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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20220708BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20220708BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20220708BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20220708BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01F17/00 B
H01F27/00 R
H01L23/12 B
H01L23/12 501C
H05K1/16 E
H05K3/46 Q
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019012691
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020123599
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 愼一
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-152254(JP,A)
【文献】特開2011-044587(JP,A)
【文献】特開2003-078023(JP,A)
【文献】特開2004-335761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 1/16
H05K 3/46
H01F 17/00
H01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体基板、前記第1半導体基板の上方に形成された第1多層配線層、および、前記第1多層配線層の最上層に形成された第1配線を備える第1半導体チップと、
前記第1配線が露出するように、少なくとも前記第1半導体チップの側面を覆う封止樹脂部と、
前記第1配線の上層に形成され、且つ、前記第1半導体チップの前記側面を覆っている前記封止樹脂部に平面視において重なる位置に形成された第1インダクタと、
を有する、半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1インダクタと前記半導体モジュールの側面との間の距離は、前記第1配線と前記第1半導体チップの前記側面までの距離よりも長い、半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1インダクタは、前記第1半導体チップに平面視において重なる位置にも形成されている、半導体モジュール。
【請求項4】
請求項1記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1半導体チップは、前記第1多層配線層の下方の前記第1半導体基板に形成され、且つ、前記第1インダクタに電気的に接続された第1半導体素子を更に備える、半導体モジュール。
【請求項5】
請求項4記載の半導体モジュールにおいて、
第2半導体基板、前記第2半導体基板に形成された第2半導体素子、前記第2半導体素子の上方に形成された第2多層配線層、および、前記第2多層配線層の最上層に形成された第2配線を備える第2半導体チップと、
前記第1配線および前記第2配線の上層に形成された第1再配線と、
前記第1再配線の上層に形成された第2再配線と、
を更に有し、
前記第2配線が露出するように、少なくとも前記第2半導体チップの側面は、前記封止樹脂部によって覆われ、
前記第1インダクタは、前記第1再配線と同じ層に形成され、
前記第1インダクタとは別の第2インダクタが、前記第2再配線と同じ層に形成され、且つ、前記第1インダクタに平面視において重なる位置に形成され、
前記第2インダクタと前記第2半導体素子とは、電気的に接続されている、半導体モジュール。
【請求項6】
請求項4記載の半導体モジュールにおいて、
第2半導体基板、前記第2半導体基板に形成された第2半導体素子、前記第2半導体素子の上方に形成された第2多層配線層、および、前記第2多層配線層の最上層に形成された第2配線を備える第2半導体チップと、
前記第1配線および前記第2配線の上層に形成された第1再配線と、
を更に有し、
前記第2配線が露出するように、少なくとも前記第2半導体チップの側面は、前記封止樹脂部によって覆われ、
前記第1インダクタは、前記第1再配線と同じ層に形成され、
前記第1インダクタとは別の第2インダクタが、前記第1再配線と同じ層に形成され、且つ、前記第2半導体素子に電気的に接続されている、半導体モジュール。
【請求項7】
請求項6記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1インダクタおよび前記第2インダクタの各々の平面サイズは、前記第1半導体チップの平面サイズよりも大きい、半導体モジュール。
【請求項8】
請求項4記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1インダクタおよび前記第1半導体素子は、前記半導体モジュールの外部からの磁気を検知するための磁気センサ用の電気回路の一部を構成している、半導体モジュール。
【請求項9】
請求項8記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1インダクタの平面サイズは、前記第1半導体チップの平面サイズよりも大きい、半導体モジュール。
【請求項10】
請求項4記載の半導体モジュールにおいて、
前記第1配線の上層に形成され、且つ、前記第1インダクタとは別の第2インダクタを更に有し、
前記第1半導体チップは、前記第1半導体基板に形成され、前記第2インダクタに電気的に接続され、且つ、前記第1半導体素子とは別の第3半導体素子を更に備え、
前記第1インダクタ、前記第1半導体素子、前記第2インダクタおよび前記第3半導体素子は、前記半導体モジュールの外部からの磁気を検知するための差動型の磁気センサ用の電気回路の一部を構成している、半導体モジュール。
