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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】車両用ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20220708BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/32 613Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018221700
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2019104485
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0169587
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ-ヨン
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163499(JP,A)
【文献】特開2014-020280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0253105(US,A1)
【文献】特開2017-047888(JP,A)
【文献】特開2017-048783(JP,A)
【文献】特開2017-105425(JP,A)
【文献】特開2017-110898(JP,A)
【文献】特開2017-019486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷却水ラインで連結される第1ラジエータと第1ウォータポンプとを含み、エンジンに冷却水を循環させるエンジン冷却装置と、
第2冷却水ラインで連結される第2ラジエータと第2ウォータポンプとを含み、前記第2冷却水ラインに冷却水を循環させる電装品冷却装置と、
前記第2冷却水ラインと第1弁を介して選択的に連結される電池冷却水ラインに備えられる電池モジュールと、
前記電池冷却水ラインと第2弁を介して連結され、選択的に独立した密閉回路を形成して車両室内を冷房するように第1連結ラインが構成され、前記第1連結ラインに備えられる第3ウォータポンプ及びクーラーを含む冷房装置と、
前記第1冷却水ラインと第3弁を介して連結され、選択的に独立した密閉回路を形成して車両室内を暖房するように第2連結ラインが構成され、前記第2連結ラインに備えられる第4ウォータポンプ及びヒーターを含む暖房装置と、
前記冷房装置には低温の冷却水を供給し、前記暖房装置には高温の冷却水を供給するために前記第2冷却水ライン、前記第1及び第2連結ラインにそれぞれ連結され、内部を循環する冷媒の凝縮及び蒸発時に発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させるCEモジュール(Centralized Energy Module)と、
を含むことを特徴とする車両用ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記電装品冷却装置は、
前記第2冷却水ラインを循環する冷却水を用いて電装品を冷却させたり前記電池モジュールを冷却することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記CEモジュールは、
前記第2ラジエータと前記電池モジュールとの間で前記第2冷却水ラインに備えられ、冷媒を凝縮または蒸発させるメイン熱交換器と、
前記メイン熱交換器と冷媒ラインを介して連結する膨張弁と、
前記膨張弁と前記冷媒ラインを介して連結され、前記冷房装置で前記第1連結ラインを循環する冷却水を冷却するように前記第1連結ラインに備えられる蒸発器と、
前記蒸発器と前記メイン熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられる圧縮器と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記蒸発器と前記圧縮器との間で前記冷媒ラインには、
内部熱交換器が備えられることを特徴とする請求項3に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記内部熱交換器には前記メイン熱交換器と前記膨張弁とを連結する前記冷媒ラインと、前記蒸発器と前記圧縮器とを連結する前記冷媒ラインとがそれぞれ連結され、
前記内部熱交換器は、前記メイン熱交換器が冷媒を凝縮する場合、前記メイン熱交換器で凝縮した冷媒を前記蒸発器から排出される低温の冷媒と熱交換して冷媒をさらに凝縮させ、前記膨張弁に流入させることを特徴とする請求項4に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記第1弁は、前記第2ラジエータと前記電池モジュールとの間で前記第2冷却水ラインと前記電池冷却水ラインとを選択的に連結し、
前記第2弁は、前記電池冷却水ラインと前記第1連結ラインとを選択的に連結し、
前記第3弁は、前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとを選択的に連結して冷却水の流動を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記CEモジュールは、
前記メイン熱交換器と前記圧縮器との間で前記圧縮器と前記冷媒ラインとを介して連結され、
前記暖房装置で前記第2連結ラインを循環する冷却水を加熱するように前記第2連結ラインに備えられるサブコンデンサと、
前記サブコンデンサと前記メイン熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられるサブ膨張弁と、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記エンジン冷却装置には前記第1ラジエータと前記第1ウォータポンプとの間で前記第1冷却水ラインに備えられるサーモスタットを介して前記第1ラジエータと前記エンジンとの間の前記第1冷却水ラインと連結される第1分岐ラインが備えられ、
前記電池冷却水ラインには前記第1弁を介して前記電池モジュールを前記冷房装置と連結し、前記電装品冷却装置との連結を閉鎖する第2分岐ラインが備えられ、
前記第2冷却水ラインには前記電池冷却水ラインと前記第2冷却水ラインとを分離する第3分岐ラインが備えられ、
電装品と前記第2ラジエータとの間を連結する前記第2冷却水ラインには第4弁を介して前記第2ラジエータと前記第2ウォータポンプとの間の前記第2冷却水ラインと連結される第4分岐ラインが備えられることを特徴とする請求項7に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項9】
車両の冷房モードで前記電装品と共に前記電池モジュールを冷却するとき、
前記第2分岐ラインは、前記第1弁の作動により開放され、前記第3分岐ラインが開放され、開放された前記第2及び第3分岐ラインにより前記第2冷却水ラインと前記電池冷却水ラインとの連結が閉鎖され、
前記第2弁の作動により前記電池モジュールと連結された前記電池冷却水ラインが前記第1連結ラインと連結され、
前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインは閉鎖され、
前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記メイン熱交換器が冷媒を凝縮させ、前記サブコンデンサと前記サブ膨張弁の作動が停止することを特徴とする請求項8に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記蒸発器は、前記第2弁の作動により前記電池冷却水ラインから前記第1連結ラインに循環する冷却水を、蒸発した低温の冷媒との熱交換により冷却させ、
前記蒸発器を通過した低温の冷却水は、前記第3ウォータポンプの作動により前記第1連結ラインに沿って前記クーラーに供給され、
前記クーラーを通過した低温の冷却水は、前記第2弁の作動により前記第1連結ラインと連結された前記電池冷却水ラインに沿って前記電池モジュールに供給されて前記電池モジュールを冷却することを特徴とする請求項9に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項11】
前記電装品冷却装置では、
開放された前記第3分岐ラインが前記第2冷却水ラインに連結されて独立した密閉回路を形成し、前記第2ラジエータで冷却した冷却水が、前記第2ウォータポンプの作動により循環しながら前記電装品を冷却させることを特徴とする請求項9に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項12】
前記エンジン冷却装置を用いて車両の暖房モードを行う時には、
前記第1分岐ラインは、前記サーモスタットの作動により開放され、前記第3弁の作動により前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとが相互連結され、前記サーモスタットと前記第1ラジエータとを連結する前記第1冷却水ラインが閉鎖され、
前記エンジンを通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ラインと前記第1分岐ラインとに沿って循環しながら、前記第3弁を介して前記第2連結ラインに供給され、
前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第1冷却水ラインから前記第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーターに供給され、
前記CEモジュールで冷媒の循環が停止することを特徴とする請求項8に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項13】
前記電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行う時には、
前記第1弁の作動により前記第2分岐ラインが閉鎖され、前記第3分岐ラインは開放され、
前記電装品冷却装置で前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインが開放された状態で、前記電装品と前記第2ラジエータとを連結する前記第2冷却水ラインが閉鎖され、
前記第3弁の作動により前記第2連結ラインが独立した密閉回路を形成し、
前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第2連結ラインに沿って冷却水が循環し、
