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特許7101667電流変調回路、駆動回路、及び電流変調を用いて照明負荷を駆動するための方法
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  • 特許-電流変調回路、駆動回路、及び電流変調を用いて照明負荷を駆動するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】電流変調回路、駆動回路、及び電流変調を用いて照明負荷を駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20220708BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20220708BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20220708BHJP
【FI】
H04B10/116
H05B47/00
H04B10/516
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019520027
(86)(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017075929
(87)【国際公開番号】W WO2018073069
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】16195066.2
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】リンナーツ ヨハン ポール マリー ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】アルランデュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】セヴォ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】タオ ハイミン
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/061220(WO,A2)
【文献】特開2013-026690(JP,A)
【文献】特開2010-067831(JP,A)
【文献】特開平07-058704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/116
H05B 47/00
H04B 10/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明負荷を通る駆動電流を変調するための電流変調器回路であり、
データ入力信号に基づいて前記照明負荷の光出力を変調するための電流変調要素であって、前記照明負荷と直列に接続されるよう適合される電流変調要素と、
前記電流変調要素を制御し、それによって、前記照明負荷を通る電流の変調を実施するためのフィードバックシステムとを有する電流変調器回路であって、前記フィードバックシステムが、
前記電流変調要素の両端の電圧を入力として持つ第1フィードバック制御経路であって、前記電流変調要素の両端の測定電圧を基準電圧と比較するための比較器構成、及び前記比較器構成の出力と前記電流変調要素の制御入力との間のローパスフィルタを有する第1フィードバック制御経路と、
前記データ入力信号を入力として持つ第2フィードバック制御経路とを有する電流変調器回路。
【請求項2】
前記電流変調要素が、トランジスタを含む請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記測定電圧が、前記電流変調要素の両端の平均電圧である請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記測定電圧が、前記電流変調要素の両端の最小ピーク電圧である請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記電流変調要素が、トランジスタを含み、前記基準電圧が、前記トランジスタが飽和限界で動作するように選択される請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記データ入力信号が、前記ローパスフィルタの1つの端子に供給される請求項1に記載の回路。
【請求項7】
前記第2フィードバック制御経路が、前記電流変調要素を通る電流の測定に基づき、前記電流変調要素を通る電流が、前記データ入力信号と比較され、その結果が、ハイパスフィルタを介して前記ローパスフィルタの1つの端子に供給される請求項1に記載の回路。
