(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】折れ戸
(51)【国際特許分類】
E06B 1/70 20060101AFI20220708BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20220708BHJP
E06B 7/18 20060101ALI20220708BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20220708BHJP
E06B 7/205 20060101ALI20220708BHJP
E06B 7/14 20060101ALI20220708BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
E06B1/70 Z
E06B3/48
E06B7/18 A
E06B1/32
E06B7/205
E06B7/14
E06B1/18 M
(21)【出願番号】P 2018089764
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】古庄 浩之
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-188908(JP,A)
【文献】実開昭49-106127(JP,U)
【文献】特開2017-180040(JP,A)
【文献】特開2014-005646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部に沿って設置される枠体内に障子が配置され、該障子が折り畳み及び展開されることにより開閉可能とされた折れ戸であって、
前記枠体の下枠は、
屋外側に配置された金属製の屋外側形材と、
屋内側に配置された金属製の屋内側形材と、
前記屋外側形材と前記屋内側形材とを連結し、前記屋外側形材及び前記屋内側形材よりも熱伝導率が低い連結材と、を有し、
前記屋内側形材には、
屋外側に配置された屋外側壁部、屋内側に配置された屋内側壁部及び前記屋外側壁部の下端部と前記屋内側壁部の下端部とを連結する底部から形成され、下方に凹む溝部と、
前記障子の下端部と当接して該障子の下端部と前記下枠との間の隙間を閉塞する気密部と、が設けられ、
前記連結材は、前記溝部の外方に配置され、
前記屋外側壁部には、水を排水可能な排水孔が形成され、
該排水孔は、前記連結材よりも上方に配置され、
前記排水孔には、逆止弁が設けられ
、
前記連結材の屋内側及び屋外側には、それぞれにホローが形成され、
前記ホローはひとつの部材で構成されていることを特徴とする折れ戸。
【請求項2】
前記屋内側壁部は、前記障子の下端部における前記気密部と当接可能な当接面よりも屋内側に配置されている請求項1に記載の折れ戸。
【請求項3】
前記気密部は、前記障子の下端部と前記下枠との間の前記隙間を閉塞するシール位置と、前記隙間を開放する開放位置との間を移動可能とされるとともに、前記開放位置で前記溝部に収容されている請求項1または2に記載の折れ戸。
【請求項4】
前記連結材の少なくとも一部は、前記障子の前記当接面よりも屋外側に配置されている請求項2に記載の折れ戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折れ戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の開口に設置され建具には、障子と枠体との間に生じる隙間を閉塞するシール部材が設けられている。例えば、下記の特許文献1には、障子の下端部と下枠との間の隙間を閉塞可能な回転シール体が設けられた折れ戸が提案されている。下枠には、折れ戸が開いた際に、回転シール体を収容可能な溝部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の折れ戸のように溝部が形成された下枠では、雨水が屋内側に浸入したり、結露水が屋内側で発生したりすると、水が溝部に溜まってしまうという問題点がある。
