(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
B65D 25/02 20060101AFI20220708BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B65D25/02 Z
B65D25/20 Z
(21)【出願番号】P 2018058773
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】原野 朋美
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-094616(JP,A)
【文献】特開2014-032153(JP,A)
【文献】特開2017-040466(JP,A)
【文献】米国特許第09846086(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/02
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬容器に収容された監視対象物の状態を監視する監視装置であって、
前記運搬容器に前記監視対象物と共に収容され、当該監視対象物を模した模擬体と、
前記模擬体内に配置され、前記模擬体の温度を検出する温度検出器と、
前記温度検出器が検出した前記模擬体の温度を記憶する記憶部と、
時間を計時する計時部と、
前記運搬容器に加わる加速度を検出する加速度センサと、
前記運搬容器の周辺の気圧を検出する気圧センサと、を備え、
前記温度検出器は、繰り返し前記模擬体の温度を検出し、
前記記憶部は、検出された前記模擬体の温度と前記計時部の時間と前記加速度センサの加速度と前記気圧センサの気圧とを関連付けて記憶し、
前記模擬体の温度と前記加速度センサの加速度と前記気圧センサの気圧とを時系列に沿って対応付け、対応付けられた前記温度と前記加速度と前記気圧との組み合わせを検出して前記監視対象物の損傷原因を追究するように構成したこと、
を
特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記模擬体は、前記監視対象物の熱伝導率と略同一なものであること、
を特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記模擬体が、1つの前記運搬容器に複数収容され、
前記記憶部は、前記運搬容器の外に1機配置され、前記容器内の各前記模擬体の温度を収集し、
前記記憶部は、前記温度検出器が検出した前記模擬体の温度と当該模擬体を識別する情報とを関連付けて記憶すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記記憶部が記憶した前記模擬体の温度を外部機器に送信する送信部を更に備えること、
を特徴とする請求項1乃至
3の何れかに記載の監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視対象物の状態を監視する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運搬物の中には、生鮮食品や医薬品などもあり、運搬物を冷蔵、冷凍といった一定の温度に保った状態で運搬すべきものがある。このような運搬物は、密閉した内部を一定の温度に保った運搬容器に収容されて運搬されている。しかし、運搬過程では、振動、衝撃が運搬容器に加えられ運搬容器が損傷したり、気圧の変化など外部環境の変化などによって、運搬容器の庫内の温度が、運搬途中で変化することがある。運搬途中で庫内の温度が変化すると、運搬物の品質が低下することがある。
【0003】
近年では、所謂IoT(Internet of Things)が進展する最中、運搬物の品質が低下した原因を追求すべく運搬中の運搬物の状況、状態を監視、管理するトレーサビリティが注目されている。そして、運搬中の温度を管理するものとして、例えば、運搬容器の庫内に温度計を配置して、運搬容器の庫内の空気の温度を検出し、記憶する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、庫内の温度が変化したからといって、運搬物自体の温度が直ちに変化するわけではない。運搬物自体の温度変化は、庫内の温度が変化した後、庫内の温度に追従するよう徐々に変化する。そうだとすると、運搬容器の庫内の温度変化を確認しても、運搬物自体の温度が変化したか否か直ちに判断することができず、運搬物の品質が低下した原因を追究することが困難であった。
