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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
B65D43/08 100
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018069982
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177944
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-10-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】石原 智幸
(72)【発明者】
【氏名】浅川 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】田原 総一郎
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-097419(JP,A)
【文献】国際公開第2000/064771(WO,A1)
【文献】特開2000-238817(JP,A)
【文献】特開2001-122315(JP,A)
【文献】特開2007-269396(JP,A)
【文献】特開2011-011804(JP,A)
【文献】特開2017-159916(JP,A)
【文献】登録実用新案第3119357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に装着され、前記容器本体の上端開口部を閉塞する蓋体と、
前記容器本体に貼付されて前記上端開口部を封止するシール部材と、
を備え、
前記容器本体が、内容物が収容される有底筒状の収容部と、前記収容部を容器軸に交差する外側から囲む被装着筒部と、前記収容部と前記被装着筒部とを接続し、前記シール部材が貼付されるフランジ部と、を有し、
前記蓋体が、前記収容部の上端開口部内に嵌合可能なシール筒部と、前記被装着筒部に装着された装着筒部と、を有し、
前記装着筒部が、前記被装着筒部の嵌合突部にアンダーカット嵌合された第1係止部と、前記第1係止部より上方に位置し、前記被装着筒部の被係止部に下方から係止可能な第2係止部と、を有し、
前記容器本体と前記蓋体との間には、前記容器本体及び前記蓋体が相対的に上下方向に接近移動することを規制し、前記第1係止部が前記嵌合突部にアンダーカット嵌合されかつ前記第2係止部が前記被係止部の上方に位置した状態を保持する保持手段が配設されており、
前記第1係止部が前記嵌合突部から下方に離間しかつ前記第2係止部が前記被係止部に下方から係止した状態で、前記シール筒部が前記収容部の上端開口部内に嵌合されており、
前記被装着筒部には、前記第2係止部を導入する導入溝部が形成されており、
前記導入溝部が、前記容器軸回りの周方向の一方向に向かうにしたがって下方に向けて延在する第1導入部と、前記第1導入部の下端につながっており、前記周方向の前記一方向に延在する第2導入部と、を有することを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記保持手段が、前記被係止部及び前記第2係止部を備え、
前記第2係止部が、前記被係止部の上面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されているような、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、被装着筒部に着脱自在に装着され、容器本体の上端開口部を閉塞する蓋体と、を備えるものが提案されている。このような蓋付き容器の容器本体は、内容物が収容される有底筒状の収容部と、収容部を径方向外側から囲む被装着筒部と、を有し、蓋体は、収容部の内周面に嵌合可能なシール筒部と、被装着筒部に装着される装着筒部と、を有している。そして、装着筒部は、蓋体を容器本体に対して周方向に回転させることによって被装着筒部の被係止部に下方から係止する係止部を有しており、シール筒部は、被係止部を係止部に係止した状態で、収容部の上端開口部内に嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/146997号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような蓋付き容器では、蓋体を容器本体に装着した状態でシール筒部が収容部の内周面に嵌合しており、シール筒部の下端が収容部の上端開口部よりも下方に位置しているため、収容部に上端開口部を封止する例えばフィルム状のようなシール部材を貼付できなかった。