【請求項11】
(a)第1半導体基板、前記第1半導体基板の上方に形成された第1多層配線層、および、前記第1多層配線層の最上層に形成された第1配線を備える第1半導体チップを準備する工程、
(b)前記第1配線が露出するように、少なくとも前記第1半導体チップの側面を覆う封止樹脂部を形成する工程、
(c)前記封止樹脂部上、および、前記第1配線を含む前記第1半導体チップの表面上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(d)前記第1絶縁膜上に、複数の第1開口部を有する第1レジストパターンを形成する工程、
(e)めっき法によって、前記複数の第1開口部内に、それぞれ第1導電性膜を形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1レジストパターンを除去し、それぞれ前記第1導電性膜を有する複数の第1再配線を形成する工程、
を有し、
前記複数の第1再配線の一部には、第1インダクタが含まれ、
前記第1インダクタは、前記第1半導体チップの前記側面を覆っている前記封止樹脂部に平面視において重なる位置に形成されている、半導体モジュールの製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記(a)工程は、
(a1)前記第1半導体基板上に、第1層間絶縁膜を形成する工程、
(a2)前記第1層間絶縁膜に、第1溝を形成する工程、
(a3)前記第1溝の内部を含む前記第1層間絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(a4)前記第1溝の外部の前記第2導電性膜を研磨することで、前記第1溝の内部に前記第2導電性膜を有する前記第1配線を形成する工程、
を有し、
前記第1インダクタと前記半導体モジュールの側面との間の距離は、前記第1配線と前記第1半導体チップの前記側面までの距離よりも長い、半導体モジュールの製造方法。
【請求項13】
請求項11記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記第1インダクタは、前記第1半導体チップに平面視において重なる位置にも形成されている、半導体モジュールの製造方法。
【請求項14】
請求項11記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記(b)工程は、
(b1)支持基板と、前記支持基板上に形成された接着剤とを準備する工程、
(b2)前記第1半導体チップの前記表面が前記接着剤に張り付けられるように、前記接着剤上に前記第1半導体チップを搭載する工程、
(b3)前記(b2)工程後、前記第1半導体チップの前記側面および裏面を覆うように、前記封止樹脂部を形成する工程、
(b4)前記(b3)工程後、前記接着剤および前記支持基板を除去する工程、
を有する、半導体モジュールの製造方法。
【請求項15】
請求項11記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記第1半導体チップは、前記第1多層配線層の下方の前記第1半導体基板に形成され、且つ、前記第1インダクタに電気的に接続された第1半導体素子を更に備える、半導体モジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記第1インダクタの平面サイズは、前記第1半導体チップの平面サイズよりも大きい、半導体モジュールの製造方法。
【請求項17】
請求項15記載の半導体モジュールの製造方法において、
(g)前記(f)工程後、前記第1インダクタを含む前記複数の第1再配線上、および、第1絶縁膜上に、第2絶縁膜を形成する工程、
(h)前記第2絶縁膜上に、複数の第2開口部を有する第2レジストパターンを形成する工程、
(i)めっき法によって、前記複数の第2開口部内に、それぞれ第2導電性膜を形成する工程、
(j)前記(i)工程後、前記第2レジストパターンを除去し、それぞれ前記第2導電性膜を有する複数の第2再配線を形成する工程、
を更に有し、
前記複数の第2再配線の一部には、第2インダクタが含まれ、
前記第2インダクタは、前記第1インダクタに平面視において重なる位置に形成され、
前記(a)工程では、第2半導体基板、前記第2半導体基板に形成された第2半導体素子、前記第2半導体素子の上方に形成された第2多層配線層、および、前記第2多層配線層の最上層に形成された第2配線を備える第2半導体チップも準備され、
前記(b)工程では、前記第2配線が露出するように、少なくとも前記第2半導体チップの側面は、前記封止樹脂部によって覆われ、
前記第2インダクタと前記第2半導体素子とは、電気的に接続されている、半導体モジュールの製造方法。
【請求項18】
請求項15記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記複数の第1再配線には、前記第1インダクタとは別の第2インダクタが含まれ、
前記(a)工程では、第2半導体基板、前記第2半導体基板に形成された第2半導体素子、前記第2半導体素子の上方に形成された第2多層配線層、および、前記第2多層配線層の最上層に形成された第2配線を備える第2半導体チップも準備され、
前記(b)工程では、前記第2配線が露出するように、少なくとも前記第2半導体チップの側面は、前記封止樹脂部によって覆われ、
前記第2インダクタと前記第2半導体素子とは、電気的に接続されている、半導体モジュールの製造方法。
【請求項19】
請求項15記載の半導体モジュールの製造方法において、
前記複数の第1再配線には、前記第1インダクタとは別の第2インダクタが含まれ、
前記第1半導体チップは、前記第1半導体基板に形成され、且つ、前記第1半導体素子とは別の第3半導体素子を更に備え、
前記第2インダクタと前記第3半導体素子とは、電気的に接続されている、半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールおよびその製造方法に関し、特に、インダクタを有する半導体モジュールに好適に利用できる。
【背景技術】
【0002】