また、下枠が金属製の場合、外気の冷気が下枠を伝って屋内側に伝達されるため、断熱性が悪いという欠点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋内側の水を排水可能であるとともに、高い断熱性を有する折れ戸を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る折れ戸は、建築物の開口部に沿って設置される枠体内に障子が配置され、該障子が折り畳み及び展開されることにより開閉可能とされた折れ戸であって、前記枠体の下枠は、屋外側に配置された金属製の屋外側形材と、屋内側に配置された金属製の屋内側形材と、前記屋外側形材と前記屋内側形材とを連結し、前記屋外側形材及び前記屋内側形材よりも熱伝導率が低い連結材と、を有し、前記屋内側形材には、屋外側に配置された屋外側壁部、屋内側に配置された屋内側壁部及び前記屋外側壁部の下端部と前記屋内側壁部の下端部とを連結する底部から形成され、下方に凹む溝部と、前記障子の下端部と当接して該障子の下端部と前記下枠との間の隙間を閉塞する気密部と、が設けられ、前記連結材は、前記溝部の外方に配置され、前記屋外側壁部には、水を排水可能な排水孔が形成され、該排水孔は、前記連結材よりも上方に配置され、前記排水孔には、逆止弁が設けられ、前記連結材の屋内側及び屋外側には、それぞれ少なくとも1つのホローが形成され、前記ホローはひとつの部材で構成されていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された折れ戸では、気密部(気密材)が障子の下端部と当接することにより、障子の下端部と下枠との間の隙間が閉塞される。溝部を形成する屋外側壁部には、水を排水可能な排水孔が形成されている。これにより、屋内側に浸入した雨や、屋内側で発生した結露水等の水は、溝部の排水孔を通過する。排水孔は連結材よりも上方に配置されているため、連結材が排水孔を通過した水の支障となることなく、屋内側の水は屋外に排水される。
また、金属製の屋外側形材と金属製の屋内側形材との間には、屋外側形材及び屋内側形材よりも熱伝導率が低い連結材が配置されている。よって、連結材が屋外側形材と屋内側形材との間の熱伝達を絶縁するため、断熱性を高めることができる。
【0008】
また、本発明に係る折れ戸では、前記屋内側壁部は、前記障子の下端部における前記気密部と当接可能な当接面よりも屋内側に配置されていることが好ましい。
【0009】
このように構成された折れ戸では、溝部を形成する屋内側壁部は、障子の下端部における気密部と当接可能な当接面よりも屋内側に配置されている。よって、障子よりも屋内側の水を溝部の排水孔を通過させて、屋外側に排水することができる。
【0010】
また、本発明に係る折れ戸では、前記気密部は、前記障子の下端部と前記下枠との間の前記隙間を閉塞するシール位置と、前記隙間を開放する開放位置との間を移動可能とされるとともに、前記開放位置で前記溝部に収容されていることが好ましい。
【0011】
このように構成された折れ戸では、気密部は開放位置で溝部に収容されるため、障子が開いた状態で、下枠に設けられた気密部が歩行等の妨げ等になることがない。
【0012】
また、本発明に係る折れ戸では、前記連結材の少なくとも一部は、前記障子の前記当接面よりも屋外側に配置されていてもよい。
【0013】
このように構成された折れ戸では、連結材の少なくとも一部は障子の当接面よりも屋外側に配置されているため、気密材よりも屋内側部分の断熱性が高められる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る折れ戸によれば、屋内側の水を排水可能であるとともに、高い断熱性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る折れ戸を屋内側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る折れ戸の横断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る折れ戸の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る折れ戸について、
図1から
図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る折れ戸を屋内側から見た斜視図である。
図1に示すように、折れ戸100は、建築物の開口部に設けられ、四角形枠状に形成された枠体1と、枠体1に開閉可能に設けられた2枚の障子2と、を備えている。折れ戸100は、各障子2が折り畳み及び展開されることにより開閉可能とされている。本実施形態では、枠体1内に2枚の障子2が配置されているが、障子2の枚数は適宜設定可能である。
なお、以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。また、開口部が建築物の壁部を貫通する方向(壁部に対向する方向)から見た際の左側と右側を結ぶ水平方向を左右方向と称する。
【0017】
