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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】検査方法及び検査システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220708BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/66 X
G01R31/28 K
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018177401
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020047889
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】新井 治
(72)【発明者】
【氏名】神谷 浩
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7024066(US,B1)
【文献】特開2011-242216(JP,A)
【文献】特開2011-242218(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0042225(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259848(US,A1)
【文献】米国特許第6075592(US,A)
【文献】特開2017-069428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26 -31/3193
G01R 1/067- 1/073
H01L 21/67 -21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号が伝搬する電気信号端子及び光信号が伝搬する光信号端子を有する半導体素子が形成された被検査体の検査方法であって、
前記半導体素子の前記電気信号端子と電気接続子を電気的に接続すると共に、前記半導体素子の前記光信号端子と光接続子を光学的に接続するステップと、
前記被検査体に形成されたモニタ用素子について、入力したテスト入力信号に応答して出力されるテスト光出力信号を前記被検査体の位置及び傾きの条件を調整しながら測定し、前記テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である条件を検査条件として抽出するステップと、
前記検査条件において前記半導体素子を検査するステップと
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
条件を調整しながら測定した中で前記テスト光出力信号の光強度が最大である条件を前記検査条件とすることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記検査条件において複数の前記半導体素子を同時に検査することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記モニタ用素子が、前記被検査体の前記半導体素子の形成された領域の残余の領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項5】
前記モニタ用素子が光導波路であることを特徴とする請求項4に記載の検査方法。
【請求項6】
前記モニタ用素子が、前記被検査体に形成された複数の前記半導体素子から選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項7】
前記被検査体を分割したブロックのそれぞれについて前記モニタ用素子を配置し、前記ブロックごとに前記半導体素子を検査することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項8】
前記電気接続子及び前記光接続子が配置されたプローブカードを用いて、前記半導体素子の前記電気信号端子と前記電気接続子を電気的に接続させ、かつ前記半導体素子の前記光信号端子と前記光接続子を光学的に接続させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項9】
前記被検査体が搭載され、前記被検査体の位置及び傾きを調整するプローバを用いて、前記半導体素子の前記電気信号端子と前記電気接続子を電気的に接続すると共に、前記半導体素子の前記光信号端子と前記光接続子を光学的に接続することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項10】
電気信号が伝搬する電気信号端子及び光信号が伝搬する光信号端子を含む信号端子群を有する半導体素子が形成された被検査体の検査に使用される検査システムであって、
前記半導体素子の前記電気信号端子と電気的に接続される電気接続子、及び前記半導体素子の前記光信号端子と光学的に接続される光接続子を含む接続子群が配置されたプローブカードと、
前記被検査体が搭載され、前記接続子群が前記半導体素子の前記信号端子群と接続するように、前記被検査体の位置及び傾きを調整するプローバと、
前記接続子群を介して伝搬される電気信号及び光信号によって前記半導体素子の特性を検査するテスタと
を備え、
