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特許7101760車両を安定化させるためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】車両を安定化させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20220708BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220708BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20220708BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W50/14
F02D29/00 Z
B60T7/12 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020513737
(86)(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018071236
(87)【国際公開番号】W WO2019048159
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】15/699,297
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター エーマン
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0041660(US,A1)
【文献】特開2016-084127(JP,A)
【文献】特開2009-101994(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015389(WO,A1)
【文献】特表2006-507183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
G08G 1/00-99/00
F02D 13/00-29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を安定化させるためのシステムであって、
当該システムは、
速度に起因する、高速シミー又はウォブルと称される車両の振動を検出するように構成されたセンサと、
電子制御装置と、
を含み、前記電子制御装置は、
前記センサから振動信号を受信し、
前記振動信号を検出閾値と比較し、
前記振動信号と前記検出閾値との比較に応じて、前記車両の制動システムを動作させるための信号を生成し、かつ、前記車両のエンジンのトルクを低減させるためのリクエストを生成する、
ように構成されており、
前記電子制御装置は、前記検出閾値として、第1の検出閾値と、前記第1の検出閾値より大きい第2の検出閾値とを規定するように構成されており、
前記電子制御装置は、前記振動信号が前記第1の検出閾値を超えているが前記第2の検出閾値を超えていない場合には、前記センサにより前記振動が検出されたことを前記車両の操作者に通知するための通知のみを生成し、前記振動信号が前記第2の検出閾値を超えている場合には、前記車両の前記制動システムを動作させるための前記信号を生成し、かつ、前記車両の前記エンジンのトルクを低減させるための前記リクエストを生成するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記車両は、前記車両の速度が速度閾値を下回るまで、前記車両の前記制動システムを動作させるための前記信号に応じて前記車両の前記制動システムによって制動される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子制御装置は、前記振動信号に基づいて前記速度閾値を規定するように構成されている、
請求項に記載のシステム。
【請求項4】
当該システムは、エンジン電子制御装置をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エンジン電子制御装置は、前記電子制御装置から、前記車両のエンジンのトルクを低減させるための前記リクエストを受信し、前記エンジンを制御してトルクを低減させるように構成されている、
請求項に記載のシステム。
【請求項6】
当該システムは、通知インジケータをさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子制御装置は、前記通知を前記通知インジケータに提供することによって前記車両の前記操作者に通知を行うようにさらに構成されている、
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
車両を安定化させるための方法であって、
当該方法は、
速度に起因する、高速シミー又はウォブルと称される車両の振動を検出するように構成されたセンサから、電子制御装置によって、振動信号を受信することと、
前記電子制御装置によって、前記振動信号を検出閾値と比較することと、
前記振動信号と前記検出閾値との比較に応じて、前記電子制御装置によって、前記車両の制動システムを動作させるための信号を生成し、かつ、前記電子制御装置によって、前記車両のエンジンのトルクを低減させるためのリクエストを生成することと、
