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特許7101781Akt阻害剤としての塩形態及びその結晶形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】Akt阻害剤としての塩形態及びその結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/14 20060101AFI20220708BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220708BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
C07D495/14 E CSP
A61K31/55
A61P3/10
A61P35/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020532703
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2018120531
(87)【国際公開番号】W WO2019114741
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】201711331448.1
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518045878
【氏名又は名称】ハルビン チェンバオ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ ガーン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ルェン
(72)【発明者】
【氏名】ルー チンチン
(72)【発明者】
【氏名】フー リーホン
(72)【発明者】
【氏名】ディン チャールズ ズィー.
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6900406(JP,B2)
【文献】特表2010-518110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 495/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物。
【化1】

【請求項2】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ値:12.25°±0.2°、14.46°±0.2°及び21.83°±0.2°において特徴的なピークを有する、式(I)化合の結晶。
【化1】
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ値:8.50°±0.2°、10.20°±0.2°、12.25°±0.2°、14.46°±0.2°、15.30°±0.2°、21.83°±0.2°、27.31°±0.2°及び31.41°±0.2°において特徴的なピークを有する、請求項2に記載の式(I)化合物の結晶。
【請求項4】
粉末X線回折スペクトルの分析データが下記表1に示される通りである請求項2に記載の式(I)化合物の結晶。
【表1】
【請求項5】
DSC曲線は195.10℃±3℃において一つの吸熱ピークの開始点を有し、且つ、209.23℃±3℃において一つの放熱ピークの開始点を有する、請求項2~のいずれか1項に記載の式(I)化合物の結晶。
【請求項6】
TGA曲線は100.00℃±3℃の際に重量が0.295%減少する、請求項2~のいずれか1項に記載の式(I)化合物の結晶。
【請求項7】
赤外線吸収スペクトルが3316 cm-1 ± 5 cm-1、3079 cm-1 ± 5 cm-1、3058 cm-1 ± 5 cm-1、3016 cm-1 ± 5 cm-1、2954 cm-1 ± 5 cm-1、2935 cm-1 ± 5 cm-1、2915 cm-1 ± 5 cm-1、2902 cm-1 ± 5 cm-1、2864 cm-1 ± 5 cm-1、1704 cm-1 ± 2 cm-1、1633 cm-1 ± 2 cm-1、1623 cm-1 ± 2 cm-1、1589 cm-1 ± 2 cm-1、1530 cm-1 ± 2 cm-1、1514 cm-1 ± 2 cm-1、1486 cm-1 ± 2 cm-1、1445 cm-1 ± 2 cm-1、1429 cm-1 ± 2 cm-1、1408 cm-1 ± 2 cm-1、1395 cm-1 ± 2 cm-1、1373 cm-1 ± 2 cm-1、1359 cm-1 ± 2 cm-1、1345 cm-1 ± 2 cm-1、1332 cm-1 ± 2 cm-1、1282 cm-1 ± 2 cm-1、1247 cm-1 ± 2 cm-1、1214 cm-1 ± 2 cm-1、1173 cm-1 ± 2 cm-1、1135 cm-1 ± 2 cm-1、1114 cm-1 ± 2 cm-1、1054 cm-1 ± 2 cm-1、1030 cm-1 ± 2 cm-1、1000 cm-1 ± 2 cm-1、952 cm-1 ± 2 cm-1、914 cm-1 ± 2 cm-1、902 cm-1 ± 2 cm-1、883 cm-1 ± 2 cm-1、861 cm-1 ± 2 cm-1、839 cm-1 ± 2 cm-1、825 cm-1 ± 2 cm-1、789 cm-1 ± 2 cm-1、763 cm-1 ± 2 cm-1、736 cm-1 ± 2 cm-1、720 cm-1 ± 2 cm-1 及び 704 cm-1 ± 2 cm-1において特徴的な吸収ピークを含む、請求項2~のいずれか1項に記載の式(I)化合物の結晶。
【請求項8】
悪性腫瘍、糖尿病又は関節リウマチの治療に用いる薬剤として使用するための請求項1に記載の式(I)化合物、又は請求項2~のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【関連出願の相互参照】
【0002】
本出願は以下の優先権を要求する:CN201711331448.1、出願日:2017年12月13日。
【技術分野】
【0003】
本発明は、Akt阻害剤としての塩形態及びその結晶形態に関し、具体的に、式(I)の化合物の塩形態及びその結晶形態に関し、更に、腫瘍、糖尿病及び関節リウマチを治療する薬物の製造における前記塩形態及び結晶形態の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