近年では、2つの半導体チップの間に2つのインダクタを設け、これら2つのインダクタの間において、非接触で信号を送受信する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2つの半導体チップのうち一方の内部に形成されている多層配線層の最下層に第1インダクタを設け、多層配線層の最上層に第2インダクタ設けることで、第1インダクタと第2インダクタとの間において、非接触で電気信号を伝達する信号伝達素子を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-219122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの半導体チップの内部の多層配線層を用いて2つのインダクタを形成する際に、2つのインダクタの間の電位差が大きい場合、層間絶縁膜の厚さが薄いことに起因して、2つのインダクタの間の絶縁耐圧が十分に得られない問題がある。このため、2つのインダクタの間の絶縁耐圧を向上させるための技術が望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体モジュールは、第1半導体基板、第1半導体基板の上方に形成された第1多層配線層、および、第1多層配線層の最上層に形成された第1配線を備える第1半導体チップと、第1配線が露出するように、少なくとも第1半導体チップの側面を覆う封止樹脂部とを有する。更に、半導体モジュールは、第1配線の上層に形成され、且つ、第1半導体チップの側面を覆っている封止樹脂部に平面視において重なる位置に形成された第1インダクタを有する。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体モジュールの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の半導体チップを示す断面図である。
図2】実施の形態1の半導体モジュールを示す断面図である。
図3】比較例の半導体チップを示す断面図である。
図4】本願発明者らによる実験データを示す図である。
図5】実施の形態1の半導体チップの製造工程を示す断面図である。
図6図5に続く製造工程を示す断面図である。
図7】実施の形態1の半導体モジュールの製造工程を示す断面図である。
図8図7に続く製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く製造工程を示す断面図である。
図12図11に続く製造工程を示す断面図である。
図13図12に続く製造工程を示す断面図である。
図14】実施の形態2の半導体モジュールを示す断面図である。
図15】実施の形態3の半導体モジュールを示す断面図である。
図16】実施の形態4の半導体モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップなども含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合などを除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、図面を見易くするために、断面図であってもハッチングを省略する場合もあるし、平面図であってもハッチングを付す場合もある。
【0013】
また、以下の実施の形態で「Aの直下に位置しているB」などと表現したときは、AとBとの関係は、互いに直接接している場合も含み、互いの間に他の構成物がある場合も含む。言い換えれば、AとBとの関係は、平面視において重なっていることを意味する。なお、「直下」の代わりに「直上」と表現したときも、同様の関係が成り立つ。
【0014】
(実施の形態1)
以下に、図1図3を用いて、本実施の形態の半導体モジュールMJ1について説明する。半導体モジュールMJ1は、半導体チップCP1、半導体チップCP2、インダクタID1およびインダクタID2を有する。
【0015】
<半導体チップCP1の構造>
図1に示されるように、半導体チップCP1において、半導体基板SB1には、p型またはn型のウェル領域が形成されており、ウェル領域にはソース領域またはドレイン領域となる不純物領域が形成されている。半導体基板SB1上には、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極が形成されている。MISFET1Qは、上記ゲート電極、上記ゲート絶縁膜および上記不純物領域を有する半導体素子であり、p型またはn型の電界効果トランジスタである。また、MISFET1Qのような半導体素子は、半導体基板SB1に複数形成されており、複数のMISFET1Qによって、送信回路が構成されている。
【0016】
また、半導体基板SB1には、各半導体素子を分離するための素子分離部STIが形成されている。素子分離部STIは、半導体基板SB1に形成された溝内に、酸化シリコン膜のような絶縁膜が埋め込まれることで形成されている。
【0017】
半導体基板SB1の上方には、MISFET1Qを覆うように、多層の層間絶縁膜IL1a~IL5aが形成されている。層間絶縁膜IL1a~IL5aの各々は、例えば酸化シリコン膜または炭酸化シリコン膜である。層間絶縁膜IL1a~IL5aの各々には、多層配線層である第1~第5配線層として、複数の配線M1a~M5aが形成されている。配線M1aは、プラグなどを介してMISFET1Qに電気的に接続され、配線M1a~M5aは、それぞれプラグなどを介して互いに電気的に接続されている。
【0018】
配線M1a~M5aは、ダマシン構造またはデュアルダマシン構造と呼ばれる配線であり、層間絶縁膜IL1a~IL5aの各々に形成された溝内に、例えば窒化タンタル膜のようなバリアメタル膜を介して、例えば銅を主体とした導電性膜が埋め込まれた配線である。
【0019】
また、配線M1a~M5aは、アルミニウム膜を主体とした導電性膜からなる配線でもよい。その場合、配線M1a~M5aは、例えば第1バリアメタル膜、アルミニウム膜および第2バリアメタル膜の積層膜からなる。第1バリアメタル膜および第2バリアメタル膜は、例えばチタン膜または窒化チタン膜であるか、これらの積層膜である。
【0020】
<半導体チップCP2の構造>
