(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20220708BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20220708BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220708BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220708BHJP
【FI】
F21S8/02 420
F21V29/74
F21V17/00 250
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2018093419
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 喬太
(72)【発明者】
【氏名】田辺 快全
(72)【発明者】
【氏名】大野 彰久
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041333(JP,A)
【文献】特開2014-137959(JP,A)
【文献】特開2018-073496(JP,A)
【文献】特開2013-214530(JP,A)
【文献】特開2005-268001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 29/74
F21V 17/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部が取り付けられたヒートシンクと、
爪部と、突起部を有する引っ掛け部とを有し、前記ヒートシンクに取り付けられたカバー部と、
前記爪部が挿し込まれた第1穴が形成された第1穴形成部と、前記引っ掛け部の前記突起部が挿し込まれた第2穴が形成されていると共に元の形状に戻ろうとする前記引っ掛け部の弾性力によって前記第2穴の周辺が前記引っ掛け部によって押圧される第2穴形成部とを有し、前記光源部から照射される光の照射角度を制御する枠部と、
を備え
、
前記カバー部は、
樹脂による一体成形品であり、
前記光源部は、
発光素子が実装された基板を備え、
前記第1穴と、前記第2穴とは、
前記基板の法線の方向を高さとした場合、同じ高さに位置する照明器具。
【請求項2】
前記枠部は、
前記カバー部の前記爪部を前記第1穴形成部の前記第1穴に挿し込むことで前記爪部に前記第1穴形成部を引っ掛けた後に、前記第2穴形成部を前記引っ掛け部に向かって回動可能である請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記枠部は、
樹脂による一体成形品である請求項1
または請求項
2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダウンライトのような埋め込み照明器具において、発光部が取り付けられたヒートシンクと、発光部の配光を制御する反射枠を備えている照明器具がある。
例えば、特許文献1の照明器具は、ヒートシンクに取り付け補助部材を装着し、取り付け補助部材を介して反射枠がヒートシンクに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明器具は、補助部材が複数の部材から構成されているので、補助部材を組み立てる工程が必要になる。また、専用部品としての補助部材が必要になる。また、組み立ての際の部材の位置ズレにより反射枠が着脱しにくくなるおそれもある。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、反射枠の着脱が容易にできる照明器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の照明器具は、
光源部が取り付けられたヒートシンクと、
爪部と、突起部を有する引っ掛け部とを有し、前記ヒートシンクに取り付けられたカバー部と、
前記爪部が挿し込まれた第1穴が形成された第1穴形成部と、前記引っ掛け部の前記突起部が挿し込まれた第2穴が形成されていると共に元の形状に戻ろうとする前記引っ掛け部の弾性力によって前記第2穴の周辺が前記引っ掛け部によって押圧される第2穴形成部とを有し、前記光源部から照射される光の照射角度を制御する枠部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明の照明器具は、爪部と、突起部を有する引っ掛け部とを有し、ヒートシンクに取り付けられたカバー部を有するので、反射枠の着脱が容易にできる照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施の形態1の図で、照明装置の下方向Z2からみた斜視図。
【
図3】実施の形態1の図で、照明装置の分解斜視図。
【
図4】実施の形態1の図で、照明装置の詳細な分解斜視図。
【
図5】実施の形態1の図で、ヒートシンクの斜視図。
【
図6】実施の形態1の図で、ヒートシンクの平面図。
【
図7】実施の形態1の図で、電線カバー部の斜視図。
【
図8】実施の形態1の図で、電線カバー部が取り付けられたヒートシンクの斜視図。
【
図11】実施の形態1の図で、カバー部の別の斜視図。
【
図13】実施の形態1の図で、電源装置の下方向Z2からみた斜視図。
【
図14】実施の形態1の図で、電源装置の下方向Z2からみ分解斜視図。
【
図15】実施の形態1の図で、電源装置の上方向Z1からみ分解斜視図。
【
図17】実施の形態1の図で、電源装置の距離Lと光源の温度との関係を示す図。
【
図18】実施の形態1の図で、枠部のカバー部への取り付けを示す組み立て図。
【
図19】実施の形態1の図で、照明装置の施工方法を示す図。
【
図20】実施の形態1の図で、背の高い照明器具を示す図。
【
図21】実施の形態1の図で、カバー部の変形例を示す図。
【
図22】実施の形態1の図で、ヒートシンクの変形例を示す斜視図。
【
図23】実施の形態1の図で、ヒートシンクの変形例の平面図。
【
図25】実施の形態1の図で、アルミ材料の放熱性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0010】
実施の形態1.
