(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】自動車ロック
(51)【国際特許分類】
E05B 81/08 20140101AFI20220708BHJP
E05B 81/16 20140101ALI20220708BHJP
E05B 81/30 20140101ALI20220708BHJP
E05B 85/26 20140101ALI20220708BHJP
【FI】
E05B81/08
E05B81/16
E05B81/30
E05B85/26
(21)【出願番号】P 2019513303
(86)(22)【出願日】2017-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2017072437
(87)【国際公開番号】W WO2018046585
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2019-04-08
(31)【優先権主張番号】202016105005.7
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504346891
【氏名又は名称】ブローゼ シュリースジュステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Brose Schliesssysteme GmbH & Co. Kommanditgesellschaft
【住所又は居所原語表記】Otto-Hahn-Str. 34, D-42369 Wuppertal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス コーテ
(72)【発明者】
【氏名】ヨシプ シュテファニチ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-97828(JP,A)
【文献】特表2015-514887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0032968(US,A1)
【文献】独国実用新案第202007005001(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00
E05B 77/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ロックであって、
ラチェット機構(2)と、ロック機構(4)と、該ロック機構(4)のそれぞれ異なるロック状態を生じさせる電気式の調整アセンブリ(5)と、を備え、
前記調整アセンブリ(5)は、ロータ(7)およびロータ磁界を形成するためのロータ磁石アセンブリ(8)が対応付けられたロータアセンブリ(6)と、ステータ磁界を形成するためのステータ磁石アセンブリ(10)が対応付けられたステータ(9)とを有し、該ステータ(9)は、前記ステータ磁石アセンブリ(10)の、少なくとも2つの磁気的な異種のステータ磁極(11,12)を形成し、前記磁石アセンブリ(8,10)のうちの少なくとも1つに、各々の磁界を形成するための通電可能なコイルアセンブリ(S)が対応付けられており、該コイルアセンブリ(S)の通電と、その結果により生じる前記ロータ(7)と前記ステータ(9)との間の磁気的な相互作用とにより、前記ロータ(7)にかかる駆動モーメントを生じさせることができ、その結果、所定の数の駆動位置への前記ロータ(7)の位置調整を生じさせることができる、
自動車ロックにおいて、
前記ロータ磁石アセンブリ(8)および前記ステータ磁石アセンブリ(10)は、前記自動車ロック(1)の支持部分(13)に、特にロックハウジング部分に定位置に固定されており、前記ロータ(7)は、前記支持部分(13)に対して、かつ前記ロータ磁石アセンブリ(8)に対して、ロータ軸線(15)を中心に揺動可能であるとともに、前記ロータ磁石アセンブリ(8)の、少なくとも2つの磁気的な異種のロータ磁極(16,17,18)を形成し、該ロータ磁極(16,17,18)は、相応に前記ロータ軸線(15)を中心に揺動可能であることを特徴とする、自動車ロック。
【請求項2】
前記ステータ磁石アセンブリ(10)がステータ磁界を形成するための永久磁石アセンブリ(P)を有する場合、前記ロータ磁石アセンブリ(8)は、ロータ磁界を形成するための前記コイルアセンブリ(S)を有し、前記ステータ磁石アセンブリ(10)がステータ磁界を形成するための前記コイルアセンブリ(S)を有する場合、前記ロータ磁石アセンブリ(8)は、ロータ磁界を形成するための永久磁石アセンブリ(P)を有することを特徴とする、請求項1記載の自動車ロック。
【請求項3】
前記コイルアセンブリ(S)の通電状態で、一方では前記ロータ(7)のかつ他方では前記ステータ(9)の異種の磁極が、各々の磁気ギャップ(21,22)を除いて、前記ロータ(7)の位置調整により相互に近付き、これによりロータ磁界とステータ磁界とから成る重畳磁界に関する、各々の駆動位置に対応付けられた磁気回路を閉じることを特徴とする、請求項1または2記載の自動車ロック。
【請求項4】