前記プローバによって前記被検査体の位置及び傾きの条件を調整しながら、前記被検査体に形成されたモニタ用素子について、入力したテスト入力信号に応答して出力されるテスト光出力信号を測定し、前記テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である条件を検査条件として抽出し、
前記検査条件において前記半導体素子を検査する
ことを特徴とする検査システム。
【請求項11】
条件を調整しながら測定した中で前記テスト光出力信号の光強度が最大である条件を前記検査条件とすることを特徴とする請求項10に記載の検査システム。
【請求項12】
前記検査条件において複数の前記半導体素子を同時に検査することを特徴とする請求項10又は11に記載の検査システム。
【請求項13】
前記モニタ用素子が、前記被検査体の前記半導体素子の形成された領域の残余の領域に形成され、
前記プローブカードに、前記テスト入力信号が伝搬するテスト入力用接続子と前記テスト光出力信号が伝搬するテスト出力用接続子が配置されている
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項14】
前記モニタ用素子が光導波路であることを特徴とする請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
前記モニタ用素子が、前記被検査体に形成された複数の前記半導体素子から選択されることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項16】
前記テスタが、
前記半導体素子の電気特性を検査する電気特性検査ユニットと、
前記半導体素子の光学特性を検査する光学特性検査ユニットと
を備え、
前記電気特性検査ユニット及び前記光学特性検査ユニットの少なくともいずれかが、前記モニタ用素子に前記テスト入力信号を入力し、
前記光学特性検査ユニットが、前記モニタ用素子から出力される前記テスト光出力信号の光強度を検査する
ことを特徴とする請求項15に記載の検査システム。
【請求項17】
前記プローバが、
前記被検査体が搭載されるステージと、
前記ステージの前記被検査体を搭載する搭載面の位置及び傾斜角を調整する調整機構と
を備えることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項18】
前記プローバの前記被検査体の裏面と対向する搭載面に、前記被検査体の裏面に配置された信号端子と接続する接続子が配置されていることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の特性の検査に使用される検査方法及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンフォトニクス技術を用いて、電気信号が伝搬する電気回路と光信号が伝搬する光回路を有する半導体素子(以下、「光デバイス」という。)がシリコン基板などに形成される。光デバイスの特性をウェハ状態で検査するために、光信号を伝搬する光ファイバなどが使用されている。
【0003】
例えば、プローブ本体に保持した光ファイバの先端を近接させて検査対象の特性を取得する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2006/0008226A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の検査では、検査対象から出力される光信号の特性について十分な確認がされていない。このため、検査に要求される測定精度が得られていないという問題があった。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、光デバイスが形成された被検査体の測定精度を向上できる検査方法及び検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体素子の電気信号端子と電気接続子を電気的に接続すると共に、半導体素子の光信号端子と光接続子を光学的に接続するステップと、被検査体に形成されたモニタ用素子について、入力したテスト入力信号に応答して出力されるテスト光出力信号を被検査体の位置及び傾きの条件を調整しながら測定し、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である条件を検査条件として抽出するステップと、検査条件において半導体素子を検査するステップとを含む検査方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、半導体素子の電気信号端子と電気的に接続される電気接続子、及び半導体素子の光信号端子と光学的に接続される光接続子を含む接続子群が配置されたプローブカードと、被検査体が搭載され、接続子群が半導体素子の信号端子群と接続するように、被検査体の位置及び傾きを調整するプローバと、接続子群を介して伝搬される電気信号及び光信号によって半導体素子の特性を検査するテスタとを備え、プローバによって被検査体の位置及び傾きの条件を調整しながら、被検査体に形成されたモニタ用素子について入力したテスト入力信号に応答して出力されるテスト光出力信号を測定し、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である条件を検査条件として抽出し、検査条件において半導体素子を検査する検査システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光デバイスが形成された被検査体の測定精度を向上できる検査方法及び検査システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る検査方法を説明するためのフローチャートである。