***構成の説明***
実施の形態1の照明装置1の構成を説明する。実施の形態1では、天井のような被取付部に設けられた取付穴に収容される照明器具に関して説明をおこなう。例えば、この照明器具はダウンライトである。
【0011】
実施の形態1の特徴は、特に、カバー部230、ヒートシンク100及び電源装置20にある。
図1は、照明装置1の斜視図である。
図2は、照明装置1の下方向Z2からみた斜視図である。
図3は、照明装置1の分解斜視図である。
図4は、さらに詳細な、照明装置1の分解斜視図である。
【0012】
照明装置1は、被取付部に設けられた照明器具10と、照明器具10に回動できるように取り付けられる電源装置20とを備えている。照明装置1から電源装置20を除いた部分を照明器具10と呼ぶ。
図4に示すように、照明器具10は、ヒートシンク100、カバー部230を有する光源部200、及び枠部300を備えている。
【0013】
(ヒートシンク100)
図5は、ヒートシンク100の斜視図である。
図6は、ヒートシンク100の平面図である。
図5、
図6に示すように、ヒートシンク100は、板状のベース部110と、ベース部110から立ち上がるフィン部120と、電源保持部130と、コード保持部140とを備えている。また、ヒートシンク100は、プレス成型により形成されており、プレス成型で一体成形することができる。プレス成型は、例えば冷間鍛造である。プレス成型を用いることで、アルミ含有率の高い(例えば、99wt%以上)材料を、ヒートシンク100に用いることができる。
【0014】
(ベース部110)
ベース部110は、板状体である。ベース部110は光源部200が取り付けられる。ベース部110の一方の面は、光源部200が取り付けられる光源取付面111である。光源取付面111の裏面である他方の面は、フィン部120が立ち上がるフィン配設面112である。
また、ヒートシンク100は、フィン配設面112に、ベース部110の中心部分から筒状に突設する筒部113を有している。筒部113は、光源取付面111に取り付けられる光源部200の背面に対向する位置に設けられている。
【0015】
(フィン部120)
フィン部120を説明する。フィン部120は、フィン主部121、フィン分岐部122、端部フィン123を有する。
図6に示すように、ヒートシンク100は6つのフィン部120を有する。
実施の形態1のヒートシンク100は6つのフィン部120を有するが、フィン部120の数は6つに限定されない。ヒートシンク100は複数のフィン部120を有する。複数のフィン部120は、光源部200との間にベース部110が位置するように配置されている。各フィン部120は、フィン主部121と複数のフィン分岐部122を有する。
図6では3つのフィン分岐部122が分岐しているが、4つ以上が分岐してもよい。フィン分岐部122は折れ部125で折れ曲がっている形状である。フィン主部121は、ベース部110から立ち上がる板状をなすと共に立ち上がり方向120aに沿う一方の側部121aと、立ち上がり方向120aに沿う他方の側部121bとを有する。各フィン分岐部122は、フィン主部121の他方の側部121bの第1の分岐箇所126aから分岐し、一方の側部121aから他方の側121bの方向へ向かうに従って互いに離れるように延びる。また、フィン分岐部122は、離れるように延びる方向の端の第2の分岐箇所126bから分岐する複数の端部フィン123を有する。
図6では2つの端部フィン123が分岐しているが、3つ以上が分岐してもよい。
図6では14個のフィン分岐部122の端に端部フィン123が形成されているが、少なくとも一つのフィン分岐部122の端に複数の端部フィン123が形成されればよい。また、
図6では2つの端部フィン123が分岐しているが、分岐する端部フィン123の数は3つ以上でもよい。
【0016】
フィン部120は、フィン配設面112から略垂直方向へ立ち上がるように設けられており、フィン配設面112の中央部分から放射状に形成されている。フィン部120は、フィン配設面112にて、筒部113から外側に向かって放射状に設けられている。フィン部120は、フィン主部121に対して分岐するフィン分岐部122を有していることで放熱面積を増やすことができる。フィン分岐部122の端部は端部フィン123が形成されているので、端部フィン123のぶん放熱面積が増える。つまり、フィン分岐部122の外側面だけでなく端部フィン123の内側面123aからも放熱することができるので放熱効率が増す。また、フィン部120は、端部フィン123により放熱効率を向上させることができることで、フィン配設面112から突出するフィン部120の数を低減でき、この低減の結果、放熱しやすいように隣接するフィン部120どうしの間を大き目に設けることができる。隣接するフィン部120どうしの間は、例えば5mmほどである。この5mmほどの隣接するフィン部120どうしの間は後述する