プロテインキナーゼB(protein kinase B、PKB)とも呼ばれるAktは、分子量が約60 kDaのセリン/スレオニンプロテインキナーゼで、複数のシグナル伝達経路の重要な交差点にあり、サイトカイン、成長因子及び癌遺伝子Rasによって活性化される細胞生存シグナルを調節し、真核生物の調節ネットワークで普遍的に存在する。Aktシグナル伝達経路は、悪性腫瘍、糖尿病、関節リウマチなどの様々な疾患の発生と発症に密接に関連しているため、ますます注目を浴びている。近年、継続的な研究の深化により、人々はAktの生物学的役割をより深く理解するだけでなく、Aktシグナル伝達経路の調節機構の研究において多くの大きな進歩を遂げ、一部のヒト疾患におけるその特定の役割及びその分子調節機構は徐々に解明される。
【0005】
Aktは、N末端調節領域、中間酵素活性領域、C末端調節領域、及びPH領域とキナーゼ活性領域を接続するヒンジ領域の4つの部分で構成される。N末端調節領域には血小板-白血球c-キナーゼ相同領域、即ち、PH領域を有し、シグナル伝達中のその正確なメカニズムはまだ不明である。中間酵素活性領域は触媒セリン/スレオニン残基リン酸化活性を有し、その内、可変ペプチドループ(Tループ)のThr308部位のリン酸化はAkt活性化に必要なものである。C末端にはプロリンリッチな疎水性ドメイン(HM)があり、それは、Aktの完全な活性化に必要な2番目のリン酸化部位であるSer473を含む。近年、その各々のドメインが対応する結晶形態構造が連続的に解明され、主要なリン酸化部位、ATP結合部位、及びタンパク質基質結合部位も対しても深く理解され、Akt / PKBに特異的な小分子阻害剤の開発に基礎を築いた。
【0006】
現在、哺乳類には少なくとも:Aktl(PKBα)、Akt2(PKBβ)及びAkt3(PKBγ)と言った3つのAktサブタイプが見つかり、これらは、染色体14q32、19q13及び1q43の3つの異なる遺伝子コードに位置し、85%の配列相同性を持ち、同じくAGCプロテインキナーゼファミリーに属する。マウス胚性線維芽細胞に関する研究により、異なるAktサブタイプ欠損株は最終的には下記のように異なる表現型をもたらすことを発見した:Akt1欠損症は胎盤ジストロフィー、成長遅延及び体重減少として現れ、Akt2欠損症はインスリン及び血糖の異常として現れ、Akt3欠損症は脳容積の減少として現れる。ヒトの疾患では、3つのAktサブタイプの発現及び影響も大きく異なる。
【0007】
Aktは、ホルモン、成長因子、サイトカイン、細胞間マトリックスなどのさまざまな細胞内物質によって活性化される。AktはPI3K / Akt経路の中央部分にあり、PI3Kの直接的な標的遺伝子である。多くのサイトカイン、成長因子、及び物理的刺激等はPI3Kを活性化することによりAktをリン酸化することができる。通常、Aktリン酸化は、PI3K活性を測定する指標とされる。
【0008】
Aktの生理学的機能の研究は、その基質の発見と不可分である。今までは、100種を超えるAkt基質が発見された。Aktの3つのサブタイプとその多様な基質は、その複数の機能を発揮する構造的基盤である。活性化されたAktは、さまざまなシグナル伝達経路を通じて下流の一連のエフェクター分子の活性化状態に影響を与え、細胞内でアポトーシスの抑制、増殖の促進などの生物学的効果を発揮している。
【0009】
Akt経路は多くの信号経路と相互的に交差して複雑な信号ネットワークを形成する。特定の状況下では、Akt経路はNF-κB生存促進シグナルを活性化、又はJNK / p38アポトーシスシグナルを阻害するが、p38とAktの間の作用方法に関してははまだ決定的な結論はない。PI3K / Akt経路とRas / MAPK経路の間の相互作用は、異なる細胞タイプ、異なる細胞分化段階、異なる実験条件で、これら2つの経路の異なる段階で明らかに現れるが、Akt経路がRas / MAPK経路に対して正の調節か負の調節か、及び特定の細胞でどの調節方法が支配的であるかはまだ完全には明らかにされていない。Aktシグナル伝達経路は、腫瘍、関節リウマチなどの疾患の発症と進行に密接に関連し、各経路の相互的な関連と影響は共に疾患の発生に重要な役割を果たす可能性がある。
【0010】
引用文献:WO/2008/098104,WO2009/158371A1。
【0011】
医薬活性成分の異なる固体形態は、異なる特性を有する可能性がある。異なる固体形態の特性の変化は、例えば、合成または取り扱いに容易であり、安定性及び保存期限を改善する等、改良された配合を提供することができる。異なる固体形態によって引き起こされる特性の変化は、最終の剤形を改善することもできる。医薬活性成分の異なる固体状態形態は多結晶または他の結晶形態を生成することもでき、それにより、ある固体の活性医薬成分の特性の変化を評価するより多くの機会を提供する。
【技術効果】
【0012】
本発明の式(I)化合物の塩形態及び結晶形態の調製工程が簡単で、且つ、前記結晶形態は比較的安定で、熱及び湿度に受ける影響が少なく、製剤の調製が便利である。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一つの方面において、本発明は式(I)の化合物を提供する、
【0014】
【化1】
【0015】
本発明のもう一つの方面において、結晶形態の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ値:12.25°±0.2°、14.46°±0.2°及び21.83°±0.2°において特徴的なピークを有することを特徴とする、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ値:8.50°±0.2°、10.20°±0.2°、12.25°±0.2°、14.46°±0.2°、15.30°±0.2°、21.83°±0.2°、27.31°±0.2°及び31.41°±0.2°において特徴的なピークを有する。
【0017】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態の粉末X線回折スペクトルは図1で示される通りである。
【0018】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態の粉末X線回折スペクトルの解析データは表1に示す通りである。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態のDSC曲線は195.10℃ ± 3℃において一つの吸熱ピークの開始点を有し、且つ、209.23℃ ± 3℃において一つの放熱ピークの開始点を有する。
