以下であることから、アクチュエータ5からの振動が減衰し難く、振動を指に確実に伝えることができる。そのため、触感呈示デバイス20においても、触感の表現力を高めることができる。
【0048】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げることにより、本発明の効果を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
(実施例1~12及び比較例1)
表1の実施例1~12に示す組成を有するガラス板を準備し、トップパネルとして用いた。なお、実施例4では、化学強化されたガラスをトップパネルとして用いた。また、比較例1では、アクリル樹脂をトップパネルとして用いた。
【0050】
実施例1~12及び比較例1のトップパネルにおける内部摩擦及びヤング率は、日本テクノプラス社製、JE-RT3を使用し、JIS R1602の動的弾性率測定法(曲げ共振法)に準拠して測定した。
【0051】
具体的に、内部摩擦は、共振周波数ピークの周波数をω0とし、共振周波数ピークの振幅Lの1/√2の振幅(L/√2)となる周波数をω1,ω2としたときに、下記式(1)を用いて求めた。
【0052】
内部摩擦=(ω2-ω1)/ω0 …式(1)
【0053】
また、実施例1~12のガラスの密度は、アルキメデス法により測定した。また、比較例1のアクリル樹脂の密度は水中置換法により測定した。
【0054】
(滑り易さの官能性評価)
150mm×78mm×1mmの大きさの実施例1~12及び比較例1のトップパネルにおける短辺側の両端にアクチュエータを配置した。アクチュエータによりトップパネルに超音波を印加し、トップパネルを超音波帯の固有振動数において振動させた。この状態において、外側主面において指を滑らせることにより、滑り易さの官能性評価を行った。なお、滑り易さの官能性評価は、以下の評価基準により評価した。評価値の数字が大きいほど、滑り易いことを示している。
【0055】
<評価基準>
5:非常に滑りやすい
4:かなり滑りやすい
3:滑りやすい
2:どちらかといえば滑りやすい
1:どちらともいえない
【0056】
結果を下記の表1に示す。
【0057】
【0058】
表1に示すように、実施例1~12のトップパネルの内部摩擦は、1.0×10-2以下である。これに対して、比較例1における内部摩擦は、1.0×10-2より大きい。また、比較例1における超音波印加時の滑り易さは評価値1と小さいが、実施例1~12における超音波印加時の滑り易さは評価値3以上と大きい。従って、本発明の実施例1~12においては、トップパネルの内部摩擦が1.0×10-2以下と小さく、触感の表現力が高められることがわかる。
【0059】
また、実施例1~11のトップパネルの内部摩擦は、5.0×10-3以下である。これに対して、実施例12における内部摩擦は、5.0×10-3より大きい。また、実施例12における超音波印加時の滑り易さが評価値3であるのに対し、実施例1~11における超音波印加時の滑り易さは評価値4以上とさらに大きい。従って、本発明の実施例1~11においては、トップパネルの内部摩擦が5.0×10-3以下とさらに小さく、触感の表現力がより一層高められることがわかる。
【符号の説明】
【0060】
1,21…トップパネル
1a,21a…外側主面
2…筐体
2a…開口部
3…ディスプレイ
4…タッチセンサ
5…アクチュエータ
10,20…触感呈示デバイス
26…外層膜