図2は、折れ戸100の横断面図である。
図3は、折れ戸100の縦断面図である。
図2及び
図3に示すように、枠体1は、屋外側に配置されアルミ合金等の金属材料で形成された金属枠1Aと、屋内側に配置され合成樹脂材料で形成された樹脂枠1Xと、が連結されて構成されている。
【0018】
枠体1は、左右方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の左右方向の両端部と下枠12の左右方向の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠13と、を有している。
【0019】
図3に示すように、上枠11の金属枠1Aは、屋外側に配置された外側金属上枠部11Aと、屋内側に配置された内側金属上枠部11Bと、を有している。
【0020】
外側金属上枠部11Aと内側金属上枠部11Bとは、外側金属上枠部11A及び内側金属上枠部11Bよりも熱伝導率が低い材料で形成されたブリッジ材11Cを介して連結されている。ブリッジ材11Cは、熱伝導率が低い樹脂材料やゴム等で形成されている。
【0021】
下枠12の金属枠1Aは、屋外側に配置された外側金属下枠部(屋外側形材)12Aと、屋内側に配置された内側金属下枠部(屋内側形材)12Bと、を有している。
【0022】
外側金属下枠部12Aと内側金属下枠部12Bとは、外側金属下枠部12A及び内側金属下枠部12Bよりも熱伝導率が低い材料で形成されたブリッジ材(連結材)12Cを介して連結されている。換言すると、外側金属下枠部12Aと内側金属下枠部12Bとの間には、ブリッジ材12C以外の部材が配置されていない。ブリッジ材12Cは、熱伝導率が低い樹脂材料やゴム等で形成されている。
【0023】
図1に示すように、各障子2は、一対の戸体2Dと、戸体2Dどうしを連結する連結框3と、を有している。
【0024】
各戸体2Dは、四角形状に形成された框体20と、框体20内に嵌め込まれたガラス29と、を有している。
【0025】
図2及び
図3に示すように、框体20は、左右方向に延在する上框21及び下框22と、上框21の左右方向の両端部と下框22の左右方向の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦框23と、を有している。
【0026】
図3に示すように、各縦框23(
図2参照。以下同じ。)の上端部には、吊車(不図示。以下同じ。)が上方に突出して設けられている。吊車は、上枠11に設けられた左右方向に延びる吊レール110上に係合され、吊レール110に沿って走行可能とされている。このように、本実施形態の折れ戸100は、障子2の上端部が上枠11に支持された所謂上吊りの構成とされている。
【0027】
縦框23のうち連結框3側と反対側の縦框23の下端部には、ガイドローラ(不図示。以下同じ。)が下方に突出して設けられている。ガイドローラは、下枠12に設けられた左右方向に延びるガイド溝G3に挿入されて、ガイド溝G3に案内されて左右方向に移動可能とされている。
【0028】
図1に示すように、連結框3は、一対の戸体2Dの一端部(隣り合う戸体2D側の端部)どうしを連結している。連結框3には、上下方向に延びるヒンジ軸31(
図2参照。以下同じ。)が設けられている。戸体2Dは、ヒンジ軸31回りに回動可能とされている。
【0029】
連結框3の屋内側には、ハンドル32が設けられている。
図3に示すように、連結框3内の中空部3s(
図2参照。以下同じ。)には、ロック部材33が設けられている。ロック部材33は、ハンドル32(
図2参照。以下同じ。)と不図示の連動機構を介して連結され、ハンドル32の操作と連動して上下方向に移動可能に構成されている。
【0030】
ロック部材33の下端部には、下方に突出するロック部33a及び押圧部33bが設けられている。ハンドル32の操作(ロック操作)により、ロック部材33が連結框3の中空部3s内を下方に移動し、ロック部33aが下枠12のガイド溝G3内に挿入される。これにより、戸体2Dが閉状態でロックされる。また、ハンドル32の操作(ロック解除操作)により、ロック部材33が連結框3の中空部3s内を上方に移動し、ロック部33aが下枠12のガイド溝G3から抜け出される。これにより、戸体2Dのロックが解除される。連結框3の上端部には、上枠11に設けられた左右方向に延びる吊レール110に挿入可能なロッドガイド34が設けられている。
【0031】
次に、下枠12及び下枠12に設けられた回転シール体40の構成について詳細に説明する。
図4は、
図3の下部の拡大図である。
