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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】遠隔制御装置および遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220708BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220708BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20220708BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
A61B5/00 102C
A61G12/00 Z
G06F3/01 510
G06F3/01 570
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018184191
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020053935
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 和理
(72)【発明者】
【氏名】阿内 良太
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0131280(US,A1)
【文献】特開2002-112368(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012006(WO,A1)
【文献】特開2014-180337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
A61B 5/00
A61G 12/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルに割り当てられた記憶領域を有しているメモリと、
医療従事者のジェスチャを検出可能なセンサと、
医療機器の機能を遠隔制御する信号を無線送信可能な送信部と
前記複数のチャネルの各々に対応付けられる特定のジェスチャと、当該ジェスチャにより制御される前記医療機器の機能の組合せを定める情報を、変更可能に前記記憶領域に記憶させるスイッチと、
前記センサによってジェスチャが検出されると、前記記憶領域に記憶された前記情報により定められた前記組合せに基づいて、当該ジェスチャにより制御される前記医療機器の機能を特定し、かつ当該機能を遠隔制御するための前記信号を前記送信部に送信させるプロセッサと、
を備えている、
遠隔制御装置。
【請求項2】
前記機能は、アラームの出力を抑制する機能である、
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記信号が送信される方向を変更する調節装置を備えている、
請求項1または2に記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
接続部を有する筐体を備えており、
前記接続部は、前記筐体を所望の箇所に固定するための支持部材に着脱可能とされている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の遠隔制御装置。
【請求項5】
少なくとも前記プロセッサに電力を供給する電池を収容する電池収容部を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の遠隔制御装置。
【請求項6】
前記信号により制御される医療機器を特定する情報を入力する入力インターフェースを備えている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の遠隔制御装置。
【請求項7】
医療機器と、
前記医療機器の機能を遠隔制御する遠隔制御装置と、
を備えており、
前記遠隔制御装置は、
複数のチャネルに割り当てられた記憶領域を有しているメモリと、
医療従事者のジェスチャを検出可能なセンサと、
前記機能を制御する信号を無線送信可能な送信部と
前記複数のチャネルの各々に対応付けられる特定のジェスチャと、当該ジェスチャにより制御される医療機器の機能の組合せを定める情報を、変更可能に前記記憶領域に記憶させるスイッチと、
前記センサによってジェスチャが検出されると、前記記憶領域に記憶された前記情報により定められた前記組合せに基づいて、当該ジェスチャにより制御される前記医療機器の機能を特定し、かつ当該機能を遠隔制御するための前記信号を前記送信部に送信させるプロセッサと、
を備えている、
遠隔制御システム。
【請求項8】
前記遠隔制御装置と前記医療機器の少なくとも一方は、前記信号による制御-被制御関係を確立するための情報を入力する入力インターフェースを備えている、
請求項7に記載の遠隔制御システム。
【請求項9】
複数のチャネルに割り当てられた記憶領域を有しているメモリと、
医療従事者のジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つを検出可能なセンサと、
医療機器の機能を遠隔制御する信号を無線送信可能な送信部と
前記複数のチャネルの各々に対応付けられる特定のジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つと、当該ジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つにより制御される前記医療機器の機能の組合せを定める情報を、変更可能に前記記憶領域に記憶させるスイッチと、
