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▶ アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベーの特許一覧

<図1>
  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図1
  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図2
  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図3
  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図4
  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図5
  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図6a
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  • 特許-遠心分離機および遠心分離機の操作方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】遠心分離機および遠心分離機の操作方法
(51)【国際特許分類】
   B04B 13/00 20060101AFI20220708BHJP
   B04B 1/08 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B04B13/00
B04B1/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020545256
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019054065
(87)【国際公開番号】W WO2019166276
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】18159103.3
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペール-グスタフ・ラーション
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-526640(JP,A)
【文献】特開昭51-000067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0045199(US,A1)
【文献】特開2006-287040(JP,A)
【文献】特開昭57-165049(JP,A)
【文献】実開昭61-079514(JP,U)
【文献】特開2002-050530(JP,A)
【文献】特表2016-522745(JP,A)
【文献】米国特許第06011490(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローター装置(2)と、駆動装置(5)と、を備える遠心分離機(1)であって、
前記ローター装置(2)は、スピンドル(4)と、分離空間を囲むセパレーターボウル(11)と、電力エネルギーのユーザー(12)と、を備え、
前記分離空間には、円錐台形の分離ディスクのスタックが備えられ、前記遠心分離機(1)は、流体混合物用入口(8)と、分離された流体用出口(10)と、を備え、
前記入口(8)は、前記分離空間と流体が流れるように接続され、前記出口は、前記分離空間と流体が流れるように接続され、
前記駆動装置(5)は、前記スピンドル(4)に接続され、または前記スピンドル(4)の一部を形成し、前記ローター装置(2)を回転軸(X)を中心に回転させるように構成され、
前記遠心分離機(1)は、回転トランス(14)を備え、前記回転トランス(14)は、トランス固定子(20)と、トランス回転子(22)と、を備え、
前記トランス固定子(20)および前記トランス回転子(22)は、互いに隣接して両者間に空隙をおいて配置され、
前記トランス回転子(22)は、二次コイル(24)を備え、前記ローター装置(2)とともに回転可能であり、前記二次コイル(24)は、前記電力エネルギーのユーザー(12)に電流を供給するために前記ローター装置(2)内に配置された前記電力エネルギーのユーザー(12)に電気的に接続され、
前記遠心分離機(1)は、前記ローター装置(2)内に配置されたアクチュエーター(40)を備え、前記アクチュエーター(40)は、前記電力エネルギーのユーザー(12)の少なくとも一部を形成する、遠心分離機(1)。
【請求項2】
前記トランス固定子(20)は、前記回転軸(X)から見たときに前記トランス回転子(22)の半径方向外側に配置されている、請求項1に記載の遠心分離機(1)。
【請求項3】
前記トランス固定子(20)は、前記回転軸(X)に沿って見たときに前記トランス回転子(22)に軸方向に隣接して配置されている、請求項1に記載の遠心分離機(1)。
【請求項4】
前記トランス回転子(22)は、前記スピンドル(4)の周りに配置され、前記スピンドル(4)に接続され、前記トランス固定子(20)は、前記スピンドル(4)の周りに前記スピンドル(4)に隣接して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項5】