それぞれ異なる駆動位置に、ロータ磁界とステータ磁界とから成る重畳磁界に関する、それぞれ異なる磁気回路が対応付けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項5】
各々の駆動位置において、通電が遮断された状態で、前記永久磁石アセンブリ(P)の磁界が、特にステータ磁界が、各々の駆動位置に対応付けられた磁気回路にわたって延在し、これにより各々の駆動位置が、通電が遮断された状態でも、磁気的に安定した駆動位置であることを特徴とする、
請求項2を引用する請求項
3または4記載の自動車ロック。
【請求項6】
前記調整アセンブリ(5)自体は、前記コイルアセンブリ(S)の通電に依存して、その結果として生じる駆動モーメントにより、少なくとも2つの、好適には少なくとも3つの磁気的に安定した駆動位置に到達することが可能であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項7】
前記調整アセンブリ(5)自体は、逆向きに通電されると、その結果として生じる駆動モーメントにより、精確に2つの磁気的に安定した駆動位置に到達することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項8】
前記ロータ(7)は、前記ロータ磁石アセンブリ(8)の3つのロータ磁極(16,17,18)を形成し、そのうちの2つのロータ磁極(16,18)だけが同種であり、前記ステータ(9)は、前記ステータ磁石アセンブリ(10)の2つの異種のステータ磁極(11,12)を形成し、好適には、前記ロータ軸線(15)に関する、前記ステータ磁極(11,12)の間の角度間隔(a)は、相並んで位置する2つの前記ロータ磁極(16,17;17,18)の間の角度間隔(β,γ)に一致することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項9】
前記ロータ磁極(16,17,18)は、前記ロータ(7)の周囲の少なくとも一部にわたって分散して配置されている、かつ/または前記ロータ磁石アセンブリ(8)の前記ロータ磁極(16,17,18)は、前記ロータ軸線(15)に関して、180°より小さな、好適には120°より小さな角度範囲にわたって分散して配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項10】
前記ステータ磁石アセンブリ(10)の前記ステータ磁極(11,12)は、前記ロータ(7)の運動軌道(24)の少なくとも一部に沿って分散して配置されており、好適には、前記ステータ磁石アセンブリ(10)の前記ステータ磁極(11,12)は、前記ロータ(7)の運動軌道(24)の一部だけに沿って分散して配置されており、好適には、前記ステータ磁石アセンブリ(10)の前記ステータ磁極(11,12)は、ロータ軸線(15)に関して、180°より小さな、好適には120°より小さな角度範囲にわたって分散して配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項11】
前記ステータ磁石アセンブリ(10)は、前記ロータ軸線(15)に関して非対称に構成されているかつ/または配置されており、かつ/または前記ロータ磁石アセンブリ(8)は、前記ロータ軸線(15)に関して非対称に構成されているかつ/または配置されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項12】
前記ロータ(7)は、ロータ薄板アセンブリ(25)を有し、該ロータ薄板アセンブリ(25)は、磁気的に前記ロータ磁石アセンブリ(8)と連結されており、前記ロータ薄板アセンブリ(25)は、前記ロータ磁極(16,17,18)を形成し、好適には、前記ロータ薄板アセンブリ(25)は、異種のロータ磁極を形成するために、2つのロータ薄板(26,27)を有し、該ロータ薄板(26,27)は、前記ロータ軸線(15)に合わせて方向付けられた連結部材(28)、特に連結ピン(29)を介して、磁気的に相互に連結されており、好適には、前記ロータ薄板(26,27)は、それぞれ1つのベース体(26a、27a)を有し、該ベース体(26a,27a)は、前記ロータ軸線(15)に対して略横向きに延在し、前記ベース体(26a,27a)から、前記ロータ磁極(16,17,18)が爪状に曲げられていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項13】
前記コイルアセンブリ(S)は、前記ロータ磁石アセンブリ(8)の、前記支持部分(13)に定位置に固定された少なくとも1つのマグネットコイル(31)を有し、該マグネットコイル(31)は、前記ロータ軸線(15)に対して同軸に方向付けられており、好適には、前記連結部材(28)は、前記ロータ磁石アセンブリ(8)の前記マグネットコイル(31)を貫通し、さらに好適には、前記ロータ(7)の両方のロータ薄板(26,27)は、前記マグネットコイル(31)の、それぞれ反対の側に位置する端面(32)に配置されていることを特徴とする、請求
項12記載の自動車ロック。
【請求項14】
