(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】生体情報測定装置、生体情報測定システム、およびインサータ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20220708BHJP
【FI】
A61B5/1473
(21)【出願番号】P 2020541133
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019033024
(87)【国際公開番号】W WO2020050060
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2018166173
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018166175
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高下 雅博
(72)【発明者】
【氏名】池谷 生一郎
(72)【発明者】
【氏名】西尾 章
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆次
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509011(JP,A)
【文献】特開2016-128031(JP,A)
【文献】特開2012-098258(JP,A)
【文献】特開2006-145974(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109844(WO,A1)
【文献】実開昭59-116007(JP,U)
【文献】実開平06-038906(JP,U)
【文献】特開2015-093167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の皮膚に接着させる接着面を下面側に有する接着テープと、
前記接着テープの上面側に配置された実装基板と、
前記接着テープの上面側に設けられ、前記実装基板を保持する基板保持部と、
前記実装基板に電気的に接続され、生体情報を測定に用いられるセンサと、
前記実装基板の上面側を覆うカバーと、
前記実装基板の下面と前記接着テープの上面との間に配置されたスペーサと、
前記接着テープと前記実装基板との間に配置されており、略環状の形状を有するベースと、
を備え、
前記実装基板の下面側は、前記スペーサを介して、前記接着テープの上面側に非接着状態で設けられており、
前記接着テープと前記カバーとは、前記実装基板よりも伸縮性が高いとともに、
前記スペーサは、上面側において前記実装基板の下面に接着され、下面側において前記接着テープの上面に非接着となっている、
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記実装基板は、前記接着テープが前記皮膚に装着された状態において、前記皮膚の表面に略平行な方向における伸縮性が小さい、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記実装基板は、複数の略扇形の形状を有しており、
前記スペーサは、前記実装基板の形状に合わせて略扇形の形状を有している、
請求項1または2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記接着テープと前記カバーとは、外周縁部付近において、略環状の前記ベースを介して互いに接着されている、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記ベースは、略環状の外周円部と、前記外周円部と同心円状に径方向内側に配置された内周円部と、前記外周円部と前記内周円部とを略等角度間隔で接続する複数のブリッジ部と、を有している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記基板保持部は、略筒状の形状を有しており、
前記カバーの下面は、前記基板保持部の略筒状の上端面に対して、前記カバーの中心部付近において接着されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記カバーの上面に接着されたオーバーテープと、
前記オーバーテープの前記基板保持部に対応する部分に設けられ、前記基板保持部内に挿入される突起と、をさらに備えた、
請求項1から6のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記実装基板の上面側に実装された電子部品と、