【0006】
本実施形態は、上記課題を解決すべく、運搬容器の庫内の温度変化に影響されず、運搬容器に収容された監視対象物の温度を監視することができる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本実施形態の監視装置は、運搬容器に収容された監視対象物の状態を監視する監視装置であって、前記運搬容器に前記監視対象物と共に収容され、当該監視対象物を模した模擬体と、前記模擬体内に配置され、前記模擬体の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器が検出した前記模擬体の温度を記憶する記憶部と、時間を計時する計時部と、前記運搬容器に加わる加速度を検出する加速度センサと、前記運搬容器の周辺の気圧を検出する気圧センサと、を備え、前記温度検出器は、繰り返し前記模擬体の温度を検出し、前記記憶部は、検出された前記模擬体の温度と前記計時部の時間と前記加速度センサの加速度と前記気圧センサの気圧とを関連付けて記憶し、前記模擬体の温度と前記加速度センサの加速度と前記気圧センサの気圧とを時系列に沿って対応付け、対応付けられた前記温度と前記加速度と前記気圧との組み合わせを検出して前記監視対象物の損傷原因を追究するように構成したこと、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る監視装置の概略外観図である。
【
図2】第1の実施形態に係る模擬体の模式図である。
【
図3】第1の実施形態の監視装置の模擬体とロガーの接続状態を示す図である。
【
図4】第1の実施形態のロガーの構成を示す構成図である。
【
図5】第1の実施形態のロガーの処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】記憶部が記憶した温度データを示したグラフである。
【
図7】変形例1に係るロガーの構成を示す構成図である。
【
図8】変形例2に係る模擬体からロガーに検出した温度の送信状態を示す図である。
【
図9】変形例3に係るロガーの構成を示す構成図である。
【
図10】送信部から外部機器に温度データを送信した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態に係る監視装置1について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る監視装置1の概略外観図である。
図2は、第1の実施形態に係る模擬体2の模式図である。監視装置1は、運搬容器200に収容された監視対象物100の温度を監視する。監視対象物100はキャップ22で閉蓋された容器21に収容された血液である。
【0010】
この監視装置1は、監視対象物100を模した模擬体2を有し、模擬体2は、監視対象物100と共に運搬容器200に収容される。模擬体2は、監視対象物100の熱伝導率、凝固点及び形状と略同一であり、監視対象物100のキャップと同一形状、同一サイズ及び同一材質のキャップ22で閉蓋した、監視対象物100を収容した容器と同一形状、同一サイズ及び同一材質の容器21に、人工血液23を収容して成る。監視装置1は、この模擬体2の温度を監視対象物100の温度として検出する。
【0011】
この監視装置1は、模擬体2の温度を検出する温度検出器3を備えている。温度検出器3は、模擬体2の温度を定期的に検出する。定期的とは、これに限定するものではないが、例えば、1分間隔で模擬体2の温度を検出する。この温度検出器3は、例えば、模擬体2の内部に配置される熱電対である。熱電対は、異なる種類の2本の金属線により構成される。この2種類の金属線の先端を接続させることで、熱電対には、熱起電力が生じる。この熱起電力は、金属の種類と接合点の温度差から生じるので、熱電対は、金属の種類、接合点の一方の温度、熱起電力の大きさから温度を測定することができる。
【0012】
更に、この監視装置1は、温度検出器3が検出した模擬体2の温度を記憶するロガー4を備える。温度検出器3が容器21内に設けられた模擬体2が運搬容器200の庫内に収容されるのに対し、ロガー4は、運搬容器200の庫外に設置される。ここで、運搬容器200は、上部が開口している箱体であり、例えば発泡スチロール製である。開口は蓋210により閉蓋される。ロガー4は、蓋210の上に配置され、例えば、面ファスナーにより蓋210に固定される。
【0013】