前記ステータ(9)は、ステータ薄板アセンブリ(33)を有し、該ステータ薄板アセンブリ(33)は、磁気的に前記ステータ磁石アセンブリ(10)と連結されており、前記ステータ薄板アセンブリ(33)は、前記ステータ磁極(11,12)を形成し、好適には、前記ステータ磁石アセンブリ(10)の前記永久磁石アセンブリ(P)は、磁気的に前記ステータ薄板アセンブリ(33)と連結された永久磁石を有し、さらに好適には、前記ステータ薄板アセンブリ(33)は、それぞれ前記永久磁石の1つの磁極と結合された2つのステータ薄板(34,35)を有することを特徴とする、
請求項2を引用する請求項
3から13までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項15】
組み付けられた状態で、前記自動車ロック(1)は、操作グリップ(36)と、特に外側ドアグリップ(37)または内側ドアグリップと連結されており、前記ラチェット機構(2)は、前記ロック機構(4)のロック状態に依存して、前記操作グリップ(36)の操作により解放可能であり、前記ロック機構(4)は、機能要素(38)を有し、該機能要素(38)は、それぞれ異なるロック状態を生じさせるために、それぞれ異なる機能位置へもたらすことが可能であり、前記機能要素(38)は、前記ロータ(7)と連結されており、好適には、前記機能要素(38)は、前記ロータ(7)と結合されているまたは前記ロータにより形成されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【請求項16】
前記ロック機構(4)は、操作要素(40)を前記ラチェット機構(2)と、特に該ラチェット機構(2)のラチェット爪(2b)と切換え可能に連結するための連結アセンブリ(39)を有し、該連結アセンブリ(39)は、機能要素(38)として、位置調整可能な連結要素(41)を有し、好適には、該連結要素(41)は、ガイド面(43)を有し、該ガイド面(43)は、前記連結要素(41)の少なくとも1つの位置で、前記ラチェット機構(2)からの非連結係合へまたは前記ラチェット機構(2)との連結係合へと前記操作要素(40)の操作運動を変向し、さらに好適には、前記操作要素(40)は、該操作要素(40)の操作前では常に前記連結要素(41)から解放されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の自動車ロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車ロックに関する。
【0002】
テーマとなる自動車ロックは、自動車ドアまたはこれに類するものと自動車ボディとの間の保持係合部を形成するのに用いられる。ここでは、機械的に頑丈で壊れにくく、かつ同時に低コストの設計が特に重要である。
【0003】
そこから本発明が出発する公知の自動車ロック(国際公開第2013/127531号)は、自動車ロックであって、ラッチとラチェット爪とから成るラチェット機構と、ロック機構とを有し、ロック機構は、「アンロック」、「ロック」またはこれに類するもののようなそれぞれ異なるロック状態へもたらすことが可能である、自動車ロックを開示している。ロック機構をそれぞれ異なるロック状態へ位置調整するために、電気式の調整アセンブリが設けられており、調整アセンブリは、ある種のダイレクトドライブとして構成されている。調整アセンブリは、永久磁石アセンブリを具備するロータと、コイルアセンブリを具備するステータとを有する。ロータ軸線に関して対称の調整アセンブリにより、調整アセンブリの万能な使用性が保証されている。しかし、製造コストに関して、さらに最適化できる可能性が存在する。
【0004】
本発明の根底を成す課題は、自動車ロックの性能を損なうことなく、他方、コスト的な観点から公知の自動車ロックを最適化することである。
【0005】
ロータが、ロータに対応付けられたロータ磁石アセンブリを駆動運動ごとに必ずしも連行しなくてもよいという基本的な考察が重要である。しかも、ロータとロータ磁石アセンブリとの間の磁気的な連結が適切であると、ロータ磁石アセンブリが定位置のとき、ロータの揺動駆動運動が可能であることが判っている。これにより、調整アセンブリの出力部として用いられるロータに、ロータ磁石アセンブリにより形成される磁界をガイドする追加な機能だけが与えられる。
【0006】
具体的には、ロータ磁石アセンブリおよびステータ磁石アセンブリが自動車ロックの支持部分に定位置に固定されており、支持部分は、好適には、自動車ロックのロックハウジング部分であることが提案される。ロータは、支持部分に対してかつロータ磁石アセンブリに対して、ロータ軸線を中心に揺動可能である。ロータとロータ磁石アセンブリとの連結により、ロータは、ロータ磁石アセンブリの、少なくとも2つの磁気的な異種のロータ磁極を形成し、ロータ磁極は、相応にロータとともにロータ軸線を中心に揺動可能である。「磁極」とは、本発明では常に、面状で磁気を導く部分と解され、この部分から、磁界が発生し得、磁界に起因して駆動モーメントが生じる。
【0007】
提案による解決手段により、ロータの、重量に関して最適化された設計が可能であるので、まず駆動運動に必要な消費電力が相応に低減されている。他方、これによりコイルアセンブリは、低コストに設計される。
【0008】
