(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】抗ALK2抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20220708BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220708BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20220708BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220708BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220708BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220708BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220708BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220708BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220708BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K39/395 N
A61P19/08
A61P7/06
A61P43/00 105
A61K45/00
C07K16/46
C12N15/13
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2020151717
(22)【出願日】2020-09-10
(62)【分割の表示】P 2016572167の分割
【原出願日】2016-01-29
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2015017882
(32)【優先日】2015-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 岳信
(72)【発明者】
【氏名】大澤 賢次
(72)【発明者】
【氏名】塚本 翔
(72)【発明者】
【氏名】辻 真之介
(72)【発明者】
【氏名】川口 喜郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 健介
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第19/041378(WO,A1)
【文献】特表2012-531922(JP,A)
【文献】特表2013-513361(JP,A)
【文献】Journal of Oral Biosciences,2010年,vol.52, p.33-41
【文献】Journal of Oral Biosciences,2012年,vol.54, p.119-123
【文献】Biological Chemistry,2013年,Vol.394, p.703-714
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/28
A61K 39/395
A61P 19/08
A61P 7/06
A61P 43/00
A61K 45/00
C07K 16/46
C12N 15/13
C12P 21/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号72に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号73に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号74に示されるアミノ酸配列からなる;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号75に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号76に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号77に示されるアミノ酸配列からなる;
(2)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号59に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号60に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号61に示されるアミノ酸配列からなる;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号62に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号63又は配列番号71に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号64に示されるアミノ酸配列からなる;
(3)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号78に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号79に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号80に示されるアミノ酸配列からなる;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号81に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号82に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号83に示されるアミノ酸配列からなる;並びに
(4)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号65に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号66に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号67に示されるアミノ酸配列からなる;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号68に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号69に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号70に示されるアミノ酸配列からなる、
かつALK2と結合するモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片からなる群から選択され
る、モノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項2】
重鎖配列が、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号65に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号66に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号67に示されるアミノ酸配列からなる;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号68に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号69に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号70に示されるアミノ酸配列からなる、
ALK2と結合するモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片である、請求項
1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項3】
(1)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1)配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a4)a1)乃至a3)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5)a1)乃至a3)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a6)a1)乃至a3)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1)配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)配列番号38に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b5)b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b7)b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
(2)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1)配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a4)配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a5)配列番号48に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a6)配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a7)配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a8)a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a9)a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a10)a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1)配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b5)配列番号58に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b7)b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b8)b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
(3)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1)配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a4)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5)a1)又はa2)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1)配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b5)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;並びに、
(4)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1)配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a4)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5)a1)又はa2)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1)配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b5)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
を含み、かつALK2と結合する抗体又は該抗体の抗原結合断片からなる群から選択される、モノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項4】
(1)配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体;
(2)配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体;
(3)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1)配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1)配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
を含む抗体;或いは、
(4)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1)配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1)配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
を含む抗体である、
請求項
3に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体である、請求項
3又は
4に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項6】
(1)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖:a1)配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a4)a1)乃至a3)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5)a1)乃至a3)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a6)a1)乃至a3)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖:
b1)配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)配列番号38に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b5)b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b7)b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
(2)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖:
a1)配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a4)配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a5)配列番号48に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a6)配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a7)配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a8)a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a9)a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a10)a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖:
b1)配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b5)配列番号58に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b7)b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b8)b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
(3)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖:
a1)配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a4)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5)a1)又はa2)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖:
b1)配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b5)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;或いは、
(4)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖:
a1)配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a4)a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5)a1)又はa2)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖:
b1)配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b5)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6)b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
を含み、かつALK2と結合する抗体又は該抗体の抗原結合断片からなる群から選択される、モノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項7】
(1)配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体;
(2)配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体;
(3)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖:
a1)配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖:
b1)配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
を含む抗体;或いは、
(4)(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖:
a1)配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2)配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖:
b1)配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2)配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3)配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
を含む抗体である、
請求項
6に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項8】
配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体である、請求項
6又は
7に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の少なくともいずれか一つの抗体と以下の(a)乃至(d)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドへの結合に対し交差競合することを特徴とする、モノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
(a)配列番号84に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号84に示されるアミノ酸配列の21乃至123番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列
(c)配列番号86に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号86に示されるアミノ酸配列の21乃至123番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列
【請求項10】
キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体(scFv)、二重特異性抗体、多重特異性抗体、Fab、F(ab’)
2、Fab’又はFvである、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項11】
重鎖がヒト免疫グロブリンG1重鎖、ヒト免疫グロブリンG2重鎖、又はヒト免疫グロブリンG4重鎖の定常領域を含み、軽鎖がヒト免疫グロブリンκ軽鎖の定常領域を含む、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項12】
重鎖がヒト免疫グロブリンG1重鎖の定常領域を含む、請求項
11に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項13】
ヒト免疫グロブリンG1重鎖の234番目のロイシン(Leu)がアラニン(Ala)により置換され、235番目のロイシン(Leu)がアラニン(Ala)により置換された、請求項
11又は
12に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項14】
重鎖がヒト免疫グロブリンG2重鎖の定常領域を含む、請求項
11に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項15】
カルボキシル末端の1乃至数個のアミノ酸が欠失した重鎖を含む抗体である、請求項1乃至
14のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【請求項16】
請求項1乃至
15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項17】
異所性骨化の治療及び/又は予防剤であることを特徴とする、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1乃至
15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片の少なくともいずれか一つ、並びに、抗炎症剤、ステロイド剤、ビスフォスフォネート、筋弛緩剤、レチノイン酸受容体(RAR)γアゴニストからなる群から選択される少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする、異所性骨化の治療及び/又は予防用医薬組成物。
【請求項19】
異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、又は人工関節置換術後の異所性骨化であることを特徴とする、請求項
17又は
18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)であることを特徴とする、請求項
17乃至
19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
貧血の治療及び/又は予防剤であることを特徴とする、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項22】
びまん性橋膠腫(DIPG)の治療及び/又は予防剤であることを特徴とする、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項23】
異所性骨化の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するための、請求項1乃至
15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体の抗原結合断片の使用。
【請求項24】
前記医薬組成物が、抗炎症剤、ステロイド剤、ビスフォスフォネート、筋弛緩剤、及びレチノイン酸受容体(RAR)γアゴニストからなる群から選択される少なくともいずれか一つと同時又は相前後して投与するものである、請求項
23に記載の使用。
【請求項25】
異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、又は人工関節置換術後の異所性骨化であることを特徴とする、請求項
23又は
24に記載の使用。
【請求項26】
異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)であることを特徴とする、請求項
23乃至
25のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異所性骨化及び/又は骨形成異常の治療及び/又は予防薬として有用な物質、並びに異所性骨化及び/又は骨形成異常の治療及び/又は予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia ossificans progressiva(FOP))は、骨格筋や腱、靭帯など、通常は骨組織が形成されない軟組織において、異所性に軟骨組織や骨組織が形成される遺伝性疾患である(非特許文献1-3)。本疾患では、異所性骨化が顔面を含む全身で起こり、異所性骨組織と既存の骨組織が癒合して関節の可動域が著しく低下したり、身体の変形が生じたりする(非特許文献1-3)。
【0003】
FOPにおける異所性骨化は、成長に伴って慢性的に進行する他に、筋損傷やウイルス感染等により生じるフレアアップと呼ばれる症状を伴って進行する急性の異所性骨化が知られている(非特許文献1)。フレアアップは炎症反応や長期間に渡る痛みを主症状とする膨脹であり、筋損傷を生じるような打撲や転倒・筋肉注射などで誘導される他に、原因が明確でない突発的な例も知られている。FOPではフレアアップ後に異所性骨組織が形成されることから、生検や手術などの侵襲的医療行為は禁忌とされており、異所性骨組織を外科的に除去することはできない。また、FOPで形成される異所性骨組織は、正常な軟骨細胞や骨芽細胞によって形成され、正常な骨組織と同様に代謝されているため、薬物等を用いて内科的に異所性骨組織だけを除去することもできない。
【0004】
FOPの異所性骨化を抑制するような根本的な治療法は確立されておらず、痛み等に対する対処療法が行われているのみである。従って、FOPで形成された異所性骨組織を除去することは極めて困難で、異所性骨化が始まる前に予防的な効果の期待できる薬物の開発が期待されている。
【0005】
FOPの責任遺伝子として、骨格筋組織を含む軟組織において異所性骨形成を誘導する骨形成蛋白質(Bone morphogenetic protein(BMP))の受容体の一種をコードするActivin Like Kinase 2(ALK2;アクチビン様キナーゼ2)遺伝子が同定された(非特許文献4)。ALK2は、Activin A type I Receptor 1(ACVR1)と呼ばれる遺伝子と同一である。家族性、および孤発性FOP症例から、アミノ酸置換を伴ったALK2が見出されている(非特許文献4)。
【0006】
ヒトおよびマウスALK2は、509アミノ酸からなるシグナルペプチドを持つ1回膜貫通型タンパク質で、BMPと結合する膜貫通型のセリン・スレオニン・キナーゼ受容体として機能する(非特許文献1-3)。N末端側の細胞外領域でBMPを結合し、細胞内のセリン・スレオニン・キナーゼによって下流の細胞内情報伝達系を活性化する。
【0007】
BMPの受容体は、それらの構造と機能から、ALK2を含むI型受容体と、II型受容体の2種類に分類される(非特許文献1-3)。II型受容体は、BMPを結合しなくてもキナーゼ活性を示す構成的活性型酵素である。一方、ALK2を含むI型受容体は、BMPと結合しない状態では不活性型の酵素で、BMPとの結合依存的にキナーゼ活性を示す。これは、BMPとの結合により、II型受容体のキナーゼがI型受容体の細胞内ドメインを基質としてリン酸化し、立体構造を変化させてI型受容体を活性化するためと考えられている(非特許文献1-3)。
【0008】
I型受容体の細胞内領域の特定アミノ酸を置換すると、II型受容体非依存的に活性化された構成的活性型受容体となることが知られている(非特許文献1-3)。このI型受容体の構成的活性型変異体を過剰発現すると、BMP刺激を加えなくても細胞内情報伝達系が活性化される。従って、I型受容体が、細胞外から細胞内へBMPの情報を伝達する責任分子であると考えられる。
【0009】
家族性および典型的孤発性FOP症例から同定されたALK2の変異は、Arg206がHisに置換したR206H変異体であった(非特許文献4)。これまでにFOP症例から同定された遺伝子変異は、全てALK2の細胞内領域のアミノ酸変異を起こすことが判明している。これらのFOP症例の変異の多くは、ALK2の細胞内領域のATP結合領域近傍に集中している(非特許文献5)。
【0010】
FOPで同定されたALK2変異体を培養細胞に過剰発現させると、BMP刺激を加えなくともBMPの細胞内情報伝達系が活性化される(非特許文献6)。そこで、FOPの治療薬として、ALK2のキナーゼに対する低分子阻害薬、遺伝的に変異したALK2の発現を特異的に抑制するRNAiやエクソンスキップ法、ALK2受容体の下流の転写因子阻害剤、および、BMPシグナルによる骨芽細胞分化阻害薬などが開発されている(特許文献1及び非特許文献1-3)。
【0011】
現在開発されている低分子化合物や核酸のFOP治療薬は、いずれも細胞膜を透過して細胞内でALK2シグナルを阻害することが期待されている。しかし、核酸医薬は効果的な薬物デリバリー法が確立されておらず、また、キナーゼ阻害剤はALK2と同一性の高い他のALK受容体ファミリーに対する特異性が低いなどの問題が残されている。そのため、FOPに対してALK2に対する特異性が高い新しい治療薬の開発が望まれている。ALK2の細胞外領域に作用してシグナルを阻害する抗体医薬は、生理的な免疫系を利用した安全性の高い治療法である。抗体医薬は、血流を介した安定な薬物デリバリーが容易であると共に、同一性の高い他のALK受容体ファミリーには作用せず、ALK2のみを阻害する特異性を発揮させることが可能である。さらに、ALK2の野生型や新規の変異体を含めた細胞内領域のさまざまな変異体に対しても抑制作用が期待できる。また、全身の細胞で発現するようなALK3を阻害しないことから、ALK2に対する特異的な阻害抗体は、一般的な骨芽細胞分化阻害剤とは異なり、正常な骨格組織の成長や維持、再生には影響の少ない医薬品となることが期待できる。しかし、ALK2に特異的に結合し、FOPに対して治療効果を示す抗体については、これまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【文献】T. Katagiri, J.Oral Biosci.,52,33-41(2010)
【文献】T. Katagiri, J.Oral Biosci.,54,119-123(2012)
【文献】T. Katagiri and S. Tsukamoto, Biol.Chem.,394,703-714(2013)
【文献】E.M. Shore et al., Nat.Genet.,38,525-527(2006)
【文献】A. Chaikuad et al., J.Biol.Chem.,287,36990-36998(2012)
【文献】T. Fukuda et al., J.Biol.Chem.,284,7149-7156(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、異所性骨化及び/又は骨形成異常の治療及び/又は予防薬として有用な物質、並びに異所性骨化及び/又は骨形成異常の治療及び/又は予防方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意、検討を行ったところ、ALK2に特異的に結合し、異所性骨化及び/又は骨形成異常の治療及び/又は予防効果を有する新規な抗体を取得することに成功し、本発明を完成させた。
【0016】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
【0017】
(1)以下の(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列における少なくとも7アミノ酸からなるポリペプチド配列と特異的に結合し、かつALK2を介するBMPシグナル伝達を抑制する抗体又は該抗体の抗原結合断片。
(a)配列番号84に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号84に示されるアミノ酸配列の21乃至123番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列
(c)配列番号86に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号86に示されるアミノ酸配列の21乃至123番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列
(e)(a)乃至(d)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列に1乃至数アミノ酸残基の置換、欠失又は付加を伴うアミノ酸配列
【0018】
(2)以下の(f)乃至(j)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列における少なくとも7アミノ酸からなるポリペプチド配列と特異的に結合し、かつALK2を介するBMPシグナル伝達を抑制する抗体又は該抗体の抗原結合断片。
(f)配列番号85に示されるヌクレオチド配列
(g)配列番号85に示されるヌクレオチド配列の728乃至1036番目のヌクレオチド残基からなるヌクレオチド配列
(h)配列番号87に示されるヌクレオチド配列
(i)配列番号87に示されるヌクレオチド配列の728乃至1036番目のヌクレオチド残基からなるヌクレオチド配列
(j)(f)乃至(i)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
【0019】
(3)前記ポリペプチド配列が、ALK2細胞外領域内の配列である、(1)又は(2)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0020】
(4)前記抗体が、野生型ALK2蛋白質及び変異型ALK2蛋白質に結合する、(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0021】
(5)前記抗体が、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、(1)乃至(4)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0022】
(6)前記抗体及び前記抗原結合断片が、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、又は多重特異性抗体である、(1)乃至(5)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0023】
(7)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体、配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体、並びに配列番号14に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体からなる群から選択される少なくともいずれか一つの抗体と前記ポリペプチドへの結合に対し交差競合することを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0024】
(8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体、配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体、並びに配列番号14に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む抗体からなる群から選択される少なくともいずれか一つの抗体が結合するエピトープに結合することを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0025】
(9)配列番号84に示されるアミノ酸配列中の18番目のグルタミン酸(Glu)、19番目のグリシン(Gly)、39番目のイソロイシン(Ile)、40番目のアスパラギン(Asn)、41番目のアスパラギン酸(Asp)、42番目のグリシン(Gly)、43番目のフェニルアラニン(Phe)、44番目のヒスチジン(His)、45番目のバリン(Val)、46番目のチロシン(Tyr)、82番目のアスパラギン(Asn)、84番目のトレオニン(Thr)、86番目のグルタミン(Gln)、及び87番目のロイシン(Leu)の各残基を含むエピトープに結合することを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0026】
(10)配列番号84に示されるアミノ酸配列中の18番目のグルタミン酸(Glu)、19番目のグリシン(Gly)、39番目のイソロイシン(Ile)、40番目のアスパラギン(Asn)、41番目のアスパラギン酸(Asp)、42番目のグリシン(Gly)、43番目のフェニルアラニン(Phe)、44番目のヒスチジン(His)、45番目のバリン(Val)、46番目のチロシン(Tyr)、82番目のアスパラギン(Asn)、84番目のトレオニン(Thr)、86番目のグルタミン(Gln)、及び87番目のロイシン(Leu)の各残基との間で相互作用距離を有することを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0027】
(11)配列番号84に示されるアミノ酸配列中の18番目のグルタミン酸(Glu)、19番目のグリシン(Gly)、20番目のロイシン(Leu)、39番目のイソロイシン(Ile)、41番目のアスパラギン酸(Asp)、42番目のグリシン(Gly)、43番目のフェニルアラニン(Phe)、44番目のヒスチジン(His)、45番目のバリン(Val)、46番目のチロシン(Tyr)、及び84番目のトレオニン(Thr)の各残基を含むエピトープに結合することを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0028】
(12)配列番号84に示されるアミノ酸配列中の18番目のグルタミン酸(Glu)、19番目のグリシン(Gly)、20番目のロイシン(Leu)、39番目のイソロイシン(Ile)、41番目のアスパラギン酸(Asp)、42番目のグリシン(Gly)、43番目のフェニルアラニン(Phe)、44番目のヒスチジン(His)、45番目のバリン(Val)、46番目のチロシン(Tyr)、及び84番目のトレオニン(Thr)の各残基との間で相互作用距離を有することを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0029】
(13)相互作用距離が6オングストローム以下である、(10)又は(12)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0030】
(14)相互作用距離が4オングストローム以下である、(10)又は(12)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0031】
(15)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2、CDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号72に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号73に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号74に示されるアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列からなること;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2、CDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号75に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号76に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号77に示されるアミノ酸配列からなること;
を特徴とする、(1)乃至(8)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0032】
(16)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域配列及び配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域配列を含むことを特徴とする、(15)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0033】
(17)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2、CDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号59に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号60に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号61に示されるアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列からなること;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2、CDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号62に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号63又は配列番号71に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号64に示されるアミノ酸配列からなること;
を特徴とする、(1)乃至(8)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0034】
(18)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域配列及び配列番号8に示されるアミノ酸配列又は配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含むことを特徴とする(17)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0035】