を含み、
当該方法は、前記電子制御装置によって、前記検出閾値として、第1の検出閾値と、前記第1の検出閾値より大きい第2の検出閾値とを規定することを含み、
当該方法は、前記振動信号が前記第1の検出閾値を超えているが前記第2の検出閾値を超えていない場合には、前記電子制御装置によって、前記センサにより前記振動が検出されたことを前記車両の操作者に通知するための通知のみを生成し、前記振動信号が前記第2の検出閾値を超えている場合には、前記電子制御装置によって、前記車両の前記制動システムを動作させるための前記信号を生成し、かつ、前記電子制御装置によって、前記車両の前記エンジンのトルクを低減させるための前記リクエストを生成することを含む、方法。
【請求項9】
当該方法は、前記車両を、前記車両の速度が速度閾値を下回るまで、前記車両の前記制動システムを動作させるための前記信号に応じて前記車両の前記制動システムによって制動することをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、前記電子制御装置によって、前記振動信号に基づいて前記速度閾値を規定することをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、エンジン電子制御装置によって、前記車両のエンジンのトルクを低減させるための前記リクエストを受信することをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項12】
当該方法は、前記エンジン電子制御装置によって、前記車両のエンジンを制御してトルクを低減させることをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は、前記電子制御装置によって、前記通知を通知インジケータに提供することをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、前記通知インジケータが前記通知を受信したときに、前記通知インジケータを使用して前記車両の前記操作者に通知を行うことをさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、車両を安定化させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
概要
自動二輪車及びその他の形態の車両は、高速シミー又はウォブルと呼ばれることが多い、速度に起因する振動の影響を受けやすくなっている。振動が非常に速くなり過ぎた場合、又は、長時間にわたって振動の継続を許した場合には、車両の操作者は、車両の制御を喪失して事故を引き起こす危険を冒すこととなり、これによって車両の操作者などに損害が与えられる可能性がある。
【0003】
振動は、フレームのコンプライアンス(撓み性)及びフォークの非対称性などのような車両の潜在的な設計上の欠点によって影響を受ける又は増幅される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結果として、速度に起因する振動を検出し、速度に起因する振動が存在する場合に操作者の修正を支援するためのシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において説明される各実施形態は、特に、車両を安定化させるための方法及びシステムを提供する。
【0006】
1つの実施形態は、車両を安定化させるためのシステムを提供する。当該システムは、車両の振動を検出するように構成されたセンサと、電子制御装置とを含み、電子制御装置は、センサから振動信号を受信し、振動信号を検出閾値と比較し、振動信号と検出閾値との比較に応じて、車両の制動システムを動作させるための信号を生成し、かつ、車両のエンジンのトルクを低減させるためのリクエストを生成するように構成されている。
【0007】
他の実施形態は、車両を安定化させるための方法を提供する。当該方法は、電子制御装置を使用して、センサから振動信号を受信することと、振動信号を検出閾値と比較することと、振動信号と検出閾値との比較に応じて、車両の制動システムを動作させるための信号を生成し、かつ、車両のエンジンのトルクを低減させるためのリクエストを生成することと、を含む。
【0008】
他の態様、特徴及び実施形態は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つの実施形態による安定化システムを有する車両のブロック図である。
図2】本実施形態による安定化システムの電子制御装置のブロック図である。
図3】1つの実施形態による車両を安定化させるための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
あらゆる実施形態を詳細に説明する前に、本開示がその適用において、以下の説明に記載され又は以下の図面に図示される構成の詳細及びコンポーネントの配置に限定されることを意図していないことを理解すべきである。各実施形態は、他の構成が可能であり、種々の方法により実施可能又は実行可能である。
【0011】