さらに、ロータの、重量に関して最適化された設計により、ロータの、良好な動的な機械特性が得られる。というのもたとえば、駆動位置での到達に際してロータの過剰な揺動が低減されているからである。ロータの、重量に関して最適化された設計は、自動車ロックの衝撃特性に関しても有利である。というのも、ロータにわずかな慣性力しか作用しないからである。
【0009】
最終的に、提案による解決手段により、侵入に対する高い安全性が得られる。というのも、ロータに配置された永久磁石が存在しないので、ロータが、外部磁界により、そのロータ位置で全く操作できないからである。
【0010】
請求項2による特に好ましい構成では、通電可能なコイルアセンブリが、ロータ磁石アセンブリの構成部材である一方、ステータ磁石アセンブリは、永久磁石アセンブリ有する。後述されるように、コイルアセンブリは、最適にロータに組み込むことが可能である。
【0011】
駆動モーメントを形成する好適な原理は、請求項3によれば、一方ではロータのかつ他方ではステータの異種の磁極が、各々の駆動位置への到達に際して相互に近付くことにある。結果として生じる駆動位置は、好適には磁気的に安定している。これは、少なくとも通電中、各々の駆動位置が最小の磁気的な潜在エネルギの状態に相当するので、各々の駆動位置からの、ロータの、外部から及ぼされる変向が、変向の方向にかかわらず、各々の駆動位置への、ロータにかかる磁気的なトルクを生じさせることを意味している。つまり磁気的に安定した駆動位置は、機械的な終端ストッパを必要とすることなく、到達することが可能である。
【0012】
要するに、調整アセンブリ自体は、組み付けられていない状態で、請求項6によれば、好適には、調整アセンブリがロータとともに通電に依存して少なくとも2つの磁気的に安定した駆動位置へ到達することが可能であるように、設計されている。
【0013】
請求項9~11によるさらに好ましい形態では、各々の用途に合わせて調整アセンブリの設計の適合が可能である。ここでは、低コストの設計を目的とする万能な適用性は、重要でなくなる。
【0014】
請求項12~14によるさらに好ましい形態は、特にコンパクトな構造上の設計に関し、請求項13によれば、ロータ磁石アセンブリのマグネットコイルを、ロータの一部が貫通する。ロータ軸線に合わせて方向付けられた連結部材を介して磁気的に相互に連結された2つのロータ薄板を有するロータの設計では、ロータは、磁気的なヨークのある程度の機能を担う。ヨークは、マグネットコイルを貫通し、ヨークは、マグネットコイルに対してロータ軸線を中心に揺動可能である。
【0015】
先行する考察から、ロック機構の様々な機能要素を調整するための調整アセンブリが使用可能であることが明らかである。この場合、各々の機能要素は、場合により介在された伝動装置を介して、ロータと連結されてもよい、ロータと結合されてもよく、またはロータにより形成されてもよい。請求項16は、これを、ロック機構の連結アセンブリの連結要素に基づいて開示している。
【0016】
極めて一般的には、調整アセンブリのロータは、ロック機構の、組み込まれた構成部材、たとえばロック機構のレバー、特に連結要素であってもよい。
【0017】
以下に、単に1つの実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】a)はロック状態「ロック」で、b)はロック状態「アンロック」で、それぞれ提案による自動車ロックを斜視図で示す。
【
図3】
図1による自動車ロック自体の調整アセンブリのロータアセンブリを1つの斜視図および2つの断面図で示す。
【
図4】a)はロック状態「ロック」で、b)はロック状態「アンロック」で、
図1による自動車ロック自体の調整アセンブリを、それぞれ斜視図で示す。
【0019】
図示された自動車ロック1は、自動車ドア1またはこれに類するものと自動車ボディとの間の保持結合部を形成するために用いられる。この場合、用語「自動車ドア」は、広く解釈される。自動車ドアは、スイングドアおよびスライドドアを含み、特にサイドドア、後部ドア、トランクリッド、テールゲートおよびエンジンフードまたはこれに類するものを含む。
【0020】
自動車ロック1は、ラチェット機構2を備えて構成されており、ラチェット機構2は、好適には通常の閉鎖要素、つまりラッチ2aとラチェット爪2bとを有する。ラッチ2aは、
図1に示された閉鎖位置へもたらすことが可能であり、閉鎖位置では、ラッチ2aは、ラチェット爪2bにより固定され、閉鎖位置では、ラッチ2aは、閉鎖部材3、特にストライカ、閉鎖ピンまたはこれに類するものと保持係合されている。この場合、自動車ロック1は、自動車ドアに配置されてもよく、閉鎖部材3は、自動車ボディに配置されてもよい。その逆の配置も考えられる。
【0021】
自動車ロック1は、さらにロック機構4を備えて構成されており、ロック機構4は、「ロック」、「アンロック」またはこれに類するそれぞれ異なるロック状態へもたらすことが可能である。ロック状態に依存して、自動車ロック1は、組み込まれた状態で、後述されるように、内部または外部から解放することが可能である。
【0022】
本発明では、電気式の調整アセンブリ5を用いてロック機構4のそれぞれ異なるロック状態を生じさせることが重要である。この場合、調整アセンブリ5の構造上の構成が特に重要である。
【0023】