【請求項8】
前記ハイパスフィルタが、前記ローパスフィルタよりも高い周波数で動作する請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記第2フィードバック制御経路が、前記照明負荷の光出力の測定に基づく別の入力信号を持つ請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
照明負荷を駆動するための駆動回路であって、
第1及び第2ドライバ出力端子間に制御された電流を供給するためのドライバと、
前記第1及び第2ドライバ出力端子間に接続される出力コンデンサと、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電流変調器回路と、
照明負荷に接続するための第1及び第2駆動回路出力とを有する駆動回路。
【請求項11】
請求項10に記載の駆動回路と、
前記第1及び第2駆動回路出力間に接続され、前記駆動回路によって駆動される照明負荷とを有する照明回路。
【請求項12】
照明負荷を通る駆動電流を変調する方法であり、
電流変調要素を使用して前記照明負荷を通る電流を変調することによって前記照明負荷の光出力を変調するステップを有する方法であって、前記方法が、前記電流変調要素の両端の電圧を入力として持つ第1フィードバック制御経路と、データ入力信号を入力として受信する第2フィードバック制御経路とを有するフィードバックシステムを使用して前記電流変調要素を制御するステップを有し、前記第1フィードバック制御経路が、比較器構成を使用して前記電流変調要素の両端の測定電圧を基準電圧と比較し、ローパスフィルタを使用して前記比較器構成の出力と前記電流変調要素の制御入力との間でローパスフィルタリングをする方法。
【請求項13】
前記電流変調要素が、トランジスタを含み、前記方法が、前記第1フィードバック制御経路のための前記基準電圧を、前記トランジスタが飽和限界で動作するように設定するステップを有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2フィードバック制御経路が、前記電流変調要素を通る電流を測定し、前記電流変調要素を通る電流を前記データ入力信号と比較し、その結果を、ハイパスフィルタを介して前記ローパスフィルタの1つの端子に供給する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ハイパスフィルタが、前記ローパスフィルタよりも高い周波数で動作する請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光出力を符号化することによるデータの通信に関する。
【背景技術】
【0002】
データを送信するためにLEDが使用される可視光通信システムが知られている。LED電流の速い変化が供給され、これは変化する光出力を生じさせ、これはデータストリームを伝達する。光の変動は、如何なる視覚的な光のちらつきも回避するのに十分に高速であり得る。このやり方においては、照明構成要素は、例えば、センサデータを照明器具から中央コントローラに無線で送信するために、互いに又は中央システムコントローラと通信することができる。
【0003】
LED電流(又は他の任意の電流駆動照明負荷の電流)をデータで変調するために使用されることができる適切な回路が必要とされている。しかしながら、標準的な市販のドライバは一定のAC電流を供給する。これは、所望の変調光出力を供給するためにLEDを通る電流を変調することを困難にする。
【0004】
図1は、変調出力電流をLED負荷10に供給するための3つの可能な一般的手法を概略的な形態で示している。
【0005】
第1手法は、一般的にはスイッチモード電力変換器である主ドライバの修正された制御に基づいて電流変調を達成するものである。アナログ入力電圧「Vref」、あるいはデジタルパルス幅変調無効化信号「PWM無効化(PWM disable)」が、ドライバの出力において伝送ゲート12を制御する。これは、低速データ、例えば、スイッチモード電力変換器のスイッチング周波数に対応する20キロビット/秒未満のデータに対してうまく機能する。
【0006】
第2手法は、並列分路14を使用するものである。これは、LED電流にバイパスを供給することによってLEDをオフにする。これは、かなりの量のエネルギを浪費するおそれがある。
【0007】
第3手法は線形変調器16を使用するものである。これは、LED負荷10と直列の電流調整器として機能するトランジスタを制御することによって電流変更を供給する。これは、より電力効率の良い解決策である。
【0008】
ドライバの出力は、出力コンデンサを有する。上記の第1及び第2手法の場合は、出力コンデンサは、非常に小さくすべきであるのに対して、第3手法の場合は、出力コンデンサは、非常に大きくすべきである。