(19)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2、CDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号78に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号79に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号80に示されるアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列からなること;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2、CDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号81に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号82に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号83に示されるアミノ酸配列からなること;
を特徴とする、(1)乃至(10)、(13)乃至(14)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0036】
(20)配列番号10に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域配列及び配列番号12に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域配列を含むことを特徴とする、(19)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0037】
(21)重鎖配列が、CDRH1、CDRH2、CDRH3を有する可変領域を含み、前記CDRH1は配列番号65に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH2は配列番号66に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRH3は、配列番号67に示されるアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列からなること;及び
軽鎖配列がCDRL1、CDRL2、CDRL3を有する可変領域を含み、前記CDRL1は配列番号68に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL2は配列番号69に示されるアミノ酸配列からなり、前記CDRL3は、配列番号70に示されるアミノ酸配列からなること;
を特徴とする、(1)乃至(8)、(11)乃至(14)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0038】
(22)配列番号14に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域配列及び配列番号16に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域配列を含むことを特徴とする、(21)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0039】
(23)Fab、F(ab’)2、Fab’及びFvからなる群から選択される、(1)乃至(22)のいずれかに記載の抗体の抗原結合断片。
【0040】
(24)scFvであることを特徴とする、(1)乃至(22)のいずれかに記載の抗体。
【0041】
(25)キメラ抗体であることを特徴とする、(1)乃至(22)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0042】
(26)ヒト化されていることを特徴とする、(1)乃至(22)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0043】
(27)重鎖がヒト免疫グロブリンG1重鎖、ヒト免疫グロブリンG2重鎖、又はヒト免疫グロブリンG4重鎖の定常領域を含み、軽鎖がヒト免疫グロブリンκ軽鎖の定常領域を含む、(1)乃至(24)のいずれかに記載の抗体。
【0044】
(28)重鎖がヒト免疫グロブリンG1重鎖の定常領域を含む、(27)に記載の抗体。
【0045】
(29)ヒト免疫グロブリンG1重鎖の234番目のロイシン(Leu)がアラニン(Ala)により置換され、235番目のロイシン(Leu)がアラニン(Ala)により置換された、(28)に記載の抗体。
【0046】
(30)重鎖がヒト免疫グロブリンG2重鎖の定常領域を含む、(27)に記載の抗体。
【0047】
(31)重鎖がヒト免疫グロブリンG4重鎖の定常領域を含む、(27)に記載の抗体。
【0048】
(32)ヒト免疫グロブリンG4重鎖の241番目のセリン(Ser)がプロリン(Pro)により置換された、(31)に記載の抗体。
【0049】
(33)ALK2蛋白質の細胞外領域と特異的に結合し、かつALK2を介するBMPシグナル伝達を抑制する抗体又は該抗体の抗原結合断片であって、
(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1) 配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2) 配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3) 配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a4) a1)乃至a3)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5) a1)乃至a3)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a6) a1)乃至a3)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1) 配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2) 配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3) 配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4) 配列番号38に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b5) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b7) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
を含むことを特徴とする、抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0050】
(34)配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体である、(33)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0051】
(35)配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体である、(33)に記載の抗体。
【0052】
(36)配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体である、(33)に記載の抗体。
【0053】
(37)ALK2蛋白質の細胞外領域と特異的に結合し、かつALK2を介するBMPシグナル伝達を抑制する抗体又は該抗体の抗原結合断片であって、
(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1) 配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2) 配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3) 配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a4) 配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a5) 配列番号48に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a6) 配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a7) 配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a8) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a9) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a10) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1) 配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2) 配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3) 配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4) 配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b5) 配列番号58に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b6) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b7) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b8) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
を含むことを特徴とする、抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0054】
(38)配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体である、(37)に記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0055】
(39)配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体である、(37)に記載の抗体。
【0056】
(40)配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体である、(37)に記載の抗体。
【0057】
(41)ALK2蛋白質の細胞外領域と特異的に結合し、かつALK2を介するBMPシグナル伝達を抑制する抗体又は該抗体の抗原結合断片であって、
(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1) 配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2) 配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3) a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a4) a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5) a1)又はa2)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1) 配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2) 配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3) 配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b5) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
を含むことを特徴とする、抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0058】
(42)ALK2蛋白質の細胞外領域と特異的に結合し、かつALK2を介するBMPシグナル伝達を抑制する抗体又は該抗体の抗原結合断片であって、
(a)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される重鎖可変領域配列:
a1) 配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a2) 配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
a3) a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
a4) a1)又はa2)のアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
a5) a1)又はa2)のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;及び
(b)以下のアミノ酸配列からなる群から選択される軽鎖可変領域配列:
b1) 配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b2) 配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b3) 配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列;
b4) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を持つアミノ酸配列;
b5) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を持つアミノ酸配列;
b6) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列;
を含むことを特徴とする、抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0059】
(43)カルボキシル末端の1乃至数個のアミノ酸が欠失した重鎖を含む抗体である、(1)乃至(42)のいずれかに記載の抗体。
【0060】
(44)重鎖又は軽鎖のアミノ末端のアミノ酸残基がピログルタミル化されている抗体である、(1)乃至(43)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片。
【0061】
(45)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする、医薬組成物。
【0062】
(46)異所性骨化の治療及び/又は予防剤であることを特徴とする、(45)に記載の医薬組成物。
【0063】
(47)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体又は該抗体の抗原結合断片の少なくともいずれか一つ、並びに、抗炎症剤、ステロイド剤、ビスフォスフォネート、筋弛緩剤、レチノイン酸受容体(RAR)γアゴニストからなる群から選択される少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする、異所性骨化の治療及び/又は予防用医薬組成物。
【0064】
(48)異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、又は人工関節置換術後の異所性骨化であることを特徴とする、(46)又は(47)に記載の医薬組成物。
【0065】
(49)異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)であることを特徴とする、(46)又は(47)に記載の医薬組成物。
【0066】
(50)貧血の治療及び/又は予防剤であることを特徴とする、(45)に記載の医薬組成物。
【0067】
(51)びまん性橋膠腫(DIPG)の治療及び/又は予防剤であることを特徴とする、(45)に記載の医薬組成物。
【0068】
(52)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体、該抗体の抗原結合断片、又は(45)乃至(49)のいずれかに記載の医薬組成物の少なくともいずれか一つを投与することを特徴とする、異所性骨化の治療及び/又は予防方法。
【0069】
(53)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体、該抗体の抗原結合断片、又は(45)乃至(49)のいずれかに記載の医薬組成物の少なくともいずれか一つ、並びに、抗炎症剤、ステロイド剤、ビスフォスフォネート、筋弛緩剤、レチノイン酸受容体(RAR)γアゴニストからなる群から選択される少なくともいずれか一つを同時又は相前後して投与することを特徴とする、異所性骨化の治療及び/又は予防方法。
【0070】
(54)異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、又は人工関節置換術後の異所性骨化であることを特徴とする、(52)又は(53)に記載の治療及び/又は予防方法。
【0071】
(55)異所性骨化が、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)であることを特徴とする(52)又は(53)に記載の治療及び/又は予防方法。
【0072】
(56)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体、該抗体の抗原結合断片、或いは(45)又は(50)に記載の医薬組成物の少なくともいずれか一つを投与することを特徴とする、貧血の治療及び/又は予防方法。
【0073】
(57)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体、該抗体の抗原結合断片、或いは(45)又は(51)に記載の医薬組成物の少なくともいずれか一つを投与することを特徴とする、びまん性橋膠腫(DIPG)の治療及び/又は予防方法。
【0074】
(58)(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【0075】
(59)(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号27に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号29に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) 配列番号104に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a4) a1)乃至a3)のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a5) a1)乃至a3)のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a6) a1)乃至a3)のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a7) a1)又はa2)のヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号31に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号33に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号35に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) 配列番号37に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b5) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b8) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0076】
(60)(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号39に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号41に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) 配列番号43に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a4) 配列番号45に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a5) 配列番号47に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a6) 配列番号106に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a7) 配列番号108に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a8) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a9) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a10) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a11) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号49に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号51に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号53に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) 配列番号55に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b5) 配列番号57に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b8) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b9) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0077】
(61)(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号110に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号112に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a4) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a5) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a6) a1)又はa2)のヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号114に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号116に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号118に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b5) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0078】
(62)(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号120に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号122に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a4) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a5) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a6) a1)又はa2)のヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号124に示されるヌクレオチド配列の61乃至387番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号126に示されるヌクレオチド配列の61乃至387番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号128に示されるヌクレオチド配列の61乃至387番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b5) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0079】
(63)(58)乃至(62)のいずれかに記載のいずれか一つのポリヌクレオチドを含むベクター。
【0080】
(64)(58)乃至(62)のいずれかに記載のいずれか一つのポリヌクレオチドを含む形質転換宿主細胞。
【0081】
(65)(63)に記載のベクターを含む形質転換宿主細胞。
【0082】
(66)(64)又は(65)に記載の宿主細胞を培養し、培養産物から抗体を精製する工程を含む(1)乃至(44)のいずれかに記載の抗体の生産方法。
【0083】
本発明により、異所性骨化及び/又は骨形成異常の治療剤及び/又は予防剤を得ることができる。
【0084】
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-017882号の開示内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体のマウスALK2-His&Fc(「mALK2-Fc」)に対する認識、およびヒトFcに対する結合を示したグラフである。対照として培地を用いた(「Control medium」)。
【
図2A】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、蛍光タンパク質EGFP発現細胞を認識しないことを示したグラフである。
【
図2B】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、野生型のマウスALK2発現細胞(mALK2(WT)-EGFP)を認識することを示したグラフである。
【
図2C】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、野生型のヒトALK2発現細胞(hALK2(WT)-EGFP)を認識することを示したグラフである。
【
図2D】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、FOP変異(R206H)のヒトALK2発現細胞(hALK2(R206H)-EGFP)を認識することを示したグラフである。
【
図3】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、ALK2発現細胞のみを特異的に認識し、ALK1、ALK3、ALK6発現細胞は認識しないことを示したグラフである。
【
図4】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、野生型のALK2発現細胞、FOPで同定された表示の12種類のALK2変異体発現細胞を認識することを示したグラフである。
【
図5】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、ALK2の野生型およびR206H変異型を過剰発現させたHEK293A細胞において、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ(luc)活性を、用量依存的に抑制することを示したグラフである。
【
図6】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、BMP2が誘導するC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化を完全には抑制できないことを示したグラフである。
【
図7】ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、BMP7およびGDF2/BMP9が誘導するC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化を、用量依存的に抑制することを示したグラフである。
【
図8】ハイブリドーマA2-15A、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、BMP7およびGDF2/BMP9が誘導するマウスの骨格筋組織における異所性骨誘導を抑制することを示した図である。
【
図9】キメラ化抗体cA2-15A、cA2-27Dが、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ(luc)活性に対して、それぞれのラットモノクローナル抗体A2-15A、A2-27Dと同等の阻害活性を示すことを示したグラフである。
【
図10】キメラ化抗体cA2-15A、cA2-27Dが、BMPによって誘導されるC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化を、用量依存的に抑制することを示したグラフである。
【
図11】A2-15A抗体の各CDR配列のアミノ酸配列を示した図である。
【
図12】A2-27D抗体の各CDR配列のアミノ酸配列を示した図である。
【
図13】A2-11E抗体の各CDR配列のアミノ酸配列を示した図である。
【
図14】A2-25C抗体の各CDR配列のアミノ酸配列を示した図である。
【
図15】ヒト化hA2-15A-H1のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図16】ヒト化hA2-15A-H4のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図17】ヒト化hA2-15A-L1をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図18】ヒト化hA2-15A-L4をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図19】ヒト化hA2-15A-L6をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図20】ヒト化hA2-15A-L7をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図21】ヒト化hA2-27D-H1のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図22】ヒト化hA2-27D-H2のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図23】ヒト化hA2-27D-H3のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図24】ヒト化hA2-27D-H4のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図25】ヒト化hA2-27D-H5のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図26】ヒト化hA2-27D-L1をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図27】ヒト化hA2-27D-L2をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図28】ヒト化hA2-27D-L3をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図29】ヒト化hA2-27D-L4をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図30】ヒト化hA2-27D-L5をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図31】ヒト化A2-15A抗体(IgG1)、およびヒト化A2-27D抗体(IgG1)が、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ(luc)活性を、用量依存的に抑制することを示したグラフである。
【
図32】ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプのヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図33】ヒト化hA2-27D-H2-LALAのヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図34】ヒト化hA2-27D-H3-LALAのヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図35】ヒト化A2-15A抗体(IgG2)、およびヒト化A2-27D抗体(LALA)が、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ(luc)活性を、用量依存的に抑制することを示したグラフである。
【
図36】ヒト化A2-15A抗体(IgG2)、およびヒト化A2-27D抗体(LALA)が、BMP7が誘導するマウスの骨格筋組織における異所性骨誘導を抑制することを示した図である。
【
図37】ヒトALK2-ECDとヒトキメラcA2-27D-Fabの複合体のX線結晶構造を示した図である。
【
図38】ヒト化hA2-11E-H3のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図39】ヒト化hA2-11E-H4のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図40】ヒト化hA2-11E-L2のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図41】ヒト化hA2-11E-L3のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図42】ヒト化hA2-11E-L4のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図43】ヒト化hA2-25C-H3のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図44】ヒト化hA2-25C-H4のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図45】ヒト化hA2-25C-L1のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図46】ヒト化hA2-25C-L2のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図47】ヒト化hA2-25C-L3のヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列を示した図である。
【
図48】ヒト化A2-11E抗体(IgG1)、およびヒト化A2-25C抗体(IgG1)が、BMPによって誘導されるC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化を、用量依存的に抑制することを示したグラフである。
【
図49】ヒトALK2-ECDとヒトキメラcA2-25C-Fabの複合体のX線結晶構造を示した図である。
【
図50】ハイブリドーマA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、BMP7によって誘導されるルシフェラーゼ(Luc)活性を、野生型(WT)および表示の13種類すべての変異体で抑制することを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0086】
1.定義
本明細書中において、「遺伝子」という語には、DNAのみならずmRNA、cDNA及びcRNAも含まれるものとする。
【0087】
本明細書中において、「ポリヌクレオチド」という語は核酸と同じ意味で用いており、DNA、RNA、プローブ、オリゴヌクレオチド、及びプライマーも含まれている。
【0088】
本明細中においては、「ポリペプチド」と「蛋白質」は区別せずに用いている。
【0089】
本明細書中において、「RNA画分」とは、RNAを含んでいる画分をいう。
【0090】
本明細書中において、「細胞」には、動物個体内の細胞、培養細胞も含んでいる。
【0091】
本明細書中において、「ALK2」は、ALK2蛋白質と同じ意味で用いており、野生型及び変異体(変異型ともいう。)を含む。
【0092】
本明細書中における「抗体の抗原結合断片」とは、「抗体の機能性断片」とも呼ばれ、抗原との結合活性を有する抗体の部分断片を意味しており、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、ダイアボディ(diabody)、線状抗体、及び抗体断片より形成された多特異性抗体等を含む。また、F(ab’)2を還元条件下で処理した抗体の可変領域の一価の断片であるFab’も抗体の抗原結合断片に含まれる。但し、抗原との結合能を有している限りこれらの分子に限定されない。また、これらの抗原結合断片には、抗体蛋白質の全長分子を適当な酵素で処理したもののみならず、遺伝子工学的に改変された抗体遺伝子を用いて適当な宿主細胞において産生された蛋白質も含まれる。
【0093】
本明細書における、「エピトープ」とは、「抗原結合部位」とも呼ばれ、一般に抗原の少なくとも7アミノ酸、少なくとも8アミノ酸、少なくとも9アミノ酸、又は少なくとも10アミノ酸からなる、抗体が結合する抗原部位を指し、本明細書では特定の抗ALK2抗体が結合するALK2の部分ペプチドまたは部分立体構造を意味する。前記のALK2の部分ペプチドであるエピトープは、免疫アッセイ法等当業者によく知られている方法によって決定することができるが、例えば以下の方法によって行うことが出来る。ALK2の様々な部分構造を作製する。部分構造の作製にあたっては、公知のオリゴペプチド合成技術を用いることが出来る。例えば、ALK2のC末端あるいはN末端から適当な長さで順次短くした一連のポリペプチドを当業者に周知の遺伝子組み換え技術を用いて作製した後、それらに対する抗体の反応性を検討し、大まかな認識部位を決定した後に、さらに短いペプチドを合成してそれらのペプチドとの反応性を検討することによって、エピトープを決定することができる。又、特定のALK2抗体が結合するALK2の部分立体構造であるエピトープは、X線結晶構造解析によって前記の抗体と隣接するALK2のアミノ酸残基を特定することによって決定することができる。第一の抗ALK2抗体の結合する部分ペプチド又は部分立体構造に第二の抗ALK2抗体が結合すれば、第一の抗体と第二の抗体が共通のエピトープを有すると判定することができる。また、第一の抗ALK2抗体のALK2に対する結合に対して第二の抗ALK2抗体が(交差)競合する(すなわち、第二の抗体が第一の抗体とALK2の結合を妨げる)ことを確認することによって、具体的なエピトープの配列又は構造が決定されていなくても、第一の抗体と第二の抗体が共通のエピトープを有すると判定することができる。さらに、第一の抗体と第二の抗体が共通のエピトープに結合し、かつ第一の抗体がALK2を介するBMPシグナルの阻害活性等の活性を有する場合、第二の抗体も同様な活性を有することが期待できる。
【0094】
抗体分子の重鎖及び軽鎖にはそれぞれ3箇所の相補性決定領域(CDR:Complementarity determining region)があることが知られている。相補性決定領域は、超可変領域(hypervariable domain)とも呼ばれ、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域内にあって、一次構造の変異性が特に高い部位であり、重鎖及び軽鎖のポリペプチド鎖の一次構造上において、それぞれ3ヶ所に分離している。本明細書中においては、抗体の相補性決定領域について、重鎖の相補性決定領域を重鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRH1、CDRH2、CDRH3と表記し、軽鎖の相補性決定領域を軽鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRL1、CDRL2、CDRL3と表記する。これらの部位は立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。
【0095】
本発明において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、市販のハイブリダイゼーション溶液ExpressHyb Hybridization Solution(クロンテック社製)中、約50-70℃(例えば68℃)でハイブリダイズすること、又は、DNAを固定したフィルターを用いて約0.7-1.0MのNaCl存在下、約50-70℃(例えば68℃)でハイブリダイゼーションを行った後、約0.1-2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度SSCとは150 mM NaCl、15 mM クエン酸ナトリウムからなる。また、必要に応じて、当該溶液に約0.1-0.5%SDSを含有させてもよい。)を用い、約50-70℃(例えば68℃)で洗浄することにより同定することができる条件又はそれと同等の条件でハイブリダイズすることをいう。
【0096】
本明細書において、「1乃至数個」及び「1若しくは数個」なる記載がある場合の「数個」とは、2乃至10個を示している。好ましくは、10個以下、より好ましくは、5若しくは6個以下、さらにより好ましくは、2若しくは3個である。
【0097】
2.ALK2
ALK2遺伝子は、骨格筋組織を含む軟組織において異所性骨形成を誘導するBMPの受容体の一種をコードするFOPの責任遺伝子である。家族性、および孤発性FOP症例からは、アミノ酸置換を伴った変異型ALK2が見出されている。ヒトALK2の変異型としては、L196P(196番目のロイシンがプロリンに置換された変異)、delP197_F198insL(197番目のプロリン及び198番目のフェニルアラニンが欠失し、ロイシンが挿入された変異)、R202I(202番目のアルギニンがイソロイシンに置換された変異)、R206H(206番目のアルギニンがヒスチジンに置換された変異)、Q207E(207番目のグルタミンがグルタミン酸に置換された変異)、R258S(258番目のアルギニンがセリンに置換された変異)、R258G(258番目のアルギニンがグリシンに置換された変異)、G325A(325番目のグリシンがアラニンに置換された変異)、G328E(328番目のグリシンがグルタミン酸に置換された変異)、G328R(328番目のグリシンがアルギニンに置換された変異)、G328W(328番目のグリシンがトリプトファンに置換された変異)、G356D(356番目のグリシンがアスパラギン酸に置換された変異)、R375P(375番目のアルギニンがプロリンに置換された変異)等が知られている。
【0098】
本発明で用いるALK2は、in vitroにて合成する、あるいは遺伝子操作により宿主細胞に産生させることによって得ることができる。具体的には、ALK2 cDNAを発現可能なベクターに組み込んだ後、転写と翻訳に必要な酵素、基質及びエネルギー物質を含む溶液中で合成する、あるいは他の原核生物、又は真核生物の宿主細胞を形質転換させることによってALK2を発現させることにより、該蛋白質を得ることが出来る。
【0099】
本発明で用いるALK2はヒトやマウスを含む哺乳動物由来のALK2であり、例えばヒトALK2のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、GenBankアクセッション番号NM-001105を参照することにより入手可能であり、アミノ酸配列は配列番号84、ヌクレオチド配列は配列番号85として本明細書中にも開示されている。マウスALK2のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、GenBankアクセッション番号NP-001103674を参照することにより入手可能であり、アミノ酸配列は配列番号86、ヌクレオチド配列は配列番号87として本明細書中にも開示されている。なお、ALK2は、ACVR1(Activin A type I Receptor 1)又はACTR1(Activin Receptor Type 1)と呼ばれることがあり、これらは全て同じ分子を示している。
【0100】
