(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】除菌装置、照明兼除菌設備、及び除菌装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20220708BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20220708BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20220708BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61L9/00 C
B01J35/02 J
A61L9/18
A61L9/20
(21)【出願番号】P 2020136748
(22)【出願日】2020-08-13
【審査請求日】2020-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】598147053
【氏名又は名称】株式会社 船場
(73)【特許権者】
【識別番号】518199621
【氏名又は名称】カルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】神戸 暁
(72)【発明者】
【氏名】炭谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 利芳
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 晃子
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-052797(JP,A)
【文献】特開2016-058171(JP,A)
【文献】中国実用新案第203540331(CN,U)
【文献】国際公開第2019/193825(WO,A1)
【文献】特開2016-048683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B01J 35/02-35/10
F21V 21/00-21/40
F21V 23/00-23/06
F21V 29/67
F21V 33/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポットライトが使用される場所で使用される除菌装置であって、
筒状の筐体と、
該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、
前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、
前記光触媒部材に光を照射するための光源と、
前記筐体を支持し、前記スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられる支持具と
を備え、
前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源は、前記筐体に内蔵されており、
前記筐体は、
前記支持具に支持され、前記送風機及び前記光源が内蔵されている第1の筒体と、
該第1の筒体に分離可能に連結され、前記光触媒部材が内蔵されている第2の筒体と
を備えることを特徴とする除菌装置。
【請求項2】
前記光源は可視光又は紫外線を発し、
前記光源が発した可視光をそのまま前記筐体の外側に透過させるか、又は、前記光源が発した紫外線を可視光に変換してから前記筐体の外側に透過させる透光体を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の除菌装置。
【請求項3】
複数の前記光源が前記筐体の周方向に並んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の除菌装置。
【請求項4】
前記支持具は、
前記筐体に取り付けられる支持具本体と、
該支持具本体に着脱可能に装着され、前記取り付け位置に取り付けられる装着部と
を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の除菌装置。
【請求項5】
前記筐体の前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光触媒部材よりも下流側に空気絞りが内蔵されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の除菌装置。
【請求項6】
可視光を発する光源が内蔵された筒状の筐体、及び該筐体を支持する支持具を有するスポットライトと、
請求項1から5の何れか一項に記載の除菌装置と、
前記スポットライト及び前記除菌装置夫々の前記支持具が取り付けられ、前記スポットライト及び前記除菌装置に給電するための給電部材が配線される配線レールと
を備えることを特徴とする照明兼除菌設備。
【請求項7】
前記スポットライト及び前記除菌装置夫々の前記筐体の色が互いに同じであり、
前記スポットライト及び前記除菌装置夫々の前記支持具の形状及び色が互いに同じであることを特徴とする請求項6に記載の照明兼除菌設備。
【請求項8】
筒状の筐体と、
該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、
前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、
前記光触媒部材に光を照射するための光源と、
前記筐体を支持し、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられる支持具と
を備え、
前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源が前記筐体に内蔵されており、
前記筐体は、
前記支持具に支持され、前記送風機及び前記光源が内蔵されている第1の筒体と、