これに対して、流通時や陳列時におけるシール性を向上させることへの要望がある。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、流通時や陳列時におけるシール性を向上させた蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の蓋付き容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体に着脱自在に装着され、前記容器本体の上端開口部を閉塞する蓋体と、前記容器本体に貼付されて前記上端開口部を封止するシール部材と、を備え、前記容器本体が、内容物が収容される有底筒状の収容部と、前記収容部を容器軸に交差する外側から囲む被装着筒部と、前記収容部と前記被装着筒部とを接続し、前記シール部材が貼付されるフランジ部と、を有し、前記蓋体が、前記収容部の上端開口部内に嵌合可能なシール筒部と、前記被装着筒部に装着された装着筒部と、を有し、前記装着筒部が、前記被装着筒部の嵌合突部にアンダーカット嵌合された第1係止部と、前記第1係止部より上方に位置し、前記被装着筒部の被係止部に下方から係止可能な第2係止部と、を有し、前記容器本体と前記蓋体との間には、前記容器本体及び前記蓋体が相対的に上下方向に接近移動することを規制し、前記第1係止部が前記嵌合突部にアンダーカット嵌合されかつ前記第2係止部が前記被係止部の上方に位置した状態を保持する保持手段が配設されており、前記第1係止部が前記嵌合突部から下方に離間しかつ前記第2係止部が前記被係止部に下方から係止した状態で、前記シール筒部が前記収容部の上端開口部内に嵌合されており、前記被装着筒部には、前記第2係止部を導入する導入溝部が形成されており、前記導入溝部が、前記容器軸回りの周方向の一方向に向かうにしたがって下方に向けて延在する第1導入部と、前記第1導入部の下端につながっており、前記周方向の前記一方向に延在する第2導入部と、を有することを特徴とする。
【0007】
この発明では、例えば流通時や陳列時の状態では、シール筒部が収容部の上端開口部内に嵌合していないので、シール部材によって収容部の上端開口部を封止できる。このとき、第1係止部が被装着筒部の嵌合突部にアンダーカット嵌合されているので、蓋体が容器本体から容易に離脱されることを抑制すると共に、保持手段が容器本体と蓋体とが相対的に上下方向に接近移動することを抑制できる。
また、シール部材を剥離した後で第2係止部を被係止部に下方から係止させた状態では、シール筒部が収容部の上端開口部内に嵌合するので、容器本体を封止できる。そのため、内容物を複数回に分けて取り出す場合などにおいて、容器本体を再封止できる。このとき、第1係止部が嵌合突部に嵌合されていないが、第2係止部と被係止部とを係止させているので、蓋体が容器本体から容易に離脱されることを抑制している。
これにより、シール部材の剥離後のシール性を維持すると共に、流通、陳列時のシール性を改善することができる。
【0008】
また、本発明では、前記保持手段が、前記被係止部及び前記第2係止部を備え、前記第2係止部が、前記被係止部の上面に配置されていてもよい。
この発明では、第2係止部が被係止部の上面に当接することによって、落下衝撃などの不意の外力や蓋付き容器を積み重ねて陳列、保管したときの荷重のような外力が蓋体に加わっても、蓋体が容器本体に対して下方に移動することを抑制できる。これにより、シール筒部がシール部材を変形させたり判断させたりすることが抑制される。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる蓋付き容器によれば、例えば流通時や陳列時の状態でシール部材によって収容部の上端開口部を封止すると共に、シール部材を剥離した後に第2係止部を被係止部に下方から係止させた状態でシール筒部が収容部の上端開口部内に嵌合しているので容器本体を再封止できる。これにより、シール部材の剥離後のシール性を維持すると共に、流通、陳列時のシール性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態にかかる蓋付き容器を示す軸方向断面図である。
図2図1の容器本体を示す側面図である。
図3図1の蓋体を示す上面図である。
図4図1の容器本体及び蓋体の一部を示す拡大上面図である。
図5図4のA-A矢視断面図である。
図6図4のB-B矢視断面図である。
図7図1の蓋付き容器の使用状態を説明する軸方向断面図である。