図1に示されるように、半導体チップCP2において、半導体基板SB2には、p型またはn型のウェル領域が形成されており、ウェル領域にはソース領域またはドレイン領域となる不純物領域が形成されている。半導体基板SB2上には、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極が形成されている。MISFET2Qは、上記ゲート電極、上記ゲート絶縁膜および上記不純物領域を有する半導体素子であり、p型またはn型の電界効果トランジスタである。また、MISFET2Qのような半導体素子は、半導体基板SB2に複数形成されており、複数のMISFET2Qによって、受信回路が構成されている。
【0021】
また、半導体基板SB2には、各半導体素子を分離するための素子分離部STIが形成されている。素子分離部STIは、半導体基板SB2に形成された溝内に、酸化シリコン膜のような絶縁膜が埋め込まれることで形成されている。
【0022】
半導体基板SB2の上方には、MISFET2Qを覆うように、多層の層間絶縁膜IL1b~IL5bが形成されている。層間絶縁膜IL1b~IL5bには、多層配線層である第1~第5配線層として、複数の配線M1b~M5bが形成されている。配線M1bは、プラグなどを介してMISFET2Qに電気的に接続され、配線M1b~M5bは、それぞれプラグなどを介して互いに電気的に接続されている。
【0023】
層間絶縁膜IL1b~IL5bを構成する材料は、層間絶縁膜IL1a~IL5aを構成する材料と同じである。また、配線M1b~M5bは、ダマシン構造などのように、配線M1a~M5aと同じ構造の配線であり、配線M1b~M5bを構成する材料は、配線M1b~M5bを構成する材料と同じである。
【0024】
<半導体モジュールMJ1の構造>
図2は、本実施の形態の半導体装置である半導体モジュールMJ1を示す断面図である。半導体モジュールMJ1には、渦巻き状のインダクタ(コイル)ID1および渦巻き状のインダクタ(コイル)ID1が形成されており、これらは、互いに離間され、平面視において重なる位置に形成されている。これらのインダクタID1およびインダクタID2により、非接触で電気信号の伝搬を行うことが可能なマイクロアイソレータ(非接触通信回路)が構成されている。なお、図2においてインダクタID1およびインダクタID2の上方に示されている楕円は、インダクタID1およびインダクタID2の各々の平面サイズを簡単に示したものである。
【0025】
最上層配線である配線M5aおよび配線M5bが露出するように、少なくとも半導体チップCP1および半導体チップCP2の各々の側面は、封止樹脂部(封止部)MRによって覆われており、半導体チップCP1および半導体チップCP2の各々の裏面も、封止樹脂部MRによって覆われている。すなわち、半導体チップCP1および半導体チップCP2は、各々の表面が露出するように、封止樹脂部MR内に埋め込まれている。封止樹脂部MRは、例えば熱硬化性樹脂材料のような樹脂材料などからなり、フィラーなどを含んでいてもよい。
【0026】
半導体チップCP1、半導体チップCP2および封止樹脂部MRの各々の表面上には、絶縁膜IF1が形成されており、絶縁膜IF1には、配線M5aの一部および配線M5bの一部を開口する開口部が形成されている。この開口部の内部を含む絶縁膜IF1上には、再配線RW1が形成されている。また、絶縁膜IF1上および再配線RW1上には、絶縁膜IF2が形成されており、絶縁膜IF2には、再配線RW1の一部を開口する開口部が形成されている。この開口部の内部を含む絶縁膜IF2上には、再配線RW2が形成されている。また、絶縁膜IF2上および再配線RW2上には、絶縁膜IF3が形成されており、絶縁膜IF3には、再配線RW2の一部を開口する開口部が形成されている。この開口部の内部を含む絶縁膜IF3上には、再配線RW3が形成されている。
【0027】
再配線RW3の一部は、例えば半田ボールのようなバンプ電極を介して、半導体モジュールMJ1の外部に設けられた他の半導体チップまたは配線基板などに電気的に接続される。このため、複数の再配線RW3のうち、再配線RW1、RW2を介して半導体チップCP1の配線M5aに電気的に接続された再配線RW3をパッド電極PAD1と称し、再配線RW1、RW2を介して半導体チップCP2の配線M5bに電気的に接続された再配線RW3をパッド電極PAD2と称することもある。
【0028】
絶縁膜IF1~IF3は、例えばポリイミドのような樹脂材料からなる有機絶縁膜である。なお、絶縁膜IF1~IF3の何れかは、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜のような無機絶縁膜であってもよい。再配線RW1~RW3は、例えば銅からなる導電性膜を含む。具体的には、再配線RW1~RW3は、クロムなどからなるバリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された上記導電性膜との積層膜である。また、絶縁膜IF1~IF3の各々の厚さは、例えば10~20μmであり、層間絶縁膜IL1a~IL5bおよび層間絶縁膜IL1b~IL5bの各々の厚さよりも厚い。また、再配線RW1~RW3の各々の厚さは、例えば2~5μmであり、配線M5aおよび配線M5bの各々の厚さよりも厚い。
【0029】
本実施の形態では、インダクタID1は、複数の再配線RW1の一部によって構成されており、インダクタID2は、複数の再配線RW2の一部によって構成されている。インダクタID1は、半導体チップCP1の配線M5aに電気的に接続され、インダクタID2は、再配線RW1を介して半導体チップCP2の配線M5bに電気的に接続されている。
【0030】
複数のMISFET1Qからなる送信回路は、配線M1a~M5aを介してインダクタID1に電気的に接続されており、送信回路から送信された信号が電流としてインダクタID1へ流れる。このとき、インダクタID1における電流の変化に応じて、インダクタID2では誘起起電力が発生して誘導電流が流れる。複数のMISFET2Qからなる受信回路は、配線M1b~M5bを介してインダクタID2に電気的に接続されている。従って、受信回路は、送信回路から送信された信号を、配線M1a~M5a、インダクタID1、インダクタID2および配線M1b~M5bを介して、受信することができる。