該第1の筒体に分離可能に連結され、前記光触媒部材が内蔵されている第2の筒体と
を備える除菌装置を準備し、
複数のスポットライト夫々が前記取り付け位置に取り付けてある場所にて、
複数の前記スポットライトの内の一部を前記取り付け位置から取り外し、
前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付けることによって前記除菌装置を設置することを特徴とする除菌装置の設置方法。
【請求項9】
筒状の筐体と、
該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、
前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、
前記光触媒部材に光を照射するための光源と、
枢軸を有し、該枢軸を中心に
傾き角度を変更可能に前記筐体を支持し、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられ、前記筐体の周面一カ所に設けられた支持具と
を備え、
前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源が前記筐体に内蔵されている除菌装置を準備し、
複数のスポットライト夫々が前記取り付け位置に取り付けてある場所にて、
複数の前記スポットライトの内の一部を前記取り付け位置から取り外し、
前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付け、前記空気の吹き出し方向が前記スポットライトの照明対象の商品方向を向くように前記筐体
の傾き角度を変更させることによって前記除菌装置を設置することを特徴とする除菌装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除菌装置、照明兼除菌設備、及び除菌装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光触媒を利用して空気を除菌する除菌装置が提案されている。特許文献1に記載の除菌装置(文中「光触媒装置」)は、筐体、光触媒部材、送風機(文中「ファン」)、及び光源(文中「LEDライト」)を備える。
筐体は矩形状をなし、各網状の2枚の光触媒部材と、送風機及び光源とを内蔵している。筐体には引っ掛け部が設けられている。使用者は、引っ掛け部に紐又はロープ等を通して、適宜の位置から除菌装置を吊り下げる。筐体の上面及び下面には吹き出し口及び吸い込み口が設けられている。
【0003】
2枚の光触媒部材は、互いに適長離隔して前後に向かい合う。光源が発した光は2枚の光触媒部材に照射される。光触媒部材に光が照射されることによって活性酸素が生じ、空気に含まれている雑菌が活性酸素によって分解除去される。
送風機の送風により、吸い込み口から吸い込まれた空気が2枚の光触媒部材の間を流れて除菌され、吹き出し口から吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば商業施設(スーパーマーケット又はデパート等)において除菌装置が使用された場合、空気が除菌されているという安心感を来客に与えることができる。特許文献1に記載の除菌装置の場合、商業施設の壁、又は陳列什器等から除菌装置を吊り下げることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載の除菌装置は矩形状の筐体を備えており、商業施設の内装又は雰囲気等によっては、見る者に違和感を与えかねない。
とはいえ、除菌装置を目隠しした場合、空気が除菌されていない、と来客が誤解する虞がある。
【0006】
本開示の目的は、設置場所の外観に調和しやすい除菌装置、照明兼除菌設備、及び除菌装置の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る除菌装置は、スポットライトが使用される場所で使用される除菌装置であって、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、前記筐体を支持し、前記スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられる支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源は、前記筐体に内蔵されていることを特徴とする。
本開示に係る除菌装置は、スポットライトが使用される場所で使用される除菌装置であって、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、前記筐体を支持し、前記スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられる支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源は、前記筐体に内蔵されており、前記筐体は、前記支持具に支持され、前記送風機及び前記光源が内蔵されている第1の筒体と、該第1の筒体に分離可能に連結され、前記光触媒部材が内蔵されている第2の筒体とを備えることを特徴とする。
【0008】
本開示にあっては、筐体が筒状をなす。
光源が発した光が光触媒部材に照射され、光触媒部材の周囲に活性酸素が生じる。
送風機が送風することによって、筐体の一方の開口から吸い込まれた空気が筐体の内側を通流する。筐体の内側を通流する空気は、光触媒部材に接触し、光触媒部材の周囲に生じた活性酸素によって除菌される。除菌された空気は、筐体の他方の開口から吹き出す。
【0009】
送風機、光触媒部材、及び光源は筐体に内蔵されているので、除菌装置の外観は、支持具に支持された筒状をなす。故に、除菌装置の外観を、筒状の筐体と筐体の支持具とを備える一般的なスポットライトの外観に似せることができる。
【0010】