【0021】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態のDSC曲線は図2で示される通りである。
【0022】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態のTGA曲線は100.00℃±3℃の際に重量が0.295%減少する。
【0023】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態のTGA曲線は図3で示される通りである。
【0024】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態の赤外線吸収スペクトルが3316 cm-1 ± 5 cm-1、3079 cm-1 ± 5 cm-1、3058 cm-1 ± 5 cm-1、3016 cm-1 ± 5 cm-1、2954 cm-1 ± 5 cm-1、2935 cm-1 ± 5 cm-1、2915 cm-1 ± 5 cm-1、2902 cm-1 ± 5 cm-1、2864 cm-1 ± 5 cm-1、1704 cm-1 ± 2 cm-1、1633 cm-1 ± 2 cm-1、1623 cm-1 ± 2 cm-1、1589 cm-1 ± 2 cm-1、1530 cm-1 ± 2 cm-1、1514 cm-1 ± 2 cm-1、1486 cm-1 ± 2 cm-1、1445 cm-1 ± 2 cm-1、1429 cm-1 ± 2 cm-1、1408 cm-1 ± 2 cm-1、1395 cm-1 ± 2 cm-1、1373 cm-1 ± 2 cm-1、1359 cm-1 ± 2 cm-1、1345 cm-1 ± 2 cm-1、1332 cm-1 ± 2 cm-1、1282 cm-1 ± 2 cm-1、1247 cm-1 ± 2 cm-1、1214 cm-1 ± 2 cm-1、1173 cm-1 ± 2 cm-1、1135 cm-1 ± 2 cm-1、1114 cm-1 ± 2 cm-1、1054 cm-1 ± 2 cm-1、1030 cm-1 ± 2 cm-1、1000 cm-1 ± 2 cm-1、952 cm-1 ± 2 cm-1、914 cm-1 ± 2 cm-1、902 cm-1 ± 2 cm-1、883 cm-1 ± 2 cm-1、861 cm-1 ± 2 cm-1、839 cm-1 ± 2 cm-1、825 cm-1 ± 2 cm-1、789 cm-1 ± 2 cm-1、763 cm-1 ± 2 cm-1、736 cm-1 ± 2 cm-1、720 cm-1 ± 2 cm-1 及び 704 cm-1 ± 2 cm-1において特徴的な吸収ピークを含む。
【0025】
本発明の幾つかの実施の態様において、式(I)の化合物の結晶形態の赤外線吸収スペクトルは図4で示される通りである。
【定義及び説明】
【0026】
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語または用語は、特別に定義されない場合、不確定または不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品またはその活性成分を指す。
【0027】
本発明の中間体化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0028】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適切な溶媒で完成され、前記の溶媒は本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に適するべきである。本発明の化合物を得るため、当業者が既存の実施形態に基づいて合成工程または反応スキームを変更または選択することが必要であることもある。
【0029】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の何らの制限にもならない。
【0030】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品で、さらに精製せずにそのままで使用してもよい。
【0031】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販により得られる。
【0032】
本発明は下記略語を使用する:
TBTU:O-ベンゾトリアゾール-N,N、N’、N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート;DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;MeOH:メタノール;THF:テトラヒドロフラン;Pd(dppf)Cl:[1、1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウム;Pd(dba):トリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム;x-PHOS:2-ジシクロヘキシルホスホノ-2、4、6-トリイソプロピルビフェニル計器及び分析方法
1.1粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)
計器の型番:ブルカーD8advanceX線回折計
測定方法:約10~20mgのサンプルをXRPDの検出に用いる。
詳細なXRPDパラメータは下記の通りである:
X線管:Cu,kα,(λ=1.54056Å).
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:3又は4~40deg
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
サンプルパン回転数:15rpm
1.2示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器の型番:TA DSC Q2000示差走査熱量計
測定方法:サンプル(0.5~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に量り取って測定を行い、50mL/minN2条件で、10℃/minの昇温速度で、サンプルを室温(25℃)から300℃又は350℃まで加熱する。
1.3熱重量分析(ThermalGravimetricAnalyzer、TGA)方法
計器の型番:TAQ5000熱重量分析計