前記トランス回転子(22)は、前記セパレーターボウル(11)とともに回転するように前記セパレーターボウル(11)上に配置され、前記トランス固定子(20)は、前記セパレーターボウル(11)に隣接して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項6】
前記駆動装置(5)は、モーター回転子(32)およびモーター固定子(34)を備え
る電気モーター(30)を備え、前記スピンドル(4)が前記駆動装置(5)の一部を形成するように前記モーター回転子(32)が前記スピンドル(4)の一部を形成し、前記トランス回転子(22)は、前記モーター回転子(32)の一部分に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項7】
前記ローター装置(2)内に配置されたアクチュエーター(40)であって、前記電力エネルギーのユーザー(12)の少なくとも一部を形成するアクチュエーター(40)を備え、前記ローター装置(2)内に配置されたバルブ(42)を備え、前記アクチュエーター(40)は、前記バルブ(42)の可動機構を作動させるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項8】
前記ローター装置(2)内に配置された制御ユニット(46)であって、前記電力エネルギーのユーザー(12)の少なくとも一部を形成している制御ユニット(46)を備え、前記遠心分離機(1)は、前記トランス固定子(20)から前記制御ユニット(46)に前記トランス回転子(22)を介して信号を送信するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項9】
前記回転トランス(14)は、1~10Wの範囲内で電力を前記電力エネルギーのユーザー(12)に供給し、または少なくとも6Wの電力を前記電力エネルギーのユーザー(12)に供給するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項10】
前記回転トランス(14)は、少なくとも50Wの電力を前記電力エネルギーのユーザー(12)に供給するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項11】
遠心分離機(1)は、ローター装置(2)と、駆動装置(5)と、を備え、前記ローター装置(2)は、スピンドル(4)と、分離空間を囲むセパレーターボウル(11)と、電力エネルギーのユーザー(12)と、を備え、前記分離空間には、円錐台形の分離ディスクのスタックを備えられ、前記駆動装置(5)は、前記スピンドル(4)に接続され、または前記スピンドル(4)の一部を形成し、前記ローター装置(2)を回転軸(X)を中心に回転させるように構成され、前記遠心分離機(1)は、回転トランス(14)を備え、前記回転トランス(14)は、トランス固定子(20)と、トランス回転子(22)と、を備え、前記トランス固定子(20)および前記トランス回転子(22)は、互いに隣接して両者間に空隙をおいて配置され、前記トランス回転子(22)は、二次コイル(24)を備え、前記ローター装置(2)とともに回転可能であり、前記二次コイル(24)は、前記電力エネルギーのユーザー(12)に電気的に接続され、前記遠心分離機(1)は、前記ローター装置(2)内に配置されたアクチュエーター(40)を備え、前記アクチュエーター(40)は、前記電力エネルギーのユーザー(12)の少なくとも一部を形成し、および/または前記遠心分離機(1)は、前記ローター装置(2)内に配置されたセンサー(44)を備え、前記センサー(44)は、前記電力エネルギーのユーザー(12)の少なくとも一部を形成し、および/または前記遠心分離機(1)は、前記ローター装置(2)内に配置された制御ユニット(46)を備え、前記制御ユニット(46)は、前記電力エネルギーのユーザー(12)の少なくとも一部を形成している遠心分離機(1)の操作方法(100)であって、前記方法(100)は、
交流電流またはパルスDC電流を前記トランス固定子(20)に連続的に供給するステップ(102)と、
交流電流を前記トランス回転子(22)で連続的に受け取るステップ(104)と、
前記ローター装置(2)内に配置された前記電力エネルギーのユーザー(12)に電流を供給して交流電流を連続的に受け取る前記ステップ(104)の間に受け取った前記交流電流を利用するステップ(106)と、を含む、方法(100)。
【請求項12】
前記ローター装置(2)を前記駆動装置(5)とともに前記回転軸(X)を中心に回転させるステップ(108)を含み、交流電流を前記トランス固定子(20)に連続的に供給する前記ステップ(102)は、前記ローター装置(2)を回転させる前記ステップ(108)の間に行われる、請求項11に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離機の操作方法および遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は、ローター装置と、駆動装置と、を備える。ローター装置は、スピンドルと、セパレーターボウルと、を備える。駆動装置は、ローター装置を回転軸を中心に回転させるように構成されている。セパレーターボウルの内部には、円錐台形の分離ディスクのスタックが配置されている分離空間が存在する。流体混合物は、分離空間およびディスクのスタックに投入され、回転子の回転の間に少なくとも軽い流体相と重い流体相とに分離される。軽い流体相および重い流体相を、回転子から連続的に導出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6011490号