前記センサによってジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つが検出されると、前記記憶領域に記憶された前記情報により定められた前記組合せに基づいて、当該ジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つにより制御される前記医療機器の機能を特定し、かつ当該機能を遠隔制御するための前記信号を前記送信部に送信させるプロセッサと、
を備えている、
遠隔制御装置。
【請求項10】
医療機器と、
前記医療機器の機能を遠隔制御する遠隔制御装置と、
を備えており、
前記遠隔制御装置は、
複数のチャネルに割り当てられた記憶領域を有しているメモリと、
医療従事者のジェスチャ、音声、および身体的特徴の少なくとも一つを検出可能なセンサと、
前記機能を制御する信号を無線送信可能な送信部と
前記複数のチャネルの各々に対応付けられる特定のジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つと、当該ジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つにより制御される医療機器の機能の組合せを定める情報を、変更可能に前記記憶領域に記憶させるスイッチと、
前記センサによってジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つが検出されると、前記記憶領域に記憶された前記情報により定められた前記組合せに基づいて、当該ジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つにより制御される前記医療機器の機能を特定し、かつ当該機能を遠隔制御するための前記信号を前記送信部に送信させるプロセッサと、
を備えている、
遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の機能を遠隔制御する遠隔制御装置に関する。また、本発明は、当該医療機器と当該遠隔制御装置を含む遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、医療機器の一例として生体情報モニタを開示している。生体情報モニタは、患者や被検者の傍らに配置され、当該患者や被検者に装着されたセンサなどが接続される。センサを通じて取得された患者や被検者の生体情報は、生体情報モニタによる監視や表示に供される。生体情報が患者や被検者の正常状態からの逸脱を示すと、生体情報モニタは、アラームを出力して医療従事者に報知を行なう。医療従事者は、生体情報モニタに対して所定の操作を入力することによって、報知動作を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-102671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような生体情報モニタの場合、予期せず発生する報知動作の度に生体情報モニタの設置場所に赴き、報知動作解除のための操作を入力する必要がある。したがって、治療行為や看護業務の効率低下が避けられない。特に手術室、新生児集中治療ユニット(NICU)などの高い清潔性が求められる環境下では、そのような効率低下が顕著となる。生体情報モニタの操作を行なう度に手指などの消毒が必要になるからである。
【0005】
本発明の目的は、医療機器の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、遠隔制御装置であって、
医療機器の機能に割り当てられた医療従事者のジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つに対応する情報を記憶しているメモリと、
ジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つを検出可能なセンサと、
前記機能を遠隔制御する信号を無線送信可能な送信部と、
前記センサによって前記情報に対応するジェスチャと音声の少なくとも一方が検出されると前記送信部に前記信号を送信させるプロセッサと、
を備えている。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、遠隔制御システムであって、
医療機器と、
前記医療機器の機能を遠隔制御する遠隔制御装置と、
を備えており、
前記遠隔制御装置は、
前記機能に割り当てられた医療従事者のジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つに対応する情報を記憶しているメモリと、
ジェスチャ、音声、および身体的特徴の少なくとも一つを検出可能なセンサと、
前記機能を制御する信号を無線送信可能な送信部と、
前記センサによって前記情報に対応するジェスチャ、音声、および身体的特徴の少なくとも一つが検出されると前記送信部に前記信号を送信させるプロセッサと、
を備えている。
【0008】
上記のような構成によれば、遠隔制御装置は医療従事者のジェスチャ、音声、および生体的特徴の少なくとも一つを検出することによって医療機器の機能を制御する信号を無線送信する。したがって、医療従事者は、遠隔制御装置にも医療機器にも直接触れることなく、必要最低限の動作で医療機器の機能を制御できる。これにより、医療機器の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下を抑制できる。特に手術室、新生児集中治療ユニット(NICU)などの高い清潔性が求められる環境下では、消毒作業の必要性が低下することにより、前述の効果がより顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る遠隔制御装置の機能的構成を示している。
図2図1の遠隔制御装置の外観を示している。
図3図1の遠隔制御装置の外観を示している。
図4図1の遠隔制御装置の動作例を示している。
