(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20220708BHJP
B05B 11/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 101E
B05B11/00 101G
(21)【出願番号】P 2018144183
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】上村 英夫
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-284925(JP,A)
【文献】特開2016-011139(JP,A)
【文献】特開2016-159939(JP,A)
【文献】特開2014-028637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記内容物が吐出される吐出孔が設けられ、前記容器本体の口部に装着された吐出器と、
上方に開口し、前記容器本体および前記吐出器を収納するケースと、
を備え、
前記吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能なステムを有し、かつ、前記ステムが下方に移動されることにより、前記吐出孔から前記内容物を吐出し、
前記ケースは、
前記容器本体に装着される内筒と、
前記内筒の径方向外側に位置する外筒と、
前記内筒の径方向外側に位置し、回転可能な回転筒と、
前記内筒に装着される環状部材と、
を備え、
前記回転筒と前記内筒とは、前記容器本体の容器軸方向において互いに相対移動可能であり、
前記回転筒の回転に伴って前記外筒に対して前記内筒と前記容器本体と前記吐出器とが前記容器軸方向に相対移動して、前記吐出器が前記ケースの内部に埋没する第1状態と、前記吐出器の上端部が前記ケースよりも上方に突出し前記吐出孔が前記ケースの外部に露出する第2状態と、が切り替えられ、
前記内筒には、前記容器本体の外周面に接触する保持部が設けられ、
かつ、前記内筒を外周面から内周面まで貫通する貫通部が形成され、
前記保持部は、径方向内側向きに弾性力を加えて前記容器本体を保持し、
前記容器本体および前記吐出器は、前記ケースに対して挿抜可能であ
り、
前記環状部材は、
前記内筒を囲む環状部材本体と、
前記環状部材本体から径方向内側に突出し、前記貫通部を通って前記容器本体の外周面と接触する前記保持部と、
前記環状部材本体から径方向外側に突出し、径方向外側の端部が前記回転筒の内周面に接触する接触部と、
を備えることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記回転筒と前記内筒とは、互いに相対回転が規制され、
前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との一方には、螺旋状に延びる凹部が形成され、
前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との他方には、前記凹部に挿入される凸部が形成され、
前記回転筒の回転に伴って前記凸部が前記凹部内を相対移動することにより、前記内筒は、前記外筒に対して前記容器軸方向に相対移動することを特徴とする請求項
1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記凹部は、溝底面を有する溝であり、前記内筒の外周面に設けられていることを特徴とする請求項
2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記凹部は、
凹部本体と、
前記凹部本体の周方向一方側に繋がる第1端部と、
前記凹部本体の周方向他方側に繋がり、前記第1端部よりも下方に位置する第2端部と、
を有し、
前記第1端部と前記凹部本体との連結部分の内側面には、突起部が形成されており、
前記凸部が前記第1端部に位置する場合に、前記第1状態となることを特徴とする請求項
2または
3に記載の吐出容器。
【請求項5】
内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記内容物が吐出される吐出孔が設けられ、前記容器本体の口部に装着された吐出器と、
上方に開口し、前記容器本体および前記吐出器を収納するケースと、
を備え、
前記吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能なステムを有し、かつ、前記ステムが下方に移動されることにより、前記吐出孔から前記内容物を吐出し、
前記ケースは、
前記容器本体に装着される内筒と、
前記内筒の径方向外側に位置する外筒と、
前記内筒の径方向外側に位置し、回転可能な回転筒と、
を備え、
前記回転筒と前記内筒とは、前記容器本体の容器軸方向において互いに相対移動可能であり、
前記回転筒の回転に伴って前記外筒に対して前記内筒と前記容器本体と前記吐出器とが前記容器軸方向に相対移動して、前記吐出器が前記ケースの内部に埋没する第1状態と、前記吐出器の上端部が前記ケースよりも上方に突出し前記吐出孔が前記ケースの外部に露出する第2状態と、が切り替えられ、
前記内筒には、前記容器本体の外周面に接触する保持部が設けられ、かつ、前記内筒の壁部を径方向に貫通する貫通孔が周方向に沿って複数形成され、
周方向に隣り合う前記貫通孔同士の間の部分である柱部からは、腕部が周方向に突出しており、
前記保持部は、前記腕部の先端部から径方向内側に突出し、かつ、径方向内側向きに弾性力を加えて前記容器本体を保持し、
前記容器本体および前記吐出器は、前記ケースに対して挿抜可能であることを特徴とする吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースに容器本体および吐出器が収容され、ケースを回転させることで、吐出器がケースの内部に収容された状態と、吐出器の上端部がケースの外部に露出した状態とを切り替え可能な吐出容器が知られている。例えば、特許文献1には、容器本体としての噴霧容器に設けられた係合子がケースの内周面に設けられた螺条に係合された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような構成においては、係合子が螺条に係合しているため、噴霧容器(容器本体)をケースから取り出すことが困難である。