ALK2のcDNAは、例えば、ALK2のcDNAを発現しているcDNAライブラリーを鋳型として、ALK2のcDNAを特異的に増幅するプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(以下「PCR」という)(Saiki,R. K.,et al.,Science,(1988)239,487-49)を行なう、いわゆるPCR法により取得することができる。
【0101】
なお、ヒト又はマウスのALK2をコードするヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、ALK2と同等の生物活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドもALK2のcDNAに含まれる。さらに、ヒト若しくはマウスALK2遺伝子座から転写されるスプライシングバリアント又はこれにストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ、ALK2と同等の生物活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドもALK2のcDNAに含まれる。
【0102】
また、ヒト又はマウスのALK2のアミノ酸配列、又はこれらの配列からシグナル配列が除かれたアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2と同等の生物活性を有する蛋白質もALK2に含まれる。さらに、ヒト若しくはマウスALK2遺伝子座から転写されるスプライシングバリアントにコードされるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ALK2と同等の生物活性を有する蛋白質もALK2に含まれる。
【0103】
3.異所性骨化及び/又は骨形成異常の検出
ALK2を介したBMPシグナル伝達により、異所性骨化及び/又は骨形成異常が惹起される。
【0104】
「異所性骨化」とは、本来骨がない部位に骨ができることを意味し、「骨形成異常」とは、既存の骨の形や質に異常があることを意味する。「異所性骨化」としては、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、人工関節置換術後の異所性骨化等を、「骨形成異常」としては、脊椎関節炎(SpA)、強直性脊椎炎(AS)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0105】
ALK2は、BMPを結合する膜貫通型のセリン・スレオニン・キナーゼ受容体であり、N末端側の細胞外領域でBMPを結合し、細胞内のセリン・スレオニン・キナーゼによって下流の細胞内情報伝達系を活性化する。骨形成蛋白質(BMP)は、形成転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーに属する多機能成長因子であり、約20のBMPファミリーメンバーが同定されている。BMPは骨格筋組織を含む軟組織において異所性骨形成を誘導することが確認されていることから、異常な骨形成を促進する疾患に関与していると考えられている。BMP-2やBMP-4は、ALK2に比べてALK3に親和性が高いと考えられている。ALK3は、ALK2に比べてユビキタスに発現していることから、さまざまな部位で異所性骨化を誘導する実験ではBMP-2やBMP-4が一般的によく用いられていると考えられる。一方、BMP-7は比較的ALK2に対する親和性が高く、またBMP-9は一般的にALK1に親和性が高いとが考えられているが、ALK2に対しても比較的高い親和性をもっていることが分かっている。FOPではALK2を介した異所性骨化が起こっていることから、BMP-7及びBMP-9によるALK2を介したシグナルの活性化による異所性骨誘導に対する薬効を検証することで、FOPに対する治療及び/又は予防効果の有無を確認することができると考えられる。
【0106】
筋芽細胞(C2C12細胞)をBMP存在下で培養すると、BMPに特異的な細胞内シグナル伝達機構により成熟筋細胞への分化が抑制され、代わりに骨芽細胞への分化が誘導される。したがって、C2C12細胞を用いたBMPによる骨芽細胞への分化誘導モデルにより、ALK2を介したBMPシグナル伝達を解析することができる。
【0107】
4.抗ALK2抗体の製造
本発明のALK2に対する抗体は、例えば、WO2009/091048、WO2011/027808、又はWO2012/133572に記載の方法で得ることができる。すなわち、非ヒト動物を目的抗原で免疫し、免疫成立後の動物からリンパ液、リンパ組織、血球試料又は骨髄由来の細胞を採取し、目的抗原に特異的に結合する非ヒト動物の形質細胞及び/又は形質芽細胞を選択する。得られた形質細胞及び/又は形質芽細胞から目的抗原に対する抗体遺伝子を採取し、その塩基配列を同定し、同定した遺伝子の塩基配列に基づいて上記抗体又は抗体の断片を得ることができる。また、ヒト感染患者の血液から同様に形質細胞及び/又は形質芽細胞を得ることにより、抗体又は抗体断片を得ることができる。取得された抗体はALK2に対する結合性を試験することによって、ヒトの疾患に適用可能な抗体を選別できる。このようにして得られたモノクローナル抗体の例としては、A2-11E、A2-15A、A2-25C、A2-27Dを挙げることができる。
【0108】
なお、本明細書中、抗体を特徴付けるCDR/FRに割り当てられるアミノ酸位置は、KABATナンバリング(KABAT et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service National Institutes of Health, Bethesda,MD. (1991))に従って割り付けられる。
【0109】
また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein,Nature (1975)256,p.495-497、Kennet,R.ed.,Monoclonal Antibodies,p.365-367,Plenum Press,N.Y.(1980))に従って、ALK2に対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立し、モノクローナル抗体を得ることもできる。このような方法の具体的な例は、WO2009/48072(2009年4月16日公開)及びWO2010/117011(2010年10月14日公開)に記載されている。しかし、モノクローナル抗体を取得する方法は、既に確立された分野に該当し、前記の具体例に限定されるものではない。
【0110】
本発明の抗体には、上記ALK2に対するモノクローナル抗体に加え、同様に治療/予防効果を有する、例えばポリクローナル抗体や、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体、ヒト抗体なども含まれる。これらの抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
【0111】
キメラ抗体としては、抗体の可変領域と定常領域(Fc)が互いに異種である抗体、例えばマウス又はラット由来抗体の可変領域をヒト由来の定常領域に接合したキメラ抗体を挙げることができる(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,6851-6855(1984)参照)。A2-15A由来のキメラ抗体の一例として、配列表の配列番号20の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号22の21乃至237番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体、A2-27D由来のキメラ抗体の一例として、配列表の配列番号24の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号26の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0112】
ヒト化抗体としては、CDRのみをヒト由来の抗体に組み込んだ抗体(Nature(1986)321,p.522-525参照)、CDR移植法によって、CDRの配列に加え一部のフレームワークのアミノ酸残基もヒト抗体に移植した抗体(国際公開第WO90/07861号パンフレット)を挙げることができる。
【0113】
A2-15A抗体由来のヒト化抗体としては、A2-15Aの6種全てのCDR配列を含み、ALK2に対する結合活性を持つ限り、本発明の抗体に含まれる。なお、A2-15A抗体の重鎖可変領域は、配列番号59に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1(GFTFSHYYMA)、配列番号60に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2(SITNSGGSINYRDSVKG)、及び配列番号61に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3(EGGENYGGYPPFAY)を含む。また、A2-15A抗体の軽鎖可変領域は、配列番号62に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1(RANQGVSLSRYNLMH)、配列番号63に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2(RSSNLAS)、及び配列番号64に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3(QQSRESPFT)を含む。これらのCDRのアミノ酸配列は、
図11にも記載されている。
【0114】
A2-27D抗体由来のヒト化抗体としては、A2-27Dの6種全てのCDR配列を含み、ALK2に対する結合活性を持つ限り、本発明の抗体に含まれる。なお、A2-27D抗体の重鎖可変領域は、配列番号65に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1(GSTFSNYGMK)、配列番号66に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2(SISRSSTYIYYADTVKG)、及び配列番号67に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3(AISTPFYWYFDF)を含む。また、A2-27D抗体の軽鎖可変領域は、配列番号68に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1(LASSSVSYMT)、配列番号69に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2(GTSNLAS)、及び配列番号70に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3(LHLTSYPPYT)を含む。これらのCDRのアミノ酸配列は、
図12にも記載されている。
【0115】
A2-11E抗体由来のヒト化抗体としては、A2-11Eの6種全てのCDR配列を含み、ALK2に対する結合活性を持つ限り、本発明の抗体に含まれる。なお、A2-11E抗体の重鎖可変領域は、配列番号72に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1(GFTFSNYYMY)、配列番号73に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2(SINTDGGSTYYPDSVKG)、及び配列番号74に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3(STPNIPLAY)を含む。また、A2-11E抗体の軽鎖可変領域は、配列番号75に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1(KASQNIYKYLN)、配列番号76に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2(YSNSLQT)、及び配列番号77に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3(FQYSSGPT)を含む。これらのCDRのアミノ酸配列は、
図13にも記載されている。
【0116】
A2-25C抗体由来のヒト化抗体としては、A2-25Cの6種全てのCDR配列を含み、ALK2に対する結合活性を持つ限り、本発明の抗体に含まれる。なお、A2-25C抗体の重鎖可変領域は、配列番号78に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1(GFTFSYYAMS)、配列番号79に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2(SISRGGDNTYYRDTVKG)、及び配列番号80に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3(LNYNNYFDY)を含む。また、A2-25C抗体の軽鎖可変領域は、配列番号81に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1(QASQDIGNWLS)、配列番号82に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2(GATSLAD)、及び配列番号83に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3(LQAYSAPFT)を含む。これらのCDRのアミノ酸配列は、
図14にも記載されている。
【0117】
また、さらに各CDR中の1乃至3個のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したCDR改変ヒト化抗体も、ALK2に対する結合活性を持つ限り、本発明の抗体に含まれる。CDRL2におけるアミノ酸置換例としては、配列番号34に示されるアミノ酸配列において、1個のアミノ酸を置換したCDRL2を挙げることができる。好ましくは、配列番号71に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2(RSSNLAQ)である。このCDRのアミノ酸配列は、
図11にも記載されている。
【0118】
A2-15A抗体由来のヒト化抗体の実例としては、配列表の配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列表の配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号38に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖の任意の組合せを挙げることができる。
【0119】
好適な組合せとしては、配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号38に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0120】
より好適な組合せとしては、配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号28に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号38に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0121】
さらに好適な組合せとしては、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至142番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至133番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0122】
さらにより好適な組合せとしては、配列番号30に示されるアミノ酸配列の20乃至472番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0123】
最も好適な組合せとしては、配列番号105に示されるアミノ酸配列の20乃至468番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号36に示されるアミノ酸配列の21乃至238番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0124】
A2-27D抗体由来のヒト化抗体の実例としては、配列表の配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列表の配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列表の配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列表の配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号48に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号58に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖の任意の組合せを挙げることができる。
【0125】
好適な組合せとしては、配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号58に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号48に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0126】
より好適な組合せとしては、配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号40に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号50に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号54に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号46に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号58に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号48に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0127】
さらに好適な組合せとしては、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至140番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0128】
さらにより好適な組合せとしては、配列番号42に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号44に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0129】
最も好適な組合せとしては、配列番号107に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号52に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号109に示されるアミノ酸配列の20乃至470番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号56に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0130】
A2-11E抗体由来のヒト化抗体の実例としては、配列表の配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖の任意の組合せを挙げることができる。
【0131】
好適な組合せとしては、配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至128番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0132】
より好適な組合せとしては、配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号111に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号115に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号117に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号113に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号119に示されるアミノ酸配列の21乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0133】
A2-25C抗体由来のヒト化抗体の実例としては、配列表の配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、又は配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖の任意の組合せを挙げることができる。
【0134】
好適な組合せとしては、配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至137番目のアミノ酸残基からなる重鎖可変領域配列を含む重鎖及び配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至129番目のアミノ酸残基からなる軽鎖可変領域配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0135】
より好適な組合せとしては、配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号121に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号125に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号127に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体、又は配列番号123に示されるアミノ酸配列の20乃至467番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号129に示されるアミノ酸配列の21乃至234番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0136】
本発明の抗体としては、さらに、ヒト抗体を挙げることができる。抗ALK2ヒト抗体とは、ヒト染色体由来の抗体の遺伝子配列のみを有するヒト抗体を意味する。抗ALK2ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト抗体産生マウスを用いた方法(Tomizuka,K.et al.,Nature Genetics(1997)16,p.133-143,; Kuroiwa,Y.et.al.,Nucl.Acids Res.(1998)26,p.3447-3448;Yoshida, H.et.al.,Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10,p.69-73(Kitagawa, Y.,Matsuda,T.and Iijima,S.eds.),Kluwer Academic Publishers,1999.;Tomizuka,K.et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97,p.722-727等を参照。)によって取得することができる。
【0137】
このようなヒト抗体産生マウスは、具体的には、内在性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が破壊され、代わりにヒト人工染色体(Human artificial chromosome,HAC)ベクターやマウス人工染色体(Mouse artificial chromosome,MAC)ベクターなどのベクターを介してヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が導入された遺伝子組み換え動物を、ノックアウト動物及びトランスジェニック動物の作製、及びこれらの動物同士を掛け合わせることにより作り出すことができる。
【0138】
また、遺伝子組換え技術により、そのようなヒト抗体の重鎖及び軽鎖の各々をコードするcDNA、好ましくは該cDNAを含むベクターにより真核細胞を形質転換し、遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞を培養することにより、この抗体を培養上清中から得ることもできる。ここで、宿主としては例えば真核細胞、好ましくはCHO細胞、リンパ球やミエローマ等の哺乳動物細胞を用いることができる。
【0139】
また、ヒト抗体ライブラリーより選別したファージディスプレイ由来のヒト抗体を取得する方法(Wormstone,I.M.et.al,Investigative Ophthalmology & Visual Science.(2002)43(7),p.2301-2308;Carmen,S.et.al.,Briefings in Functional Genomics and Proteomics(2002),1(2),p.189-203;Siriwardena,D.et.al.,Ophthalmology(2002)109(3),p.427-431等参照。)も知られている。
【0140】
例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージ表面に発現させて、抗原に結合するファージを選択するファージディスプレイ法(Nature Biotechnology(2005),23,(9),p.1105-1116)を用いることができる。抗原に結合することで選択されたファージの遺伝子を解析することによって、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を有する発現ベクターを作製し、適当な宿主に導入して発現させることによりヒト抗体を取得することができる(WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、WO93/19172、WO95/01438、WO95/15388、Annu.Rev.Immunol(1994)12,p.433-455、Nature Biotechnology(2005)23(9),p.1105-1116)。
【0141】
本発明の提供する抗体と同じエピトープを有する抗体も本発明の抗体に含まれる。例えば、A2-11E抗体、A2-15A抗体、A2-25C抗体及び/又はA2-27D抗体と同じエピトープを有する抗体が挙げられる。
【0142】
抗体が抗原の部分高次構造に結合又は認識している場合、かかる抗体のエピトープは、X線構造解析を用いて、当該抗体に隣接する抗原上のアミノ酸残基を特定することにより決定することができる。例えば、抗体又はその断片および抗原又はその断片を結合させて結晶化し、構造解析を行うことにより、抗体と相互作用距離を有する抗原上のアミノ酸残基を特定することができる。相互作用距離は8オングストローム(Å)以下であり、好適には6Å以下であり、より好適には4Å以下である。そのような抗体との相互作用距離を有するアミノ酸残基は1つまたはそれ以上で抗体のエピトープ(抗原結合部位)を構成し得る。かかるアミノ酸残基が2つ以上の場合、各アミノ酸は一次配列上で互いに隣接していなくてもよい。
【0143】
キメラA2-27D抗体のFabフラグメントとヒトALK2のECD断片(配列番号84のアミノ酸番号21乃至123)を含むペプチドを結合させ、(2%(v/v) Tacsimate pH7.0, 100mM HEPES pH 7.5, 20%(w/v) Polyethylene Glycol 3,350)の条件下で結晶化させると、体心単斜晶系で空間群がC121、結晶の単位格子がa=c=119.39Å、b=37.32Å,β=92.54の結晶が得られる。その三次元構造座標を用いて分子置換法を行い、位相を決定することができる(実施例16参照)。
【0144】
A2-27D抗体は、ヒトALK2上の部分高次構造を認識する。ヒトALK2のアミノ酸配列(配列番号84)中、A2-27D抗体と相互作用距離を有するアミノ酸残基、すなわちエピトープは、18番目のグルタミン酸(Glu),19番目のグリシン(Gly),39番目のイソロイシン(Ile),40番目のアスパラギン(Asn),41番目のアスパラギン酸(Asp),42番目のグリシン(Gly),43番目のフェニルアラニン(Phe),44番目のヒスチジン(His),45番目のバリン(Val),46番目のチロシン(Tyr),82番目のアスパラギン(Asn),84番目のトレオニン(Thr),86番目のグルタミン(Gln),及び87番目のロイシン(Leu)の各残基から構成される。かかるエピトープに結合するか、または、かかるアミノ酸残基と相互作用距離を有する抗体、その抗原結合断片またはその修飾体も、本発明の抗体、その抗原結合断片またはその修飾体に包含される。
【0145】
キメラA2-25C抗体のFabフラグメントとヒトALK2のECD断片(配列番号84のアミノ酸番号21乃至123)を含むペプチドを結合させ、(0.15M Li2SO4,0.1M NaCitrate pH3.4,18%(w/v)PEG6,000,20%(v/v) Ethylene Glycol)の条件下で結晶化させると、直方晶系で空間群がP212121、結晶の単位格子がa=74.49Å,b=128.05Å、c=147.73Åの結晶が得られる。その三次元構造座標を用いて分子置換法を行い、位相を決定することができる(実施例21参照)。
【0146】
A2-25C抗体は、ヒトALK2上の部分高次構造を認識する。ヒトALK2のアミノ酸配列(配列番号84)中、A2-25C抗体と相互作用距離を有するアミノ酸残基、すなわちエピトープは、18番目のグルタミン酸(Glu),19番目のグリシン(Gly),20番目のロイシン(Leu),39番目のイソロイシン(Ile),41番目のアスパラギン酸(Asp),42番目のグリシン(Gly),43番目のフェニルアラニン(Phe),44番目のヒスチジン(His),45番目のバリン(Val),46番目のチロシン(Tyr),及び84番目のトレオニン(Thr)の各残基から構成される。かかるエピトープに結合するか、または、かかるアミノ酸残基と相互作用距離を有する抗体、その抗原結合断片またはその修飾体も、本発明の抗体、その抗原結合断片またはその修飾体に包含される。
【0147】
上記の抗体は、実施例2、実施例6、実施例9又は実施例10に示された方法等によって抗原に対する結合性を評価し、好適な抗体を選抜することができる。抗体の解離定数は、例えば1×10-6-1×10-12Mであるが、本発明の抗体による目的の治療又は予防効果が得られる限り、この範囲に限定されない。抗体と抗原(ALK2)との解離定数は表面プラズモン共鳴(SPR)を検出原理とするビアコアT200(GE Healthcare Bioscience社)を使用して測定することができる。例えば、リガンドとして固相化した抗原に対し、適当な濃度に設定した抗体をアナライトと反応させ、その結合および解離を測定することにより、結合速度定数ka1、解離速度定数kd1および解離定数(KD;KD=kd1/ka1)を得ることができる。ALK2に対する結合性評価は、ビアコアT200の使用に限定されず、表面プラズモン共鳴(SPR)を検出原理とする機器、結合平衡除外法(Kinetic Exclusion Assay)を検出原理とするKinExA(Sapidyne Instruments社)、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)を検出原理とするBLItzシステム(Pall社)あるいはELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法等によっても可能である。
【0148】
抗体の性質を比較する際の別の指標の一例としては、抗体の安定性を挙げることができる。示差走査カロリメトリー(DSC)は、蛋白の相対的構造安定性の良い指標となる熱変性中点(Tm)を素早く、また正確に測定することができる方法である。DSCを用いてTm値を測定し、その値を比較することによって、熱安定性の違いを比較することができる。抗体の保存安定性は、抗体の熱安定性とある程度の相関を示すことが知られており(Lori Burton,et. al.,Pharmaceutical Development and Technology(2007)12,p.265-273)、熱安定性を指標に、好適な抗体を選抜することができる。抗体を選抜するための他の指標としては、適切な宿主細胞における収量が高いこと、及び水溶液中での凝集性が低いことを挙げることができる。例えば収量の最も高い抗体が最も高い熱安定性を示すとは限らないので、以上に述べた指標に基づいて総合的に判断して、ヒトへの投与に最も適した抗体を選抜する必要がある。
【0149】
また、抗体の重鎖及び軽鎖の全長配列を適切なリンカーを用いて連結し、一本鎖イムノグロブリン(single chain immunoglobulin)を取得する方法も知られている(Lee,H-S,et.al.,Molecular Immunology(1999)36,p.61-71;Shirrmann,T.et.al.,mAbs(2010),2,(1)p.1-4)。このような一本鎖イムノグロブリンは二量体化することによって、本来は四量体である抗体と類似した構造と活性を保持することが可能である。また、本発明の抗体は、単一の重鎖可変領域を有し、軽鎖配列を有さない抗体であっても良い。このような抗体は、単一ドメイン抗体(single domain antibody:sdAb)またはナノボディ(nanobody)と呼ばれており、実際にラクダ又はラマで観察され、抗原結合能が保持されていることが報告されている(Muyldemans S.et.al.,Protein Eng.(1994)7(9),1129-35,Hamers-Casterman C.et.al.,Nature(1993)363(6428)446-8)。上記の抗体は、本発明における抗体の抗原結合断片の一種と解釈することも可能である。
【0150】
また、本発明の抗体に結合している糖鎖修飾を調節することによって、抗体依存性細胞障害活性を増強することが可能である。抗体の糖鎖修飾の調節技術としては、WO99/54342、WO2000/61739、WO2002/31140等が知られているが、これらに限定されるものではない。
【0151】
抗体遺伝子を一旦単離した後、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。
【0152】
抗体遺伝子の具体例としては、本明細書に記載された抗体の重鎖配列をコードする遺伝子(もしくはポリヌクレオチド)、軽鎖配列をコードする遺伝子(もしくはポリヌクレオチド)、あるいは、それら遺伝子(もしくはポリヌクレオチド)を組み合わせたものを挙げることができる。
【0153】
抗体又は抗体構成成分(重鎖又は軽鎖)をコードするポリヌクレオチドの具体例は以下のとおりである。
【0154】
(1)以下のポリヌクレオチド(a)及び/又は(b)である。
(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号27に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号29に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) 配列番号104に示されるヌクレオチド配列の58乃至426番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a4) a1)乃至a3)のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a5) a1)乃至a3)のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a6) a1)乃至a3)のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a7) a1)又はa2)のヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号31に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号33に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号35に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) 配列番号37に示されるヌクレオチド配列の86乃至424番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b5) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b8) b1)乃至b4)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0155】
(2)以下のポリヌクレオチド(a)及び/又は(b)である。
(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号39に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号41に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) 配列番号43に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a4) 配列番号45に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a5) 配列番号47に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a6) 配列番号106に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a7) 配列番号108に示されるヌクレオチド配列の58乃至420番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a8) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a9) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a10) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a11) a1)乃至a7)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号49に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号51に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号53に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) 配列番号55に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b5) 配列番号57に示されるヌクレオチド配列の86乃至412番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b8) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b9) b1)乃至b5)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0156】
(3)以下のポリヌクレオチド(a)及び/又は(b)である。
(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号110に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号112に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a4) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a5) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a6) a1)又はa2)のヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号114に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号116に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号118に示されるヌクレオチド配列の61乃至384番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b5) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0157】
(4)以下のポリヌクレオチド(a)及び/又は(b)である。
(a)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
a1) 配列番号120に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a2) 配列番号122に示されるヌクレオチド配列の58乃至411番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
a3) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a4) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
a5) a1)又はa2)のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
a6) a1)又はa2)のヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;及び/或いは
(b)以下のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
b1) 配列番号124に示されるヌクレオチド配列の61乃至387番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b2) 配列番号126に示されるヌクレオチド配列の61乃至387番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b3) 配列番号128に示されるヌクレオチド配列の61乃至387番目のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列;
b4) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b5) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と少なくとも99%の同一性を持つヌクレオチド配列;
b6) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが保有するヌクレオチド配列;
b7) b1)乃至b3)から選択されるいずれか一つのヌクレオチド配列に1乃至数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加されたヌクレオチド配列;
を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【0158】