測定方法:サンプル(2~5mg)をTGA白金坩堝に量り取り測定を行い、25mL/min、N2条件で、10℃/minの昇温速度で、サンプルを室温(25℃)から300℃、350℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
1.4動的水蒸気吸着計(DVS)
計器の型番:DVS Advantage-1 (SMS)
測定方法:約10~15mgのサンプルをDVSの検出に用いる。
平行化 dm/dt:0.01 %/min:(時間:10 min最大180min)
乾燥:0%RH、120min
RH (%)勾配の測定:10%
RH (%)勾配の測定範囲:0%~90%~0%
下記の表2は吸湿性の判定基準である:
【0033】
【表2】
【0034】
1.5高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatograph、HPLC)
計器の型番:Agilent1200高速液体クロマトグラフィー
分析方法は以下の通りである:
【0035】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】式(I)の化合物の結晶形態のXRPDスペクトルである。
図2】式(I)の化合物の結晶形態のDSCスペクトルである。
図3】式(I)の化合物の結晶形態のTGAスペクトルである。
図4】式(I)の化合物の結晶形態の赤外線吸収スペクトルである。
図5】式(I)の化合物の結晶形態の紫外線吸収スペクトルである。
【0037】
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に具体的な実施例を参照しながら本発明をさらに説明するが、本発明の内容を制限するものではない。本文は本発明を詳細説明し、具体的な実施形態も開示したが、当業者は、本発明の要旨および範囲から逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に対して様々な変換又は改良することは自明なものである。
製造実施例
【0039】
【化2】
【0040】
工程1:中間体1-Bの合成
化合物1-A(5.0 Kg、60.9 mol)を無水トルエン(7 L)に溶解し、得られた溶液を50 Lの反応釜に添加し、続いて、ジヒドロピラン(5.6 Kg、60.9 mol)及びトリフルオロ酢酸(50 mL)を順次に入れ、反応釜の外部温度を80℃に設定し、一晩攪拌反応した。HPLCによって反応が完了したことを検出し、酢酸エチル(10 L)、水(2 L)を添加し、攪拌後放置して液を分離し、有機相を水(1 L×2)で洗浄し、スピン乾燥して、中間体1-Bを得、淡黄色のオイル状液体であった。LCMS (ESI) m/z: 167 (M+1);H NMR (400 MHz、CDCl): δ ppm 1.66-1.67 (m、3 H)、2.02-2.08 (m、6 H)、3.66-3.72 (m、1 H)、4.03-4.07 (m、1 H)、5.30-5.33 (dd、J=10.0、2.8 Hz、1H)、7.37-7.38 (d、J=6.0 Hz、1H)。
工程2:中間体1-Cの合成
窒素ガスの保護下で、化合物1-B(2.0 Kg、12.03 mol)を無水テトラヒドロフラン(12 L)に溶解し、得られた溶液を50 Lの球形釜に添加し、-40℃~-20℃に温度を下げ、n-ブチルリチウム(5.3 L、13.24 mol)を滴下し、滴下完了後、続いて当該温度下で1時間攪拌反応し、イソプロピルピナコールボレート(2.351 Kg、12.63 mol)を滴下し、滴下完了後、冷却浴を撤去し、続いて40分間攪拌反応した。HPLCによって反応が完了したことを検出し、飽和塩化アンモニウム溶液(2 L)を滴下してクエンチした後、6N HClを滴下してpHを5~6に調整し、20 Lの水を入れ、酢酸エチル(5 L)を添加して1回抽出し、その後、再び酢酸エチル(3L)を添加して1回抽出し、有機相を合わせ、スピン乾燥して、中間体1-Cを得、黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 293 (M+1);H NMR (400 MHz、CDCl): δ ppm 1.356 (s、12 H)、1.54-1.57 (m、1H)、1.70-1.72 (m、2 H)、1.99-2.00 (m、1 H)、2.08-2.09 (m、1 H)、2.23 (s、3 H)、2.45-2.51 (m、1 H)、3.63-3.70 (m、1 H)、4.02-4.06 (m、1 H)、5.81-5.84 (dd、J=10.0、2.4 Hz、1H)、7.40 (s、1 H)。
工程3:中間体1-Dの合成
0~20℃で、攪拌下で1-C(3.75 Kg、10.64 mol)を塩化水素メタノール溶液(4N、16L、64 mol)に添加し、20℃左右の温度下で一晩攪拌反応した。HPLCによって反応が完了したことを検出し、反応液を溶剤がスチームアウトしないまで濃縮し、その中に4Lの石油エチルを添加し、攪拌し、静置した後、上澄み液を注ぎ出し、下部の残留物を少しスピン乾燥させ、固体が析出し、ろ過し、ケーキを1.5 Lの酢酸エチルでスラリー化し、ろ過し、ケーキを再び1.5 Lの酢酸エチルでスラリー化した。ケーキを集め、ろ過液を合わせた。液体は上記操作を繰り返し、再度ケーキを集め、ケーキを合わせ、減圧乾燥して中間体1-Dを得、白色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 209 (M+1);H NMR (CDOD): δ ppm 1.22-1.42 (d、12H)、2.27-2.34 (d、3H)、8.03-7.14 (d、1H)。
工程4:中間体1-Fの合成
20~25℃下で、1-E(2502.05 g、10.64 mol)、DMF(12.5 L)、トリエチルアミン(2.24 L、16.09 mol)及びPd(dppf)Cl(84.00 g、0.115 mol)を順次に50Lの反応釜に入れ、次に反応液に窒素ガスをバブリングし、バブリングは約10分間し、プロピニルアルコール(943 mL、15.95 mol)を反応釜に滴下した。窒素保護下で60℃に昇温し、保温しながら1時間反応させ、その後80℃に昇温し、保温しながら約6.5時間反応させた。HPLCによって反応が完了したことを検出し、室温まで温度を下げ、酢酸エチル(20L)及び塩酸(2N、1L)を添加し、攪拌した後、液を分け、水相を再び酢酸エチル(5 L)1回抽出し、合わせた有機相に水(5 L×2)を入れて洗浄し、有機相をスピン乾燥し、残留物をシリカゲルカラム(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル= 3/1)で溶離し、溶離液をスピン乾燥して、中間体1-Fを得、黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 211 (M+1); H NMR (400 MHz、CDCl): δ ppm 1.39 (t、J=7.15 Hz、3 H)、1.78 - 1.88 (m、1 H)、4.30 - 4.42 (m、2 H)、4.50 - 4.59 (m、2 H)、7.13 - 7.20 (m、1 H)、7.61 - 7.70 (m、1 H)。