【0031】
以下に、本実施の形態の半導体モジュールMJ1と、比較例1の半導体チップCP3および比較例2の半導体チップCP3とを比較することで、本実施の形態の主な特徴について説明する。
【0032】
<比較例1の半導体チップCP3、および、比較例2の半導体チップCP4>
図3は、インダクタID8およびインダクタID9をそれぞれ有する比較例1の半導体チップCP3および比較例2の半導体チップCP4を示している。半導体チップCP3および半導体チップCP4は、本実施の形態の半導体チップCP1に対応する半導体チップである。なお、図3では、比較例1のウェハWF3の一部を拡大し、半導体チップCP3が形成される領域が示されており、更に、比較例2のウェハWF4の一部を拡大し、半導体チップCP4が形成される領域が示されている。
【0033】
比較例1の半導体チップCP3は、半導体基板SB3、素子分離部STI、MISFET3Q、層間絶縁膜IL1c~IL5cおよび配線M1c~M5cを有する。これらは、本実施の形態の半導体チップCP1における、半導体基板SB1、素子分離部STI、MISFET1Q、層間絶縁膜IL1a~IL5aおよび配線M1a~M5aと同様な構造である。
【0034】
比較例1では、本実施の形態と異なり、インダクタID8が配線M1cと同じ配線層に形成され、インダクタID9が配線M5cと同じ配線層に形成されている。すなわち、インダクタID8およびインダクタID9は、互いに離間し、平面視において重なる位置に形成され、マイクロアイソレータを構成している。
【0035】
ここで、比較例1において、製品の仕様によって、インダクタID8とインダクタID9との間の電位差が大きい場合、インダクタID8とインダクタID9との間の絶縁耐圧が不十分となる恐れがある。
【0036】
そのような恐れを抑制するためには、比較例2に示されるように、配線層および層間絶縁膜を更に多層化することが考えられる。すなわち、比較例2では、比較例1の構造に加えて、層間絶縁膜IL6c~IL8cおよび配線M6c~M8cが形成されている。そして、インダクタID9が、配線M8cと同じ配線層に形成されている。このように、比較例2の構造は、比較例1と比較して、インダクタID8とインダクタID9との間の絶縁耐圧を向上させるという点において有効である。
【0037】
しかしながら、配線層および層間絶縁膜を多層化したことによって、これらを構成する材料からの応力が大きくなる。例えば、比較例2のウェハWF4の反りが、比較例1のウェハWF3の反りよりも大きくなる問題が発生する。そうすると、例えば、多層配線層を形成する過程において、ウェハWF4の反りが大きくなり過ぎて、インダクタID9を含む上層の配線M6c~M8cおよび上層の層間絶縁膜IL6c~IL8cを形成するために、CVD装置またはスパッタリング装置へウェハWF4を搬入できないという問題がある。また、仮に最上層にインダクタID9を形成できたとしても、大きな応力によって、層間絶縁膜IL1c~IL8c、および、MISFET3Qが形成されている半導体基板SB3にクラックなどが発生する恐れもある。従って、インダクタID8とインダクタID9との間の絶縁耐圧が劣化する、または、MISFET3Qの特性が変動するなどの不具合が生じる場合もある。
【0038】
従って、比較例2の半導体チップCP4のように、単に、配線層および層間絶縁膜を多層化するだけでは、上記のような種々の問題を解決する事が困難である。
【0039】
また、図3に示されるように、比較例1の半導体チップCP3では、インダクタID9と半導体基板SB3との間の沿面距離L2に関する問題がある。インダクタID9と半導体基板SB3との間の電位差が大きく、沿面距離L2が短い場合、例えば、層間絶縁膜IL5cの表面および半導体チップCP3の側面を介して、絶縁破壊が発生する恐れがある。
【0040】
絶縁破壊を抑制するためには、半導体チップCP3の側面とインダクタID9と間の距離を長くし、沿面距離L2を長くすればよいが、その場合、半導体チップCP3の配線のレイアウトの大幅な変更が必要となり、半導体チップCP3のサイズが大きくなる。従って、そのような対策は、半導体チップCP3の小型化の観点から好ましくない。
【0041】
なお、このような沿面距離に関する問題は、インダクタID8とインダクタID9との間、および、インダクタID8と半導体基板SB3との間などにおいても、同様に発生している。また、比較例2の半導体チップCP4も同様に、このような問題を有している。
【0042】
<半導体モジュールMJ1の主な特徴>
上記の比較例1および比較例2が有する種々の問題を考慮して、本実施の形態の半導体モジュールMJ1では、図2に示されるように、半導体チップCP1の多層配線層中にインダクタID1およびインダクタID2が形成されているのではなく、封止樹脂部MRに埋め込まれた半導体チップCP1の上層に再配線RW1~RW3が形成されている。そして、再配線RW1と同じ層にインダクタID1が形成され、再配線RW2と同じ層にインダクタID2が形成されている。
【0043】
このため、半導体チップCP1のサイズに律速されることなく、インダクタID1およびインダクタID2を配置することができる。すなわち、インダクタID1およびインダクタID2を、半導体チップCP1の直上だけでなく、封止樹脂部MRの直上にも形成させることが可能である。言い換えれば、インダクタID1およびインダクタID2は、少なくとも半導体チップCP1の側面を覆っている封止樹脂部MRに、平面視において重なる位置に形成されている。このため、インダクタID1およびインダクタID2のレイアウトは、半導体チップCP1内の配線M1a~M5aのレイアウトルールに依存しない。従って、本実施の形態の半導体モジュールMJ1では、半導体チップCP1の小型化が阻害されることなく、インダクタID1およびインダクタID2を配置するための設計自由度を高めることができる。
【0044】