図2】本発明の第1の実施形態に係る検査システムの構成を示す模式図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る検査方法に使用するモニタ用素子の例を示す模式図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る検査方法により検査条件を抽出する例を説明するための模式図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る検査方法により検査条件を抽出する他の例を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態に係る検査システムにより光デバイスを検査する方法の例を説明するための模式図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る検査方法の変形例を説明するための被検査体の模式的な平面図である。
図8図7に示した被検査体の検査方法を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施形態の変形例に係る検査システムの構成を示す模式図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る検査システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る検査方法は、電気信号が伝搬する電気信号端子及び光信号が伝搬する光信号端子を含む信号端子群を有する半導体素子(光デバイス)が形成された被検査体の検査に使用される。第1の実施形態に係る検査方法は、図1に示すように、被検査体をプローバに搭載するステップS10と、初期位置合わせをするステップS20と、高精度位置合わせをするステップS30と、光デバイスを検査するステップS40を含む。
【0013】
「初期位置合わせ」では、被検査体の信号端子と検査システムの接続子とを、一定の位置精度でおよその位置合わせをする。「高精度位置合わせ」では、所定の測定精度が得られるように、初期位置合わせよりも高い位置精度で光デバイスの信号端子と接続子を接続させる。
【0014】
第1の実施形態に係る検査方法は、例えば図2に示す検査システムによって実行可能である。このため、検査方法の詳細を説明する前に、図2に示した検査システムについて説明する。
【0015】
図2に示す検査システムは、プローブカード10、プローバ20、テスタ30、制御装置40を備え、被検査体100に形成された光デバイス110をウェハ状態で検査するために使用される。図2に示した例では、光デバイス110が、入射光の周波数や位相などの性質を変化させる光変調素子111と、入射光を検出する光検出素子112を含む。
【0016】
プローブカード10には、電気接続子50及び光接続子60を含む接続子群が配置されている。電気接続子50は、被検査体100に形成された光デバイス110の電気信号端子と電気的に接続される。光接続子60は、光デバイス110との間で光信号が伝搬するように、光デバイス110の光信号端子と光学的に接続される。光学的に接続することにより、光デバイス110の光信号端子と光接続子60との間で光信号が伝搬する。通常、光信号端子と光接続子60とは非接触である。例えば、光デバイス110の光信号端子と、この光信号端子に近接して配置された光接続子60との間で光信号が伝搬する。光信号端子と接触する光接続子60を使用してもよい。
【0017】
電気接続子50には、導電性の材料からなるプローブなどが好適に使用される。例えば、カンチレバー形のプローブやその他の形態のプローブが電気接続子50に用いられ、プローブの先端が光デバイス110の電気信号端子と接続される。電気接続子50に接続する電気配線711、721が、プローブカード10の内部に配置されている。
【0018】
光接続子60には、光ファイバなどが使用される。例えば、プローブカード10を貫通する光導波路部品81~83に光ファイバを使用する。そして、これらの光ファイバの先端部を、レンズ加工や研磨などの端末処理を施して光接続子60とする。このように、光デバイス110の光信号端子に先端部を近接させる光接続子60を、光導波路部品81~83と一体化してもよい。なお、光ファイバ以外の光導波路を有する光学部品を光接続子60や光導波路部品81~83に用いてもよいことはもちろんである。
【0019】
図2に示したプローブカード10は、カード側アライメントマーク15、テスト入力用接続子61及びテスト出力用接続子62を更に備える。テスト入力用接続子61及びテスト出力用接続子62は、光接続子60と同様の構成である。テスト入力用接続子61は光導波路部品84を介してテスタ30に接続され、テスト出力用接続子62は光導波路部品85を介してテスタ30に接続される。カード側アライメントマーク15、テスト入力用接続子61及びテスト出力用接続子62の詳細については後述する。
【0020】
プローブカード10には、光デバイス110に電気信号を入力させるドライバ11と、光デバイス110から出力される電気信号を増幅する増幅器12が配置されている。
【0021】