したがって、噴霧容器内の内容物が無くなった場合等に、噴霧容器を入れ替える、あるいは噴霧容器内に内容物を再度充填する等の作業が困難な場合があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、ケースを回転させることで、吐出器がケースの内部に収容された状態と、吐出器の上端部がケースの外部に露出した状態とを切り替え可能な吐出容器であって、容器本体の着脱が容易な吐出容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出容器の一つの態様は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記内容物が吐出される吐出孔が設けられ、前記容器本体の口部に装着された吐出器と、上方に開口し、前記容器本体および前記吐出器を収納するケースと、を備え、前記吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能なステムを有し、かつ、前記ステムが下方に移動されることにより、前記吐出孔から前記内容物を吐出し、前記ケースは、前記容器本体に装着される内筒と、前記内筒の径方向外側に位置する外筒と、前記内筒の径方向外側に位置し、回転可能な回転筒と、前記内筒に装着される環状部材と、を備え、前記回転筒と前記内筒とは、前記容器本体の容器軸方向において互いに相対移動可能であり、前記回転筒の回転に伴って前記外筒に対して前記内筒と前記容器本体と前記吐出器とが前記容器軸方向に相対移動して、前記吐出器が前記ケースの内部に埋没する第1状態と、前記吐出器の上端部が前記ケースよりも上方に突出し前記吐出孔が前記ケースの外部に露出する第2状態と、が切り替えられ、前記内筒には、前記容器本体の外周面に接触する保持部が設けられ、かつ、前記内筒を外周面から内周面まで貫通する貫通部が形成され、前記保持部は、径方向内側向きに弾性力を加えて前記容器本体を保持し、前記容器本体および前記吐出器は、前記ケースに対して挿抜可能であり、前記環状部材は、前記内筒を囲む環状部材本体と、前記環状部材本体から径方向内側に突出し、前記貫通部を通って前記容器本体の外周面と接触する前記保持部と、前記環状部材本体から径方向外側に突出し、径方向外側の端部が前記回転筒の内周面に接触する接触部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の吐出容器の一つの態様によれば、容器本体の外周面に保持部を接触させることで径方向内側向きに弾性力を加えて容器本体をケース内に保持しており、容器本体および吐出器をケースから挿抜可能である。そのため、容器本体および吐出器を上方に引張することで、容易に容器本体および吐出器をケースから取り出すことができる。また、容器本体および吐出器をケースの上方開口から挿入することで、容易に容器本体および吐出器をケース内に保持させることができる。したがって、本発明の吐出容器の一つの態様によれば、ケースを回転させることで、吐出器がケースの内部に収容された状態と、吐出器の上端部がケースの外部に露出した状態とを切り替え可能な吐出容器であって、容器本体の着脱が容易な吐出容器が得られる。これにより、容器本体内の内容物を使い切った後に、容器本体をケースから外して、内容物が充填された新たな容器本体と入れ替える、または容器本体に内容物を再充填することが容易である。
また、本発明の吐出容器の一つの態様によれば、吐出容器を、吐出器がケース内に埋没した第1状態としておくことにより、吐出器のステムが不意に押されて内容物が吐出されることを抑制できる。
【0008】
前記内筒には、前記内筒を外周面から内周面まで貫通する貫通部が形成され、前記ケースは、前記内筒に装着される環状部材をさらに備え、前記環状部材は、前記内筒を囲む環状部材本体と、前記環状部材本体から径方向内側に突出し、前記貫通部を通って前記容器本体の外周面と接触する前記保持部と、前記環状部材本体から径方向外側に突出し、径方向外側の端部が前記回転筒の内周面に接触する接触部と、を備える構成としてもよい。
【0009】
この構成によれば、内筒が回転筒に対して上下方向に移動する際に、接触部が回転筒の内周面に擦れる。これにより、回転筒を回転させる使用者には、適度な摺動抵抗が伝わる。したがって、吐出容器の状態を切り替える際の操作において、使用者に高級感を与えることができる。
【0010】
前記回転筒と前記内筒とは、互いに相対回転が規制され、前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との一方には、螺旋状に延びる凹部が形成され、前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との他方には、前記凹部に挿入される凸部が形成され、前記回転筒の回転に伴って前記凸部が前記凹部内を相対移動することにより、前記内筒は、前記外筒に対して前記容器軸方向に相対移動する構成としてもよい。
この構成によれば、回転筒を回転させることで、容易に内筒を上下方向に相対移動させることができる。したがって、吐出容器の状態の切り替えが容易である。
【0011】
前記凹部は、溝底面を有する溝であり、前記内筒の外周面に設けられている構成としてもよい。
この構成によれば、凹部が内筒の壁部を貫通するような場合に比べて、内筒の強度が低下することを抑制できる。これにより、吐出容器の状態を切り替える際に、内筒および凹部が歪むことを抑制でき、凸部を凹部に沿って滑らかに相対移動させることができる。したがって、吐出容器の状態を滑らかに切り替えやすい。
【0012】
前記凹部は、凹部本体と、前記凹部本体の周方向一方側に繋がる第1端部と、前記凹部本体の周方向他方側に繋がり、前記第1端部よりも下方に位置する第2端部と、を有し、前記第1端部と前記凹部本体との連結部分の内側面には、突起部が形成されており、前記凸部が前記第1端部に位置する場合に、前記第1状態となる構成としてもよい。
この構成によれば、使用者が吐出容器を第2状態から第1状態にする場合において、凸部は、突起部を乗り越えることで、凹部本体から第1端部に移動する。これにより、吐出容器を第1状態にした際に、使用者には、凸部が突起部を乗り越えることによるクリック感が伝達される。したがって、使用者は、吐出容器が第1状態になったことを触感から認識することができ、吐出容器が第1状態になったことを認識しやすい。また、第1状態から第2状態へと切り替える際には、凸部が突起部を乗り越える必要がある。そのため、凸部が突起部に引っ掛かり、使用者による回転操作によらず不意に回転筒が回転することを抑制することができる。これにより、意図せず吐出容器が、吐出孔が露出する第2状態となることを抑制でき、不意な内容物の吐出を抑制できる。
【0013】
前記内筒には、前記内筒の壁部を径方向に貫通する貫通孔が周方向に沿って複数形成され、周方向に隣り合う前記貫通孔同士の間の部分である柱部からは、腕部が周方向に突出しており、前記保持部は、前記腕部の先端部から径方向内側に突出する構成としてもよい。
この構成によれば、環状部材が設けられず、保持部が内筒に一体成形されている。そのため、吐出容器の部品点数を低減することができ、吐出容器の製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様によれば、ケースを回転させることで、吐出器がケースの内部に収容された状態と、吐出器の上端部がケースの外部に露出した状態とを切り替え可能な吐出容器であって、容器本体の着脱が容易な吐出容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態の吐出容器を示す部分断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の吐出容器を示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の吐出容器を示す断面図であって、