また、図2に示されるように、本実施の形態では、インダクタID1およびインダクタID2を封止樹脂部MRの直上にも形成することができるので、沿面距離L1を長く設定することができる。本実施の形態における沿面距離L1は、インダクタID1と、インダクタID1とは別の電位に接続されている配線M5aとの距離として示されている。すなわち、図2における沿面距離L1は、絶縁膜IF2および絶縁膜IF1の界面、半導体モジュールMJ1の側面、絶縁膜IF1および封止樹脂部MRの界面、並びに、絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL5aの界面に沿った距離である。
【0045】
ここで、本実施の形態では、沿面距離L1のうち、絶縁膜IF2および絶縁膜IF1の界面の距離、並びに、絶縁膜IF1および封止樹脂部MRの界面の距離を自由に設定できるため、水平方向における距離を長く設定できる。言い換えれば、インダクタID1と半導体モジュールMJ1の側面との間の距離を、配線M5aと半導体チップCP1との間の距離よりも長く設定できる。また、厚さ方向においては、絶縁膜IF1の厚さを調整することで、半導体モジュールMJ1の側面の長さを長く設定できる。従って、インダクタID1と配線M5aとの間の絶縁破壊を抑制することができる。
【0046】
図4は、本願発明者らの実験によって得られたデータを示している。図4に示されるように、比較例1の沿面距離L2は0.4mm程度であったのに対して、本実施の形態の沿面距離L1が2.1mm程度であった。このように、本実施の形態では、比較例1と比較して、半導体チップCP1のサイズに律速されることなく沿面距離L1を設定することができるので、沿面距離に起因するインダクタID1と配線M5aとの間の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、インダクタID1と、インダクタID1とは別の電位に接続されている配線M5aとの間の沿面距離L2について例示したが、他の構成間についても同様の関係が成り立つ。例えば、インダクタID2とインダクタID1との間、インダクタID2と配線M5aとの間、インダクタID2と半導体基板SB1との間、および、インダクタID1と半導体基板SB1の間との間など、各々の沿面距離も同様に長く設定できるので、これらの間の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、インダクタID1とインダクタID2との間の距離は、絶縁膜IF2の厚さ(例えば10~20μm)を適宜変更することで、比較的容易に調整できる。このため、半導体チップCP1の配線層および層間絶縁膜を多層化することに起因して、半導体チップCP1を形成するためのウェハが反る問題、および、層間絶縁膜中にクラックが発生する問題などを発生させることなく、インダクタID1とインダクタID2との間の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態によれば、半導体モジュールMJ1の信頼性を向上させることができる。
【0050】
<半導体チップCP1、CP2(ウェハWF1、WF2)の製造方法>
以下に、図5および図6を用いて、本実施の形態の半導体チップCP1、CP2となる領域を複数有するウェハWF1、WF2の製造方法を説明する。なお、ウェハWF1、WF2の製造工程は、実際にはそれぞれ個別に行われる。しかしながら、ウェハWF1、WF2の製造工程には、ほぼ同様の工程が多く含まれているので、以下の説明では、説明の簡略化のため、ウェハWF1、WF2を同じ図面に図示し、共通する工程については一緒に説明する。
【0051】
まず、図5に示されるように、ウェハWF1、WF2の基礎となる半導体基板SB1、SB2を用意する。半導体基板SB1、SB2は、好ましくは1~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンからなり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。次に、フォトリソグラフィ法およびエッチング処理によって、半導体基板SB1、SB2に溝を形成する。次に、上記溝の内部を含む半導体基板SB1、SB2上に、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜を堆積する。次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、上記絶縁膜を研磨することで、上記溝の外部の上記絶縁膜を除去する。このように、上記溝の内部に上記絶縁膜を埋め込むことで、素子分離部STIが形成される。
【0052】
次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入によって、半導体基板SB1、SB2に、p型またはn型のウェル領域を形成する。次に、半導体基板SB1、SB2上にゲート絶縁膜およびゲート電極を形成し、その後、フォトリソグラフィ法およびイオン注入によって、半導体基板SB1、SB2にソース領域およびドレイン領域となる不純物領域を形成することで、半導体基板SB1、SB2にそれぞれMISFET1Q、2Qを形成する。
【0053】
次に、図6に示されるように、半導体基板SB1上に、MISFET1Qを覆うように、層間絶縁膜IL1a~IL5aおよび配線M1a~M5aを形成し、半導体基板SB2上に、MISFET2Qを覆うように、層間絶縁膜IL1b~IL5bおよび配線M1b~M5bを形成する。
【0054】
まず、半導体基板SB1、SB2上に、例えばCVD法によって、それぞれ層間絶縁膜IL1a、IL1bを形成する。次に、フォトリソグラフィ法およびエッチング処理によって、層間絶縁膜IL1a、IL1bにビアを形成し、その後、層間絶縁膜IL1a、IL1bに配線用の溝を形成する。次に、上記ビアおよび上記配線用の溝の各々の内部を含む層間絶縁膜IL1a、IL1b上に、スパッタリング法またはCVD法によって、タンタル膜および窒化タンタル膜の積層膜からなるバリアメタル膜を形成する。次に、上記バリアメタル膜上に、例えばめっき法によって、例えば銅からなる導電性膜を堆積する。次に、CMP法によって、上記導電性膜および上記バリアメタル膜を研磨することで、上記ビアおよび上記配線用の溝の各々の外部の上記導電性膜および上記バリアメタル膜を除去する。このように、上記ビアおよび上記配線用の溝の各々の内部に上記導電性膜および上記バリアメタル膜を埋め込むことで、プラグを有するデュアルダマシン構造の配線M1aおよび配線M1bが形成される。