【文献】米国特許第5814900号
【0004】
特許文献1は、回転中の遠心機ローターにおいて二つの流体間の界面の位置を測定する装置を開示する。上記装置は、遠心機ローターに内壁に取り付けられた電気センサーまたは磁気センサーと、センサーから遠心機ローターの外側の固定測定ユニットへ非接触かつ間欠的に測定信号を送信する手段と、を備える。センサーは、前述の対応する測定信号を測定ユニットに送信する前に、回転子の回転運動の少なくとも一部の間に記録された測定値を記憶するように適合されたアクティブ電子回路を備える。回転子が一回転するうちのどこかで磁石手段を過ぎて移動する間に電圧がコイルに誘起されるように、回転子に近接した固定磁石と、回転子に取り付けられたコイルと、を備える発電手段によって電子回路への電力供給は行われる。
【0005】
電気エネルギーを回転子に供給する代替的な方法は、トランス(transformer)を利用するものであってもよい。特許文献2は、電気エネルギーの送信用のトランス方式のデバイスを開示する。デバイスは、強磁性材料のコアと、コアを中心に巻回された一次コイルおよび二次コイルと、から構成される。少なくとも一つのエリアルアンテナ方式の受信機およびエリアルアンテナ方式の少なくとも一つの送信機は、変化信号の非接触送信用の一次コイルおよび二次コイルの直近に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、遠心分離機のローター装置において電力エネルギーのユーザーに向けての安定した操作状態を確実なものにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ローター装置と、駆動装置と、を備える遠心分離機によって目的は達成される。前記ローター装置は、スピンドルと、分離空間を囲むセパレーターボウルと、電力エネルギーのユーザーと、を備える。前記遠心分離機は、流体混合物用入口と、分離された流体用出口と、を備える。前記入口は、前記分離空間と流体が流れるように接続され、前記出口は、前記分離空間と流体が流れるように接続されている。前記駆動装置は、前記スピンドルに接続され、または前記スピンドルの一部を形成し、前記ローター装置を回転軸Xを中心に回転させるように構成されている。前記遠心分離機は、回転トランスを備え、前記回転トランスは、トランス固定子と、トランス回転子と、を備え、前記トランス固定子および前記トランス回転子は、互いに隣接して両者間に空隙をおいて配置され、前記トランス回転子は、二次コイルを備え、前記ローター装置とともに回転可能であり、前記二次コイルは、前記電力エネルギーのユーザーに電流を供給するために前記ローター装置内に配置された前記電力エネルギーのユーザーに電気的に接続されている。前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置されたアクチュエーターを備え、前記アクチュエーターは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成し、および/または前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置されたセンサーを備え、前記センサーは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成し、および/または前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置された制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成している。
【0008】
上述したように、遠心分離機は回転トランスを備えるので、トランス固定子に供給された交流電流はトランス回転子に伝達される。トランス回転子によって、具体的にはトランス回転子の二次コイルによって受け取られた交流電流は、電流をローター装置内に配置された電力エネルギーのユーザーに供給することに利用される。したがって、ローター装置の電力エネルギーのユーザーは、ローター装置が回転しながらローター装置の内部で動作可能である。それに伴って、安定した操作状態が電力エネルギーのユーザーに提供される。結果として、上記目的は達成される。
【0009】
電流をトランス回転子に連続的に伝達することができるので、ローター装置が回転しているときだけでなく、ローター装置が静止しているときも電力エネルギーのユーザーは連続的に動作することができる。したがって、電力エネルギーのユーザーは、例えばセンサーまたは制御ユニットなどの低電流消費者(low current consumers)を備えることができるだけでなく、付加的または代替的に、例えばアクチュエーターなどの高電流消費者(high current consumer)を備えることができる。