工程5:中間体1-Gの合成
1-F(4039.55 g、19.1 mol)を24 Lのエタノール(質量分率95%)に溶解し、トリエチルアミン(20 mL、0.144 mol)を添加して均一に混合し、この混合物を2 Lの水素化ボトル20本に均等に入れた。窒素ガスの保護下で湿ったパラジウム炭素(419.89 g、10%)を前記水素化ボトルに均等に分配し、水素で2回交換し、水素圧力を50 PSI、温度を25℃に設定し、約3時間反応させた。HPLCによって反応が完了したことを検出し、ろ過し、ろ過液を合わせ、スピン乾燥し、残留物に0.1N塩酸(3 L)及び酢酸エチル(6 L)を添加し、攪拌した後液を分けた。有機相に無水硫酸ナトリウムを入れて乾燥させ、ろ過し、有機相をスピン乾燥して中間体1-Gを得、黄色のオイル状液体であった。LCMS (ESI) m/z: 215 (M+1);H NMR (400 MHz、CDCl): δ ppm 1.38 (t、J=7.15 Hz、3 H)、1.90 - 2.06 (m、2 H)、2.97 (t、J=7.59 Hz、2 H)、3.73 (s、2 H)、4.34 (d、J=7.03 Hz、2 H)、6.81 - 6.89 (m、1 H)、7.61 - 7.70 (m、1 H)。
工程6:中間体1-Hの合成
20~25℃下で、50 Lの反応釜にジクロロメタン(19.6 L)、1-G(3916.73 g、18.3 mol)及び塩化鉄(III)(296.83 g、1.83 mol)を順次的に添加し、その後10℃以下の温度で、液体臭素(1415 mL、27.5 mol)を反応釜に滴下し、15~25℃で一晩反応させた。HPLCによって反応が完了したことを検出し、水(20 L)を入れ、攪拌した後液体を分け、有機相に飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(20 L)を入れ、攪拌した後、液体を分け、有機相に水(20 L)を入れ、攪拌して液体を分け、有機相に再び水(20 L)を入れ、攪拌して液体を分けた。有機相をスピン乾燥し、残留物をシリカゲルカラム(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル= 3/1)で溶離し、溶離液をスピン乾燥して、中間体1-Hを得、黄色のオイル状液体であった。LCMS (ESI) m/z: 295 (M+1);H NMR (400 MHz、CDCl): δ ppm 1.36 (t、=7.15 Hz、3 H)、1.88 - 2.00 (m、2 H)、2.93 (t、J=7.59 Hz、2 H)、3.66 - 3.79 (m、2 H)、4.33 (d、J=7.03 Hz、2 H)、7.57 - 7.66 (s、1 H)。
工程7:中間体1-Iの合成
20~25℃下で、50 Lの反応釜に1、4-ジオキサン(26 L)、水(5.2 L)、1-H(3277.79 g、11.18 mol)、1-D(3300.00 g、13.50 mol)及び無水炭酸水素ナトリウム(2751.12 g、32.75 mol)を順次に添加し、その後、窒素ガスを反応溶液にバブリングし、バブリングは約15分間し、次にx-PHOS(1044.07 g、2.19 mol)とPd(dba)(1000.00 g、1.09 mol)を入れ、続いて窒素ガスを約20分間バブリングし、窒素ガスの保護下で、110℃で一晩反応させた。HPLCによって反応が完了したことを検出し、室温まで温度を下げ、反応溶液をろ過し、ろ過液に酢酸エチル(22 L)及び水(22 L)を入れ、攪拌した後、液体を分け、水相を酢酸エチル(20 L)で1回抽出し、合わせた有機相をスピン乾燥した。残留物にメチルtert-ブチルエーテル(20 L)及び2N塩酸(20 L)を添加し、攪拌して液体を分け、有機相に2N塩酸(20 L)を添加し、攪拌して液体を分け、有機相を合わせてメチルtert-ブチルエーテル(5 L)と石油エーテル(2.5 L)の混合液で洗浄し、水相は10~20℃下で、飽和炭酸ナトリウムでpHを7~8に調整し、大量の固体が析出した。ろ過し、固体を収集し、固体をエタノール(5 L)に溶解し、活性炭(300 g)を添加し、30分間加熱還流した。熱い内にろ過し、ろ過液を濃縮乾燥し、残留物に酢酸イソプロピル(2 L)を入れ、60℃に加熱し、スラリー化し、室温に冷却した。ろ過し、固体を収集し、加圧乾燥して中間体1-Iを得、淡黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 295 (M+1);H NMR (CDCl): δ ppm 1.39-1.42 (m、3 H)、1.98-2.04 (m、2H)、2.17 (s、2H)、3.16-3.20 (m、2H)、3.64-3.67 (m、2H)、4.35-4.41 (m、2H)、7.43 (s、1H)、7.79 (s、1H)。
工程8:中間体1-Jの合成
20~25℃下で、50 Lの反応釜にジクロロメタン(18 L)、1-I(1890.24 g、6.42 mol)、トリエチルアミン(2700 mL、19.26 mol)及びメタンスルホニルクロリド(1238 mL、16.05 mol)を順次に添加し、約0.5時間攪拌反応させた。HPLCによって反応が完了したことを検出し、4.5 Lの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、攪拌して液体を分け、水相に4.5 Lのジクロロメタンを入れて抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、有機相をスピン乾燥させた。残留物を50L反応釜に移し、無水エタノール(18 L)、ヨウ化カリウム(213.34g、1.28 mol)及びナトリウムメトキシド(1041.01g、19.28 mol)を添加し、90℃に昇温して、一晩反応させた。 HPLCによって反応が完了したことを検出し、温度を50~60℃に下げ、水(18 L)と固体水酸化ナトリウム(771.12 g、19.28 mol)を入れ、約30分間攪拌反応させた。HPLCによって反応が完了したことを検出し、約20 Lに減圧濃縮し、メチルtert-ブチルエーテル(9 L)を添加し、攪拌して液体を分け、水相にメチルtert-ブチルエーテル(9 L)を入れて液体を攪拌して分け、水相に濃塩酸を入れてpHを3~4に調整し、大量の固体が析出し、ろ過し、固体を収集し、ケーキを水(1 L×2)及びアセトン(2.25 L×2)で順次に洗浄し、ろ過し、減圧乾燥して中間体1-Jを得、淡黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 249 (M+1);H NMR (400 MHz、DMSO-d): δ ppm 2.14 (s、3H)、2.17-2.21 (m、2H)、3.07-3.11 (m、2H)、4.23-4.25 (m、2H)、7.28 (s、1H) 7.80 (s、1H)。