プローバ20は、被検査体100が搭載されるステージ21と、ステージ21の被検査体100が搭載される搭載面の位置及び傾斜角を調整する調整機構22を備える。プローブカード10に配置された接続子群のそれぞれと光デバイス110の信号端子群が接続するように、ステージ21に搭載された被検査体100の位置及び傾きが調整機構22によって調整される。調整機構22は、ステージ21の搭載面と同一平面レベルの位置(x方向、y方向)、高さ(z方向)、搭載面の面法線を中心軸とする回転方向、及び搭載面の傾きを調整する機能を備える。
【0022】
テスタ30は、プローブカード10の接続子群を介して伝搬される電気信号及び光信号によって、光デバイス110の特性を検査する。テスタ30は、光デバイス110の電気特性を検査する電気特性検査ユニット31と、光デバイス110の光学特性を検査する光学特性検査ユニット32を備える。
【0023】
電気特性検査ユニット31は、検査に必要な電気信号を出力する電気信号発生器311と、電気信号に基づいて電気特性を検査する電気信号検査装置312を備える。
【0024】
電気信号発生器311は、光デバイス110を駆動させるための駆動信号を出力する。駆動信号は、電気配線712を経由してドライバ11に入力する。そして、ドライバ11から、電気配線711及び電気接続子50を経由して、駆動信号が光デバイス110の電気信号端子に入力する。
【0025】
光デバイス110の電気信号端子から出力された出力信号は、電気接続子50及び電気配線721を経由して増幅器12に入力する。そして、増幅器12によって増幅された出力信号が、電気配線722を経由して電気信号検査装置312に入力する。電気信号検査装置312は、出力信号が所定の規格値を満足するか否かを検査する。
【0026】
光学特性検査ユニット32は、検査に必要な光信号を出力する光信号発生器321、光源322、及び、光信号に基づいて光学特性を検査する光信号検査装置323を備える。光源322から出射された光は、光導波路部品82及び光接続子60を経由して、光デバイス110の光信号端子に入射される。光源322には、発光ダイオード(LED)や半導体レーザなどが使用される。光信号発生器321及び光信号検査装置323は、光接続子60に接続する光導波路部品81、82を介して光デバイス110の光信号端子と光結合される。光信号検査装置323は、光デバイス110の光信号端子から出力される光信号が所定の規格値を満足するか否かを検査する。
【0027】
テスタ30は、電気信号検査装置312により得られた検査結果と、光信号検査装置323により得られた検査結果の両方が規定を満たす場合に、光デバイス110が良品であると判定する。検査内容に応じて、パワーメータ、電流計、電圧計、ファー・フィールド・パターン(FFP)測定装置などがテスタ30に使用される。
【0028】
制御装置40は、プローバ20及びテスタ30を制御する。即ち、制御装置40によってプローバ20の調整機構22が制御され、プローブカード10の接続子群と光デバイス110の信号端子群が接続する。そして、制御装置40の制御によって、テスタ30から電気信号及び光信号が出力され、光デバイス110から出力された電気信号及び光信号に基づいて光デバイス110の特性がテスタ30で評価される。
【0029】
図2に示すように、被検査体100には、ウェハ側アライメントマーク150及びモニタ用素子160が形成されている。後述するように、ウェハ側アライメントマーク150は初期位置合わせに使用され、モニタ用素子160は高精度位置合わせに使用される。
【0030】
以下に、図1を参照して、図2に示した検査システムを用いた被検査体100の検査方法を説明する。
【0031】
先ず、図1のステップS10において、被検査体100をプローバ20のステージ21の搭載面に搭載する。そして、ステップS20において初期位置合わせを行う。即ち、位置合わせ用カメラなどを用いて、カード側アライメントマーク15とウェハ側アライメントマーク150を認識する。そして、ウェハ側アライメントマーク150をカード側アライメントマーク15に合わせるように、調整機構22によってステージ21の位置を調整する。このように、光学的手法を用いた目視などによって初期位置合わせを実行可能である。
【0032】
ステップS20における初期位置合わせによって、プローブカード10の電気接続子50を光デバイス110の電気信号端子と電気的に接続させると共に、プローブカード10の光接続子60を光デバイス110の光信号端子と光学的に接続させる。例えば、プローブカード10の接続子群のそれぞれが、被検査体100に形成された複数の光デバイス110の信号端子群に接続するように、プローバ20によって被検査体100の位置及び傾きを調整する。
【0033】
次いで、ステップS30において、高精度位置合わせを行う。先ず、ステップS31において、被検査体100の位置や傾きを調整しながら、被検査体100に形成されたモニタ用素子160にテスト入力信号を入力して、モニタ用素子160から出力されるテスト光出力信号を測定する。即ち、モニタ用素子160に、光導波路部品84及びテスト入力用接続子61を介して、テスタ30からテスト入力信号を入力する。このテスト入力信号に応答して、モニタ用素子160からテスト光出力信号が出力される。テスト光出力信号は、テスト出力用接続子62及び光導波路部品85を介して、テスタ30に入力する。
【0034】
モニタ用素子160には、例えば図3に示すような光導波路Rを備える構成を採用する。テスト入力用接続子61から出力された光信号のテスト入力信号L1は、モニタ用素子160の一方の端面から入射される。テスト入力信号L1は光導波路Rを通過し、モニタ用素子160の他方の端面からテスト光出力信号L2が出射される。光信号のテスト光出力信号L2は、テスト出力用接続子62によって受光される。