図24に示す距離L2の長さである。フィン主部121からフィン分岐部122を設けることで、ベース部110の中央側にて、隣接するフィン主部121どうしの端部の間隔をあけることができる。
【0017】
(電源保持部130)
ヒートシンク100は、光源部200に電力を供給する電源装置20が電源保持部130に取り付けられる。電源保持部130は、フィン配設面112から略垂直方向へ突設して設けられており、水平断面がL字形をしている。電源保持部130は、フィン配設面112の端部に対に設けられており、電源装置20が回動可能に取り付けられる保持孔131が設けられている。
【0018】
(コード保持部140)
コード保持部140は、フィン配設面112から略垂直方向へ突設して設けられており、水平断面がU字形をしている。コード保持部140は、対に設けられた電源保持部130の間に配設されており、電源装置20と光源部200とを接続する電線が、U字状の内側に配設される。
【0019】
ヒートシンク100は、プレス成型により形成されている。ヒートシンク100は、アルミ材をZ1側からZ2側へプレス成型して形成されている。ヒートシンク100をプレス成型で形成すると、フィンがプレスの負荷により倒れてしまうために、フィンを大きく形成することができない。とくに、Z1側からZ2側へ向かう方向に対して垂直方向となる水平方向へフィンを長くするのが難しく、1つのフィンをベース部110の中央部分から外側まで設けることが難しかった。それに対して、フィン部120は、フィン分岐部122と端部フィン123とから形成されていることで、フィン分岐部122と端部フィン123とが互いに補強し合い、プレスの負荷にも耐えることができる。よって、フィン部120は、ベース部110の中央部分から外側まで設けることができる。
【0020】
また、ヒートシンク100の電源保持部130には、
図7、
図8に示すように、電線カバー部150が取り付けられている。
図7は、電線カバー部150の斜視図である。
図8は、電線カバー部150が取り付けられた状態のヒートシンク100を示す。電線カバー部150は、
図7に示すような形状をしており、コード保持部140のU字状の開口を塞ぐように電源保持部130に取り付けられている。電線カバー部150は、電線がU字状の内側から電線がはずれないように取り付けられている。また、電線カバー部150は、上端側に電源装置20と当接する電源制御部151を有している。電源制御部151は、電源装置20の一部と当接して、電源装置20の回転を制御する。電源制御部151は、電源装置20とヒートシンク100との間に間隔が保たれるように、電源装置20の回動を制御する。
【0021】
(光源部200)
光源部200は、
図4に示すように、発光部210と、発光部210をヒートシンク100の固定するソケット部220と、カバー部230を有している。
【0022】
(発光部210)
図9は、発光部210の分解斜視図である。発光部210は、発光素子211と、発光素子211が実装された基板212とを備えている。なお、発光部210では、発光素子210が
図9に示すようにCOB(チップオンボード)でもよいし、パッケージタイプのものを複数用いてもよい。
【0023】
(ソケット部220)
図9に示すソケット部220は、電源装置20からの電力を発光部210に供給する。ソケット部220は、発光部210を狭持した状態でヒートシンク100に固定されている。ソケット部220は、発光素子211が露出するように開口したソケット前面部221と、発光部210の基板212の背面側を覆うソケット背面部222とで、発光部210を狭持し、かつ、図示していないが電線が接続されている。この電線を介して発光部210と電源装置20とは電気的に接続する。ソケット前面部221とソケット背面部222とは、2つのクリップ223で固定される。なお、実施の形態1では、ソケット部220を用いて発光部210をヒートシンク100に固定しているが、発光部210は特許6158886号公報に記載のように、ヒートシンクに固定するような固定方法でもよい。
【0024】
(カバー部230)
図10、