図8】本発明の第2実施形態にかかる蓋付き容器を示す軸方向断面図である。
図9図8の容器本体を示す側面図である。
図10図8の蓋体を示す上面図である。
図11図8の容器本体及び蓋体の一部を示す拡大上面図である。
図12】同じく、図8の容器本体及び蓋体の一部を示す拡大上面図である。
図13図8の蓋付き容器の使用状態を説明する軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による蓋付き容器の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態にかかる蓋付き容器1は、図1に示すように、内容物が収容される有底円筒状の容器本体2と、容器本体2に着脱自在に装着され、容器本体2の上端開口部2Aを閉塞する有頂円筒状の蓋体3と、容器本体2に貼付されて上端開口部2Aを封止するシール部材4と、を備える。これら容器本体2及び蓋体3は、熱可塑性樹脂からなるシートを熱成形することにより形成されたシート成形体である。ここで、内容物としては、ドライフルーツやミックスナッツのような固体物、ジャムやマーガリンのような半固体物が挙げられるが、これら固体物や半固体物に限られない。
これら容器本体2及び蓋体3は、それらの中心軸線が同軸上となるように配設されており、以下、容器本体2及び蓋体3の中心軸線Oと称し、図1においてこの容器軸Oに沿う容器本体2側を下方、蓋体3側を上方と称する。また、容器軸Oから見た平面視で中心軸Oに交差する方向を径方向、容器軸O回りで周回する方向を周方向と称する。
【0012】
容器本体2は、図1及び図2に示すように、有底円筒状の収容部11と、収容部11の上端縁から径方向外側に突出する平面視で円環状のフランジ部12と、フランジ部12の外周縁から下方に延在し、収容部11の上端部を径方向外側から囲む円筒状の被装着筒部13と、を有する。これら収容部11、フランジ部12及び被装着筒部13は、容器軸Oと同軸に配設されている。
収容部11の胴部は、下端から上方に向かうにしたがって漸次拡径するように傾斜しており、収容部11の上端部と収容部11のこの上端部よりも下方に位置する部分との接続部分には、段部14が形成されている。収容部11のこの胴部の傾斜角は、上述した段部14を除いて、ほぼ一定となっている。
【0013】
被装着筒部13は、上端がフランジ部12に連設された円筒状の上側筒部21と、上側筒部21の下端に連設された円筒状の下側筒部22と、下側筒部22の下端に連設され、径方向外側に延在する平面視で円環状の嵌合突部23と、を有する。これら上側筒部21、下側筒部22及び嵌合突部23は、容器軸Oと同軸に配設されている。
上側筒部21は、上端から下方に向かうにしたがって漸次拡径するように傾斜している。
【0014】
下側筒部22は、上側筒部21から径方向外側に膨出している。下側筒部22の上面は、上側筒部21の下端から径方向外側に延在し、下側筒部22の外周面は、上下方向に延在している。下側筒部22の上下方向の長さは、フランジ部12と蓋体3の後述する天壁部31との上下方向の間隔よりも長くなっている。また、下側筒部22には、蓋体3の後述する案内突部(第2係止部、保持手段)41Aを導入する導入溝部22Aが周方向に間隔をあけて複数(4本)形成されている。なお、図2では、導入溝部22Aの形状を明確に示すために、図1に示されている導入溝部22Aに対して導入溝部22Aの周方向位置をずらしている。
【0015】
導入溝部22Aは、図1及び図2に示すように、下側筒部22を径方向内側に陥没させることによって形成されており、周方向の一方向に向かうにしたがって下方に向けて延在する第1導入部24Aと、第1導入部24Aの下端に繋がっており、周方向の一方向に延在する第2導入部24Bと、を有する。
【0016】
第1導入部24Aは、上端が上方に開口しており、径方向外端が径方向外側に開口している。第1導入部24Aの周方向の幅は、蓋体3の後述する案内突部41Aの周方向の幅と同等となっている。また、下側筒部22のうち第1導入部24Aが形成されている部分における上端部には、径方向外側に向けて突出する第1引掛突部22Bが形成されている。第1引掛突部22Bは、周方向に延在しており、第1引掛突部22Bの径方向外端は、下側筒部22の外周面よりも径方向内側に位置している。
【0017】
第2導入部24Bの上下方向の長さは、蓋体3の後述する案内突部41Aの上下方向の長さよりも若干長くなっている。また、下側筒部22のうち第2導入部24Bが形成されている部分には、径方向外側に向けて突出する第2引掛突部22Cが形成されている。第2引掛突部22Cは、上下方向に延在しており、第2引掛突部22Cと第2導入部24Bの周方向の一端部との間の周方向の長さは、蓋体3の後述する案内突部41Aの周方向の長さと同等となっている。