【0010】
遠心分離機は、流体混合物を少なくとも軽い流体相と重い流体相とにを分離するように構成されていてもよい。遠心分離機は、高速遠心分離機であってもよく、すなわちローター装置は、数千RPM、例えば少なくとも2000RPM、または少なくとも4000RPM、または少なくとも6000RPMなどの回転速度で回転してもよく、少なくとも500G、または少なくとも1000G、または少なくとも2000Gの重力場を生成する。分離空間の内部には、円錐台形の分離ディスクのスタックが配置されていてもよい。電力エネルギーのユーザーは、従来技術の遠心分離機のローター装置の内部の電力エネルギーのユーザーと比べて大口電流消費者(large current consumer)であってもよい。電力エネルギーのユーザーは、一つの大口電力エネルギー消費者、または数個の電力エネルギー消費者を備えてもよい。
【0011】
トランス固定子は、トランス回転子に伝達するために交流電流が供給される一次コイルと、二次コイルと、を備えてもよい。
【0012】
実施形態によれば、前記トランス固定子は、前記回転軸Xから見たときに前記トランス回転子の半径方向外側に配置されていてもよい。このようにして、回転トランスの軸方向の空間を節約する配置を提供することができる。
【0013】
実施形態によれば、前記トランス固定子は、前記回転軸Xに沿って見たときに前記トランス回転子に軸方向に隣接して配置されていてもよい。このようにして、トランス回転子の高い回転速度に起因したトランス回転子のいかなる伸張も、トランス回転子に軸方向に隣接して配置されているトランス固定子に影響を与えない。
【0014】
実施形態によれば、前記トランス回転子は、前記スピンドルの周りに配置され、前記スピンドルに接続されてもよく、前記トランス固定子は、前記スピンドルの周りに前記スピンドルに隣接して配置されていてもよい。このようにして、回転トランスをセパレーターボウルから距離を置いて配置することができる。このことは、例えばセパレーターボウル内に可燃性流体が存在する場合に有利であり得る。
【0015】
実施形態によれば、前記トランス回転子は、前記セパレーターボウルとともに回転するように前記セパレーターボウル上に配置されてもよく、前記トランス固定子は、前記セパレーターボウルに隣接して配置されていてもよい。このようにして、セパレーターボウルにおいてトランス回転子と回転トランスからの電力エネルギーの受け手(recipient)との間に短い導電体を設けることができる。電力エネルギーのユーザーは、このような電力エネルギーの受け手である。
【0016】
実施形態によれば、前記駆動装置は、モーター回転子およびモーター固定子を備える電気モーターを備えてもよく、前記スピンドルが前記駆動装置の一部を形成するように前記モーター回転子が前記スピンドルの一部を形成してもよく、前記トランス回転子は、前記モーター回転子の一部分に配置されていてもよい。このようにして、コンパクトな駆動装置および回転トランスを提供することができる。
【0017】
一つの選択肢によれば、前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置されたアクチュエーターを備え、前記アクチュエーターは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成する。このようにして、アクチュエーターは回転トランスから電力エネルギーを供給される。回転トランスは、電流を連続的に供給することができるので、電力エネルギーをアクチュエーターに連続的に供給することができる。したがって、アクチュエーターは、ローター装置が回転しているときも、ローター装置が回転していない、すなわち静止しているときも連続的に動作することができる。それに伴って、ローター装置の内部から、アクチュエーターは、遠心分離機および/または遠心分離機によって行われる分離のパラメーター、特徴、特性、性能などを制御することができる。
【0018】
実施形態によれば、前記ローター装置内に配置されたバルブを備えてもよく、前記アクチュエーターは、前記バルブの可動機構を作動させるように構成されている。このようにして、例えばローター装置の内部からバルブによって流体の流入を制御することができる。
【0019】
一つの選択肢によれば、前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置されたセンサーを備え、前記センサーは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成する。このようにして、センサーは回転トランスから電力エネルギーを供給される。回転トランスは、電流を連続的に供給することができるので、電力エネルギーをセンサーに連続的に供給することができる。したがって、センサーは、ローター装置が回転しているときも、ローター装置が回転していない、すなわち静止しているときも連続的に動作することができる。それに伴って、ローター装置の内部から、センサーは、遠心分離機および/または遠心分離機によって行われる分離のパラメーター、特徴、特性、性能などを感知することができる。
【0020】
