(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】プレス硬化構成部材のレーザビーム熱処理の方法及びプレス硬化構成部材
(51)【国際特許分類】
C21D 9/00 20060101AFI20220708BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20220708BHJP
C21D 1/34 20060101ALI20220708BHJP
F16B 5/08 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
C21D9/00 A
B23K26/073
C21D1/34 H
F16B5/08 A
(21)【出願番号】P 2017535143
(86)(22)【出願日】2015-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2015071783
(87)【国際公開番号】W WO2016046231
(87)【国際公開日】2016-03-31
【審査請求日】2018-08-31
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-30
(32)【優先日】2014-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517098527
【氏名又は名称】オートテック・エンジニアリング・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】Autotech Engineering, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ミチェル・ガルシア
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】池渕 立
【審判官】井上 猛
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2561946(EP,A1)
【文献】Markus Baumann外4名,“Local Heat Treatment of high strength steels with zoom-optics and 10kW-diode laser”,Proc.of SPIE,Vol.8239,2012,1-9頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D1/02-1/84
C21D9/00-9/44,9/50
B23K26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットスタンプ構成部材の製造方法であって、
熱間成形金型焼き入れによりホットスタンプ構成部材を提供する工程と、
微細構造が変更された、幅が異なるホットスタンプ構成部材の第1の領域及び第2の領域を選択する工程と、
1以上の光学部材、及びレーザビームを生成する1つのレーザ光源を備えたレーザシステムを提供する工程と、
レーザシステムをホットスタンプ構成部材の長さに沿ってレーザシステムを動かして、その間に、レーザシステムを用いてホットスタンプ構成部材の微細構造を変更するため、単一経路において、選択された第1の領域及び第2の領域にレーザビームを
連続して照射する工程と、
を含み、
選択された第1の領域及び第2の領域が相互に連続して配置され、
レーザビームのスポットサイズが、レーザビームの照射中に調整され、第1及び第2の領域の幅に適合され、
ホットスタンプ構成部材の所定の領域で測定された温度に基づいて、レーザビームの出力が調整され、
第1の領域が衝突時にエネルギを吸収する柔らかい領域であり、第2の領域が
後工程で用いられる
延性を増した領域である方法。
【請求項2】
第2の領域がフランジまたはリベット領域である,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ホットスタンプ構成部材の領域を選択する工程が、ホットスタンプ構成部材の衝突試験を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ホットスタンプ構成部材の領域を選択する工程が、ホットスタンプ構成部材のシミュレーション試験を行うことを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
レーザビームを照射することが、レーザビームスポットの幅を8mmから180mmに調整すること、及びレーザビームスポットの高さを8mmから180mmに調整することを含む、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
レーザビームを照射することが、光学部材上の連続駆動動作を用いて、レーザビームスポットのサイズ調整することを含む、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