前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記膨張弁及び前記蒸発器の作動が停止し、前記サブ膨張弁が作動して前記サブコンデンサを通過した冷媒を膨張させて前記メイン熱交換器に供給することを特徴とする請求項8に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項14】
前記電装品で発生した廃熱は、前記第2冷却水ラインを循環する冷却水の温度を上昇させ、
温度が上昇した冷却水は、前記メイン熱交換器を通過する冷媒の温度を上昇させながら回収され、
前記暖房装置では前記第2連結ラインに沿って循環する冷却水が、前記サブコンデンサで前記圧縮器から供給された高温の冷媒との熱交換により加熱された状態で前記ヒーターに供給されることを特徴とする請求項13に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項15】
前記エンジン冷却装置と前記電装品冷却装置とを用いて車両の暖房モードを行う時には、
前記第1分岐ラインは、前記サーモスタットの作動により開放され、前記第3弁の作動により前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとが相互連結され、前記サーモスタットと前記第1ラジエータとを連結する前記第1冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2分岐ラインは、前記第1弁の作動により閉鎖され、前記第3分岐ラインは開放され、前記電装品冷却装置で前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインが開放された状態で、前記電装品と前記第2ラジエータとを連結する前記第2冷却水ラインが閉鎖され、
前記エンジンを通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ラインと前記第1分岐ラインとに沿って循環しながら、前記第3弁を介して前記第2連結ラインに供給され、
前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第1冷却水ラインから前記第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーターに供給され、
前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記膨張弁及び前記蒸発器の作動が停止し、前記サブ膨張弁が作動して前記サブコンデンサを通過した冷媒を膨張させて前記メイン熱交換器に供給することを特徴とする請求項8に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項16】
前記エンジン及び前記電装品で発生した廃熱は、前記第1及び第2冷却水ラインを循環する冷却水の温度を上昇させ、
前記第2冷却水ラインを循環する温度が上昇した冷却水は、前記メイン熱交換器を通過する冷媒の温度を上昇させながら回収され、
前記暖房装置では前記第1冷却水ラインから第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が、前記サブコンデンサで前記圧縮器から供給された高温の冷媒との熱交換によりさらに加熱された状態で前記ヒーターに供給されることを特徴とする請求項15に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項17】
車両の除湿モードでは、
前記第1分岐ラインは、前記サーモスタットの作動により開放され、前記第3弁の作動により前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとが相互連結され、前記サーモスタットと前記第1ラジエータとを連結する前記第1冷却水ラインが閉鎖され、
前記第3分岐ラインは開放され、前記電装品冷却装置で前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインが開放された状態で、前記電装品と前記第2ラジエータとを連結する前記第2冷却水ラインが閉鎖され、
前記エンジンを通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ラインと前記第1分岐ラインに沿って循環しながら、前記第3弁を介して前記第2連結ラインに供給され、
前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第1冷却水ラインから前記第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が、前記ヒーターに供給され、
前記冷房装置では前記第2弁の作動により前記第1連結ラインが独立した密閉回路を形成し、
前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記メイン熱交換器が冷媒を凝縮させ、前記サブコンデンサ及び前記サブ膨張弁の作動が停止することを特徴とする請求項8に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項18】
前記蒸発器は、前記第2弁の作動により前記第1連結ラインに循環する冷却水を、蒸発した低温の冷媒との熱交換により冷却させ、
前記蒸発器を通過した低温の冷却水は、前記第3ウォータポンプの作動により前記第1連結ラインに沿って前記クーラーに供給されることを特徴とする請求項17に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項19】
前記CEモジュールにおいて循環する冷媒は、R152-aまたはR744またはR290冷媒であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項20】
前記暖房装置は、
前記第2連結ラインに備えられる内部加熱器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヒートポンプシステムに関し、より詳しくはエンジンとモータの駆動力を共に用いるハイブリッド車両で高温の冷却水と低温の冷却水をそれぞれ選択的に用いて車両室内を冷房または暖房する車両用ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用空気調和装置は、自動車の室内を暖房または冷房するために冷媒を循環させるエアコンシステムを含む。
【0003】
このようなエアコンシステムは、外部の温度変化に関係なく自動車室内の温度を適切な温度に維持して快適な室内環境を維持できるようにするものであって、圧縮器の駆動によって吐出する冷媒が凝縮器、レシーバードライヤー、膨張弁及び蒸発器を経て再び圧縮器に循環する過程で蒸発器による熱交換によって自動車の室内を暖房または冷房するように構成される。
【0004】
つまり、エアコンシステムは、夏季冷房モード時には圧縮器から圧縮された高温、高圧の気相冷媒が凝縮器により凝縮された後、レシーバードライヤー及び膨張弁を経て蒸発器での蒸発により室内の温度及び湿度を低くする。
【0005】
一方、最近、エネルギ効率及び環境汚染の問題に対する関心が日々大きくなるにつれ、内燃機関自動車を実質的に代替できる環境にやさしい自動車の開発が求められており、このような環境にやさしい自動車は、普通燃料電池や電気を動力源として駆動する電気自動車や、エンジン及び電池を用いて駆動するハイブリッド自動車に区分される。
【0006】
このような環境にやさしい車両のうち、電気自動車またはハイブリッド車両には、一般車両の空気調和装置とは異なり別途のヒーターを用いず、環境にやさしい車両に適用される空気調和装置を通常ヒートポンプシステムという。
【0007】
一方、電気自動車の場合には酸素と水素の化学的反応エネルギを電気エネルギに転換して駆動力を発生させ、この過程で燃料電池内の化学的反応によって熱エネルギが発生するため、発生した熱を効果的に除去することが燃料電池の性能確保において必須である。
【0008】
また、ハイブリッド自動車においても一般的な燃料で作動するエンジンと共に、前記燃料電池や、電気電池から供給される電気を用いてモータを駆動させて駆動力を発生させるため、燃料電池や電池及びモータから発生する熱を効果的に除去しなければモータの性能を確保できない。
【0009】
そのため、従来技術によるハイブリッド車両や電気自動車では、モータ及び電装品と、燃料電池を含む電池の発熱を防止する冷却手段と、ヒートポンプシステムと共に電池冷却システムとがそれぞれ別途の密閉回路で構成しなければならない。
【0010】
したがって、車両の前方に配置されるクーリングモジュールの大きさ及び重量が増加し、エンジンルームの内部でそれぞれのヒートポンプシステムと冷却手段及び電池冷却システムに冷媒または冷却水を供給する連結配管のレイアウトが複雑になる短所がある。
【0011】
また、電池が最適性能を発揮するように車両の状態によって電池をウォームアップまたは冷却させる電池冷却システムが別途備えられるため、各連結配管と連結するための複数の弁が適用され、この弁の頻繁な開閉作動による騒音及び振動が車両室内に伝達され、乗車感が低下する短所もある。
【0012】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を深めるために作成したものであり、この技術が属する分野における通常の知識を有する者にすでに知られている従来技術でない事項を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、前記したような問題点を解決するために発明されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、冷媒の凝縮及び蒸発時に冷媒から発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させ、熱交換した低温または高温の冷却水をそれぞれ用いて車両室内温度を調節する車両用ヒートポンプシステムを提供する。
【0014】