図11は、カバー部230の斜視図である。カバー部230は、樹脂材料により一体に成形されている。カバー部230は、後述するように、爪部236と突起部235aを有する引っ掛け部235とを有し、ヒートシンク100に取り付けられている。カバー部230は、略中央部分が円形状に開口(カバー開口部232)したカバー本体部231と、カバー本体部231のカバー開口部232の周縁部から立設するように形成される内壁部233と、カバー本体部231の外周部から立設するように形成される外壁部234とを有する。更に、カバー部230は、外壁部234は、弾性変形ができるように突設した引っ掛け部235と、引っ掛け部235とカバー開口部232を挟んで対向する位置に設けられる爪部236と、外壁部234より外側へ突出した枠受部237が形成されている。なお、引っ掛け部235は、特許6158886号に公報記載の第1凸部434と同じように、弾性変形して枠部300に引っ掛かる構造である。カバー部230は、ネジのような固定部材によりヒートシンク100のベース部110に取り付けられた状態で、枠部300が着脱自在に取り付けられる。カバー部230は、枠部300をヒートシンク100に固定する接続部の機能を有する。
【0025】
図4に示すように、カバー部230は、カバー開口部232を覆うように配光制御部238が配設される。配光制御部238は、レンズ形状をしており、発光部210からの光が入射されると共に、入射された光を所定方向へ出射する。なお、配光制御部238は、断面が後述する
図18に示すようなレンズ形状をしている。しかし、
図18に示す配光制御部238の形状は一例である。
所定の配光が得られるなら
図18とは異なるレンズ形状でもよく、例えば配光制御部238は平板形状でもよい。また、カバー部230の取り付け方法は、例えば、光透過性カバーのように、カバー本体部231に係合するような方法でも良い。
【0026】
(枠部300)
図12は、枠部300の斜視図である。枠部300は、後述するように、爪部236が挿し込まれる第1穴350が形成された第1穴形成部351と、引っ掛け部235の突起部が挿し込まれる第2穴360が形成されていると共にもとの形状に戻ろうとする引っ掛け部の弾性力によって第2穴360の周辺が引っ掛け部235によって押圧される第2穴形成部361とを有し、光源部200から照射される光の照射角度を制御する。
【0027】
図12に示すように、枠部300は、ツバ部310と、立ち上がり部320と、傾斜部370(
図18の(a))とを備える。ツバ部310は、被取付部500に形成される円形の埋込穴501の縁部に当接する。立ち上がり部320は、ツバ部310から略垂直方向に立ち上がる。立ち上がり部320には、3つの取り付けバネ400が取り付けられる。また、立ち上がり部320には、第1穴350及び第2穴360が形成されている。傾斜部370は、ツバ部310の内側に斜め方向に形成され、略中央部に円形状の開口部371を有する。なお、枠部300は、樹脂による一体成形品として形成されてもよい。
【0028】
以上が、照明器具10の主な構成である。
【0029】
次に、電源装置20の構成に関して
図13から
図16を用いて説明を行なう。
図13は、電源装置20を下方Z2の側から見た斜視図である。
図14は、電源装置20を下方Z2の側から見た分解斜視図である。
図15は、電源装置20を上方Z1の側から見た分解斜視図である。
図16は、照明装置1の平面図である。
【0030】
(電源装置20)
電源装置20は、商用電源からの電力を変換し光源部200を点灯させる点灯回路基板21と、点灯回路基板21に商用電源からの電力を供給する端子台22と、点灯回路基板21と端子台22が取り付けられるケース本体部23と、点灯回路基板21を覆うようにケース本体部23に取り付けられるケース蓋部24とを有している。なお、端子台22は、電源端子台22aと調光端子台22bが配設されている。
【0031】
(ケース25、ケース本体部23)
ケース25は、ケース本体部23とケース蓋部24とを備えている。ケース本体部23は、本体底面部23a、本体側面部23b、アーム23cを有している。本体底面部23aは、点灯回路基板21が対向する第1板部23aaと、端子台22が対向する第2板部23abとが、段差を設けるように形成されている。
図14でケース本体部23を上側、ケース蓋部24を下側と見た場合、第1板部23aaは天板である。以下では第1板部23aaを天板23aaと呼ぶ場合がある。本体側面部23bは、本体底面部23aの側辺から突設するように設けられており、点灯回路基板21を保持する係合部23baを有している。アーム部23cは、本体底面部23aの端部側において端子台22側とは反対側の端部に設けられている。アーム部23cは対に設けられており、ヒートシンク100の電源保持部130の保持孔131に回動可能に接続されている。
【0032】
(ケース蓋部24)