宿主細胞を形質転換する際には、重鎖配列遺伝子(もしくはポリヌクレオチド)と軽鎖配列遺伝子(もしくはポリヌクレオチド)は、同一の発現ベクターに挿入されていることが可能であり、又別々の発現ベクターに挿入されていることも可能である。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真核微生物を用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman,Y.Cell(1981)23,p.175-182、ATCC CRL-1650)、マウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL-1658)やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO細胞、ATCC CCL-61)のジヒドロ葉酸還元酵素欠損株(Urlaub,G.and Chasin,L.A.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1980)77,p.4126-4220)を挙げることができる。また、原核細胞を使用する場合は、例えば、大腸菌、枯草菌を挙げることができる。これらの細胞に目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。以上の培養法においては抗体の配列によって収量が異なる場合があり、同等な結合活性を持つ抗体の中から収量を指標に医薬としての生産が容易なものを選別することが可能である。
【0159】
本発明の抗体のアイソタイプとしての制限はなく、例えばIgG(IgG1,IgG2,IgG3,IgG4)、IgM、IgA(IgA1,IgA2)、IgDあるいはIgE等を挙げることができるが、好ましくはIgG又はIgM、さらに好ましくはIgG1、IgG2又はIgG4を挙げることができる。
【0160】
本発明の抗体のアイソタイプとしてIgG1を用いる場合は、定常領域のアミノ酸残基の一部を置換することによって、エフェクター機能を調整することが可能である(WO88/07089、WO94/28027、WO94/29351参照)。IgG1の変異体としては、IgG1 LALA(IgG1-L234A,L235A)、IgG1 LAGA(IgG1-L235A,G237A)等が挙げられ、好ましくはIgG1 LALAである。
【0161】
本発明の抗体のアイソタイプとしてIgG4を用いる場合は、定常領域のアミノ酸残基の一部を置換することによって、IgG4特有の分割が抑制され、半減期を延長することが可能である(Molecular Immunology, 30, 1 105-108(1993)参照)。IgG4の変異体としては、IgG4 pro(IgG4-S241P)等が挙げられる。
【0162】
また本発明の抗体は、抗体の抗原結合部を有する抗体の抗原結合断片又はその修飾物であってもよい。抗体をパパイン、ペプシン等の蛋白質分解酵素で処理するか、あるいは抗体遺伝子を遺伝子工学的手法によって改変し適当な培養細胞において発現させることによって、該抗体の断片を得ることができる。このような抗体断片のうちで、抗体全長分子の持つ機能の全て又は一部を保持している断片を抗体の抗原結合断片と呼ぶことができる。抗体の機能としては、一般的には抗原結合活性、抗原の活性を阻害する活性、抗原の活性を増強する活性、抗体依存性細胞障害活性、補体依存性細胞障害活性、及び補体依存性細胞性細胞障害活性を挙げることができる。本発明における抗体の抗原結合断片が保持する機能は、ALK2に対する結合活性であり、好ましくはALK2の活性を阻害する活性であり、より好ましくはALK2を介したBMPシグナル伝達を抑制する活性であり、最も好ましくは異所性骨化及び/又は骨形成異常を抑制する活性である。
【0163】
例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv、又は重鎖及び軽鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)、ダイアボディ(diabodyもしくはdiabodies)、線状抗体、及び抗体断片より形成された多特異性抗体などを挙げることができる。また、F(ab’)2を還元条件下で処理した抗体の可変領域の一価の断片であるFab’も抗体の断片に含まれる。
【0164】
さらに、本発明の抗体は少なくとも2種類の異なる抗原に対して特異性を有する多特異性抗体であってもよい。通常このような分子は2種類の抗原に結合するものであるが(即ち、二重特異性抗体(bispecific antibody))、本発明における「多特異性抗体」は、それ以上(例えば、3種類)の抗原に対して特異性を有する抗体を包含するものである。
【0165】
本発明の多特異性抗体は、全長からなる抗体、又はそのような抗体の断片(例えば、二重特異性抗体)でもよい。二重特異性抗体は2種類の抗体の重鎖と軽鎖(HL対)を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製することによっても、作製することができる(Millstein et al.,Nature(1983)305,p.537-539)。
【0166】
本発明の抗体は一本鎖抗体(scFvとも記載する)でもよい。一本鎖抗体は、抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをポリペプチドのリンカーで連結することにより得られる(Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,113(Rosenberg及びMoore編、Springer Verlag,New York,p.269-315(1994)、Nature Biotechnology(2005),23,p.1126-1136)。また、2つのscFvをポリペプチドリンカーで結合させて作製されるBiscFv断片を二重特異性抗体として使用することもできる。
【0167】
一本鎖抗体を作製する方法は当技術分野において周知である(例えば、米国特許第4,946,778号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号等を参照)。このscFvにおいて、重鎖可変領域と軽鎖可変領域は、コンジュゲートを作らないようなリンカー、好ましくはポリペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988),85,p.5879-5883)。scFvにおける重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、同一の抗体に由来してもよく、別々の抗体に由来してもよい。可変領域を連結するポリペプチドリンカーとしては、例えば12~19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。
【0168】
scFvをコードするDNAは、前記抗体の重鎖又は重鎖可変領域をコードするDNA、及び軽鎖又は軽鎖可変領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにポリペプチドリンカー部分をコードするDNA、及びその両端が各々重鎖、軽鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅することにより得られる。
【0169】
また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、及び該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。これらの抗体断片は、前記と同様にして遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。
【0170】
本発明の抗体は、多量化して抗原に対する親和性を高めたものであってもよい。多量化する抗体としては、1種類の抗体であっても、同一の抗原の複数のエピトープを認識する複数の抗体であってもよい。抗体を多量化する方法としては、IgG CH3ドメインと2つのscFvとの結合、ストレプトアビジンとの結合、へリックスーターン‐へリックスモチーフの導入等を挙げることができる。
【0171】
本発明の抗体は、アミノ酸配列が異なる複数種類の抗ALK2抗体の混合物である、ポリクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体の一例としては、CDRが異なる複数種類の抗体の混合物を挙げることができる。そのようなポリクローナル抗体としては、異なる抗体を産生する細胞の混合物を培養し、該培養物から精製された抗体を用いることが出来る(WO2004/061104参照)。
【0172】
本発明の抗体は、上記の抗体の重鎖及び/又は軽鎖と比較して80%乃至99%との同一性を有する抗体であってもよい。ここで「同一性」なる用語は、当分野で使用される一般的な定義を有するものとする。同一性の%は、2つのアミノ酸配列をアミノ酸の一致度が最大となるように整列(アラインメント)させたとき総アミノ酸数(ギャップを含む。)あたりの同一アミノ酸数のパーセンテージを指す。上記の重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列と高い同一性を示す配列を組み合わせることによって、上記の各抗体と同等の抗原結合能、BMPシグナル伝達の抑制作用を有する抗体を選択することが可能である。このような同一性は、一般的には80%以上の同一性であり、好ましくは90%以上の同一性であり、より好ましくは95%以上の同一性であり、最も好ましくは99%以上の同一性である。また、重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されたアミノ酸配列を組み合わせることによっても、上記の各抗体と同等の各種作用を有する抗体を選択することが可能である。置換、欠失及び/又は付加されるアミノ酸残基数は、一般的には10アミノ酸残基以下であり、好ましくは5乃至6アミノ酸残基以下であり、より好ましくは2乃至3アミノ酸残基以下であり、最も好ましくは1アミノ酸残基である。
【0173】
なお、哺乳類培養細胞で生産される抗体の重鎖のカルボキシル末端のリジン残基が欠失することが知られており(Journal of Chromatography A,705:129-134(1995))、また、同じく重鎖カルボキシル末端のグリシン、リジンの2アミノ酸残基が欠失し、新たにカルボキシル末端に位置するプロリン残基がアミド化されることが知られている(Analytical Biochemistry,360:75-83(2007))。
【0174】
さらにまた、抗体の作製時に、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端のグルタミン又はグルタミン酸残基がピログルタミル化修飾されることが知られており、本発明の抗体はそのような修飾を有していてもよい(WO2013/147153)。
【0175】
しかし、これらの重鎖配列の欠失、或いは、重鎖又は軽鎖配列の修飾は、抗体の抗原結合能及びエフェクター機能(補体の活性化や抗体依存性細胞障害作用など)には影響を及ぼさない。
【0176】
従って、本発明には当該欠失又は修飾を受けた抗体も含まれ、重鎖カルボキシル末端において1又は2つのアミノ酸が欠失した欠失体、及びアミド化された当該欠失体(例えば、カルボキシル末端部位のプロリン残基がアミド化された重鎖)、重鎖又は軽鎖のアミノ末端アミノ酸残基がピログルタミル化された抗体、等を挙げることができる。但し、抗原結合能及びエフェクター機能が保たれている限り、本発明に係る抗体の重鎖のカルボキシル末端の欠失体は上記の種類に限定されない。本発明に係る抗体を構成する2本の重鎖は、完全長及び上記の欠失体からなる群から選択される重鎖のいずれか一種であっても良いし、いずれか二種を組み合わせたものであっても良い。各欠失体の量比は本発明に係る抗体を産生する哺乳類培養細胞の種類及び培養条件に影響を受け得るが、本発明に係る抗体の主成分としては2本の重鎖の双方でカルボキシル末端の1つのアミノ酸残基が欠失している場合を挙げることができる。
【0177】
二種類のアミノ酸配列間の同一性は、Blast algorithm version 2.2.2(Altschul, Stephen F.,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J.Lipman(1997),「Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs」,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)のデフォルトパラメーターを使用することによって決定することができる。Blast algorithmは、インターネットでwww.ncbi.nlm.nih.gov/blastにアクセスすることによっても使用することができる。なお、上記のBlast algorithmによってIdentity(又はIdentities)及びPositivity(又はPositivities)の2種類のパーセンテージの値が計算される。前者は同一性を求めるべき二種類のアミノ酸配列の間でアミノ酸残基が一致した場合の値であり、後者は化学構造の類似したアミノ酸残基も考慮した数値である。本明細書においては、アミノ酸残基が一致している場合のIdentity(同一性)の値を持って同一性の値とする。
【0178】
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。
【0179】
本発明の抗体は、更にこれらの抗体と他の薬剤がコンジュゲートを形成しているもの(Immunoconjugate)でもよい。このような抗体の例としては、該抗体が放射性物質や薬理作用を有する化合物と結合している物を挙げることができる(Nature Biotechnology(2005)23,p.1137-1146)。
【0180】
得られた抗体は、均一にまで精製することができる。抗体の分離、精製は通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えばカラムクロマトグラフィー、フィルター濾過、限外濾過、塩析、透析、調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離、精製することができる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual,Daniel R.Marshak et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory(1988))が、これらに限定されるものではない。
【0181】
クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等を挙げることができる。
【0182】
これらのクロマトグラフィーは、HPLCやFPLC等の液体クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
【0183】
アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラムを挙げることができる。
【0184】
例えばプロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.(GEヘルスケア)等を挙げることができる。
【0185】
また抗原を固定化した担体を用いて、抗原への結合性を利用して抗体を精製することも可能である。
【0186】
5.抗ALK2抗体を含有する医薬
上述の「4.抗ALK2抗体の製造」の項に記載された方法で得られる抗ALK2抗体の中から、ALK2の生物活性を阻害する抗体を得ることができる。これらALK2の生物活性を阻害する抗体は、生体内でのALK2の生物活性、すなわちALK2を介するBMPシグナル伝達を阻害することから、医薬として、異所性骨化及び/又は骨形成異常に対する治療及び/又は予防剤、又は貧血に対する治療及び/又は予防剤として用いることができる。
【0187】
抗ALK2抗体で治療及び/又は予防可能な疾患としては、例えば、進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、人工関節置換術後の異所性骨化、脊椎関節炎(SpA)、強直性脊椎炎(AS)、貧血、びまん性橋膠腫(DIPG)、薄毛等を挙げることができ、好ましくは進行性骨化性線維形成異常症(FOP)、進行性骨異形成(POH)、外傷性の異所性骨化、又は人工関節置換術後の異所性骨化であり、より好ましくは進行性骨化性線維形成異常症(FOP)であるが、ALK2を介したBMPシグナル伝達に起因する疾患であれば、これらに限定されない。FOPの患者には手足の指の癒合又は変形、頚椎の癒合又は変形なども見られ、難聴も認められるが、これらもALK2を介したBMPシグナル伝達に起因する疾患に含まれる。
【0188】
全てのFOPの患者ではALK2に活性化型変異が認められており、これまでに10種類以上の変異の種類が報告されている。それら変異は全てALK2蛋白質の細胞内領域に存在するアミノ酸変異(ミスセンス変異)であることが分かっており、細胞外領域のアミノ酸配列には変化がない。本発明の抗体はALK2の細胞外領域に結合することから、変異の種類に寄らず、全てのFOPの患者に対する治療及び/又は予防剤として用いることができる。
【0189】
FOPの治療とは、FOPの症状の治癒、症状の改善、症状の軽減、又は症状の進行の抑制を意味する。
【0190】
FOPの予防とは、フレアアップ又は異所性骨化が発症することを回避又は抑制することを意味する。
【0191】
また、本発明の抗体は変異ALK2だけでなく野生型のALK2にも結合し、下流のシグナルを阻害するため、FOPとは異なる非遺伝性の異所性骨化に対しても治療及び/又は予防剤として用いることができる。非遺伝性の異所性骨化としては脳挫傷後の異所性骨化、脊髄損傷後の異所性骨化、熱傷後の異所性骨化、人工関節置換術後の異所性骨化などが挙げられる。それら非遺伝性の異所性骨化の原因として神経ペプチドや肥満細胞・マクロファージなどの免疫系細胞の関与が報告されており(J.Cell. Biochem.,112,10(2011)、J.Cell. Biochem.,112,10(2011)、及びJ.Pathol.,236,2(2015)参照。)、FOPの患者におけるフレアアップにおいても同様のメカニズムが関わっていることが示唆されている(Hum.Pahol.,32,8(2001)、及びHistol.Histopathol.,29,10(2014)参照。)。したがって、本発明の抗体はFOPにおける異所性骨化のみならず、非遺伝性の異所性骨化の治療及び/又は予防剤としても用いることができる。
【0192】
貧血のBMP-ALKシグナル伝達経路によって転写を正に制御されている標的遺伝子として、Hepcidinが知られている(Blood,118,15(2011)参照。)。Hepcidinは主に肝臓で産生されるペプチドホルモンであり、消化管に発現している鉄吸収に関わるトランスポーター(Ferroportin)の分解を制御している(Science,306,5704(2004)参照。)。Hepcidinの機能阻害または発現量を抑制することはFerroportinの発現量増加を介して消化管からの鉄の取り込み促進につながることから、貧血の治療薬になる可能性が報告されている(Pharmacol Ther,146(2015)参照。)。したがって、本発明の抗体は肝臓におけるHepcidinの発現抑制を介し、鉄の吸収を増加させることにより、鉄欠乏性の貧血の治療及び/又は予防剤としても用いることができる。
【0193】
或いは、本発明の抗体は、びまん性橋膠腫(DIPG)の治療及び/又は予防剤としても用いることができる。DIPGは、脳幹部の橋に集中してみられるびまん性(浸潤性)の星細胞系腫瘍であり、小児脳幹腫瘍の約75~80%を占めると言われており、脳幹が呼吸などの必須機能を制御しているために生存率は2年で10%程度まで下がるとの報告がある(Khuong-Quang D-A et al.,Acta Neuropathol 124:439-447,2012)。本発明の抗体は、DIPGの治療及び/又は予防剤としても用いることができる。
【0194】
上記の医薬としての抗ALK2抗体の例として、A2-15A抗体、A2-27D抗体、A2-11E抗体、又はA2-25C抗体から「4.抗ALK2抗体の製造」に記載の方法によって作製されたキメラ抗体又はヒト化抗体を挙げることができる。また、A2-15A抗体、A2-27D抗体A2-11E抗体、及び/又はA2-25C抗体と同じエピトープを有するキメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体も医薬として使用可能である。
【0195】
In vitroでの抗ALK2抗体によるALK2の生物活性(BMPシグナル阻害活性)は、例えば、BMP応答配列を挿入したレポータープラスミドを用いたルシフェラーゼ・アッセイ、SMAD1/5/8のリン酸化、BMP標的遺伝子の発現解析、又はBMPリガンドによる刺激によって骨芽細胞への分化を誘導させたマウス筋芽細胞C2C12におけるアルカリフォスファターゼ活性を測定することで確認できる。
【0196】
In vivoでの実験動物を利用した抗ALK2抗体の異所性骨化又は骨形成異常に対する治療又は予防効果は、例えば、マウスの筋肉にBMPリガンド含有ペレットを移植した異所性骨化誘導モデル、又は変異ALK2を導入したFOPモデルマウスに対して抗ALK2抗体を皮下または静脈投与し、異所性骨の形成を解析することで確認することができる。
【0197】
このようにして得られた抗AKL2抗体は、医薬として、特に進行性骨化性線維形成異常症(FOP)等の異所性骨化の治療又は予防を目的とした医薬組成物として有用である。
【0198】
抗ALK2抗体は、一つの例としては、異所性骨化の治療又は予防に対しては該抗体単独で、あるいは少なくとも一つの他の異所性骨化治療剤と併用して投与することができる。また一つの例として、抗ALK2抗体は治療上有効な量の治療剤と併用して投与することができる。抗ALK2抗体と併用して投与できる他の異所性骨化治療剤としては、抗炎症剤、ステロイド剤、ビスフォスフォネート、筋弛緩剤、レチノイン酸受容体(RAR)γアゴニスト等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0199】
抗炎症剤としては、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、セレコキシブ、アザチオプリン、ペニシラミン、メトトレキセート、スルファサラジン、レフルノミド、インフリキシマブ、エタネルセプト等を挙げることができ、好ましくはインドメタシン、イブプロフェン、ピロキシカム、又はセレコキシブである。
【0200】
ステロイド剤としては、プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン等を挙げることができ、好ましくはプレドニゾロンである。
【0201】
ビスフォスフォネートとしては、アレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート等を挙げることができ、好ましくはパミドロネート、又はゾレドロネートである。
【0202】
筋弛緩剤としては、シクロベンザプリン、メタキサロン、バクロフェン等を挙げることができ、好ましくはバクロフェンである。
【0203】
レチノイン酸受容体γアゴニストとしては、Palovarotene等を挙げることができる。
【0204】
異所性骨化の状態やどの程度の治療及び/又は予防を目指すかによって、2、3あるいはそれ以上の他の治療剤を投与することもできるし、それらの他の治療剤は同じ製剤の中に封入することによって同時に投与することができる。他の治療剤と抗ALK2抗体は同じ製剤の中に封入することによって同時に投与することもできる。また、抗ALK2抗体と他の治療剤を別々の製剤に封入して同時に投与することもできる。さらに、他の薬剤と抗ALK2抗体を相前後して別々に投与することもできる。すなわち、他の治療剤を投与した後に抗ALK2抗体又は該抗体の抗原結合断片を有効成分として含有する治療剤を投与するか、あるいは抗ALK2抗体又は該抗体の抗原結合断片を有効成分として含有する治療剤を投与した後に他の治療剤を投与しても良い。遺伝子治療において投与する場合には、蛋白質性の異所性骨化治療剤の遺伝子と抗ALK2抗体の遺伝子は、別々のあるいは同じプロモーター領域の下流に挿入することができ、別々のあるいは、同じベクターに導入することができる。
【0205】
抗ALK2抗体、あるいはそのフラグメントに対し異所性骨化治療剤を結合させることにより、M.C.Garnet「Targeted drug conjugates: principles and progress」,Advanced Drug Delivery Reviews,(2001)53,171-216記載の標的型薬物複合体を製造することができる。この目的には、抗体分子のほか、ALK2の認識性を完全消失していない限り、いずれの抗体フラグメントも適用可能であるが、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv等のフラグメントを例として挙げることができ、本発明においても同様に、抗体及び該フラグメントを使用することができる。抗ALK2抗体又は該抗体のフラグメントとFOP治療剤との結合様式は、M.C.Garnet「Targeted drug conjugates:principles and progress」,Advanced Drug Delivery Reviews, (2001)53,171-216、G.T.Hermanson「Bioconjugate Techniques」Academic Press, California (1996)、Putnam and J.Kopecek「Polymer Conjugates with Anticancer Activity」Advances in Polymer Science(1995)122,55-123等に記載される種々の形態があり得る。すなわち、抗ALK2抗体と異所性骨化治療剤が化学的に直接あるいはオリゴペプチド等のスペーサーを介在して結合される様式や、適当な薬物担体を介在して結合される様式を挙げることができる。薬物担体の例としては、リポソームや水溶性高分子を挙げることができる。これら薬物担体が介在される様式としては、より具体的には、異所性骨化治療剤がリポソームに包含され、該リポソームと抗体とが結合した様式、及び、異所性骨化治療剤が水溶性高分子(分子量1000乃至10万程度の化合物)に化学的に直接あるいはオリゴペプチド等のスペーサーを介在させて結合され、該水溶性高分子に抗体が結合した様式、を例として挙げることができる。抗体(又は該フラグメント)と異所性骨化治療剤、リポソーム及び水溶性高分子等の薬物担体との結合は、G.T.Hermanson「Bioconjugate Techniques」Academic Press, California(1996)、Putnam and J. Kopecek「Polymer Conjugates with Anticancer Activity」Advances in Polymer Science (1995)122, 55-123に記載の方法等の当業者周知の方法により実施することができる。異所性骨化治療剤のリポソームへの包含は、D.D.Lasic「Liposomes:From Physics to Applications」,Elsevier Science Publishers B.V., Amsterdam(1993)等に記載の方法等の当業者周知の方法により実施することができる。異所性骨化治療剤の水溶性高分子への結合は、D.Putnam and J Kopecek「Polymer Conjugates with Anticancer Activity」Advances in Polymer Science(1995)122,55-123記載の方法等の当業者周知の方法により、実施することができる。抗体(又は該フラグメント)と蛋白質性の異所性骨化治療剤(又は該フラグメント)との複合体は、上記の方法のほか、遺伝子工学的に、当業者周知の方法により作製することができる。
【0206】
本発明は、治療及び/又は予防に有効な量の抗ALK2抗体と薬学上許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤及び/又は補助剤を含む医薬組成物も提供する。
【0207】
本発明は、治療及び/又は予防に有効な量の抗ALK2抗体と治療及び/又は予防に有効な量の少なくとも一つの異所性骨化治療剤と薬学上許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤及び/又は補助剤を含む医薬組成物も提供する。
【0208】
本発明の医薬組成物において許容される製剤に用いる物質としては好ましくは投与量や投与濃度において、医薬組成物を投与される者に対して非毒性のものが好ましい。
【0209】
本発明の医薬組成物は、pH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、無菌性、安定性、溶解率、徐放率、吸収率、浸透率を変えたり、保持したりするための製剤用の物質を含むことができる。製剤用の物質として以下のものを挙げることができるが、これらに制限されない:グリシン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸類、抗菌剤、アスコルビン酸、硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤、リン酸、クエン酸、ホウ酸バッファー、炭酸水素ナトリウム、トリス-塩酸(Tris-HCl)溶液等の緩衝剤、マンニトールやグリシン等の充填剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤、カフェイン、ポリビニルピロリジン、β-シクロデキストリンやヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン等の錯化剤、グルコース、マンノース又はデキストリン等の増量剤、単糖類、二糖類等の他の炭水化物、着色剤、香味剤、希釈剤、乳化剤やポリビニルピロリジン等の親水ポリマー、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロレキシジン、ソルビン酸又は過酸化水素等の防腐剤、グリセリン、プロピレン・グリコール又はポリエチレングリコール等の溶媒、マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール、懸濁剤、ソルビタンエステル、ポリソルベート20やポリソルベート80等のポリソルベート、トリトン(triton)、トロメタミン(tromethamine)、レシチン又はコレステロール等の界面活性剤、スクロースやソルビトール等の安定化増強剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムやマンニトール・ソルビトール等の弾性増強剤、輸送剤、賦形剤、及び/又は薬学上の補助剤。これらの製剤用の物質の添加量は、抗ALK2抗体の重量に対して0.01~100倍、特に0.1~10倍添加するのが好ましい。製剤中の好適な医薬組成物の組成は当業者によって、適用疾患、適用投与経路などに応じて適宜決定することができる。
【0210】
医薬組成物中の賦形剤や担体は液体でも固体でもよい。適当な賦形剤や担体は注射用の水や生理食塩水、人工脳脊髄液や非経口投与に通常用いられている他の物質でもよい。中性の生理食塩水や血清アルブミンを含む生理食塩水を担体に用いることもできる。医薬組成物にはpH7.0-8.5のTrisバッファー、pH4.0-5.5の酢酸バッファー、pH3.0-6.2のクエン酸バッファーを含むことができる。また、これらのバッファーにソルビトールや他の化合物を含むこともできる。本発明の医薬組成物には抗ALK2抗体を含む医薬組成物並びに、抗ALK2抗体及び少なくとも一つの異所性骨化治療剤を含む医薬組成物を挙げることができ、本発明の医薬組成物は選択された組成と必要な純度を持つ薬剤として、凍結乾燥品あるいは液体として準備される。抗ALK2抗体を含む医薬組成物並びに、抗ALK2抗体及び少なくとも一つの異所性骨化治療剤を含む医薬組成物はスクロースのような適当な賦形剤を用いた凍結乾燥品として成型されることもできる。
【0211】
本発明の医薬組成物は非経口投与用に調製することもできるし、経口による消化管吸収用に調製することもできる。製剤の組成及び濃度は投与方法によって決定することができるし、本発明の医薬組成物に含まれる、抗ALK2抗体のALK2に対する親和性、即ち、ALK2に対する解離定数(KD値)に対し、親和性が高い(KD値が低い)ほど、ヒトへの投与量を少なくしても薬効を発揮することができるので、この結果に基づいて本発明の医薬組成物のヒトに対する投与量を決定することもできる。投与量は、ヒト型抗ALK2抗体をヒトに対して投与する際には、例えば約0.1~100mg/kgを1~180日間に1回又は複数回投与すればよい。しかし、投与量や投与回数は、一般に、患者の性別、体重、年齢、症状、重篤度、副作用などを考慮して決定されるべきものであるので、上記の用量や用法には限定されないものとする。
【0212】
本発明の医薬組成物の形態としては、非限定的に、例えば点滴を含む注射剤、坐剤、経鼻剤、舌下剤、経皮吸収剤などを挙げることができる。投与経路は、経口経路又は非経口経路であり、非経口経路には、非限定的に、例えば静脈内、動脈内、筋肉内、直腸内、経粘膜内、皮内などの経路が挙げられる。
【実施例】
【0213】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において遺伝子操作に関する各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.及びManiatis,T.著,Cold Spring Harbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により行うか、又は、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って使用した。
【0214】
<実施例1>
ラット抗ALK2抗体(11E2、15A6、25C11、および27D11:以下、A2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dと略す)の作製
1)-1 抗原の調製
抗原となるmALK2-Fcは、Sino Biological Inc.社製のマウスALK2-His&Fc(Cat.#50297-M03H)を用いた。
【0215】
1)-2 動物の免疫
1mg/mLのマウスALK2-His&FcとTiterMaxGold (TiterMax、USA)を等量混合しエマルジョンを作製した。6週齢のWister雌ラット、2匹に、1匹あたり100μgの抗原をアジュバントと共に、2回に分けて皮下投与した。1~2週間後に抗原溶液のみを40μg皮下投与し、3日後に抗体産生細胞として脾臓細胞と各種リンパ節を無菌的に摘出し、以下の細胞融合に供した。
【0216】
1)-3 骨髄腫細胞との細胞融合
上記の抗体産生細胞を、BALB/cマウスから得られた株化骨髄腫細胞(P3U1細胞)と5:1~10:1の割合に調整し、50%ポリエチレングリコール1500を用いて3分間融合させ、その後、6分間かけて希釈した。融合した細胞は、ラット1匹あたり10枚の96穴プレートを用いて、フィーダー細胞(胸腺細胞)と共に播種した。培地として、HATサプリメントを含む15%FBS含有RPMI1640培地(グルタミン、ピルビン酸、ペニシリン、ストレプトマイシン含有)で培養した。
【0217】
1)-4 ハイブリドーマの選択
細胞融合から1週間後、それぞれの培養上清を用いて、酵素結合免疫吸着法(ELISA)で、抗原として用いたマウスALK2-His&Fcを認識するクローンを選択し、さらに、ヒトFc(Sino Biological Inc.社製)のみを認識するクローンを除外した。ELISAは以下のように行った。
【0218】
まず、96ウェルのELISA用プレート(NUNC社製、Cat.#442404)に、1μg/mlとなるようにPBSで希釈した抗原を、室温で2時間、または4℃で一晩、固相化した。固相化液を取り除き、PBSに溶解した0.5%スキムミルク溶液で、室温で30分間のブロッキングを行った。次に、上記ハイブリドーマの培養上清を添加し、室温で1時間静置した。プレートを洗浄後、0.5%スキムミルクで1:2500に希釈したALP標識抗ラットIgG抗体(SBA社製)を加え、さらに、室温で1時間静置した。プレートを洗浄後、フェニルリン酸系基質を室温で20分反応させた後、波長492nmの吸光度を測定した。
【0219】
選択したハイブリドーマについて、限界希釈法で2回以上のクローニングを行った。以上の操作により、モノクローナル抗体A2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dを産生するハイブリドーマ株を単離した。
【0220】
結果を
図1に記載する。ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体は、それぞれマウスALK2-His&Fcを認識し、ヒトFcには結合しないことが示された。
【0221】
<実施例2>
ラット抗ALK2抗体(A2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27D)のin vitro評価
2)-1 フローサイトメトリー法による抗体スクリーニング
2)-1-1 マウスおよびヒトALK2発現細胞の調製
HEK293A細胞を、3×104細胞/cm2となるように100mmディッシュに播種し、15%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、pcDEF3/マウスALK2(WT)-EGFP、pcDEF3/ヒトALK2(WT)-EGFP、pcDEF3/ヒトALK2(R206H)-EGFP、pcDEF3を、それぞれHEK293A細胞にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて導入し、さらに一晩培養した。翌日、1×106細胞/mLとなるように調整した細胞懸濁液を、100μLずつ1.5mL微量遠心管に分注し、500gで5分間遠心した後に上清を除去した。細胞に、1μg/mLに希釈した精製IgG100μLを加え、4℃で30分間静置した。細胞をPBSで3回洗浄後、1:200に希釈したAlexa flour 647 Goat anti-Rat IgG(H+L)(Life Technologies社製)100μLを加え、さらに4℃で30分間静置した。細胞をPBSで3回洗浄後、フローサイトメーター(FACS Aria II:BD Biosciences社製)で蛍光を検出した。データはBD Diva Software(BD Biosciences社製)で解析し、細胞の発現するEGFPの強度と、染色されたAlexa flour 647の蛍光強度をプロットした。
【0222】
結果を
図2A~
図2Dに記載する。ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体はそれぞれ、蛍光タンパク質EGFP発現細胞(
図2A)を認識しないが、マウスALK2発現細胞(
図2B)と、野生型およびFOPのヒトALK2発現細胞(それぞれ、
図2C及び
図2D)を特異的に認識することが確認された。この結果は、ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、ALK2の細胞外領域に結合する抗体であることを示している。
【0223】
2)-2 免疫染色法による抗体スクリーニング
2)-2-1 ヒトALK1、ALK2、ALK3、ALK6発現細胞の調製
マウスC2C12細胞を5×103細胞/穴となるように、96穴プレート(グライナー社製)に播種し、15%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、pcDEF3/ヒトALK1-EGFP、pcDEF3/ヒトALK2-EGFP、pcDEF3/ヒトALK3-EGFP、pcDEF3/ヒトALK6-EGFP、およびコントロールのpcDEF3を、それぞれC2C12細胞にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて導入し、さらに一晩培養した。
【0224】
2)-2-2 ヒトALK1、ALK2、ALK3、ALK6の蛍光免疫染色
C2C12細胞を、10%中性ホルマリン(ナカライテスク社製、日本)で、室温、20分間固定後、10%ヤギ正常血清で30分間ブロッキングを行った。ブロッキング液を除去した後、ブロッキング液で10μg/mLに希釈した精製IgGを加え、室温で1時間静置した。PBSで3回洗浄後、ブロッキング液で1:1000に希釈したGoat Alexa594-conjugated anti-rat IgG(Invitrogen社製)を加えて、室温で1時間静置した。PBSで3回洗浄後、10%中性ホルマリンで室温、15分固定し、DAPI(LifeTechnologies社製)を用いて核染色を施した。蛍光シグナルは、蛍光顕微鏡BZ-9000(Keyence社製)を用いて観察した。
【0225】
結果を
図3に記載する。ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体は、ALK2発現細胞のみを特異的に認識し、ALK1、ALK3、ALK6発現細胞は認識しないことが確認された。この結果は、ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、ALK2に特異的に結合する抗体であることを示している。
【0226】
2)-2-3 FOPで同定されたALK2変異体発現細胞の調製
マウスC2C12細胞を0.5×103細胞/穴となるように、96穴プレート(グライナー社製)に播種し、15%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、pcDEF3に組み込んだヒトALK2 cDNAの野生型、およびpcDEF3/ヒトALK2―L196P、pcDEF3/ヒトALK2―P197_F198delinsL,pcDEF3/ヒトALK2―R202I,pcDEF3/ヒトALK2―R206H,pcDEF3/ヒトALK2―Q207E,pcDEF3/ヒトALK2―R258S,pcDEF3/ヒトALK2―G325A,pcDEF3/ヒトALK2―G328E,pcDEF3/ヒトALK2―G328R,pcDEF3/ヒトALK2―G328W,pcDEF3/ヒトALK2―G356D,およびpcDEF3/ヒトALK2―R375Pの各FOPで同定された変異体、およびコントロールのpcDEF3を、それぞれC2C12細胞にLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて導入し、さらに一晩培養した。
【0227】
2)-2-4 FOPで同定されたALK2変異体の蛍光免疫染色
C2C12細胞を、10%中性ホルマリン(ナカライテスク社製、日本)で、室温、20分間固定後、10%ヤギ正常血清で30分間ブロッキングを行った。ブロッキング液を除去した後、ブロッキング液で10μg/mLに希釈した精製IgGを加え、室温で1時間静置した。PBSで3回洗浄後、ブロッキング液で1:1000に希釈したGoat Alexa594-conjugated anti-rat IgG(Invitrogen社製)を加えて、室温で1時間静置した。PBSで3回洗浄後、10%中性ホルマリンで室温、15分固定し、DAPI(LifeTechnologies社製)を用いて核染色を施した。蛍光シグナルは、蛍光顕微鏡BZ-9000(Keyence社製)を用いて観察した。
【0228】
結果を
図4に記載する。ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体は、野生型のALK2発現細胞に加え、FOPで同定された12種類のALK2変異体発現細胞を認識することが確認された。この結果は、ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dが産生するモノクローナル抗体は、野生型ALK2、およびFOPの各ALK2変異体に結合する抗体であることを示している。
【0229】
2)-3 ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイによる抗体スクリーニング
モノクローナル抗体のALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、BMP特異的なルシフェラーゼ・レポーターを用いて解析した。HEK293A細胞を、1×104細胞/穴となるように、ルシフェラーゼ・アッセイ用96穴白色プレート(グライナー社製)に播種し、15%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、pcDEF3/ヒトALK2(WT)-V5-His、またはpcDEF3/ヒトALK2(R206H)-V5-His、pGL4.26/Id1WT4F-luc(Genes Cells,7,949(2002))、phRL SV40(Promega社製)を、Lipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて導入した。2.5時間後、培地を新鮮なOPTI-MEM I(LifeTechnologies社製)に交換し、さらに1時間培養した。その後、段階希釈したモノクローナル抗体と10ng/mLのBMP7(Milteney社製)、または0.5ng/mLのBMP9(Peprotech社製)を含むOPTI-MEM Iに交換し、さらに一晩培養した。翌日、Dual-Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いて、Firefly、およびRenillaのルシフェラーゼ活性をプレートリーダーGENios(TECAN社製)で測定した。
【0230】
結果を
図5に記載する。ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体は、ALK2の野生型およびR206H変異型を過剰発現させたHEK293A細胞において、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ活性を、用量依存的に抑制することが確認された。