スポットライトが使用される場所(例えば商業施設)で、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置(例えば商業施設の天井、又は天井に吊り下げ支持された配線レール)に、支持具が取り付けられる。すると、除菌装置がスポットライトであるかのように見える。即ち、除菌装置は設置場所の外観に調和しやすい。
設置場所の外観に調和しやすい除菌装置は見る者に違和感を与えないので、除菌装置を隠す必要がない。故に、探せば除菌装置が見つかるので、空気が除菌されていることを確認しやすい。
【0011】
本開示に係る除菌装置は、前記筐体は、前記支持具に支持され、前記送風機及び前記光源が内蔵されている第1の筒体と、該第1の筒体に分離可能に連結され、前記光触媒部材が内蔵されている第2の筒体とを備えることを特徴とする。
【0012】
本開示にあっては、第1の筒体に第2の筒体が連結されることによって、筐体が形成される。
第1の筒体には送風機及び光源が内蔵されている。即ち、給電を要する物が第1の筒体にまとめられているので、電源から送風機及び光源夫々への配線が容易である。第1の筒体は支持具に支持されるので、送風機及び光源に給電するための給電部材を、支持具に沿って配線することも可能である。
【0013】
第2の筒体には光触媒部材が内蔵されている。第2の筒体は第1の筒体から取り外すことができる。第2の筒体の取り外しの際、第1の筒体を支持具から取り外したり、支持具を取り付け位置から取り外したりする必要はない。故に、光触媒部材の交換又は洗浄等が容易である。
【0014】
本開示に係る除菌装置は、前記光源は可視光又は紫外線を発し、前記光源が発した可視光をそのまま前記筐体の外側に透過させるか、又は、前記光源が発した紫外線を可視光に変換してから前記筐体の外側に透過させる透光体を更に備えることを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、光源が可視光又は紫外線を発する。
光源が可視光を発する場合、透光体は、光源が発した可視光をそのまま筐体の外側に透過させる。光源が紫外線を発する場合、透光体は、光源が発した紫外線を可視光に変換してから筐体の外側に透過させる。
【0016】
いずれにせよ、光源が発光している場合、透光体が光っているように見える。透光体が光っているように見えるか否かは、光源が発光しているか否か、即ち、筐体から吹き出す空気が除菌されているか否かを示す。従って、筐体の外側にて除菌中であるか否かを表示するために、筐体の内側にある光源を利用することができる。
【0017】
本開示に係る除菌装置は、複数の前記光源が前記筐体の周方向に並んでいることを特徴とする。
【0018】
本開示にあっては、複数の光源が筐体の周方向に並んでいるので、光源が発する光を、筐体の周方向に満遍なく、光触媒部材に照射することができる。故に、活性酸素を筐体の周方向にわたって効果的に発生させることができる。
【0019】
本開示に係る除菌装置は、前記支持具は、前記筐体に取り付けられる支持具本体と、該支持具本体に着脱可能に装着され、前記取り付け位置に取り付けられる装着部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、支持具が支持具本体と装着部とを備える。
支持具本体は筐体に取り付けられる。装着部は支持具本体に着脱される。
支持具本体に装着された装着部が取り付け位置に取り付けられる。故に、取り付け位置の構成に応じた装着部を支持具本体に装着することによって、任意の取り付け位置に除菌装置を取り付けることができる。
【0021】
本開示に係る除菌装置は、前記筐体の前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光触媒部材よりも下流側に空気絞りが内蔵されていることを特徴とする。
【0022】
本開示にあっては、筐体に空気絞りが更に内蔵されている。空気絞りは、送風機、光触媒部材、及び光触媒部材よりも下流側に配されている。
空気絞りによって空気の流れが絞られるので、筐体から吹き出す除菌された空気を、あまり広範囲に拡散させることなく、遠くまで届かせることができる。
【0023】
本開示に係る照明兼除菌設備は、可視光を発する光源が内蔵された筒状の筐体、及び該筐体を支持する支持具を有するスポットライトと、本開示に係る除菌装置と、前記スポットライト及び前記除菌装置夫々の前記支持具が取り付けられ、前記スポットライト及び前記除菌装置に給電するための給電部材が配線される配線レールとを備えることを特徴とする。
【0024】
本開示にあっては、スポットライト及び本開示に係る除菌装置が、何れも筒状の筐体と筐体の支持具とを備える。スポットライトが使用される場所に配線レールが設けられ、配線レールにスポットライト及び除菌装置夫々の支持具が取り付けられる。故に、外観上、除菌装置がスポットライトに紛れやすいので、設置場所の外観に調和しやすい。
【0025】
除菌装置においては、配線レールから筐体に内蔵されている送風機及び光源に給電するための給電部材を、配線レールと筐体との間に介在する支持具に沿って配線することができる。同様に、スポットライトにおいても、筐体に内蔵されている光源に給電するための給電部材を支持具に沿って配線することができる。
【0026】
本開示に係る照明兼除菌設備は、前記スポットライト及び前記除菌装置夫々の前記筐体の色が互いに同じであり、前記スポットライト及び前記除菌装置夫々の前記支持具の形状及び色が互いに同じであることを特徴とする。
【0027】
本開示にあっては、スポットライトが備える筐体と除菌装置が備える筐体とが共に筒状をなす上に、色が互いに同じである。
また、スポットライトが備える支持具と除菌装置が備える支持具とが互いに同形状及び同色である。
即ち、スポットライト及び除菌装置夫々の外観が互いに類似しているので、スポットライトと除菌装置とが混在していても違和感がない。
【0028】