一つの選択肢によれば、前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置された制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成している。このようにして、制御ユニットは回転トランスから電力エネルギーを供給される。回転トランスは、電流を連続的に供給することができるので、電力エネルギーを制御ユニットに連続的に供給することができる。したがって、制御ユニットは、ローター装置が回転しているときも、ローター装置が回転していない、すなわち静止しているときも連続的に動作することができる。それに伴って、ローター装置の内部から、制御ユニットは、遠心分離機および/または遠心分離機によって行われる分離のパラメーター、特徴、特性、性能などを制御および/またはモニターすることができる。制御ユニットは、ローター装置の外部の機器と通信するように構成されていてもよい。
【0021】
実施形態によれば、前記遠心分離機は、前記トランス固定子から前記制御ユニットに前記トランス回転子を介して信号を送信するように構成されていてもよい。このようにして、回転トランスをローター装置内に配置された制御ユニットとの通信に利用することができる。同様に、制御ユニットは、制御ユニットから回転トランスを介して信号を送信するように構成されていてもよい。したがって、制御ユニットは、ローター装置の外部の機器と通信することができる。
【0022】
本発明のさらなる一態様によれば、上記目的は遠心分離機の操作方法によって達成される。遠心分離機は、ローター装置と、駆動装置と、を備える。前記ローター装置は、スピンドルと、分離空間を囲むセパレーターボウルと、電力エネルギーのユーザーと、を備える。前記駆動装置は、前記スピンドルに接続され、または前記スピンドルの一部を形成し、前記ローター装置を回転軸Xを中心に回転させるように構成されている。前記遠心分離機は、回転トランスを備える。前記回転トランスは、トランス固定子と、トランス回転子と、を備え、前記トランス固定子および前記トランス回転子は、互いに隣接して両者間に空隙をおいて配置され、前記トランス回転子は、二次コイルを備え、前記ローター装置とともに回転可能であり、前記二次コイルは、前記電力エネルギーのユーザーに電気的に接続されている。前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置されたアクチュエーターを備え、前記アクチュエーターは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成し、および/または前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置されたセンサーを備え、前記センサーは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成し、および/または前記遠心分離機は、前記ローター装置内に配置された制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記電力エネルギーのユーザーの少なくとも一部を形成している。前記方法は、
交流電流またはパルスDC電流を前記トランス固定子に連続的に供給するステップと、
交流電流を前記トランス回転子で連続的に受け取るステップと、
前記ローター装置内に配置された前記電力エネルギーのユーザーに電流を供給して交流電流を連続的に受け取る前記ステップの間に受け取った前記交流電流を利用するステップと、を含む。
【0023】
上記方法は、交流電流を連続的に供給し、受け取るステップと、ローター装置内に配置された電力エネルギーのユーザーに電流を供給するステップと、を含むので、ローター装置内の電力エネルギーのユーザーは、ローター装置の内部で動作可能である。したがって、安定した操作状態が電力エネルギーのユーザーに提供される。結果として、上記目的は達成される。
【0024】
回転トランスを介して電力エネルギーのユーザーに電流を供給するステップの利点は、ローター装置が静止しているときもローター装置が回転しているときも、ともに電流を供給することができる点であり得る。
【0025】
実施形態によれば、前記方法は、
前記ローター装置を前記駆動装置とともに前記回転軸を中心に回転させるステップを含み、交流電流を前記トランス固定子に連続的に供給する前記ステップは、前記ローター装置を回転させる前記ステップの間に行われてもよい。
【0026】
上記方法に用いられる遠心分離機は、本明細書で説明される態様および/または実施形態のいずれか一つの遠心分離機であってもよい。
【0027】
後の詳細な説明において説明する本発明の特長および利点は、本発明の一つまたは複数の態様および/または実施形態に関する。
【0028】
本発明の様々な態様および/または実施形態は、その特定の特長および利点を含めて、後の詳細な説明において説明される例示的な実施形態および添付図面から容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態の遠心分離機の断面図を模式的に示す。
図2】遠心分離機の回転トランスの実施形態を示す。
図3】遠心分離機の回転トランスの実施形態を示す。
図4】実施形態の遠心分離機のローター装置の側面図を模式的に示す。