前記実装基板および前記電子部品を覆う防水膜と、
をさらに備えている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の生体情報測定装置と、前記生体情報測定装置の上面に載置され前記使用者の皮膚に前記生体情報測定装置を装着するインサータと、を備えた生体情報測定システムであって、
前記インサータは、
前記生体情報測定装置の前記カバーの上面における貫通孔を含む位置に装着されると共に、前記生体情報測定装置の前記基板保持部の上端部に支持されているベースボディと、
前記ベースボディ上に装着され、前記生体情報測定装置を前記皮膚に装着する際に押圧されて弾性変形する可撓性を有するトップボディと、
を有している、
生体情報測定システム。
【請求項10】
前記ベースボディは、前記トップボディ側に突出した案内筒を有し、
前記トップボディは、前記案内筒内に沿って穿刺方向において移動可能なガイド針保持部と、前記ガイド針保持部に保持され前記皮膚に穿刺を行うガイド針と、を有し、
前記生体情報測定装置が前記皮膚に装着される際に、前記トップボディが前記ベースボディ側に押圧されると、前記生体情報測定装置のセンサが前記ガイド針とともに前記皮膚側に移送される、
請求項9に記載の生体情報測定システム。
【請求項11】
前記ベースボディは、前記カバーの上面に着脱自在に装着されている、
請求項9または10に記載の生体情報測定システム。
【請求項12】
前記ベースボディは、前記カバーの上面に対して点接触の状態で接着されている、
請求項11に記載の生体情報測定システム。
【請求項13】
前記ベースボディの前記カバーの上面に対する接着力は、前記接着テープの接着力よりも小さい、
請求項11または12に記載の生体情報測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、持続血糖測定を行う生体情報測定装置および生体情報測定システム、インサータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生体情報測定装置は、下面側に設けられた接着面が使用者の皮膚に接着される接着テープと、接着テープの上面側に配置された実装基板と、実装基板に電気的に接続され使用者の皮膚側にその一部が移送されるセンサと、を備えた構成となっていた(例えば、下記特許文献1)。
また、従来の生体情報測定システムは、接着テープと、接着テープの上面側に配置された実装基板と、実装基板に電気的に接続されたセンサと、実装基板の上面側を覆うカバーと、を備えていた。そして、生体情報測定装置をインサータに内包させ、このインサータが操作されることで、生体情報測定装置が人体に装着される構成となっていた(例えば、下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/0027514号明細書
【文献】特表2015-509011号公報
【発明の概要】
【0004】
上記特許文献1では、実装基板としてフレキシブル基板が用いられている。このため、生体情報測定装置が装着される身体部分の形状に沿ってフレキシブル基板が撓むことで、皮膚への装着感を高めることが期待される。その後、フレキシブル基板および接着テープは、カバーによって覆われる。
しかしながら、上記従来の構成では、装着時以降の使用時における装着感を高めることはできない。なぜなら、実装基板をフレキシブル基板とすると、身体への装着時には、その装着部分の形状に沿ってフレキシブル基板が撓む。このため、装着時には、身体にフィットした状態で生体情報測定装置が装着されるものの、生活活動に応じて身体の皮膚、骨、筋肉は大きく変位するため、この状態では装着時の状態で撓んでいるフレキシブル基板がその皮膚の変位を抑制してしまうおそれがある。例えば、伸びようとする皮膚がフレキシブル基板によって、その変位が抑制されることで、使用者が違和感を覚えてしまうため、装着性の向上が望まれる。
【0005】
そこで、第1の発明は、生体情報測定装置の装着性を高めることを第1の目的とする。
一方、上記特許文献2では、生体情報測定装置をインサータに内包させて、人体に装着する構成になっている。このため、インサータは大型化してしまい、結果として、使い勝手が悪いという課題があった。
そこで、第2の発明は、生体情報測定装置を装着する際の使い勝手を向上させることを第2の目的とする。
【0006】