【0035】
なお、テスト出力用接続子62の光導波路Rのコア径D62は、モニタ用素子160の光導波路Rのコア径D160よりも十分に大きくしておく。テスト入力用接続子61の光導波路のコア径D61は、光導波路Rのコア径D160と同程度でよい。
【0036】
モニタ用素子160から出力されたテスト光出力信号の光強度は、光学特性検査ユニット32によって測定される。例えば、光信号検査装置323の有するパワーメータによって、テスト光出力信号の光強度を測定する。ステップS31では、プローブカード10の接続子群と接続する際の被検査体100の位置や傾きの条件(以下において「接続条件」という)を調整しながら、テスト光出力信号を複数回にわたって測定する。被検査体100の位置や傾きは、制御装置40の制御によって、プローバ20の調整機構22により調整される。
【0037】
そして、ステップS32において、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である接続条件を検査条件として抽出する。検査条件を抽出する方法は後述する。その後、処理はステップS40に進む。
【0038】
ステップS40において、制御装置40がテスタ30を制御して、検査条件において光デバイス110を検査する。このとき、複数の光デバイス110を同時に検査してもよい。その後、処理を終了する。
【0039】
以下に、検査条件を抽出する方法の例を説明する。ここでは、離間した位置にそれぞれ配置された複数のモニタ用素子160を用いて高精度位置合わせを行う方法を説明する。例えば、図4に示すように、平面視で円形状の被検査体100において直交する線上の4箇所にモニタ用素子160A~160Dを配置する。
【0040】
最初にテスト光出力信号を測定した際の、モニタ用素子160Aの搭載面と平行な平面レベルの座標(以下、「平面座標」という。)を、平面座標の原点(0、0)とする。そして、調整機構22の調整の公差がx方向についてA、y方向についてBである場合、以下の8つの平面座標においてモニタ用素子160Aのテスト光出力信号の測定を行う:
(+A、0)、(-A、0)、(0、+B)、(0、-B)、(+A、+B)、(+A、-B)、(-A、+B)、(-A、-B)。
【0041】
そして、原点(0、0)と合わせて9つの平面座標での測定結果から、テスト光出力信号が最大強度である平面座標を「最適座標」とする。
【0042】
次に、最適座標に固定した状態で、モニタ用素子160Bについてテスト光出力信号の測定を行う。ここで、最初の測定での方向条件を起点(0、0)として、調整機構22の調整の回転方向の公差がθ、搭載面の傾きの公差がSであるとして、以下の8つの方向条件についてモニタ用素子160Bのテスト光出力信号の測定を行う:
(0、0)、(+θ、0)、(-θ、0)、(0、+S)、(0、-S)、(+θ、+S)、(+θ、-S)、(-θ、+S)、(-θ、-S)。
【0043】
そして、起点(0、0)と合わせて9つの方向条件での測定結果から、テスト光出力信号が最大強度である方向条件を「最適方向」とする。
【0044】
その後、モニタ用素子160C及びモニタ用素子160Dについて、先ず最適座標と最適方向でテスト光出力信号の測定を行う。そして、モニタ用素子160Aとモニタ用素子160Bをつなぐ線を軸として、搭載面の傾きを+Sと-Sだけそれぞれ傾けた2方向について、モニタ用素子160C及びモニタ用素子160Dのテスト光出力信号の測定を行う。合計で3方向の測定結果から、モニタ用素子160Cとモニタ用素子160Dの測定結果が同等になった傾きを「最適傾き」とする。以上により、検査条件が抽出される。
【0045】
上記では、複数の測定結果の中でテスト光出力信号の光強度が最大である接続条件を検査条件として抽出する例を説明した。これに対し、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である接続条件を検査条件として抽出してもよい。この抽出方法を、図5を参照して説明する。
【0046】
図5に示したステップS31では、ステップS311において、被検査体100に形成されたモニタ用素子160にテスト入力信号を入力する。このテスト入力信号に応答してモニタ用素子160から出力されるテスト光出力信号が、テスタ30に入力する。
【0047】
次いで、ステップS312において、モニタ用素子160から出力されたテスト光出力信号の光強度が光学特性検査ユニット32によって測定される。例えば、光信号検査装置323の有するパワーメータによって、テスト光出力信号の光強度を測定する。
【0048】
そして、ステップS313において、光学特性検査ユニット32が、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上であるか否かを判定する。光強度が判定値以上である場合には、処理はステップS320に進む。
【0049】
一方、光強度が判定値よりも低い場合には、ステップS314に進み、制御装置40がプローバ20を制御して、被検査体100の位置や傾きを調整する。その後、処理はステップS311に戻り、新たな接続条件でテスト光出力信号が測定される。
【0050】