【0009】
出力電圧を供給するドライバに対する線形変調器の実装は可能である。この場合には、線形変調器は、固定電圧レール間の電流を制御するための電流制御要素として機能する。それは、例えば、制御されたソース・レイン電流を有するMOSトランジスタを含む。結果として生じる電流は、変調機能を制御するためのフィードバック制御パラメータとして使用され得る。
【0010】
しかしながら、標準的なLEDドライバは、電圧ではなく調整された電流を供給する。その場合、主ドライバで調整される出力電流と、ローカル電流制御との間には非両立性がある。
【0011】
とりわけ、電流変調トランジスタと直列の電流調節LEDドライバは制御が難しいことが知られている。この回路は、基本的に、2つの電流源、即ち、供給源であるLEDドライバと、負荷として機能する電流変調器とを直列に有する。これらの2つの電流のわずかな不一致によって、変調電流のクリッピングが生じるかもしれず、又はドライバの出力電圧の急激な増加が生じるかもしれず、これもまた、電流変調器における大幅な電力損失をもたらす。
【0012】
EP 2 547 174は、LEDにおいて一定の平均電流を維持するために電流フィードバックループがドライバに供給される第3手法による線形変調器の使用を示している。EP 2 547 174のフィードバックループは、フィードバックループにおいて変調電流が最小化されるようにローパスフィルタを有する。このようなフィードバックループは、平均電流しか考慮していないことから、ドライバの出力電圧においてあり得るドリフトを補償しない。
【0013】
US 2015/0115809において他の変調の可能性が示されているが、それらのいずれも、変調要素がLEDと直列に取り付けられるときに標準的な電流ドライバの出力における電圧ドリフトを補償する方法を示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それ故、線形変調器の効率上の利点を得ることを可能にするが、標準的な、従って、低コストの調整電流ドライバを使用することも可能にする回路設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、請求項によって規定される。
【0016】
本発明の或る態様による例によれば、照明負荷を通る駆動電流を変調するための電流変調器回路であり、
データ入力信号に基づいて前記照明負荷の光出力を変調するための電流変調要素であって、前記照明負荷と直列に接続されるよう適合される電流変調要素と、
前記電流変調要素を制御し、それによって、前記照明負荷を通る電流の変調を実施するためのフィードバックシステムとを有する電流変調器回路であって、前記フィードバックシステムが、第1フィードバック制御経路と第2フィードバック制御経路とを有する電流変調器回路が提供される。前記第1フィードバック経路は、前記電流変調要素の両端の電圧を入力として持ち、比較器構成(comparator arrangement)とローパスフィルタとを有する。前記比較器構成は、前記変調要素の両端の測定電圧を基準電圧と比較するために接続される。前記ローパスフィルタは、前記電流変調要素の出力と前記電流変調要素の制御入力との間に配置される。前記第2フィードバック制御経路は、前記データ入力信号を入力として持つ。
【0017】
この変調器回路は、2つのフィードバック制御経路を供給する。一方は、相対的に低い周波数、例えば、DCで動作し、制御は、前記電流変調要素の両端の電圧に基づく。ローパスフィルタリングによって得られる平均DC電圧は、前記ドライバの出力における平均電圧を表わす。従って、この電圧フィードバックは、前記電流変調要素の一般的な定常状態動作条件を安定させる。前記第2フィードバック経路は、前記データ変調を供給する。このやり方においては、前記変調電流において、電圧ドリフトを防止するために前記ドライバによって供給される一定の入力電流に合うよう補償がなされ得る。
【0018】
前記電流変調要素は、例えば、(MOSFET、他のタイプのFET若しくは他のタイプのトランジスタなどの)トランジスタ又は任意の他の制御可能な半導体デバイスを含む。
【0019】
前記電流変調要素の両端の電圧に基づくフィードバックは、前記電流変調要素を明確に規定された動作モードに保つと同時に損失を低く抑えることを目的とする。
【0020】
電流変調回路への供給電流と前記電流変調素子を通る平均電流との間の誤差は、前記電流変調回路の動作電圧と照明負荷電圧との間の電圧差として積分時間(integrated time)にわたって測定されることができる。電圧降下は、前記平均電流及び前記変調電流を調整するためのヘッドルーム(headroom)を前記電流変調要素に供給する。小さすぎる電圧ヘッドルームは、前記変調電流が劣化させ、高すぎるヘッドルーム電圧は、過大な電力損失がもたらすだろう。