図4に示すように、下枠12の外側金属下枠部12Aは、中段板部121と、下段板部122と、下部外側板部123と、内側板部124と、外側溝構成板部127と、上部外側板部128と、上段板部129と、を有している。
【0032】
中段板部121は、板状に形成されている。中段板部121は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0033】
中段板部121の上面には、溝構成部材160が設けられている。溝構成部材160は、固定板部161と、内側溝構成板部162と、を有している。溝構成部材160は、下枠12の延在方向(左右方向)の略全長にわたって設けられている。
【0034】
固定板部161は、板状に形成されている。固定板部161は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。固定板部161は、中段板部121に螺子止めされている。
【0035】
内側溝構成板部162は、固定板部161から立設されている。内側溝構成板部162は、板状に形成されている。内側溝構成板部162は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0036】
内側溝構成板部162の下部には、屋内外方向に貫通する排水孔162hが形成されている。本実施形態では、排水孔162hは、下枠12の左右方向の両端部近傍に形成されている。
【0037】
下段板部122は、板状に形成されている。下段板部122は、中段板部121の下方に配置されている。下段板部122は、屋外側の方が屋内側よりも下方に配置されるように傾斜している。
【0038】
下部外側板部123は、中段板部121の屋外側の端部と下段板部122の屋外側の端部とを連結している。下部外側板部123は、板状に形成されている。下部外側板部123は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0039】
内側板部124は、中段板部121の屋内側の端部と下段板部122の屋内側の端部とを連結している。内側板部124は、板状に形成されている。中段板部121の屋内側の端部は、下段板部122の屋内側の端部よりも屋外側に配置されている。このため、内側板部124は、上方に向かうにしたがって次第に屋外側に向かうように傾斜して配置されている。
【0040】
内側板部124には、屋内側に向かって突出する一対の突起部124a,124bが形成されている。突起部124a,124bは、上下方向に離間して配置されている。
【0041】
外側溝構成板部127は、中段板部121の屋内外方向の中間から上方に立設されている。外側溝構成板部127は、内側溝構成板部162よりも屋外側に配置されている。外側溝構成板部127は、板状に形成されている。外側溝構成板部127は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0042】
外側溝構成板部127の下部には、屋内外方向に貫通する排水孔127hが形成されている。本実施形態では、排水孔127hは、下枠12の左右方向の両端部近傍に形成されている。
【0043】
上部外側板部128は、中段板部121の屋外側の部分から上方に立設されている。上部外側板部128は、板状に形成されている。上部外側板部128は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0044】
上部外側板部128の下部には、屋内外方向に貫通する排水孔128hが形成されている。本実施形態では、排水孔128hは、下枠12の左右方向の両端部近傍に形成されている。排水孔128hには、屋内側から屋外側への排水を可能な排水カバー138が設けられている。
【0045】
上段板部129は、外側溝構成板部127の上端部と上部外側板部128の上端部とを連結している。上段板部129は、板状に形成されている。上段板部129は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上段板部129の屋外側の部分は、屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向かうようにわずかに傾斜している。
【0046】
中段板部121、下部外側板部123、下段板部122及び内側板部124により、左右方向に延在する下部ホローS1が形成されている。上段板部129、上部外側板部128、中段板部121及び外側溝構成板部127により、左右方向に延在する上部ホローS2が形成されている。下部ホローS1及び上部ホローS2は、下枠12の延在方向(左右方向)の略全長にわたって形成されている。