種々の実施形態を実施するために、複数のハードウェア及びソフトウェアに基づく装置並びに複数の異なる構造コンポーネントが使用され得る。さらに、各実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、及び、電子的なコンポーネント又はモジュールを含み得るが、これらは、説明のためにコンポーネントの大部分がハードウェアのみで実施されているかのように図示及び説明されている場合がある。しかしながら、この詳細な説明を読めば、当業者は、少なくとも1つの実施形態において、本発明の電子に基づく態様が、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である(例えば、不揮発性コンピュータ可読媒体に記憶された)ソフトウェアにおいて実施され得ることを認識するであろう。例えば、本明細書で説明される「制御ユニット」及び「制御装置」は、1つ又は複数の電子プロセッサと、不揮発性コンピュータ可読媒体を含む1つ又は複数のメモリモジュールと、1つ又は複数の入出力インタフェースと、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)と、種々のコンポーネントを接続する種々の接続部(例えばシステムバス)とを含むことが可能である。
【0012】
図1は、安定化システム105を有する車両100の一例を示している。車両100は、二輪車両として図示されているが、種々異なる種類及び設計の車両を包含し得る。例えば、車両100は、自動二輪車、自動車、トラック及びセミトラクタなどであり得る。図示の例においては、安定化システム105は、センサ110と、車輪112及び113と、電子制御装置115と、制動システム120と、エンジン電子制御装置125と、エンジン127と、通知インジケータ130とを含む。
【0013】
センサ110は、車両100の振動を検出するように構成されている。センサ110は、ジャイロスコープセンサ及び加速度計などであり得る。センサ110は、車両100の振動を検出するために、車両100のフレーム及び車両100の車軸などに結合され得る。
【0014】
車輪112及び113は、車両100に接続されている。いくつかの実施形態においては、車両100は、2つの車輪112及び113よりも多くの車輪を含む。さらなる実施形態においては、車輪112及び113は、制動システム120に接続されている。
【0015】
電子制御装置115は、種々の有線接続又は無線接続を介して、センサ110と、制動システム120と、エンジン電子制御装置125と、通知インジケータ130とに通信可能に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態においては、電子制御装置は、安定化システム105の上記のコンポーネントの各々に専用のワイヤを介して直接的に接続されている。他の実施形態においては、電子制御装置115は、車両通信バス(例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス)又は無線車両ネットワークのような共有の通信リンクを介して、1つ又は複数のコンポーネントに通信可能に結合されている。
【0016】
制動システム120は、車両100を制動するように構成されている。1つの実施形態によれば、制動システム120は、ブレーキパッド、ブレーキキャリパ、液圧システム、速度センサを含み、さらには電子制御装置を含み得る。制動システム120の電子制御装置は、電子制御装置115から信号を受信し、車両を減速させるために、車両100の車輪112及び113に1つ又は複数の制動コンポーネントを作用させるように構成され得る。
【0017】
1つの実施形態においては、エンジン電子制御装置125は、電子制御装置115からリクエストを受信して、車両100のエンジン127を制御するように構成されている。例えば、エンジン電子制御装置125は、電子制御装置115からのリクエストに応じて、車両100のエンジン127のトルクを低減させるように構成され得る。他の実施形態においては、エンジン電子制御装置125は、エンジン127の他の動作を制御するように構成され得る。
【0018】
エンジン127は、車両100を推進するための力を生成するために使用される。いくつかの実施形態においては、エンジン127は、内燃機関である。他の実施形態においては、エンジン127は、内燃機関及び電気モータのハイブリッドである。
【0019】
いくつかの実施形態においては、安定化システム105は、エンジン電子制御装置125を含まず、エンジン電子制御装置125の機能は、電子制御装置115によって担われている。これらの実施形態においては、電子制御装置115は、エンジン127に接続されている。
【0020】
通知インジケータ130は、車両100のダッシュボード上の発光ダイオード(LED)、及び、車両100内において音を再生するように構成されたスピーカなどであり得る。通知インジケータ130は、電子制御装置115から通知を受信するように構成され得る。
【0021】
安定化システム105の上記コンポーネントの各々は、それぞれのコンポーネントの機能に関連するデータを受信、処理及び伝送するための電子プロセッサと、入出力インタフェースと、メモリとが含まれた専用の処理回路を含み得る。例えば、センサ110は、パラメータ又は値を決定する電子プロセッサを含み得る。この場合には、センサ110は、パラメータ又はパラメータに関連する計算された値を電子制御装置115に伝送する。安定化システム105のコンポーネントの各々は、種々の通信プロトコルを使用して電子制御装置115と通信することができる。図1に示される実施形態は、安定化システム105のコンポーネント及びカップリングの一例を提供するものに過ぎない。これらのコンポーネント及びカップリングを、本明細書において例示及び説明される以外の方法により構築してもよい。