【0021】
他の例においては、両方とも前記電流変調要素の動作に影響を及ぼす電流強度の制御及び/又は(典型的には電解)コンデンサの経年変化(静電容量の減少は電圧のピークツーピーク振幅を増大させる)に基づく調光を許容するために、最低電圧が、監視され、フィードバック信号として使用されることができる。このやり方においては、前記電流変調要素の両端の電圧は、前記照明負荷の特性に依存する動的な値をとる。
【0022】
従って、本発明は、前記電流変調要素の低周波(例えば、DC平均)電圧を制御すること、又はピーク(例えば、最小)電圧を基準制御電圧と等しくなるよう制御することに基づいている。(前記電流変調要素を通る電流と等しい)前記LED負荷を通るAC(高周波)電流は、変調データ信号に比例して制御される。
【0023】
前記第1フィードバック制御経路(例えば、DC制御ループ)は、例えば、前記電流変調要素の両端の電圧を測定し、基準電圧の方へ調整するために、例えば、積分機能及び比例積分制御を含む、演算増幅器を有する。上述のように、前記測定電圧は、例えば、前記電流変調要素の両端の平均電圧である、又は前記測定電圧は、前記電流変調要素の両端のピーク電圧、とりわけ、前記電流変調要素の両端の最小ピーク電圧であってもよい。
【0024】
前記電流変調要素の両端の平均電圧降下の要件は、平均電流及び変調度だけでなく、(照明負荷のタイプによって異なる)前記照明負荷のV-I特性、並びに直列及び並列の照明要素の数などの前記照明負荷の構成にも強く依存する。
【0025】
前記最小ピーク電圧は、前記電流変調要素によって供給される前記ヘッドルームの尺度を供給する。これが低レベルにあることを確実にすることにより、前記システムの効率が、低損失を維持することによって改善される。
【0026】
例として、LEDのESR(等価直列抵抗)は、前記駆動電流に依存する。典型的には、前記ESRは、より低い電流レベルにおいては、例えば、照明器具を減光するときには、増加する。変調効率を最適化は、変調器の両端の最小平均電圧降下を必要とし、変調信号が歪まないことを確実にするためには前記変調器の両端の最小電圧が必要とされる。前記変調器が前記照明負荷のタイプ及び構成に対して適応性があるためには、前記駆動電流は、効率を改善するためにその平均電圧降下を適応させる能力が必要である。このため、前記変調器の両端の平均電圧降下を動的なやり方で制御するための良い入力信号は、実際には、(前記変調器が決して飽和しないような)前記変調器の両端の最小電圧である。
【0027】
前記電流変調要素は、例えば、上で説明したようなトランジスタを含み、その場合、前記基準電圧は、前記トランジスタが、線形モードで動作するが、飽和限界の近くで動作するように選択される。これは、前記回路の効率的な動作を供給する。
【0028】
前記フィードバックシステムは、前記電流変調要素の出力と前記電流変調要素の制御入力との間にフィルタを含み得る。これは、流れるDC電流に基づく制御を可能にするために使用される。この目的のために、前記フィルタは、例えば、ローパスフィルタを含む。前記ローパスフィルタは、比例積分フィルタとして実施されてもよい。
【0029】
前記データ入力信号は、前記フィルタの或る端子に供給されてもよい。これは、結合(joint)高周波(AC)及び低周波(DC)制御ループを供給する。前記第1(DC)フィードバック制御経路は、前記電流変調要素に関連する電圧に基づき、前記第2(AC)フィードバック制御経路は、前記データ入力信号を注入することによって実施される。これは、閉ループAC制御を供給する。
【0030】
他の例においては、AC制御ループは、前記電流変調トランジスタを通る電流の測定に基づいてもよく、前記電流変調トランジスタを通る電流は、前記データ入力信号と比較され、その結果は、ハイパスフィルタを介して前記ローパスフィルタの或る端子に供給される。前記ハイパスフィルタは、前記ローパスフィルタよりも高い周波数で動作する。
【0031】
これは、低周波フィードバック制御経路及び高周波フィードバック制御経路のために別々の閉ループAC制御ループ及び閉ループDC制御ループを供給する。
【0032】
前記AC制御ループは、更に、前記LED負荷の光出力の測定に基づく入力信号を含んでもよい。これは、様々な光学効率を考慮に入れることを可能にする。
【0033】
前記変調器は、通常、一段LEDドライバの出力に現れる主電源リップルを抑えるように設計されることもできる。そうするために、前記LED電流は、測定され、フィルタを介して供給され、次いで、変調器入力信号に加えられることができる。
【0034】
本発明は、照明負荷を駆動するための駆動回路であって、
第1及び第2ドライバ出力端子間に制御された電流を供給するためのドライバと、
前記第1及び第2ドライバ出力端子間に接続される出力コンデンサと、