本開示に係る除菌装置の設置方法は、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、前記筐体を支持し、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられる支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源が前記筐体に内蔵されている除菌装置を準備し、複数のスポットライト夫々が前記取り付け位置に取り付けてある場所にて、複数の前記スポットライトの内の一部を前記取り付け位置から取り外し、前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付けることによって前記除菌装置を設置することを特徴とする。
本開示に係る除菌装置の設置方法は、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、前記筐体を支持し、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられる支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源が前記筐体に内蔵されており、前記筐体は、前記支持具に支持され、前記送風機及び前記光源が内蔵されている第1の筒体と、該第1の筒体に分離可能に連結され、前記光触媒部材が内蔵されている第2の筒体とを備える除菌装置を準備し、複数のスポットライト夫々が前記取り付け位置に取り付けてある場所にて、複数の前記スポットライトの内の一部を前記取り付け位置から取り外し、前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付けることによって前記除菌装置を設置することを特徴とする。
【0029】
本開示にあっては、複数のスポットライト夫々が取り付け位置に取り付けてある場所にて、少なくとも1つのスポットライトを本開示に係る除菌装置に取り替えることによって、照明兼除菌設備を容易に得ることができる。
本開示に係る除菌装置の設置方法は、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、枢軸を有し、該枢軸を中心に揺動可能に前記筐体を支持し、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられ、前記筐体の周面一カ所に設けられた支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源が前記筐体に内蔵されている除菌装置を準備し、複数のスポットライト夫々が前記取り付け位置に取り付けてある場所にて、複数の前記スポットライトの内の一部を前記取り付け位置から取り外し、前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付け、前記空気の吹き出し方向が前記スポットライトの照明対象の商品方向を向くように前記筐体を揺動させることによって前記除菌装置を設置することを特徴とする。
本開示に係る除菌装置の設置方法は、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、枢軸を有し、該枢軸を中心に傾き角度を変更可能に前記筐体を支持し、スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられ、前記筐体の周面一カ所に設けられた支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源が前記筐体に内蔵されている除菌装置を準備し、複数のスポットライト夫々が前記取り付け位置に取り付けてある場所にて、複数の前記スポットライトの内の一部を前記取り付け位置から取り外し、前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付け、前記空気の吹き出し方向が前記スポットライトの照明対象の商品方向を向くように前記筐体の傾き角度を変更させることによって前記除菌装置を設置することを特徴とする。
本開示に係る除菌装置は、スポットライトが使用される場所で使用される除菌装置であって、筒状の筐体と、該筐体の一方の開口から前記筐体の内側に吸い込まれた空気が前記筐体の他方の開口から吹き出すように送風する送風機と、前記筐体の内側を通流する空気が接触する光触媒部材と、前記光触媒部材に光を照射するための光源と、枢軸を有し、該枢軸を中心に揺動可能に前記筐体を支持し、前記スポットライトを取り付け可能な取り付け位置に取り付けられ、前記筐体の周面一カ所に設けられた支持具とを備え、前記送風機、前記光触媒部材、及び前記光源は、前記筐体に内蔵されており、前記スポットライトが取り外された前記取り付け位置に前記支持具を取り付けた場合に前記筐体を揺動させることにより、前記空気の吹き出し方向が前記スポットライトの照明対象の商品方向を向くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本開示の除菌装置、照明兼除菌設備、及び除菌装置の設置方法によれば、除菌装置が設置場所の外観に調和しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1に係る除菌装置の斜視図である。
【
図5】実施の形態2に係る除菌装置の分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0033】
実施の形態 1.
図1は、実施の形態1に係る除菌装置の斜視図である。
図2は、除菌装置の側面図である。
図中1は除菌装置であり、除菌装置1は、筐体2と、支持具3とを備える。
筐体2は円筒状をなす。
以下では、筐体2の一方の開口を吸い込み口2aといい、筐体2の他方の開口を吹き出し口2bという。
筐体2は4つの筒体21~24を備える。
【0034】
図3は、除菌装置1の分解斜視図である。