調整アセンブリ5は、ロータアセンブリ6を有し、ロータアセンブリ6に、ロータ7と、およびロータ磁界を形成するためのロータ磁石アセンブリ8とが対応付けられている。ロータ7は、好適には、軟磁性材料から形成されているので、ロータ磁界は、ロータ7を介してガイドされる。
【0024】
調整アセンブリ5は、さらにステータ9を有し、ステータ9に、ステータ磁界を形成するためのステータ磁石アセンブリ10が対応付けられている。ステータ9の構成は、
図4による描画において最良に看取可能である。
【0025】
ステータ9は、ステータ磁石アセンブリ10の、少なくとも2つの磁気的な異種のステータ磁極11,12を形成する。用語「異種」とは、磁極が常にN極またはS極であることに関連付けられている。2つの磁極がそれぞれN極またはそれぞれS極である場合には、同種の磁極である。これに対して一方の極がN極であり、他方の極がS極であると、異種の磁極である。
【0026】
複数の磁石アセンブリ、つまりロータ磁石アセンブリ8およびステータ磁石アセンブリ10のうちの少なくとも1つに、各々の磁界を形成するための通電可能なコイルアセンブリSが対応付けられている。
図3による描画から看取されるように、ここではロータ磁石アセンブリ8がコイルアセンブリSを有する。コイルアセンブリSの通電と、後述する、その結果として生じるロータ7とステータ9との間の磁気的な相互作用とにより、ロータ7にかかる駆動モーメントを生じさせることができ、その結果、所定の数の駆動位置へのロータ7の位置調整が発生可能を生じさせることができる。これは、到達可能な駆動位置の数が制限されているので、調整アセンブリ5は広い意味である種のステップモータとして作動することを意味している。
【0027】
図示されたように、ロータ磁石アセンブリ8のみならずステータ磁石アセンブリ10も自動車ロック1の支持部分13に定位置に固定されている。支持部分13は、ここでは好適にはロックハウジング部分であり、ロックハウジング部分は、さらに好適には閉鎖部材3のための進入開口14を提供する。
【0028】
図a)および図b)を合わせ見ると明らかなように、ロータ7は、支持部分13に対してかつロータ磁石アセンブリ8に対して、ロータ軸線15を中心に揺動可能である。ロータ7が、これがロータ磁石アセンブリ8と磁気的に連結されることにより、少なくとも2つの異種のロータ磁極16,17,18を形成することにより、ロータ磁極16,17,18は、相応に同様にロータ軸線15を中心に揺動可能である。要するに、ロータ位置の変化により、ロータ磁極16,17,18の位置も変化することが可能である。
【0029】
ロータ磁石アセンブリ8を固定するために、様々な構造上の手段が考えられる。ここでは好適には、ロータ磁石アセンブリ8は、支持台19,20を介して、支持部分13に固定されている。
【0030】
ステータ9に対して相対的なロータ7の位置が、単にロータ7およびステータ9を支持部分13に固定することによって規定されていることが図面からさらに看取可能である。その点においてロータ7とステータ9とは、相互に別個に支持部分13に、特にハウジングなしに支持部分13に固定されている。
【0031】
調整アセンブリ5の構造上の構成については様々な有利な形態が考えられる。ここでは好適には、ロータ磁石アセンブリ8は、上述されたように、ロータ磁界を形成するためのコイルアセンブリSを有する一方、ステータ磁石アセンブリ10は、ステータ磁界を形成するための永久磁石アセンブリPを有する。一方ではコイルアセンブリSは、他方では永久磁石アセンブリPは、
図2による描画から看取可能である。代替的に、しかしここでは図示されていないが、ステータ磁石アセンブリ10が、ステータ磁界を形成するためのコイルアセンブリSを有する一方、ロータ磁石アセンブリ8が、ロータ磁界を形成するための永久磁石アセンブリPを有しても有利であり得る。
【0032】
コイルアセンブリSの通電は、様々な形で行うことが可能である。好適には、通電は、ここでは脈動するまたは脈動しない直流電圧またはこれに類するものに起因して生じる。コイルアセンブリが別個に通電可能な複数のマグネットコイルを含む場合には、通電の通電方向だけではなく、通電されるマグネットコイルの数も様々に変化してもよい。
【0033】
ここでは好適には、考えられる通電形態は、別個に通電可能な複数のマグネットコイルが存在しないので、通電方向の転換が制限されている。その意味で異なる、コイルアセンブリSに対する2つの通電形態が、
図4に示されている。
図4に示された通電形態は、それぞれ逆向きに設定されている。これは、通電方向がここでは逆であることを意味している。
【0034】
図4aによる通電形態では、ロータ磁石アセンブリ8のロータ磁極16,18は、N極であり、ロータ磁極17は、S極である。ステータ磁極11は、ここではN極である一方、ステータ磁極12は、S極である。コイルアセンブリSを通電すると、ロータ7の位置調整により、各々の磁気ギャップ21,22を除いて、一方ではロータ7の、かつ他方ではステータ9の異種の磁極16,12;17,11が相互に近付き、これにより、磁極は、
図4aに示された駆動位置に対応付けられた、ロータ磁界とステータ磁界とから成る重畳磁界に関する磁気回路を閉じる。
図3には、
図4による通電形態における重畳磁界の磁束23が示されている。