図1のステップS32に対応するステップS320において、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である場合の被検査体100の位置や傾きを、検査条件として抽出する。その後、図1に示したステップS40に処理が進む。
【0051】
図5を参照して説明した高精度位置合わせでは、モニタ用素子160から出力されるテスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上になるまで、被検査体100の位置や傾きを調整しながら、テスト入力信号の入力とテスト光出力信号の光強度の判定が繰り返される。テスト光出力信号の光強度の判定値は、測定結果が検査に必要な測定精度で得られるように設定される。なお、判定値以上の光強度のうち最大強度の得られる接続条件を検査条件としてもよいことはもちろんである。
【0052】
上記のように、図2に示した検査システムを用いた検査方法では、高精度位置合わせにおいて、プローブカード10の接続子群と被検査体100を接続させる際の接続条件を変化させながらテスト光出力信号の測定を繰り返し、検査条件が見出される。その後、検査条件において被検査体100の光デバイス110について検査が行われる。これにより、光デバイス110について、測定精度の高い検査を行うことができる。
【0053】
なお、上記ではモニタ用素子160が光導波路である例を示した。しかし、モニタ用素子160が単なる光導波路ではなくてもよい。例えば、電気信号もしくは光信号、又は電気信号と光信号の両方が入力して、光信号を出力するモニタ用素子160を使用してもよい。即ち、電気特性検査ユニット31及び光学特性検査ユニット32の少なくともいずれかが、モニタ用素子160にテスト入力信号を入力する。そして、光学特性検査ユニット32が、モニタ用素子160から出力されるテスト光出力信号の光強度を検査する。
【0054】
光変調素子111の検査方法の例を、図6を参照して説明する。電気信号発生器311から出力された電気信号をドライバ11に入力し、続けて光源322からの連続発振光を光変調素子111の光信号端子P13に光接続子60bを介して入力する。それと同時に、ドライバ11からの駆動信号を、電気接続子50aを介して光変調素子111の電気信号端子P11に入力する。
【0055】
上記の入力に応答して光変調素子111の光信号端子P12から出力される光強度変調信号光は、光接続子60aを介してテスタ30に入力される。そして、光信号検査装置323によって、光強度変調信号光の光学特性が検査される。例えば、光変調度、挿入損失、変調帯域、消光比、波長チャープなどが検査される。そのため、変調度測定器、光オシロスコープなどを光信号検査装置323に用いる。
【0056】
光検出素子112の検査は、例えば以下のように行われる。光信号発生器321から出力された光信号が、図6に示す光接続子60cを介して光検出素子112の光信号端子P22に入力する。光信号の入力に応答して光検出素子112の電気信号端子P21から出力される電気信号は、電気接続子50bを介して増幅器12に入力される。増幅器12によって増幅された電気信号が電気信号検査装置312に入力され、光検出素子112の電気特性が検査される。例えば、暗電流、受光感度(光電流)、応答速度、指向特性、分光感度特性、放射照度-相対光電流特性、コレクタ・エミッタ間電圧-電流特性などが検査される。
【0057】
以上に説明したように、第1の実施形態に係る検査方法では、モニタ用素子160を用いて高精度位置合わせを行う。これにより、被検査体100に形成された光デバイス110の電気信号端子及び光信号端子とプローブカード10の接続子群をすべて高い位置精度で接続できる。このため、所定の光強度を有する光出力信号が得られ、光デバイス110が形成された被検査体100の測定精度を向上させることができる。更に、図2に示した検査システムによれば、被検査体100に形成された複数の光デバイス110について同時に検査することができる。その結果、検査時間が大幅に短縮され、検査効率を向上させることができる。
【0058】
なお、1つの光デバイス110を単独で検査してもよいし、被検査体100に形成されたすべての光デバイス110を同時に検査してもよい。或いは、被検査体100を複数の領域に分割して、それぞれの領域ごとに光デバイス110を測定してもよい。例えば、図7に示すように、被検査体100をそれぞれが光デバイス110を含むブロックB1~B4に分割し、ブロックB1~B4のそれぞれについてモニタ用素子160を配置する。そして、ブロックB1~B4ごとに、光デバイス110を検査する。
【0059】
図7に示した被検査体100の検査方法の例を、図8を参照して説明する。先ず、ステップS110において、被検査体100をプローバ20のステージ21に搭載する。そして、ステップS120において、複数のブロックから未検査のブロックを選択し、ステップS130において、選択したブロックについて、図1のステップS20と同様にして初期位置合わせを行う。
【0060】
次いで、ステップS140において、選択したブロックについて、図1のステップS30で説明した方法により高精度位置合わせを行う。高精度位置合わせの後、ステップS150において、選択したブロックの光デバイス110を検査する。
【0061】
その後、ステップS160において、すべてのブロックについて検査したか否かが判定される。未検査のブロックがあれば、ステップS120に戻る。すべてのブロックについて検査していれば、処理を終了する。
【0062】
<変形例>