図3においては、除菌装置1の一部を破断して示す。
図2及び
図3に示すように、筒体21の一端の開口は吸い込み口2aである。
筒体21の他端の外周面には雄ネジが設けられている。
筒体21の内周面にはガード部材211が固定されている。ガード部材211は、吸い込み口2aから筐体2の内側に異物(例えば虫)が侵入することを防止する。ガード部材211は、筐体2の内側への空気の流入を妨げない。ガード部材211は、例えばガラリである。
【0035】
筒体22(第1の筒体)の内周面には送風機221及び光源部材222が固定されている。光源部材222と送風機221とは筒体22の軸長方向に適長離隔して互いに隣り合っている。
送風機221はプロペラファンであり、筒体22に同軸に配されている。送風機221は、筒体22の送風機221側の開口から筒体22の光源部材222側の開口に向けて送風する。
【0036】
光源部材222は、帯状の配線基板と、配線基板の一面に実装されたLED223(光源)とを備える。複数のLED223が、光源部材222の長さ方向に並んでいる。
図3には、LED223が光源部材222の幅方向にも並んでいる場合が図示されている。光源部材222は筒体22の全周にわたって延びている。LED223が実装された面は筒体22の軸心に向けられている。
LED223は可視光又は紫外線を発する。
【0037】
筒体22の送風機221側の一端の内周面には、筒体22の雄ネジが螺合可能な雌ネジが設けられている。
筒体22の光源部材222側の他端の外周面には、筒体22の雄ネジと同様の雄ネジが設けられている。
【0038】
筒体22の外周面には透光体224が設けられている(
図1及び
図2参照)。透光体224は筒体22の全周にわたる環状をなし、例えばアクリル樹脂製である。
筒体22には筒体22の周方向に延びるスリット225が設けられている。複数本のスリット225が筒体22の周方向に並んでいる。筒体22の外周面におけるスリット225の開口は透光体224によって閉鎖されている。
LED223が発する光の一部は、スリット225を通って透光体224に入射する。
【0039】
LED223が可視光を発する場合、筒体22の内側から透光体224に入射した可視光は、そのまま透光体224を透過し、筒体22の外側に出射する。
LED223が紫外線を発する場合、例えば紫外線を吸収して可視光を発する粒子状の蛍光体が透光体224に含まれている。筒体22の内側から透光体224に入射した紫外線は、可視光に変換されて透光体224を透過し、筒体22の外側に出射する。
【0040】
なお、LED223が紫外線と共に可視光も発する場合、各スリット225に、可視光を透過させて紫外線を透過させない光学フィルタが配されていてもよい。この場合、透光体224に前述の蛍光体が含まれている必要はない。
【0041】
筒体23(第2の筒体)の内周面には光触媒部材231が固定されている。光触媒部材231は光触媒機能を有し、且つ、空気の通流を妨げない。例えば、光触媒部材231は、筒体23に内嵌めされた円筒と、この円筒の両端の開口を覆う網とを備える。この円筒及び網が粒子状の光触媒を担持しているか、又は、この円筒及び網が光触媒製である。
光触媒部材231は、可視光又は紫外線を受けて活性化される。活性化した光触媒部材231は、空気中の酸素及び水から活性酸素を発生させる。LED223は、光触媒部材231を活性化させる光を発する。
【0042】
筒体23の一端の内周面には、筒体22の雌ネジと同様の雌ネジが設けられている。
筒体23の他端の外周面には、筒体22の雄ネジと同様の雄ネジが設けられている。
【0043】
筒体24の一端の内周面には、筒体22の雌ネジと同様の雌ネジが設けられている。
筒体24の他端の開口は吹き出し口2bである。
筒体24の内周面には整流格子241が固定されている。整流格子241は空気の流れを整流する。
【0044】
筒体21,22は、雄ネジと雌ネジとの螺合によって、互いに連結される。同様に、筒体22,23(及び筒体23,24)は、雄ネジと雌ネジとの螺合によって、互いに連結される。筒体21~24が、この順に並ぶようにして互いに連結されることによって、筐体2が形成される(
図1及び
図2参照)。
ガード部材211、送風機221、光源部材222、光触媒部材231、及び整流格子241は、吸い込み口2aから吹き出し口2bに向けて、この順に並んでいる。
【0045】
図1~
図3に示すように、支持具3は、支持具本体31及び装着部32を備える。
支持具本体31は、アーム311、固定体312、及び枢軸313を備える。
アーム311は直棒状をなす。アーム311の一端部は二股に分かれている。
固定体312は、一部がアーム311から突出するようにして、アーム311の二股部分に挟まれている。固定体312のアーム311からの突出部分は、筐体2の筒体21に固定(例えば溶接)されている。
なお、支持具本体31ではなく筒体21が固定体312を備えていてもよい。この場合、固定体312は、例えば筒体21の形成時に筒体21に一体に設けられる。
【0046】
枢軸313は、アーム311の二股部分及び固定体312を、アーム311の長さ方向に垂直に貫通している。枢軸313の軸長方向は、筐体2の軸長方向に直交している。固定体312は、枢軸313を中心に所定の範囲で揺動可能である。固定体312が筒体21に固定されているので、筐体2の傾き角度は枢軸313を中心に変更可能である。筐体2の傾き角度は、例えば固定体312とアーム311及び枢軸313との摩擦によって保持される。
【0047】
装着部32は筒状をなし、ネジ部321及び装着軸322を備える。ネジ部321及び装着軸322は、装着部32の軸長方向の両端部から、互いに相反する方向に、且つ装着部32に同軸に突出している。
図3に示すように、アーム311の他端部(二股に分かれていない方の端部)には、ネジ穴314がアーム311の長手方向に設けられている。ネジ部321とアーム311のネジ穴314との螺合により、装着部32は支持具本体31に着脱可能に装着される。