図5】実施形態の遠心分離機の駆動装置の断面図を模式的に示す。
図6a】実施形態の遠心分離機の断面図を模式的に示す。
図6b】実施形態の遠心分離機の断面図を模式的に示す。
図6c】実施形態の遠心分離機の断面図を模式的に示す。
図7】遠心分離機の操作方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の態様および/または実施形態をより十分に記載することとする。同じ番号は全体を通して同じ要素を指している。周知の機能または構造については、簡潔さおよび/または明瞭さのために必ずしも詳述しないこととする。
【0031】
図1は、実施形態の遠心分離機1の断面図を模式的に示す。遠心分離機1は、ローター装置2と、駆動装置5と、を備える。ローター装置2は、セパレーターボウル11と、スピンドル4と、を備える。スピンドル4は、例えば少なくとも二つのベアリングを介して遠心分離機1のハウジング3に支持される。ハウジング3は、一つ以上の個々の部品を備えてもよいので、数個の部品から組み立てられてもよい。駆動装置5は、ローター装置2を回転軸(X)を中心に回転させるように構成されている。
【0032】
これらの実施形態では、駆動装置5は、スピンドル4の一部を形成する。つまり、ローター装置2は、駆動装置5によって直接駆動される。駆動装置5は電気モーターを備え、電気モーターの回転子はスピンドル4の一部を形成する。代替的な実施形態では、駆動装置は、代わりにスピンドルに接続されていてもよい。このような代替的な実施形態は、例えばはめば歯車またはベルト駆動部を介してスピンドルに接続された電気モーターを備えてもよい。
【0033】
セパレーターボウル11の内部には、流体混合物の遠心分離が行われる分離空間6が形成されている。分離空間6には、円錐台形の分離ディスク7のスタックが配置されている。分離ディスク7は、流体混合物を少なくとも軽い流体相と重い流体相とに効率的に分離することを可能にする。円錐台形の分離ディスク7のスタックは、回転軸(X)と中心方向および同軸方向に合わせられる。
【0034】
遠心分離機1は、流体混合物を少なくとも低密度成分、軽い流体相と、高密度成分、重い流体相とに分離するように構成されていてもよい。流体混合物は、例えば液体およびガス、または二つの液体を含んでもよい。流体混合物は、固形物を含んでもよく、固形物は遠心分離機1においてスラッジの形態で流体混合物から分離されてもよい。スラッジは、重い流体相、または軽い流体相および重い流体相から分離した相を形成してもよい。
【0035】
示した実施形態では、分離される流体混合物は、遠心分離機1の頂部から入口管8を介して中心方向下方にセパレーターボウル11の内部に投入される。セパレーターボウル11はそこから延在し、ハウジング3を通って延在する流体混合物から分離された低密度成分用の軽い流体相用出口9を遠心分離機1の頂部に有する。また、セパレーターボウル11はそこから延在し、ハウジング3を通って延在する流体混合物から分離された高密度成分用の重い流体相用出口10を遠心分離機1の頂部に有する。分離機は、さらなる出口、例えば出口9、10を介して取り出された軽い流体相および重い流体相の密度以外の密度を有するさらなる相の出口を備えてもよい。例として、スラッジは、セパレーターボウル11の外周に配置されたノズルを介してセパレーターボウル11から外に出されてもよい。
【0036】
本願発明は、いかなる特定の種類の流体混合物または分離された流体相に限定されない。本願発明は、いかなる特定の流体混合物用の入口配置にも、いかなる特定の分離された流体相用の出口配置にも限定されない。
【0037】
ローター装置2は、電力エネルギーのユーザー12を備える。遠心分離機1は、電力エネルギーのユーザー12に電力エネルギーを供給するための回転トランス14を備える。回転トランス14は、ローター装置2に電流を連続的に供給するように構成されている。回転トランス14からの電流を、直接的または間接的に、ローター装置2内に配置された電力エネルギーのユーザー12に供給することができる。回転トランス14は、第1電気回路13を介して電流を投入される。第1電気回路13は、回転トランス14につながる導体を少なくとも備えてもよい。第2電気回路15を介して回転トランス14から電力エネルギーのユーザー12に電流を供給することができる。第2電気回路15は、回転トランス14から電力エネルギーのユーザー12につながる導体を少なくとも備えてもよい。
【0038】
ローター装置14に連続的に供給される電流は、連続AC電流、または連続パルスDC電流であってもよい。連続AC電流または連続パルスDC電流を電力エネルギーのユーザー12によって電力エネルギーとして利用するよりも前に、整流装置(図示しない)で整流することができる。整流装置は、電力エネルギーのユーザー12の一部を形成してもよい。ローター装置14が静止状態であるときもローター装置2が回転しているときも、ローター装置2に供給された電流および電力エネルギーのユーザー12に供給された電力エネルギーを供給することができる。
【0039】
図2および図3は、例えば図1の遠心分離機1などの遠心分離機の回転トランス14の二つの実施形態の断面図を示す。
【0040】