工程9:中間体1-Lの合成
20~25℃下で、N,N-ジメチルホルムアミド(11.3 L)、1-J(1417.92 g、5.69 mol)、1-K(2007.29 g、5.92 mol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.487 L、14.24 mol)を50 Lの高温及び低温の反応釜に順次に添加し、固体が完全に溶解するまで攪拌した。混合液を0~5℃に冷却し、TBTU(2200.23g、6.85mol)をバッチに添加し、添加時の温度は20℃を超えないように控えた。添加完了後、20~25℃に昇温し、保温しながら2時間攪拌した。HPLCによって検出し、1-J含有量が0.5%以下である時、反応を停止させた。攪拌下で、20~25℃で酢酸エチル(3 L)及び希塩酸(0.25 N、34 L)を順次に添加し、大量の固体が析出され、続いて保温しながら10分間攪拌した。ろ過し、ケーキを水(7 L×2)で洗浄し、50 Lの反応釜にケーキを入れ、メタノール(14 L)を入れてスラリー化し、遠心分離機でろ過し、ケーキは3日間自然乾燥させた。HPLCによってケーキをを検出し、純度が98.0%以下である時、スラリー化を繰り返した。ケーキを50 Lの反応器に入れ、メタノール(30 L)を入れてスラリー化し、遠心分離機でろ過し、ケーキを真空乾燥して中間体1-Lを得、白色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 529 (M+1);H NMR (CDCl): δ ppm 2.21 (s、3H)、2.24-2.28 (m、2H)、2.91-2.93 (m、1H)、2.98-3.02 (m、2H)、3.06-3.07 (m、1H)、3.76-3.78 (m、1H)、3.83-3.84 (m、1H)、4.21-4.24 (m、2H)、4.51-4.52 (m、1H)、6.82-6.93 (m、2H)、6.97-7.01 (m、1H)、7.04-7.08(m、1H)、7.21-7.25 (m、1H)、7.48 (s、1H)、7.67-7.68 (m、2H)、7.76-7.78 (dd、J=5.2、3.0 Hz、2H)。
工程10:中間体1-Mの合成
20~25℃下で、メタノール(20 L)及び1-L(2233.25 g、4.19 mol)を50 Lの高温及び低温の反応釜に入れ、攪拌し、98%のヒドラジン水和物(1050 mL、98%、24.54 mol)を入れ、80~90℃に昇温し、1.7時間還流反応させ、大量の固体が析出した。HPLCによって検出し、1-L含有量が0.5%以下である時、反応を停止させた。熱い内にろ過し、濾液を20~25℃に冷却して大量の固体が析出され、ろ過し、ケーキをメタノール(5 L)で洗浄した。濾液を元の容量の約1/5(約5 L)に濃縮した後、攪拌しながら20 Lの水を前記濃縮液にゆっくりと注ぎ入れ、大量の固体が析出され、ろ過し、ケーキを水(5 L)で洗浄した。20~25℃で、希塩酸(1 N、20 L)をケーキに追加し、攪拌し、ろ過し、ケーキを水(5 L)で洗浄した。ろ過液を50 Lの液体セパレーターに移し、酢酸エチルとメタノールの混合溶剤(10/1(v / v)、11 L×2)で逆抽出した。水相を0~5℃に冷却し、攪拌しながら、炭酸水素ナトリウム固体でpHを8~9に調整し、大量の固体が析出し、ろ過し、ケーキを水(2 L)で洗浄し、真空乾燥させて中間体1-Mを得、白色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 399 (M+1);H NMR (CDOD): δ ppm 2.23 (s、3H)、2.24-2.34 (m、2H)、2.89-2.98 (m、4H)、3.06-3.09 (m、2H)、4.23-4.25 (m、2H)、4.25-4.35 (m、1H)、6.93-7.02 (m、1H)、7.04-7.11 (m、2H)、7.27-7.29 (m、1H)、7.33 (s、1H)、7.83 (s、1H)。
工程11:式(I)の化合物の結晶形態の合成
20~25℃下で、メタノール(13.2 L)と1-M(1654.31 g、3.93 mol)を50 Lの高温及び低温の反応釜に順次に入れ、80~90℃に昇温させ、保温しながら0.5時間攪拌した。熱い内にろ過し、濾液を再び50 Lの高温及び低温の反応釜に移し、80~90℃に昇温させ、マレイン酸メタノール溶液(505.94 gのマレイン酸を1 Lのメタノールに溶解、4.36 mol)に入れ、保温しながら1時間攪拌した。勾配冷却し、外部温度を60~70℃に保温しながら2時間攪拌し、固体が析出した。40~50℃で保温しながら1時間攪拌し、20~25℃で保温しながら13.5時間攪拌した。ろ過し、メタノール(500mL)でケーキを洗浄し、ケーキを真空乾燥させて、式(I)の粗生成物を得た。20~25℃下で、メタノール(13 L)と式(I)の化合物(1680 g)を50 Lの高温及び低温の反応釜に入れ、保温しながら3時間攪拌し、ろ過し、ケーキをメタノール(2L)で洗浄し、真空乾燥して式(I)化合物の結晶形態を得、白色の粉末であった。LCMS (ESI) m/z: 399 (M+1);H NMR (CDOD): δ ppm 2.23 (s、3H)、2.28-2.39 (m、2H)、2.97-3.13 (m、4H)、3.13-3.29 (m、2H)、4.25 (br d、J=6.0 Hz、2H)、4.47-4.59 (m、1H)、6.25 (s、2H)、6.92-7.02 (m、1H)、7.03-7.18 (m、2H)、7.33 (s、2H)、7.80 (s、1H)。
特定実施例
実施例1:式(I)の化合物の結晶形態の安定性試験