【0231】
2)-4 BMPの骨芽細胞分化誘導アッセイによる抗体スクリーニング
モノクローナル抗体の内在性ALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、BMPによるC2C12細胞の骨芽細胞への分化誘導活性に対する効果で解析した。C2C12細胞を、0.5×103細胞/穴となるように、96穴プレート(グライナー社製)に播種し、15%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、段階希釈したモノクローナル抗体と200ng/mLのBMP2(コアフロント社製)、200ng/mLのBMP7(Milteney社製)、または20ng/mLのGDF2/BMP9(Peprotech社製)を含むOPTI-MEM Iに交換し、さらに3日間培養した。C2C12細胞の培地を除き、PBSで洗浄した後、細胞を50μL/穴の氷冷したアセトン:エタノール(1:1)溶液で1分間処理し、さらに3回、PBSで洗浄した。骨芽細胞用細胞への分化の指標として、ALP活性を測定した。ALP活性の測定は、100μL/穴の基質溶液(1 mg/mL 4-Nitrophenyl phosphate(Sigma-Aldrich社製)と1mM MgCl2を含む0.1M Diethanolamine(Sigma-Aldrich社製)-HCl,pH10.0)を加え、室温で15-30分間、撹拌振盪機上で反応させた。反応は、50μLの3M NaOHを添加して停止させ、波長405nmの吸光度をマイクロプレートリーダーinfinite F50(TECAN社製)を用いて測定した。
【0232】
結果を
図6及び
図7に記載する。ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体は、BMP2が誘導するC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化をほとんど抑制しなかったが(
図6)、BMP7およびGDF2/BMP9が誘導するC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化は、用量依存的に抑制することが確認された(
図7)。この結果は、ハイブリドーマA2-11E、A2-15A、A2-25C、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体が、C2C12細胞が生理的に発現する内在性ALK2を抑制する抗体であることを示している。
【0233】
<実施例3>
ラット抗ALK2抗体(A2-11E,A2-15A,A2-25C,A2-27D)の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列の決定
3)-1 A2-11Eの可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列の決定
3)-1-1 A2-11E産生ハイブリドーマからのtotal RNAの調製
A2-11Eの可変領域を含むcDNAを増幅するため、A2-11E産生ハイブリドーマよりTRIzol Reagent(Ambion社)を用いてtotal RNAを調製した。
【0234】
3)-1-2 cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成
cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成は実施例3)-1-1で調製したtotal RNAの1μgを用い、SMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech社)を用いて実施した。
【0235】
3)-1-3 5’-RACE PCRによるA2-11Eの重鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
A2-11Eの重鎖遺伝子の可変領域のcDNAをPCRで増幅するためのプライマーとして、UPM (Universal Primer A Mix:SMARTer RACE cDNA Amplification Kitに付属)、及び
5’-CTCCAGAGTTCCAGGTCACGGTGACTGGC-3’(RG2AR3;配列番号88)の配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。UPMはSMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech社)に付属のものを使用し、RG2AR3はデータベースのラット重鎖の定常領域の配列から設計した。
【0236】
このプライマーの組み合わせと、実施例3)-1-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型とした5’-RACE PCRによりA2-11Eの重鎖の可変領域を含むcDNAを増幅した。PCRは、PolymeraseとしてKOD-Plus-(TOYOBO社、日本)を用い、SMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech社)のマニュアルに従い、タッチダウンPCRプログラムで実施した。
【0237】
5’-RACE PCRで増幅した重鎖の可変領域を含むcDNAをMinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いて精製後、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen社)を用いてクローニングし、クローニングした重鎖の可変領域を含むcDNAのヌクレオチド配列のシークエンス解析を実施した。
【0238】
シークエンスプライマーとして、データベースのラット重鎖の定常領域の配列から設計した
5’-CTCCAGAGTTCCAGGTCACGGTGACTGGC-3’(RG2AR3;配列番号88)の配列を有するオリゴヌクレオチド、及びNUP (Nested Universal Primer A:SMARTer RACE cDNA Amplification Kitに付属)を用いた。
【0239】
シークエンス解析は遺伝子配列解析装置(「ABI PRISM 3700 DNA Analyzer;Applied Biosystems」あるいは「Applied Biosystems 3730xl Analyzer;Applied Biosystems」)を用いて実施し、シークエンス反応は、GeneAmp 9700(Applied Biosystems社)を用いた。
【0240】
決定されたA2-11Eの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号1に示し、アミノ酸配列を配列番号2に示した。
【0241】
3)-1-4 5’-RACE PCRによるA2-11Eの軽鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
A2-11Eの軽鎖遺伝子の可変領域のcDNAをPCRで増幅するためのプライマーとして、UPM (Universal Primer A Mix:SMARTer RACE cDNA Amplification Kitに付属)、及び
5’-TCAGTAACACTGTCCAGGACACCATCTC-3’(RKR5;配列番号89)の配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。UPMはSMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech社)に付属のものを使用し、RKR5はデータベースのラット軽鎖の定常領域の配列から設計した。
【0242】
このプライマーの組み合わせと、実施例3)-1-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型とした5’-RACE PCRによりA2-11Eの軽鎖の可変領域を含むcDNAを増幅した。PCRは、PolymeraseとしてKOD-Plus-(TOYOBO社、日本)を用い、SMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech社)のマニュアルに従い、タッチダウンPCRプログラムで実施した。
【0243】
5’-RACE PCRで増幅した軽鎖の可変領域を含むcDNAをMinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いて精製後、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen社)を用いてクローニングし、クローニングした軽鎖の可変領域を含むcDNAのヌクレオチド配列のシークエンス解析を実施した。
【0244】
シークエンスプライマーとして、データベースのラット軽鎖の定常領域の配列から設計した。
【0245】
5’-TCAGTAACACTGTCCAGGACACCATCTC-3’(RKR5;配列番号89)の配列を有するオリゴヌクレオチド、及びNUP (Nested Universal Primer A:SMARTer RACE cDNA Amplification Kitに付属)を用いた。
【0246】
シークエンス解析は遺伝子配列解析装置(「ABI PRISM 3700 DNA Analyzer;Applied Biosystems」あるいは「Applied Biosystems 3730xl Analyzer;Applied Biosystems」)を用いて実施し、シークエンス反応は、GeneAmp 9700(Applied Biosystems社)を用いた。
【0247】
決定されたA2-11Eの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号3に示し、アミノ酸配列を配列番号4に示した。
【0248】
3)-2 A2-15Aの可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列の決定
3)-2-1 A2-15A産生ハイブリドーマからのtotal RNAの調製
A2-15Aの可変領域を含むcDNAを増幅するため、A2-15A生産ハイブリドーマより実施例3)-1-1と同様の方法でtotal RNAを調製した。
【0249】
3)-2-2 cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成
cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成は実施例3)-2-1で調製したtotal RNAの1μgを用い、実施例3)-1-2と同様の方法で実施した。
【0250】
3)-2-3 5’-RACE PCRによるA2-15Aの重鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
実施例3)-2-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型として用いて、実施例3)-1-3と同様の方法でA2-15Aの重鎖可変領域を含むcDNAを増幅して配列を決定した。
【0251】
決定されたA2-15Aの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号5に示し、アミノ酸配列を配列番号6に示した。
【0252】
3)-2-4 5’-RACE PCRによるA2-15Aの軽鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
実施例3)-2-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型として用いて、実施例3)-1-4と同様の方法でA2-15Aの軽鎖可変領域を含むcDNAを増幅して配列を決定した。
【0253】
決定されたA2-15Aの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号7に示し、アミノ酸配列を配列番号8に示した。
【0254】
3)-3 A2-25Cの可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列の決定
3)-3-1 A2-25C産生ハイブリドーマからのtotal RNAの調製
A2-25Cの可変領域を含むcDNAを増幅するため、A2-25C生産ハイブリドーマより実施例3)-1-1と同様の方法でtotal RNAを調製した。
【0255】
3)-3-2 cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成
cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成は実施例3)-3-1で調製したtotal RNAの1μgを用い、実施例3)-1-2と同様の方法で実施した。
【0256】
3)-3-3 5’-RACE PCRによるA2-25Cの重鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
実施例3)-3-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型として用いて、実施例3)-1-3と同様の方法でA2-25Cの重鎖可変領域を含むcDNAを増幅して配列を決定した。
【0257】
決定されたA2-25Cの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号9に示し、アミノ酸配列を配列番号10に示した。
【0258】
3)-3-4 5’-RACE PCRによるA2-25Cの軽鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
実施例3)-3-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型として用いて、実施例3)-1-4と同様の方法でA2-25Cの軽鎖可変領域を含むcDNAを増幅して配列を決定した。
【0259】
決定されたA2-25Cの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号11に示し、アミノ酸配列を配列番号12に示した。
【0260】
3)-4 A2-27Dの可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列の決定
3)-4-1 A2-27D産生ハイブリドーマからのtotal RNAの調製
A2-27Dの可変領域を含むcDNAを増幅するため、A2-27D生産ハイブリドーマより実施例3)-1-1と同様の方法でtotal RNAを調製した。
【0261】
3)-4-2 cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成
cDNA(5’-RACE-Ready cDNA)の合成は実施例3)-4-1で調製したtotal RNAの1μgを用い、実施例3)-1-2と同様の方法で実施した。
【0262】
3)-4-3 5’-RACE PCRによるA2-27Dの重鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
実施例3)-4-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型として用いて、実施例3)-1-3と同様の方法でA2-27Dの重鎖可変領域を含むcDNAを増幅して配列を決定した。
【0263】
決定されたA2-27Dの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号13に示し、アミノ酸配列を配列番号14に示した。
【0264】
3)-4-4 5’-RACE PCRによるA2-27Dの軽鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定
実施例3)-4-2で合成したcDNA(5’-RACE-Ready cDNA)を鋳型として用いて、実施例3)-1-4と同様の方法でA2-27Dの軽鎖可変領域を含むcDNAを増幅して配列を決定した。
【0265】
決定されたA2-27Dの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号15に示し、アミノ酸配列を配列番号16に示した。
【0266】
<実施例4>
ラット抗ALK2抗体(A2-15A、およびA2-27D)のin vivo評価
4)-1 ハイブリドーマ培養上清の調製
実施例1)-4で得られた1.0×106個のハイブリドーマを10%FBS含有TILハイグルコース培地で培養し(T75フラスコ)、その後INTEGRA CL1000にて高密度培養を行った(10%FBS培地)。次に培地を無血清に置換し、さらにINTEGRA CL1000での培養を行った後に必要量のハイブリドーマ培養上清を取得した。取得したハイブリドーマ培養上清は精製に供するまで2~8℃で保存した。
【0267】
4)-2 ハイブリドーマ培養上清からの抗体の精製
実施例4)-1で得られた培養上清から抗体をProtein Gアフィニティークロマトグラフィー(4~6℃下)一段階工程で精製した。Protein Gアフィニティークロマトグラフィー精製後のバッファー置換工程は4~6℃下で実施した。最初に、PBSで平衡化したProtein G(GE Healthcare Bioscience社)が充填されたカラムにハイブリドーマの培養上清をアプライした。培養上清液がカラムに全て入ったのち、カラム容量2倍以上のPBSでカラムを洗浄した。次に0.1 Mグリシン/塩酸水溶液(pH2.7)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。集めた画分に1M Tris-HCl(pH9.0)を加えてpH7.0~7.5に調製した後に、透析(Thermo Scientificsha,Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette)によりHBSor(25mM ヒスチジン/5% ソルビトール、pH6.0)への液置換を行った。Centrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量UF10K,Sartorius社、4℃下)にて濃縮し、IgG濃度を8mg/ml以上に調製した。最後にMinisart-Plus filter(Sartorius社)でろ過し、精製サンプルとした。
【0268】
4)-3 BMP移植による異所性骨化誘導モデル
モノクローナル抗体の骨格筋組織における異所性骨化の抑制活性は、マウスにおけるBMPによる異所性骨誘導実験で解析した。BMP含有ペレットは、1μgのBMP7(Milteney社製)、または1μgのGDF2/BMP9(Peprotech社製)を、直径4mmに調整したI型コラーゲンスポンジ(Collatape、Zimmer Dental社製)に染み込ませ、一晩、凍結乾燥機(FDU-810、東京理科器械社製、日本)にて凍結乾燥して作製した。8-10週令のC57BL/6マウスを、小動物実験用簡易吸入麻酔装置(夏目製作所社製、日本)および2%イソフルラン(和光純薬工業社製、日本)を用いて全身麻酔し、左右下肢の大腿筋組織内にBMP含有ペレットを1個ずつ移植した。ハイブリドーマA2-15A、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体を、移植1週間前から、10mg/kg、1回/週、皮下投与し、移植後2週目まで、同様に抗体を投与しながら飼育した。対照群には、等量の溶媒(25mM Histidine/5%Sorbitol,pH6.0)を投与した。BMP含有ペレット移植2週間後、大腿骨とともに移植したBMP含有ペレットを摘出し、マイクロCT(μCT35,SCANCO社製)で異所性骨の形成を解析した。
【0269】
結果を
図8に記載する。BMP7およびGDF2/BMP9を移植しvehicleで処理したマウスでは、マイクロCT解析で大腿骨の右側に異所性骨が誘導された。一方、ハイブリドーマA2-15A、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体を投与したマウスでは、BMP7およびGDF2/BMP9を移植しても異所性骨は検出されなかった。したがって、ハイブリドーマA2-15A、およびA2-27Dの産生するモノクローナル抗体は、BMP7およびGDF2/BMP9が誘導する骨格筋組織における異所性骨誘導を抑制することが確認された。
【0270】
<実施例5>
ヒトキメラ化抗ALK2抗体(cA2-15A、cA2-27D)の作製
5)-1キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA-LKの構築
プラスミドpcDNA3.3-TOPO/LacZ(Invitrogen社)を制限酵素XbaI及びPmeIで消化して得られる約5.4kbのフラグメントと、配列番号17に示すヒトκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を、In-Fusion Advantage PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて結合して、pcDNA3.3/LKを作製した。
【0271】
pcDNA3.3/LKを鋳型として、下記プライマーセットでPCRを行い、得られた約3.8kbのフラグメントをリン酸化後セルフライゲーションすることによりCMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、及びヒトκ鎖定常領域を持つ、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA-LKを構築した。
プライマーセット
5’-TATACCGTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGC-3’(3.3-F1;配列番号90)
5’-GCTATGGCAGGGCCTGCCGCCCCGACGTTG-3’(3.3-R1;配列番号91)
【0272】
5)-2 キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G1の構築
pCMA-LKをXbaI及びPmeIで消化してκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域を取り除いたDNA断片と、配列番号18に示すヒト重鎖シグナル配列及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片を、In-Fusion Advantage PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて結合して、CMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、ヒトIgG1重鎖定常領域をもつキメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G1を構築した。
【0273】
5)-3 cA2-15A重鎖発現ベクターの構築
実施例3)-2-3で得られたA2-15Aの重鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社、日本)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することにより、cA2-15A重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/cA2-15A」と命名した。cA2-15A重鎖のヌクレオチド配列を配列番号19に示し、アミノ酸配列を配列番号20に示した。
cA2-15A重鎖用プライマーセット
5’-CCAGATGGGTGCTGAGCGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGCGGAG-3’(A2-15AH-F;配列番号92)
5’-CTTGGTGGAGGCTGAGCTGACAGTGACCAGAGTGCCTTGGCCCCAG-3’(A2-15AH-R;配列番号93)
【0274】
5)-4 cA2-15A軽鎖発現ベクターの構築
実施例3)-2-4で得られたA2-15Aの軽鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社、日本)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDAN断片を増幅し、キメラ及びヒト化軽鎖発現汎用ベクターpCMA-LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することにより、cA2-15Aの軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-LK/cA2-15A」と命名した。cA2-15Aの軽鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号21に示し、アミノ酸配列を配列番号22に示した。
cA2-15A軽鎖用プライマーセット
5’-ATCTCCGGCGCGTACGGCGACATTGTCTTGACCCAGTCTCCTGC-3’(A2-15AL-F;配列番号94)
5’-GGAGGGGGCGGCCACAGCCCGTTTCAGTTCCAGCTTGGTCCCAG-3’(A2-15AL-R;配列番号95)
【0275】
5)-5 cA2-27D重鎖発現ベクターの構築
実施例3)-4-3で得られたA2-27Dの重鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社、日本)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することにより、cA2-27D重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/cA2-27D」と命名した。cA2-27D重鎖のヌクレオチド配列を配列番号23に示し、アミノ酸配列を配列番号24に示した。
cA2-27D重鎖用プライマーセット
5’-CCAGATGGGTGCTGAGCGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGAGGAG-3’(A2-27DH-F;配列番号96)
5’-CTTGGTGGAGGCTGAGCTCACGGTGACCACGGTTCCTGGGCCCCAG-3’(A2-27DH-R;配列番号97)
【0276】
5)-6 cA2-27D軽鎖発現ベクターの構築
実施例3)-4-4で得られたA2-27Dの軽鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社、日本)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDAN断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現汎用ベクターpCMA-LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することにより、cA2-27D抗体の軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-LK/cA2-27D」と命名した。cA2-27D抗体の軽鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号25に示し、アミノ酸配列を配列番号26に示した。
cA2-27D軽鎖用プライマーセット
5’-ATCTCCGGCGCGTACGGCGAAATTGTTCTCACTCAGTCTCCAAC-3’(A2-27DL-F;配列番号98)
5’-GGAGGGGGCGGCCACAGCCCGTTTCAGTTCCAGCTTGGTCCCAG-3’(A2-15AL-R;配列番号95)
【0277】
5)-7 cA2-15A及びcA2-27Dの生産
FreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)はマニュアルに従い、継代、培養をおこなった。対数増殖期の1.2×109個のFreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)を3L Fernbach Erlenmeyer Flask(CORNING社)に播種し、FreeStyle293 expression medium (Invitrogen社)で希釈して2.0×106細胞/mlに調製したのちに、37℃、8%CO2インキュベーター内で90rpmで1時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)1.8mgをOpti-Pro SFM培地(Invitrogen社)20mlに溶解し、次にNucleoBond Xtra(TaKaRa社、日本)を用いて調製したH鎖発現ベクター(0.24mg)及びL鎖発現ベクター(0.36mg)を20mlのOpti-Pro SFM培地(Invitrogen社)に添加した。Polyethyleneimine/Opti-Pro SFM混合液20mlに、発現ベクター/Opti-Pro SFM混合液20mlを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8%CO2インキュベーターで4時間、90rpmで振とう培養後に600mlのEX-CELL VPRO培地(SAFC Biosciences社)、18mlのGlutaMAX I(GIBCO社)、及び30mlのYeastolate Ultrafiltrate(GIBCO社)を添加し、37℃、8%CO2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をDisposable Capsule Filter (Advantec #CCS-045-E1H)でろ過した。
【0278】
pCMA-G1/cA2-15AとpCMA-LK/cA2-15Aとの組合せによって取得されたラット抗体A2-15Aのキメラ抗体を「cA2-15A」と命名し、pCMA-G1/cA2-27DとpCMA-LK/cA2-27Dとの組合せによって取得されたラット抗体A2-27Dのキメラ抗体を「cA2-27D」と命名した。
【0279】
5)-8 cA2-15A及びcA2-27Dの二段階工程精製
実施例5)-7で得られた培養上清から抗体をrProtein Aアフィニティークロマトグラフィー(4-6℃下)とセラミックハイドロキシアパタイト(室温下)の二段階工程で精製した。rProtein Aアフィニティークロマトグラフィー精製後とセラミックハイドロキシアパタイト精製後のバッファー置換工程は4-6℃下で実施した。PBSで平衡化したMabSelectSuRe(GE Healthcare Bioscience社製、HiTrapカラム)に培養上清をアプライした。培養上清がカラムに全て入ったのち、カラム容量2倍以上のPBSでカラムを洗浄した。次に2Mアルギニン塩酸塩溶液(pH4.0)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientific社、Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette)によりPBSに置換した後、5mMリン酸ナトリウム/50mM MES/pH7.0のバッファーで5倍希釈した抗体溶液を、5mM NaPi/50mM MES/30mM NaCl/pH7.0のバッファーで平衡化されたセラミックハイドロキシアパタイトカラム(日本バイオラッド、Bio-Scale CHT Type―1 Hydroxyapatite Column)にアプライした。塩化ナトリウムによる直線的濃度勾配溶出を実施し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientificsha,Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette)によりHBSor(25mM ヒスチジン/5%ソルビトール、pH6.0)への液置換を行った。Centrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量UF10K,Sartorius社、4℃下)にて濃縮し、IgG濃度を2mg/ml以上に調整した。最後にMinisart-Plus filter(Sartorius社)でろ過し、精製サンプルとした。
【0280】
<実施例6>
ヒトキメラ化抗ALK2抗体(cA2-15A、cA2-27D)のin vitro活性評価
6)-1 ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイによる抗体評価
作製したヒトキメラ化抗体のALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、BMP特異的なルシフェラーゼ・レポーターを用いて解析した。HEPG2細胞を、1×104細胞/穴となるように、ルシフェラーゼ・アッセイ用96穴白色プレート(CORNING社製)に播種し、10%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、pGL4.26/Id1WT4F-luc(Genes Cells,7,949(2002))を、Lipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて導入した。2.5時間後、培地を新鮮なOPTI-MEM I(LifeTechnologies社製)に交換し、さらに3時間培養した。その後、段階希釈したモノクローナル抗体と10ng/mLのBMP7(Milteney社製)を含むOPTI-MEM Iに交換し、さらに一晩培養した。翌日、Dual-Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いてルシフェラーゼ活性をプレートリーダーSpectraMaxM4(Molecular Devices社製)で測定した。
【0281】
結果を
図9に記載する。キメラ化抗体cA2-15A、cA2-27Dは、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ活性に対して、それぞれのラットモノクローナル抗体A2-15A、A2-27Dと同等の阻害活性を示すことが確認された。
【0282】
6)-2 BMPの骨芽細胞分化誘導アッセイによる抗体評価
作製したヒトキメラ化抗体の内在性ALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、BMPによるC2C12細胞の骨芽細胞への分化誘導活性に対する効果で解析した。C2C12細胞を、5×103細胞/穴となるように、96穴プレート(IWAKI社製)に播種し、15%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。翌日、培地を新鮮なOPTI-MEM I(LifeTechnologies社製)に交換し、段階希釈したモノクローナル抗体と2 ng/mLのGDF2/BMP9(Peprotech社製)を含むOPTI-MEM Iに交換し、さらに3日間培養した。C2C12細胞の培地を除き、PBSで洗浄した後、細胞を50μL/穴の氷冷したアセトン:エタノール(1:1)溶液で1分間処理し、さらに3回、PBSで洗浄した。骨芽細胞用細胞への分化の指標として、ALP活性を測定した。ALP活性の測定は、100 μL/穴の基質溶液(1 mg/mL 4-Nitrophenyl phosphate(Sigma-Aldrich社製)と1mM MgCl2を含む0.1M Diethanolamine(Sigma-Aldrich社製)-HCl,pH10.0)を加え、室温で15-30分間、撹拌振盪機上で反応させた。反応は、50 μLの3 M NaOHを添加して停止させ、波長405nmの吸光度をプレートリーダーSpectraMaxM4(Molecular Devices社製)を用いて測定した。
【0283】
結果を
図10に記載する。キメラ化抗体cA2-15A、cA2-27Dは、BMPによって誘導されるC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化を、用量依存的に抑制することが確認された。この結果は、キメラ化抗体cA2-15A、cA2-27Dが、C2C12細胞が生理的に発現する内在性ALK2を抑制する抗体であることを示している。また、その阻害活性は、それぞれのラットモノクローナル抗体A2-15A、A2-27Dと同等であることが確認された。
【0284】
<実施例7>
抗ALK2抗体A2-15A、および A2-27Dのヒト化体デザイン
7)-1 ヒト化hA2-15Aの設計
7)-1-1 A2-15Aの可変領域の分子モデリング
A2-15Aの可変領域の分子モデリングは、ホモロジーモデリングとして公知の方法(Methods in Enzymology,203,121-153,(1991))によって実行された。Protein Data Bank(Nuc.Acid Res.35,D301-D303(2007))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定されたA2-15Aの可変領域と比較した。結果として、3KYMと3S35がそれぞれA2-15Aの重鎖と軽鎖の可変領域に対して最も高い配列同一性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、A2-15Aの重鎖及び軽鎖に対応する3KYM及び3S35の座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。
【0285】
最後に、エネルギーの点でA2-15Aの可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー計算を行った。上記手順を、市販のタンパク質立体構造解析プログラムDiscovery Studio(Accelrys社製)を用いて行った。
【0286】
7)-1-2 ヒト化hA2-15Aに対するアミノ酸配列の設計
ヒト化hA2-15Aの構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸同一性に基づいて選択された。
【0287】
A2-15Aのフレームワーク領域の配列を、ヒトのサブグループ・コンセンサス配列のフレームワーク領域と比較した。結果として、KABAT et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service National Institutes of Health, Bethesda,MD.(1991))において既定されたヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ4のコンセンサス配列が、そのフレームワーク領域において高い配列同一性に有することに起因して、アクセプターとして選択された。ヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ4のコンセンサス配列についてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、A2-15Aについてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築されたA2-15Aの三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択された幾つかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化hA2-15Aの配列を以下の実施例に記載されるように構築した。
【0288】
7)-2 A2-15A重鎖のヒト化
7)-2-1 ヒト化hA2-15A-H1タイプ重鎖
配列番号20に示されるキメラcA2-15Aの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号61(スレオニン)をグリシンに、アミノ酸番号94(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号96(セリン)をアスパラギンに、アミノ酸番号103(アスパラギン酸)をアスパラギンに、アミノ酸番号107(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号112(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号116(スレオニン)をアラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A重鎖を「ヒト化hA2-15A-H1タイプ重鎖」(「hA2-15A-H1」と呼ぶこともある)と命名した。
【0289】
ヒト化hA2-15A-H1タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号28に記載されている。配列番号28のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号28のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号27に記載されている。配列番号27のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号27のヌクレオチド配列及び配列番号28のアミノ酸配列は、
図15にも記載されている。
【0290】
7)-2-2 ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖
配列番号20に示されるキメラcA2-15Aの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号61(スレオニン)をグリシンに、アミノ酸番号103(アスパラギン酸)をアスパラギンに、アミノ酸番号107(セリン)をアラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A重鎖を「ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖」(「hA2-15A-H4」と呼ぶこともある)と命名した。
【0291】
ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号30に記載されている。配列番号30のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列、143乃至472番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号29に記載されている。配列番号29のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列、427乃至1416番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号29のヌクレオチド配列及び配列番号30のアミノ酸配列は、
図16にも記載されている。
【0292】
7)-3 A2-15A軽鎖のヒト化
7)-3-1 ヒト化hA2-15A-L1タイプ軽鎖
配列番号22に示されるキメラcA2-15Aの軽鎖のアミノ酸番号24(ロイシン)をメチオニンに、アミノ酸番号29(アラニン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号29-30の間(欠損残基)をセリンに、アミノ酸番号36(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号41(セリン)をアスパラギンに、アミノ酸番号66(リジン)をプロリンに、アミノ酸番号81(イソロイシン)をバリンに、アミノ酸番号83(アラニン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号99(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号100(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号101(バリン)をロイシンに、アミノ酸番号104(アスパラギン酸)をグルタミン酸に、アミノ酸番号106(イソロイシン)をバリンに、アミノ酸番号108(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号123(アラニン)をグルタミンに、アミノ酸番号127(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号129(ロイシン)をイソロイシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A軽鎖を「ヒト化hA2-15A-L1タイプ軽鎖」(「hA2-15A-L1」と呼ぶこともある)と命名した。
【0293】