上記第1の目的を達成するために、第1の発明は、使用者の皮膚に接着させる接着面を下面側に有する接着テープと、接着テープの上面側に配置された実装基板と、実装基板に電気的に接続され、生体情報を測定するセンサと、実装基板の上面側を覆うカバーと、を備えている。実装基板の下面側は、接着テープの上面側に非接着状態であって、接着テープとカバーとは、実装基板よりも伸縮性が高い。
この構成により、上記第1の目的を達成する。
【0007】
上記第2の目的を達成するために、第2の発明は、使用者の生体情報を測定する生体情報測定装置と、生体情報測定装置の上面に載置され使用者の皮膚に生体情報測定装置を装着するインサータと、を備えた生体情報測定システムであって、生体情報測定装置は、下面側に設けられており使用者の皮膚に接着される接着面を有する接着テープと、接着テープの上面側に配置された実装基板と、接着テープの上面側に設けられ実装基板が保持された基板保持部と、実装基板に電気的に接続され、生体情報の測定に用いられるセンサと、実装基板の上面側を覆うと共に基板保持部の部分に形成された貫通孔を有するカバーと、を有している。インサータは、生体情報測定装置のカバーの上面における貫通孔を含む位置に装着されると共に、生体情報測定装置の基板保持部の上端部に支持されているベースボディと、ベースボディ上に装着され、生体情報測定装置を皮膚に装着する際に押圧されて弾性変形する可撓性を有するトップボディと、を備えている。
この構成により、上記第2の目的を達成する。
【0008】
(発明の効果)
以上のように、第1の発明は、使用者の皮膚に接着される接着テープと上面側のカバーとを伸縮性のあるものとし、これらの接着テープとカバー間に存在する実装基板は、接着テープの上面側に設けられた基板保持部に保持されている。さらに、この実装基板の下面側は、接着テープの上面側に非接着状態であるため、生体情報測定装置の皮膚への装着性を高めることができる。
【0009】
すなわち、伸縮性が高い接着テープとカバーとを用いているため、皮膚への装着時には、生体情報測定装置を皮膚に沿った状態で装着することができる。また、装着後に身体の変位(動き)が発生した場合には、接着テープとカバーとが伸縮することで、身体への違和感を与えることが少ないため、生体情報測定装置の装着性を従来よりも高めることができる。
【0010】
また、以上のように、第2の発明は、インサータは、生体情報測定装置の上面に装着されるベースボディと、ベースボディ上に装着され可撓性を有するトップボディと、を備えている。
すなわち、インサータは、生体情報測定装置の上面に装着されるので、インサータを小型化することができるとともに、このインサータを用いて、生体情報測定装置を指で簡単に装着することができる。
【0011】
その結果、生体情報測定装置の装着時における使い勝手を従来よりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る生体情報測定装置の包装状態を示す斜視図。
【
図9】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図10】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図11】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図12】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図13】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す断面図。
【
図15】
図1の生体情報測定装置の一部拡大断面図。
【
図16】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す断面図。
【
図17】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す断面図。
【
図18】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図19】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図20】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す断面図。
【
図21】
図1の生体情報測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図23】
図1の生体情報測定装置のオーバーテープの斜視図。
【
図24】
図1の生体情報測定装置のオーバーテープを装着した状態の断面図。
【
図25】