また、本発明の他の目的は、エンジンと、電装品の廃熱を用いて車両の暖房効率を向上させ、電池モジュールの最適性能を発揮するように電池モジュールの温度調節を効率的にすることにより、車両の全体的な走行距離を増加させる車両用ヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムは、第1冷却水ラインで連結される第1ラジエータと第1ウォータポンプとを含み、エンジンに冷却水を循環させるエンジン冷却装置と、第2冷却水ラインで連結される第2ラジエータと第2ウォータポンプとを含み、前記第2冷却水ラインに冷却水を循環させる電装品冷却装置と、前記第2冷却水ラインと第1弁を介して選択的に連結される電池冷却水ラインに備えられる電池モジュールと、前記電池冷却水ラインと第2弁を介して連結され、選択的に独立した密閉回路を形成して車両室内を冷房するように第1連結ラインが構成され、前記第1連結ラインに備えられる第3ウォータポンプ及びクーラーを含む冷房装置と、前記第1冷却水ラインと第3弁を介して連結され、選択的に独立した密閉回路を形成して車両室内を暖房するように第2連結ラインが構成され、前記第2連結ラインに備えられる第4ウォータポンプ及びヒーターを含む暖房装置と、前記冷房装置には低温の冷却水を供給し、前記暖房装置には高温の冷却水を供給するために前記第2冷却水ライン、前記第1及び第2連結ラインにそれぞれ連結され、内部を循環する冷媒の凝縮及び蒸発時に発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させるCEモジュール(Centralized Energy Module)とを含む。
【0016】
前記電装品冷却装置は、前記第2冷却水ラインを循環する冷却水を用いて電装品を冷却させたり前記電池モジュールを冷却し得る。
【0017】
前記CEモジュールは、前記第2ラジエータと前記電池モジュールとの間で前記第2冷却水ラインに備えられ、冷媒を凝縮または蒸発させるメイン熱交換器と、前記メイン熱交換器と冷媒ラインを介して連結する膨張弁と、前記膨張弁と前記冷媒ラインを介して連結され、前記冷房装置で前記第1連結ラインを循環する冷却水を冷却するように前記第1連結ラインに備えられる蒸発器と、前記蒸発器と前記メイン熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられる圧縮器を含み得る。
【0018】
前記蒸発器と前記圧縮器との間で前記冷媒ラインには内部熱交換器が備えられ得る。
【0019】
前記内部熱交換器には前記メイン熱交換器と前記膨張弁とを連結する前記冷媒ラインと、前記蒸発器と前記圧縮器とを連結する前記冷媒ラインとがそれぞれ連結され得る。
【0020】
前記内部熱交換器は、前記メイン熱交換器が冷媒を凝縮する場合、前記メイン熱交換器で凝縮した冷媒を、前記蒸発器から排出される低温の冷媒と熱交換して冷媒をさらに凝縮させ、前記膨張弁に流入させ得る。
【0021】
前記第1弁は、前記第2ラジエータと前記電池モジュールとの間で前記第2冷却水ラインと前記電池冷却水ラインとを選択的に連結し、前記第2弁は、前記電池冷却水ラインと前記第1連結ラインとを選択的に連結し、前記第3弁は、前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとを選択的に連結して冷却水の流動を制御し得る。
【0022】
前記CEモジュールは、前記メイン熱交換器と前記圧縮器との間で前記圧縮器と前記冷媒ラインとを介して連結され、前記暖房装置で前記第2連結ラインを循環する冷却水を加熱するように前記第2連結ラインに備えられるサブコンデンサと、前記サブコンデンサと前記メイン熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられるサブ膨張弁をさらに含み得る。
【0023】
前記エンジン冷却装置には前記第1ラジエータと前記第1ウォータポンプとの間で前記第1冷却水ラインに備えられるサーモスタットを介して前記第1ラジエータと前記エンジンとの間の前記第1冷却水ラインと連結される第1分岐ラインが備えられ、前記電池冷却水ラインには前記第1弁を介して前記電池モジュールを前記冷房装置と連結し、前記電装品冷却装置との連結を閉鎖する第2分岐ラインが備えられ、前記第2冷却水ラインには前記電池冷却水ラインと前記第2冷却水ラインとを分離する第3分岐ラインが備えられ、電装品と前記第2ラジエータとの間を連結する前記第2冷却水ラインには第4弁を介して前記第2ラジエータと前記第2ウォータポンプとの間の前記第2冷却水ラインと連結される第4分岐ラインが備えられ得る。
【0024】
車両の冷房モードで前記電装品と共に前記電池モジュールを冷却するとき、前記第2分岐ラインは、前記第1弁の作動により開放され、前記第3分岐ラインが開放され、開放された前記第2及び第3分岐ラインにより前記第2冷却水ラインと前記電池冷却水ラインとの連結が閉鎖され、前記第2弁の作動により前記電池モジュールと連結された前記電池冷却水ラインが前記第1連結ラインと連結され、前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインは閉鎖され、前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記メイン熱交換器が冷媒を凝縮させ、前記サブコンデンサと前記サブ膨張弁との作動が停止し得る。
【0025】
前記蒸発器は、前記第2弁の作動により前記電池冷却水ラインから前記第1連結ラインに循環する冷却水を、蒸発した低温の冷媒との熱交換により冷却させ、前記蒸発器を通過した低温の冷却水は、前記第3ウォータポンプの作動により前記第1連結ラインに沿って前記クーラーに供給され、前記クーラーを通過した低温の冷却水は、前記第2弁の作動により前記第1連結ラインと連結された前記電池冷却水ラインに沿って前記電池モジュールに供給されて前記電池モジュールを冷却し得る。
【0026】
前記電装品冷却装置では開放された前記第3分岐ラインが前記第2冷却水ラインに連結されて独立した密閉回路を形成し、前記第2ラジエータで冷却した冷却水が前記第2ウォータポンプの作動により循環しながら前記電装品を冷却させ得る。
【0027】
前記エンジン冷却装置を用いて車両の暖房モードを行う時には、前記第1分岐ラインは、前記サーモスタットの作動により開放され、前記第3弁の作動により前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとが相互連結され、前記サーモスタットと前記第1ラジエータとを連結する前記第1冷却水ラインが閉鎖され、前記エンジンを通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ラインと前記第1分岐ラインとに沿って循環しながら前記第3弁を介して前記第2連結ラインに供給され、前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第1冷却水ラインから前記第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーターに供給され、前記CEモジュールで冷媒の循環が停止し得る。
【0028】
前記電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行う時には、前記第1弁の作動により前記第2分岐ラインが閉鎖され、前記第3分岐ラインは開放され、前記電装品冷却装置で前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインが開放された状態で、前記電装品と前記第2ラジエータとを連結する前記第2冷却水ラインが閉鎖され、前記第3弁の作動により前記第2連結ラインが独立した密閉回路を形成し、前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第2連結ラインに沿って冷却水が循環し、前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記膨張弁及び前記蒸発器の作動が停止し、前記サブ膨張弁が作動して前記サブコンデンサを通過した冷媒を膨張させて前記メイン熱交換器に供給し得る。
【0029】
前記電装品で発生した廃熱は、前記第2冷却水ラインを循環する冷却水の温度を上昇させ、温度が上昇した冷却水は、前記メイン熱交換器を通過する冷媒の温度を上昇させながら回収され、前記暖房装置では前記第2連結ラインに沿って循環する冷却水が、前記サブコンデンサで前記圧縮器から供給された高温の冷媒との熱交換により加熱された状態で前記ヒーターに供給され得る。
【0030】
前記エンジン冷却装置及び前記電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行う時には、前記第1分岐ラインは、前記サーモスタットの作動により開放され、前記第3弁の作動により前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとが相互連結され、前記サーモスタットと前記第1ラジエータとを連結する前記第1冷却水ラインが閉鎖され、前記第2分岐ラインは、前記第1弁の作動により閉鎖され、前記第3分岐ラインは開放され、前記電装品冷却装置で前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインが開放された状態で、前記電装品と前記第2ラジエータとを連結する前記第2冷却水ラインが閉鎖され、前記エンジンを通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ラインと前記第1分岐ラインとに沿って循環しながら、前記第3弁を介して前記第2連結ラインに供給され、前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第1冷却水ラインから前記第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーターに供給され、前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記膨張弁及び前記蒸発器の作動が停止し、前記サブ膨張弁が作動して前記サブコンデンサを通過した冷媒を膨張させて前記メイン熱交換器に供給し得る。
【0031】
前記エンジン及び前記電装品で発生した廃熱は、前記第1及び第2冷却水ラインを循環する冷却水の温度を上昇させ、前記第2冷却水ラインを循環する温度が上昇した冷却水は、前記メイン熱交換器を通過する冷媒の温度を上昇させながら回収され、前記暖房装置では前記第1冷却水ラインから第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が、前記サブコンデンサで前記圧縮器から供給された高温の冷媒との熱交換によりさらに加熱された状態で前記ヒーターに供給され得る。
【0032】