図5図1の遠隔制御装置の動作例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る遠隔制御装置1の機能的構成を示している。図2図3は、遠隔制御装置1の筐体10を含む外観を示している。遠隔制御装置1は、無線通信により遠隔位置にある医療機器2の機能を遠隔制御するための装置である。遠隔制御装置1と医療機器2は、遠隔制御システムを構成しうる。
【0011】
医療機器2としては、生体情報モニタ、手術支援装置(麻酔装置や輸液装置など)が例示されうる。医療機器2の機能としては、電源のオンオフ、ディスプレイに表示される情報項目の変更、ディスプレイに表示される情報の表示態様の変更、アラームなどの報知態様の変更、当該機器に固有の動作の実行や停止、各種設定の変更などが例示されうる。
【0012】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、センサ11を備えている。センサ11は、医療従事者のジェスチャGを検出するように構成されている。図2に示されるように、センサ11は、例えば筐体10の前面10aに配置される。
【0013】
本明細書で用いられる「医療従事者のジェスチャ」という表現は、医療従事者が自身の身体の一部を用いて意図的に行なう動作を意味している。ジェスチャの例としては、手をかざす、人差し指を所定の方向へ動かす、両手の指を交差させる、首を振る、顔をセンサに近づける、腕を上下に動かす、膝を腰の高さまで上げるなどの動作が例示されうる。
【0014】
センサ11は、所定のジェスチャGを認識可能な周知のセンサとして構成されうる。例えば、医療従事者が筐体10に手をかざした事実のみを検出すればよいのであれば、センサ11は、赤外線を使用した距離センサなどにより実現されうる。医療従事者の身体部分の移動方向や移動量の検出が必要であれば、センサ11は、モーションセンサや撮像装置などにより実現されうる。
【0015】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、送信部12を備えている。送信部12は、医療機器2の機能を制御する制御信号CSを無線送信するように構成されている。図3に示されるように、送信部12は、例えば筐体10の背面10bに配置される。送信部12は、無線信号を送信可能な周知の装置として構成されうる。無線信号としては、赤外線などの所定の波長を有する光信号や、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)通信などの無線通信に利用される電波信号が例示されうる。
【0016】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、メモリ13、プロセッサ14、および通信バス15を備えている。センサ11、送信部12、メモリ13、およびプロセッサ14は、通信バスを介して相互に信号やデータを通信可能とされている。図示を省略するが、遠隔制御装置1は、センサ11、送信部12、メモリ13、およびプロセッサ14に割り当てられた所定の動作を実行しつつ、そのような通信を可能とする適宜の信号変換回路を備えている。そのような信号変換回路としては、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、周波数フィルタなどが例示されうる。
【0017】
メモリ13とプロセッサ14は、協働する汎用マイクロプロセッサおよび汎用メモリでありうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPUやMPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。メモリ13とプロセッサ14は、マイクロコンピュータ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路の一部として実現されてもよい。
【0018】
メモリ13は、制御される医療機器2の機能に割り当てられた医療従事者のジェスチャGに対応するジェスチャ情報を記憶している。具体的には、ジェスチャGにより得られるセンサ11の出力を表すジェスチャ情報と、医療機器2にアラームの出力を停止させる制御信号CSを送信部12に送信させるための制御情報とが、メモリ13内において関連付けられている。
【0019】
プロセッサ14は、メモリ13に記憶されているジェスチャ情報に対応する医療従事者のジェスチャGがセンサ11によって検出されると、当該ジェスチャGに対応する医療機器2の機能を制御する制御信号を送信部12に送信させるように構成されている。具体的には、プロセッサ14は、センサ11から出力された信号がメモリ13に記憶されているジェスチャ情報と対応しているかを判断する。対応が確認された場合、プロセッサ14は、医療機器2の機能を制御するためのジェスチャGがセンサ11によって検出されたと判断する。当該判断に基づき、プロセッサ14は、メモリ13内で当該ジェスチャGに関連付けられている信号を送信部12に送信させる。
【0020】
図4は、上記のように構成された遠隔制御装置1の動作例を示している。本例においては、医療従事者が遠隔制御装置1に手をかざすというジェスチャGが、医療機器2としての生体情報モニタから出力されるアラームを停止するという機能に割り当てられている。
【0021】
生体情報モニタが監視している被検者あるいは患者の状態が正常状態から逸脱すると、生体情報モニタは、所定のアラームを出力して医療従事者に報知を行なう。報知を受けた医療従事者は、遠隔制御装置1に手をかざす。センサ11は、医療従事者の当該ジェスチャを検出し、当該ジェスチャに対応する信号を出力する。プロセッサ14は、当該信号がメモリ13に記憶されている所定のジェスチャ情報に対応しているかを判断する。
【0022】
図示の例においては、医療従事者によるジェスチャは、メモリ13に記憶されている所定のジェスチャ情報に対応している。したがって、プロセッサ14は、生体情報モニタのアラームの出力を停止させる制御信号CSを、不図示の送信部12に送信させる。医療機器2としての生体情報モニタは、無線送信される制御信号CSを受信可能な不図示の受信部を備えている。生体情報モニタは、受信部が受信した制御信号CSに応じて自身の動作を制御するように構成されている。本例の場合、生体情報モニタは、制御信号CSの受信に応答してアラームの出力を停止する。