ケース蓋部24は、蓋底面部24a、蓋側面部24b、傾斜部24cを有している。蓋底面部24aは、点灯回路基板21を覆い、端子台22は露出するように設けられている。蓋側面部24bは、蓋底面部24aの側辺から本体側面部23bを挟むように突設して設けられている。また、蓋側面部24bは、本体側面部24bと係合すると共に、端子台22よりも突き出すような長さで形成されている。傾斜部24cは、蓋底面部24aの端子台22側とは反対側に形成されており、本体底面部23aのアーム部23cに向かって斜めに形成されている。また、本体底面部23aと傾斜部24cとの間には、点灯回路基板21と光源部200とを接続する電線が収容されている。この電線は、本体底面部23aと傾斜部24cの間、ヒートシンク100のコード保持部140のU字状の内側に収容される。
【0033】
電源装置20は、
図16に示す平面視において、本体底面部23aがヒートシンク100のフィン配設面112の一部に対向するように設けられている。また、電源装置20の回動の軸39(
図1、
図16)は、ヒートシンク100の外径より内側に設けられている。このとき、電源装置20は、ヒートシンク100の放熱に影響を与えないように配置されている。
図17は、
図16に示す平面視における筒部113の中心Aから、電源装置20の長手方向で中心Aに最も近い端部までの距離を距離Lとした場合、距離Lを変えることによる発光部210のCOBの温度の変化を表したグラフである。なお、数値は一例である。
図17に示すように、光源部であるCOBは、電力を供給中の電源装置20との距離Lに対する温度Tが、T=f(L)の関数fで表される。またCOBの温度Tは、距離Lが増加するに伴って直線的に減少して、飽和状態に移行する移行範囲に移行し、この移行範囲を経て飽和状態に至る。電源装置20は、移行範囲の中の位置Lでヒートシンク100に取り付けられることが好適である。この実施の形態では距離Lが40mmでヒートシンク100に電源装置20を取り付ける。
図17に示すように、距離Lが40mmの場合、放熱への影響が抑制された状態で電源装置20をヒートシンク100に固定できることがわかる。
また、距離Lを40mmからさらに大きくすると、電源装置20による温度の影響が飽和していく。
【0034】
以上が電源装置20の各部の構成である。次に、照明器具10の枠部300の取り付け工程に関して
図18を用いて説明を行う。
【0035】
(枠部300の取り付け工程)
図18は、枠部300をカバー部230に取り付ける取り付け工程を示す。
図18の(a)は、枠部300が、ヒートシンク100に設けられたカバー部230に取り付けられる前の状態である。
図18の(b)は、カバー部230の爪部236(
図10)に、枠部300の第1穴350(
図12)が引っ掛けられた状態である。
図18の(c)は、
図18の(b)の状態から、爪部236が挿し込まれた第1穴350を、回転の軸として枠部300を回動させた状態である。
図18の(c)は、引っ掛け部235(
図10)が枠部300の第2穴360(
図12)に係合している状態である。
【0036】
枠部300は、引っ掛け部235が枠部300の回動により立ち上がり部320の端部が当接して押圧することで弾性変形して、第2穴360に係合することで、カバー部230に保持される。また、
図18の(c)の状態において、枠部300の回動により立ち上がり部320(
図12)の端部は、カバー部230の枠受部237(
図10)が載っかるようにして枠受部237と当接している。
つまり、カバー部230は、枠部300の立ち上がり部320を塞ぐように枠部300を保持している。
【0037】
枠部300は、カバー部230の爪部236を第1穴形成部351の第1穴350に挿し込むことで爪部236に第1穴形成部351を引っ掛けた後に、第2穴形成部361を引っ掛け部235に向かって回動可能である。
【0038】
以上が、枠部300をカバー部230へ取り付ける取付方法である。次に、照明装置1の被取付部への施工方法を説明する。
【0039】
(照明装置1の被取付部への施工方法)
図19は、照明装置1の被取付部への施工方法を示す。
図19の(a)は、照明装置1が被取付部500に設けられた取付孔501に取り付けられる前の状態である。
【0040】
図19の(b)は、取付穴に501電源装置20が挿し込まれる状態である。
電源装置20は、端子台20に商用電源から電力供給を受けるための電線及び信号線などの電線31が挿し込まれた状態で取付孔501に挿し込まれている。作業者は、電源装置20を、照明器具10に対して離れるように回動させて、照明装置1を取付孔501に挿し込む。離れるように回動させた状態とは、例えば、照明器具10に対して略垂直方向に突き出した状態である。このとき、作業者は、照明器具10と電源装置20との両方を片手で保持することができる。電源装置20はヒートシンク100と接続している箇所が回転の軸39となっていることで、ヒートシンク100とあわせて回転の軸39を保持することができ、電源装置20を所定の角度で取付穴に挿し込むことができる。電源装置20は、傾斜部24cと照明器具10との間に、照明器具10を把持できる把持空間32(