ロガー4と模擬体2は、ケーブル24、51によって有線で接続されている。即ち、模擬体2には、温度検出器3から延びるケーブル24がある。ケーブル24は、キャップ22に圧入の上、キャップ22を貫通し、容器21の外部に延びる。容器21外に延びたケーブル24の先端には、コネクタ25が形成されている。一方、ロガー4からも、先端にコネクタ52が形成されたケーブル51が延びている。ロガー4から延びたケーブル51のコネクタ52と、模擬体2から延びたケーブル24のコネクタ25とを接続する。これにより、ロガー4と模擬体2とが有線接続され、温度検出器3が検出した温度がロガー4に入力される。
【0014】
尚、蓋210には開口が形成されており、ロガー4のケーブル51は、この開口を貫通して運搬容器200の庫内に延びている。開口とケーブル51との隙間はコーキング剤6を塗布することで封止され、運搬容器200と外部との空気の流入及び流出が阻止されている。
【0015】
図3は、第1の実施形態の監視装置1の模擬体2とロガー4の接続状態を示す図である。
図3に示すように、運搬容器200は常温A、冷蔵B及び冷凍Cの3つの区画に区切られている。各区画には、監視対象物100である血液が配置されると共に、模擬体2A、2B、2Cが配置されている。即ち、運搬容器200内には、3つの模擬体2A、2B、2Cが配置され、各模擬体2A、2B、2Cから延びた3本のケーブル24がある。
【0016】
一方、ロガー4からは、模擬体2A、2B、2Cに対応する3本のケーブル51が延びている。この各ケーブル51の先端に形成されたコネクタ52と、各模擬体2A、2B、2Cのケーブル24の先端に形成されたコネクタ25とが接続されている。これにより、各模擬体2A、2B、2Cとロガー4が有線接続されている。即ち、各模擬体2A、2B、2Cの内蔵された温度検出器3が検出した温度がロガー4に入力される。
【0017】
図4は、ロガー4の構成を示す構成図である。ロガー4は、温度検出器3から模擬体2の温度を収集するとともに、収集した模擬体2の温度を時系列に沿って記憶する。
図4に示すように、このロガー4は、計時部41、制御部42及び記憶部43を有する。
【0018】
計時部41は、日付及び時間を計時する。計時部41は、制御部42と信号線を介して接続している。記憶部43は、データを記憶するストレージで構成される。記憶部43は、制御部42と信号線を介して接続し、制御部42から送信された温度データを記憶する。温度データとは、収集した模擬体2の温度とともに日時及び当該模擬体2を識別する情報を併せたデータである。模擬体2を識別する情報とは、複数の模擬体2を区別するための情報である。制御部42は、プログラム内の命令を実行し、その結果を出力するCPUやMPU、及び、命令の実行結果や処理対象データを一時的に記憶するメモリで構成される。
【0019】
制御部42は、ケーブル24、51を介して接続している温度検出器3から模擬体2の温度を収集する。また、制御部42は、収集した模擬体2の温度とともに日時及び模擬体2の識別する情報を併せた温度データを記憶部43に送信する。制御部42が模擬体2を識別する方法としては、各模擬体2とそれぞれ有線接続しているケーブル24、51によって区別する。
【0020】
具体的には、例えば、制御部42には、予め、常温Aの模擬体2は「A」、冷蔵Bの模擬体2は「B」、冷凍Cの模擬体2は「C」と記憶させておく。常温A、冷蔵B、冷凍Cそれぞれに配置された模擬体2A、2B、2Cが有するケーブル24とそれに対応するケーブル51がそれぞれ有線で接続している。ここで、制御部は、常温Aに配置された模擬体2の温度を収集したとする。制御部42は、模擬体2の温度を収集する際に、模擬体2Aと接続しているケーブル24、51から、この温度を収集したと判断する。即ち、制御部42は、収集したこの温度は、常温Aに配置された模擬体2Aの温度であると判断する。そして、制御部42は、収集したこの温度と模擬体2を識別する情報である「A」を関連付ける。
【0021】
ここで、本実施形態に係るロガー4の処理手順について説明する。
図5は、ロガー4の処理手順を示すフローチャートである。
【0022】
まず、制御部42は、温度検出器3が検出した模擬体2の温度をケーブル24、51を介して温度検出器3から収集する(ステップS01)。検出した温度を収集した制御部42は、収集した温度がどの模擬体2のものか識別し、予め記憶している識別情報と温度を関連付ける(ステップS02)。また、制御部42は、計時部41に、現在の日時を送信するよう指令を出し(ステップS03)、日時を受信する(ステップS04)。
【0023】