【0023】
手をかざす以外のジェスチャを医療従事者が行なっても、当該ジェスチャはセンサ11によって検出されうる。しかしながら、当該ジェスチャに応じてセンサ11から出力される信号は、メモリ13に記憶されている所定のジェスチャ情報とは対応していない。したがって、プロセッサ14は、センサ11が所定のジェスチャを検出したとは判断しない。よって、生体情報モニタのアラームの出力を停止させる制御信号CSは、送信部12から送信されない。
【0024】
上記のような構成によれば、遠隔制御装置1は医療従事者のジェスチャGを検出することによって医療機器2の機能を制御する制御信号CSを無線送信するので、医療従事者は、遠隔制御装置1にも医療機器2にも直接触れることなく、必要最低限の動作で医療機器2の機能を制御できる。これにより、医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下を抑制できる。特に手術室、新生児集中治療ユニット(NICU)などの高い清潔性が求められる環境下では、消毒作業の必要性が低下することにより、前述の効果がより顕著となる。
【0025】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、スイッチ16を備えうる。スイッチ16は、少なくとも一つのボタンスイッチやディップスイッチなどにより構成されうる。スイッチ16は、筐体10内に配置されてもよいし、筐体10の外面に配置されてもよい。
【0026】
スイッチ16は、医療機器2における複数の機能の各々に医療従事者の特定のジェスチャGを割り当て、ジェスチャ情報としてメモリ13に記憶させるように構成されうる。
【0027】
例えば、図5に示されるように、スイッチ16の状態に応じて遠隔制御装置1内に複数のチャネルが設定されうる。図示の例においては、N個のチャネルが設定されている。第一チャネル、第二チャネル、および第Nチャネルは、医療機器21の第一機能、第二機能、および第N機能にそれぞれ割り当てられている。第一機能は、例えばアラームの出力を停止する機能である。第二機能は、例えば電源をオンする機能である。第N機能は、例えば電源をオフする機能である。
【0028】
N個のチャネルの各々には、医療従事者の特定のジェスチャが割り当てられうる。例えば、第一チャネルには「手をかざす」ジェスチャが、第二チャネルには「手を下から上へ動かす」ジェスチャが、第Nチャネルには「手を上から下へ動かす」ジェスチャが割り当てられうる。
【0029】
このようなジェスチャの割り当ては、例えば以下の手順で行なわれうる。
・遠隔制御装置1に所定の操作を入力することにより学習モードを有効にする。
・スイッチ16を操作して特定のチャネルに対応する状態にする。
・当該チャネルに割り当てを希望するジェスチャをセンサ11に検出させる。
・遠隔制御装置1に所定の操作を入力することにより学習モードを終了する。
これにより、特定のジェスチャに対応するセンサ11の出力信号と特定のチャネルとの関連付けがなされ、チャネルごとにジェスチャ情報としてメモリ13に記憶される。
【0030】
このような設定がなされた後、例えば医療従事者による「手を上から下へ動かす」ジェスチャがセンサ11によって検出されると、プロセッサ14は、医療機器21の電源をオフする制御信号を送信部12に送信させる。これにより、遠隔制御装置1から遠隔に位置する医療機器21の電源がオフされる。
【0031】
このような構成によれば、医療従事者は、遠隔制御装置1にも医療機器2にも直接触れることなく、医療機器2の複数の機能を制御できる。これにより、医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下の抑制効果が高まる。
【0032】
これに加えてあるいは代えて、スイッチ16は、複数の医療機器21、22、…、2Nの各々における特定の機能に医療従事者の特定のジェスチャGを割り当て、ジェスチャ情報としてメモリ13に記憶させるように構成されうる。
【0033】
例えば、図5に破線で示されるように、第一チャネル、第二チャネル、および第Nチャネルは、医療機器21の第一機能、医療機器22の第一機能、および医療機器2Nの第一機能にそれぞれ割り当てられている。第一機能は、例えばアラームの出力を停止する機能である。
【0034】
この場合においても、N個のチャネルの各々には、医療従事者の特定のジェスチャが割り当てられうる。例えば、第一チャネルには「手をかざす」ジェスチャが、第二チャネルには「手を下から上へ動かす」ジェスチャが、第Nチャネルには「手を上から下へ動かす」ジェスチャが割り当てられうる。ジェスチャの割り当ては、上述した手順で行なわれうる。
【0035】
このような設定がなされた後、例えば医療従事者による「手を上から下へ動かす」ジェスチャがセンサ11によって検出されると、プロセッサ14は、医療機器2Nのアラームの出力を停止させる制御信号を送信部12に送信させる。これにより、遠隔制御装置1から遠隔に位置する医療機器2Nのアラームの出力が停止する。
【0036】
このような構成によれば、医療従事者は、遠隔制御装置1にも医療機器2にも直接触れることなく、複数の医療機器2の機能を制御できる。これにより、医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下の抑制効果が高まる。
【0037】
なお、単一の遠隔制御装置1によって複数の医療機器2の機能が制御される場合、各医療機器において制御される機能の数は、適宜に定められうる。図5に示される例においては、遠隔制御装置1の第三チャネルが医療機器22の第二機能に対応付けられている。すなわち、医療機器22においては二つの機能が遠隔制御されうる。