図19の(b))を形成する。作業者は、傾斜部24cとヒートシンク100との間の把持空間32に指を介在させることで電源装置20の角度を調整して保持できる。なお電源装置20は、傾斜部24cと照明器具10との間に、照明器具10を把持できる把持空間32(
図19の(b))を形成する。作業者は、片手で、照明器具10と電源装置20とを保持することができる。回転の軸39がヒートシンクから離れていると、片手でヒートシンクを保持して、もう片方の手で電源装置を保持しなくてはならない。
【0041】
図19の(c)は、照明器具10が取付孔501に挿し込まれている状態であり、照明器具10は、取り付けバネ400が取付孔501の縁に引っ掛けられた状態で挿し込まれる。このとき、電源装置20は、照明器具10が挿し込まれて行くに従って、回動しながら挿入されていく。
【0042】
図19の(d)は、照明器具10が取付孔501に挿し込まれ、照明装置1が被取付部500に取り付けられた状態である。照明器具10は、枠部300が取り付けバネ400により取付孔501に固定される。光源部200が設けられたヒートシンク100はカバー部230に取り付けられている。ヒートシンク100が取り付けられたカバー部230は、枠部300に戴置するように、枠部300に固定されている。電源装置20では、一端がヒートシンク100と係合し、他端が被取付部500と当接した状態で設置される。
【0043】
このとき、電源装置20の他端は、蓋側面部24bが端子台22より突き出ていることで、端子台22と被取付部500との間に電線31が配置される空間を設けることができる。この空間を設けることで電線31が端子台22と被取付部500との間に挟まれて損傷することを防止できる。また、剛性のある電線31を用いたときに、電線31の弾性力(電線を曲げたことによる復元力など)により、照明器具10および電源装置20が押圧されて傾いてしまう事態を防止できる。
【0044】
図19に示すように、電源装置20は、被取付部500に取り付けられる照明器具10に回動可能に取り付けられ、天板23aaを有するケース25と、照明器具10を点灯する点灯装置である点灯回路基板21と、点灯回路基板21に電力を供給する端子台22と、を備えている。ケース25は、照明器具10が被取付部500に取り付けられた状態の照明器具10の水平方向502(
図19の(d))に沿って天板23aaを水平にしたときに、照明器具10に向かって倒れるように傾斜して照明器具10に面する板状の傾斜部24cを有する。また、
図2、
図19の(d)に示すように、端子台22は、ケース25が回動する際の仮想半径33の端部34の側に配置されている。ケース25は、傾斜部24cから端子台22の方向へ端子台22を超えて延びる側面をなす蓋側面部24bを有する。
【0045】
***実施の形態1のヒートシンク100の効果***
(1)実施の形態1では、ヒートシンク100は、フィン部120がフィン主部121とフィン分岐部122とから形成されているので、フィン単体の表面積を増加することができる。
このため、放熱性を向上できる。
(2)また、フィン単体の表面積が増えることでフィン部120を設置する数を低減できるので、隣接するフィン同士に空気が抜ける空間を設けることができる。
(3)また、フィン部120がフィン主部121とフィン分岐部122から形成されていることで、互いに補強し合うことができるため、ヒートシンク100をプレス成型で形成できる。
プレス成型は、例えば、冷間鍛造によるものである。
冷間鍛造によりヒートシンク100を成型することで、射出成型よりも金型費を低減できると共に、アルミ含有率の高い材料を使用できるため、放熱効率が良いヒートシンクを成型できる。
(4)また、ヒートシンク100は光源部200の背面側に筒部113が形成されていることで、筒部113によって光源部200から熱を吸収できる。
(5)また、筒部113にはフィン部120が接続しているので、筒部113で吸収した熱を、効率よく大気に放熱できる。
【0046】
***実施の形態1のカバー部230の効果***
(1)実施の形態1では、ヒートシンク100が、引っ掛け部235と爪部236とを有するカバー部230を備えているので、カバー部230への枠部300の着脱が容易である。
(2)また、枠部300をヒートシンク100へ接続する接続部となるカバー部230を用いることで、ヒートシンク100および枠部300を、要求される光源の出力または光源の配光に適したものに容易に変更できる。
(3)また、カバー部230には、引っ掛け部235及び爪部236が、一体に形成されているので、ねじのような固定具を必要とせずに、カバー部230だけで枠部300を固定できため、部品点数を低減できる。