【0035】
簡約すると、ロータ7の上述の位置調整は、各々の磁気ギャップ21,22が最小になるまで、異種の極16,12;17,11が引き合うように設定することが可能である。
図4aに示された位置では、最小の磁気的な潜在エネルギの状態が達成されているので、そこでの駆動位置は、上述の意味で磁気的に安定した駆動位置である。
【0036】
そこで通電方向が逆転されると、
図4bに示された状態が生じる。通電方向の逆転により、ロータ磁極16,18がそれぞれS極となり、ロータ磁極17がN極となる。上述の簡約された考察では、異種の磁極17,12;18,11が引き合う一方、同種の磁極16,12;17,11が反発する。これにより、ロータ7およびステータ9の異種の磁極17,12;18,11は、ロータ7の位置調整により各々の磁気ギャップ21,22を除いて相互に近付き、これにより同様にロータ磁界とステータ磁界とから成る重畳磁界に関する、この第2の駆動位置に対応付けられた磁気回路が閉じられる。
図4bに示された駆動位置でも、最小の磁気的な潜在エネルギの上述された状態が生じるので、この駆動位置も磁気的に安定した駆動位置である。
【0037】
上述の説明によれば、コイルアセンブリSの通電により到達される、それぞれ異なる駆動位置に、ロータ磁界とステータ磁界とから成る重畳磁界に関する、それぞれ異なる磁気回路が対応付けられている。これは、ロータ位置に依存して、それぞれ異なるロータ磁極16,17,18がステータ磁極11,12と各々の磁気ギャップ21,22を形成することにより得られる。
【0038】
さらに図示された実施の形態では、各々の駆動位置において、通電が遮断された状態で、永久磁石アセンブリPの磁界、ここでは好適にはステータ磁界が、各々の駆動位置に対応付けられた磁気回路にわたって延びることが有利である。これは、通電が遮断された状態でも、磁気的に安定した駆動位置が存在し、この駆動位置は、専らステータ磁界、ここではつまり永久磁石アセンブリPの磁界に起因して生じることを意味している。その点において、駆動位置においてロータ7のある種の係止固定が生じるので、ロータ7を相応に固定するための係止ばねまたはこれに類するものを省くことができる。
【0039】
提案による調整アセンブリ5の設計に応じて、様々な数の駆動位置を生じさせることができる。極めて一般的には、調整アセンブリ5自体が、コイルアセンブリSの通電に依存して、つまり相応の通電により、その結果として生じる駆動モーメントにより少なくとも2つの、好適には少なくとも3つの、磁気的に安定した駆動位置に到達することができることが想定されてもよい。図示された、その点において好ましい実施の形態では、調整アセンブリ5自体は、上述されたように、通電が逆向きの場合、その結果として生じる駆動モーメントにより、精確に2つの磁気的に安定した駆動位置に到達する。これにより、たとえばロック状態「ロック」および「アンロック」を、構造上の最小限の手間で切り換えることができる。
【0040】
特に専ら2つの駆動位置を切り換えるために、好適には、ロータ7がロータ磁石アセンブリ8の3つのロータ磁極16,17,18を形成し、そのうちの2つのロータ磁極16,18だけが同種である一方、ステータ9は、ステータ磁石アセンブリ10の2つの異種のステータ磁極11,12を形成することが想定されている。この場合、ステータ磁極11,12の間の、ロータ軸線15に関する角度間隔αは、相並んで位置する2つのロータ磁極16,17;17,18の間の角度間隔β,γに一致し、この場合、好適には、角度間隔β,γが、好適には相互に同一であることが前提とされる。角度間隔α,β,γの相互の調整により、原則として、図a)に示された第1の駆動位置で、磁極16,12;17,11がそれぞれ1つの磁気ギャップ21,22を形成し、第2の駆動位置で、磁極17,12;18,11がそれぞれ1つの磁気ギャップ21,22を形成することが可能である。
【0041】
図4による描画から看取可能であるように、ロータ磁極16,17,18は、ロータ7の周囲の少なくとも一部にわたって分散して配置されている。ロータ磁極16,17,18は、ロータ軸線16,17,18に関して、ロータ磁極16,17,18から出発する磁束線が径方向に方向付けられている場合には、同様に径方向に方向付けられている。しかも代替的に、ロータ磁極16,17,18は、ロータ軸線15に関して軸方向に方向付けられていることも考えられる。
【0042】
提案による調整アセンブリ5の上述の機能形式は、ロータ磁石アセンブリ8のロータ磁極16,17,18が、ロータ軸線15に関して180°よりも小さな、好適には120°よりも小さな角度範囲にわたって分散して配置されていることを可能にする。ロータ7の、この軽量化されるとともに駆動位置の状態に合わせて方向付けられた設計により、さらなる軽量化を達成することができる。
【0043】
同等の状況が、ステータ磁石アセンブリ10のステータ磁極11,12において生じる。まず、図示された、その点において好ましい実施の形態では、ステータ磁極11,12も上述の意味で径方向に方向付けられていることが指摘されてもよい。代替的に、ここでは、ロータ磁極16,17,18が相応に軸方向に方向付けられている場合には、ステータ磁極11,12の同様の軸方向の方向付けを実現することができることが想定されてもよい。