レーザビームを照射することが、1kWから10kWの間の出力のレーザビームを用いることを含む、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
レーザビームを照射することが、2.3kWから5.5kWの出力のレーザビームを用いることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
レーザビームを照射することが、5mm/sから100mm/sの前進速度でレーザシステムを用いることを含む、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
レーザビームを照射することが、ホットスタンプ構成部材の所定の領域における温度を測定する光学温度計を用いることを含む、請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
選択された領域
の微細構造を変更することが、
レーザビームが照射されている箇所が一定温度を維持することを含む、請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
レーザビームスポットの形状が実質的に矩形である、請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
レーザビームスポットの形状が実質的に円形である、請求項1から
11の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2014年9月22日に出願された欧州特許出願EP14382354.0の利益を享受する。
【0002】
本開示は、ホットスタンプ構成部材の製造方法、及びこの方法で得られた構成部材に関する。
【背景技術】
【0003】
車両構造の分野において、軽量構造の基準を満たすため、軽量材料の開発及び実施がますます重要になってきている。エネルギ消費を改善するとともに、乗員の安全に対する増大する懸念により、衝突時における車両の一体性を改善した材料の採用をもたらしている。
【0004】
熱間成形ダイクエンチング(HFDQ)(ホットスタンプまたはプレス硬化とも知られる)として知られるプロセスは、ボロン鋼板を用いて、1500MPaまでの引張強さを有する超高強度鋼(UHSS)特性を有するスタンプ構成部材を作り出す。他の材料と比べて強度が増すことにより、より薄いゲージの材料を用いることができ、その結果、従来の冷間スタンプ軟鋼構成部材を越えた重量削減を実現できる。
【0005】
HFDQプロセスを用いて製造可能な典型的な車両構成部材には、ドアビーム、バンパビーム、断面/側面部材、A/Bピラー補強材、及びウエストレール補強材が含まれる。
【0006】
主要エリアにおける延性及びエネルギ消費を改善するため、同じ構成部材内により柔らかい領域を導入することが知られている。これにより、部分的な延性が得られるとともに、要求される全体的な高強度を維持する。部分的に、非常に高強度な(非常に固い)領域と、延性が増した(より柔らかい)領域とを含むように、ある構造構成部材の微細構造及び機械的特性を調整することにより、全体的なエネルギ消費を改善し、衝突時における構造的一体性の維持を可能にし、全体的な重量削減も可能にする。このような柔軟な領域は、衝突により構成部材がつぶれた場合、運動学的な動きを有利になるように変えることもできる。柔軟な領域は、衝突時の運動学、及び構成部材の形成を考慮して、製造することができる。この事実により、柔らかい領域の形状は、ますます複雑になってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知の解決策は、WO2012156084であり、レーザビーム法を用いた金属シート構成部材の所定のサブエリアの部分的硬度調整により、金属シート構成部材の画定された柔軟な領域を部分的に形成することが開示されている。
【0008】
この解決策の問題点は、コーナー部や段差部のような特別な複雑な形状において、レーザの部品の交換の必要性に関する中断時間無しにレーザビームを適用するのが困難であろうことである。更に、構成部材をレーザビームに連続的に曝すことが何度か必要であり、よって、柔軟な領域を画定する時間が必要であろう。
【0009】
EP2561946は、車両の構造構成部材の一部であって、厚さ1~3mmのメッキ鋼板から形成され、スポット溶接で第2の部分に接続されるようになっている部分の製造方法に関し、板材をホットスタンプする工程と、次に、400から900℃の間の温度に達するまで、500Wから6kWの間の出力の半導体レーザビームを照射して、第1の部品の少なくとも1箇所の予め選択された領域を熱処理する工程と、そして、冷却して微細構造を変化させ、当該領域に、意図的に低マルテンサイトの含有物を付与し、これにより熱処理されなかった近接領域に比べて、低強度、高延性を与える。
【0010】