【0022】
図2は、1つの実施形態による安定化システム105の電子制御装置115のブロック図である。電子制御装置115は、電子制御装置115内のコンポーネント及びモジュールに電力、動作制御及び保護を提供する複数の電気的及び電子的なコンポーネントを含む。図示の例においては、電子制御装置115は、特に、電子プロセッサ205(プログラム可能な電子マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、又は、同類の装置など)と、メモリ210(例えば、不揮発性機械可読メモリ)と、入出力インタフェース215とを含む。電子プロセッサ205は、メモリ210及び入出力インタフェース215と連携して、特に本明細書において説明される方法を実施するように構成されている。
【0023】
電子制御装置115は、それぞれが特定の機能又はサブ機能を実行するように構成されている複数の独立した制御装置(例えば、プログラム可能な電子制御ユニット)の形態において実施され得る。さらに、電子制御装置115は、入出力の機能の操作と、信号の処理と、以下に列挙する方法の適用とのための追加的な電子プロセッサ、メモリ又は特定用途向け集積回路が含まれたサブモジュールを含み得る。他の実施形態においては、電子制御装置115は、追加的なコンポーネント、より少数のコンポーネント、又は、他の異なるコンポーネントを含む。
【0024】
いくつかの実施形態においては、エンジン電子制御装置125は、電子制御装置115に含まれる上記コンポーネントと同様のコンポーネントを有する。他の実施形態においては、エンジン電子制御装置125は、電子制御装置115よりもむしろ、追加的なコンポーネント、より少数のコンポーネント、又は、他の異なるコンポーネントを含む。
【0025】
図3は、1つの実施形態による車両100を安定化させるための方法300を示している。ステップ305において、電子制御装置115は、センサ110から振動信号を受信する。1つの実施形態においては、振動信号は、振幅及び周波数を含む波信号(例えば、0.4メートルの振幅及び5ヘルツ(Hz)の周波数を有する振動波信号)として受信される。1つの実施形態においては、振動信号は、車両100の左右の動きを表す。センサ110は、車両100のサスペンションシステムに結合されること、車両100のフレームに結合されることなどによって、振動信号を検出することができる。
【0026】
電子制御装置115は、振動信号を受信し(ステップ305)、ステップ310において、振動信号を検出閾値と比較する。いくつかの実施形態においては、検出閾値は、電子制御装置115が振動信号を比較するための対象である設定値に規定されている。他の実施形態においては、電子制御装置115は、車両100の種類及び車両100の速度などに基づいて検出閾値を規定するようにさらに構成され得る。例えば、1つの実施形態において、車両100が低速で走行している場合には、事故又は制御の喪失を引き起こすために比較的大きな振動が必要となり得る一方、他の実施形態において、車両100がより高速で走行している場合には、事故又は制御の喪失を引き起こすために比較的小さい振動が必要となる。
【0027】
ブロック315において、電子制御装置115は、振動信号が検出閾値よりも大きいかどうかを判断する。振動信号が検出閾値よりも小さい場合には、電子制御装置115は、ステップ305に戻り、センサ110から新しい振動信号を受信するために待機する。振動信号が検出閾値よりも大きいと電子制御装置115が判断した場合には、車両100においてセンサ110によって望ましくない量の振動が検出されている。いくつかの実施形態においては、検出閾値は、振動信号の振幅(例えば、0.4メートルの車両の振動)に関連している。他の実施形態においては、検出閾値は、振動信号の周波数(例えば、6Hzを超える車両の振動)に関連している。
【0028】
電子制御装置115によって望ましくない量の振動が検出された場合には、電子制御装置115は、ステップ320において、車両100の制動システム120を動作させるための信号を生成するように構成されている。1つの実施形態においては、制動システム120は、動作させるための信号を、当該制動システムの電子プロセッサを介して電子制御装置115から受信し、1つ又は複数の制動コンポーネント(ブレーキパッド、ブレーキキャリパなど)を作用させて、車両100の速度を、速度閾値以下になるように低減させる。いくつかの実施形態においては、制動システム120は、制動コンポーネントを直接的に作用させるように構成されている。他の実施形態においては、制動システム120は、当該制動システム120内の液圧を能動的に増加させることによって制動コンポーネントを動作させるように構成されている。
【0029】