【0048】
図2に示すように、装着軸322の基端部の周面には係合片323が設けられており、装着軸322の先端部の周面には接続端子324が設けられている。係合片323及び接続端子324夫々はフランジ状をなす。
接続端子324と送風機221及び光源部材222とは金属製の給電部材11を介して互いに電気的に接続されている。給電部材11は支持具3に沿って配線されている。装着部32に配されている給電部材11と支持具本体31に配されている給電部材11とは、ネジ部321とネジ穴314との螺合によって、電気的に接続される。
【0049】
図4は、照明兼除菌設備の斜視図である。
図中4は照明兼除菌設備であり、照明兼除菌設備4は、除菌装置1と配線レール5(取り付け位置)とスポットライト6とを備える。
図2及び
図4に示すように、配線レール5は角筒状をなし、商業施設の天井71に吊り下げ支持されている。
天井71からは紐状の吊り下げ具72が吊り下げられている。複数本の吊り下げ具72が一方向に並設されている。配線レール5は、商業施設の図示しない床に平行に延びるようにして、各吊り下げ具72の下端に保持されている。
【0050】
図2に示すように、配線レール5の下面には、全長にわたってスリット51が設けられている。
配線レール5の内側には2本の給電部材52が全長にわたって配線されている。一方の給電部材52は配線レール5の一側面に沿い、他方の給電部材52は配線レール5の他側面に沿う。各給電部材52はU字状の断面を有する。2本の給電部材52夫々のU字の開口は、互いに向かい合っている。
【0051】
除菌装置1の支持具3の装着部32は、配線レール5に着脱可能に取り付けられる。例えば、装着部32の装着軸322が配線レール5の長さ方向の端部から配線レール5の内側に挿入され、配線レール5のスリット51を上下に貫通する。このとき、装着部32の係合片323が配線レール5のスリット51の両縁部に上側から係合する。
装着部32が配線レール5に取り付けられた場合、装着部32の接続端子324が2本の給電部材52夫々の内側に嵌め込まれて電気的に接続される。
【0052】
図4に示すように、スポットライト6は、筐体61及び支持具62を備える。
筐体61は筒状をなす。筐体61の色及び大きさは除菌装置1の筐体2の色及び大きさと同じである。
筐体61の開口にはレンズ611が配されている。筐体61には、可視光を発する光源(不図示)が内蔵されている。この光源が発した可視光は、レンズ611を透過して、筐体61の外部に照射される。レンズ611は、光源が発した可視光の向きを筐体61の軸長方向に揃える。
【0053】
支持具62の形状、色、及び大きさは、除菌装置1の支持具3の形状、色、及び大きさと同じである。支持具62は筐体61の中途に取り付けられている。
スポットライト6の支持具62も、除菌装置1の支持具3と同様にして、配線レール5に取り付けられる。
【0054】
以上のようにして、配線レール5には除菌装置1及びスポットライト6が吊り下げられる。なお、配線レール5に複数の除菌装置1(又はスポットライト6)が吊り下げられてもよい。
除菌装置1の筐体2の傾き角度は、例えば吹き出し口2bが商業施設の図示しない陳列什器に向くように調整される。同様に、スポットライト6の筐体61の傾き角度は、レンズ611が陳列什器に向くように調整される。
配線レール5の給電部材52が、図示しない商用電源に電気的に接続されることにより、除菌装置1及びスポットライト6に給電される。
給電されたスポットライト6は、陳列什器に陳列された図示しない商品を照明する。
【0055】
除菌装置1においては、給電された送風機221が送風することによって、吸い込み口2aから吸い込まれた空気が筐体2の内側を通流し、整流格子241で整流されて、吹き出し口2bから吹き出す。
給電されたLED223は発光し、LED223が発した光は光触媒部材231に照射される。この結果、光触媒部材231の周囲に活性酸素が生じる。
筐体2の内側を通流する空気は、光触媒部材231に接触し、活性酸素によって除菌される。
【0056】
複数のLED223が筐体2の周方向に並んでいるので、LED223が発する光(即ち光触媒を活性化させる光)を、筐体2の周方向に満遍なく、光触媒部材231に照射することができる。故に、活性酸素を筐体2の周方向にわたって効果的に発生させることができる。
従って、除菌装置1は、効果的に除菌された空気を筐体2から吹き出すことができる。除菌装置1は陳列什器に向けられているので、効果的に除菌された空気を陳列什器の周辺に送ることができる。
【0057】
以上のような除菌装置1によれば、スポットライト6が使用される場所で、配線レール5に除菌装置1が取り付けられることにより、除菌装置1がスポットライト6であるかのように見える。即ち、除菌装置1は設置場所の外観に調和しやすい。
設置場所の外観に調和しやすい除菌装置1は見る者に違和感を与えないので、除菌装置1を隠す必要がない。故に、探せば除菌装置1が見つかるので、空気が除菌されていることを確認しやすい。
【0058】
送風機221及びLED223は筒体22にまとめて内蔵されている。故に、商用電源から送風機221及びLED223夫々への配線が容易である。筒体22は支持具3に支持されるので、送風機221及びLED223に給電するための給電部材11を、支持具3に沿って配線することができる。
【0059】
光触媒部材231が経年劣化した場合、空気の浄化機能が失われるので、光触媒部材231を交換する必要がある。また、光触媒部材231に無機物(例えば空気中を浮遊している塵埃)が付着した場合、付着物によって空気の浄化機能が阻害されるので、光触媒部材231は定期的に洗浄する必要がある。
【0060】