日時を受信した制御部42は、この日時とステップS02で関連付けた識別情報と温度とを併せた温度データを記憶部43に送信する(ステップS05)。温度データの送信を受けた記憶部43は、この温度データを記憶する(ステップS06)。ユーザが、例えばロガー4の電源を切るなど監視終了の合図があれば、この処理は終了し(ステップS07のYES)、合図がなければステップS01に戻り(ステップS07のNO)、このステップS01からステップS07を繰り返し行う。繰り返しとは、例えば1分間隔などユーザの所望の間隔で行うことができる。
【0024】
このように、記憶部43は、繰り返し検出した模擬体2の温度を模擬体2の識別情報と日時とともに温度データとして記憶する。そして、監視対象物100の運搬終了後、ロガー4をパソコン等と接続することで、この記憶部43が記憶した温度データを表示することができる。
図6は、記憶部43が記憶した模擬体2の温度データのグラフである。
図6に示すように、ユーザは、12時から13時までの常温Aの模擬体2A、冷蔵Bの模擬体2B、冷凍Cの模擬体2Cの温度変化を把握することができる。ここで、12時40分頃から冷凍Cの模擬体2Cの温度が約-7℃から徐々に上昇し、12時50分頃には、冷蔵Bの模擬体2Bの温度を超え、約7℃となっている。即ち、この12時40分から50分の間で、模擬体2Cの温度が上昇していることが分かる。
【0025】
従来のように、運搬容器200内の空気の温度を測定している場合、運搬容器200内の温度を把握することはできる。しかし、運搬容器200内の温度が変化しても直ちに監視対象物100の温度が変化するわけではない。即ち、運搬容器200内の温度を測定しても監視対象物100がその時点で損傷したのか判断することはできない。よって、運搬容器200内の空気の温度を検出しても、監視対象物100が損傷した原因を割り出すことは困難であった。
【0026】
例えば、運搬者が運搬容器200の蓋210を開けた後、即座に閉めた場合、運搬容器200内の温度は一時的に上昇するが、直ちに元の温度に戻るため、監視対象物100自体の温度は変化しないことがある。従来のように、運搬容器200内の温度を検出していると、監視対象物100自体の温度が変化ない場合でも、温度は上昇したと記録され、原因追究の方向を誤る可能性があった。
【0027】
一方、本実施形態では、監視対象物100を熱伝導率、凝固点、形状が同一の模擬体2の温度を検出している。即ち、模擬体2と監視対象物100の温度変化は同一となる。上記の例えの場合、監視対象物100の温度は変化していないので、模擬体2の温度は変化していない。よって、監視対象物100の損傷原因の追究について、誤った方向に結びつかず、より正確に原因を特定することができる。
【0028】
以上のように、第1の実施形態に係る監視装置1は、運搬容器200に監視対象物100と共に収容され、当該監視対象物100を模した模擬体2と、模擬体2内に配置され、模擬体2の温度を測定する温度検出器3と、運搬容器200の外に配置され、温度検出器3が検出した模擬体2の温度を記憶する記憶部43を備えるようにした。これにより、監視装置1は、監視対象物100の温度を直接検出でき、監視対象物100の損傷原因をより正確に特定することができる。
【0029】
また、記憶部43は、温度検出器3が検出した模擬体2の温度と当該模擬体2を識別する情報を関連付けて記憶するようにした。これにより、複数の模擬体2が運搬容器200に収容されていても、複数のロガー4は必要なく、1つのロガー4で効率良く複数の模擬体2の温度を記憶することができる。
【0030】
さらに、日時を計時する計時部41を更に備え、温度検出器3は繰り返し模擬体2の温度を検出し、記憶部43は、検出された模擬体2の温度と計時部41の日時とを関連付けて記憶するようにした。これにより、運搬中に模擬体2の温度変化を時系列で把握することが可能となり、運搬経路と時間を関連付けて調査でき、監視対象物100の損傷原因の追究をより容易に行うことができる。
【0031】
なお、本実施形態では、監視対象物100は血液であったため、模擬体2は血液と熱伝導率、凝固点、形状が略同一の人工血液23としたが、運搬容器200内の庫内温度よりも血液の温度変化に近いものであれば、人工血液23に限らず、例えば流動パラフィンを容器21に収容して用いてもよい。流動パラフィンは、熱伝導率に関しては血液に近く、酸化しにくい、沸点が300℃以上で揮発し難い、引火点が224℃で取り扱いが容易であるとの利点を有する。
【0032】