車両の除湿モードでは、前記第1分岐ラインは、前記サーモスタットの作動により開放され、前記第3弁の作動により前記第1冷却水ラインと前記第2連結ラインとが相互連結され、前記サーモスタットと前記第1ラジエータとを連結する前記第1冷却水ラインが閉鎖され、前記第3分岐ラインは開放され、前記電装品冷却装置で前記第4弁の作動により前記第4分岐ラインが開放された状態で、前記電装品と前記第2ラジエータとを連結する前記第2冷却水ラインが閉鎖され、前記エンジンを通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ラインと前記第1分岐ラインとに沿って循環しながら、前記第3弁を介して前記第2連結ラインに供給され、前記暖房装置では前記第4ウォータポンプの作動により前記第1冷却水ラインから前記第2連結ラインに沿って循環する高温の冷却水が、前記ヒーターに供給され、前記冷房装置では前記第2弁の作動により前記第1連結ラインが独立した密閉回路を形成し、前記CEモジュールでは冷媒が循環し、前記メイン熱交換器が冷媒を凝縮させ、前記サブコンデンサ及び前記サブ膨張弁の作動が停止し得る。
【0033】
前記蒸発器は、前記第2弁の作動により前記第1連結ラインに循環する冷却水を蒸発した低温の冷媒との熱交換により冷却させ、前記蒸発器を通過した低温の冷却水は、前記第3ウォータポンプの作動により前記第1連結ラインに沿って前記クーラーに供給され得る。
【0034】
前記第2ラジエータと前記メイン熱交換器との間には前記第4分岐ラインと連結されるリザーブタンクが備えられ得る。
【0035】
前記第1及び第2弁は3-Way弁であり、第2及び第3弁は4-Way弁であり得る。
【0036】
前記メイン熱交換器、前記サブコンデンサ及び前記蒸発器は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換機であり得る。
【0037】
前記CEモジュールにおいて循環する冷媒は、R152-aまたはR744またはR290冷媒であり得る。
【0038】
前記電装品はモータ、または電力制御装置(Electric Power Control Unit、EPCU)、または充電器(On Board Charger、OBC)を含み、前記モータと前記電力制御装置は走行中に発熱し、前記充電器は前記電池モジュールを充電する場合発熱し得る。
【0039】
前記暖房装置は、前記第2連結ラインに備えられる内部加熱器をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0040】
前述したように本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムは、冷媒の凝縮及び蒸発時に冷媒から発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させ、熱交換した低温または高温の冷却水をそれぞれ用いて車両室内温度を調節することによって、システムを簡素化し、冷媒が循環する連結配管のレイアウトを簡素化させることができる。
【0041】
また、本発明は、エンジン及び電装品の廃熱を用いて車両の暖房効率を向上させ、電池モジュールの最適性能が発揮されるように電池モジュールの効率的な温度調節により車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
【0042】
また、本発明は、冷媒の凝縮及び蒸発により熱エネルギを生成するCEモジュール(Centralized Energy Module)をパッケージ化してサイズ及び重量を減らすことができる。
【0043】
また、本発明は、CEモジュールで高性能のR152-a、またはR744、またはR290冷媒を用いることによって、従来のエアコン装置に比べて騒音、振動及び作動不安定の発生を防止することができる。
【0044】
また、本発明は、前記CEモジュールで冷媒の凝縮量が増大するようにサブコンデンサと内部熱交換器と共に構成することによって、冷媒のサブクールの増加を図り、冷房性能及び効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製作原価の節減及び重量の縮小が可能であり、空間活用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
図2】本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モード時に電装品及び電池モジュールを冷却させることを示す作動状態図である。
図3】本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムでエンジン冷却装置を用いて車両の暖房モードを行うことを示す作動状態図である。
図4】本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムで電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行うことを示す作動状態図である。
図5】本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムでエンジン冷却装置及び電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行うことを示す作動状態図である。
図6】本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムで車両の除湿モードに応じた作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0048】
これに先立ち、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎないだけであり、本発明の技術的な思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があることを理解しなければならない。
【0049】
本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付する。
【0050】
図面に示す各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上任意に示したので、本発明は必ず図面に示したものに限定されず、多様な部分及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0051】
そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。
【0052】
また、明細書に記載された「…ユニット」、「…手段」、「…部」、「…部材」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作をする包括的な構成の単位を意味する。
【0053】
図1は本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステム1は、冷媒の凝縮及び蒸発時に冷媒から発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させ、低温または高温の冷却水だけを用いて車両の冷房または暖房モードを行う。
【0054】
このようなヒートポンプシステム1は、エンジン12とモータの駆動力を共に使用するハイブリッド車両に適用される。
【0055】
図1を参照すれば、前記ヒートポンプシステム1は、エンジン冷却装置10、電装品冷却装置20、電池モジュール30、CEモジュール40、冷房装置(50:air conditioner)及び暖房装置(60:heating device)を含む。
【0056】
まず、前記エンジン冷却装置10は、第1冷却水ライン(11:first coolant line)で連結される第1ラジエータ13と第1ウォータポンプ15とを含み、前記エンジン12を冷却するように前記第1冷却水ライン11に冷却水を循環させる。
【0057】
前記第1ラジエータ13は、車両の前方に配置され、後方には冷却ファン14が備えられ、冷却ファン14の作動と外気との熱交換により冷却水を冷却する。
【0058】
ここで、前記エンジン冷却装置10には前記第1ラジエータ13と前記第1ウォータポンプ15との間で前記第1冷却水ライン11に備えられるサーモスタット16を介して前記第1ラジエータ13と前記エンジン12との間の前記第1冷却水ライン11と連結される第1分岐ライン17が備えられる。
【0059】
前記第1分岐ライン17は、前記エンジン12で発生した廃熱を吸収して冷却水の温度を上昇させる場合、前記サーモスタット16の作動により選択的に開放される。この時、前記第1ラジエータ13と連結される前記第1冷却水ライン11は、前記サーモスタット16の作動により閉鎖される。
【0060】
本実施形態において、前記電装品冷却装置20は、第2冷却水ライン(21:second coolant line)で連結される第2ラジエータ22と第2ウォータポンプ24とを含み、電装品26を冷却するように前記第2冷却水ライン21に冷却水を循環させる。
【0061】
ここで、前記電装品26は、モータを含む電力制御装置(Electric Power Control Unit、EPCU)、充電器(On Board Charger、OBC)、モータを含み得る。
【0062】
前記電力制御装置は走行中に発熱し、前記充電器は前記電池モジュール30を充電する場合に発熱し得る。
【0063】
そのために、車両の暖房モードで前記電装品26の廃熱を回収する時には前記電力制御装置から発生した熱を回収し、前記充電器から発生した熱は前記電池モジュール30の充電時に回収し得る。
【0064】
前記第2ラジエータ22は、前記第1ラジエータ13の前方に配置され、前記冷却ファン14の作動と外気との熱交換により冷却水を冷却する。
【0065】
このように構成される前記電装品冷却装置20は、前記第2ウォータポンプ24の作動により前記第2ラジエータ22で冷却した冷却水を前記第2冷却水ライン21に沿って循環させることによって、前記電装品26が過熱されないように冷却させる。
【0066】
前記電池モジュール30は、前記第2冷却水ライン21と第1弁V1を介して選択的に連結される電池冷却水ライン(31:battery coolant line)に備えられる。
【0067】
ここで、前記第1弁V1は、前記第2ラジエータ22と前記電池モジュール30との間で前記電装品26と連結された前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とを選択的に連結し得る。
【0068】
このような電池モジュール30は、前記電装品26に電源を供給し、前記電池冷却水ライン31に沿って流動される冷却水で冷却する水冷式で形成される。
【0069】
つまり、前記電池モジュール30は、前記第1弁V1の作動により前記電池冷却水ライン31を介して前記電装品冷却装置20と選択的に連結され、前記電池冷却水ライン31を循環する冷却水で冷却し得る。
【0070】