図1の生体情報測定装置を装着した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態を、図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施形態の生体情報測定装置6およびインサータ7を含む生体情報測定システム1Aについて、図面を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明において、特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は、図面を参照した開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。
(1)生体情報測定システム1Aの構成
本実施形態の生体情報測定システム1Aは、例えば、血糖値等の生体情報を測定するための生体情報測定装置6を、インサータ7を用いて、使用者の上腕部等へ装着するために使用される。
【0014】
図1は、生体情報測定装置6とインサータ7とを内包した滅菌包装体1と、オーバーテープ2を内包した滅菌包装体3とが、容器4内に収納された状態を示している。つまり、生体情報測定装置は、
図25に示す、生体情報を測定される使用者の上腕部の皮膚5に装着される前には、
図1に示すように、容器4内に滅菌状態で管理されて搬送される。本実施形態においては、生体情報測定装置6とインサータ7とによって生体情報測定システム1Aが構成される。
【0015】
図2および
図3は、生体情報測定システム1Aを構成する生体情報測定装置6とインサータ7とを示している。
生体情報測定装置6の上面には、
図2および
図3に示すように、生体情報測定装置6を使用者の上腕部等へ装着するために使用されるインサータ7が着脱自在に装着されている。そして、これら生体情報測定装置6とインサータ7とは、上述したように、使用前には、
図1に示すように、滅菌包装体1内に収納されている。
【0016】
(2-1)生体情報測定装置6の構成
生体情報測定装置6は、
図4~
図8に示す構成となっている。
すなわち、生体情報測定装置6は、
図4および
図7に示すように、接着テープ8と、ベース12と、実装基板13と、センサ17と、ガイド針挿入筒18(基板保持部の一例)と、カバー19とを備えている。
【0017】
図26は、生体情報測定装置6の電気的なブロック図を示している。
センサ17を用いて測定部30で測定された測定値は、制御部31を介して記憶部32に記憶される。また、記憶部32に記憶された測定値は、通信部33を介して携帯機器34に伝達される。
生体情報測定装置6における身体の皮膚5側には、
図7に示すように、略円形の接着テープ8が設けられている。接着テープ8は、ラバーやエラストマ、不織布、粘着材などの伸縮性のある材料で形成されている。接着テープ8の中央部には、貫通孔8Aが設けられている。
【0018】
接着テープ8上には、外周円部9と内周円部10とが、
図7に示すように120度の間隔で、ブリッジ部11によって接続されたベース12が設けられている。
外周円部9は、略円環状のベース12の最も外周側の部分を形成しており、内周円部10と同心円状に配置されている。また、外周円部9と内周円部10とは、半径方向に沿って配置された3つのブリッジ部11を介して互いに接続されている。
【0019】
接着テープ8の下面は、全面的に接着面となっている。一方、接着テープ8の上面は、外周円部9と内周円部10とブリッジ部11との部分にだけ接着面が設けられている。これにより、ベース12は、接着テープ8上に接着された状態で保持される。
次に、ベース12の内周円部10上には、
図4および
図7等に示すように、実装基板13が接着されている。実装基板13は、
図8に示すように、略等角度(120度)の間隔で3つに分割されている。3つに分割された実装基板13のそれぞれの上面には、電子部品14とバッテリ15とが配置されている。3つに分割された実装基板13は、
図7に示すように、ベース12上において、120度の間隔で配置されたブリッジ部11間に配置されている。
【0020】
より詳細には、3つに分割された実装基板13は、120度よりも若干小さい角度範囲の略扇状の形状を有している。したがって、各ブリッジ部11間において、3つの実装基板13は、上面視においてブリッジ部11に重ならないように、ブリッジ部11に非接触状態で配置されている。
これにより、実装基板13の裏側に配置されたスペーサ16がブリッジ部11に干渉して乗り上げないように配置することができる。
【0021】