バウマン・マークスらの「ズーム光学部材及び10kWの変動帯レーザを用いた高強度鋼の部分熱処理」第8239巻No.1,2012年、1~9頁には、半導体レーザに基づくファイバ連結10kWレーザ光源と、均一な出力密度を有する様々な寸法の矩形スポットを形成する均一ズーム光学システムとが記載されている。
【0011】
本開示の目的は、ホットスタンプ構成部材の改善された製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、ホットスタンプ構成部材の製造方法が提供される。この方法は、熱間成形金型焼き入れによりホットスタンプ構成部材を提供する工程を含む。この方法は、更に、微細構造が変更された、幅が異なるホットステンプ構成部材の第1の領域及び第2の領域を選択する工程を含む。また、1以上の光学部材、及びレーザビームを生成するレーザ光源を備えたレーザシステムが提供される。そして、レーザシステムは、構成部材の長さに沿って動かくことができ、その間に、レーザシステムを用いてホットスタンプ構成部材の微細構造を変更するため、単一経路において、選択された第1の領域及び第2の領域にレーザビームを照射する。レーザビームの照射の間に、レーザビームのスポットサイズが調整され、第1及び第2の領域の幅に適合される。ホトツスタンプ構成部材の所定の領域で測定された温度に基づいて、レーザビームの出力が調整される。第1の領域が衝突時にエネルギを吸収する柔らかい領域であり、第2の領域が次の工程で用いられる領域である。
【0013】
レーザビームを照射する間に、レーザビームを調整することは利点を有することが判明した。この点において、レーザビームスポットの様々なサイズ及び比率が提供され、よって、幅広い種類の形状を有する非常に特定の正確な幾何学的な形状を達成できる。その結果、時間のかかるプロセスヘッドの交換やそれに付随する再アライメントを回避することができ、これにより、製造時間や何回かのレーザビームの照射の必要性を減らすことができる。更に、複雑な形状を有する柔軟な領域において、同じレーザを使うことができ、よって、製造方法の標準化が改善できる。更に、調整可能なレーザビームスポットの一回だけの照射のみを要するという事実により、非常に高強度の(非常に固い)領域及び延性が増した(より柔らかい)領域の間の遷領域を小さくできる。このようにして、柔軟な領域を定める正確さが改善できる。HFDQプロセスや超高強度材料を扱う場合、後工程では、部分的な微細構造の変更を要する。フランジを曲げたり、リベット等で部品を付けることを可能にするため、延性を増すことが必要となる。
【0014】
更に、レーザビームの出力を、温度に基づいて調整することができるので、一貫した熱処理を得ることができる。
【0015】
ここで説明するレーザ技術は、柔軟な領域の形成と組み合わされたこのような種類の後工程を許容する。分離された温度領域を提供する必要がないので、ホットスタンプ工程で用いられる金型はよって単純化できる。
【0016】
好ましくは、微細構造が変更された第1及び第2の(及び可能なその他の)領域は、構成部材の長さに沿った単一工程におけるレーザにより加熱される。
【0017】
更なる態様では、本開示は実質的に上記の任意の方法によって得られた、または得られることができる構成部材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a】実質的に上記の任意の方法で製造された柔軟な領域を有する構成部材の例を示す図である。
【
図1b】実質的に上記の任意の方法で製造された柔軟な領域を有する構成部材の例を示す図である。
【
図2a】レーザシステムの各部及び実施例を示す図である。
【
図2b】レーザシステムの各部及び実施例を示す図である。
【
図3a】レーザビームスポットの異なる特定の形状の例を示す図である。
【
図3b】レーザビームスポットの異なる特定の形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
限定されない本開示の実施例を、添付図面を参照しながら以下に説明する。
図1a、1bは、実質的に上記の任意の方法で製造された柔軟な領域を有する構成部材の例を示す。
図1aの例において、Bピラー21が模式的に示されている。同様に、
図1bの例において、Bピラー26が模式的に示されている。両方の構成部材21及び26は、例えば、HFDQプロセスで形成される。ある実施例では、構成部材21及び26は鋼製であることができる。
【0020】