本実施形態において、前記冷房装置50は、前記電池冷却水ライン31と第2弁V2を介して選択的に連結される。このような冷房装置50は、選択的に独立した密閉回路を形成して車両室内を冷房するように第1連結ライン52が構成される。また前記冷房装置50は、前記第1連結ライン52に備えられるクーラー54と第3ウォータポンプ56とを含み得る。
【0071】
このように構成される前記冷房装置50は、前記第3ウォータポンプ56の作動により第1連結ライン52に沿って循環し、前記CEモジュール40によって冷却された低温の冷却水を用いて前記クーラー54を冷却し得る。
【0072】
ここで、前記クーラー54は、車両に備えられるHVACモジュール(図示せず)の内部に備えられる。そのため、前記HVACモジュールから車両室内に供給される空気は、前記クーラー54を通過しながら低温の冷却水との熱交換により冷却されて流入し得る。
【0073】
本実施形態において、前記暖房装置60は、前記第1冷却水ライン11と第3弁V3を介して選択的に連結される。このような暖房装置60は、選択的に独立した密閉回路を形成して車両室内を暖房するように第2連結ライン62が構成される。また前記暖房装置60は、前記第2連結ライン62に備えられるヒーター64と第4ウォータポンプ66とを含み得る。
【0074】
ここで、前記暖房装置60は、前記第2連結ライン62に備えられる内部加熱器(68:internal heater)をさらに含み得る。
【0075】
前記内部加熱器68は、前記第2連結ライン62を介して循環する冷却水の温度が室内暖房温度より低い場合、選択的に作動して冷却水の温度を上昇させ得る。このような内部加熱器68は、電源供給により作動する電気式ヒーターであり得る。
【0076】
このように構成される前記暖房装置60は、前記第4ウォータポンプ66の作動により第2連結ライン62に沿って循環し、前記CEモジュール40によって加熱された高温の冷却水を用いて前記ヒーター64を加熱させる。
【0077】
ここで、前記ヒーター64は、車両に備えられるHVACモジュール(図示せず)の内部に備えられる。そのために、前記HVACモジュールから車両室内に供給される空気は、前記ヒーター64を通過しながら高温の冷却水との熱交換により加熱されて流入し得る。
【0078】
前記クーラー54と前記ヒーター64は、内部に流入する冷却水の温度に応じて冷却または加熱する水冷式で構成され得る。
【0079】
一方、前記第2弁V2は、前記電池モジュール30と前記クーラー54との間で前記電池冷却水ライン31と前記第1連結ライン52とを選択的に連結し得る。
【0080】
そして、前記第3弁V3は、前記エンジン12と前記ヒーター64との間で前記第1冷却水ライン11と前記第2連結ライン62を選択的に連結し得る。
【0081】
このような第1、第2及び第3弁V1、V2、V3は、冷却水の流動方向を制御し得る。
【0082】
一方、前記電池冷却水ライン31には、前記電池冷却水ライン31に沿って冷却水を循環させる別途のウォータポンプ(図示せず)が備えられ得る。
【0083】
ここで、前記第2及び第3弁V2,V3は4-Way弁であり得る。また、前記第1、第2、第3及び第4ウォータポンプ15、24、56、66は電動式ウォータポンプであり得る。
【0084】
本実施形態において、前記CEモジュール(Centralized Energy Module:40)は、前記冷房装置50には低温の冷却水を供給し、前記暖房装置60には高温の冷却水を供給するために前記第2冷却水ライン21、前記第1及び第2連結ライン52、62にそれぞれ連結される。
【0085】
このようなCEモジュール40は、内部を循環する冷媒の凝縮及び蒸発時に発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させ、熱交換した低温または高温の冷却水を前記冷房装置50と前記暖房装置60とにそれぞれ供給する。
【0086】
ここで、前記冷媒は高性能のR152-a、またはR744、またはR290冷媒であり得る。
【0087】
つまり、低温の冷却水は、前記第1連結ライン52を介して前記クーラー54に供給され、高温の冷却水は、前記第2連結ライン62を介して前記ヒーター64に供給される。
【0088】
ここで、前記CEモジュール40は、メイン熱交換器42、膨張弁45、蒸発器46及び圧縮器48を含む。
【0089】
まず、前記メイン熱交換器42は、前記第2ラジエータ22と前記電池モジュール30との間で前記第2冷却水ライン21に備えられる。このようなメイン熱交換器42は冷媒を凝縮または蒸発させ得る。
【0090】
そのために、前記メイン熱交換器42は、流入した冷媒を冷却水と熱交換して凝縮または蒸発させ、冷媒の凝縮及び蒸発時に発生した熱エネルギを冷却水に供給して冷却水の温度を上昇または下降させる。
【0091】
前記膨張弁45は、前記メイン熱交換器42と冷媒ライン(41:refrigerant line)を介して連結され得る。このような膨張弁45は、前記メイン熱交換器42を通過した冷媒の供給を受けて膨張させる。前記膨張弁45は機械式または電子式で構成され得る。
【0092】
前記蒸発器46は、前記膨張弁45と前記冷媒ライン41とを介して連結され、前記冷房装置50で前記第1連結ライン52を循環する冷却水を冷却するように前記第1連結ライン52に備えられ得る。
【0093】
このような蒸発器46は、流入した冷媒を冷却水と熱交換して蒸発させ、冷媒の蒸発時に発生した低温の熱エネルギを冷却水に供給して冷却水の温度を低くする。
【0094】
そして、前記圧縮器48は、前記蒸発器46と前記メイン熱交換器42との間で前記冷媒ライン41に備えられる。このような圧縮器48は、前記蒸発器46から排出される気体状態の冷媒を圧縮させる。
【0095】
ここで、前記蒸発器46と前記圧縮器48との間で前記冷媒ライン41にはアキュムレータ47と内部熱交換器44とがそれぞれ順に備えられ得る。
【0096】
前記内部熱交換器44には前記メイン熱交換器42と前記膨張弁45とを連結する前記冷媒ライン41と、前記アキュムレータ47と前記圧縮器48とを連結する前記冷媒ライン41がそれぞれ連結され得る。
【0097】
また、前記内部熱交換器44は、前記メイン熱交換器42が冷媒を凝縮する場合、前記メイン熱交換器42で凝縮した冷媒を、前記蒸発器46から排出される低温の冷媒と熱交換して冷媒をさらに凝縮させ、前記膨張弁45に流入させ得る。
【0098】
前記アキュムレータ47は、前記内部熱交換器44と前記圧縮器48との間で前記冷媒ライン41に備えられる。このようなアキュムレータ47は、前記圧縮器48に気体状態の冷媒のみを供給することによって、前記圧縮器48の効率及び耐久性を向上させる。
【0099】
したがって、前記蒸発器46から排出される冷媒は、前記内部熱交換器44を通過しながら前記メイン熱交換器42から供給される冷媒と熱交換した後、前記圧縮器48に供給され得る。
【0100】
ここで、前記内部熱交換器44には前記メイン熱交換器42から排出される凝縮された冷媒と、前記蒸発器46から排出された低温低圧の冷媒とがそれぞれ流入する。そのために、前記内部熱交換器44は、低温の冷媒と、凝縮された冷媒とをさらに熱交換して冷媒の温度をさらに低くし、凝縮量を増加させ得る。
【0101】
このように、前記内部熱交換器44は、前記メイン熱交換器42で凝縮した冷媒をさらに凝縮させることによって、冷媒のサブクールを増大させることができ、これによって、圧縮器の所要動力に対して冷房能力の係数であるCOP(Coefficient Of Performance)が向上できる。
【0102】
一方、前記CEモジュール40は、サブコンデンサ43とサブ膨張弁49とをさらに含み得る。
【0103】
まず、前記サブコンデンサ43は、前記メイン熱交換器42と前記圧縮器48との間で前記圧縮器48と前記冷媒ライン41とを介して連結され、前記暖房装置60で前記第2連結ライン62を循環する冷却水を加熱するように前記第2連結ライン62に備えられる。
【0104】
そして、前記サブ膨張弁49は、前記サブコンデンサ43と前記メイン熱交換器42との間で前記冷媒ライン41に備えられ得る。
【0105】
このようなサブコンデンサ43は、前記メイン熱交換器42が冷媒を凝縮する場合、前記圧縮器48から排出された冷媒を一次に凝縮させる。これにより、前記メイン熱交換器42は、前記サブコンデンサ43で凝縮した冷媒をさらに凝縮して冷媒の凝縮量を増加させ得る。
【0106】
ここで、前記サブ膨張弁49は、冷媒を膨張させず前記メイン熱交換器42に通過させ得る。
【0107】
これとは反対に、前記メイン熱交換器42が冷媒を蒸発させる場合、前記サブ膨張弁49は、前記サブコンデンサ43から排出された冷媒を膨張させて前記メイン熱交換器42に供給し得る。
【0108】
一方、本実施形態においては前記内部熱交換器44で蒸発した低温の冷媒と凝縮された冷媒を相互熱交換させることを一実施形態として説明しているが、これに限定されたものではなく、前記内部熱交換器44から排出される冷媒のうち、一部を迂回させて冷却し、冷却された冷媒及び前記蒸発器46から排出された低温の冷媒と共に用いて前記内部熱交換器44から流入した残りの冷媒を冷却して冷媒のサブクールを増大させるように構成され得る。
【0109】
このようなメイン熱交換器42、前記サブコンデンサ43及び前記蒸発器46は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換機であり得る。
【0110】
前記膨張弁45が電子式である場合、冷媒は前記サブコンデンサ43、前記メイン熱交換器42及び前記内部熱交換器44を順に通過した後、前記膨張弁45で膨張して前記蒸発器46に流入する。前記蒸発器46から排出された冷媒は、前記内部熱交換器44を通過した後、前記圧縮器48に排出され得る。
【0111】
この時、内部熱交換器44と前記圧縮器48とを連結する前記冷媒ライン41には冷媒の温度及び圧力を測定するセンサが別途備えられ、このセンサが冷媒の過熱度を測定して前記膨張弁45の膨張量を調節し得る。
【0112】
一方、本実施形態において、前記電池冷却水ライン31には前記第1弁V1を介して前記電池モジュール30を前記冷房装置50と連結し、前記電装品冷却装置20との連結を閉鎖する第2分岐ライン32が備えられる。
【0113】
前記第1弁V1は、前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とを選択的に連結するか、前記電池冷却水ライン31と前記第2分岐ライン32とを選択的に連結して冷却水の流動流れを制御する。
【0114】