【0038】
前述の各例においては、医療機器2のアラームの出力を停止する機能が遠隔制御装置1によって制御されている。アラームの出力を停止する機能は、アラームの出力を抑制する機能の一例である。アラームの出力を抑制する機能には、アラームの出力を一定時間中断させる機能や、アラームの出力を不能にする機能も含まれうる。
【0039】
医療機器2からアラームが出力されている場合、医療従事者は緊急の対応が求められる状況下にある蓋然性が高い。上記のような構成によれば、このような状況下での医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下が抑制可能であるので、医療従事者による緊急の対応を支援できる。
【0040】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、調節装置17を備えうる。調節装置17は、送信部12から制御信号CSが送信される方向を変更する装置である。例えば、図2図3に示されるように、調節装置17は、筐体10上に配置されたノブ17aを含みうる。ノブ17aは、筐体10内に配置された送信部12に連結されうる。この場合、医療従事者は、ノブ17aを回動させることにより、図2に示される送信部12の送信中心軸12aの向きを変更できる。送信中心軸12aは、送信部12から送信される制御信号CSの信号強度が最も強くなる角度方向に延びる軸である。
【0041】
例えば図4に破線で示される医療機器2は、初期状態における送信中心軸12aの延長線上に位置していない。このような場合、医療従事者は、調節装置17のノブ17aを回動することにより、送信中心軸12aが破線で示される医療機器2を向くように調節できる。これにより、送信部12から送信された破線で示される制御信号CSは、破線で示される医療機器2へ向かって送信される。
【0042】
このような構成によれば、遠隔制御装置1と医療機器2が設置される場所のレイアウトや医療従事者の動線に応じて、遠隔制御装置1と医療機器2の位置関係を比較的高い自由度で定めることができる。これにより、医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下の抑制効果が高まる。
【0043】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、接続部18を備えうる。接続部18は、遠隔制御装置1の筐体10を所望の箇所に固定するための支持部材3に着脱可能とされている。例えば図3に示されるように、接続部18は、筐体10の背面10bに形成されたねじ穴とされうる。当該ねじ穴は、例えば1/4-20UNCユニファイねじ規格に準拠したものとされうる。支持部材3は、当該ねじ穴と嵌合するねじ部と、所望の箇所に固定されうるクランプなどを備えている。図4は、支持部材3が遠隔制御装置1の筐体10と結合された状態を例示している。
【0044】
このような構成によれば、遠隔制御装置1の配置決定に係る自由度が高まる。これにより、医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下の抑制効果が高まる。
【0045】
図1に示されるように、遠隔制御装置1は、電池収容部19を備えうる。電池収容部19は、少なくともプロセッサ14に電力を供給する電池4を収容するように構成されている。例えば図2図3に示されるように、筐体10の背面10bに取り外し可能な電池蓋10cが装着されうる。電池蓋10cを取り外すことにより、電池収容部19が開放されうる。電池収容部19に収容される電池は、一次電池でもよいし、二次電池でもよい。
【0046】
このような構成によれば、ケーブルを介して接続される商用電源との位置関係を考慮する必要がないので、遠隔制御装置1の配置決定に係る自由度が高まる。これにより、医療機器2の操作に伴う治療行為や看護業務の効率低下の抑制効果が高まる。
【0047】
遠隔制御装置1と医療機器2は、制御-被制御の関係を確立する機能(ペアリング機能)を備えうる。例えば、図1に示されるように、遠隔制御装置1は、入力インターフェース20を備えうる。医療従事者は、入力インターフェース20を通じて、制御信号CSによって制御される医療機器2を特定する情報を入力する。これに加えてあるいは代えて、同様の入力インターフェースが、医療機器2の側に設けられうる。この場合、医療従事者は、当該入力インターフェースを通じて、制御信号CSを送信する遠隔制御装置1を特定する情報を入力する。これにより、遠隔制御装置1と医療機器2の少なくとも一方に入力された情報に基づいて、遠隔制御装置1と医療機器2のペアリングが確立される。
【0048】
このような構成によれば、ペアリングが確立された特定の遠隔制御装置1と医療機器2の間でのみ遠隔制御が可能とされる。したがって、特定の医療機器2以外の医療機器が遠隔制御装置1から送信された制御信号CSによって予期せず動作してしまう事態を回避できる。
【0049】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。
【0050】
上記の実施形態においては、医療従事者のジェスチャが、センサ11によって検出される。これに加えてあるいは代えて、医療従事者の音声と身体的特徴の少なくとも一方が、センサ11によって検出されてもよい。身体的特徴としては、網膜、指紋、顔などが例示されうる。この場合、センサ11は、音声認識センサ、指紋センサ、網膜センサなどにより実現されうる。このような構成によっても、遠隔制御装置1に対する非接触な入力をトリガとして、医療機器2の機能を遠隔制御できる。
【符号の説明】
【0051】
1:遠隔制御装置、11:センサ、12:送信部、13:メモリ、14:プロセッサ、16:スイッチ、17:調節装置、18:接続部、19:電池収容部、20:入力インターフェース、2、21、22、2N:医療機器、3:支持部材、4:電池、CS:制御信号、G:ジェスチャ
図1
図2
図3
図4
図5