ヒト化hA2-15A-L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号32に記載されている。配列番号32のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至133番目のアミノ酸残基からなる配列、134乃至238番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号32のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号31に記載されている。配列番号31のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至424番目のヌクレオチドからなる配列、425乃至739番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号31のヌクレオチド配列及び配列番号32のアミノ酸配列は、
図17にも記載されている。
【0294】
7)-3-2 ヒト化hA2-15A-L4タイプ軽鎖
配列番号22に示されるキメラcA2-15Aの軽鎖のアミノ酸番号29(アラニン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号29-30の間(欠損残基)をセリンに、アミノ酸番号36(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号41(セリン)をアスパラギンに、アミノ酸番号99(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号100(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号108(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号123(アラニン)をグルタミンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A軽鎖を「ヒト化hA2-15A-L4タイプ軽鎖」(「hA2-15A-L4」と呼ぶこともある)と命名した。
【0295】
ヒト化hA2-15A-L4タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号34に記載されている。配列番号34のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至133番目のアミノ酸残基からなる配列、134乃至238番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号34のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号33に記載されている。配列番号33のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至424番目のヌクレオチドからなる配列、425乃至739番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号33のヌクレオチド配列及び配列番号34のアミノ酸配列は、
図18にも記載されている。
【0296】
7)-3-3 ヒト化hA2-15A-L6タイプ軽鎖
配列番号22に示されるキメラcA2-15Aの軽鎖のアミノ酸番号29(アラニン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号29-30の間(欠損残基)をセリンに、アミノ酸番号36(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号41(セリン)をアスパラギンに、アミノ酸番号79(セリン)をグルタミンに、アミノ酸番号99(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号100(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号108(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号123(アラニン)をグルタミンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A軽鎖を「ヒト化hA2-15A-L6タイプ軽鎖」(「hA2-15A-L6」と呼ぶこともある)と命名した。
【0297】
ヒト化hA2-15A-L6タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号36に記載されている。配列番号36のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至133番目のアミノ酸残基からなる配列、134乃至238番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号36のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号35に記載されている。配列番号35のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至424番目のヌクレオチドからなる配列、425乃至739番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号35のヌクレオチド配列及び配列番号36のアミノ酸配列は、
図19にも記載されている。
【0298】
7)-3-4 ヒト化hA2-15A-L7タイプ軽鎖
配列番号22に示されるキメラcA2-15Aの軽鎖のアミノ酸番号29(アラニン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号29-30の間(欠損残基)をセリンに、アミノ酸番号36(グルタミン)をグルタミン酸に、アミノ酸番号41(セリン)をアスパラギンに、アミノ酸番号70(ロイシン)をアラニンに、アミノ酸番号99(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号100(プロリン)をセリンに、アミノ酸番号108(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号123(アラニン)をグルタミンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A軽鎖を「ヒト化hA2-15A-L7タイプ軽鎖」(「hA2-15A-L7」と呼ぶこともある)と命名した。
【0299】
ヒト化hA2-15A-L7タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号38に記載されている。配列番号38のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至133番目のアミノ酸残基からなる配列、134乃至238番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号38のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号37に記載されている。配列番号37のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至424番目のヌクレオチドからなる配列、425乃至739番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号37のヌクレオチド配列及び配列番号38のアミノ酸配列は、
図20にも記載されている。
【0300】
7)-4 重鎖及び軽鎖の組み合わせによるヒト化hA2-15Aの設計
ヒト化hA2-15A-H1タイプ重鎖及びヒト化hA2-15A-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-15A-H1/L1」(「hA2-15A-H1/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-15A-H1タイプ重鎖及びヒト化hA2-15A-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-15A-H1/L4」(「hA2-15A-H1/L4」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-15A-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-15A-H4/L1」(「hA2-15A-H4/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-15A-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-15A-H4/L4」(「hA2-15A-H4/L4」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-15A-L6タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-15A-H4/L6」(「hA2-15A-H4/L6」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-15A-L7タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-15A-H4/L7」(「hA2-15A-H4/L7」と呼ぶこともある)と命名した。以上により設計した抗体は、実施例8に準じて作製し、実施例2及び4に準じて評価することができる。
【0301】
7)-5 ヒト化hA2-27Dの設計
7)-5-1 A2-27Dの可変領域の分子モデリング
A2-27Dの可変領域の分子モデリングは、ホモロジーモデリングとして公知の方法(Methods in Enzymology,203,121-153,(1991))によって実行された。Protein Data Bank(Nuc.Acid Res.35,D301-D303(2007))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定されたA2-27Dの可変領域と比較した。結果として、3EYQと4I9WがそれぞれA2-27Dの重鎖と軽鎖の可変領域に対して最も高い配列同一性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、A2-27Dの重鎖及び軽鎖に対応する3EYQ及び4I9Wの座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。
【0302】
最後に、エネルギーの点でA2-27Dの可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー計算を行った。上記手順を、市販のタンパク質立体構造解析プログラムDiscovery Studio(Accelrys社製)を用いて行った。
【0303】
7)-5-2 ヒト化hA2-27Dに対するアミノ酸配列の設計
ヒト化hA2-27Dの構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸同一性に基づいて選択された。
【0304】
A2-27Dのフレームワーク領域の配列を、ヒトのサブグループ・コンセンサス配列のフレームワーク領域と比較した。結果として、KABAT et al.(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))において既定されたヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ4のコンセンサス配列が、そのフレームワーク領域において高い配列同一性に有することに起因して、アクセプターとして選択された。ヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ3のコンセンサス配列についてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、A2-27Dについてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築されたA2-27Dの三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択された幾つかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化hA2-27Dの配列を以下の実施例に記載されるように構築した。
【0305】
7)-6 A2-27D重鎖のヒト化
7)-6-1 ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖
配列番号24に示されるキメラcA2-27Dの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(ロイシン)をアラニンに、アミノ酸番号56(イソロイシン)をバリンに、アミノ酸番号68(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号94(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号95(アルギニン)をリジンに、アミノ酸番号103(スレオニン)をアスパラギンに、アミノ酸番号107(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号112(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号117(アラニン)をアルギニンに、アミノ酸番号132(プロリン)をグルタミンに、アミノ酸番号135(バリン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-15A重鎖を「ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖」(「hA2-27D-H1」と呼ぶこともある)と命名した。
【0306】
ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号40に記載されている。配列番号40のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号40のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号39に記載されている。配列番号39のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号39のヌクレオチド配列及び配列番号40のアミノ酸配列は、
図21にも記載されている。
【0307】
7)-6-2 ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖
配列番号24に示されるキメラcA2-27Dの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(ロイシン)をアラニンに、アミノ酸番号68(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号94(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号95(アルギニン)をリジンに、アミノ酸番号103(スレオニン)をアスパラギンに、アミノ酸番号107(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号112(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号132(プロリン)をグルタミンに、アミノ酸番号135(バリン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D重鎖を「ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖」(「hA2-27D-H2」と呼ぶこともある)と命名した。
【0308】
ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号42に記載されている。配列番号42のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号42のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号41に記載されている。配列番号41のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号41のヌクレオチド配列及び配列番号42のアミノ酸配列は、
図22にも記載されている。
【0309】
7)-6-3 ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖
配列番号24に示されるキメラcA2-27Dの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(ロイシン)をアラニンに、アミノ酸番号94(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号95(アルギニン)をリジンに、アミノ酸番号103(スレオニン)をアスパラギンに、アミノ酸番号107(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号112(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号132(プロリン)をグルタミンに、アミノ酸番号135(バリン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D重鎖を「ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖」(「hA2-27D-H3」と呼ぶこともある)と命名した。
【0310】
ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号44に記載されている。配列番号44のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号44のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号43に記載されている。配列番号43のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号43のヌクレオチド配列及び配列番号44のアミノ酸配列は、
図23にも記載されている。
【0311】
7)-6-4 ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖
配列番号24に示されるキメラcA2-27Dの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(ロイシン)をアラニンに、アミノ酸番号94(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号95(アルギニン)をリジンに、アミノ酸番号103(スレオニン)をアスパラギンに、アミノ酸番号107(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号135(バリン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D重鎖を「ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖」(「hA2-27D-H4」と呼ぶこともある)と命名した。
【0312】
ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号46に記載されている。配列番号46のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号46のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号45に記載されている。配列番号45のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号45のヌクレオチド配列及び配列番号46のアミノ酸配列は、
図24にも記載されている。
【0313】
7)-6-5 ヒト化hA2-27D-H5タイプ重鎖
配列番号24に示されるキメラcA2-27Dの重鎖のアミノ酸番号35(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(ロイシン)をアラニンに、アミノ酸番号95(アルギニン)をリジンに、アミノ酸番号103(スレオニン)をアスパラギンに、アミノ酸番号135(バリン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D重鎖を「ヒト化hA2-27D-H5タイプ重鎖」(「hA2-27D-H5」と呼ぶこともある)と命名した。
【0314】
ヒト化hA2-27D-H5タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号48に記載されている。配列番号48のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号48のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号47に記載されている。配列番号47のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号47のヌクレオチド配列及び配列番号48のアミノ酸配列は、
図25にも記載されている。
【0315】
7)-7 A2-27D軽鎖のヒト化
7)-7-1 ヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖
配列番号26に示されるキメラcA2-27Dの軽鎖のアミノ酸番号29(スレオニンをグリシンに、アミノ酸番号31(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号32(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号33(アラニン)をロイシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号42(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号59(セリン)をプロリンに、アミノ酸番号61(アラニン)をグルタミンに、アミノ酸番号62(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号64(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号66(トリプトファン)をロイシンに、アミノ酸番号77(バリン)をイソロイシンに、アミノ酸番号79(アスパラギン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号89(セリン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号90(チロシン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号91(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号93(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号96(セリン)をアルギニンに、アミノ酸番号97(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号99(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号102(バリン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号104(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号120(アラニン)をグルタミンに、アミノ酸番号124(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号126(ロイシン)をイソロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D軽鎖を「ヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖」(「hA2-27D-L1」と呼ぶこともある)と命名した。
【0316】
ヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号50に記載されている。配列番号50のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号50のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号49に記載されている。配列番号49のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至412番目のヌクレオチドからなる配列、413乃至727番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号49のヌクレオチド配列及び配列番号50のアミノ酸配列は、
図26にも記載されている。
【0317】
7)-7-2 ヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖
配列番号26に示されるキメラcA2-27Dの軽鎖のアミノ酸番号29(スレオニンをグリシンに、アミノ酸番号31(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号32(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号33(アラニン)をロイシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号42(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号59(セリン)をプロリンに、アミノ酸番号61(アラニン)をグルタミンに、アミノ酸番号64(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号79(アスパラギン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号89(セリン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号90(チロシン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号91(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号93(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号96(セリン)をアルギニンに、アミノ酸番号97(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号99(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号102(バリン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号104(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号120(アラニン)をグルタミンに、アミノ酸番号124(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号126(ロイシン)をイソロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D軽鎖を「ヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖」(「hA2-27D-L2」と呼ぶこともある)と命名した。
【0318】
ヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号52に記載されている。配列番号52のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号52のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号51に記載されている。配列番号51のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至412番目のヌクレオチドからなる配列、413乃至727番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号51のヌクレオチド配列及び配列番号52のアミノ酸配列は、
図27にも記載されている。
【0319】
7)-7-3 ヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖
配列番号26に示されるキメラcA2-27Dの軽鎖のアミノ酸番号29(スレオニンをグリシンに、アミノ酸番号31(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号32(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号33(アラニン)をロイシンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号39(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号42(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号59(セリン)をプロリンに、アミノ酸番号64(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号79(アスパラギン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号89(セリン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号91(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号93(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号96(セリン)をアルギニンに、アミノ酸番号97(メチオニン)をロイシンに、アミノ酸番号99(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号102(バリン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号124(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号126(ロイシン)をイソロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D軽鎖を「ヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖」(「hA2-27D-L3」と呼ぶこともある)と命名した。
【0320】
ヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号54に記載されている。配列番号54のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号54のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号53に記載されている。配列番号53のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至412番目のヌクレオチドからなる配列、413乃至727番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号53のヌクレオチド配列及び配列番号54のアミノ酸配列は、
図28にも記載されている。
【0321】
7)-7-4 ヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖
配列番号26に示されるキメラcA2-27Dの軽鎖のアミノ酸番号29(スレオニンをグリシンに、アミノ酸番号32(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(アスパラギン)をセリンに、アミノ酸番号59(セリン)をプロリンに、アミノ酸番号64(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号79(アスパラギン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号89(セリン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号91(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号93(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号96(セリン)をアルギニンに、アミノ酸番号99(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号102(バリン)をフェニルアラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D軽鎖を「ヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖」(「hA2-27D-L4」と呼ぶこともある)と命名した。
【0322】
ヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号56に記載されている。配列番号56のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号56のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号55に記載されている。配列番号55のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至412番目のヌクレオチドからなる配列、413乃至727番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号55のヌクレオチド配列及び配列番号56のアミノ酸配列は、
図29にも記載されている。
【0323】
7)-7-5 ヒト化hA2-27D-L5タイプ軽鎖
配列番号26に示されるキメラcA2-27Dの軽鎖のアミノ酸番号29(スレオニンをグリシンに、アミノ酸番号32(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号38(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号91(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号93(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号96(セリン)をアルギニンに、アミノ酸番号99(アラニン)をプロリンに、アミノ酸番号102(バリン)をフェニルアラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-27D軽鎖を「ヒト化hA2-27D-L5タイプ軽鎖」(「hA2-27D-L5」と呼ぶこともある)と命名した。
【0324】
ヒト化hA2-27D-L5タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号58に記載されている。配列番号58のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号58のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号57に記載されている。配列番号57のヌクレオチド配列の26乃至85番目のヌクレオチドからなる配列、86乃至412番目のヌクレオチドからなる配列、413乃至727番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号57のヌクレオチド配列及び配列番号58のアミノ酸配列は、
図30にも記載されている。
【0325】
7)-8 重鎖及び軽鎖の組み合わせによるヒト化hA2-27Dの設計
ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H1/L1」(「hA2-27D-H1/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H1/L2」(「hA2-27D-H1/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H1/L3」(「hA2-27D-H1/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H2/L1」(「hA2-27D-H2/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H2/L2」(「hA2-27D-H2/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H2/L3」(「hA2-27D-H2/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H3/L1」(「hA2-27D-H3/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H3/L2」(「hA2-27D-H3/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H3/L3」(「hA2-27D-H3/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H3/L4」(「hA2-27D-H3/L4」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H4/L3」(「hA2-27D-H4/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H4/L4」(「hA2-27D-H4/L4」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L5タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H4/L5」(「hA2-27D-H4/L5」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-27D-H5タイプ重鎖及びヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-27D-H5/L4」(「hA2-27D-H5/L4」と呼ぶこともある)と命名した。以上により設計した抗体は、実施例8に準じて作製し、実施例2及び4に準じて評価することができる。
【0326】
<実施例8>
ヒト化A2-15A抗体、及びヒト化A2-27D抗体の発現ベクターの構築と抗体の調製
8)-1 ヒト化A2-15Aの重鎖発現ベクターの構築
8)-1-1 ヒト化hA2-15A-H1タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号27に示すヒト化hA2-15A-H1のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至443に示されるヒト化hA2-15A-H1の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社、日本)と下記のプライマーセットでヒト化hA2-15A-H1の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することによりヒト化hA2-15A-H1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-15A-H1」と命名した。
プライマーセット
5’-AGCTCCCAGATGGGTGCTGAGC-3’(EG-Inf-F;配列番号99)
5’-GGGCCCTTGGTGGAGGCTGAGC-3’(EG1-Inf-R;配列番号100)
【0327】
8)-1-2 ヒト化hA2-15A-H4タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号29に示すヒト化hA2-15A-H4のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至443に示されるヒト化hA2-15A-H4の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-15A-H4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-15A-H4」と命名した。
【0328】
8)-2 ヒト化A2-15Aの軽鎖発現ベクターの構築
8)-2-1 ヒト化hA2-15A-L1タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号31に示すヒト化hA2-15A-L1をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒト化hA2-15A-L1をコードする配列を含むDNA断片を増幅し、発現ベクターpCMA-LKを制限酵素XbaIおよびPmeIで消化してκ鎖分泌シグナルおよびヒトκ鎖定常領域を取り除いた箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することによりヒト化hA2-15A-L1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-15A-L1」と命名した。
プライマーセット
5’-CCAGCCTCCGGACTCTAGAGCCACC-3’(CM-inf-F;配列番号101)
5’-AGTTAGCCTCCCCCGTTTAAACTC-3’(CM-inf-R;配列番号102)
【0329】
8)-2-2 ヒト化hA2-15A-L4タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号33に示すヒト化hA2-15A-L4をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-15A-L4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-15A-L4」と命名した。
【0330】
8)-2-3 ヒト化hA2-15A-L6タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号35に示すヒト化hA2-15A-L6をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-15A-L6発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-15A-L6」と命名した。
【0331】
8)-2-4 ヒト化hA2-15A-L7タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号37に示すヒト化hA2-15A-L7をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-15A-L7発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-15A-L7」と命名した。
【0332】
8)-3 ヒト化A2-27Dの重鎖発現ベクターの構築
8)-3-1 ヒト化hA2-27D-H1タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号39に示すヒト化hA2-27D-H1のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至437に示されるヒト化hA2-27D-H1の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-H1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H1」と命名した。
【0333】
8)-3-2 ヒト化hA2-27D-H2タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号41に示すヒト化hA2-27D-H2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至437に示されるヒト化hA2-27D-H2の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-H2発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H2」と命名した。