なお、例えば図5及び図6にも示されているように、下側筒部22のうち導入溝部22Aの上面を画成する面は、径方向内側に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜しており、下側筒部22のうち導入溝部22Aの内周面を画成する面は、上下方向に延在しており、下側筒部22のうち導入溝部22Aの下面を画成する面は、径方向に延在している。
【0018】
また、下側筒部22は、導入溝部22Aによって、下側筒部22のうち導入溝部22Aよりも上方に位置する部分である被係止部25Aと、導入溝部22Aよりも下方に位置する部分である案内部25Bと、に区画される。被係止部25Aの周方向の一端部は、案内部25Bの周方向の他端部に連なっており、被係止部25Aの周方向の他端部の下面は、周方向の他方向に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜している。また、案内部25Bの周方向の一端部の上面は、周方向の一端部に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜している。
【0019】
嵌合突部23は、図1及び図2に示すように、径方向内側に向かうにしたがって下方に向かうように若干傾斜しており、嵌合突部23の外周縁は、下側筒部22よりも径方向外側に位置している。また、嵌合突部23は、収容部11の段部14よりも若干下方に位置している。
【0020】
蓋体3は、図1及び図3に示すように、平面視で円状の天壁部31と、天壁部31の外周縁に連設された円筒状のシール筒部32と、シール筒部32の上端縁に連設された平面視で円環状の環状接続部33と、環状接続部33の外周縁に連設された円筒状の装着筒部34と、を備える。これら天壁部31、シール筒部32、環状接続部33及び装着筒部34は、容器軸Oと同軸に配設されている。
天壁部31は、シール部材4よりも上方に位置している。
シール筒部32は、下端から上方に向かうにしたがって径方向外側に向かうように傾斜している。シール筒部32の傾斜角は、収容部11の傾斜角よりも若干大きくなっている。また、シール筒部32の上端の径方向位置は、収容部11の上端の径方向位置と同等となっている。シール筒部32の上下方向の中間部分には、径方向外側に突出するシール突部32Aが全周にわたって形成されている。
環状接続部33の外周縁の径方向位置は、下側筒部22の外周縁と同等となっている。
【0021】
装着筒部34は、環状接続部33の外周縁に連設された円筒状の上側部分41と、上側部分41の下端に連設された円筒状の下側部分42と、を有する。これら上側部分41及び下側部分42は、容器軸Oと同軸に配設されている。
上側部分41の下端の上下方向の位置は、下側筒部22の上面と同等となっており、上側部分41の下端部には、径方向内側に向けて突出する案内突部41Aが周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)形成されている。
【0022】
案内突部41Aの周方向の間隔は、導入溝部22Aの上端開口部の周方向の間隔と同等となっている。また、案内突部41Aの上面は、径方向内側に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜しており、案内突部41Aの径方向内面は、上下方向に延在しており、案内突部41Aの下面は、径方向に延在している。案内突部41Aの下面は、下側筒部22の上面に当接している。案内突部41Aの径方向内端は、上側筒部21の下端よりも若干径方向外側に位置しており、案内突部41Aは、例えば図4から図6にも示されているように、下側筒部22の上面または第1引掛突部22Bの上面に当接している。
【0023】
また、上側部分41には、図1及び図3に示すように、径方向内側に陥没する陥没部41Bが周方向に連続して並んで配設されている。陥没部41Bは、上側部分41の上下方向の全長にわたって形成されており、上側部分41が径方向に弾性変形することを抑制する。陥没部41Bの内端の径方向位置は、下側筒部22の外周面の径方向位置と同等となっている。さらに、上側部分41の上下方向の長さは、上側筒部21及び下側筒部22の上下方向の長さと同等となっている。
【0024】
下側部分42の下端部には、径方向内側に向けて突出する係止突部(第1係止部)42Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。係止突部42Aは、径方向に延在しており、嵌合突部23に対してアンダーカット嵌合されている。