上で規定されているような電流変調器回路と、
照明負荷に接続するための第1及び第2駆動回路出力とを有する駆動回路も提供する。
【0035】
この回路は、前記ドライバからの出力電流と前記照明負荷を通る電流とが短い時間スケールでは異なることを可能にするためにコンデンサを利用するが、長期にわたる平均電流は同じである。従って、前記電流変調要素は、前記ドライバによって供給される電流と等しい平均電流を供給する。変動は、前記平均電流の上に重畳される変調電流である。前記フィードバックシステムは、前記平均電流が等しいままであることを確実にする。
【0036】
前記第1フィードバック制御経路は、前記電流変調要素の動作点を設定し、長期にわたって全体的なドライバ電流と照明負荷積分電流との間の整合を供給する。前記第2フィードバック制御経路は、前記データ変調を実施し、前記ドライバ電流と前記照明負荷電流との間の変動は、前記コンデンサへの及び前記コンデンサからの電荷の流れをもたらす。
【0037】
本発明は、
上で規定されているような駆動回路と、
前記駆動回路によって駆動される照明負荷とを有する照明回路も提供する。
【0038】
前記照明負荷は、好ましくは、直列及び/又は並列のLEDを含むLED装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここで、添付図面を参照して、本発明の例を詳細に説明する。
図1】変調出力電流をLED負荷に供給するための3つの可能な一般的な従来技術の手法を概略的な形態で示す。
図2】光変調を適用するための駆動回路の第1設計を示す。
図3】2つの制御ループを備える別の設計を示す。
図4】回路の動作をシミュレートすることを可能にする回路モデルを示す。
図5】シミュレーション結果を示す。
図6A図3の回路の実施例をより詳細に示す。
図6B図3の回路の実施例をより詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、例えば、LED装置のような照明負荷を駆動するための駆動回路用の、電流変調回路を提供する。電流変調要素が、照明負荷と直列に設けられ、データ入力信号に基づいて電流を変調する。フィードバックシステムが、電流変調要素を制御し、前記フィードバックシステムは、電流変調要素の両端の電圧を使用する第1フィードバック制御経路と、データ入力信号を使用する第2フィードバック制御経路とを有する。電流における差異は、ドライバの出力にあるコンデンサによって吸収される。電圧フィードバックは、平均電流をドライバによって出力される電流の近くに維持しながら、ドライバの出力におけるコンデンサの両端の電圧のドリフトを回避するために使用される。
【0041】
図2は、LED負荷22のような照明負荷を駆動するための駆動回路20を示している。駆動回路20は、LED負荷22を除く図2において示されている全ての部品である。
【0042】
LEDドライバは、電流源24として示されており、電流源24は、第1及び第2ドライバ出力端子26、28間に制御された電流を供給する(典型的にはスイッチモード)電源を表している。これらの出力端子は、LED負荷に供給される電流を制御するための電流変調器回路に接続する。
【0043】
第1及び第2ドライバ出力端子26、28の間には出力コンデンサ30が接続され、出力コンデンサ30は、負荷電流が変化する間もドライバ出力電流が一定になり得るように電流を吸収又は供給する。
【0044】
回路20は、LED負荷22に接続するための第1及び第2駆動回路出力32、34を有する。
【0045】
バイポーラトランジスタなどのトランジスタ、又は電界効果トランジスタ、とりわけ、MOSFETの形態の電流変調要素36が、LED負荷22と直列に接続される。電流変調要素36は、データ入力信号Vdataに基づいてLED負荷22の光出力を変調するために設けられる。第1駆動回路出力32は、第1ドライバ出力端子26に接続され、第2駆動回路出力34は、電流変調トランジスタ36を介して第2ドライバ出力端子28に接続される。(代わりに、端子28が、「第1」ドライバ出力端子であるとみなされ得るように)代わりに、トランジスタ36はハイサイドにあってもよい。
【0046】
フィードバックシステム38は、電流変調トランジスタ36を制御し、それによって、LED負荷22を通る電流の変調を実施するために設けられる。フィードバックシステム38は、電流変調トランジスタ36の両端の電圧の第1入力Vmodと、データ入力信号Vdataの第2入力とを有する。これらの2つの入力は、異なる周波数で動作する別々のフィードバック制御経路を実施する。一方の制御経路は、低周波定常状態制御経路であり、他方の制御経路は、高周波データ変調制御経路である。
【0047】