図1におけるIII-III断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の内筒を示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の吐出容器を示す部分断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の吐出容器を示す部分断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の吐出容器に用いられる交換用のリフィルを示す部分断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の吐出容器を示す部分断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の内筒を示す部分断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態の吐出容器を示す断面図であって、
図8におけるX-X断面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の吐出容器を示す断面図であって、
図8におけるXI-XI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る吐出容器について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0017】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の吐出容器10は、内容物が収容される有底筒状の容器本体20と、内容物が吐出される吐出孔37aが設けられ、容器本体20の口部24に装着された吐出器30と、容器本体20および吐出器30を収容するケース11と、を備えている。容器本体20に収容される内容物は、特に限定されないが、例えば化粧品、香料等の液体である。
【0018】
ここで本実施形態では、容器本体20、吐出器30、およびケース11の各中心軸は、共通の軸線上に配置されている。以下、この共通の軸線を容器本体20の容器軸Oといい、容器軸Oに沿う容器軸方向を上下方向という。また、上下方向に沿う容器本体20の底部22側(-Z側)を下方といい、口部24側(+Z側)を上方という。上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
容器本体20は、底部22、胴部21、肩部23、および口部24が、下方から上方に向けてこの順に連設されている。口部24の外周面には、雄ネジ部が形成されている。容器本体20の外径は、胴部21において最も大きくなる。胴部21の外径は、上下方向の全体に亘って均一である。容器本体20の材質は、特に限定されない。本実施形態において容器本体20の材質は、例えば、ガラスである。なお、容器本体20は、合成樹脂材料を材質とし、例えばブロー成形などにより一体に形成されてもよい。
【0020】
吐出器30は、シリンダ31と、ピストン32と、装着筒部33と、ガイド筒部34と、ステム35と、頭部36と、ノズル37と、付勢部材38と、吸引筒39と、を備えている。
シリンダ31は、容器軸Oと同軸に配置され、上下方向に延びる多段の円筒状である。シリンダ31の外径および内径は、下方に向かうに従って段階的に小さくなる。シリンダ31は、上下方向の両側に開口している。シリンダ31は、容器本体20の内部に挿入されている。
ピストン32は、シリンダ31の内部に上下方向に摺動自在に配置されている。ピストン32は、容器軸Oと同軸に配置され、上下方向に延びる円柱状である。ピストン32の上側部分は、シリンダ31よりも上方に突出している。
【0021】
装着筒部33は、シリンダ31の上端部に繋がっている。装着筒部33は、シリンダ31の上端部から径方向外側に拡がるフランジ部33aと、フランジ部33aの径方向外縁部から下方に延びる装着筒部本体33bと、を備えている。装着筒部本体33bは、容器軸Oと同軸に配置された円筒状である。装着筒部本体33bは、下方に開口している。装着筒部本体33bの内周面には、雌ネジ部が形成されている。装着筒部本体33bの雌ネジ部は、容器本体20の口部24に形成された雄ネジ部と螺合されている。これにより、装着筒部33は、口部24に固定され、吐出器30は、容器本体20に固定されている。
【0022】
ガイド筒部34は、フランジ部33aから上方に突出している。ガイド筒部34は、容器軸Oと同軸に配置された円筒状である。ガイド筒部34は、上方に開口している。ガイド筒部34は、装着筒部本体33bよりも径方向内側に位置している。ガイド筒部34の上端部における内周面には、径方向内側に突出する係合突起が形成されている。
本実施形態においてシリンダ31と装着筒部33とガイド筒部34とは、一体に形成されている。
【0023】
ステム35は、上方付勢状態で下方移動可能である。本実施形態においてステム35は、付勢部材38によって上方付勢状態とされている。ステム35は、第1ステム部材35aと、第2ステム部材35bと、第3ステム部材35cと、を備えている。
第1ステム部材35aは、容器軸Oと同軸に配置され、上下方向に延びる円筒状である。第1ステム部材35aは、ピストン32の上側部分の径方向外側に位置している。第1ステム部材35aは、ピストン32の外周面と連結されている。本実施形態において第1ステム部材35aは、ピストン32と一体に形成されている。
第2ステム部材35bは、容器軸Oと同軸に配置され、上下方向に延びる円筒状である。第2ステム部材35bは、第1ステム部材35aの径方向外側に位置している。第2ステム部材35bの下側部分は、シリンダ31の内部に挿入されている。図示は省略するが、第2ステム部材35bの下側部分は、シリンダ31とピストン32との径方向の間に位置している。
【0024】
第3ステム部材35cは、第1ステム部材35aの上方に位置する天板部35dと、天板部35dの径方向外縁部から下方に突出する筒部35eと、を備えている。
天板部35dは、容器軸Oと同軸に配置された円環板状である。天板部35dの径方向内側は、ピストン32の上端部によって開放可能に閉塞されている。
筒部35eは、第1ステム部材35aと第2ステム部材35bとの径方向の間に位置している。筒部35eは、第2ステム部材35bの径方向内側に嵌合されている。筒部35eの内周面には、第1ステム部材35aが上下方向に摺動自在に接触している。
なお、本明細書において「ステム」とは、上方付勢状態で下方移動可能であり、かつ、下方に移動されることにより、吐出孔から内容物を吐出させることが可能な構造を有する部分である。
【0025】