また、監視対象物100は血液に限らず、例えば、生鮮食品、医薬品、飲料、精密機械であってもよい。監視対象物100が、精密機械など固体物である場合、模擬体2は、凝固点を略同一にする必要はなく、熱伝導率及び形状を略同一にすれば足りる。
【0033】
また、本実施形態では、監視対象物100が血液という液体であったため容器21及びキャップ22を用いたが、必ずしも容器21及びキャップ22は必要ではない。例えば、野菜といった固体物の輸送の場合には、容器21及びキャップ22に入れることなく、野菜と共に直接運搬容器200に模擬体2を入れてもよい。
【0034】
(変形例1)
変形例1に係る監視装置1について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、変形例1に係るロガー4の構成を示す構成図である。
図7に示すように、変形例1に係る監視装置1は、ロガー4に加速度センサ45及び気圧センサ46を更に備える。即ち、変形例1に係る監視装置1は、模擬体2の温度だけでなく、加速度センサ45によって加速度及び気圧センサ46によって気圧を検出する。
【0035】
加速度センサ45は、運搬容器200に加わる加速度を検出する。加速度センサ45は、制御部42と信号線を介して接続し、検出した加速度を制御部42に送信する。加速度を受信した制御部42は、加速度センサ45が検出した加速度と計時部41から受信した日時とを関連付けて、記憶部43に送信する。記憶部43は、制御部42から送られてきた日時が関連付けられた加速度を記憶する。
【0036】
気圧センサ46は、運搬容器200の周辺の気圧を検出する。気圧センサ46は、制御部42と信号線を介して接続し、検出した気圧を制御部42に送信する。気圧センサ46から気圧を受信した制御部42は、計時部41から受信した日時と気圧を関連付けて、記憶部43に送信し、記憶部43は、この日時を関連付けられた気圧を記憶する。
【0037】
このように、変形例1の監視装置1は、模擬体2の温度以外に加速度及び気圧を検出し、これを時系列に沿って記憶する。即ち、監視装置1は、温度、加速度、気圧を時系列に沿って対応付けることができる。例えば、加速度と温度を組み合わせて検出すると、加速度が生じた時点から温度が上昇していることが分かり、加速度によって運搬容器200の気密性が破られたことで運搬容器200内に大気が流入し温度が上昇したなどと、より原因を詳細に追究することができる。
【0038】
以上のように、変形例1に係る監視装置1は、加速度センサ45及び気圧センサ46を更に備えるようにした。これにより、模擬体2の温度のみを検出した場合に比べて、より原因を詳細に追究することができる。なお、変形例1では、加速度及び気圧を模擬体2の温度と併せて検出したが、これに限るものではない。加速度及び気圧以外にも、位置、湿度など種々のものを検出してもよい。
【0039】
(変形例2)
変形例2に係る監視装置1について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、変形例2に係る模擬体2から検出した温度をロガー4に送信した状態を示す図である。第1の実施形態では、温度検出器3が検出した温度をケーブル24、51を接続させた有線によってロガー4に送信していたが、変形例2に係る監視装置1は、無線により送信する。
【0040】
この無線通信は、例えば、RFID8(Radio Frequency IDentifier)により行う。RFID8は、電波を用いて複数のデータを非接触で一括して送受信することができる。このRFID8は、RFタグ81、制御部82、アンテナ83、ケーブル84を有する。
【0041】
RFタグ81は、キャップ22の上に配置される。このRFタグ81は、ケーブル24を介して温度検出器3と接続し、温度検出器3が検出した温度を受信する。RFタグ81は、模擬体2ごとに設けられる。即ち、RFタグ81は、各模擬体2A、2B、2Cのそれぞれのキャップ22の上に配置されている。RFタグ81には、当該RFタグ81が設けられた模擬体2の識別情報が予め記憶されている。RFタグ81は、アンテナ83から電波を受信すると、模擬体2の温度と当該模擬体2の識別情報を関連付けた信号を発信する。
【0042】
制御部82は、ケーブル84を介してアンテナ83と接続する。制御部82は、電波を発するようアンテナ83に電流を流す。制御部82が、アンテナ83に電流を流し、アンテナ83が電波を発することで、RFタグ81と無線通信を行う。また、制御部82は、アンテナ83が各RFタグ81から受信したデータに日時を付して、そのデータを記憶部43に送信する。
【0043】