そして、実装基板13は、フレキシブル基板に用いられるポリイミドやポリエステル等の樹脂を用いて成形されている。これらの材質は、折り曲げ方向には柔軟であるが、皮膚5に装着された状態では、基板表面に略平行な方向には伸縮性がない。
また、分割された3つの実装基板13の下面側、つまり、接着テープ8側の面には、
図8に示すように、扇形のスペーサ16が接着されている。すなわち、実装基板13は、スペーサ16を介して接着テープ8上に非接着状態で載置された状態となっている。つまり、実装基板13と接着されることにより、皮膚5の表面に沿った方向に伸縮性のない実装基板13の影響を受けて、接着テープ8の伸縮が阻害されることを抑制することができる。
【0022】
また、ベース12は、ラバーやエラストマなどの伸縮性のある材料で形成されている。そして、ベース12は、外周円部9と内周円部10とを、
図7に示すように120度の間隔で、ブリッジ部11を介して互いに接続して形成されている。このため、ベース12が接着テープ8の上面に接着されている場合でも、接着テープ8の伸縮が、伸縮性のあるベース12によって阻害されることはない。
【0023】
実装基板13には、
図4に示すように、センサ17が電気的に接続されている。そして、センサ17は、その中央部分が上方に屈曲され、その脚部の先端は、接着テープ8の貫通孔8A内に挿入された状態で保持されている。
ベース12の内周円部10に対応する実装基板13の上面側には、ガイド針挿入筒18(基板保持部の一例)が接着固定されている。つまり、ガイド針挿入筒18の外周に、実装基板13が保持されている。また、ガイド針挿入筒18は、円筒状の形状を有している。そして、ガイド針挿入筒18の中心軸は、接着テープ8の貫通孔8Aの中心軸と合致された状態で配置されている。そして、センサ17の中央部分は、
図4に示すように、ガイド針挿入筒18の内部に配置されている。
【0024】
ガイド針挿入筒18は、例えば、樹脂等で形成されている。つまり、ガイド針挿入筒18は、接着テープ8、ベース12、実装基板13、カバー19と比べて、固い材料で形成されることが好ましい。
これにより、ガイド針26を保持するガイド針保持部18が変形しにくい固い材料を用いて成形されているため、穿刺動作時にガイド針26がぶれることなく、後述する皮膚5へのガイド針26の穿刺動作を安定的かつ正確に実施することができる。
【0025】
なお、接着テープ8の上面とベース12の下面とは、
図5に示すように、外周縁部の接合部Aにおいて接着されている。ベース12の上面とカバー19の下面とは、
図5に示すように、外周縁部の接合部Bにおいて接着されている。つまり、接着テープ8とカバー19とは、外周縁部においてベース12を介して互いに接着されている。
略円板状の生体情報測定装置6の中心付近に設けられたガイド針挿入筒18の略円筒状の上面と、カバー19の下面とは、
図5に示すように、内周側の位置(接合部C)において互いに接着されている。
【0026】
ガイド針挿入筒18の下面と実装基板13の上面とは、接合部Cと同様に、内周側の位置(接合部D)において互いに接着されている。
実装基板13の下面とベース12の上面とは、ガイド針挿入筒18の接合部Dの下方の位置(接合部E)において互いに接着されている。
接着テープ8の上面とベース12の下面とは、ガイド針挿入筒18の接合部Dの下方の位置(接合部F)において互いに接着されている。
【0027】
つまり、接着テープ8とカバー19とベース12は、略円板状の生体情報測定装置6の外周縁部と中心位置付近とで互いに接着されている。
実装基板13は、接着テープ8とカバー19とベース12とに対して、ガイド針挿入筒18を介して、略円板状の生体情報測定装置6における中心部付近において接着されている。
【0028】
さらに、実装基板13上には、
図7に示すように、カバー19が配置されている。カバー19は、ラバーやエラストマなどの伸縮性のある材料で形成されている。カバー19の中心部には、
図7に示すように、貫通孔8Aと略同じ内径を有する貫通孔20が設けられている。
貫通孔20の下面側における外周縁は、略円筒状のガイド針挿入筒18の上端面に接着固定されている。また、カバー19の外周側における下面は、ベース12の外周円部9の上面に接着固定されている。そして、カバー19は、実装基板13に対して非接着の状態で配置されている。つまり、カバー19は、実装基板13の影響を受けること無く、自由に伸縮する状態で配置されている。
【0029】