光触媒部材231は筒体23に内蔵されている。筒体21~24同士はネジの螺合によって互いに連結されているので、筒体22,24から筒体23を取り外すことは容易である。しかも、筒体23の取り外しの際に、配線レール5から支持具3を取り外す必要も、支持具3から筒体22(及び筒体21)を取り外す必要もない。故に、光触媒部材231の交換又は洗浄等が容易である。
【0061】
LED223が発光している場合、透光体224から筐体2の外側に可視光が出射するので、透光体224が光っているように見える。透光体224が光っているように見えるか否かは、LED223が発光しているか否か、即ち、筐体2から吹き出す空気が除菌されているか否かを示す。従って、除菌中であるか否かを筐体2の外側にて表示するために、筐体2の内側にあるLED223を利用することができる。
【0062】
透光体224は筐体2の全周にわたって設けてあるので、筐体2の周方向の何れの位置からでも発光/非発光を視認することができる。
なお、LED223とは別に、可視光を発する光源を筐体2の外面に設け、この光源をLED223に直列に接続してもよい。この場合、LED223の発光時に筐体2の外面の光源が発光するので、LED223が発光しているか否かが分かる。
【0063】
装着部32は容易に交換することができる。故に、例えば天井71(若しくは商業施設の壁)に直接的に固定される装着部32、又は配線レール5とは構成が異なる配線レールに取り付け可能な装着部32を支持具本体31に装着することによって、任意の取り付け位置に除菌装置1を取り付けることができる。
【0064】
以上のような照明兼除菌設備4によれば、スポットライト6が商品を照明することにより、商品を目立たせて購買者の購買意欲を高めることができる。また、除菌装置1が陳列什器に向けて除菌済みの空気を送ることにより、陳列什器の周辺の空気が除菌されているという安心感を購買者に提供することができる。
活性酸素は臭気成分も分解するので、除菌装置1は脱臭装置としても機能する。
また、活性酸素は、生鮮食品が劣化する原因であるカビ、エチレンガス等も分解する。故に、商品が生鮮食品であり、外気に曝された状態で販売される場合、除菌装置1は特に有用である。
【0065】
スポットライト6が備える筐体61及び支持具62と、除菌装置1が備える筐体2及び支持具3とは、形状、色、及び大きさが互いに同じである。即ち、スポットライト6及び除菌装置1夫々の外観形状が互いに類似しているので、スポットライト6と除菌装置1とが混在していても違和感がない。
【0066】
除菌装置1においては、配線レール5から筐体2に内蔵されている送風機221及びLED223に給電するための給電部材11を、支持具3に沿って配線することができる。同様に、スポットライト6においても、筐体61に内蔵されている光源に給電するための給電部材を支持具62に沿って配線することができる。
【0067】
配線レール5は商業施設の天井71から吊り下げられる構成に限定されず、例えば商業施設の壁に突設されたブラケットに保持される構成でもよい。或いは、配線レール5は、美術館又は博物館等の公共施設、一般家屋等に設けられてもよい。いずれにせよ、配線レール5を既存の建築物に追加することは容易である。故に、照明兼除菌設備4は、新規に建造される建築物のみならず、既存の建築物にも容易に導入することができる。
また、配線レール5にスポットライト6が取り付けてある既存の照明設備に除菌装置1を追加することにより、照明兼除菌設備4を容易に得ることができる。
【0068】
或いは、配線レール5に複数のスポットライト6が夫々取り付けてある既存の照明設備が、照明兼除菌設備4に変更されてもよい。この場合、作業者は、複数のスポットライト6の内の一部を配線レール5から取り外す。また、作業者は、配線レール5に支持具3を取り付けることによって除菌装置1を設置する。少なくとも1つのスポットライト6を除菌装置1に取り替えることによって、照明兼除菌設備4を容易に得ることができる。
除菌装置1の支持具3の装着部32とスポットライト6の支持具62の装着部とが共通化されていてもよい。この場合、作業者は、配線レール5に取り付けてある支持具62の装着部から、支持具62の支持具本体を取り外し、残された支持具62の装着部に、除菌装置1の支持具3の支持具本体31を取り付ける。
【0069】
除菌装置1の製造者は、複数色及び複数サイズの除菌装置1を準備することが望ましい。作業者は、配線レール5に取り付けてあるスポットライト6を、このスポットライト6の色及びサイズに応じた色及びサイズの除菌装置1と交換する。ここで、筐体2のサイズとは、例えば筐体2の長さ及び外径である。
【0070】
本実施の形態においては、光源部材222が筐体2の内側を通流する空気にさらされているので、筐体2の内側を通流する空気がLED223の放熱に寄与する。筐体2が金属製(例えばアルミニウム製)である場合、筐体2もLED223の放熱に寄与する。
LED223が紫外線を発する場合、送風機221の表面及び筐体2の内周面等に、これらを紫外線から保護するための保護層が形成されていることが望ましい。この保護層が紫外線を反射する光反射性を有していてもよい。この場合、反射された紫外線も光触媒部材231に照射される。
LED223が可視光を発する場合、筐体2の内周面に、可視光を反射する反射層が設けられてもよい。この場合、反射された可視光も光触媒部材231に照射される。
【0071】
筐体2の傾き角度は、遠隔操作で調整可能でもよい。また、除菌装置1は、筐体2が自動的に揺動又は回転する構成でもよい。
筒体24の内周に、吹き出し口2bから吹き出す空気の流れを阻害しないようにして、可視光を発する光源が設けられていてもよい。この場合、除菌装置1はスポットライトとしても機能する。
照明兼除菌設備4は、同一の配線レール5に除菌装置1及びスポットライト6が取り付けられる構成に限定されない。例えば、隣り合う2本の配線レール5の一方に除菌装置1が取り付けられ、他方にスポットライト6が取り付けられる構成でもよい。
除菌装置1は、商品を保温するヒートランプと共に使用されてもよい。
【0072】
実施の形態 2.