【0047】
下枠12の内側金属下枠部12Bは、筒状に形成された筒状部140を有している。筒状部140の内部には、左右方向に延在する屋内側ホローS3が形成されている。屋内側ホローS3は、下枠12の延在方向(左右方向)の略全長にわたって形成されている。
【0048】
筒状部140は、底板部141と、シール支持板部142と、立設壁部143と、折曲壁部144と、一対の係止壁部145,146と、傾斜板部147と、下部壁部148と、を有している。
【0049】
底板部141は、板状に形成されている。底板部141は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0050】
シール支持板部142は、底板部141の屋外側の端部から上方に立設されている。シール支持板部142は、板状に形成されている。シール支持板部142は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0051】
シール支持板部142の上端部には、屋内外方向且つ上下方向に沿う断面が略円形状の回動軸部142aが設けられている。回動軸部142aは、左右方向に延びている。
【0052】
シール支持板部142の下部には、屋内外方向に貫通する排水孔142hが形成されている。本実施形態では、排水孔142hは、下枠12の左右方向の両端部近傍に形成されている。排水孔142hには逆止弁132が設けられ、水の逆流(屋内側への浸入)が抑制されている。
【0053】
立設壁部143は、底板部141の屋内側の端部から上方に立設されている。折曲壁部144は、立設壁部143の上端部から屋内側に向かって延びている。
【0054】
一対の係止壁部145,146は、折曲壁部144から上方に立設され、屋内外方向に離間して配置されている。係止壁部145,146に下枠12の樹脂枠1Xが係止されている。係止壁部145は、係止壁部146よりも屋外側に配置されている。
【0055】
傾斜板部147は、底板部141の屋内側の端部から斜め下方に延びるように設けられている。傾斜板部147は、下方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜して配置されている。
【0056】
下部壁部148は、傾斜板部147の下端部と折曲壁部144の屋内側の端部とを連結している。
【0057】
傾斜板部147には、屋外側に向かって突出する一対の突起部147a,147bが形成されている。突起部147a,147bは、上下方向に離間して配置されている。
【0058】
下枠12のブリッジ材12Cは、外側金属下枠部12Aの内側板部124と、内側金属下枠部12Bの傾斜板部147との間に挟み込まれている。ブリッジ材12Cは、外側金属下枠部12Aの一対の突起部124a,124b及び内側金属下枠部12Bの一対の突起部147a,147bに係止されている。
【0059】
下方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜して配置された傾斜板部147の屋外側を向く面に沿ってブリッジ材12Cが配置され、傾斜板部147の上端部から上方に立設されたシール支持板部142に排水孔142hが形成されているため、排水孔142hはブリッジ材12Cの上方に配置されている。
【0060】
下枠12には、シール支持板部142と立設壁部143及び係止壁部145との間に、後述する回転シール体40を収容可能なシール溝(溝部)G1が形成されている。詳細には、シール溝G1は、シール支持板部142、底板部141、立設壁部143及び係止壁部145で形成されている。シール溝G1は、下方に凹む形状をなしている。シール溝G1の外方(溝の外)に、ブリッジ材12Cが配置されている。
【0061】
シール支持板部142が、シール溝G1の屋外側の壁部(屋外側壁部)g11を形成している。底板部141が、シール溝G1の底部g12を形成している。立設壁部143及び係止壁部145が、シール溝G1の屋内側の壁部(屋内側壁部)g13を形成している。
【0062】
下枠12には、溝構成部材160の内側溝構成板部162とシール支持板部142との間に、ロック部材33の押圧部33bが配置される挿入溝G2が形成されている。詳細には、挿入溝G2は、内側溝構成板部162、溝構成部材160の固定板部161、内側板部124の突起部124a、ブリッジ材12Cの上面、傾斜板部147の突起部147a及びシール支持板部142で形成されている。挿入溝G2は、下方に凹む形状をなしている。
【0063】