図1aでは、柔軟な領域24は、例えば、延性が増加するように、微細構造を変更するように選択される。柔軟な領域の選択は、衝突試験やシミュレーションに基づくことができるし、柔軟な領域を選択するその他の方法を選択することもできる。柔軟な領域は、例えば、Bピラーのような部品において、最も有利な衝突挙動や、より良いエネルギ吸収を定めるためのシミュレーションによって画定することができる。レーザシステムを用いて、レーザビーム(図示せず)を選択された柔軟な領域に照射することができる。レーザスポットサイズは、レーザビームの照射の間に調整することができ、柔軟な領域24の高さ及び/または幅に適合できる。よって、各々のレーザ照射の後の時間のかかるレーザシステムの光学部材の交換を回避することができる。同様に、第2の柔軟な領域は、上記のように選択された領域23とすることができ、レーザビーム(図示せず)を第2の柔軟な領域23に移動し、レーザシステムを使って、選択された領域にレーザビームを照射することができる。レーザの照射の間、レーザスポットサイズを、第2の柔軟な領域23の形状に合わせて調整することができる。上記の同様に、レーザビーム(図示せず)を第3の柔軟な領域22に移動し、レーザシステムを使って、選択された領域にレーザビームを照射することができる。同様に、レーザの照射の間、レーザスポットサイズを、選択された第3の柔軟な領域22の形状に合わせて調整することができる。レーザの操作は、上記の柔軟な領域24の場合と同様である。
【0021】
このようにして、柔軟な領域24、23、22の延性を促進させるとともに、柔軟な領域の隣の部分の強度を維持することができる。柔軟な領域24、23、22の微細構造を変更することができ、例えば、レーザの照射の間、レーザスポットサイズを、選択された柔軟な領域の形状に合わせて調整することができる。例えば、柔軟な領域24、23、22の引張強度を600MP未満とすることができ、柔軟な領域24、23、22の伸びを20%まで増やすことができる。レーザスポットサイズを調整しながら、レーザシステムのただ1つの光学部材(図示せず)を用いて、柔軟な領域24、23、22を得ることができる。その結果、工具への投資額及びメンテナンス費用を削減することができる。製造時間も削減できる。更に、柔軟な領域24、23、22の開始及び終了地点における遷移領域を減少させることができる。
【0022】
レーザビームは、あるパラメータに基づいて調整することができる。例えば、パラメータとして、パイロメータまたはカメラのような、高温を測るための温度計を用いて、構成部材8の所定の柔軟な領域で計測された温度が挙げられ、これによりレーザビームの温度を維持できる。柔軟な領域24、23、22は異なる形状を有することができ、例えば、フランジ、より小さいまたは大きいスポット、複雑な幾何学的な形状のような異なる用途を有することができる。ここに記載された方法及びレーザの適用の実施例を用いて、単一の経路、または極めて少ない数の経路で、例えば、リベット領域の周囲、フランジの周囲、より大きな柔軟な領域等において、部分的な微細構造を変更できる。このような種類の後工程は、単一な経路における柔軟な領域の形成と組み合わせることができ、よって、製造時間を削減できる。分離さえた温度ゾーンを設ける必要がないので、ホットスタンププロセスで用いられる金型をより簡略化することができる。
【0023】
図1bの実施例では、特定の形状の柔軟な領域27が実施されるBピラー26の実施例が示されている。柔軟な領域の選択、Bピラーの構造、及び操作は
図1aに記載された場合と同様である。
【0024】
図2aは、レーザシステムの実施例を模式的に示し、レーザシステムは、ファイバコネクタ3を有することができる。ファイバコネクタ3は、1つの端部で光ファイバ1.1と接続できる。
【0025】
ファイバコネクタ3により、光ファイバ1との、迅速で信頼性の高い接続及び取り外しが可能となる。光ファイバ1は、ビームの粒子及び波のガイドとして働くことができる。
【0026】
コリメートユニット5が提供できる。コリメートユニット5により、レーザビームの動く方向を、特定の方向に位置合わせすることができる。
【0027】
レーザシステムは、1色のパイロメータ8を有することができるが、例えば、2色のパイロメータ7のようなその他の態様も可能である。1色のパイロメータ8は、表面から出射される1つの波長の放射線を測定して温度を定めることができ、レーザビームの出力は、温度を考慮しながら調整することができる。
【0028】
ズームホモジナイザ10も、模式的に示されている。ズームホモジナイザ10は、後述するように、レーザスポットの形状に適合できる。
【0029】
その他の実施例では、ズームホモジナイザ10が、第2の端部で接続ユニット20に接続されるように構成できる。接続ユニット20は、フォーカス部材11に取り付けることができる。接続ユニット20は、アダプタ9を備えるように構成できる。接続ユニット20は、カメラ15、例えば、EMAQSカメラに取り付けることができる。EMAQSカメラは、カメラを基本とした温度データ取得システムであるが、例えば、CCDカメラ14のような他の態様も可能である。
【0030】
その他の実施例では、ズームホモジナイザ10が1色のパイロメータ60に接続するように構成することができるが、例えば、2色のパイロメータに接続するような、その他の態様も可能である。1色のパイロメータ60は、表面から出射される1つの波長の放射線を測定して温度を定めることができる。このようにして、レーザビームの出力を、温度を考慮しながら調整することができる。