【0334】
8)-3-3 ヒト化hA2-27D-H3タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号43に示すヒト化hA2-27D-H3のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至437に示されるヒト化hA2-27D-H3の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-H3発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H3」と命名した。
【0335】
8)-3-4 ヒト化hA2-27D-H4タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号45に示すヒト化hA2-27D-H4のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至437に示されるヒト化hA2-27D-H4の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-H4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H4」と命名した。
【0336】
8)-3-5 ヒト化hA2-27D-H5タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号47に示すヒト化hA2-27D-H5のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至437に示されるヒト化hA2-27D-H5の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-H5発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H5」と命名した。
【0337】
8)-4 ヒト化A2-27Dの軽鎖発現ベクターの構築
8)-4-1 ヒト化hA2-27D-L1タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号49に示すヒト化hA2-27D-L1をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-L1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-27D-L1」と命名した。
【0338】
8)-4-2 ヒト化hA2-27D-L2タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号51に示すヒト化hA2-27D-L2をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-L2発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-27D-L2」と命名した。
【0339】
8)-4-3 ヒト化hA2-27D-L3タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号53に示すヒト化hA2-27D-L3をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-L3発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-27D-L3」と命名した。
【0340】
8)-4-4 ヒト化hA2-27D-L4タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号55に示すヒト化hA2-27D-L4をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-L4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-27D-L4」と命名した。
【0341】
8)-4-5 ヒト化hA2-27D-L5タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号57に示すヒト化hA2-27D-L5をコードする配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 遺伝子合成サービス)。実施例8)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-27D-L5発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-27D-L5」と命名した。
【0342】
8)-5 ヒト化A2-15A抗体(IgG1)、及びヒト化A2-27D抗体(IgG1)の調製
8)-5-1 ヒト化A2-15A抗体(IgG1)、及びヒト化A2-27D抗体(IgG1)の生産
実施例5)-7と同様の方法で生産した。すなわち、実施例8)-1-2で構築したpCMA-G1/hA2-15A-H4と実施例8)-2-3で構築したpCMA/hA2-15A-L6との組合せによって、ヒト化hA2-15A-H4/L6を取得した。実施例8)-3-2で構築したpCMA-G1/hA2-27D-H2と実施例8)-4-2で構築したpCMA/hA2-27D-L2との組合せによって、ヒト化hA2-27D-H2/L2を取得した。実施例8)-3-3で構築したpCMA-G1/hA2-27D-H3と実施例8)-4-4で構築したpCMA/hA2-27D-L4の組合せによって、ヒト化hA2-27D-H3/L4を取得した。
【0343】
8)-5-2 ヒト化A2-15A抗体(IgG1)、及びヒト化A2-27D抗体(IgG1)の二段階工程精製
実施例8)-5-1で得られた培養上清を、実施例5)-8と同様の方法で精製した。
【0344】
<実施例9>
ヒト化A2-15A抗体(IgG1)、及びヒト化A2-27D抗体(IgG1)のin vitro活性評価
9)-1 ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイによる抗体評価
実施例8)-5で作製したヒト化hA2-15A-H4/L6、ヒト化hA2-27D-H2/L2、及びヒト化hA2-27D-H3/L4のALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、BMP特異的なルシフェラーゼ・レポーターを用いて解析した。実施例6)-1と同様の方法でHEPG2細胞に対してpGL4.26/Id1WT4F-luc(Genes Cells,7,949(2002))を導入し、3時間後に培地を新鮮なFreeStyle293 expression medium (Invitrogen社)に交換した。その後、ヒト化抗体と10 ng/mLのBMP7(Milteney社製)を添加し、翌日にルシフェラーゼ活性を測定した。
【0345】
結果を
図31に記載する。ヒト化hA2-15A-H4/L6、ヒト化hA2-27D-H2/L2、及びヒト化hA2-27D-H3/L4は、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ活性を、用量依存的に抑制することが確認された。
【0346】
<実施例10>
ヒト化A2-15A抗体(IgG1)、及びヒト化A2-27D抗体(IgG1)のヒトALK2に対する結合性評価
実施例8)-5で作製したヒト化hA2-15A-H4/L6、ヒト化hA2-27D-H2/L2及びヒト化hA2-27D-H3/L4と抗原(Recombinant Human ALK2 Fc Chimera、Sino Biological Inc.)との解離定数測定は、Biacore T200(GEヘルスケアバイオサイエンス(株))を使用し、抗原をリガンドとして固定化し、抗体をアナライトとして測定した。抗原は、1.25μg/mLにて60秒間添加し、センサーチップCM5(GEヘルスケアバイオサイエンス(株))へ固定化させた。ランニングバッファーとしてHBS-EP+(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl,3mM EDTA、0.05%Surfactant P20)を用いた。抗原を固定化したチップ上に、抗体の希釈系列溶液(0.2-50nM)を流速30μl/分で300秒間添加し、引き続き1800秒間の解離相をモニターした。再生溶液として、10mM グリシン塩酸溶液pH1.5を流速10μl/分で30秒間、2回添加した。データの解析には、分析ソフトウェア(BIAevaluation software, version 1.0)のBivalent結合モデルを用いて、結合速度定数ka、解離速度定数kd及び解離定数(KD;KD=kd/ka)を算出した。
【0347】
【0348】
<実施例11>
ヒト化A2-15A抗体(IgG2)の調製
11)-1 ヒト化IgG2タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G2の構築
実施例5)-1で構築したpCMA-LKをXbaI及びPmeIで消化してκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域を取り除いたDNA断片と、ヒト重鎖分泌シグナル配列及びヒトIgG2定常領域のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むDNA断片(配列番号103)をIn-Fusion Advantage PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて結合して、CMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、ヒトIgG2重鎖定常領域をもつキメラ及びヒト化IgG2タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G2を構築した。
【0349】
11)-2 ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプ重鎖発現ベクターの構築
実施例8)-1-2で構築したpCMA-G1/hA2-15A-H4をテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、ヒト化IgG2タイプ重鎖発現ベクターpCMA-G2を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することにより、ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプ発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G2/hA2-15A-H4」と命名した。
【0350】
ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号104に示し、アミノ酸配列を配列番号105に示した。配列番号104のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至426番目のヌクレオチドからなる配列、427乃至1404番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号105のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至142番目のアミノ酸残基からなる配列、143乃至468番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号104のヌクレオチド配列及び配列番号105のアミノ酸配列は、
図32にも記載されている。
ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプ重鎖用プライマーセット
5’-CAGATGGGTGCTGAGCGAAGTGCAGCTGGTGGAATCTGGC-3’(15A-H4-F;配列番号130)
5’-CTTGGTGCTGGCTGAGCTGACGGTCACGAGGGTGCC-3’(15A-H4-R;配列番号131)
【0351】
11)-3 ヒト化A2-15A抗体(IgG2)の生産
実施例5)-7と同様の方法で生産した。実施例11)-2で構築したpCMA-G2/hA2-15A-H4と実施例8)-2-3で構築したpCMA/hA2-15A-L6との組合せによって取得されたヒト化A2-15A抗体を「ヒト化hA2-15A-H4/L6(IgG2)」と命名した。
11)-4 ヒト化hA2-15A-H4/L6(IgG2)の二段階工程精製
実施例11)-3で得られた培養上清を、実施例5)-8と同様の方法で精製した。
【0352】
<実施例12>
ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)の調製
12)-1 ヒト化hA2-27D-H2-LALAタイプ重鎖発現ベクターの構築
実施例8)-3-2で構築したpCMA-G1/hA2-27D-H2をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD -Plus- Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhA2-27D-H2-LALAタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H2-LALA」と命名した。
【0353】
ヒト化hA2-27D-H2-LALAタイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号106に示し、アミノ酸配列を配列番号107に示した。配列番号106のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号107のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号106のヌクレオチド配列及び配列番号107のアミノ酸配列は、
図33にも記載されている。
プライマーセット:
5’-GCGGGGGGACCCTCAGTCTTCCTCTTCCCC-3’(LALA-F;配列番号132)
5’-GGCTTCAGGTGCTGGGCAGGGTGGGCATGTG-3’(LALA-R;配列番号133)
【0354】
12)-2 ヒト化hA2-27D-H3-LALAタイプ重鎖発現ベクターの構築
実施例8)-3-3で構築したpCMA-G1/hA2-27D-H3をテンプレートとし、実施例12)-1と同様の方法でhA2-27D-H3-LALAタイプ重鎖発現ベクターを構築した。構築した発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-27D-H3-LALA」と命名した。
【0355】
ヒト化hA2-27D-H3-LALAタイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列番号108に示し、アミノ酸配列を配列番号109に示した。配列番号108のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至420番目のヌクレオチドからなる配列、421乃至1410番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号109のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至140番目のアミノ酸残基からなる配列、141乃至470番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号108のヌクレオチド配列及び配列番号109のアミノ酸配列は、
図34にも記載されている。
【0356】
12)-3 ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)の生産
実施例5)-7と同様の方法で生産した。実施例12)-1で構築したpCMA-G1/hA2-27D-H2-LALAと実施例8)-4-2で構築したpCMA/hA2-27D-L2の組合せによって取得されたヒト化A2-27D抗体を「ヒト化hA2-27D-H2/L2(IgG1 LALA)」と命名し、実施例12)-2で構築したpCMA-G1/hA2-27D-H3-LALAと実施例8)-4-4で構築したpCMA/hA2-27D-L4の組合せによって取得されたヒト化A2-27D抗体を「ヒト化hA2-27D-H3/L4(IgG1 LALA)」と命名した。
【0357】
12)-4 ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)の二段階工程精製
実施例12)-3で得られた培養上清を、実施例5)-8と同様の方法で精製した。
【0358】
<実施例13>
ヒト化A2-15A抗体(IgG2)、ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)のin vitro活性評価
13)-1 ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイによる抗体評価
実施例11)-4で作製したヒト化A2-15A-H4/L6(IgG2)、実施例12)-4で得られたヒト化A2-27D-H2/L2(IgG1 LALA)のALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、BMP特異的なルシフェラーゼ・レポーターを用いて解析した。実施例6)-1と同様の方法でHEPG2細胞に対してpGL4.26/Id1WT4F-luc(Genes Cells,7,949(2002))を導入し、3時間後に培地を新鮮なFreeStyle293 expression medium (Invitrogen社)に交換した。その後、ヒト化抗体と2.5 ng/mLのBMP9を添加し、実施例6)-1と同様に翌日にルシフェラーゼ活性を測定した。
【0359】
結果を
図35に記載する。ヒト化A2-15A-H4/L6(IgG2)、ヒト化A2-27D-H2/L2(IgG1 LALA)は、BMP7が誘導するBMP特異的ルシフェラーゼ活性を、用量依存的に抑制することが確認された。
【0360】
<実施例14>
ヒト化A2-15A抗体(IgG2)、ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)のヒトALK2に対する結合性評価
14)-1 ヒトALK2細胞外ドメインの発現精製
ヒトALK2細胞外ドメイン(NCBIの蛋白データベースのACCESSION番号NP_001096のアミノ酸配列の21乃至123番目のアミノ酸残基からなるポリペプチド)をコードするDNAをベクターpET-28b(+)(ノバジェン社、カタログ番号:69865)に組み込み、C末端側にHisタグ配列を連結した蛋白を発現させるプラスミドを構築した。このプラスミドを用いて、大腸菌SHuffle T7(ニューイングランドバイオラボ社、カタログ番号:C3029H)を形質転換し、TB培地(シグマアルドリッチ社、カタログ番号:T0918)で培養した。培養後、超音波破砕した菌体を遠心分離し、上清をHisTrap FF crudeカラム(GEヘルスケア社、カタログ番号:17-5286-01)で精製した。その後、HiLoad 26/600 Superdex 200カラム(GEヘルスケア社、カタログ番号:28-9893-36)を用いて、電気泳動で分子量12kDaの単一バンドになるまでヒトALK2細胞外ドメインを精製した。
【0361】
14)-2 ヒト化A2-15A抗体(IgG2)、ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)を用いた抗原結合能の測定
実施例11)-4で作製したヒト化hA2-15A-H4/L6(IgG2)、実施例12)-4で作製したヒト化hA2-27D-H2/L2(IgG1 LALA) 及びヒト化hA2-27D-H3/L4(IgG1 LALA)と抗原(実施例14)-1にて調製したヒトALK2細胞外ドメイン)との解離定数測定は、Biacore T200(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)、日本)を使用し、固定化した抗ヒトIgG(Fc)抗体に抗体をリガンドとして捕捉(キャプチャー)し、抗原をアナライトとして測定するキャプチャー法にて行った。抗ヒトIgG(Fc)抗体(Human Antibody Capture kit、GEヘルスケアバイオサイエンス(株))は、センサーチップCM5(GEヘルスケアバイオサイエンス(株))へアミンカップリング法にて約1000RU共有結合させた。リファレンスセルにも同様に固定化した。ランニングバッファーとしてHBS-EP+(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl,3mM EDTA、0.05%Surfactant P20)を用いた。抗ヒトIgG(Fc)抗体を固定化したチップ上に、抗体を約1分間添加した後、抗原の希釈系列溶液(0.78-200nM)を流速30μl/分で300秒間添加し、引き続き600秒間の解離相をモニターした。再生溶液として、3M塩化マグネシウム溶液を流速10μl/分で30秒間添加した。データの解析には、分析ソフトウェア(BIAevaluation software, version 1.0)の1:1結合モデルを用いて、結合速度定数ka、解離速度定数kd及び解離定数(KD;KD=kd/ka)を算出した。
【0362】
【0363】
<実施例15>
ヒト化A2-15A抗体(IgG2)、ヒト化A2-27D抗体(IgG1 LALA)のin vivo活性評価
実施例11)-4で作製したヒト化hA2-15A-H4/L6(IgG2)、及び実施例12)-4で作製したヒト化hA2-27D-H2/L2(IgG1 LALA)の異所性骨化に対する抑制活性はマウスを用いたBMP7の移植による異所性骨化モデルを用いて解析した。4mm径の円形に切り取ったCollaTape(Zimmer Dental社製)にBMP7(Milteney社製)を2.5マイクロG(μg)染み込ませたものを-80℃で一晩凍結させた後に真空乾燥させた。マウス(C57BL/6:8-9週齢)の大腿骨近傍の皮膚の毛を除毛し、イソフルラン吸引麻酔下で切開し、凍結乾燥させた濾紙を骨格筋内に移植した。移植してから2週間後に異所性骨化をマイクロCT(Comscan社製)にて石灰化した異所性骨の解析を行い、その後に骨格筋内の異所性骨を取り出し、重量を測定した。抗体の投与は1週間に1回(移植日をDay0としてDay-1, Day6)皮下投与にて実施した。投与抗体の濃度は1,3,10mg/kgとなるように溶媒(HBSor)で希釈を行った。コントロール群のマウスに対してはIgG(JACKSON IMMUNORESEARCH社製)を10mg/kgとなるように溶媒で調製して投与を行った。
【0364】
結果を
図36に記載する。ヒト化hA2-15A-H4/L6(IgG2)、及びヒト化hA2-27D-H2/L2(IgG1 LALA)は、BMP7が誘導するマウスの骨格筋組織における異所性骨誘導を抑制することが確認された。
【0365】
<実施例16>
A2-27D抗体のエピトープ解析
16)-1 ヒトキメラcA2-27D Fabフラグメントの作製
Pierce Fab Preparation Kitを使用して実施例5)-8で得られたヒトキメラcA2-27D抗体からFabフラグメントを作製した。
【0366】
16)-2 ヒトキメラcA2-27D FabフラグメントとALK2-ECD複合体の結晶化と構造解析
16)-1で得られたヒトキメラcA2-27D Fabフラグメントと実施例14に準じて調製したALK2-ECD複合体を2.4mg/mLに濃縮し、結晶化に用いた。結晶化には蒸気拡散法を用いた。タンパク質溶液0.5μLに沈殿剤溶液(2%(v/v)Tacsimate pH7.0,100mM HEPES pH7.5,20%(w/v)Polyethylene Glycol3,350)を等量加えた溶液を、50μLの沈殿剤溶液を入れた密閉容器に両溶液が触れ合わないように収め、20℃で静置した。3日後に0.1mm×0.1mm×0.1mmの単結晶が得られた。得られた結晶を20%(v/v)Glycerolを加えた沈殿剤溶液に浸し、続いて液化窒素で凍結した。高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設のBL1Aにて95K窒素気流下でX線回折データを収集した。得られた回折像からソフトウェアXDS(Acta Cryst.(2010).D66,125-132)を用いて回折強度を数値化し、結晶構造因子を求めた。結晶は体心単斜晶系で空間群はC121、結晶の単位格子はa=c=119.39Å、b=37.32Å,β=92.54であった。得られた構造因子とFab(過去に結晶構造解析した抗体構造を利用)の三次元構造座標を用いて分子置換法を行い、位相を決定した。計算にはソフトウェアphaser (CCP4:Collaborative Computation Project No.4)を使用した。結晶は非対称単位に1つの複合体を含んでいた。ソフトウェアrefmac5(CCP4)を用いて構造の精密化を行い、ソフトウェアcootを用いてモデルの修正を行った。この操作を繰り返し行い、2.6Å分解能で最終のR値22.3%、freeR値26.7%を得た。モデルは1つの複合体から成り、A2-27D FabのL鎖アミノ酸残基1-211、H鎖アミノ酸残基1-134と141-223、ALK2-ECDのアミノ酸残基11-89、及び61個の水分子を含む。決定されたA2-27D Fabから4Å以内にあるALK2-ECDのアミノ酸残基は以下の通りである: Glu18,Gly19,Ile39,Asn40,Asp41,Gly42,Phe43,His44,Val45,Tyr46,Asn82,Thr84,Gln86,Leu87。
図37に複合体全体のリボンモデルを示した。
【0367】
<実施例17>
ヒト化A2-11E抗体、及びヒト化A2-25C抗体のデザイン
17)-1 ヒト化hA2-11Eの設計
17)-1-1 A2-11Eの可変領域の分子モデリング
A2-11Eの可変領域の分子モデリングは、ホモロジーモデリングとして公知の方法(Methods in Enzymology,203,121-153,(1991))によって実行された。Protein Data Bank(Nuc.Acid Res.35,D301-D303(2007))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定されたA2-11Eの可変領域と比較した。結果として、3BN9がA2-11Eの重鎖と軽鎖の可変領域に対して最も高い配列同一性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、3BN9の座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。
【0368】
最後に、エネルギーの点でA2-11Eの可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー最小化計算を行った。上記手順を、市販のタンパク質立体構造解析プログラムDiscovery Studio(Accelrys社製)を用いて行った。
【0369】
17)-1-2 ヒト化hA2-11Eに対するアミノ酸配列の設計
ヒト化hA2-11Eの構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸同一性に基づいて選択された。
【0370】
A2-11Eのフレームワーク領域の配列を、ヒトのサブグループ・コンセンサス配列のフレームワーク領域と比較した。結果として、KABAT et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service National Institutes of Health, Bethesda,MD. (1991))において既定されたヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ1のコンセンサス配列が、そのフレームワーク領域において高い配列同一性に有することに起因して、アクセプターとして選択された。ヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ1のコンセンサス配列についてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、A2-11Eについてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築されたA2-11Eの三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択された幾つかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化hA2-11Eの配列を以下の実施例に記載されるように構築した。
【0371】
17)-2 A2-11E重鎖のヒト化
17)-2-1 ヒト化hA2-11E-H3タイプ重鎖
配列表の配列番号2に示されるA2-11E重鎖のアミノ酸番号7(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号16(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号19(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号23(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号48(イソロイシン)をバリンに、アミノ酸番号61(プロリン)をアラニンに、アミノ酸番号69(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号75(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号76(グルタミン酸)をリジンに、アミノ酸番号88(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号93(スレオニン)をバリンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-11E重鎖を「hA2-11E-H3タイプ重鎖」と命名した。
【0372】
ヒト化hA2-11E-H3タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号111に記載されている。配列番号111のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至137番目のアミノ酸残基からなる配列、138乃至467番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号111のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号110に記載されている。配列番号110のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至411番目のヌクレオチドからなる配列、412乃至1401番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号110のヌクレオチド配列及び配列番号111のアミノ酸配列は、
図38にも記載されている。
【0373】
17)-2-2 ヒト化hA2-11E-H4タイプ重鎖
配列表の配列番号2に示されるA2-11E重鎖のアミノ酸番号7(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号16(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号19(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号23(バリン)をアラニンに、アミノ酸番号69(アラニン)をスレオニンに、アミノ酸番号75(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号76(グルタミン酸)をリジンに、アミノ酸番号88(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号93(スレオニン)をバリンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-11E重鎖を「hA2-11E-H4タイプ重鎖」と命名した。
【0374】
ヒト化hA2-11E-H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号113に記載されている。配列番号113のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至137番目のアミノ酸残基からなる配列、138乃至467番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号113のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号112に記載されている。配列番号112のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至411番目のヌクレオチドからなる配列、412乃至1401番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号112のヌクレオチド配列及び配列番号113のアミノ酸配列は、
図39にも記載されている。
【0375】
17)-3 A2-11E軽鎖のヒト化
17)-3-1 ヒト化hA2-11E-L2タイプ軽鎖
配列表の配列番号4に示されるA2-11E軽鎖のアミノ酸番号10(ロイシン)をセリンに、アミノ酸番号21(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号22(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号40(ロイシン)をプロリンに、アミノ酸番号42(グルタミン酸)をリジンに、アミノ酸番号58(イソロイシン)をバリンに、アミノ酸番号83(バリン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号85(イソロイシン)をスレオニンに、アミノ酸番号87(フェニルアラニン)をチロシンに、アミノ酸番号99(プロリン)をグルタミンに、アミノ酸番号103(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号105(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号108(アラニン)をスレオニンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-11E軽鎖を「hA2-11E-L2タイプ軽鎖」と命名した。
【0376】
ヒト化hA2-11E-L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号115に記載されている。配列番号115のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至128番目のアミノ酸残基からなる配列、129乃至233番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号115のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号114に記載されている。配列番号114のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至384番目のヌクレオチドからなる配列、385乃至699番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号114のヌクレオチド配列及び配列番号115のアミノ酸配列は、
図40にも記載されている。
【0377】
17)-3-2 ヒト化hA2-11E-L3タイプ軽鎖
配列表の配列番号4に示されるA2-11E軽鎖のアミノ酸番号10(ロイシン)をセリンに、アミノ酸番号21(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号22(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号40(ロイシン)をプロリンに、アミノ酸番号42(グルタミン酸)をリジンに、アミノ酸番号83(バリン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号85(イソロイシン)をスレオニンに、アミノ酸番号87(フェニルアラニン)をチロシンに、アミノ酸番号99(プロリン)をグルタミンに、アミノ酸番号103(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号105(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号108(アラニン)をスレオニンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-11E軽鎖を「hA2-11E-L3タイプ軽鎖」と命名した。
【0378】
ヒト化hA2-11E-L3タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号117に記載されている。配列番号117のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至128番目のアミノ酸残基からなる配列、129乃至233番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号117のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号116に記載されている。配列番号116のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至384番目のヌクレオチドからなる配列、385乃至699番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号116のヌクレオチド配列及び配列番号117のアミノ酸配列は、
図41にも記載されている。
【0379】
17)-3-3 ヒト化hA2-11E-L4タイプ軽鎖
配列表の配列番号4に示されるA2-11E軽鎖のアミノ酸番号10(ロイシン)をセリンに、アミノ酸番号21(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号40(ロイシン)をプロリンに、アミノ酸番号83(バリン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号103(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号105(ロイシン)をイソロイシンに、アミノ酸番号108(アラニン)をスレオニンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-11E軽鎖を「hA2-11E-L4タイプ軽鎖」と命名した。
【0380】
ヒト化hA2-11E-L4タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号119に記載されている。配列番号119のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至128番目のアミノ酸残基からなる配列、129乃至233番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号119のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号118に記載されている。配列番号118のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至384番目のヌクレオチドからなる配列、385乃至699番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号118のヌクレオチド配列及び配列番号119のアミノ酸配列は、
図42にも記載されている。
【0381】
17)-4 重鎖及び軽鎖の組み合わせによるヒト化hA2-11Eの設計
ヒト化hA2-11E-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-11E-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-11E-H3/L2」(「hA2-11E-H3/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-11E-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-11E-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-11E-H3/L3」(「hA2-11E-H3/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-11E-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-11E-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-11E-H3/L4」(「hA2-11E-H3/L4」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-11E-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-11E-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-11E-H4/L2」(「hA2-11E-H4/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-11E-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-11E-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-11E-H4/L3」(「hA2-11E-H4/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-11E-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-11E-L4タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-11E-H4/L4」(「hA2-11E-H4/L4」と呼ぶこともある)と命名した。以上により設計した抗体は、実施例18に準じて作製し、実施例2及び4に準じて評価することができる。
【0382】
17)-5 ヒト化hA2-25Cの設計
17)-5-1 A2-25Cの可変領域の分子モデリング
A2-25Cの可変領域の分子モデリングは、ホモロジーモデリングとして公知の方法(Methods in Enzymology,203,121-153,(1991))によって実行された。Protein Data Bank(Nuc.Acid Res.35,D301-D303(2007))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定されたAA2-25Cの可変領域と比較した。結果として、3BN9がA2-25Cの重鎖と軽鎖の可変領域に対して最も高い配列同一性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、3BN9の座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。
【0383】
最後に、エネルギーの点でA2-25Cの可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子間接触を除くためのエネルギー最小化計算を行った。上記手順を、市販のタンパク質立体構造解析プログラムDiscovery Studio(Accelrys社製)を用いて行った。
【0384】
17)-5-2 ヒト化hA2-25Cに対するアミノ酸配列の設計
ヒト化hA2-25Cの構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸同一性に基づいて選択された。
【0385】