下枠12には、外側溝構成板部127と溝構成部材160の内側溝構成板部162との間に、ガイドローラ及びロック部材33のロック部33aが挿入されるガイド溝G3が形成されている。詳細には、ガイド溝G3は、外側溝構成板部127、溝構成部材160の固定板部161及び内側溝構成板部162で形成されている。ガイド溝G3は、下方に凹む形状をなしている。
【0064】
回転シール体40は、下枠12に回動可能に設けられている。
図1に示すように、本実施形態では、一対の回転シール体40が隣接配置され、下枠12の延在方向(左右方向)の略全長にわたって設けられている。
【0065】
図4に示すように、回転シール体(気密部)40は、内周部材41と、外周部材42と、シール部材43と、を有している。
【0066】
内周部材41は、屋内外方向且つ上下方向に沿う断面で略扇状をなしている。内周部材41は、回動軸部142aから延び、回動軸部142aから離間するにしたがって次第に互いに離間するように形成された一対の延出部411を有している。延出部411における回動軸部142a側と反対側の部分どうしは内周側湾曲部412で連結されている。
【0067】
一対の延出部411における内周側湾曲部412と反対側の端部には、軸受け部413が設けられている。軸受け部413は、回動軸部142a回りに回動可能に設けられている。
【0068】
軸受け部413の外周面に沿って、被押圧部414が設けられている。障子2が開いた開状態では、回転シール体40は
図4に二点鎖線で示す開放位置A1に配置され、軸受け部413は屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように配置されている。障子2が閉じた閉状態では、回転シール体40は
図4に実線で示すシール位置A2に配置され、軸受け部413は鉛直下方に向かって配置されている。
【0069】
外周部材42は、回動軸部142aを中心とする周方向において、内周部材41の内周側湾曲部412の外周側に設けられている。外周部材42は、内周部材41の内周側湾曲部412の外周側に沿う外周側湾曲部421を有している。外周側湾曲部421と内周側湾曲部412とは係止され、連結されている。
【0070】
シール部材43は、障子2の閉状態で、内周部材41における障子2に近接する側に係止されている。シール位置A2で、シール部材43は、障子2の下框22に当接している。
【0071】
上記の回転シール体40は、開状態では、回転シール体40の自重により、外周側湾曲部421側を下方に向けるように配置されている。回転シール体40は、下枠12のシール溝G1に収容され、開放位置に配置されている。開放位置では、障子2の下端部と下枠12との間の隙間Tは開放されている。
【0072】
この状態で、ハンドル32を操作(ロック操作)して、ロック部材33が下方に移動すると、押圧部33bが回転シール体40の被押圧部414に当接する。ロック部材33がさらに下方に移動すると、押圧部33bから被押圧部414に作用する押圧力により、回転シール体40は下枠12の回動軸部142aを中心に回動しシール溝G1から突出して、シール位置A2に配置される。シール位置A2では、回転シール体40のシール部材43の屋外側を向く面43aが障子2の下框22の屋内側を向く面(当接面)22aに当接し、障子2の下端部と下枠12との間の隙間Tを塞いでいる。
【0073】
シール位置A2では、シール部材43の面43a及び下框22の面22aに沿って、略鉛直面に沿う気密ラインLが形成されている。
【0074】
シール溝G1の少なくとも一部は、気密ラインLよりも屋内側に配置されている。本実施形態では、シール溝G1のシール支持板部142の屋内側を向く面が、気密ラインLに概ね沿うように配置されている。
【0075】
ブリッジ材12Cは、気密ラインL上(気密ラインLの鉛直下方)に配置されている。ブリッジ材12Cの少なくとも一部は、気密ラインLよりも屋外側に配置されている。本実施形態では、ブリッジ材12Cのほとんどの部分が気密ラインLよりも屋外側に配置されている。
【0076】
シール溝G1内に浸入した雨水や屋内側で発生した結露水等の水は、シール支持板部142の排水孔142hを通過して挿入溝G2内に進む。次に、水は、内側溝構成板部162の排水孔162hを通過してガイド溝G3内に進み、外側溝構成板部127の排水孔127hを通過して上部ホローS2内に進み、上部外側板部128の排水孔128hから屋外に排水される(
図4に示す二点鎖線B1参照)。
【0077】