頭部36は、ステム35の上方に固定されている。頭部36は、頭部本体36aと、頭部カバー36bと、を備えている。
頭部本体36aは、頂壁部36cと、摺動筒部36dと、周壁部36eと、を備えている。
頂壁部36cは、ステム35の上方を覆っている。図示は省略するが、頂壁部36cは、上方から見て、容器軸Oと同軸に配置された円形状である。頂壁部36cには、頂壁部36cの外周面から径方向内側に窪むノズル収容部36fが形成されている。ノズル収容部36fの径方向内側の端部は、天板部35dの径方向内側を介して、ステム35の内部およびシリンダ31の内部と連通可能である。
【0026】
摺動筒部36dは、頂壁部36cから下方に突出している。摺動筒部36dは、下方に開口し、容器軸Oと同軸に配置された円筒状である。摺動筒部36dは、ガイド筒部34の径方向内側に嵌合されている。摺動筒部36dは、ガイド筒部34に対して、上下方向に摺動可能である。摺動筒部36dの下端部の外周面には、径方向外側に突出する係合突起が形成されている。摺動筒部36dの係合突起は、ガイド筒部34の係合突起に対して下方から係合している。これにより、付勢部材38によって上方付勢状態であっても、ステム35および頭部36が装着筒部33から上方に抜けることが規制されている。
【0027】
周壁部36eは、頂壁部36cの径方向外縁部から下方に突出している。周壁部36eは、摺動筒部36dの径方向外側に位置している。
頭部カバー36bは、下方に開口する有蓋の筒状である。頭部カバー36bは、容器軸Oと同軸に配置されている。頭部カバー36bは、頭部本体36aに外嵌されて固定されている。頭部カバー36bは、頭部本体36aの上面と、ノズル収容部36fが開口する部分を除いた頭部本体36aの外周面と、を覆っている。
【0028】
ノズル37は、ノズル収容部36fに収容されている。ノズル37は、径方向に延びる筒状であり、径方向外側に底部を有する。ノズル37は、ノズル収容部36fに嵌合されて固定されている。ノズル37の底部の中央には、ノズル37の底部を径方向に貫通する吐出孔37aが形成されている。
付勢部材38は、上下方向に延びるコイルスプリングである。付勢部材38は、シリンダ31の内部に収容されている。付勢部材38の径方向内側には、ピストン32が通されている。付勢部材38は、上端部がピストン32と第1ステム部材35aとの連結部に接触しており、第1ステム部材35aに上方向きの弾性力を加えている。これにより、付勢部材38によって、ステム35が上方に付勢された状態となる。
吸引筒39は、上端部がシリンダ31の下端部内に嵌入されている。吸引筒39は、シリンダ31から下方に突出している。吸引筒39は、両端が開口している。吸引筒39の下端部は、内容物に浸漬されている。
【0029】
吐出器30は、ステム35が下方に移動されることにより、吐出孔37aから内容物を吐出する。本実施形態において吐出器30は、例えば、蓄圧式の吐出器である。より具体的には、頭部36を介してステム35が下方に移動されると、吐出器30内の圧力の変動により、ピストン32が天板部35dの径方向内側を開放する。これにより、吸引筒39、シリンダ31、およびステム35を通って内容物がノズル収容部36fまで流入し、吐出孔37aから吐出される。
【0030】
ケース11は、上方に開口する有底の円筒状である。ケース11は、内筒40と、環状部材60と、回転筒50と、外筒70と、下カバー81と、上カバー82と、を備えている。
内筒40は、上方に開口する有底筒状である。内筒40は、容器軸Oと同軸に配置され、上下方向に延びる円筒状である。内筒40は、容器本体20の径方向外側に位置している。内筒40は、容器本体20に装着されている。内筒40は、内筒本体41と、底部44と、支持突起45と、を備えている。内筒本体41は、小径部42と、大径部43と、を備えている。
【0031】
小径部42は、内筒本体41の下側部分である。小径部42の下端部は、内筒本体41の下端部である。小径部42には、
図2および
図3に示すように、周方向に沿って複数のスリット(貫通部)42aが形成されている。複数のスリット42aは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。スリット42aは、例えば、4つ形成されている。スリット42aは、小径部42の外周面から小径部42の内周面までを貫通している。すなわち、本実施形態においてスリット42aは、内筒40を外周面から内周面まで貫通する貫通部である。
図4に示すように、スリット42aは、上下方向に延びている。スリット42aは、小径部42の下端部から上端部まで延びている。スリット42aは、底部44を上下方向に貫通し、底部44の下方に開口している。
図2および
図3に示すように、スリット42aの周方向の寸法は、小径部42の外周面から小径部42の内周面まで径方向内側に向かうに従って小さくなっている。
【0032】
大径部43は、
図4に示すように、内筒本体41の上側部分である。大径部43の上端部は、内筒本体41の上端部である。大径部43は、小径部42の上方に繋がっている。大径部43の外径は、小径部42の外径よりも大きい。本実施形態において大径部43の上下方向の寸法は、小径部42の上下方向の寸法よりも小さい。
大径部43の外周面には、螺旋状に延びる凹部46が形成されている。本実施形態において凹部46は、径方向内側に溝底面を有する溝である。すなわち、凹部46は、大径部43の壁部を径方向に貫通していない。図示は省略するが、凹部46は、容器軸Oを挟んで一対設けられている。なお、凹部46は、大径部43の壁部を径方向に貫通していてもよい。
【0033】
凹部46は、凹部本体46aと、第1端部46bと、第2端部46cと、を有している。
凹部本体46aは、周方向一方側に向かうに従って上方に位置する螺旋状である。径方向外側から見て、凹部本体46aは、上下方向に対して斜めに傾く直線状である。
第1端部46bは、凹部本体46aの周方向一方側に繋がる。第1端部46bは、凹部本体46aの周方向一方側の端部から周方向一方側に突出している。第1端部46bは、大径部43の上方に開口する開口部46dを有している。第2端部46cは、凹部本体46aの周方向他方側に繋がる。第2端部46cは、凹部本体46aの周方向他方側の端部から周方向他方側に突出している。第2端部46cは、第1端部46bよりも下方に位置している。第1端部46bと第2端部46cとは、周方向に沿って90°間隔を空けて配置されている。
なお、本実施形態において周方向一方側とは、上方から見て容器軸Oを中心として反時計回りに進む側であり、周方向他方側とは、上方から見て容器軸Oを中心として時計回りに進む側である。
【0034】
第1端部46bと凹部本体46aとの連結部分の内側面には、突起部47が形成されている。本明細書において、第1端部46bと凹部本体46aとの連結部分とは、第1端部46bと凹部本体46aとの厳密な境界部分と、第1端部46bのうち凹部本体46a側の端部と、凹部本体46aのうち第1端部46b側の端部と、を含む。本実施形態において突起部47は、第1端部46bの内側面のうち下側の面における凹部本体46a側の端部に形成されており、上方に向けて突出している。