1.1実験ステップ
式(I)の化合物の結晶形態を約10 mg正確に計量し、清潔で乾燥したガラス瓶に入れ、薄層に広げ、正式の試験サンプルとした。加速試験条件(40℃/ 75%RH及び60℃/ 75%RH)に置き、サンプルを完全に露出するように置き、アルミホイルで覆い、刺して小さな穴を開けた。試験では、10日目、1ヶ月目、2ヶ月目でサンプリングして分析した。結果は表4に示す通りであった。
1.2希釈剤及び移動相の調製
希釈剤:アセトニトリル:水(1:1)を希釈剤とした。
例えば:100 mLの純水と100 mLの純粋なアセトニトリルをガラス瓶の中で混合し、超音波で10分間脱気し、室温まで冷却させた。
移動相A:0.1%リン酸水溶液
例えば: 2.0 mLのリン酸を量り取り、2000 mLの水に入れ、10分間超音波処理し、よく混ぜ、室温になるまで放置して、移動相Aとした。
移動相B:アセトニトリル
アセトニトリルを取り、移動相Bとした。
1.3対照品溶液の調製(0.25mg/mL、遊離アルカリで計量)
0日目のサンプルを参照サンプルとして、16 mLの希釈剤を入れ、5分間超音波処理し、よく混合した。再び一倍希釈し、それぞれSTD-1及びSTD-2とマークした。
1.4感度サンプル溶液の調製
対照品溶液STD-1(0日目のサンプル)を取り、2000倍に希釈して、LOQとマークした。
1.5サンプル溶液の調製(0.25mg/mL、遊離アルカリで計量)
サンプルを取り出した後、室温に回復してから16mLの希釈剤を入れて溶解した。再び一倍を希釈して、関連物質の含有量を検出するサンプル溶液とした。
【0041】
【表4】
【0042】
実験結果から、式(I)の化合物の結晶形態は高温高湿条件下で安定で、不純物含有量には基本的に変化がないことが分かった。
実施例2:式(I)の化合物の結晶形態の溶解度実験
2.1実験ステップ
式(I)の化合物の結晶形態10 mgを正確に量り取ってガラス瓶に入れ、1 mLの溶剤を添加し、25±2℃で5分ごとに30秒間激しく振とうし、30分以内の溶解を観察した。対応するデータを記録した。
【0043】
ステップ2.1で溶性しなかったサンプル1 mgを正確に量り取ってガラス瓶に入れ、適切な溶媒をいれ、25±2℃で5分ごとに30秒間激しく振とうし、30分以内の溶解を観察した。対応するデータを記録した。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
実験結果から、式(I)の化合物の結晶形態は、ジメチルスルホキシドまたはN-メチルピロリドンでは溶けやすく、メタノールではやや溶けにくく、アセトニトリルまたは水ではほとんど溶けないか、不溶で; 0.1N塩酸または、0.1N水酸化ナトリウム溶液ではほとんど溶けないか、不溶であることが分かった。
実施例3:式(I)の化合物の結晶形態の吸湿性試験
実験プロセス
3つのストッパー付き乾燥ガラス製計量ボトル(外径50 mm、高さ30 mm)を取り、下部に塩化アンモニウムの飽和溶液を入れた乾燥機に置き、計量ボトルを開口して置き、乾燥機カーバを覆い、その後、乾燥機を25℃の恒温器に入れ、一晩放置した。
【0047】
計量ボトルを一晩放置した後、取り出して重量を正確に計量し、それぞれm1、m2、m3とした。
【0048】
適量の式(I)の化合物の結晶形態を取り出し、既に重量を正確に計量した計量ボトルに平らに敷き(サンプルの厚さは約1mm)、次に重量を正確に量り、それぞれm1、m2、m3とした。
【0049】
計量ボトルを開口して、蓋と一緒に底に塩化アンモニウム飽和溶液を入れた乾燥機に入れ、計量ボトルを開口して置き、乾燥機カーバを覆い、その後、乾燥機を25℃の恒温器に入れ、24時間放置した。
【0050】
24時間放置した後、計量ボトルの蓋をよく締め、その後取り出して重量を正確に計量し、それぞれm1、m2、m3とマークした。
【0051】
吸湿重量増加を計算し、計算式は以下の通りであった:
重量増加率=100%×(m-m)/(m-m
【0052】
【表7】
【0053】
吸湿性試験の結果によると、式(I)の化合物の結晶形態の吸湿平均値は0.07%<0.2%であり、その故、式(I)の化合物の結晶形態は吸湿性がないか、ほとんどない。
【0054】
実施例4:式(I)の化合物の結晶形態の赤外線吸収試験
計器:Nicolet 6700 FT-IR型赤外線分光計
方法:ATR全反射減衰法
式(I)の化合物の結晶形態サンプルの赤外線吸収スペクトルは図4を参照する。
【0055】
【表8】
【0056】
赤外線スペクトル分析:
1) 3316 cm-1:N-H伸縮振動;1704~1623 cm-1:C=O伸縮振動;1359~1000 cm-1:C-N伸縮振動;952~704 cm-1:N-H面外変角振動;本製品の構造にアミドが含まれていることを証明した;
2) 3079,3058,3016 cm-1:=C-H伸縮振動;1704~1445 cm-1: C=C及びC=N 伸縮振動;1359~1000 cm-1:C-H面内変角振動;952~704 cm-1:=C-H面外変角振動;本製品の構造にベンゼン環、芳香族複素環、アルケニル基が含まれていることを証明した;
3) 2954~2864 cm-1:C-H対称及び非対称の伸縮振動;1486~1373 cm-1:C-H変角振動;本製品の構造に-CH-、-CH-和-CH構造が含まれていることを証明した;
4) 3316~2864 cm-1:NH の伸縮振動;1359~1000 cm-1:C-N伸縮振動;952~704 cm-1:N-H伸縮振動;本製品の構造にアミン塩が含まれていることを証明した;1633~1530 cm-1:カルボン酸塩の逆対称伸縮振動;1445~1395 cm-1:カルボン酸塩の対称伸縮振動;本製品の構造にカルボン酸塩が含まれていた;
5) 1359~1000 cm-1:C-F伸縮振動;本製品の構造にC-F結合が含まれていることを証明した;
エラー範囲は《中国薬局方》の規定を満たした、即ち、3000 cm-1の付近に±5 cm-1の許容誤差が存在することができ、1000 cm-1の付近に±2の許容誤差が存在することができた。
【0057】
赤外スペクトルにより、本製品の構造には、アミド、ベンゼン環、芳香族複素環、アルケニル基、-CH-、-CH2-、-CH3、アミン塩、カルボン酸塩、及びC-F結合構造が含まれていることが分かった。前記IRスペクトルの結果は、式(I)の化合物の結晶形態の構造と一致した。
実施例5:式(I)の化合物の結晶形態の紫外線吸収試験
計器:Agilent 8453紫外可視分光光度計
溶剤: メタノール/純水=1/1(v/v)