【0025】
シール部材4は、例えば合成樹脂フィルムをアルミニウムなどの金属膜で被覆した熱融着性樹脂シートや、樹脂フィルム、紙のシートなどが好適に用いられる。また、シール部材4としてバリア性のあるアルミニウム膜の層を有するアルミ積層フィルムを用いた場合には、内容物を好適に保存することができる。さらに、シール部材4は、接着や、熱溶着、超音波溶着などの各種溶着など、種々の手段を用いて容器本体2のフランジ部12に貼着されている。
【0026】
次に、以上のような構成の蓋付き容器1の使用方法を説明する。
まず、流通時や陳列時など、容器本体2のフランジ部12にシール部材4が貼付された状態では、蓋体3の案内突部41Aが容器本体2の被係止部25Aを含む下側筒部22の上面または第1引掛突部22Bの上面に当接していると共に、係止突部42Aは、下側筒部22の嵌合突部23にアンダーカット嵌合されている。
【0027】
そのため、図4において実線で示された案内突部41A及び図5に示すように、案内突部41Aが下側筒部22の上面に当接した状態で蓋付き容器1を落下させたときの衝撃のような不意の力や蓋付き容器1を積み重ねて陳列、保管したときの荷重などが蓋体3の天壁部31などにかかっても、蓋体3が容器本体2に対して下方に移動することが抑制される。そのため、シール筒部32によってシール部材4を意図せず凹ませるなど変形させたり破断したりすることが抑制される。ここで、案内突部41Aの下面が径方向で傾斜していないので、下側筒部22の上端を乗り越えにくくなっている。
【0028】
また、図4において仮想線で示された案内突部41A及び図6に示すように、導入溝部22Aの上端開口部と案内突部41Aとの周方向で位置合わせされた状態でこのような不意の力や荷重が天壁部31に加わっても、案内突部41Aが第1引掛突部22Bに上方から当接しているので、案内突部41Aが導入溝部22A内に入って蓋体3が容器本体2に対して下方に移動することが抑制される。そのため、上述と同様に、シール部材4を意図せず変形、破断することを抑制する。これにより、案内突部41Aが導入溝部22Aの上端開口部と周方向位置をずらした状態で係止突部42Aを嵌合突部23にアンダーカット嵌合させる必要がなくなり、蓋体3を容器本体2に装着する動作が容易になる。
【0029】
そして、蓋付き容器1を開封するためには、まず、蓋体3を容器本体2から取り外す。蓋体3を容器本体2に対して上方に移動させると、嵌合突部23にアンダーカット嵌合している係止突部42Aが形成されている下側部分42が径方向外側に弾性変形し、係止突部42Aが嵌合突部23を上方へ乗り越える。これにより、蓋体3を容器本体2から取り外す。そして、シール部材4を容器本体2から剥離し、容器本体2を開封する。その後、容器本体2内の内容物を適宜取り出す。
【0030】
さらに、蓋付き容器1を再度封止するためには、蓋体3の案内突部41Aと容器本体2の下側筒部22に形成されている導入溝部22Aの上端開口部とを周方向で位置合わせする。この状態で蓋体3を容器本体2に対して押し込むと、案内突部41Aは、第1引掛突部22Bを乗り越えて導入溝部22Aに進入する。そして、蓋体3を容器本体2に対して周方向の一方向へ回転させると、導入溝部22Aに進入した案内突部41Aは、導入溝部22Aの第1導入部24Aに沿って容器本体2に対して周方向の一方向へ移動しつつ容器本体2に対して下方に移動し、その後、第2導入部24Bに沿って容器本体2に対して周方向の一方向へ移動する。そして、案内突部41Aは、第2引掛突部22Cを周方向の一方向で乗り越え、第2導入部24B内で第2導入部24Bの周方向の一端部と第2引掛突部22Cとの間で周方向に位置決めされる。これにより、案内突部41Aは、被係止部25Aに対して下方から係止する。ここで、使用者は、案内突部41Aが第2引掛突部22Cを乗り越えたときに生ずる振動や音などによって案内突部41Aが被係止部25Aに対してしっかりと係止されたことを認識できる。この際、係止突部42Aは、嵌合突部23から下方に離間している。
【0031】
また、蓋体3が容器本体2に対して下方に移動するにしたがって、シール筒部32は、収容部11の上端開口部内に進入して嵌合される。ここで、シール筒部32のシール突部32Aは、収容部11の上端開口部の内周面に強く当接される。これにより、図7に示すように、容器本体2は、蓋体3によって封止される。ここで、シール筒部32の外周面と収容部11の内周面との嵌合状態は、容器本体2内の内容物が外部に流出しない程度であればよい。