アンテナ83は、運搬容器200の内部に配置される。アンテナ83は、ケーブル84と接続しており、運搬容器200の外に配置されたロガー4と接続している。即ち、ケーブル84は、運搬容器200の外から蓋210が有する開口を貫通し、運搬容器200の内部に延びている。このケーブル84の一端は運搬容器200の庫外のロガー4と接続し、他端は、運搬容器200の内部に配置されたアンテナ83と接続している。このアンテナ83は、運搬容器200内に配置された全ての模擬体2の信号を受信する。即ち、アンテナ83は、1つで各模擬体2A、2B、2Cの温度を受信する。
【0044】
以上のように、変形例2に係る監視装置1は、温度検出器3が検出した温度を無線通信によって、ロガー4へ送信するようにした。有線接続の場合には、ユーザが手作業で模擬体2毎にケーブル24、51の接続を行っていたが、変形例2に係る監視装置1では、各模擬体2毎にRFタグ81を設けるだけで済み、ケーブル24、51を接続する作業を行う必要がなく、ユーザの作業が簡便になる。
【0045】
(変形例3)
変形例3に係る監視装置1について、図面を参照しつつ説明する。
図9は、変形例3に係るロガー4の構成を示す構成図である。
図10は、送信部44から外部機器7に温度データを送信したことを示す図である。変形例3に係る監視装置1は、ロガー4に送信部44を更に設けている。送信部44は、記憶部43が記憶した温度データを外部機器7に送信する。
【0046】
送信部44は、例えば、ビーコンである。ビーコンは、模擬体2の温度と当該模擬体2の識別情報を関連付けた信号を一定間隔で発信する発信機である。ビーコンが、信号を発信すると、予めこの信号を受け取れるよう設定してある外部機器7が受信可能範囲内にあると、外部機器7は、信号を受信する。受信した外部機器7は、受信した信号情報を画面に表示する。つまり、運搬者が身に着けている外部機器7、例えばスマートフォンであれば、運搬中、ビーコンの信号を受信可能なので、運搬者は、運搬中も、定期的に監視対象物100の温度を把握することができる。
【0047】
また、外部機器7がインターネットに接続されている状態では、IoT環境下に当該監視装置1が組み込まれることになり、運搬者のみならず、監視対象物100の関係者も監視状況を把握することができる。即ち、送信部44は、近距離無線通信が可能である他、WiFi規格に準拠していたり、移動体通信業者の回線網に接続可能であるようにし、送信部44自体がインターネット接続可能であってもよい。
【0048】
図10に示すように、外部機器7には、2018年3月8日12時50分00秒の模擬体2Aの温度が20.1℃、模擬体2Bの温度が3.8℃、模擬体2Cの温度が7.3℃であることが表示される。これにより、運搬者は、冷凍Cに配置された模擬体2Cの温度が異常であることを運搬中に把握することができる。
【0049】
以上のように、記憶部43が記憶した模擬体2の温度を外部機器7に送信する送信部44を更に備えるようにした。これにより、運搬後に監視対象物100の状態を確認するトレーサビリティに加えて、運搬者は、運搬中も模擬体2の温度を確認することができる。そして、仮に、模擬体2の温度に異常が起きた場合であっても、運搬中に温度の異常を把握でき、この異常事態に対応することが可能となるので、監視対象物100の損傷を未然に防止することができる。
【0050】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0051】
本実施形態では、模擬体2の数は3つであったが、模擬体2の数はこれに限定されない。運搬容器200の区切りがない場合には、模擬体2は1つでよいし、区切りが多数ある場合には、4つ、5つと各区画に対応した数の模擬体2を配置してもよい。また、本実施形態では、ロガー4は、運搬容器200の蓋210に配置したが、模擬体2の温度を収集できるのであれば、運搬容器200の内部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 監視装置
2、2A、2B、2C 模擬体
21 容器
22 キャップ
23 人口血液
24 ケーブル
25 コネクタ
3 温度検出器
4 ロガー
41 計時部
42 制御部
43 記憶部
44 送信部
45 加速度センサ
46 気圧センサ
51 ケーブル
52 コネクタ
6 コーキング剤
7 外部機器
8 RFID
81 RFタグ
82 制御部
83 アンテナ
84 ケーブル
100 監視対象物
200 運搬容器
210 蓋
A 常温
B 冷蔵
C 冷凍