1つの実施形態においては、速度閾値は、所定の値(時速20マイル(MPH)など)であり得る。他の実施形態においては、電子制御装置115は、車両100の振動信号及び現在の速度に基づいて速度閾値を規定するようにさらに構成され得る。例えば、車両が45MPHで走行していて、かつ、電子制御装置115が0.6メートルの振幅を含む振動信号を受信した場合(であって、かつ、検出閾値が0.4メートルの振幅である場合)には、電子制御装置115は、車両100の振動を低減させるために、車両100が制動システム120によって25MPHの速度まで制動されるべきであると判断することができる。次いで、電子制御装置115は、この値を制動システム120に送信することができ、1つの実施形態においては、制動システム120は、車両100が25MPH以下で走行していることを制動システム120の速度センサが示すまで、1つ又は複数の制動コンポーネントを作用させる。
【0030】
電子制御装置115によって望ましくない量の振動が検出された場合には、電子制御装置115は、ステップ325において、車両100のエンジン127のトルクを低減させるためのリクエストを生成するように構成されている。振動信号が検出閾値を超えていると判断された場合には、電子制御装置115は、エンジン電子制御装置125に送信するためのリクエストを生成して、車両100のエンジン127のトルクを低減させることを要求することができる。車両100のエンジン127のトルクを低減させることは、エンジン127に作用する回転力がより小さくなり、エンジン127に動力を与えるために行われる仕事がより少なくなり、これによって、車両100が走行し得る速度が低減されるということを意味する。エンジン電子制御装置125は、電子制御装置115からリクエストを受信し、車両100のエンジン127のトルクを低減させるための信号を生成するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態においては、制動システム120を動作させるための信号と、車両100のエンジン127のトルクを低減させるためのリクエストとを生成することに加えて、電子制御装置115は、ステップ330において、車両100の操作者のために通知を生成するようにさらに構成されている。次いで、この通知は、ステップ335において通知インジケータ130に送信される。通知は、通知インジケータ130が使用することができる形式で送信される。例えば、通知インジケータ130は、車両100のダッシュボード上のLEDであり得る。電子制御装置115は、LEDを「オン」位置に切り変える(LEDを照明する)ための信号を生成することができ、この信号は、車両100の操作者に対して、センサ110によって望ましくない振動が検出され(て、電子制御装置115によって望ましくない振動であると判断され)たことと、従って、電子制御装置115からの信号に応じて制動システム120が動作させられていることと、車両100のエンジン127のトルクを低減させるためのリクエストが電子制御装置115によって生成され、エンジン電子制御装置125によって実行されていることと、を示す。他の実施形態においては、車両100が望ましくない量の振動を経験していることを操作者に通知するために音声通知が生成され、車両100の中又は上に配置されたスピーカを介して再生される。
【0032】
望ましくない量の振動が検出されたときに車両100の操作者に通知を行うことが有利であり、これによって、車両100の操作者は、制動システム120を動作させて、車両100のエンジン127のトルクを低減させることによって車両100の速度を低減させるための準備ができる。操作者への通知が行われなかった場合には、操作者は、不意打ちを食らい、制動システム120が動作させられていることと、車両100のエンジン127のトルクが低減されていることとに対して否定的に反応する可能性がある。例えば、操作者は、車両100のステアリング機構を突然引っ張って、車両100の制御を喪失する可能性がある。いくつかの実施形態においては、ステップ320において電子制御装置115が、制動システム120を動作させるための信号を生成する前に、又は、ステップ325において電子制御装置115が、車両100のエンジン127のトルクを低減させるためのリクエストを生成する前に、又は、その両方の前に、ステップ335における通知の提供を実施してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態においては、2つ以上の検出閾値が存在する。例えば、第1の検出閾値が0.2メートルに設定され、第2の検出閾値が0.4メートルに設定され得る。電子制御装置115が、センサ110から0.3メートルの振幅を含む振動信号を受信した場合には、電子制御装置115は、第1の検出閾値を超えているが第2の検出閾値を超えていないと判断する。いくつかの実施形態においては、電子制御装置115は、センサ110によって振動が検出されたことを車両100の操作者に提供するための通知のみを生成し、制動システム120を動作させるための信号、又は、車両100のエンジン127のトルクを低減させるためのリクエストを生成しないようにしてもよい。
【0034】
結果として、安定化システム105は、電子制御装置115を使用して、センサ110から振動信号を受信し、振動信号を検出閾値と比較し、振動信号と検出閾値との比較に応じて、車両100の制動システム120を動作させるための信号を生成し、かつ、車両100のエンジン127のトルクを低減させるためのリクエストを生成することによって、車両100を安定化させる。
【0035】
以下の特許請求の範囲には、種々の特徴、利点及び実施形態が記載されている。
図1
図2
図3