つまり、前記第1弁V1は、前記第2ラジエータ22で冷却した冷却水を用いて前記電池モジュール30を冷却する場合、前記第2ラジエータ22と連結される前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とを連結し、前記第2分岐ライン32は閉鎖し得る。
【0115】
また、前記第1弁V1は、前記電池モジュール30を、前記冷房装置50を循環しながら冷媒と熱交換した冷却水を用いて冷却する場合、前記第2分岐ライン32を開放し、前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31との連結を閉鎖し得る。
【0116】
この時、前記第2弁V2は、選択的に作動して前記電池冷却水ライン31を前記第1連結ライン52と連結し得る。
【0117】
これにより、前記蒸発器46で冷媒との熱交換が完了した低温の冷却水は、前記第1弁V1によって開放された前記第2分岐ライン32と、前記第2弁V2によって連結された前記第1連結ライン52と、前記電池冷却水ライン31を介して前記電池モジュール30に流入することによって、効率的に前記電池モジュール30を冷却させ得る。
【0118】
本実施形態において、前記第2冷却水ライン21には前記電池冷却水ライン31と前記第2冷却水ライン21とを分離する第3分岐ライン34が備えられる。
【0119】
前記第3分岐ライン34は、前記電装品冷却装置20が前記第2冷却水ライン21を介して独立した密閉回路を形成するように前記第2冷却水ライン21に選択的に連結され得る。
【0120】
ここで、前記第3分岐ライン34が、前記第2冷却水ライン21、及び前記電池冷却水ライン31と交差する地点、または前記第3分岐ライン34上には別途の弁が備えられ得る。このような弁は、3-Wayまたは2-Way弁であり得る。
【0121】
そして、前記電装品26と前記第2ラジエータ22との間を連結する前記第2冷却水ライン21には第4弁V4を介して前記第2ラジエータ22と前記第2ウォータポンプ24との間の前記第2冷却水ライン21と連結される第4分岐ライン36が備えられ得る。
【0122】
前記第4分岐ライン36は、前記電装品26で発生した廃熱を吸収して冷却水の温度を上昇させる場合、前記第4弁V4の作動により選択的に開放される。この時、前記第2ラジエータ22と連結される前記第2冷却水ライン21は、前記第4弁V4の作動により閉鎖される。
【0123】
一方、前記第2ラジエータ22と前記メイン熱交換器42との間には前記第4分岐ライン36と連結されるリザーブタンク28が備えられ得る。前記リザーブタンク28は、前記第2ラジエータ22から流入する冷却が完了した冷却水が貯蔵され得る。
【0124】
ここで、前記第1及び第4弁V1、V4は、流量の分配が可能な3-Way弁であり得る。
【0125】
また、本実施形態においては、前記第3分岐ライン34に弁が構成されないことを一実施形態として説明しているが、これに限定されるものでなく、前記第3分岐ライン34の選択的な開放のために必要に応じて弁の適用が可能である。
【0126】
つまり、前記第3分岐ライン34は、車両の各モード(暖房、冷房、除湿)に応じて選択的に連結される前記第2冷却水ライン21、前記電池冷却水ライン31、並びに第2及び第4分岐ライン32、36と、前記第2及び第3ウォータポンプ24、56の作動により循環する冷却水の流量制御ができることによって、前記第3分岐ライン34の開閉制御が可能である。
【0127】
以下、前記のように構成される本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステム1の各モード別作動及び作用を図2図6を参照して詳しく説明する。
【0128】
まず、車両の冷房モードで前記電装品26と共に前記電池モジュール30を冷却するときの作動を図2を参照して説明する。
【0129】
図2は、本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モード時に電装品と電池モジュールとを冷却させることを示す作動状態図である。
【0130】
図2を参照すれば、前記電装品冷却装置20は、前記電装品26の冷却のために作動する。また、前記CEモジュール40は、車両室内を冷房するために各構成要素が作動し、冷媒は冷媒ライン41に沿って循環する。そして前記エンジン冷却装置10は作動が中断される。
【0131】
前記第2分岐ライン32は前記第1弁V1の作動により開放される。また、前記第3分岐ライン34が開放される。
【0132】
また、前記第2冷却水ライン21は、開放された前記第2及び第3分岐ライン32、34及び前記第1弁V1の作動により前記電池冷却水ライン31との連結が閉鎖される。
【0133】
そして、前記第2弁V2の作動により前記電池モジュール30と連結された前記電池冷却水ライン31が前記第1連結ライン52と連結される。
【0134】
ここで、前記暖房装置60は、前記第4ウォータポンプ66の作動が停止し、前記第2連結ライン62には冷却水の流動が中断される。
【0135】
前記CEモジュール40の前記メイン熱交換器42は、前記第2冷却水ライン21に沿って流動する冷却水を用いて前記冷媒を凝縮させる。そして、前記サブコンデンサ43と前記サブ膨張弁49は、前記暖房装置60の作動が中断されることによって作動が停止する。
【0136】
そして、前記第4分岐ライン36は前記第4弁V4の作動により閉鎖される。これと同時に、前記第4弁V4は、前記電装品26と前記第2ラジエータ22とを連結する前記第2冷却水ライン21を開放する。
【0137】
これにより、前記第2ラジエータ22で冷却した冷却水は、前記第2ウォータポンプ24の作動により開放された前記第3分岐ライン34と連結された前記第2冷却水ライン21に沿って循環し得る。
【0138】
つまり、前記電装品冷却装置20では開放された前記第3分岐ライン34が前記第2冷却水ライン21と連結されて独立した密閉回路を形成し得る。そうすると、前記第2ラジエータ22で冷却した冷却水は、前記第2ウォータポンプ24の作動により循環しながら前記電装品26を冷却させる。
【0139】
そして、前記電池冷却水ライン31の冷却水は、前記第3ウォータポンプ56の作動により前記電池冷却水ライン31、前記第2分岐ライン32及び前記第1連結ライン52に沿って循環する。
【0140】
つまり、前記電池冷却水ライン31に沿って循環する冷却水は、前記第2弁V2及び前記第3ウォータポンプ56の作動により前記第1連結ライン52に流動される。
【0141】
これにより、冷却水は、前記電池冷却水ライン31と前記第1連結ライン52とに沿って循環し得る。
【0142】
ここで、前記内部熱交換器44は、冷媒のサブクールの増大により凝縮量がさらに増加するように前記メイン熱交換器42で凝縮した冷媒を前記蒸発器46から排出される低温の冷媒との熱交換によりさらに凝縮して冷媒の凝縮量を増加させる。
【0143】
また、前記蒸発器46は、前記第2弁V2の作動により前記電池冷却水ライン31から前記第1連結ライン52に沿って循環する冷却水を内部で蒸発した低温の冷媒と熱交換させる。
【0144】
前記蒸発器46を通過した低温の冷却水は、前記第3ウォータポンプ56の作動により前記第1連結ライン52に沿って前記クーラー54に供給される。
【0145】
つまり、前記CEモジュール40で前記冷媒ライン41に沿って循環する冷媒は、前記メイン熱交換器42を通過する冷却水との熱交換により一次凝縮する。その後、前記メイン熱交換器42から排出された冷媒は、前記内部熱交換器44で前記蒸発器46から供給された低温の冷媒とさらに熱交換し、凝縮量がさらに増加する。
【0146】
凝縮量が増加した冷媒は、前記膨張弁45で膨張し、前記蒸発器46で蒸発する。
【0147】
この時、前記蒸発器46で蒸発した冷媒は、前記第1連結ライン52を介して流入した冷却水を冷却させる。ここで、前記蒸発器46には前記メイン熱交換器42と、前記内部熱交換器44を順に通過しながら凝縮量が増加した冷媒が膨張して供給されることによって、冷媒をより低い温度で蒸発させ得る。
【0148】
つまり、本実施形態においては、前記内部熱交換器44がさらに冷媒を凝縮させることによって、冷媒のサブクール形成が有利になる。
【0149】
そして、サブクールが形成された冷媒が、前記蒸発器46でより低い温度で蒸発することによって、前記蒸発器46で熱交換する冷却水の温度をさらに低くし得、冷房性能及び効率を向上させ得る。
【0150】
一方、前記蒸発器46で蒸発した冷媒は、前記第1連結ライン52を介して流入した冷却水を冷却させる。したがって、冷却水は、前記蒸発器46を通過しながら低い温度で冷却され、前記第1連結ライン52を介して前記クーラー54に供給される。
【0151】
そうすると、図示していない前記HVACモジュールに流入する外気が前記クーラー54に流入した低温状態の冷却水と熱交換しながら冷却される。その後、冷却された外気は車両の内部に直接流入することによって、車両室内を冷房し得る。
【0152】
一方、前記クーラー54を通過した低温の冷却水は、前記第2弁V2の作動により連結された前記電池冷却水ライン31に沿って流動され、前記電池モジュール30に流入する。そのために、電池モジュール30は、前記電池冷却水ライン31に供給された低温の冷却水によって効率的に冷却され得る。
【0153】
前記エンジン冷却装置10を用いて車両の暖房モードを行う場合に対する作動について図3を参照して説明する。
【0154】
図3は本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムでエンジン冷却装置を用いて車両の暖房モードを行うことを示す作動状態図である。
【0155】
図3を参照すれば、前記電装品冷却装置20で前記第2ウォータポンプ24の作動が中断される。そのために、前記電装品冷却装置20で冷却水の循環が停止する。また、前記CEモジュール40は可動が中断され、これにより冷媒の循環が停止する。
【0156】
前記第1分岐ライン17は、前記サーモスタット16の作動により開放される。前記第2連結ライン62は、前記第3弁V3の作動により前記第1冷却水ライン11と相互連結される。
【0157】
また、前記サーモスタット16は、前記第1分岐ライン17を開放した状態で、前記サーモスタット16と前記第1ラジエータ13とを連結する前記第1冷却水ライン11が閉鎖される。
【0158】
ここで、前記冷房装置50は、前記第3ウォータポンプ56の作動が停止し、前記第1連結ライン52には冷却水の流動が中断される。
【0159】
そのために、前記エンジン12を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ライン11と前記第1分岐ライン17とに沿って循環しながら前記第3弁V3を介して前記第2連結ライン62に供給される。
【0160】