本実施形態では、実装基板13は、下面側に接着されたスペーサ16を介して、接着テープ8上に配置されている。このため、実装基板13は、接着テープ8に対して非接着の状態で載置されている。また、接着テープ8の上面には、外周円部9と内周円部10とブリッジ部11との部分にのみ接着面が設けられている。このため、実装基板13およびスペーサ16は、接着テープ8に対して非接着となっている。また、実装基板13は、カバー19の下面に対しても非接着の状態で載置されている。
【0030】
これにより、接着テープ8およびカバー19は、実装基板13の影響を受けることなくスムーズに伸縮することができる。また、接着テープ8およびカバー19の伸縮時において、実装基板13は、接着テープ8およびカバー19の変位に影響を受けることがない。よって、実装基板13の信頼性も確保される。
さらに、本実施形態では、
図6に示すように、実装基板13およびそれに実装された電子部品14やバッテリ15、スペーサ16が、防水膜21によって覆われている。よって、水分による実装基板13の劣化を抑制することができる。
【0031】
なお、スペーサ16の下面側を覆った防水膜21は、接着テープ8の伸縮時に摩擦によって剥がれるおそれがある。しかし、摩擦によって剥がれる部分は、スペーサ16の下面側だけであって、その厚み方向、および上面部分の剥離は発生しない。よって、防水膜21としての機能が低下することを回避することができる。スペーサ16は、エラストマ、ゴム、シリコン等の柔軟な材料を用いて形成されている。
【0032】
(2-2)インサータ7の構成
本実施形態の生体情報測定システム1Aに含まれるインサータ7は、生体情報測定装置6を使用者の上腕部等へ装着するために使用される装置であって、
図2、
図3、
図7に示すように、生体情報測定装置6の上面に装着されている。
インサータ7は、生体情報測定装置6に装着された状態において、略円形のベースボディ22と、円形容器状のトップボディ23と、を備えている。
【0033】
ベースボディ22は、生体情報測定装置6のカバー19の上面側を覆うと共にカバー19を介してガイド針挿入筒18の上端部に支持されている。ベースボディ22は、略円形の上面の略中心部付近からトップボディ23側に突出した案内筒24を有している。
トップボディ23は、ベースボディ22上に装着され可撓性を有している。トップボディ23は、
図3に示すように、案内筒24の内周面側において上下動可能な略円柱状のガイド針保持部25を有している。
【0034】
略円柱状のガイド針保持部25は、略円柱の中心軸に沿ってガイド針26を保持している。そして、トップボディ23の上面中央部をベースボディ22側に押圧することにより、ガイド針26がセンサ17を使用者の皮膚5側に移送させる。つまり、ベースボディ22に設けられた案内筒24は、センサ17の移送時の位置ズレを防止して、ガイド針保持部25が移送される際の位置決めを行うために設けられている。
【0035】
以上の構成において、使用者は、まず、
図1に示す容器4からインサータ7が装着された生体情報測定装置6を取り出し、次に、
図9に示すように、接着テープ8の粘着性を利用して、インサータ7が装着された状態のまま生体情報測定装置6を上腕部の皮膚5に貼り付ける。
次に、
図10、
図12、
図13に示すように、使用者がインサータ7の上端面を押し下げると、
図13に示すように、インサータ7のガイド針保持部25が、案内筒24に摺動案内されて下方、つまり皮膚5側に押し下げられる。これにより、ガイド針26が、センサ17を皮膚5側へ押し出すことで、センサ17の先端部を皮膚5内に移送させることができる。
【0036】
その後、インサータ7のガイド針保持部25は、
図19および
図20に示すように、このインサータ7の弾性力(復元力)で上方の定常位置へと自動的に復帰する。これにより、皮膚5内に穿刺されたガイド針26の先端は、皮膚5から抜かれる。
また、
図16および
図17に示すように、トップボディ23は、ヒンジ部23Gの肉厚が押下部23Hの肉厚よりも薄く、ヒンジ部23Gの肉厚が折曲部23Iおよび折曲部23Jの肉厚よりも厚い。
【0037】
これにより、トップボディ23の上端面が押下されると、肉厚が薄いヒンジ部23Gの部分が弾性変形して押し下げられ、ガイド針保持部25の外周側に配置された押下部23Hの部分は肉厚が大きいためにほとんど変形することはない。
同様に、肉厚が薄いヒンジ部23Gの部分が弾性変形する際に、ヒンジ部23Gよりも肉厚が大きい折曲部23I,23Jはほとんど弾性変形せず、折曲部23I,23Jを支点にして押下部23Hの部分が押し下げられる。
【0038】
この結果、トップボディ23が定常状態へ戻るためのより強力な弾性力を得ることができるとともに、ガイド針保持部25を上下方向においてより正確かつ安定的に動作させることができる。