トランジスタ36の動作範囲は、例えば、トランジスタのソース・ドレイン間の平均電圧を制御することによって、保証される。LEDドライバ24の供給電流とトランジスタ36を通る平均電流との間の電流差は、LEDドライバ出力26、28間の電圧差及びLED電圧に基づいて経時的に監視される。
【0048】
トランジスタ36の両端の電圧降下は、平均電流と変調電流との両方を調整するためのヘッドルームをトランジスタに供給する。小さすぎる電圧ヘッドルームは、変調電流が劣化させ、高すぎるヘッドルーム電圧は、過大な電力損失がもたらすだろう。
【0049】
トランジスタを通る(平均電流から生じる)平均電圧を監視する代わりに、最大電流から生じる電圧が監視されてもよい。これは最低電圧に対応する。これはシステムが電流強度調光を許容することを可能にし、電流調光は平均電圧をシフトダウンする。同様に、電解コンデンサ30の経年変化が補償され得る。これらは両方ともトランジスタの動作に影響を与える。
【0050】
フィードバックシステム38は、(トランジスタの両端の電圧Vmodにおける)ゆっくりとした平均電圧変化のみがフィードバックパラメータとして使用されるように、フィルタ40、とりわけ、ローパスフィルタを含む。ローパスフィルタは、比例積分(PI)フィルタを含み得る。フィルタは、電流変調トランジスタ36の出力(例えば、ドレイン)と、電流変調トランジスタ36の制御入力(例えば、ゲート)との間にある。
【0051】
図2の回路は、2つのフィードバック制御経路を兼ね備える単一のループを有する。フィルタ40が、DCフィードバック制御経路を実施し、データ入力信号Vdataが、フィルタの或る端子に供給され、それによって、単一のループにAC制御経路を追加する。制御ループにおいて、測定電圧Vmodと基準電圧Vrefとの間の第1差分電圧が、(Vmodに対する負の入力を備える、即ち、演算増幅器を使用して実施される減算器/比較器)加算器を使用して生成され、制御ループにデータ電圧Vdataが加えられる。
【0052】
代わりに、ACフィードバック制御経路(Vdata)及びDCフィードバック制御経路(Vref)を実施するための2つの別個の制御ループが存在してもよい。
【0053】
図3は、2つのフィードバック制御経路のために2つの制御ループを備える別の設計を示している。
【0054】
DC制御ループは、上で説明したようにローパスフィルタ40を含む。
【0055】
AC制御ループは、トランジスタ36及びLED負荷22と直列の電流検出抵抗器42を用いた電流変調トランジスタ36を通る電流の測定に基づく。電流変調トランジスタ36を通る電流に基づく信号(とりわけ、電流検出抵抗器の両端の電圧)が、データ入力信号Vdataと比較され、その結果が、ハイパスフィルタ44を介してローパスフィルタの或る端子に供給される。
【0056】
DC制御ループにおいては、測定電圧Vmodと基準電圧Vrefとの間の第1差分電圧が、(Vmodに対する負の入力を備える、即ち、演算増幅器を使用して実施される減算器/比較器)加算器を使用して生成される。AC制御ループにおいては、抵抗器42の両端の検出電圧とデータ電圧との間の第2差分電圧が、(抵抗器電圧に対する負の入力を備える、即ち、演算増幅器を使用して実施される減算器/比較器)第2加算器を使用して生成される。次いで、ハイパスフィルタ処理された結果が、DC制御ループに加えられる。
【0057】
従って、AC制御経路は、変調信号をトランジスタの制御入力に直接結合し、それによって、開ループフィードフォワード制御を供給することによって(図2)、又は実際のトランジスタ又はLED負荷電流と変調信号を比較するフィードバックループを使用し、ハイパスフィルタを備えるフィードバックループを介して差を供給することによって(図3)、実施され得る。ハイパスフィルタは、DCをブロックする。
【0058】
高速データ用の開ループ制御と低周波数データ(約100Hz乃至300Hz)用の閉ループとの組み合わせも、主電力ドライバに起因するちらつきを減らすために使用され得る。例えば、測定LED電流が、フィルタを介して供給され、次いで、変調器入力信号に加えられてもよい。
【0059】
DC制御ループは、損失を低く抑えると同時にトランジスタを明確に規定された動作モードに保つ、例えば、線形モードで動作するが、低損失のために飽和点の近くで動作する。
【0060】
トランジスタは、線形モードで動作することによって、制御可能な電流源として機能する。例えば、トランジスタの両端の電圧が増加する場合には、ドライバ電流のより多くの部分がコンデンサに流れ込み、従って、LEDを流れる電流は少なくなる。
【0061】
基準電圧Vrefは、一定の電圧レベルであり得る。しかしながら、基準電圧は、LED負荷の光出力の所望の変調度を可能にするためのちょうど十分な大きさであることを確実にするよう適応可能であってもよい。例えば、変調器は、未知の個数のLED、又はドライバからの可変電流に自動的に適応し、可変変調度を実施することを可能にすることができる。この手法は、下で図6を参照して詳細に説明される。