そうすると、前記暖房装置60では前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第1冷却水ライン11から前記第2連結ライン62に沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーター64に供給される。
【0161】
したがって、図示していない前記HVACモジュールに流入する外気は、高温の冷却水が流入する前記ヒーター64を通過しながら加熱され、温度が上昇した状態で車両室内に流入することによって、車両室内を暖房し得る。
【0162】
一方、前記第2連結ライン62に備えられた前記内部加熱器68は、前記ヒーター64に供給された冷却水の温度が暖房設定温度より低い場合、作動して冷却水の温度を上昇させ得る。
【0163】
つまり、本実施形態によるヒートポンプシステム1は、エンジン冷却装置10を用いて車両の暖房モードを行う場合、前記エンジン12で発生する廃熱源を前記ヒーター64に供給される冷却水の温度上昇に用いることによって、暖房効率を向上させ得る。
【0164】
前記電装品冷却装置20を用いて車両の暖房モードを行う場合に対する作動について図4を参照して説明する。
【0165】
図4は本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムで電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行うことを示す作動状態図である。
【0166】
図4を参照すれば、前記エンジン冷却装置10で前記第1ウォータポンプ15は作動が中断される。そのために、前記エンジン冷却装置20で冷却水の循環が停止する。
【0167】
前記CEモジュール40は、車両室内を暖房するために各構成要素が作動し、冷媒は冷媒ライン41に沿って循環する。
【0168】
前記第2分岐ライン32は、前記第1弁V1の作動により閉鎖され、前記第3分岐ライン34は開放される。そのために、前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とは連結が閉鎖される。
【0169】
そして、前記電装品冷却装置20で前記第4弁V4の作動により前記第4分岐ライン36が開放される。また、前記第4弁V4は前記電装品26と前記第2ラジエータ22とを連結する前記第2冷却水ライン21を閉鎖する。
【0170】
そうすると、前記第2冷却水ライン21において循環する冷却水は、前記第2ラジエータ22を通過しない状態で、前記電装品26を冷却し続けながら温度が上昇し得る。
【0171】
前記第3弁V3は、前記第2連結ライン62が独立した密閉回路を形成するように前記第1冷却水ライン11と前記第2連結ライン62との連結を閉鎖する。
【0172】
ここで、前記暖房装置60では前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第2連結ライン62に沿って冷却水が循環し得る。
【0173】
一方、前記冷房装置50は、前記第3ウォータポンプ56の作動が停止し、前記第1連結ライン52には冷却水の流動が中断される。
【0174】
そのために、前記膨張弁45及び前記蒸発器46は、前記冷房装置50の作動が中断されることによって作動が停止する。
【0175】
そうすると、前記暖房装置60で前記第2連結ライン62に沿って循環する冷却水は、前記圧縮器48から前記サブコンデンサ43に供給された高温の冷媒との熱交換により温度が上昇する。
【0176】
前記サブコンデンサ43を通過した高温の冷却水は、前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第2連結ライン62に沿って前記ヒーター64に供給される。
【0177】
ここで、前記電装品26で発生した廃熱は、前記第2冷却水ライン21を循環する冷却水の温度を上昇させる。
【0178】
温度が上昇した冷却水は、前記第2ウォータポンプ24の作動により前記メイン熱交換器42を通過しながら、前記メイン熱交換器42から排出される冷媒の温度を上昇させながら回収する。
【0179】
ここで、前記メイン熱交換器42には前記サブ膨張弁49の作動により前記サブコンデンサ43を通過しながら凝縮された冷媒が膨張した状態で供給される。つまり、前記メイン熱交換器42は冷媒を蒸発させる機能をする。
【0180】
そのために、前記メイン熱交換器42を通過しながら温度が上昇した冷媒は、前記冷媒ライン41に沿って前記内部熱交換器44と前記膨張弁45とを通過して前記圧縮器48に流入する。この時、前記膨張弁45は、冷媒の膨張なしに前記圧縮器48に供給し得る。
【0181】
つまり、温度が上昇した冷媒は、前記圧縮器48に流入し、前記圧縮器48でさらに高い温度と圧力で圧縮されて前記サブコンデンサ43に流入する。
【0182】
一方、前記第2連結ライン62に沿って循環する冷却水は、前記サブコンデンサ43を通過しながら高温の冷媒との熱交換によりその温度がさらに上昇した状態で、前記ヒーター64に供給される。
【0183】
したがって、図示していない前記HVACモジュールに流入する外気は、高温の冷却水が流入する前記ヒーター64を通過しながら加熱され、温度が上昇した状態で車両室内に流入することによって、車両室内を暖房し得る。
【0184】
つまり、本実施形態によるヒートポンプシステム1は、車両の暖房モードで、前記電装品26で発生する廃熱源を冷媒の温度上昇に用いることによって、前記圧縮器48の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させ得る。
【0185】
一方、図4には示していないが、前記電装品26と共に前記電池モジュール30の廃熱を共に回収して車両の暖房モードを行う場合、前記第1及び第2弁V1、V2を介して前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とが相互連結され、前記第2分岐ライン32は閉鎖される。
【0186】
また、前記第2冷却水ライン21が前記電池冷却水ライン31と連結されることによって前記第3分岐ライン34も閉鎖される。
【0187】
そうすると、冷却水は第2ウォータポンプ24の作動により前記第2冷却水ライン21、前記第4分岐ライン36、前記電池冷却水ライン31に沿って循環しながら前記電装品26と前記電池モジュール30で発生した廃熱を回収して温度が上昇する。温度が上昇した冷却水は、前記内部熱交換器42を通過しながら冷媒との熱交換により冷媒の温度を上昇させ得る。
【0188】
前記エンジン冷却装置10及び前記電装品冷却装置20を用いて車両の暖房モードを行う場合に対する作動について図5を参照して説明する。
【0189】
図5は本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムでエンジン冷却装置及び電装品冷却装置を用いて車両の暖房モードを行うことを示す作動状態図である。
【0190】
図5を参照すると、前記第1分岐ライン17は前記サーモスタット16の作動により開放される。前記第2連結ライン62は、前記第3弁V3の作動により前記第1冷却水ライン11と相互連結される。
【0191】
また、前記サーモスタット16は、前記第1分岐ライン17を開放した状態で、前記サーモスタット16と前記第1ラジエータ13とを連結する前記第1冷却水ライン11が閉鎖される。
【0192】
前記第2分岐ライン32は、前記第1弁V1の作動により閉鎖され、前記第3分岐ライン34は開放される。そのために、前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とは連結が閉鎖される。
【0193】
そして、前記電装品冷却装置20で前記第4弁V4の作動により前記第4分岐ライン36が開放される。また、前記第4弁V4は、前記電装品26と前記第2ラジエータ22とを連結する前記第2冷却水ライン21を閉鎖する。
【0194】
そのために、前記第1及び第2冷却水ライン11、21において循環する冷却水は、前記第1及び第2ラジエータ13、22をそれぞれ通過しない状態で、前記エンジン12と前記電装品26とを冷却し続けながら温度がそれぞれ上昇し得る。
【0195】
前記エンジン12を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ライン11と前記第1分岐ライン17とに沿って循環しながら、前記第3弁V3を介して前記第2連結ライン62に供給される。
【0196】
そうすると、前記暖房装置60では前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第1冷却水ライン11から前記第2連結ライン62に沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーター64に供給される。
【0197】
前記CEモジュール40は、車両室内を暖房するために各構成要素が作動し、冷媒は冷媒ライン41に沿って循環する。
【0198】
一方、前記冷房装置50は、前記第3ウォータポンプ56の作動が停止し、前記第1連結ライン52には冷却水の流動が中断される。
【0199】
そのために、前記膨張弁45及び前記蒸発器46は、前記冷房装置50の作動が中断されることによって作動が停止する。
【0200】
そうすると、前記暖房装置60で第3弁V3の作動により前記第1冷却水ライン11から前記第2連結ライン62に供給された高温の冷却水は、前記圧縮器48から前記サブコンデンサ43に供給された高温の冷媒との熱交換により温度がさらに上昇する。
【0201】
前記サブコンデンサ43を通過した高温の冷却水は、前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第2連結ライン62に沿って前記ヒーター64に供給される。
【0202】
つまり、前記エンジン12で発生した廃熱は、前記第1冷却水ライン11を循環する冷却水の温度を上昇させる。また、前記電装品26で発生した廃熱は、前記第2冷却水ライン21を循環する冷却水の温度を上昇させる。
【0203】
前記第2冷却水ライン21で温度が上昇した冷却水は、前記第2ウォータポンプ24の作動により前記メイン熱交換器42を通過しながら前記メイン熱交換器42から排出される冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0204】
ここで、前記メイン熱交換器42には前記サブ膨張弁49の作動により前記サブコンデンサ43を通過しながら凝縮された冷媒が膨張した状態で供給される。つまり、前記メイン熱交換器42は冷媒を蒸発させる機能をする。
【0205】
そのために、前記メイン熱交換器42を通過しながら温度が上昇した冷媒は、前記冷媒ライン41に沿って前記内部熱交換器44と前記膨張弁45とを通過して前記圧縮器48に流入する。この時、前記膨張弁45は、冷媒の膨張なしに前記圧縮器48に供給し得る。