また、以上のような操作によって、ガイド針26が皮膚5を穿刺して形成された傷にセンサ17が挿入されるとともに、ガイド針26が皮膚5から抜かれた際には、センサ17は、そのまま皮膚5内に留置される。
【0039】
本実施形態のインサータ7は、先端にガイド針26を保持したガイド針保持部25を皮膚5側に安定的に押し込むために、
図14、
図15に示す構成を備えている。
すなわち、ベースボディ22の案内筒24は、その上端側に、周方向において4分割された分割片27を有している。そして、分割片27は、外周方向(径方向外側)に向かって突出する突起28を有している。
【0040】
よって、トップボディ23が押し下げると、分割片27の突起28が径方向内側へと押し込まれる。そして、この押し込み操作の押圧力は、突起28を超えると急速にガイド針保持部25に伝達されるため、一定の押圧加重を確保することができる。このため、ガイド針26が確実に皮膚5側へと押し込まれる。
本実施形態では、このようなガイド針26の押し下げ動作によってセンサ17が皮膚5内へと移送される際に、ガイド針26の急激な押し込み操作によってセンサ17が断線しないようにするために、
図16~
図18に示すような構成を採用している。
【0041】
つまり、
図18に示すように、ガイド針保持部25の先端が接触するセンサ17の部分の近傍には、蛇行させた弾性部17Aが設けられている。これにより、センサ17の先端を急速に皮膚5内に押し込んだ場合でも、センサ17の一部が破損して断線することを防止することができる。
その後、
図20に示すように、センサ17の先端が皮膚5内に移送されトップボディ23が弾性力によって定常位置へ復帰した後、インサータ7は、
図21および
図22に示すように、生体情報測定装置6の上面(カバー19)から取り外される。つまり、インサータ7のベースボディ22の一部は、カバー19に対して点接触の状態で接着されている。よって、
図21に示すように、インサータ7を生体情報測定装置7から容易に引き剥がすことができる。
【0042】
この時、インサータ7のベースボディ22とカバー19の点接触部分の接着強度は、
図5に示す、カバー19とガイド針挿入筒18の接着強度、ガイド針挿入筒18と実装基板13の接着強度、実装基板13とベース12の接着強度、ベース12と接着テープ8の接着強度、接着テープ8と皮膚5の接着強度よりも十分に小さい。
これにより、
図21に示すように、インサータ7を生体情報測定装置7から容易にインサータ7は引き剥がすことができる。
【0043】
インサータ7が生体情報装置6から取り外されると、
図23および
図24に示すように、カバー19の上面側にオーバーテープ2が装着される。
オーバーテープ2は、ラバーやエラストマなどの伸縮性のある材料で形成されている。そして、オーバーテープ2のガイド針挿入筒18に対応する部分には、
図24に示すように、ガイド針挿入筒18内に挿入される突起29が設けられている。
【0044】
つまり、突起29は、生体情報測定装置6の皮膚5への装着時にガイド針保持部25の先端が接触していたセンサ17の中間部分に上方から当接する。これにより、センサ17が不用意に上方に抜け出るのを防止することができる。
以上のような操作により、
図25に示すように、生体情報測定装置6は、使用者の上腕部の皮膚5に装着される。
【0045】
本実施形態の生体情報測定システム1Aでは、接着テープ8の粘着性を利用して、使用者の上腕部の皮膚5上に、生体情報測定装置6を手で簡単に装着することができる。
また、インサータ7が装着された生体情報測定装置6を皮膚5に接着した状態で、装着したその手でトップボディ23を皮膚5側に押し込むことで、ガイド針26によってセンサ17を皮膚5内に簡単に移送することができる。
【0046】
さらに、その後、生体情報測定装置6のカバー19に点接触で接着されたインサータ7を手で簡単に取り外すことができるとともに、
図24に示すように、生体情報測定装置6の上面にオーバーテープ2を手で貼り付けることで、生体情報測定装置6の皮膚5への装着を完了させることができる。
装着された後の生体情報測定装置6は、
図24に示すように、薄く、略円板状の中央部に向けて緩やかに厚くなる形状を有している。これにより、装着後の生体情報測定装置6が皮膚5の表面から突出した形状になることを回避して、視覚的に違和感のない装着状態を形成することができる。
【0047】
<主な特徴>