【0055】
なお、配線M1aおよび配線M1bは、デュアルダマシン構造でなく、プラグと配線部とが個別に形成されるダマシン構造であってもよい。すなわち、上記ビアの内部に上記導電性膜および上記バリアメタル膜を埋め込むことで、プラグを形成し、その後、上記配線用の溝の内部に上記導電性膜および上記バリアメタル膜を埋め込むことで、配線部となる配線M1aおよび配線M1bを形成してもよい。
【0056】
その後、層間絶縁膜IL1a、IL1b上に、層間絶縁膜IL1a、IL1bの形成工程と同様な手法を用いて、層間絶縁膜IL2a~IL5a、IL2b~IL5bを形成する。また、層間絶縁膜IL2a~IL5a、IL2b~IL5bの各々には、配線M1a、M1bの形成工程と同様な手法を用いて、配線M2a~M5a、M2b~M5bが形成される。
【0057】
その後、ウェハWF1、WF2をダイシング工程によって個片化することで、図1に示される半導体チップCP1、CP2が複数取得される。以上により、半導体チップCP1、CP2が準備される。
【0058】
<半導体モジュールMJ1の製造方法>
以下に、図7図13を用いて、本実施の形態の半導体モジュールMJ1の製造方法を説明する。
【0059】
まず、図7に示されるように、支持基板SSと、支持基板SS上に形成(コーティング)された接着剤ADとを準備する。接着剤ADは、例えば両面テープである。次に、図6で製造された1つの半導体チップCP1および1つの半導体チップCP2を1セットとして、接着剤AD上に、複数セットの半導体チップCP1および半導体チップCP2を搭載する。接着剤AD上には、半導体チップCP1および1つの半導体チップCP2の各々の表面(配線M5a、M5b)が張り付けられる。
【0060】
次に、図8に示されるように、複数セットの半導体チップCP1および半導体チップCP2を覆うように、接着剤AD上に、封止樹脂部MRを形成する。次に、CMP法による研磨処理によって、封止樹脂部MRを平坦化させる。
【0061】
次に、図9に示されるように、接着剤ADおよび支持基板SSを除去する。この状態では、少なくとも半導体チップCP1、CP2の各々の側面は封止樹脂部MRによって覆われ、半導体チップCP1、CP2の各々の裏面も封止樹脂部MRによって覆われている。そして、半導体チップCP1、CP2の各々の表面(配線M5a、M5b)は、封止樹脂部MRから露出している。
【0062】
次に、図10図12に示されるように、半導体チップCP1、半導体チップCP2および封止樹脂部MRの各々の表面上に、絶縁膜IF1~IF3および再配線RW1~RW3をそれぞれ形成する。
【0063】
まず、図10に示されるように、配線M5a、M5b、層間絶縁膜IL5a、IL5bおよび封止樹脂部MRの各々の表面上に、例えば塗布法によって、絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えばポリイミドのような樹脂材料からなる有機絶縁膜である。次に、絶縁膜IF1の一部に対して感光処理および現像処理を行うことで、絶縁膜IF1に複数の開口部を形成する。これらの開口部では、配線M5a、M5bが露出している。なお、絶縁膜IF1が窒化シリコン膜などのような無機絶縁膜である場合には、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング処理を用いて、絶縁膜IF1に上記複数の開口部を形成する。
【0064】
次に、絶縁膜IF1上、および、上記開口部において露出している配線M5a、M5b上に、スパッタリング法によって、クロムなどからなるバリアメタル膜を形成し、上記バリアメタル膜上にシード層となる薄い銅膜を形成する。図10では、バリアメタル膜およびシード層の積層膜を下地膜BFとして図示している。次に、下地膜BFを介して、前記絶縁膜IF1上に、複数の再配線RW1となる領域を開口する複数の開口部を有するレジストパターンRPを形成する。次に、レジストパターンRPの上記複数の開口部から露出している下地膜BFの上記シード層上に、めっき法によって、例えば銅からなる導電性膜CFを形成する。
【0065】
次に、図11に示されるように、アッシング処理によって、レジストパターンRPを除去し、続いて、ウェットエッチング処理などによって、導電性膜CFから露出している下地膜BFを除去する。なお、この状態で、下地膜BFのうちシード層は導電性膜CFに取り込まれている。このような工程によって、配線M5a、M5bに接続し、且つ、下地膜BFおよび導電性膜CFを有する複数の再配線RW1が形成される。本実施の形態では、複数の再配線RW1にはインダクタID1が含まれ、インダクタID1は、少なくとも半導体チップCP1の側面を覆っている封止樹脂部MRに、平面視において重なる位置に形成されている。
【0066】
次に、図12に示されるように、再配線RW1上および絶縁膜IF1上に、絶縁膜IF1と同様な手法を用いて、開口部を有する絶縁膜IF2を形成する。次に、上記開口部内を含む絶縁膜IF2上に、再配線RW1と同様な手法を用いて、再配線RW2を形成する。本実施の形態では、複数の再配線RW2の一部にはインダクタID2が含まれ、インダクタID2は、少なくとも半導体チップCP1の側面を覆っている封止樹脂部MRに、平面視において重なる位置に形成されている。
【0067】
次に、再配線RW2上および絶縁膜IF2上に、絶縁膜IF2と同様な手法を用いて、開口部を有する絶縁膜IF3を形成する。次に、上記開口部内を含む絶縁膜IF3上に、再配線RW2と同様な手法を用いて、再配線RW3(パッド電極PAD1、PAD2)を形成する。
【0068】
次に、図13に示されるように、1つの半導体チップCP1および1つの半導体チップCP2が1セットとなるように、絶縁膜IF1~IF3および封止樹脂部MRをダイシング工程によって分断する。これにより、図2に示される半導体モジュールMJ1が複数取得される。
【0069】
(実施の形態2)
以下に、実施の形態2の半導体モジュールMJ2を、図14を用いて説明する。なお、以下では、実施の形態1の半導体モジュールMJ1との相違点を主に説明する。
【0070】
実施の形態1では、インダクタID1およびインダクタID2は、それぞれ再配線RW1および再配線RW2と同じ層に形成され、平面視において重なる位置に配置されていた。