A2-25Cのフレームワーク領域の配列を、ヒトのサブグループ・コンセンサス配列のフレームワーク領域と比較した。結果として、KABAT et al.(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service National Institutes of Health, Bethesda,MD.(1991))において既定されたヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ1のコンセンサス配列が、そのフレームワーク領域において高い配列同一性に有することに起因して、アクセプターとして選択された。ヒトγ鎖サブグループ3のコンセンサス配列とヒトκ鎖サブグループ1のコンセンサス配列についてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、A2-25Cについてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築されたA2-25Cの三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029-10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。選択された幾つかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化hA2-25Cの配列を以下の実施例に記載されるように構築した。
【0386】
17)-6 A2-25C重鎖のヒト化
17)-6-1 ヒト化hA2-25C-H3タイプ重鎖
配列表の配列番号10に示されるA2-25C重鎖のアミノ酸番号19(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号38(システイン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(スレオニン)をグリシンに、アミノ酸番号63(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号75(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号84(アスパラギン酸)をアスパラギンに、アミノ酸番号88(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号93(スレオニン)をバリンに、アミノ酸番号112(バリン)をスレオニンに、アミノ酸番号113(メチオニン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-25C重鎖を「hA2-25C-H3タイプ重鎖」と命名した。
【0387】
ヒト化hA2-25C-H3タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号121に記載されている。配列番号121のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至137番目のアミノ酸残基からなる配列、138乃至467番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号121のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号120に記載されている。配列番号120のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至411番目のヌクレオチドからなる配列、412乃至1401番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号120のヌクレオチド配列及び配列番号121のアミノ酸配列は、
図43にも記載されている。
【0388】
17)-6-2 ヒト化hA2-25C-H4タイプ重鎖
配列表の配列番号10に示されるA2-25C重鎖のアミノ酸番号19(リジン)をアルギニンに、アミノ酸番号38(システイン)をアルギニンに、アミノ酸番号42(スレオニン)をグリシンに、アミノ酸番号63(スレオニン)をセリンに、アミノ酸番号75(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号84(アスパラギン酸)をアスパラギンに、アミノ酸番号88(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号113(メチオニン)をロイシンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-25C重鎖を「hA2-25C-H4タイプ重鎖」と命名した。
【0389】
ヒト化hA2-25C-H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号123に記載されている。配列番号123のアミノ酸配列の1乃至19番目のアミノ酸残基からなる配列、20乃至137番目のアミノ酸残基からなる配列、138乃至467番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域、重鎖定常領域に相当する。配列番号123のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号122に記載されている。配列番号122のヌクレオチド配列の1乃至57番目のヌクレオチドからなる配列、58乃至411番目のヌクレオチドからなる配列、412乃至1401番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、重鎖可変領域配列、重鎖定常領域配列をコードしている。配列番号122のヌクレオチド配列及び配列番号123のアミノ酸配列は、
図44にも記載されている。
【0390】
17)-7 A2-25C軽鎖のヒト化
17)-7-1 ヒト化hA2-25C-L1タイプ軽鎖
配列表の配列番号12に示されるA2-25C軽鎖のアミノ酸番号9(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号15(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号16(グルタミン酸)をグリシンに、アミノ酸番号17(グルタミン酸)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号18(イソロイシン)をアルギニンに、アミノ酸番号43(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号45(グルタミン)をリジンに、アミノ酸番号66(アルギニン)をグリシンに、アミノ酸番号70(グルタミン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号71(チロシン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号72(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号74(リジン)をスレオニンに、アミノ酸番号77(アルギニン)をセリンに、アミノ酸番号79(アルギニン)をグルタミンに、アミノ酸番号80(バリン)をプロリンに、アミノ酸番号83(イソロイシン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号84(グリシン)をアラニンに、アミノ酸番号85(イソロイシン)をスレオニンに、アミノ酸番号100(セリン)をグルタミンに、アミノ酸番号104(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号109(アラニン)をスレオニンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-25C軽鎖を「hA2-25C-L1タイプ軽鎖」と命名した。
【0391】
ヒト化hA2-25C-L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号125に記載されている。配列番号125のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号125のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号124に記載されている。配列番号124のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号124のヌクレオチド配列及び配列番号125のアミノ酸配列は、
図45にも記載されている。
【0392】
17)-7-2 ヒト化hA2-25C-L2タイプ軽鎖
配列表の配列番号12に示されるA2-25C軽鎖のアミノ酸番号9(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号15(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号16(グルタミン酸)をグリシンに、アミノ酸番号17(グルタミン酸)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号18(イソロイシン)をアルギニンに、アミノ酸番号43(セリン)をアラニンに、アミノ酸番号45(グルタミン)をリジンに、アミノ酸番号70(グルタミン)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号72(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号74(リジン)をスレオニンに、アミノ酸番号77(アルギニン)をセリンに、アミノ酸番号79(アルギニン)をグルタミンに、アミノ酸番号80(バリン)をプロリンに、アミノ酸番号83(イソロイシン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号84(グリシン)をアラニンに、アミノ酸番号85(イソロイシン)をスレオニンに、アミノ酸番号100(セリン)をグルタミンに、アミノ酸番号104(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号109(アラニン)をスレオニンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-25C軽鎖を「hA2-25C-L2タイプ軽鎖」と命名した。
【0393】
ヒト化hA2-25C-L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号127に記載されている。配列番号127のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号127のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号126に記載されている。配列番号126のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号126のヌクレオチド配列及び配列番号127のアミノ酸配列は、
図46にも記載されている。
【0394】
17)-7-3 ヒト化hA2-25C-L3タイプ軽鎖
配列表の配列番号12に示されるA2-25C軽鎖のアミノ酸番号9(アラニン)をセリンに、アミノ酸番号15(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号16(グルタミン酸)をグリシンに、アミノ酸番号17(グルタミン酸)をアスパラギン酸に、アミノ酸番号18(イソロイシン)をアルギニンに、アミノ酸番号45(グルタミン)をリジンに、アミノ酸番号72(セリン)をスレオニンに、アミノ酸番号74(リジン)をスレオニンに、アミノ酸番号77(アルギニン)をセリンに、アミノ酸番号79(アルギニン)をグルタミンに、アミノ酸番号80(バリン)をプロリンに、アミノ酸番号83(イソロイシン)をフェニルアラニンに、アミノ酸番号84(グリシン)をアラニンに、アミノ酸番号85(イソロイシン)をスレオニンに、アミノ酸番号104(ロイシン)をバリンに、アミノ酸番号109(アラニン)をスレオニンに、置き換えることを伴い設計されたヒト化hA2-25C軽鎖を「hA2-25C-L3タイプ軽鎖」と命名した。
【0395】
ヒト化hA2-25C-L3タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号129に記載されている。配列番号129のアミノ酸配列の1乃至20番目のアミノ酸残基からなる配列、21乃至129番目のアミノ酸残基からなる配列、130乃至234番目のアミノ酸残基からなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域に相当する。配列番号129のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号128に記載されている。配列番号128のヌクレオチド配列の1乃至60番目のヌクレオチドからなる配列、61乃至387番目のヌクレオチドからなる配列、388乃至702番目のヌクレオチドからなる配列が、それぞれシグナル配列、軽鎖可変領域配列、軽鎖定常領域配列をコードしている。配列番号128のヌクレオチド配列及び配列番号129のアミノ酸配列は、
図47にも記載されている。
【0396】
17)-8 重鎖及び軽鎖の組み合わせによるヒト化hA2-25Cの設計
ヒト化hA2-25C-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-25C-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-25C-H3/L1(「hA2-25C-H3/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-25C-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-25C-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-25C-H3/L2」(「hA2-25C-H3/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-125C-H3タイプ重鎖及びヒト化hA2-25C-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-25C-H3/L3」(「hA2-25C-H3/L3」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-25C-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-25C-L1タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-25C-H4/L1」(「hA2-25C-H4/L1」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-25C-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-25C-L2タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-25C-H4/L2」(「hA2-25C-H4/L2」と呼ぶこともある)と命名した。ヒト化hA2-25C-H4タイプ重鎖及びヒト化hA2-25C-L3タイプ軽鎖からなる抗体を設計し「ヒト化hA2-25C-H4/L3」(「hA2-25C-H4/L3」と呼ぶこともある)と命名した。以上により設計した抗体は、実施例18に準じて作製し、実施例2及び4に準じて評価することができる。
【0397】
<実施例18>
ヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)のベクターの構築と調製
18)-1 ヒト化A2-11Eの重鎖発現ベクターの構築
18)-1-1 ヒト化hA2-11E-H3タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号110に示すヒト化hA2-11E-H3のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至428に示されるヒト化hA2-11E-H3の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-11E-H3発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-11E-H3」と命名した。
【0398】
18)-1-2 ヒト化hA2-11E-H4タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号112に示すヒト化hA2-11E-H4のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至428に示されるヒト化hA2-11E-H4の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-11E-H4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-11E-H4」と命名した。
【0399】
18)-2 ヒト化A2-11Eの軽鎖発現ベクターの構築
18)-2-1 ヒト化hA2-11E-L2タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号114に示すヒト化hA2-11E-L2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至399に示されるヒト化hA2-11E-L2の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。合成したDNA断片をテンプレートとして、KOD-Plus-(TOYOBO社)と下記のプライマーセットでヒト化hA2-11E-L2の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を増幅し、実施例5)-1で構築したキメラ及びヒト化抗体軽鎖発現ベクターpCMA-LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn-Fusion HD PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて挿入することによりヒト化hA2-11E-L2発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-11E-L2」と命名した。
プライマーセット
5’-CTGTGGATCTCCGGCGCGTACGGC-3’(CM-LKF;配列番号134)
5’-GGAGGGGGCGGCCACCGTACG-3’(KCL-Inf-R;配列番号135)
【0400】
18)-2-2 ヒト化hA2-11E-L3タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号116に示すヒト化hA2-11E-L3のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至399に示されるヒト化hA2-11E-L3の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例18)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-11E-L3発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-11E-L3」と命名した。
【0401】
18)-2-3 ヒト化hA2-11E-L4タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号118に示すヒト化hA2-11E-L4のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至339に示されるヒト化hA2-11E-L4の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例18)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-11E-L4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-11E-L4」と命名した。
【0402】
18)-3 ヒト化A2-25Cの重鎖発現ベクターの構築
18)-3-1 ヒト化hA2-25C-H3タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号120に示すヒト化hA2-25C-H3のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至428に示されるヒト化hA2-25C-H3の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-25C-H3発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-25C-H3」と命名した。
【0403】
18)-3-2 ヒト化hA2-25C-H4タイプ重鎖発現ベクターの構築
配列番号122に示すヒト化hA2-25C-H4のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号36乃至428に示されるヒト化hA2-25C-H4の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例8)-1-1と同様の方法でヒト化hA2-25C-H4発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA-G1/hA2-25C-H4」と命名した。
【0404】
18)-4 ヒト化A2-25Cの軽鎖発現ベクターの構築
18)-4-1 ヒト化hA2-25C-L1タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号124に示すヒト化hA2-25C-L1のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至402に示されるヒト化hA2-25C-L1の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例18)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-25C-L1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-25C-L1」と命名した。
【0405】
18)-4-2 ヒト化hA2-25C-L2タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号126に示すヒト化hA2-25C-L2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至402に示されるヒト化hA2-25C-L2の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例18)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-25C-L2発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-25C-L2」と命名した。
【0406】
18)-4-3 ヒト化hA2-25C-L3タイプ軽鎖発現ベクターの構築
配列番号128に示すヒト化hA2-25C-L3のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号37乃至402に示されるヒト化hA2-25C-L3の可変領域をコードするDNA配列を含むDNA断片を合成した(GENEART社 人工遺伝子合成サービス)。実施例18)-2-1と同様の方法でヒト化hA2-25C-L3発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA/hA2-25C-L3」と命名した。
【0407】
18)-5 ヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)の小スケール生産
FreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)はマニュアルに従い、継代、培養をおこなった。
【0408】
対数増殖期の1×107個のFreeStyle 293F細胞(Invitrogen社)をFreeStyle293 expression medium (Invitrogen社)で9.6mLに希釈した後に、30mL Square Storage Bottle(Nalgene社)に播種し、37℃、8%CO2インキュベーター内で90rpmで一時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)30μgをOpti-Pro SFM(Invitrogen社)200μLに溶解し、次にNucleoBond Xtra(TaKaRa社)を用いて調製した軽鎖発現ベクター(6μg)及び重鎖発現ベクター(4μg)を200μLのOpti-Pro SFM(Invitrogen社)に添加した。Polyethyleneimine/Opti-Pro SFM混合液200μLに、発現ベクター/Opti-Pro SFM混合液200μLを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8%CO2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をMinisart-Plus filter(Sartorius社)、ろ過して評価用のサンプルとした。
【0409】
実施例18)-1-1で構築したpCMA-G1/hA2-11E-H3と実施例18)-2-1で構築したpCMA/hA2-11E-L2との組合せによって、ヒト化hA2-11E-H3/L2を取得した。実施例18)-1-1で構築したpCMA-G1/hA2-11E-H3と実施例18)-2-2で構築したpCMA/hA2-11E-L3との組合せによって、ヒト化hA2-11E-H3/L3を取得した。実施例18)-1-1で構築したpCMA-G1/hA2-11E-H3と実施例18)-2-3で構築したpCMA/hA2-11E-L4との組合せによって、ヒト化hA2-11E-H3/L4を取得した。実施例18)-1-2で構築したpCMA-G1/hA2-11E-H4と実施例18)-2-1で構築したpCMA/hA2-11E-L2との組合せによって、ヒト化hA2-11E-H4/L2を取得した。実施例18)-1-2で構築したpCMA-G1/hA2-11E-H4と実施例18)-2-2で構築したpCMA/hA2-11E-L3との組合せによって、ヒト化hA2-11E-H4/L3を取得した。実施例18)-1-2で構築したpCMA-G1/hA2-11E-H4と実施例18)-2-3で構築したpCMA/hA2-11E-L4との組み合わせによって、ヒト化hA2-11E-H4/L4を取得した。
【0410】
実施例18)-3-1で構築したpCMA-G1/hA2-25C-H3と実施例18)-4-1で構築したpCMA-/hA2-25C-L1との組合せによって、ヒト化hA2-25C-H3/L1を取得した。実施例18)-3-1で構築したpCMA-G1/hA2-25C-H3と実施例18)-4-2で構築したpCMA/hA2-25C-L2との組合せによって、ヒト化hA2-25C-H3/L2を取得した。実施例18)-3-1で構築したpCMA-G1/hA2-25C-H3と実施例18)-4-3で構築したpCMA/hA2-25C-L3との組合せによって、ヒト化hA2-25C-H3/L3を取得した。実施例18)-3-2で構築したpCMA-G1/hA2-25C-H4と実施例18)-4-1で構築したpCMA/hA2-25C-L1との組合せによって、ヒト化hA2-25C-H4/L1を取得した。実施例18)-3-2で構築したpCMA-G1/hA2-25C-H4と実施例18)-4-2で構築したpCMA/hA2-25C-L2との組合せによって、ヒト化hA2-25C-H4/L2を取得した。実施例18)-3-2で構築したpCMA-G1/hA2-25C-H4と実施例18)-4-3で構築したpCMA/hA2-25C-L3との組合せによって、ヒト化hA2-25C-H4/L3を取得した。
【0411】
<実施例19>
ヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)のin vitro活性評価
19)-1 BMPの骨芽細胞分化誘導アッセイによる抗体評価
実施例18)-5で作製したヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)の内在性ALK2を介した細胞内シグナルの阻害活性は、実施例6)-2と同様にBMPによるC2C12細胞の骨芽細胞への分化誘導活性に対する効果で解析した。分化誘導には2.5ng/mLのGDF2/BMP9(RD‐SYSTEMS社製)を用いた。
【0412】
結果を
図48に記載する。ヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)は、BMPによって誘導されるC2C12細胞の骨芽細胞様細胞への分化を、用量依存的に抑制することが確認された。
【0413】
<実施例20>
ヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)のヒトALK2に対する結合性評価
実施例18)-5で作製したヒト化A2-11E抗体(IgG1)、及びヒト化A2-25C抗体(IgG1)と抗原(実施例14)-1にて調製したヒトALK2細胞外ドメイン)との解離定数測定は、Biacore T200(GEヘルスケアバイオサイエンス(株))を使用し、固定化した抗ヒトIgG(Fc)抗体に抗体をリガンドとして捕捉(キャプチャー)し、抗原をアナライトとして測定するキャプチャー法にて行った。抗ヒトIgG(Fc)抗体(Human Antibody Capture kit、GEヘルスケアバイオサイエンス(株))は、センサーチップCM5(GEヘルスケアバイオサイエンス(株))へアミンカップリング法にて約1000RU共有結合させた。リファレンスセルにも同様に固定化した。ランニングバッファーとしてHBS-EP+(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl,3mM EDTA、0.05%Surfactant P20)を用いた。抗ヒトIgG(Fc)抗体を固定化したチップ上に、抗体を含む培養上清を約1分間添加した後、抗原の希釈系列溶液(0.78-200nM)を流速30μl/分で300秒間添加し、引き続き600秒間の解離相をモニターした。再生溶液として、3M MgCl2を流速10μl/分で30秒間添加した。データの解析には、分析ソフトウェア(BIAevaluation software, version 1.0)の1:1結合モデルを用いて、結合速度定数ka、解離速度定数kd及び解離定数(KD;KD=kd/ka)を算出した。
【0414】
【0415】
<実施例21>
A2-25C抗体のエピトープ解析
21)-1 ヒトキメラcA2-25C Fabフラグメントの作製
実施例5)-8と同様に調製したヒトキメラcA2-25Cを Papain(Sigma-Aldrich)を使用してFabフラグメントとFcフラグメントに切断し、これをHiTrap Protein A HPカラム(GE Healthcare)に添加した。フロースルー画分にて回収されたFabフラグメントを濃縮した。
【0416】
21)-2 ヒトキメラcA2-25C FabフラグメントとALK2-ECD複合体の結晶化と構造解析
実施例21)-1で得られたキメラA2-25C Fabフラグメントと実施例14に準じて調製したALK2-ECD複合体を3.8mg/mLに濃縮し、結晶化に用いた。結晶化には蒸気拡散法を用いた。タンパク質溶液0.5μLに沈殿剤溶液(0.15M Li
2SO
4,0.1M NaCitrate pH3.4,18%(w/v)PEG6,000,20%(v/v)Ethylene Glycol)を等量加えた溶液を、50μLの沈殿剤溶液を入れた密閉容器に両溶液が触れ合わないように収め、20℃で静置した。3日後に0.1mm×0.05mm×0.02mmの単結晶が得られた。得られた結晶を液化窒素で凍結し、SPring8のBL41XUにて95K窒素気流下でX線回折データを収集した。得られた回折像からソフトウェアmosflm(CCP4:Collaborative Computation Project No.4)を用いて回折強度を数値化し、結晶構造因子を求めた。結晶は直方晶系で空間群はP2
12
12
1、結晶の単位格子はa=74.49Å,b=128.05Å、c=147.73Åであった。得られた構造因子とFab(過去に結晶構造解析した抗体構造を利用)の三次元構造座標を用いて分子置換法を行い、位相を決定した。計算にはソフトウェアphaser(CCP4:Collaborative Computation Project No.4)を使用した。結晶は非対称単位に2つの複合体を含んでいた。ソフトウェアrefmac5(CCP4)を用いて構造の精密化を行い、ソフトウェアcootを用いてモデルの修正を行った。この操作を繰り返し行い、2.1Å分解能で最終のR値22.4%、freeR値25.3%を得た。モデルは2つの複合体から成り、A2-25C FabのL鎖アミノ酸残基1-212、H鎖アミノ酸残基1-219、ALK2-ECDのアミノ酸残基12-52および66-88、及び411個の水分子を含む。決定された2つのA2-25C Fabから共通して4Å以内にあるALK2-ECDのアミノ酸残基は以下の通りである:Glu18,Gly19,Leu20,Ile39,Asp41,Gly42,Phe43,His44,Val45,Tyr46,Thr84。
図49に複合体全体のリボンモデルを示した。
【0417】
<実施例22>
様々な変異ALK2に対するA2-27Dの阻害活性評価
これまでにFOP症例から同定された13種類の変異体(L196P、delP197_F198insL、R202I、R206H、Q207E、R258S、R258G、G325A、G328E、G328R、G328W、G356D、及びR375P)、および野生型ALK2に対するA2-27の阻害活性は、実施例2)-3と同様に、HEK293A細胞を用いたBMP特異的なId1WT4F-lucルシフェラーゼ・レポーターで解析した。遺伝子導入後、2.5時間後に培地を10ng/mLのBMP7(Milteney社製)と、3μg/mLのラットIgG1(R&D Systems社製)、またはA2-27Dを含む新鮮なOPTI-MEM I(LifeTechnologies社製)に交換して一晩培養した。翌日、Dual-Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。
【0418】
結果を
図50に記載する。モノクローナル抗体A2-27Dは、BMP7によって誘導されるルシフェラーゼ活性を、野生型および13種類すべての変異体で抑制することが確認された(
図50)。
【産業上の利用可能性】
【0419】
本発明のキメラ又はヒト化抗ALK2抗体は、ALK2を介したBMPシグナル伝達の抑制作用を有し、該抗ALK2抗体を含む医薬組成物は異所性骨化及び/又は骨形成異常、貧血、或いはびまん性橋膠腫(DIPG)の治療又は予防剤となり得る。
【配列表フリーテキスト】
【0420】
配列番号1:A2-11Eの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号2:A2-11Eの重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号3:A2-11Eの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号4:A2-11Eの軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号5:A2-15Aの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号6:A2-15Aの重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号7:A2-15Aの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号8:A2-15Aの軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号9:A2-25Cの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号10:A2-25Cの重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号11:A2-25Cの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号12:A2-25Cの軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号13:A2-27Dの重鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号14:A2-27Dの重鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号15:A2-27Dの軽鎖の可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列
配列番号16:A2-27Dの軽鎖の可変領域のアミノ酸配列
配列番号17:ヒトκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域のアミノ酸をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号18:ヒト重鎖分泌シグナル及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号19:ヒトキメラcA2-15Aの重鎖のヌクレオチド配列
配列番号20:ヒトキメラcA2-15Aの重鎖のアミノ酸配列
配列番号21:ヒトキメラcA2-15Aの軽鎖のヌクレオチド配列
配列番号22:ヒトキメラcA2-15Aの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号23:ヒトキメラcA2-27Dの重鎖のヌクレオチド配列
配列番号24:ヒトキメラcA2-27Dの重鎖のアミノ酸配列
配列番号25:ヒトキメラcA2-27Dの軽鎖のヌクレオチド配列
配列番号26:ヒトキメラcA2-27Dの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号27:ヒト化hA2-15A-H1のヌクレオチド配列
配列番号28:ヒト化hA2-15A-H1のアミノ酸配列
配列番号29:ヒト化hA2-15A-H4のヌクレオチド配列
配列番号30:ヒト化hA2-15A-H4のアミノ酸配列
配列番号31:ヒト化hA2-15A-L1をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号32:ヒト化hA2-15A-L1のアミノ酸配列
配列番号33:ヒト化hA2-15A-L4をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号34:ヒト化hA2-15A-L4のアミノ酸配列
配列番号35:ヒト化hA2-15A-L6をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号36:ヒト化hA2-15A-L6のアミノ酸配列
配列番号37:ヒト化hA2-15A-L7をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号38:ヒト化hA2-15A-L7のアミノ酸配列
配列番号39:ヒト化hA2-27D-H1のヌクレオチド配列
配列番号40:ヒト化hA2-27D-H1のアミノ酸配列
配列番号41:ヒト化hA2-27D-H2のヌクレオチド配列
配列番号42:ヒト化hA2-27D-H2のアミノ酸配列
配列番号43:ヒト化hA2-27D-H3のヌクレオチド配列
配列番号44:ヒト化hA2-27D-H3のアミノ酸配列
配列番号45:ヒト化hA2-27D-H4のヌクレオチド配列
配列番号46:ヒト化hA2-27D-H4のアミノ酸配列
配列番号47:ヒト化hA2-27D-H5のヌクレオチド配列
配列番号48:ヒト化hA2-27D-H5のアミノ酸配列
配列番号49:ヒト化hA2-27D-L1をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号50:ヒト化hA2-27D-L1のアミノ酸配列
配列番号51:ヒト化hA2-27D-L2をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号52:ヒト化hA2-27D-L2のアミノ酸配列
配列番号53:ヒト化hA2-27D-L3をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号54:ヒト化hA2-27D-L3のアミノ酸配列
配列番号55:ヒト化hA2-27D-L4をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号56:ヒト化hA2-27D-L4のアミノ酸配列
配列番号57:ヒト化hA2-27D-L5をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号58:ヒト化hA2-27D-L5のアミノ酸配列
配列番号59:A2-15AのCDRH1のアミノ酸配列
配列番号60:A2-15AのCDRH2のアミノ酸配列
配列番号61:A2-15AのCDRH3のアミノ酸配列
配列番号62:A2-15AのCDRL1のアミノ酸配列
配列番号63:A2-15AのCDRL2のアミノ酸配列
配列番号64:A2-15AのCDRL3のアミノ酸配列
配列番号65:A2-27DのCDRH1のアミノ酸配列
配列番号66:A2-27DのCDRH2のアミノ酸配列
配列番号67:A2-27DのCDRH3のアミノ酸配列
配列番号68:A2-27DのCDRL1のアミノ酸配列
配列番号69:A2-27DのCDRL2のアミノ酸配列
配列番号70:A2-27DのCDRL3のアミノ酸配列
配列番号71:ヒト化hA2-15A-L6のCDRL2のアミノ酸配列
配列番号72:A2-11EのCDRH1のアミノ酸配列
配列番号73:A2-11EのCDRH2のアミノ酸配列
配列番号74:A2-11EのCDRH3のアミノ酸配列
配列番号75:A2-11EのCDRL1のアミノ酸配列
配列番号76:A2-11EのCDRL2のアミノ酸配列
配列番号77:A2-11EのCDRL3のアミノ酸配列
配列番号78:A2-25CのCDRH1のアミノ酸配列
配列番号79:A2-25CのCDRH2のアミノ酸配列
配列番号80:A2-25CのCDRH3のアミノ酸配列
配列番号81:A2-25CのCDRL1のアミノ酸配列
配列番号82:A2-25CのCDRL2のアミノ酸配列
配列番号83:A2-25CのCDRL3のアミノ酸配列
配列番号84:ヒトALK2のアミノ酸配列
配列番号85:ヒトALK2のヌクレオチド配列
配列番号86:マウスALK2のアミノ酸配列
配列番号87:マウスALK2のヌクレオチド配列
配列番号88~102:プライマー
配列番号103:ヒト重鎖シグナル配列及びヒトIgG2定常領域のアミノ酸をコードする配列を含むDNA断片のヌクレオチド配列
配列番号104:ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプのヌクレオチド配列
配列番号105:ヒト化hA2-15A-H4 IgG2タイプのアミノ酸配列
配列番号106:ヒト化hA2-27D-H2-LALAのヌクレオチド配列
配列番号107:ヒト化hA2-27D-H2-LALAのアミノ配列
配列番号108:ヒト化hA2-27D-H3-LALAのヌクレオチド配列
配列番号109:ヒト化hA2-27D-H3-LALAのアミノ配列
配列番号110:ヒト化hA2-11E-H3のヌクレオチド配列
配列番号111:ヒト化hA2-11E-H3のアミノ酸配列
配列番号112:ヒト化hA2-11E-H4のヌクレオチド配列
配列番号113:ヒト化hA2-11E-H4のアミノ酸配列
配列番号114:ヒト化hA2-11E-L2のヌクレオチド配列
配列番号115:ヒト化hA2-11E-L2のアミノ酸配列
配列番号116:ヒト化hA2-11E-L3のヌクレオチド配列
配列番号117:ヒト化hA2-11E-L3のアミノ酸配列
配列番号118:ヒト化hA2-11E-L4のヌクレオチド配列
配列番号119:ヒト化hA2-11E-L4のアミノ酸配列
配列番号120:ヒト化hA2-25C-H3のヌクレオチド配列
配列番号121:ヒト化hA2-25C-H3のアミノ酸配列
配列番号122:ヒト化hA2-25C-H4のヌクレオチド配列
配列番号123:ヒト化hA2-25C-H4のアミノ酸配列
配列番号124:ヒト化hA2-25C-L1のヌクレオチド配列
配列番号125:ヒト化hA2-25C-L1のアミノ酸配列
配列番号126:ヒト化hA2-25C-L2のヌクレオチド配列
配列番号127:ヒト化hA2-25C-L2のアミノ酸配列
配列番号128:ヒト化hA2-25C-L3のヌクレオチド配列
配列番号129:ヒト化hA2-25C-L3のアミノ酸配列
配列番号130~135:プライマー
【0421】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
【配列表】