【0031】
レーザシステムは、ロボット(図示せず)の上に載置することもできる。ロボットは床状に載置することができるが、例えば、ルーフ上のような他の構成も可能である。ロボットは、共通手段(図示せず)により制御することができる。採用されるロボットの一例としては、ABBから入手可能なIRB6660またはIRB760がある。
【0032】
レーザシステムのレーザ出力は、20000Wに制限できる。
【0033】
図2bでは、ズームホモジナイザ10を模式的に示している。ズームホモジナイザ10は、ビームを、例えば、矩形、円形のような形状に変換することができる。ズームホモジナイザ10は、
図2aに示すレーザシステムの一部であることができる。ズームホモジナイザ10は、少なくともレーザシステムを部分的に覆った筐体38を備えることができる。
【0034】
筐体38は、レンズアレイ30a、30b及び30cを備えることができる。レンズアレイ30a、30b及び30cは、レーザ照射の間にスキャンされた要素の異なる領域の幅または長さに対して、レーザビームのスポットを調整できる。レンズアレイは、180mmまでのエッジ長さまたは幅において、ライン又はエリアの様々なフォーカを実施できる。レーザフォーカスにおけるハット状のエネルギ分布を、全設定領域に渡って均一にすることができ、これにより、全設定領域に渡る均一なエネルギ入力を確実にすることができる。レンズアレイ30a、30b及び30cは、20000Wまでのレーザパワー出力に適用するように設計できる。
【0035】
ギアモータ34により、レンズアレイ30a、30b及び30c上で機能するレーザビームスポットのサイズを調整することができる。レーザビームスポットは、両軸上においてモータで調整可能にできる。複数のフォーカスサイズ及び比率は、レンズアレイ30a、30b及び30cを用いて実現できる。ギアモータ34を用いたレンズアレイ30a、30b及び30cのモータ駆動により、レーザビームの幅または長さを動的に調整できる。ギアモータ34の作動は、任意の機械制御システムに一体的に組み込むことができる。
【0036】
ギアモータ34は、ネジ付スピンドル33に取り付けることができる。ネジ付スピンドルは、ギアモータ34dで生成された動作を伝達することができる。ネジ付スピンドル33には、一方の先端部で、スピンドルナット32が取り付けられることができる。例えば、ギアモータ34のようなズームホモジナイザ10のある要素の動作を制御するために、動作制御ユニット36を備えることができる。サーボのようなあるタイプの装置を用いて、ギアモータ34の位置や速度を制御することができるが、例えば、油圧ポンプや、リニアアクチュエータ、または電気モータのようなその他の選択肢も可能である。
【0037】
図3a及び3bは、レーザビームスポットの異なる特定の形状の例を示す。上記のように、レーザビームの様々な形状及び比率が提供され、よって、広い種類の形状を有する、非常に特定の正確な幾何学的な形状を達成できる。その結果、例えば、異なる曲線、異なるサイズ(長さ、幅及び高さ)を有する所望の幾何学的形状を提供できる。
【0038】
例えば、
図3aは、矩形、円形及び四角形のような異なる既知の形状を示す。x方向及びy方向は、個別に連即して変化できる。x方向及びy方向の両方において、8mmから200mmの間で、スポットが変化する。x方向及びy方向の両方における変化は、例えば、ブラシレスDCサーボモータのようなモータによって実施される。レーザビームは、ホットスタンプ構成要素の柔らかい領域が要する温度を推定するため、例えば、パイロメータのような高温を測るための温度計を用いることが含まれる。よって、所望の領域内で、温度を維持することができる。
【0039】
レーザが構成部材に沿って、処理される構成部材の様々な領域の間で、レーザが動くにつれて、スポットは、柔軟な領域を形成するのに必要な形状及びサイズを有するために調整されることができる。
【0040】
図3bは、
図3aの形状を組み合わせることにより、単一の経路で得られるより複雑な形状を示す。ある例では、レーザビームの照射の間、レーザスポットの形状及びサイズの両方が変更される。温度測定により、レーザの出力を制御することにより、レーザスポットが大きく変化するにも関わらず、一貫した熱処理を得ることができる。
【0041】
レーザの前進フィード速度を5mm/sから100mm/sの間、レーザビームの出力を1kWから10kWの間であって、光学的に2.3kWから5.5kWの間にして、x方向及びy方向両方のレーザビームのスポットを変化させることによって、特に好結果が得られることを知見した。
【0042】
ここでは、幾つかの実施例を開示したが、その他の実施例、変形、仕様及び/またはその均等物も可能である。更に、記載された実施例の全ての可能な組み合わせも含まれる。よって、本開示の範囲は、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の適正な解釈によってのみ定められるべきである。