上記では、プローブカード10と対向する表面のみに信号端子が配置されている被検査体100の検査について説明した。これに対し、プローバ20と対向する裏面にも信号端子が配置されている被検査体100の検査では、図9に示すように、プローバ20の搭載面に電気接続子50と光接続子60を配置する。即ち、被検査体100の裏面に配置された光信号端子P14と電気信号端子P23にそれぞれ接続する光接続子60と電気接続子50が配置された裏面基板90が、ステージ21の上面に配置されている。
【0063】
裏面基板90に配置された電気接続子50及び光接続子60にそれぞれ接続する電気配線73及び光導波路部品86が、裏面基板90の内部に配置されている。図示を省略するが、電気配線73と光導波路部品86はテスタ30に接続されている。図9に示した検査システムは、ステージ21の上面に裏面基板90が配置されている点が図2に示した検査システムと異なる。
【0064】
図9に示した検査システムを用いた検査方法では、光デバイス110の裏面の信号端子群をプローバ20の搭載面に配置された接続子群と位置合わせして、被検査体100をプローバ20に搭載する。その後、図1を参照して説明した方法によって、光デバイス110の表面の信号端子群をプローブカード10に配置された接続子群と位置合わせし、光デバイス110を検査する。
【0065】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、光デバイス110の形成された領域の残余の領域で、被検査体100にモニタ用素子160が形成されている場合について説明した。これに対し、以下に説明するように、被検査体100に形成された複数の光デバイス110から選択された半導体素子をモニタ用素子として使用してもよい。
【0066】
図10に、本発明の第2の実施形態に係る検査システムの構成を示す。プローブカード10にテスト入力用接続子61及びテスト出力用接続子62が配置されていない点が、図1に示した検査システムと異なる。このため、図10に示した検査システムでは、光導波路部品84、85が配置されていない。その他の構成については、図1に示す第1の実施形態と同様である。以下に、図10に示した検査システムを用いた検査方法を説明する。
【0067】
先ず、被検査体100をプローバ20のステージ21の搭載面に搭載する(ステップS10)。その後、例えばウェハ側アライメントマーク150とカード側アライメントマーク15を用いて、初期位置合わせを行う(ステップS20)。
【0068】
次いで、以下のように高精度位置合わせを行う(ステップS30)。先ず、被検査体100に形成された複数の光デバイス110から選択されたモニタ用素子に、テスタ30からテスト入力信号を入力する。例えば、光学特性検査ユニット32が、モニタ用素子の光信号端子にテスト入力信号を入力する。テスト入力信号に応答してモニタ用素子が動作し、テスト光出力信号がモニタ用素子から出力される。テスト光出力信号は、光接続子60を介してテスタ30に入力される。このテスト光出力信号の光強度を、光学特性検査ユニット32が測定する(ステップS31)。そして、既に説明した方法によって、テスト光出力信号の光強度が所定の判定値以上である接続条件を検査条件として抽出する(ステップS32)。
【0069】
その後、制御装置40がテスタ30を制御して、検査条件において光デバイス110を検査する(ステップS40)。以上により、図10に示した検査システムを用いた検査が終了する。
【0070】
第2の実施形態に係る検査方法では、例えば、電気信号もしくは光信号、又は電気信号と光信号の両方が入力して光信号を出力する光デバイス110を、モニタ用素子に用いる。
【0071】
以上に説明したように、第2の実施形態に係る検査方法では、光デバイス110から選択したモニタ用素子を用いて高精度位置合わせを行う。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。第2の実施形態に係る検査方法によれば、光デバイス110の形成された領域の外部にモニタ用素子160を形成する検査方法と比べて、被検査体100の面積を小さくできる。
【0072】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0073】
例えば、上記では、被検査体100の全面を覆う面積のプローブカード10を使用して光デバイス110を検査する例を示した。しかし、被検査体100の一部、例えば図7に示したブロックのサイズに合わせた面積のプローブカード10を使用して、ブロックごとに光デバイス110を検査してもよい。
【0074】
また、被検査体100の光信号端子から出力された光信号を電気信号に変換してからテスタ30に入力させてもよい。即ち、光信号端子と光学的に接続した光接続子60を介して伝搬される光信号を変換装置によって電気信号に変換する。変換された電気信号は、電気特性検査ユニット31の電気信号検査装置312に入力され、電気特性が検査される。変換装置は、例えばプローブカード10に搭載される。
【0075】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0076】
10…プローブカード
20…プローバ
21…ステージ
22…調整機構
30…テスタ
31…電気特性検査ユニット
32…光学特性検査ユニット
40…制御装置
50…電気接続子
60…光接続子
90…裏面基板
100…被検査体
110…光デバイス
160…モニタ用素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10