この状態で蓋体3に対して不意の力が加わっても、案内突部41Aが下側筒部22を上下方向で乗り越えることができず、また、案内突部41Aが第2導入部24Bの周方向の一端部と第2引掛突部22Cとによって周方向で位置決めされているので、不意の力が蓋体3にかかることによって蓋体3が容器本体2から取り外されることを抑制している。
【0032】
蓋付き容器1を再度開封するためには、蓋体3を容器本体2に対して周方向の他方向に回転させる。これにより、案内突部41Aは、第2引掛突部22Cを乗り越え、第2導入部24Bに沿って容器本体2に対して周方向の他方向へ移動し、第1導入部24Aに沿って容器本体2に対して周方向の他方向へ移動しつつ上方に移動し、第1引掛突部22Bを乗り越えて導入溝部22Aから抜け出る。このようにして、蓋体3は、容器本体2から再度取り外される。その後、蓋体3は、上述と同様にして容器本体2に装着される。これにより、内容物を複数回に分けて取り出す場合でも、容器本体2を封止できる。
以上のようにして、蓋付き容器1を使用する。
【0033】
以上、本実施形態にかかる蓋付き容器1によれば、例えば流通時や陳列時の状態ではシール筒部32の下端が収容部11の上端開口部2Aよりも上方に位置しているので、シール部材4が収容部11の上端開口部2Aを封止できる。ここで、シール部材4として適切な材料を用いることにより、容器本体2内の内容物を好適に保存できる。また、シール部材4を剥離した後に案内突部41Aを被係止部25Aに下方から係止させた状態ではシール筒部32が収容部11の内周面に嵌合して容器本体2を封止しているので、シール部材4の剥離後のシール性を維持できる。これにより、シール部材4の剥離後のシール性を維持すると共に、流通、陳列時のシール性を改善することができる。
さらに、案内突部41Aが被係止部25Aの上面に当接することによって蓋体3が容器本体2に対して下方に移動することを規制しているので、蓋付き容器1を落下させたときの衝撃などの不意の力や蓋付き容器1を積み重ねたときの荷重のような外力が蓋体3に加わっても、シール筒部32がシール部材4よりも上方に位置している状態をより確実に保持できる。これにより、シール部材4がシール筒部32によって意図せず変形、破断されることを抑制できる。
【0034】
次に、本発明による蓋付き容器の第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図面において上記図面と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0035】
本実施形態にかかる蓋付き容器100は、図8から図10に示すように、容器本体101及び蓋体102を備えており、容器本体101における被装着筒部103の下側筒部104には、第1引掛突部22Bが形成されていない。その替わりに、蓋体102における装着筒部105の上側部分106には、引掛陥没部106Aが周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)形成されている。引掛陥没部106Aは、陥没部41Bの一部(4つ)に替えて設けられており、案内突部41Aとは周方向の位置をずらして形成されている。引掛陥没部106Aの径方向内側への陥没量は、陥没部41Bよりも大きくされている。引掛陥没部106Aの径方向内端は、下側筒部104の上面に当接しているが、案内突部41Aの径方向内端よりは径方向外側に位置している。
【0036】
以上のような構成の蓋付き容器100の使用方法は、上述した第1実施形態にかかる蓋付き容器1の使用方法と同様である。
流通時や陳列時など、容器本体101のフランジ部12にシール部材4が貼付された状態では、蓋体102の案内突部41Aまたは引掛陥没部106Aが容器本体101の下側筒部104の上面に当接している。
そのため、図11に示すように、案内突部41Aが被係止部25Aの上面に当接した状態で不意の力が蓋体102にかかっても、蓋体102が容器本体101に対して下方に移動してシール部材4を意図せず変形、破断することを抑制する。
また、図12に示すように、導入溝部22Aの上端開口部と案内突部41Aと周方向で位置合わせした状態でこのような不意の力が蓋体102に加わっても、引掛陥没部106Aが下側筒部104の上面に当接しているので、案内突部41Aが導入溝部22A内に入って蓋体102が容器本体101に対して下方に移動し、シール部材4が意図せず変形、破断されることを抑制する。
【0037】