【0062】
所与の変調度(即ち、ベース信号と比較した変調信号の相対サイズ)を供給するためにトランジスタが取り扱うべき電圧マージンは、トランジスタと直列のLEDの数に線形に依存する。電圧マージンは、電流強度にも線形に依存し、これは、例えば、調光可能なドライバに関連する。最後に、電圧マージンは、変調度にも線形に依存する。
【0063】
基準電圧Vrefの自動コンフィギュレーションを供給するために、ACフィードバックループは、LED光出力の測定値も使用し得る。この場合には、LED出力の非線形性も考慮に入れられ得る。データ変調がない長期間の間、トランジスタの両端の電圧は、ほぼゼロまでゆっくり減らされることができる。これは、変調が適用されないときの変調器の損失を制限する。
【0064】
トランジスタのドレイン(又はコレクタ)における最小ピーク電圧がフィードバックパラメータとして使用される場合には、代わりに、DCフィードバックループによって、変調がない長期間の間のトランジスタの両端の電圧の低減及び基準電圧の自動調節が達成され得る。
【0065】
基準電圧Vrefは、異なる駆動電流、LED、及びLED構成に従って設定されることができるように動的に調節可能であってもよい。一定の出力及び一定のLED照明器具の場合は、Vrefは、一定値に設定され得る。
【0066】
最も効率的な変調回路を得るためには、トランジスタの両端の電圧降下が可能な限り低くなければならない。必要な電圧振幅(voltage swing)は、LEDの数、電流強度及び変調度に依存する。しかしながら、トランジスタが適切に機能するためには、前記トランジスタのドレイン(又はコレクタ)電圧が、決して0V近くに到達しない(又は実際には、ドレイン・ソース(若しくはエミッタ・コレクタ)電圧とドレイン(若しくはエミッタ)回路内の検出抵抗器における電圧との合計がゼロ近くまで低下しない)ことを確実にすれば十分である。
【0067】
ソース(又はエミッタ)における最小電圧を測定する回路は、この最小ピーク電圧を基準Vrefに調整するフィードバックループを設けることによって、この制御を可能にする。このやり方においては、トランジスタの飽和を回避しながら、LEDの数、電流強度及び変調度におけるあらゆる変動に対して最適な効率が保証される。
【0068】
上記の回路においては、トランジスタは、アナログ方式で制御され、アナログ制御可能な電流源として機能する。しかしながら、トランジスタは、代わりに、速いスイッチング速度でハードオン・オフモード(hard on-off mode)で動作されてもよい。トランジスタは、このやり方においては、パルス幅変調を実施し得る。その場合、AC及びDC制御ループは、スイッチング速度を十分に下回る周波数で動作され得る。AC制御ループはまた、PWM信号をフィルタ処理するだろう。
【0069】
例として、16kHzでのパルススイッチ変調を備える符号化光注入器回路の場合は、AC制御ループは、数百Hzから数kHz(及び16kHz未満)までの通過帯域を有するべきである。
【0070】
AC制御ループはまた、主電源周波数の2倍の周波数、即ち、100Hz又は120HzでLED電流を制御してもよい。その場合には、主ドライバからのリップルが減らされる。この回路は、その場合、リップル低減回路として使用され得る。
【0071】
回路の動作がシミュレートされた。図4は、シミュレートされた回路を示している。
【0072】
LEDドライバ24は、理想的な電流源I1、ダイオードD2及び電圧源V1によって実現される過電圧保護、出力ダイオードD3並びに出力コンデンサC1としてシミュレートされている。
【0073】
符号化光注入器は、入力コンデンサ30(C2)、トランジスタ36(Q1)及び電流検出抵抗器42(R42)を有する。
【0074】
電圧Vmodのローパスフィルタ処理されたものが、VCTRLとして供給され、検出電流(I_DC)とデータ入力との比較結果のハイパスフィルタ処理されたものが、VCTRL2として供給される。それらは、トランジスタ36のゲートにおいて合計される。
【0075】
図5は、シミュレーション結果を示している。一番上のグラフは、LED電力を示している。2番目のグラフは、変調トランジスタQ1内の電力損失を示している。3番目のグラフは、データ入力を示しており、一番下のグラフは、LED電流を示している。
【0076】
これらのシミュレーション結果は、39,326Wの平均LED電力と比較して変調トランジスタにおいて0,305Wの電力損失を伴う700mAの平均LED電流を示している。ドライバによって供給される電力は40Wである。シミュレーションは、回路がどれだけ効率的に動作することができるかを裏付けている。
【0077】