本実施形態の生体情報測定装置6の接着テープ8とカバー19とベース12とは、装着状態において、皮膚5の表面に沿った方向および皮膚5の表面に交差する方向に伸縮性のある部材で形成され、外周縁部において接合されている。そして、接着テープ8とカバー19とベース12の中央部には、皮膚5の表面に沿った方向に伸縮しない実装基板13が、ガイド針挿入筒18を介して固定されている。
【0048】
すなわち、生体情報測定装置6の皮膚5への装着時において、生体情報測定装置6の接着テープ8やカバー19、オーバーテープ2は、柔らかく伸縮性を有している。
これにより、装着される皮膚5に沿った状態で、生体情報測定装置6を装着することができるため、装着性の高い生体情報測定装置6を得ることができる。
また、接着テープ8とカバー19とオーバーテープ2とにおける中央部分に対して、外周縁部分を引き伸ばしながら皮膚5に貼り付けることができるため、皮膚5の表面に沿った方向の伸縮性と皮膚5の表面に交差する方向における柔軟性があるために、装着時のフィット感をより高めることができる。
【0049】
さらに、本実施形態においては、実使用時において、接着テープ8やカバー19、オーバーテープ2が、人体の動きに応じて伸縮できるため、体を動かした時に違和感を覚えにくく、装着性をさらに高めることができる。
なお、このような効果を得るためにも、
図4に示すように、バッテリ15、電子部品14のうち背の高い部品ほど、ガイド針挿入筒18に近い位置において、実装基板13に実装されることが好ましい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の接着テープ8とカバー19とベース12とは、例えば、エラストマ等のような皮膚5の表面に沿った方向および、皮膚5の交差する方向に伸縮性のある材料を用いて形成されている。
一方、実装基板13は、上述したように、フレキシブル基板に用いられるポリイミドやポリエステルの樹脂を用いて成形されている。これらの材質は、折り曲げ方向には柔軟であるが、基板表面に略平行な方向には伸縮性がない。
【0051】
接着テープ8とカバー19とベース12と実装基板13は、折り曲げ方向に柔軟性を有している。そして、実装基板13は、スペーサ16を介して、接着テープ8上に非接着状態で載置されている。
これにより、実装基板13による影響を受けることなく、貼り付けられる皮膚5の部位の湾曲にフィットして貼ることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、実装基板13は、
図5に示すように、ガイド針挿入筒18の近傍に、ガイド針挿入筒18の周囲に沿って設けられた薄肉部13Aを有している(
図18参照)。これにより、実装基板13を、基板表面に交差する折り曲げ方向において、より柔軟に折り曲げることができる。
また、接着テープ8とカバー19とベース12とは、装着状態において皮膚5の表面に平行な方向における伸縮性を有している。これにより、接着部位に対して傷テープのように両サイドに引き伸ばしながら貼ることができる。
【0053】
この時、装着状態において皮膚5の表面に平行な方向に伸縮性のない実装基板13は、装着状態において皮膚5の表面に平行な方向に伸縮性を有する接着テープ8とカバー19とベース12とに対して、中央部分でのみ固定されている。
これにより、両サイドに引き伸ばされて皮膚5に貼りつけられる場合でも、実装基板13が水平方向に引き伸ばされることはない。
【0054】
また、貼り付けられる皮膚5の表面の湾曲形状に応じて、上下方向に折り曲げ可能となるので、傷テープを貼るように、皮膚5の表面にフィットした状態で、生体情報測定装置6を装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、持続血糖測定を行う生体情報測定装置として活用が期待される。
【符号の説明】
【0056】
1A 生体情報測定システム
1 滅菌包装体
2 オーバーテープ
3 滅菌包装体
4 容器
5 皮膚
6 生体情報測定装置
7 インサータ
8 接着テープ
8A 貫通孔
9 外周円部
10 内周円部
11 ブリッジ部
12 ベース
13 実装基板
13A 薄肉部
14 電子部品
15 バッテリ
16 スペーサ
17 センサ
17A 弾性部
18 ガイド針挿入筒(基板保持部の一例)
19 カバー
20 貫通孔(貫通孔)
21 防水膜
22 ベースボディ
23 トップボディ
23G ヒンジ部
23H 押下部
23I 折曲部
23J 折曲部
24 案内筒
25 ガイド針保持部
26 ガイド針
27 分割片
28 突起
29 突起
30 測定部
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 携帯機器
A,B,C,D,E,F 接合部