【0035】
底部44は、内筒本体41の下端部に設けられている。底部44は、
図1に示すように、容器本体20の下方を覆っている。内筒40の底部44と容器本体20の底部22との上下方向の間には、隙間が設けられている。
支持突起45は、小径部42の外周面から径方向外側に突出している。
図4に示すように、支持突起45は、周方向に沿って複数設けられている。支持突起45は、大径部43から下方に離れて配置されている。支持突起45の径方向外端部は、大径部43の外周面よりも径方向内側に位置している。
【0036】
環状部材60は、内筒40に装着されている。
図3に示すように、環状部材60は、容器軸Oと同軸に配置された円環状である。環状部材60は、弾性部材である。環状部材60の材質は、例えば、ゴム等のエラストマーである。環状部材60は、環状部材本体61と、保持部62と、接触部63と、を備えている。
環状部材本体61は、上下方向両側に開口する円筒状である。環状部材本体61は、内筒40を囲んでいる。
図5に示すように、本実施形態において環状部材本体61は、小径部42の上端部を囲んでいる。環状部材本体61の下端部は、支持突起45によって下方から支持されている。環状部材本体61の上端部は、大径部43の下端面と接触している。これにより、環状部材60は、支持突起45と大径部43とに挟持されて、内筒40に保持されている。
【0037】
保持部62は、環状部材本体61の内周面から径方向内側に突出している。
図5に示すように、保持部62は、上下方向に延びている。保持部62の上端部は、環状部材本体61の上端部と上下方向において同じ位置に配置されている。保持部62の下端部は、環状部材本体61の下端部よりも上方に配置されている。本実施形態においては、環状部材60が内筒40に装着されることで、保持部62は、内筒40に設けられている。
【0038】
保持部62は、
図3に示すように、基部62aと、保持部本体62bと、を備えている。
基部62aは、環状部材本体61の内周面に繋がる部分である。基部62aは、スリット42aの内部に嵌合されている。これにより、環状部材60が内筒40に対して周方向に相対回転することが規制されている。
保持部本体62bは、基部62aの周方向の中央から径方向内側に突出している。保持部本体62bの周方向の寸法は、基部62aの周方向の寸法よりも小さい。保持部本体62bは、スリット42aを介して内筒40の内周面よりも径方向内側に突出している。保持部本体62bの径方向内側の端部は、容器本体20における胴部21の外周面と接触している。すなわち、保持部62は、スリット42aを通って容器本体20の外周面と接触している。保持部本体62bは、容器本体20と接触した状態において径方向に圧縮弾性変形している。
【0039】
本実施形態において保持部62は、周方向に沿って複数設けられている。複数の保持部62は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。保持部62は、例えば、4つ設けられている。4つの保持部62は、容器本体20を囲んでいる。本実施形態では、容器本体20を囲む4つの保持部62の保持部本体62bがそれぞれ圧縮弾性変形して保持部62に対して径方向内側向きの弾性力を加えている。これにより、保持部62は、径方向内側向きに弾性力を加えて容器本体20を保持している。
【0040】
接触部63は、
図5に示すように、環状部材本体61の下端部から径方向外側に突出している。接触部63は、径方向外側の端部が回転筒50の内周面に接触する。
図3に示すように、接触部63は、周方向に延びている。本実施形態において接触部63は、周方向に沿って複数設けられている。複数の接触部63は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。接触部63は、例えば、4つ設けられている。4つの接触部63の周方向位置は、4つの保持部62の周方向位置とそれぞれ同じである。
【0041】
回転筒50は、
図1に示すように、容器軸Oと同軸に配置される有底の円筒状である。回転筒50は、内筒40の径方向外側に位置している。回転筒50の内部には、内筒40が挿入されている。回転筒50は、回転可能に配置されている。回転筒50は、回転筒本体51と、底部52と、固定部53と、嵌合部54と、を備えている。
回転筒本体51は、容器軸Oと同軸に配置される円筒状である。回転筒本体51の内周面は、環状部材本体61の外周面よりも径方向外側に離れて位置している。回転筒本体51の上端部は、内筒本体41の上端部よりも下方に位置している。
【0042】
底部52は、回転筒本体51の下端部に設けられている。底部52は、内筒40の下方を覆っている。回転筒50の底部52と内筒40の底部44との上下方向の間には、隙間が設けられている。
固定部53は、回転筒本体51の外周面から径方向外側に突出している。固定部53は、下カバー81の内周面に固定されている。
【0043】
嵌合部54は、回転筒本体51の内周面から径方向内側に突出している。
図2に示すように、嵌合部54は、一対の嵌合リブ54a,54bを備えている。一対の嵌合リブ54a,54bは、周方向に隙間を介して対向している。
図1および
図2に示すように、嵌合リブ54aは、板面が周方向を向く板状であり、上下方向に延びている。嵌合リブ54aの下端部は、底部52に繋がっている。嵌合リブ54aの上端部は、支持突起45の下端部と上下方向において同じ位置に配置されている。図示は省略するが、嵌合リブ54bの形状は、嵌合リブ54aの形状と同様である。
【0044】
図2に示すように、嵌合部54は、周方向に沿って複数設けられている。複数の嵌合部54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。嵌合部54は、例えば、4つ設けられている。複数の嵌合部54のそれぞれは、複数のスリット42aのそれぞれに嵌合されている。嵌合リブ54aは、スリット42aの内側面のうち周方向一方側の側面と接触している。嵌合リブ54bは、スリット42aの内側面のうち周方向他方側の側面と接触している。これにより、嵌合部54がスリット42aの周方向側面に引っ掛かり、回転筒50と内筒40とは、互いに相対回転が規制される。したがって、回転筒50が回転するのに伴って、内筒40も回転する。回転筒50と内筒40とは、上下方向において互いに相対移動可能である。
【0045】
外筒70は、
図1に示すように、容器軸Oと同軸に配置される円筒状である。外筒70は、上下方向両側に開口している。外筒70は、回転筒50の上方に位置している。外筒70は、内筒40の径方向外側に位置している。外筒70は、下筒部71と、突出円環部72と、上筒部73と、凸部74と、を備えている。