【0071】
図14に示されるように、実施の形態2では、インダクタID3およびインダクタID4は、再配線RW1と同じ層に形成されている。このため、実施の形態2では、絶縁膜IF2および再配線RW2の形成が省略されている。また、インダクタID4の平面サイズは、インダクタID3の平面サイズよりも大きい。
【0072】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、インダクタID3およびインダクタID4は、少なくとも半導体チップCP1の側面を覆う封止樹脂部MRに、平面視において重なる位置に形成されている。従って、半導体チップCP1のサイズに律速されることなく、且つ、半導体チップCP1内の配線M1a~M5aのレイアウトルールに依存することなく、インダクタID3およびインダクタID4を配置することができる。従って、半導体チップCP1の小型化が阻害されることなく、インダクタID3およびインダクタID4を配置するための設計自由度を高めることができる。
【0073】
また、半導体チップCP1のサイズに律速されないため、インダクタID3およびインダクタID4の各々の平面サイズを、半導体チップCP1の平面サイズよりも大きくすることが可能となる。従って、インダクタID3およびインダクタID4の設計自由度を更に高めることができる。
【0074】
また、実施の形態2の沿面距離L1は、実施の形態1の沿面距離L1と同様に設定できるので、インダクタID3と配線M5aとの間、または、インダクタID4と配線M5aとの間の絶縁破壊を抑制することができる。
【0075】
また、実施の形態2では、インダクタID3とインダクタID4との間には絶縁膜IF3が形成されているため、インダクタID1とインダクタID2との間の距離を適宜調整することで、両者の間の絶縁耐圧を容易に向上させることができる。
【0076】
以上のように、実施の形態2においても、半導体モジュールMJ2の信頼性を向上させることができる。
【0077】
なお、実施の形態2の半導体モジュールMJ2では、絶縁膜IF2および再配線RW2の形成を省略したが、これらが形成されていてもよい。その場合、インダクタID3およびインダクタID4は、再配線RW1と同じ層に形成されていてもよいし、再配線RW2と同じ層に形成されていてもよい。
【0078】
(実施の形態3)
以下に、実施の形態3の半導体モジュールMJ3を、図15を用いて説明する。なお、以下では、実施の形態2の半導体モジュールMJ2との相違点を主に説明する。
【0079】
図15に示されるように、実施の形態3でも実施の形態2と同様に、絶縁膜IF2および再配線RW2の形成が省略されている。そして、インダクタID5が、再配線RW1と同じ層に形成されている。半導体モジュールMJ3の外部には、電力線EPLが配置されており、図14には、電力線EPLからの磁力線(磁気)MLが破線で示されている。
【0080】
実施の形態3のインダクタID5は、電力線EPLからの磁気を検知するために使用され、磁気センサ(電力メータ)用の電気回路の一部を構成している。インダクタID5は、再配線RW1に接続されており、MISFET1Qに電気的に接続されている。実施の形態3では、MISFET1Qが磁気センサ用の電気回路の一部を構成している。このため、半導体モジュールMJ3では、半導体チップCP2は必須ではなく、少なくともインダクタID5と半導体チップCP1とを備えていれば、半導体モジュールMJ3を磁気センサとして機能させることができる。
【0081】
実施の形態3においても、実施の形態1および実施の形態2と同様に、半導体チップCP1の小型化が阻害されることなく、インダクタID5を配置するための設計自由度を高めることができ、半導体モジュールMJ3の信頼性を向上させることができる。
【0082】
更に、インダクタID5の平面サイズは、半導体チップCP1の平面サイズよりも大きい。このため、実施の形態3の半導体モジュールMJ3では、半導体チップCP1の内部に磁気センサ用のインダクタが形成されている場合と比較して、電力線EPLからの磁気の感度を高めることができる。
【0083】
(実施の形態4)
以下に、実施の形態4の半導体モジュールMJ4を、図16を用いて説明する。なお、以下では、実施の形態3半導体モジュールMJ3との相違点を主に説明する。
【0084】
図16に示されるように、実施の形態4では、インダクタID6およびインダクタID7は、それぞれ、再配線RW1と同じ層に個別に形成され、半導体モジュールMJの外部からの磁気を検知するために使用され、磁気センサ(電力メータ)用の電気回路の一部を構成している。
【0085】
インダクタID6およびインダクタID7は、それぞれ再配線RW1および配線M1a~M5aを介してMISFET1Qに電気的に接続されている。実施の形態4では、インダクタID6およびインダクタID7には、それぞれ別のMISFET1Qが電気的に接続され、各々が磁気センサ用の電気回路の一部を構成している。そして、これらのMISFET1Q、インダクタID6およびインダクタID7によって、差動型の磁気センサ(電力メータ)が構成されている。このため、磁気センサの感度を高めることができ、S/N比(SNR:Signal to Noise Ratio)を向上させることができる。
【0086】
以上、本願発明者らによってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0087】
1Q~3Q MISFET
AD 接着剤
BF 下地膜
CF 導電性膜
CP1~CP4 半導体チップ
EPL 電力線
ID1~ID9 インダクタ(コイル)
IF1~IF3 絶縁膜
IL1a~IL5a、IL1b~IL5b、IL1c~IL8c 層間絶縁膜
L1、L2 沿面距離
M1a~M5a、M1b~M5b、M1c~M8c 配線
MJ1~MJ4 半導体モジュール
ML 磁力線(磁気)
MR 封止樹脂部
PAD1、PAD2 パッド電極
RP レジストパターン
RW1~RW3 再配線
SB1~SB3 半導体基板
SS 支持基板
STI 素子分離部
WF1~WF4 ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16