図5は、実施の形態2に係る除菌装置1の分解側面図である。
図5においては、筐体2の一部を破断して示す。
本実施の形態の除菌装置1は、筐体2の構成を除き、実施の形態1の除菌装置1と略同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0073】
本実施の形態の筐体2は、筒体25~27を更に備える。
筒体25~27夫々の一端の内周面には、筒体22の雌ネジと同様の雌ネジが設けられている。
筒体25~27夫々の他端の外周面には、筒体22の雄ネジと同様の雄ネジが設けられている。
【0074】
筒体25の内周面には集塵フィルタ251が固定されている。集塵フィルタ251は空気中の塵埃を捕集する。集塵フィルタ251は、HEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタ又はULPA(Ultra Low Penetration Air )フィルタでもよい。
筒体26の内周面には芳香部材261が固定されている。芳香部材261は、例えば粒子状の芳香剤が網に担持されることによって構成されている。芳香部材261は、空気に芳香成分を付与する。
【0075】
筒体27の内周面には空気絞り271が固定されている。空気絞り271は虹彩絞り状をなし、開口面積が手動で調整可能である。空気絞り271の形状を見易くするために、
図5においては空気絞り271のみ正面図が示されている。
雄ネジと雌ネジとの螺合により、筒体21~27は互いに連結可能である。
【0076】
筒体25は筒体21,22間に装着されることが望ましい。この場合、吸い込み口2aから吸い込まれた空気が集塵フィルタ251を通過することによって、空気中の塵埃が集塵フィルタ251に捕集される。故に、除菌装置1から空気と共に塵埃が吹き出す虞がない。また、空気中の塵埃がLED223又は光触媒部材231に付着して空気の除菌を阻害する虞がない。
実施の形態1の筐体2に筒体25を追加することにより、除菌装置1に集塵機能を追加することができる。
【0077】
筒体26は筒体23,24間に装着されることが望ましい。除菌された空気に芳香成分を付与することができるので、筐体2から芳香成分が付与された空気を吹き出すことができる。
実施の形態1の筐体2に筒体26を追加することにより、除菌装置1に芳香拡散機能を追加することができる。
【0078】
筒体23の取り外しと同様に、筒体25,26夫々の取り外しは容易である。筒体25は、集塵フィルタ251の交換又は洗浄のために筐体2から取り外される。筒体26は、芳香部材261の交換のために筐体2から取り外される。
【0079】
筒体27は筒体23,24間に装着されることが望ましい。筒体23,24間に筒体26,27を両方装着する場合、筒体27を筒体24,26間に装着することが望ましい。
空気絞り271の開口面積が小さい場合、筐体2から吹き出す空気は、あまり広範囲に拡散することなく、遠くまで届く。空気絞り271の開口面積が大きい場合、筐体2から吹き出す空気は、筐体2の近傍にて広範囲に拡散する。即ち、空気絞り271の開口面積の調整により、除菌された空気が届く距離、及び除菌された空気が拡散する範囲を変更することができる。
【0080】
なお、空気絞り271の開口面積は、遠隔操作で調整可能でもよい。
空気絞り271は開口面積が調整可能なものに限定されない。空気絞り271の開口面積が一定であっても、筒体27の着脱により、除菌された空気が届く距離、及び除菌された空気が拡散する範囲を変更することができる。
【0081】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 除菌装置
2 筐体
2a 吸い込み口(一方の開口)
2b 吹き出し口(他方の開口)
22 筒体(第1の筒体)
221 送風機
223 LED(光源)
224 透光体
23 筒体(第2の筒体)
231 光触媒部材
271 空気絞り
3 支持具
31 支持具本体
32 装着部
4 照明兼除菌設備
5 配線レール(取り付け位置)
52 給電部材
6 スポットライト
61 筐体
62 支持具