図6は、電流変調要素の両端の最小電圧の検出を利用する回路の第2例を示している。
【0078】
図6Aは、
振幅変調回路60と、
電流調整回路62と、
負帰還経路64と、
平均電流設定回路66と、
LED電流検出回路68と、
平均ドレイン電圧検出回路70とを示している。
【0079】
図6Aの回路は、X及びYとして示されているノードにおいて図6Bの回路に接続する。図6Bは、最小ピーク検出器72を示している。
【0080】
図6AにおけるトランジスタM1は、変調トランジスタである。LED電流は、電流検出回路68の抵抗器R16を介して検出され、平均電流設定回路66内のローパスフィルタR14及びC2を介して平均される。C2の両端の電圧が、平均LED電流を表わし、電流調整ユニット62内の演算増幅器U1の「+」入力に供給される。
【0081】
瞬時LED電流は、LED電流検出回路内のR10及びR16(R10は0オームであり得る)を介して検出される。この信号は、電流調整ユニット62内の演算増幅器U1の「-」入力に供給される。このやり方においては、誤差信号(「+」と「-」との間の差分電圧)が、LED電流のAC成分である。演算増幅器U1及びその帰還コンデンサC10は、PIコントローラを形成する。誤差信号は、積分され、演算増幅器U1の出力は、変調トランジスタM1に駆動信号を供給する。
【0082】
トランジスタM1のドレイン電圧は、平均ドレイン電圧検出回路70内の分圧器R7及びR8を介して検出される。この電圧は、次いで、平均電流設定回路66内のC2及びR5によって平均される。それ故、平均ドレイン電圧のみがフィードバック回路に加えられる。これは、反応の遅いループである。
【0083】
データ変調は、振幅変調回路60内のコンデンサC9のAC結合を介して演算増幅器U1の「-」入力に注入される。これは、瞬時電流検出値にデータ変調を加える。これは閉ループ変調である。抵抗器R27は変調度を決定する。
【0084】
フィードバックループは、フィードバックループ64の帯域幅の適切な調整を介して高周波数変調(データ)を通過させながら、ループ66内のローパスフィルタにより低周波数変調(例えば、LEDドライバからの100Hzリップル)を抑えるだろう。このやり方においては、低周波リップルは、変調器によって除去され、LED電流は、低周波リップルを含まず、もっと正確に言えば、高周波変調データしか含まないだろう。
【0085】
回路は、図6Bにおいて示されている最小ピーク検出器も含む。この回路は、反応の速い回路を介してドレイン電圧の谷を検出する。ドレイン電圧は、D5及びR9を介してコンデンサC7を充電する。この回路は長い時定数を持つ。更に、Vcc電圧も、C7を充電し、C7を高レベルに保とうとする。C7の放電は、直接D2を介して行われ、従って、ずっと速い時定数を持つ。このやり方においては、C7の両端の電圧は、トランジスタM1のドレインの谷電圧(即ち、最小ピーク)を表わすだろう。この信号は、更に、R13、R6、C8及びD10によってフィルタ処理される。コンデンサC8における電圧は、ドレインの最小ピーク電圧を表わすクリーンな信号である。
【0086】
演算増幅器U2は、最小ピークを分圧器R15及びR19によって供給される(一定の)設定値(setpoint)と比較する。U2の出力は、U1の「+」入力ノードに注入される。このやり方においては、フィードバックループは、ドレイン電圧の最小ピークを一定のレベルに維持するだろう。このやり方においては、平均ドレイン電圧は、動的なやり方で制御され、LED電流、LEDのタイプ、変調度、電解静電容量(electrolytic capacitance)及び寿命(age)などに依存する。
【0087】
この回路は、代わりに最小谷電流の検出を使用し、これを一定レベルに設定することによって、電流変調トランジスタの両端の電圧がどのように動的なやり方で効率的に制御されるかを示している。
【0088】
図6の回路の基本原理は、図4の場合と同じである。信号の加算及び減算は、演算増幅器U1の入力において実施される。図6においては、データ変調は、演算増幅器の「-」入力に注入される。このため、データ信号は最初に反転される。
【0089】
本発明は、一般に、所謂符号化光及び所謂LiFiのようなデータが光を介して変調される照明用途に関連する。例えば、屋内測位システムは、符号化可視光通信を利用し得る。
【0090】
本発明は、代わりに、低コストのドライバ又は安定器のエネルギ効率の良い電流リップル低減を可能にする。
【0091】
当業者は、請求項に記載の発明を実施する際に、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。単に、特定の手段が、互いに異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B