下筒部71は、外筒70の下側部分である。下筒部71の下端部は、外筒70の下端部である。下筒部71の下側部分は、回転筒本体51に外嵌されている。下筒部71と回転筒本体51とは、アンダーカット嵌合されている。これにより、回転筒50と外筒70とは、互いに相対回転可能に上下方向に連結されている。
【0046】
下筒部71の内周面の下側部分には、径方向外側に窪む段差部71aが形成されている。これにより、下筒部71の内径は、下側部分において大きくなっている。段差部71aにおける下方を向く段差面には、回転筒本体51の上端部が接触している。下筒部71の下端部は、回転筒50の固定部53の上方に対向して配置されている。
突出円環部72は、下筒部71の上端部から径方向内側に突出している。突出円環部72は、容器軸Oと同軸に配置された円環状である。突出円環部72の内径は、容器本体20の外径よりも大きい。本実施形態において突出円環部72の内径は、容器本体20の外径とほぼ同じである。突出円環部72の径方向内側の端部における上方には、吐出器30の頭部36における周壁部36eが位置している。
【0047】
上筒部73は、外筒70の上側部分である。上筒部73の上端部は、外筒70の上端部である。上筒部73は、突出円環部72から上方に延びている。上筒部73は、突出円環部72の径方向内側の端部よりも径方向外側で、下筒部71よりも径方向内側に位置している。上筒部73の外径は、下筒部71の外径よりも小さい。上筒部73の内径は、下筒部71の内径よりも小さい。上筒部73の内径は、吐出器30の頭部36の外径よりも大きい。本実施形態において上筒部73の内径は、吐出器30の頭部36の外径とほぼ同じである。上筒部73の径方向の厚さは、下筒部71の径方向の厚さよりも小さい。上筒部73の上下方向の寸法は、下筒部71の上下方向の寸法よりも小さい。
【0048】
凸部74は、下筒部71の内周面から径方向内側に突出している。凸部74は、段差部71aよりも上方に位置している。凸部74の径方向内側の端部は、突出円環部72の径方向内側の端部よりも径方向外側に位置している。図示は省略するが、凸部74は、容器軸Oを挟んで一対設けられる。一対の凸部74は、一対の凹部46のそれぞれに挿入されている。回転筒50の回転に伴って内筒40が回転すると、凸部74は、螺旋状に延びる凹部46に沿って凹部46内を相対移動する。
【0049】
下カバー81は、容器軸Oと同軸に配置される有底の円筒状である。下カバー81は、上方に開口している。下カバー81は、回転筒50の径方向外側に位置し、回転筒50を収容している。下カバー81の内周面における上端部は、回転筒50の固定部53の外周面と固定されている。これにより、下カバー81は、回転筒50と固定されている。したがって、下カバー81を回転させることで、回転筒50を回転させることができる。
【0050】
上カバー82は、外筒70の径方向外側に位置し、外筒70を収容している。上カバー82は、上下方向両側に開口している。上カバー82は、上カバー本体82aと、円環板部82bと、を備えている。
上カバー本体82aは、容器軸Oと同軸に配置された円筒状である。上カバー本体82aは、外筒70の下筒部71に外嵌されて固定されている。
円環板部82bは、上カバー本体82aの上端部から径方向内側に突出している。円環板部82bは、容器軸Oと同軸に配置された円環板状である。円環板部82bは、外筒70の上筒部73の上方を覆っている。円環板部82bの内径は、上筒部73の内径と同じである。
【0051】
容器本体20および吐出器30は、ケース11に対して挿抜可能である。より具体的には、容器本体20および吐出器30は、容器本体20の外周面に接触する保持部62によってのみケース11内に保持されており、容器本体20の各部および吐出器30の各部がそれぞれ収容されるケース11の部分からケース11の上端部までの間において、ケース11の内径は、各部の外径とほぼ同じ、または大きい。そのため、保持部62から加えられる弾性力によって生じる容器本体20と保持部62との間の摩擦力に抗して、容器本体20を上方に引き抜くことで、容器本体20をケース11の内部から引き抜くことが可能である。また、同様に、容器本体20および吐出器30をケース11の上方開口から挿入することで、ケース11内に容器本体20を配置することも可能である。
【0052】
吐出容器10を使用する使用者は、吐出容器10を非使用状態(第1状態)と使用状態(第2状態)とに切り替えることができる。非使用状態は、吐出容器10から内容物を吐出させることができない状態である。使用状態は、吐出容器10から内容物を吐出させることが可能な状態である。
図1は、非使用状態である場合の吐出容器10を示している。
図5および
図6は、使用状態である場合の吐出容器10を示している。なお、本実施形態において非使用状態は、第1状態に相当し、使用状態は、第2状態に相当する。
【0053】
図1に示すように、吐出容器10が非使用状態である場合、吐出器30は、ケース11の内部に埋没した状態となっている。吐出器30の頭部36は、外筒70の上筒部73の径方向内側に収容されている。非使用状態において、頭部36の上面は、上カバー82の上面と上下方向において同じ位置に配置されている。非使用状態において、凸部74は、凹部46のうち第1端部46bに位置している。すなわち、凸部74が第1端部46bに位置する場合に、吐出容器10は、吐出器30がケース11の内部に埋没する状態となる。非使用状態において、吐出器30の頭部36における周壁部36eの下端部は、突出円環部72の径方向内側の端部における上面に接触している。
【0054】
一方、
図5および
図6に示すように、吐出容器10が使用状態である場合、吐出器30の上端部はケース11よりも上方に突出している。本実施形態の使用状態においては、吐出器30の頭部36のほぼ全体がケース11よりも上方に突出している。使用状態においては、吐出孔37aは、ケース11の外部に露出している。
使用状態において使用者は、
図6に示すように、吐出器30の頭部36を下方に押圧して、ステム35を下方に移動させることにより、吐出孔37aから内容物を吐出させることができる。なお、この際、例えば、容器本体20が下方に押されることによって、容器本体20の底部22が内筒40の底部44と接触する。このとき、保持部62は、例えば、上下方向にせん断変形した状態となっている。
【0055】
使用者は、下カバー81を介して回転筒50を容器軸O回りに回転させることで、吐出容器10を非使用状態と使用状態との間で切り替えることができる。以下、詳細に説明する。
図1に示す非使用状態から、下カバー81を介して回転筒50を上方から見て反時計回りに回転させると、回転筒50と共に内筒40が回転し、凸部74は、凹部46内を第1端部46bから第2端部46cへと向かう向きに相対移動する。これにより、外筒70に対して内筒40が上方に押し上げられ、内筒40に装着された容器本体20および容器本体20に装着された吐出器30も上方に押し上げられる。そして、凸部74が第2端部46cまで到達すると、吐出容器10は、
図5に示す使用状態となる。
【0056】