【0044】
図4に示されているように、ステータ磁石アセンブリ10のステータ磁極11,12は、ロータ7の運動軌道24の少なくとも一部に沿って分散して配置されている。この場合、ステータ磁石アセンブリ10のステータ磁極11,12がロータ軸線15に関して、180°より小さな、好適には120°より小さな角度範囲にわたって分散して配置されている、軽量化された設計が生じる。この軽量化された設計によっても、自動車ロック1全体のさらなる軽量化が生じる。
【0045】
提案による調整アセンブリ5は、広い部分で非対称に構成することが可能であり、これは、最終的にそれぞれの用途に調整アセンブリ5を適合させた結果である。相応に、ステータ磁石アセンブリ10は、ロータ軸線15に関して非対称に構成されてもよい、かつ/または配置されてもよい。代替的にまたは追加的に、ロータ磁石アセンブリ8は、ロータ軸線15に関して非対称に構成されてもよい/配置されてもよい。このような非対称性により、軽量化された低コストの配置を目的として、調整アセンブリ5の万能な使用性は制限される。もちろん図面から看取されるように、提案による調整アセンブリ5は、一方ではロータ7がかつ他方ではステータ9が変更されることにより、全く異なる駆動位置に合わせて調整することが可能である。この変更は、ロータ7が、図示されたロータ薄板アセンブリ25を有し、ロータ薄板アセンブリ25が、磁気的にロータ磁石アセンブリ8と連結されており、ロータ薄板アセンブリ25が、ロータ磁極16,17,18を形成すると、特に簡単に行うことが可能である。
【0046】
図3は、ロータ薄板アセンブリ25が、異種のロータ磁極16,18を形成するために、2つのロータ薄板26,27を有し、ロータ薄板26,27は、ロータ軸線15に合わせて方向付けられた連結部材28、ここでは好適には連結ピン29を介して磁気的に相互に連結されていることを示している。そのために、両方のロータ薄板26,27と連結部材28とのリベット止め、溶接またはこれに類するものが成されている。
【0047】
ロータ薄板26,27の基本的な構造によれば、ロータ薄板26,2は、それぞれ1つのベース体26a,27aを有し、ベース体26a,27aは、ロータ軸線15に対して略横向きに延在し、ベース体26a,27aから、ロータ磁極16,17,18が爪状に曲げられている。ロータ磁極16,17,18のそのような爪状の構成は、クローポールモータの分野から知られている。
【0048】
ここでは好適には連結ピン29として構成された連結部材28は、ロータ7のための自在軸受30の構成部材を形成する。連結部材28のこの2通りの使用により、全体として特にコンパクトな構成がもたらされる。
【0049】
図3に示されたように、コイルアセンブリSは、支持部分13に定位置に固定された少なくとも1つの、ここでは好適には精確に1つの、ロータ磁石アセンブリ8のマグネットコイル31を有し、マグネットコイル31は、ロータ軸線15に対して同軸に方向付けられている。これにより、連結部材28を通る磁束が生じ、この磁束から、同様に、ロータ磁界が生じる。
【0050】
構造的に、連結部材28がロータ磁石アセンブリのマグネットコイル31を貫通することが想定されている。さらにこの場合、図示された、その点において好ましい実施の形態では、マグネットコイル31がある程度の遊びを除いて、連結部材28と係合されている。さらに好適には、ロータ7の両方のロータ薄板26,27は、マグネットコイル31の、互いに反対の側に位置する端面32に配置されている。これにより、ある種のヨークとしての、ロータ7の上述された機能が生じる。
【0051】
磁界をガイドする同様の構成は、好適にはステータ9に対して設けられている。相応に、ステータ9は、好適にはステータ薄板アセンブリ33を有し、ステータ薄板アセンブリ33は、磁気的にステータ磁石アセンブリ10と連結されており、ステータ薄板アセンブリ33は、ステータ磁極11,12を形成する。
【0052】
ロータ薄板アセンブリ25のみならずステータ薄板アセンブリ31も、図示された、その点において好ましい実施の形態では、特に簡単に製作可能である。これは、特にロータ磁極16,17,18およびステータ磁極11,12の実現に当てはまる。というのも、これらは完全にフラットに構成されているからである。これにより、ロータ磁極16,17,18およびステータ磁極11,12は、容易に、該当する金属薄板を曲げることにより形成することが可能である。もちろん、漏れ磁束を回避するために、磁気ギャップ21,22が、それぞれ磁気ギャップ21,22全体にわたって同一のギャップ幅を有することが想定されてもよい。そのために、ロータ磁極16,17,18およびステータ磁極11,12が、ロータ軸線15に対して横向きに見て横断面で円形に構成されていることが提案される。
【0053】