【0206】
つまり、温度が上昇した冷媒は、前記圧縮器48に流入し、前記圧縮器48でさらに高い温度及び圧力で圧縮されて前記サブコンデンサ43に流入する。
【0207】
一方、前記第2連結ライン62に沿って循環する冷却水は、前記サブコンデンサ43を通過しながら高温の冷媒との熱交換によりその温度がさらに上昇した状態で、前記ヒーター64に供給される。
【0208】
したがって、図示していない前記HVACモジュールに流入する外気は、高温の冷却水が流入する前記ヒーター64を通過しながら加熱され、温度が上昇した状態で車両室内に流入することによって、車両室内を暖房し得る。
【0209】
つまり、本実施形態によるヒートポンプシステム1は、車両の暖房モードで、前記エンジン12及び前記電装品26で発生する廃熱源を冷媒の温度上昇に用いることによって、前記圧縮器48の動力消耗を減らし、暖房効率を向上し得る。
【0210】
一方、前記第2連結ライン62に備えられた前記内部加熱器68は、前記ヒーター64に供給された冷却水の温度が暖房設定温度より低い場合、作動して冷却水の温度を上昇させ得る。
【0211】
本実施形態において、車両の除湿モードでの作動について図6を参照して説明する。
【0212】
図6は本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステムで車両の除湿モードに応じた作動状態図である。
【0213】
図6を参照すれば、車両の除湿モードで前記エンジン冷却装置10及び前記電装品冷却装置20は、前記第1及び第2ウォータポンプ15、24の作動によりそれぞれ作動する。
【0214】
また、前記CEモジュール40は、車両室内を暖房するために各構成要素が作動し、冷媒は冷媒ライン41に沿って循環する。
【0215】
ここで、前記第1分岐ライン17は、前記サーモスタット16の作動により開放される。前記第2連結ライン62は、前記第3弁V3の作動により前記第1冷却水ライン11と相互連結される。
【0216】
また、前記サーモスタット16は、前記第1分岐ライン17を開放した状態で、前記サーモスタット16と前記第1ラジエータ13とを連結する前記第1冷却水ライン11が閉鎖される。
【0217】
前記第2分岐ライン32は、前記第1弁V1の作動により閉鎖され、前記第3分岐ライン34は開放される。そのために、前記第2冷却水ライン21と前記電池冷却水ライン31とは連結が閉鎖される。
【0218】
そして、前記電装品冷却装置20で前記第4弁V4の作動により前記第4分岐ライン36が開放される。また、前記第4弁V4は、前記電装品26と前記第2ラジエータ22とを連結する前記第2冷却水ライン21を閉鎖する。
【0219】
そのために、前記第1及び第2冷却水ライン11、21において循環する冷却水は、前記第1及び第2ラジエータ13、22をそれぞれ通過しない状態で、前記エンジン12と前記電装品26とを冷却し続けながら温度がそれぞれ上昇する。
【0220】
前記エンジン12を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、前記第1冷却水ライン11と前記第1分岐ライン17とに沿って循環しながら、前記第3弁V3を介して前記第2連結ライン62に供給される。
【0221】
そうすると、前記暖房装置60では前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第1冷却水ライン11から前記第2連結ライン62に沿って循環する高温の冷却水が前記ヒーター64に供給される。
【0222】
ここで、前記冷房装置50は、前記第2弁V2の作動により前記第1連結ライン52が独立した密閉回路を形成する。そのために、前記冷房装置50では前記第3ウォータポンプ56の作動により前記第1連結ライン52に沿って冷却水が循環し得る。
【0223】
つまり、前記第2冷却水ライン21及び前記第1連結ライン52は、前記第1及び第2弁V1、V2の作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し得る。
【0224】
一方、前記CEモジュール40の前記メイン熱交換器42は、前記第1冷却水ライン11に沿って流動する冷却水を用いて前記冷媒を凝縮させる。
【0225】
これと同時に、前記サブコンデンサ43は、前記第4弁V4の作動により前記電池冷却水ライン31から前記第2連結ライン62に沿って循環する冷却水を前記圧縮器48から排出された高温の冷媒と熱交換して冷却水の温度を上昇させる。
【0226】
これと同時に、前記サブコンデンサ43は、冷却水との熱交換により冷媒を一次に凝縮させて前記メイン熱交換器42に供給する。
【0227】
そして、前記サブ膨張弁49は、冷媒の膨張なしに前記メイン熱交換器42に供給し得る。
【0228】
前記メイン熱交換器42は、冷媒の凝縮量が増加するように前記サブコンデンサ43を通過した凝縮された冷媒を前記冷却水ライン11を循環する冷却水との熱交換によりさらに凝縮させる。
【0229】
そして、前記内部熱交換器44は、冷媒のサブクールの増大により凝縮量がさらに増加するように前記メイン熱交換器42で凝縮した冷媒を、前記蒸発器46から排出される低温の冷媒との熱交換によりさらに凝縮させて冷媒の凝縮量を増加させる。
【0230】
また、前記蒸発器46は、前記第2弁V2と前記第3ウォータポンプ56の作動により前記第1連結ライン52に沿って循環する冷却水を内部で蒸発した低温の冷媒と熱交換させる。
【0231】
前記蒸発器46を通過した低温の冷却水は、前記第3ウォータポンプ56の作動により前記第1連結ライン52に沿って前記クーラー54に供給される。
【0232】
つまり、前記CEモジュール40で前記冷媒ライン41に沿って循環する冷媒は、前記サブコンデンサ43を通過する前記第2連結ライン62の冷却水との熱交換により凝縮される。その後、凝縮された冷媒は、前記メイン熱交換器42を通過する前記第2冷却水ライン21の冷却水との熱交換によりさらに凝縮される。
【0233】
そして、前記内部熱交換器44は、冷媒のサブクールの増大により凝縮量がさらに増加するように前記メイン熱交換器42から排出された中温の冷媒を前記蒸発器46から排出される低温の冷媒との熱交換によりさらに凝縮させる。
【0234】
凝縮量が増加した冷媒は、前記膨張弁45で膨張し、前記蒸発器46で蒸発する。
【0235】
この時、前記蒸発器46で蒸発した冷媒は、前記第1連結ライン52を介して流入した冷却水を冷却させる。ここで、前記蒸発器46には前記メイン熱交換器42と、前記内部熱交換器44とを順に通過しながら凝縮量が増加した冷媒が膨張して供給されることによって、冷媒をより低い温度で蒸発させる。
【0236】
つまり、本実施形態においては、前記内部熱交換器44がさらに冷媒を凝縮させることによって、冷媒のサブクール形成が有利になる。
【0237】
一方、前記蒸発器46で蒸発した冷媒は、前記第1連結ライン52を介して流入した冷却水を冷却させる。したがって、冷却水は前記蒸発器46を通過しながら低い温度で冷却され、前記第1連結ライン52を介して前記クーラー54に供給される。
【0238】
また、前記暖房装置60で前記第2連結ライン62に沿って循環する冷却水は、前記サブコンデンサ43で前記圧縮器48から供給された高温の冷媒との熱交換により温度が上昇する。
【0239】
前記サブコンデンサ43を通過した高温の冷却水は、前記第4ウォータポンプ66の作動により前記第2連結ライン62に沿って前記ヒーター64に供給される。
【0240】
このような状態で、図示していないHVACモジュールに備えられた開閉ドアは、外気が前記クーラー54と前記ヒーター64とを全て通過するように開放される。
【0241】
そのために、前記HVACモジュールに流入した外気は、低温の冷却水が流入したクーラー54と、高温の冷却水が流入した前記ヒーター64を全て通過しながら除湿された状態で、車両室内に流入することによって、車両室内を除湿する。
【0242】
前述したとおり、本発明の実施形態による車両用ヒートポンプシステム1は、冷媒の凝縮及び蒸発時に冷媒から発生する熱エネルギを冷却水と選択的に熱交換させ、熱交換した低温または高温の冷却水をそれぞれ用いて車両室内の温度を調節することによってシステムを簡素化し、冷媒が循環する連結配管のレイアウトを簡素化させ得る。
【0243】
また、本発明は、前記エンジン12及び前記電装品26の廃熱を用いて車両の暖房効率を向上させ、前記電池モジュール30の最適性能が発揮されるように前記電池モジュール30の効率的な温度調節により車両の全体的な走行距離を増加させ得る。
【0244】
また、本発明は、冷媒の凝縮及び蒸発により熱エネルギを生成する前記CEモジュール(Centralized Energy Module:40)をパッケージ化してサイズ及び重量を減らし得る。
【0245】
また、本発明は、前記CEモジュール40で高性能のR152-a、またはR744、またはR290冷媒を用いることによって、従来のエアコン装置に比べて騒音、振動及び作動不安定の発生を防止し得る。
【0246】
また、本発明は、前記CEモジュール40で冷媒の凝縮量が増大するようにサブコンデンサ43及び内部熱交換器44を共に構成することによって、冷媒のサブクールの増加を図り、冷房性能及び効率を向上させることができる。
【0247】
さらに、本発明は、全体システムの簡素化を介して製作原価の節減及び重量縮小が可能であり、空間活用性を向上させることができる。
【0248】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0249】
1:ヒートポンプシステム
10:エンジン冷却装置
11:第1冷却水ライン
12:エンジン
13:第1ラジエータ
14:冷却ファン
15:第1ウォータポンプ
16:サーモスタット
17:第1分岐ライン
20:電装品冷却装置
21:第2冷却水ライン
22:第2ラジエータ
24:第2ウォータポンプ
26:電装品
28:リザーブタンク
30:電池モジュール
31:電池冷却水ライン
32、34、36:第2、第3及び第4分岐ライン
40:CEモジュール
41:冷媒ライン
42:メイン熱交換器
43:サブコンデンサ
44:内部熱交換器
45:膨張弁
46:蒸発器
47:アキュムレータ
48:圧縮器
49:サブ膨張弁
50:冷房装置
52:第1連結ライン
54:クーラー
56:第3ウォータポンプ
60:暖房装置
62:第2連結ライン
64:ヒーター
66:第4ウォータポンプ
68:内部加熱器
V1、V2、V3、V4:第1、第2、第3及び第4弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6