(4)また、爪部236が枠部300の第1穴350に挿しこまれるように突設した形状であるので、枠部300の取り付けに関して方向性が生じているため、枠部300がカバー部230に誤った取り付け状態で取り付けられることを防止できる。
また、枠部300に衝撃(例えば、施工時などに)が加わったとしても、爪部236が第1穴350に挿し込まれる突設形状であるので、爪部236は衝撃により弾性変形し難く、第1穴350にから外れ難い。
(5)また、爪部236が枠部300の第1穴350に挿しこまれるように突設した形状であるので、バネ形状で形成する場合に比べ突設した形状では寸法管理をしなくても良く、組み立て性が向上する。カバー部230だけで枠部300を保持しているので、部品組み立て時に組み立て公差があっても組み立てることができる。
また、爪部236をカバー部230と一体化したことで、組み立て工数も低減でき、部品の付け忘れも防止できる。
(6)また、カバー部230は、枠部300の端部に戴置される枠受部237を有しているので、引っ掛け部235及び爪部236が衝撃により枠部300との係合状態が解除されたとしても、枠受部237が枠部300に戴置されていることで、ヒートシンク100が落下することを防止できる。
(7)また、カバー部230および枠部300が樹脂材で形成されていることで、熱伸縮により、きしみ音の発生や、部品の破損などを抑制できる。
【0047】
***実施の形態1の電源装置20の効果***
本実施の形態1では、電源装置20は、点灯回路基板21がケース(ケース本体部23、ケース蓋部24)に収容されていると共に、ケース25には傾斜部24cが設けられていることで、回転の軸39をヒートシンク100の内側に設けた状態で、電源装置20が照明器具10と干渉せずに回動することができる。つまり、電源装置20を照明器具10から離れた位置に設けなくて良いので、照明器具1を小型化することができる。
図20は、
図19の照明器具10に比べて枠部300Aの高さが高く、照明器具10の全体の高さHが高い仕様の照明器具である。電源装置20は傾斜部24cを有していることで照明器具10と干渉せずに回動することができることで、
図20の照明器具のように、高さHが高い仕様であっても、電源装置20を使用できる。
【0048】
<変形例1>
図21は、カバー部230の変形例である。
図21はカバー部230が無線機能を備えた構成である。カバー部230は、表側にワイヤーアンテナ401が配設され、裏面に無線基板402を収容している。
図21のように、カバー部230が、ワイヤーアンテナ401および無線基板402を収容することで、枠部300に無線通信できるように開口を設ける必要がない。よって、無線用の枠部を用意する必要がないので、枠部のバリエーションの増加を抑制できる。
【0049】
<変形例2>
(ヒートシンク100a)
図22、
図23、
図24は、ヒートシンク100の変形例であるヒートシンク100aを示す。
図22は、ヒートシンク100aの斜視図である。
図23は、ヒートシンク100aの平面図である。
図24は、
図23の部分拡大図である。
ヒートシンク100aは、台座部110aを有する。ヒートシンク100aはヒートシンク100に対して以下の(1)(2)が異なる。
(1)ヒートシンク100aは台座部110aを有する。
(2)ヒートシンク100aの端部フィン124の形状は、ヒートシンク100の端部フィン123の形状と異なる。複数の端部フィン124は第2の分岐箇所126bで分岐している。端部フィン124は、第1端部フィン124aと第2端部フィン124bとからなる。第1端部フィン124aは第2端部フィン124bとの接続部である第2の折れ部125bで折れ曲っている。また、フィン分岐部122を同じくする第2端部フィン124bどうしは対向して配置されている。
【0050】
ヒートシンク100aは、複数のフィン部120と、ベース部110を間にして光源部200と対向する位置でベース部110から隆起している台座部110aとを備える。
図23に示すように、各フィン部120は、立ち上が箇所の一部が台座部110aから立ち上がり、一部の残りの部分がベース部110から立ち上がる。
【0051】
フィン部120は、フィン主部121と複数のフィン分岐部122を有する。
図23では3つのフィン分岐部122が分岐しているが4つ以上が分岐してもよい。複数のフィン分岐部122は第1の分岐箇所126aで分岐している。また2つのフィン分岐部122は第1の折れ部125aで折れ曲がる形状である。各フィン部120は、フィン主部121は、台座部110aから立ち上がる板状なすと共に立ち上がり方向120aに沿う一方の側部121aと、立ち上がり方向120aに沿う他方の側部121bとを有する。