一方、使用状態から、下カバー81を介して回転筒50を上方から見て時計回りに回転させると、回転筒50と共に内筒40が回転し、凸部74は、凹部46内を第2端部46cから第1端部46bへと向かう向きに相対移動する。これにより、内筒40と容器本体20と吐出器30とが下方へと移動され、吐出容器10を再び非使用状態にすることができる。
このように、吐出容器10においては、回転筒50の回転に伴って凸部74が凹部46を相対移動することにより、外筒70に対して内筒40と容器本体20と吐出器30とが上下方向に相対移動して、非使用状態と、使用状態とが、切り替えられる。
【0057】
本実施形態によれば、容器本体20の外周面に保持部62を接触させることで径方向内側向きに弾性力を加えて容器本体20をケース11内に保持しており、容器本体20および吐出器30をケース11から挿抜可能である。そのため、容器本体20および吐出器30を上方に引張することで、容易に容器本体20および吐出器30をケース11から取り出すことができる。このとき、吐出容器10の状態は使用状態であり、使用者は、頭部36を手指等で摘まむことにより、容器本体20および吐出器30を上方に引張する。また、容器本体20および吐出器30をケース11の上方開口から挿入することで、容易に容器本体20および吐出器30をケース11内に保持させることができる。したがって、本実施形態によれば、ケース11を回転させることで、吐出器30がケース11の内部に収容された非使用状態と、吐出器30の上端部がケース11の外部に露出した使用状態とを切り替え可能な吐出容器であって、容器本体20の着脱が容易な吐出容器10が得られる。これにより、容器本体20内の内容物を使い切った後に、容器本体20をケース11から外して、内容物が充填された新たな容器本体20と入れ替える、または容器本体20に内容物を再充填することが容易である。
【0058】
本実施形態では、例えば、
図7に示すようなリフィル100をケース11に差し込むことで、容器本体20を交換することができる。リフィル100は、容器本体20と、吐出器30と、ストッパ90と、を備えている。ストッパ90は、頭部36と装着筒部33のフランジ部33aとの間に挟まれている。ストッパ90により、頭部36が容器本体20に対して下方に移動することを規制できる。これにより、リフィル100の流通時に頭部36が押されて内容物が吐出されることが抑制される。使用者は、リフィル100からストッパ90を取り外した後に、容器本体20の底部22から容器本体20および吐出器30をケース11に挿入することで、容器本体20および吐出器30を交換することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、非使用状態において吐出器30をケース11内に埋没できるため、吐出容器10を非使用状態としておくことにより、吐出器30の頭部36が不意に押されて内容物が吐出されることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、非使用状態において、吐出器30の頭部36における周壁部36eの下端部は、突出円環部72の径方向内側の端部における上面に接触している。そのため、非使用状態において頭部36を下方に押し込もうとしても、頭部36およびステム35が下方に移動することを抑制できる。これにより、非使用状態において内容物が吐出されることをより抑制できる。
【0060】
また、本実施形態によれば、容器本体20の底部22と内筒40の底部44との上下方向の間には、隙間が設けられている。そのため、非使用状態において頭部36が押されて頭部36およびステム35が下方に移動した場合であっても、容器本体20自体も当該隙間分だけ下方に移動させることができる。これにより、容器本体20に対するステム35の下方への相対移動を抑制することができ、内容物が吐出されることを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、内筒40に装着される環状部材60には、回転筒50に接触する接触部63が設けられている。そのため、内筒40が回転筒50に対して上下方向に移動する際に、接触部63が回転筒50の内周面に擦れる。これにより、下カバー81を介して回転筒50を回転させる使用者には、適度な摺動抵抗が伝わる。したがって、吐出容器10の非使用状態と使用状態とを切り替える際の操作において、使用者に高級感を与えることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、回転筒50の回転に伴って凸部74が凹部46内を相対移動することにより、内筒40は、外筒70に対して上下方向に相対移動する。そのため、回転筒50を回転させることで、容易に内筒40を上下方向に相対移動させることができる。したがって、吐出容器10の状態の切り替えが容易である。
【0063】
また、本実施形態によれば、凹部46は、溝底面を有する溝であり、内筒40の外周面に設けられている。そのため、凹部46が内筒40の壁部を貫通するような場合に比べて、内筒40の強度が低下することを抑制できる。これにより、吐出容器10の非使用状態と使用状態とを切り替える際に、内筒40および凹部46が歪むことを抑制でき、凸部74を凹部46に沿って滑らかに相対移動させることができる。したがって、吐出容器10の状態を滑らかに切り替えやすい。
【0064】
また、本実施形態によれば、凹部46における第1端部46bと凹部本体46aとの連結部分の内側面には、突起部47が形成されている。そのため、使用者が吐出容器10を使用状態から非使用状態にする場合において、凸部74は、突起部47を乗り越えることで、凹部本体46aから第1端部46bに移動する。これにより、吐出容器10を非使用状態にした際に、使用者には、凸部74が突起部47を乗り越えることによるクリック感が伝達される。したがって、使用者は、吐出容器10が非使用状態になったことを触感から認識することができ、吐出容器10が非使用状態になったことを認識しやすい。また、非使用状態から使用状態へと切り替える際には、凸部74が突起部47を乗り越える必要がある。そのため、凸部74が突起部47に引っ掛かり、使用者による回転操作によらず不意に回転筒50が回転することを抑制することができる。これにより、意図せず吐出容器10が使用状態となることを抑制でき、不意な内容物の吐出を抑制できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、環状部材60の材質は、ゴム等のエラストマーである。そのため、環状部材60は、ゴム弾性を有しており、弾性限界が比較的大きい。これにより、容器本体20がケース11に挿入されて保持部62が圧縮弾性変形した後に、保持部62が復元変形しなくなることを抑制できる。したがって、保持部62によって容器本体20に好適に弾性力を与えることができ、容器本体20を好適に保持できる。また、容器本体20の外径にバラつきが生じるような場合であっても、バラつきを保持部62の弾性変形によって好適に吸収しつつ、容器本体20を好適に保持することができる。なお、容器本体20の材質がガラスであるような場合に、容器本体20の外径は特にバラつきやすい。そのため、容器本体20の材質がガラスであるような場合に、環状部材60の材質をゴム等のエラストマーとする効果をより有用に得られる。