両方の実施形態の回転トランス14は、トランス固定子20と、トランス回転子22と、を備える。トランス固定子20は、遠心分離機内に配置されるように構成されており、遠心分離機のハウジングと関連して固定される。トランス回転子22は、遠心分離機のローター装置に接続されるように構成されているので、ローター装置とともにローター装置の回転軸Xの周りを回転するように構成されている。トランス固定子20およびトランス回転子22は、回転軸Xの周りに延在する。
【0041】
トランス固定子20およびトランス回転子22は、互いに隣接して両者間に空隙をおいて配置されている。図2の実施形態では、トランス固定子20は、回転軸Xから見たときにトランス回転子22の半径方向外側に配置されている。したがって、図2の実施形態では、空隙は回転軸Xと平行に広がるので、トランス固定子20とトランス回転子22との間に仮想的な円柱を形成する。図3の実施形態では、トランス固定子20は、回転軸Xに沿って見たときにトランス回転子22に軸方向に隣接して配置されている。したがって、図3の実施形態では、空隙は回転軸Xと垂直に広がるので、トランス固定子20とトランス回転子22との間に仮想的なディスクを形成する。
【0042】
トランス固定子20は、一次コア25の周りに巻回された一次コイル23を備える。トランス回転子22は、二次コア27の周りに巻回された二次コイル24を備える。一次コイル23は、回転軸Xを中心に回転対称に延在する。一次コイル24は、回転軸Xを中心に回転対称に延在する。好ましくは、一次コア25および二次コア27のそれぞれは、透磁性材料から形成されてもよい。
【0043】
回転トランス14の使用において、交流電流またはパルス電流はトランス固定子20からトランス回転子22に伝達するために供給される。より具体的には、模式的に示された電気回路26は、交流電流またはパルスDC電流を一次コイル23に供給するように構成されている。したがって、磁束は一次コイル23によって発生し、トランス回転子22に伝達される。磁束は、二次コイル24内に交流電流を発生させる。一次コア25および二次コア27の透磁率は、トランス固定子20からトランス回転子22への磁束のエネルギーの効率的な伝達を確実なものとする。
【0044】
電気回路26は、第1電気回路13を介して一次コイル23に接続されている。電気回路26は、遠心分離機内に配置されていてもよく、または代替的に、遠心分離機の外部に配置されていてもよい。電気回路26は、遠心分離機の制御システムの一部を形成してもよい。
【0045】
二次コイル24は、第2電気回路15を介して電力エネルギーのユーザー12に接続されている。電力エネルギーのユーザー12は、遠心分離機のローター装置内に配置されている。二次コイル24内に発生した交流電流は、電力エネルギーのユーザー12に供給される電力エネルギーの基となる。電力エネルギーのユーザー12は、交流電流を供給されてもよい。代替的に、電力エネルギーのユーザー12は、整流電流を供給されてもよい。それに伴って、第2電気回路15は、二次コイル24からの交流電流を整流するための整流装置を備えてもよい。
【0046】
したがって、二次コイル24から電力エネルギーのユーザー12に第2電気回路15を介して電流を供給することができ、第2電気回路15は、例えば導体および整流装置を備えてもよい。
【0047】
一次コイル23および二次コイル24のそれぞれは、多数のコイル巻線を形成する導体を備える。導体は、個々のコイル巻線が互いに隔離される、すなわちコイル巻線は短絡しないように電気的に絶縁されている。一次コイル23および二次コイル24のそれぞれのコイル巻線の巻数を適切にすることによって、二次コイル24内の電圧を既知の方法で変圧することができる。
【0048】
一次コア25および二次コア27のそれぞれは、フェライト系材料を含んでもよい。したがって、一次コア25および二次コア27に高透磁率を確実なものとすることができる。コア25、27は、重なり合ってスタックされた多数の分離コア層を備えてもよい。したがって、コア25、27内の磁束は、仮にコア25、27のそれぞれがまとまった一つの材料でできている場合よりも阻害されにくいだろう。
【0049】
交流電流の周波数は主流なものであってもよく、例えば50Hzまたは60Hzであってもよい。代替的に、周波数はより高くてもよく、例えば数百Hzまたは数千Hzほどであってもよい。単なる例として言えば、周波数は70kHzであってもよい。
【0050】
図4は、実施形態の遠心分離機のローター装置2の側面図を模式的に示す。遠心分離機は、図1と関連して上述した遠心分離機1であってもよい。
【0051】
これらの実施形態では、回転トランス14は、セパレーターボウル11に配置されている。さらに、回転トランス14を介して伝達された電流は、ローター装置2内に配置された電力エネルギーのユーザーに電流を供給するために利用される。
【0052】
さらに、回転トランス14は、図2および図3を参照して上述した実施形態のいずれか一つのトランス固定子20およびトランス回転子22を備える。これらの実施形態では、トランス回転子22は、セパレーターボウル11とともに回転するようにセパレーターボウル11上に配置されている。トランス固定子20は、セパレーターボウル11に隣接して配置され、遠心分離機のハウジング(図示しない)と関連して固定される。図4に示す回転トランス14は、図3の回転トランスに似ているが、回転トランスは、代替的に図2に示す種類のものであってもよい。それに伴って、図2および図3の実施形態に関連する上記説明もまた、図4に開示するこれらの実施形態に関連する。