図23に示すように、複数のフィン分岐部122は、フィン主部121の他方の側部121bから分岐し、一方の側部121aから他方の側部121bの方向へ向かうに従って互いに離れるように延びると共に、立ち上がり箇所の少なくとも一部が台座部110aから立ち上がる。
【0052】
ヒートシンク100aは、フィン配設面112から少なくとも発光部210と対向する箇所が円柱状に突設している台座部110aを有する。台座部110aにより、発光部210と対向する箇所が厚く形成されていることで、発光部210の裏面からの熱を効率的に吸収できる。つまり、筒部113の場合は筒部113の側面として起立するところが部分的に厚くなっているのに対して、台座形状の場合は、台座形状の全体が厚くなっているので、台座形状は筒状の筒部113よりも均一的に熱を吸収できる。また、この台座部110aには平面視において、フィン部120のフィン主部だけでなく、フィン分岐部122のすくなくとも一部が設けられている。このように、フィン部120を設けることで台座部110aとフィン部120が接続する箇所を増やすことができ、台座部110aで吸収した熱を効率よくフィン部120へ伝えることでき、放熱効率を良くすることができる。
【0053】
図24に示すように、ヒートシンク100aは、中心側から外側に向かうにつれてフィン分岐部122が互いに離れるように設けられている。つまり、フィン分岐部122は斜め方向に突設するように設けられているので、図においてL1の長さを確保しながら、隣接するフィン部120との距離L2の距離を確保することができ、熱をこもり難くし、放熱性を向上させることができる。仮に、フィンフィン分岐部122をフィン主部に対して垂直になるように設けると、距離L1が短くなるか距離L2が短くなる。距離L1が短くなるとフィン分岐部122内で熱がこもり抜け難くなり、距離L2が短くなると隣接するフィン部120同士の間に熱がこもり抜け難くなる。
【0054】
図25は、ヒートシンクの成型方法の違いによる、アルミ純度と放熱性の関係性の一例を示す。
図25のように、ヒートシンクをプレス加工で成型することで、放熱性を向上することができる。
【0055】
ヒートシンク100aでは、台座部110a及びベース部110と、複数のフィン部120とは、鍛造成形によって一体に形成される。ヒートシンク100においても、ベース部110と複数のフィン部120とは、鍛造成形によって一体に形成される。また、ヒートシンク100では、ベース部110とフィン部120とは、アルミニウムを含有する材料で一体に形成される。同様にヒートシンク100aでは、台座部110a及びベース部110と、複数のフィン部120とは、アルミニウムを含有する材料で一体に形成される。
【0056】
なお、ヒートシンクの筒部113の形状は、円筒状でも良く、断面が多角形した筒形状でもよい。また、筒部を形成しないような形状でもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 照明装置、10 照明器具、20 電源装置、21 点灯回路基板、22 端子台、22a 電源端子台、22b 調光端子台、23 ケース本体部、23a 本体底面部、23aa 第1板部、23ab 第2板部、23b 本体側面部、23c アーム部、24 ケース蓋部、24a 蓋底面部、24b 蓋側面部、24c 傾斜部、25 ケース、31 電線、32 把持空間、33 仮想半径、34 端部、39 回動の軸、100 ヒートシンク、100a ヒートシンク、110a 台座部、110 ベース部、111 光源取付面、112 フィン配設面、113 筒部、120 フィン部、120a 立ち上がり方向、121 フィン主部、121a,121b 側部、122 フィン分岐部、122a 分岐部の内側面、123 端部フィン、124 端部フィン、125 折れ部、125a 第1の折れ部、125b 第2の折れ部、126a 第1の分岐箇所、126b 第2の分岐箇所、130 電源保持部、131 保持孔、140 コード保持部、150 電線カバー部、151 電源制御部、200 光源部、210 発光部、211 発光素子、212 基板、220 ソケット部、221 ソケット前面部、222 ソケット背面部、223 クリップ、230 カバー部、231 カバー本体部、232 カバー開口部、233 内壁部、234 外壁部、235 引っ掛け部、235a 突起部、236 爪部、237 枠受部、238 配光制御部、300,300A 枠部、310 ツバ部、320 立ち上がり部、350 第1穴、351 第1穴形成部、360 第2穴、361 第2穴形成部、370 傾斜部、371 開口部、400 取り付けバネ、401 ワイヤーアンテナ、402 無線基板、500 被取付部、501 取付孔、502 水平方向。