【0066】
また、本実施形態によれば、容器本体20がケース11によって覆われているため、容器本体20が外部に露出しない。そのため、吐出容器10の高級感を向上させることができる。
【0067】
<第2実施形態>
本実施形態は、第1実施形態に対して、保持部の形状が異なる。なお、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
図8に示すように、本実施形態の吐出容器110のケース111は、内筒140と、回転筒150と、外筒70と、下カバー81と、上カバー82と、を備えている。本実施形態のケース111は、第1実施形態と異なり、環状部材60を備えていない。なお、
図8では、吐出容器110が非使用状態である場合について示している。
【0068】
内筒140の内筒本体141は、小径部142と、大径部143と、を備えている。
小径部142には、
図9および
図10に示すように、小径部142の壁部を径方向に貫通する貫通孔142aが形成されている。貫通孔142aは、周方向に沿って複数形成されている。本実施形態においては、4つの貫通孔142aが周方向に沿って一周に亘ってほぼ等間隔に形成されている。
【0069】
周方向に隣り合う貫通孔142a同士の間の部分のうち径方向に対向する一対の柱部142bのそれぞれからは、一対の腕部147が周方向両側に突出している。一対の腕部147は、柱部142bの周方向両側に隣り合う貫通孔142aに向けて突出している。腕部147は、柱部142bの上下方向の中央部から周方向両側に突出している。各腕部147の先端部には、径方向内側に突出する保持部148が設けられている。保持部148は、容器本体20の外周面に接触している。本実施形態においては、例えば、腕部147が径方向外側に弾性変形することで、保持部148は、容器本体20に径方向内側向きの弾性力を加えている。これにより、保持部148は、容器本体20を保持している。
【0070】
大径部143は、
図9に示すように、第1実施形態の大径部43に比べて、上下方向の寸法が大きい。本実施形態において大径部143の上下方向の寸法は、小径部142の上下方向の寸法よりも大きい。大径部143の上側部分には、凹部46が形成されている。大径部143の下側部分の外周面には、上下方向に延びる溝143aが形成されている。溝143aは、大径部143の外周面のうち凹部46よりも下方に位置する部分から大径部143の下端部まで直線状に延びている。
図11に示すように、溝143aは、容器軸Oを挟んで一対形成されている。
【0071】
回転筒150は、
図8に示すように、上下方向両側に開口し、容器軸Oと同軸に配置された円筒状である。回転筒150は、第1実施形態の回転筒50と異なり、底部を有していない。回転筒本体51の内周面には、径方向内側に突出する嵌合リブ154が形成されている。嵌合リブ154は、回転筒本体51における上下方向の略中央部分に形成されている。嵌合リブ154は、溝143aに嵌合されている。これにより、回転筒150と内筒140とは、互いに相対回転が規制されている。
図11に示すように、嵌合リブ154は、容器軸Oを挟んで一対設けられている。一対の嵌合リブ154は、一対の溝143aにそれぞれ嵌合されている。
【0072】
本実施形態においても、容器本体20および吐出器30は、ケース111に対して挿抜可能であり、容器本体20の着脱が容易である。そのため、第1実施形態と同様に、容器本体20内の内容物を使い切った後に、容器本体20をケース111から外して、内容物が充填された新たな容器本体20と入れ替える、または容器本体20に内容物を再充填することが容易である。本実施形態では、例えば、リフィル100と交換するのではなく、容器本体20をケース111から取り出した後に、容器本体20から吐出器30を外して、容器本体20内に再度内容物を充填する。
本実施形態のその他の構成は、第1実施形態のその他の構成と同様である。
【0073】
本実施形態によれば、環状部材60が設けられず、保持部148が内筒140に一体成形されている。そのため、吐出容器110の部品点数を低減することができ、吐出容器110の製造コストを低減できる。
また、本実施形態によれば、容器本体20に再度内容物を充填するため、同じ容器本体20を再度利用する。そのため、再びケース111内に挿入して配置する容器本体20の外径が変わらず、保持部148による容器本体20の保持を安定させることができる。これにより、例えば、第1実施形態のように保持部148をゴム等のエラストマー製としなくても、容器本体20を好適に保持しやすい。
【0074】
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
上述した第1実施形態および第2実施形態において螺旋状に延びる凹部は、内筒の外周面に形成され、凹部に挿入される凸部は、外筒の内周面に形成される構成としたが、これに限られない。螺旋状に延びる凹部が外筒の内周面に形成され、凹部に挿入される凸部が内筒の外周面に形成される構成であってもよい。また、凹部と凸部との一方が回転筒の内周面に形成され、凹部と凸部との他方が内筒の外周面に形成される構成であってもよい。この場合、回転筒と内筒とは、互いに相対回転可能である。また、凹部は、凹部が設けられた各筒の壁部を径方向に貫通してもよい。
【0075】
容器本体の外周面に接触する保持部の数は、特に限定されない。保持部の形状は、特に限定されない。例えば、保持部は、環状であってもよい。
吐出器は、ステムを下方に移動させることによって内容物が吐出孔から吐出される構成であるならば、特に限定されない。吐出器は、蓄圧式以外の方式の吐出器であってもよい。ステムは、上方付勢状態で下方移動可能であり、かつ、下方に移動されることにより、吐出孔から内容物を吐出させることが可能であるならば、どのような構造であってもよい。
上述した第1実施形態においても、第2実施形態と同様に、取り外した容器本体20に内容物を再充填してもよい。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、取り外した容器本体20および吐出器30をリフィル100と交換してもよい。
なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0076】
10,110…吐出容器、11,111…ケース、20…容器本体、24…口部、30…吐出器、35…ステム、37a…吐出孔、40,140…内筒、42a…スリット(貫通部)、46…凹部、46a…凹部本体、46b…第1端部、46c…第2端部、47…突起部、50,150…回転筒、60…環状部材、61…環状部材本体、62,148…保持部、63…接触部、70…外筒、74…凸部、142a…貫通孔、142b…柱部、147…腕部、O…容器軸