その後、シール部材4を剥離した後に、蓋付き容器100を再度封止するために蓋体102を容器本体101に装着する際には、案内突部41Aを導入溝部22Aの上端開口部と周方向で位置合わせした状態で蓋体102を容器本体101に対して下方に移動させる。ここで、引掛陥没部106Aが下側筒部104の上面に当接しているが、引掛陥没部106Aの径方向内端が案内突部41Aの径方向内端よりは径方向外側に位置しているので、蓋体102が容器本体101に対して下方に移動することを阻害しない。以下、図13に示すように、第1実施形態にかかる蓋付き容器1と同様の手順で、蓋付き容器100を再度封止する。
以上のようにして、蓋付き容器100を使用する。
【0038】
以上のように構成された蓋付き容器100によっても、上述した第1実施形態にかかる蓋付き容器1と同様の効果を奏する。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、案内突部は、周方向に間隔をあけて4つ形成されているが、少なくとも1つ形成されていればよく、2、3または5以上形成されてもよい。導入溝部についても同様である。また、導入溝部は、1つのみ形成されている場合において、ネジ溝のように螺旋状をなしてもよい。
導入溝部は、周方向の一方向に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜する第1導入部と周方向に延在する第2導入部とを有しているが、第1導入部が上下方向に延在する構造や、周方向の一方向に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜する第1導入部のみを有する構造など、第1係止部が、蓋体を容器本体に対して周方向に回転させることによって蓋体を容器本体に対して着脱可能な構成であればよい。
被装着筒部には導入溝部が形成されると共に、装着筒部には案内突部が形成されているが、被装着筒部に案内突部を形成すると共に、装着筒部に案内突部を形成してもよい。また、回転させることによって蓋体を容器本体に対して着脱可能な構成であれば、導入溝部と案内突部との組合せに限られない。
第2係止部及び被係止部は、蓋体を容器本体に対して周方向の一方向に回転させて案内突部を導入溝部内に進入させることによって係止されているが、蓋体を容器本体に対して回転させずに係止するように構成されてもよい。
係止突部は、周方向に間隔をあけて複数形成されているが、少なくとも1つ形成されていればよい。
保持手段は、案内突部及び第2係止部によって構成されているが、案内突部とは別の部分によって構成されてもよい。例えば、シール部材及びシール筒部が保持手段として機能してもよい。このとき、第1係止部を嵌合突部に対してアンダーカット嵌合させた状態において意図しない外力が蓋体にかかってシール筒部がシール部材に当接しても、シール部材の弾性変形などによってシール筒部によってシール部材に付与された力に抗することにより、シール部材が破断されることを抑制できる。
第1実施形態にかかる容器本体の構造と第2実施形態にかかる蓋体の構造とを組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態において、蓋体の構造を第2実施形態における蓋体と同様に引掛陥没部を有する構成としてもよい。また、第1実施形態の容器本体は、第1引掛突部が設けられていない構成であってもよく、第2実施形態の蓋体は、引掛陥没部が設けられていない構成であってもよい。また、第1引掛突部や引掛陥没部以外の他の形状であってもよい。
各構成部材の説明において、「円筒状」などと記載しているが、楕円状や、三角形状、矩形状のような他の多角形状など、適宜他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明によれば、流通時や陳列時におけるシール性を向上させた蓋付き容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0041】
1,100 容器、2,101 容器本体、2A 上端開口部、3,102 蓋体、4 シール部材、11 収容部、13,103 被装着筒部、23 嵌合突部、25A 被係止部(保持手段)、32 シール筒部、34,105 装着筒部、41A 案内突部(第2係止部、保持手段)、42A 係止突部(第1係止部)
図1
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図5
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図10
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図13