母液: 10.198 mgの式(I)の化合物の結晶形態サンプルを量り取り、100 mLのメスフラスコに入れ、希釈剤(メタノール/純水= 1/1(v / v))で完全に溶解し、マークしたところまで希釈し、よく振った。
【0058】
サンプル溶液:2.2 mLの母液を量り取り、10 mLのメスフラスコに入れ、希釈液(メタノール/純水= 1/1(v / v))でマークしたところまで希釈し、よく振って、4.3601×10-5 mol / L濃度のサンプル溶液を得た。
【0059】
測定波長:200~700 nm
メタノールにおけるサンプルの紫外スペクトルは図5に示した。
【0060】
【表9】
【0061】
メタノール溶液において、λmax= 208 nmは芳香族複素環のEバンドの特徴吸収で、λmax= 248 nmは芳香環のBバンドの特徴吸収で、λmax= 300 nmは芳香環のKバンドの特徴吸収であった。
活性テスト
実施例1:式(I)の化合物の結晶形態のAKT酵素活性テスト
AKTは、プロテインキナーゼB(PKB)とも呼ばれ、セリン/スレオニン特異的プロテインキナーゼで、主にAKT1、AKT2及びAKT3を含む。AKTシグナル伝達経路は、グルコース代謝、アポトーシス、細胞増殖転写及び細胞移動などのさまざまな細胞プロセスで重要な役割を果たす。本研究は、AKTファミリーメンバーのキナーゼ活性に対する式(I)の化合物の結晶形態の阻害効果を分析することを目標とした。
【0062】
試薬及び消耗品:
ULight-CREBtide (PerkinElmer TRF0107-M、ロット:2035700)
Europium-Anti-P-CREB(Ser-133)(PerkinElmer TRF0200-M、ロット:2002391)
LANCE Detection Buffer、10* (PerkinElmer CR97-100)
ATP (Invitrogen PV3227)
Akt1 protein (life technology 、ロット:11629928C)
Akt2 protein (life technology 、ロット:28870GG)
Akt3 protein (life technology 、ロット:1715050B)
384ヴェルプレート_検出プレート(PerkinElmer 6007299)
実験原理:
本実験では、ホモジニアスな時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(LANCE TR-FRET(登録商標))方法を使用して、検出プレートで酵素、ビオチン標識のペプチド基質、及び検出化合物を混合し、ATPを添加して反応を開始し、インキュベーションした。反応後、EDTAを添加して反応を停止させ、同時に、Eu標識抗体を添加して反応させ、検出を行った。検出プレートはPE社のEnvisionを使用して分析し、分析モードはTR-FRETで、データはそれぞれ665 nmと615 nmの蛍光シグナルの読み取り値で表した。ここで、665 nm / 615 nmの高い比率は高い活性を示し、665 nm / 615 nmの低い比率は活性が抑制されていることを示した。
【0063】
実験方法:
化合物の調製:試験化合物及び参照化合物を100%DMSOで希釈し、化合物の開始濃度は10μMで、3倍の勾配で10個の濃度に希釈した。化合物を細胞プレートに移し、二つの繰り返し実験を設置した。
【0064】
キナーゼの検出:酵素と基質をあらかじめ調製した異なる濃度の化合物と混合し、Akt1、Akt2、Akt3キナーゼの最終濃度はそれぞれ1.25 nM、2 nM、2 nMであった。室温で15分間放置し、各濃度当たり二つの繰り返し実験を設置した。ATPをAkt1、Akt2、Akt3キナーゼ反応に添加し、最終濃度は、それぞれ36μM、360μM、及び160μMで、室温で90分間反応させた(ここで、陰陽性対照を設定)。反応終了後、抗体を添加して検出し、室温で60分間インキュベーションした後、Evnvisionで検出し、データを収集した。*Lfit5ソフトウェアに基づき、データ分析と描画を実行した。
【0065】
実験結果:表10を参考。
【0066】
【表10】
【0067】
本実験の結果は、式(I)の化合物の結晶形態はAKT1、AKT2及びAKT3キナーゼ活性に対していずれも強い阻害効果を有し、その中で阻害効果が最も有意なのはAKT1キナーゼ活性に対する阻害であることを示した。
実施例2:式(I)の化合物の結晶形態の細胞活性テスト
この実験は、式(I)の化合物の結晶形態が、AKTを過剰発現する前立腺癌細胞LNCaPに対する阻害効果を研究することを目的とした。
【0068】
試薬及び消耗品:
1. 細胞培養:RPMI-1640培地、ウシ胎児血清、Accutase、DPBS
2. 細胞株:LNCaP
3. 検出試薬:CellTiter-Glo生細胞検出キット
4. その他の主な消耗品と試薬:化合物希釈プレート、中間プレート、検出プレート、DMSO
実験原理:
ATPの含有量は細胞の数及び状態を直接反映し、ATPを定量測定することにより生細胞数を検出することができる。生細胞検出キットにはルシフェラーゼとその基質が含まれ、ATPの参与を通じて、ルシフェラーゼは基質を触媒作用を及ぼし、安定した光信号を発することができ、信号の強度を検出することにより、細胞内のATP量を検出する。ここで、光信号は細胞内のATPの量に正比例し、また、ATPは生細胞数に正の相関があるため、細胞の増殖状況を検出することができる。検出プレートは、PE会社のEnvisionを使用して分析した。
【0069】
実験方法:
1.細胞プレートの製造
各ウェルに1000個の細胞が含まれるように、LNCaP細胞を384ウェルプレートに接種した。細胞プレートを二酸化炭素インキュベーターに入れ、一晩培養した。
【0070】
2.化合物の準備
Bravoを利用して3倍の勾配で10個の濃度に希釈し、二つの繰り返し実験を設置した。
【0071】
3.細胞を化合物で処理
化合物を細胞プレートに移し、化合物の開始濃度は10μMのであった。細胞プレートを二酸化炭素インキュベーターに入れ、3日間インキュベートした。
【0072】
4.検出
細胞プレートにPromega CellTiter-Glo試薬を添加し、室温で10分間培養して、発光シグナルを安定化させた。 PerkinElmer Envisionマルチラベルアナライザーを利用してデータを読み取った。
【0073】
実験結果:表11を参照する。
【0074】
【表11】
【0075】
本実験は以下の結果を示した。即ち、式(I)の化合物の結晶形態はAKT過剰発現の細胞LNCaPの成長に有意な抑制効果を有した。
図1
図2
図3
図4
図5