ステータ薄板アセンブリ33は、図示された実施の形態では、2つのステータ薄板34,35を有し、ステータ薄板34,35は、ステータ磁極11,12を形成する。そのために、ステータ薄板34,35は、相応に永久磁石アセンブリPと磁気的に連結されている。この場合、永久磁石アセンブリP自体をロータ7に対して方向付けしなくてもよく、この方向付けは、ステータ薄板34,35を介して実現することができるという利点が生じる。その点において、永久磁石アセンブリPは、調整アセンブリ5の具体的な設計にかかわらず、磁界を導くためにフラットな磁極面を備えて構成されてもよい。この場合、ステータ磁極11,12の方向付けおよび配置は、上述されたように、ステータ薄板アセンブリ33を介して実現することが可能である。永久磁石アセンブリPの組込みの容易化により、さらなるコスト削減が生じる。
【0054】
ロック機構4の構成については、多数の有利な形態が考えられる。極めて一般的には、組み付けられた状態で、自動車ロック1は、操作グリップ36、特に外側ドアグリップ37または内側ドアグリップと連結されており、この場合、ラチェット機構2は、ロック機構4のロック状態に依存して、操作グリップ36の操作により解放可能であるまたは解放不能である。ラチェット機構2の解放は、ここでは好適には、
図1bに示された状況からラチェット爪2bを外すことにより行われる。
【0055】
極めて一般的には、ロック機構4は、機能要素38を有し、機能要素38は、それぞれ異なるロック状態を生じさせるために、それぞれ異なる機能位置へもたらすことが可能である。この場合、機能要素38は、好適にはロータ7と連結されている、ここでは好適にはロータ7と結合されている、またはそれどころかロータ7により形成されている。たとえば機能要素38は、軟磁性材料から成るレバーであってもよく、このレバーに、ロータ磁極16,17,18が成形されている。
【0056】
図1に示されたロック機構4は、特に有利には、提案による調整アセンブリ5とともに使用可能である。ロック機構4は、ここでは操作要素40がラチェット機構2、ここでは好適にはラチェット機構2のラチェット爪2bと切換え可能に連結するための連結アセンブリ39を有する。この場合、連結アセンブリ39は、上述された機能要素として、位置調整可能な連結要素41を有し、連結要素41は、生じさせようとするロック状態に応じて位置調整可能である。操作要素40は、さらに好適には、自動車ロック1が組み付けられた状態で、操作グリップ36と、特に外側ドアグリップ37と連結されている。操作要素40は、好適には、係合成形部42を備えて構成された操作ロッドである。操作要素40は、ロック状態に応じて、ラチェット機構2と連結係合にもたらすことが可能であり、これにより、ラッチ2bが外される。
【0057】
用語「連結係合」とは、ここでは広く解釈されるべきであり、操作要素40とラチェット機構2との間の相互作用をも含み、その際、1つの中間要素または複数の中間要素が介在されている。その点において、連結係合は、操作要素40とラチェット機構2との間の間接的な係合または直接的な係合であってもよい。ここでは、直接的な係合であり、その際、
図1b」による操作要素40の係合成形部42は、ラチェット機構2のラチェット爪2bに設けられた成形受け部45と係合する。これにより、ラチェット爪2bが外され、その結果、ラチェット機構2全体が解放される。
【0058】
連結アセンブリ39の、図示された、その点において好ましい構成では、連結要素41は、ガイド面43を有し、ガイド面43は、連結要素41の少なくとも1つの位置で、操作要素40の操作運動を、ラチェット機構2からの非連結係合へ、またはラチェット機構2との連結係合へと変向する。好適には、この変向は、操作要素40の運動方向の変化を含む。
【0059】
結果として、ラチェット機構2は、
図1bに示されたロック状態「アンロック」で、操作要素40の操作により解放することが可能である。というのも操作要素40の操作運動の変向が行われないからである。これに対してロック機構4は、ロック状態「ロック」に位置すると、
図1aに示された状況が生じ、この状況では、ガイド面43が操作要素40の操作運動をラチェット機構2からの非連結係合へと変向する。
【0060】
図1に示されたロック機構4では、操作要素40がその操作前に、つまり
図1においてそれぞれ非操作状態で、常に連結要素41のガイド面43から解放されているとさらに有利である。つまり連結要素41の位置調整は、操作要素40により妨害されず、その結果わずかな消費電力で可能である。これにより、連結要素41の位置調整に用いられる調整アセンブリ5は、わずかな消費電力が得られるように設計することが可能であり、これは、同様に軽量化および同時にコスト削減をもたらす。
【0061】
最後に、用途に応じ有利であってもよく、ただし図示されていない、調整アセンブリ5に関するあらゆる構造上の様々な形態が得られることが指摘されてもよい。ステータ薄板アセンブリ33が結果としてステータ磁極11,12の相応の方向付けを保証する場合には、たとえばステータ磁石アセンブリ10の永久磁石アセンブリPの広い範囲の任意の設計および配置、特に磁気的な方向付けが考えられる。
【0062】
さらに、図示された実施の形態では、磁気ギャップ21,22に、それぞれ、ロータ軸線15に関して略径方向に方向付けられた磁界が設けられている。代替的に、既に示唆されたように、ロータ磁極16,17,18およびステータ磁極11,12は、磁気ギャップ21,22においてそれぞれロータ軸線15に関して軸方向の磁界が生じるように方向付けられていることが想定されてもよい。有利な別の構造形式は、提案による思想の範囲内で考えられる。