このように構成された折れ戸100では、回転シール体40のシール部材43が障子2の下端部と当接することにより、障子2の下端部と下枠12との間の隙間Tが閉塞される。シール溝G1を形成する屋外側の壁部g11(シール支持板部142)には、排水孔142hが形成されている。これにより、屋内側に浸入した雨や、屋内側で発生した結露水等の水は、シール溝G1の排水孔142hを通過する。排水孔142hはブリッジ材12Cよりも上方に配置されているため、ブリッジ材12Cが排水孔142hを通過した水の支障となることなく、屋内側の水は屋外に排水される。
【0078】
また、シール溝G1を形成する屋内側の壁部g13は、気密ラインLよりも屋内側に配置されている。シール溝G1を形成する屋外側の壁部g11(シール支持板部142)には、排水孔142hが形成されている。よって、気密ラインLよりも屋内側の水をシール溝G1の排水孔142hを通過させて、屋外側に排水することができる。
【0079】
水が気密ラインLを超えて屋内側に浸入し、シール溝G1に水が溜まってしまうと、開放位置の回転シール体40がシール溝G1に溜まった水で浮いてしまい、回転シール体40がシール溝G1に収容できない場合がある。本実施形態では、シール溝G1の壁部g11(シール支持板部142)の排水孔142hから水を排水できるため、回転シール体40をシール溝G1内に確実に収容することができる。
【0080】
また、金属製の外側金属下枠部12Aと金属製の内側金属下枠部12Bとの間には、外側金属下枠部12A及び内側金属下枠部12Bよりも熱伝導率が低い材料で形成されたブリッジ材12Cが配置されている。よって、ブリッジ材12Cが外側金属下枠部12Aと内側金属下枠部12Bとの間の熱伝達を絶縁するため、断熱性を高めることができる。
【0081】
また、回転シール体40は開放位置でシール溝G1に収容されるため、障子2が開いた状態で、下枠12に設けられた回転シール体40が歩行等の妨げ等になることがない。
【0082】
また、シール溝G1に溜まった水は、挿入溝G2及びガイド溝G3それぞれに溜まった水と合流して排水される。よって、溝G1,G2,G3の排水経路をそれぞれ別々に設けるよりも、排水経路を効率的にまとめることができる。
【0083】
また、外側金属下枠部12Aと内側金属下枠部12Bとをブリッジ材12Cで連結する際には、外側金属下枠部12Aの内側板部124と内側金属下枠部12Bの傾斜板部147との間にブリッジ材12Cを挟み込。斜め上下方向からローラーでブリッジ材12Cを押さえつけ、突起部124a,124b,147a,147bをブリッジ材12Cにかしめる。本実施形態では、外側金属下枠部12Aに溝構成部材160を螺子止めする構成であるため、溝構成部材160を外側金属下枠部12Aに取り付ける前に、ローラーを外側溝構成板部127とシール支持板部142との間の空間に挿入することができる。よって、外側溝構成板部127とシール支持板部142との間にローラーを配置する空間を確保できるため、ブリッジ材12Cを取り付ける際の作業性が良い。
【0084】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0085】
例えば、上記に示す実施形態では、気密部は下枠12に回動可能に設けられた回転シール体40であるが、本発明はこれに限られない。気密部は下枠12に上下方向に移動可能とされ障子2の閉状態で上方に突出して障子2と当接可能な構成や、下枠12に(移動不能に)固定された構成であってもよい。
【0086】
また、上記に示す実施形態では、溝部は回転シール体40が収容可能なシール溝G1であるが、本発明はこれに限られない。障子2の屋内側に網戸(不図示)が設けられ、溝部に網戸の下端部が配置される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…枠体
1A…金属枠
1X…樹脂枠
2…障子
2D…戸体
3…連結框
11…上枠
12…下枠
12A…外側金属下枠部(屋外側形材)
12B…内側金属下枠部(屋内側形材)
12C…ブリッジ材(連結材)
13…縦枠
20…框体
22a…面(当接面)
32…ハンドル
33…ロック部材
33a…ロック部
33b…押圧部
40…回転シール体(気密部)
43…シール部材
100…折れ戸
142a…回動軸部
142h…排水孔
414…被押圧部
A1…開放位置
A2…シール位置
G1…シール溝(溝部)
G2…挿入溝
G3…ガイド溝
g11…シール溝(溝部)G1の屋外側の壁部(屋外側壁部)
g12…底部
g13…シール溝(溝部)G1の屋内側の壁部(屋内側壁部)
L…気密ライン
S1…下部ホロー
S2…上部ホロー
S3…屋内側ホロー
T…隙間