【0053】
図5は、実施形態の遠心分離機1の駆動装置5の断面図を模式的に示す。遠心分離機1は、図1と関連して上述した遠心分離機1であってもよい。
【0054】
これらの実施形態では、回転トランス14は遠心分離機1の駆動装置5と関連して配置されている。さらに、回転トランス14を介して伝達された電流は、ローター装置2内に配置された電力エネルギーのユーザーに電流を供給するために利用される。
【0055】
駆動装置5は、遠心分離機1のハウジング3内に配置されている。駆動装置5は、ローター装置2のスピンドル4を駆動させるように構成されている。
【0056】
さらに、回転トランス14は、トランス固定子20およびトランス回転子22を備える。駆動装置5は、回転子32および固定子34を備える電気モーター30を備える。回転子32は、スピンドル4が駆動装置5の一部を形成するようにスピンドル4の一部を形成する。トランス回転子22は、電気モーター30の回転子32の一部分に配置されている。トランス固定子20は、電気モーター30の固定子34の一部分に配置されている。
【0057】
さらには、これらの実施形態もまた、トランス回転子22はスピンドル4の周りに配置され、スピンドル4に接続され、トランス固定子20はスピンドル4の周りにスピンドル4に隣接して配置されている、実施形態の例となる。トランス固定子20は、ハウジング3と関連して固定されるので、スピンドル4と関連して固定される。
【0058】
図5に示す回転トランス14は、図2の回転トランスに似ているが、回転トランスは、代替的に図3に示す種類のものであってもよい。それに伴って、図2および図3の実施形態に関連する上記説明もまた、図5に開示するこれらの実施形態に関連する。
【0059】
図1図5を参照して上述した遠心分離機1の回転トランス14およびそれらの配置の異なる実施形態では、トランス固定子からトランス回転子に電流を連続的に伝達することができる。関連の遠心分離機1のローター装置2が回転する間に電流を連続的に伝達することができる。さらには、関連の遠心分離機1のローター装置2が静止している間に電流を連続的に伝達することができる。
【0060】
交流電流またはAC電流は、周期的に向きが反転する電流であるので、ある周波数で極性が変化する。パルスDC電流は、一つの向きのみに周期的に流れる電流であるので、ある周波数で0Vと一方の極性のある電圧との間で変化する。回転トランス14および回転トランス14に供給される連続AC電流またはパルスDC電流に起因して、安定した操作状態が遠心分離機1のローター装置2内の電力エネルギーのユーザーに供給される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、回転トランス14は、少なくとも1.2Wの電力を電力エネルギーのユーザー12に供給することができる。例えば24VRMSの電圧および50mRMSの電流のとき少なくとも1.2Wの電力を供給することができる。このような実施形態では、電力は、例えばセンサーおよび/または制御ユニットを備える電力エネルギーのユーザー12に電力エネルギーを供給するのに十分であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、回転トランス14は、少なくとも6Wの電力を電力エネルギーのユーザー12に供給することができる。例えば24VRMSの電圧および250mRMSの電流のとき少なくとも6Wの電力を供給することができる。このような実施形態では、電力は、例えばDCモーター、アクチュエーター、電力エネルギーを貯蔵するためのキャパシター、センサーおよび/または制御ユニットを一つまたは複数備える電力エネルギーのユーザー12に電力エネルギーを供給するのに十分であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、回転トランス14は、1~5Wの範囲内で電力を供給することがき、例えば12VRMSまたは24VRMSの電圧でその電力を供給することができる。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、回転トランス14は、4~10Wの範囲内で電力を供給することがき、例えば12VRMSまたは24VRMSの電圧でその電力を供給することができる。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、回転トランス14は、1~10Wの範囲内で電力を供給することがき、例えば12VRMSまたは24VRMSの電圧でその電力を供給することができる。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、回転トランス14は、よりはるかに高い電力を供給することができる。例として、回転トランス14は、少なくとも50W、または少なくとも100W、または少なくとも500Wを供給することができる。例えば12VRMS、24VRMSまたは48VRMSの電圧で電力を供給することができる。このような実施形態では、電力は、一つまたは複数の大口の電力エネルギー消費者、例えばDCモーターまたはアクチュエーターを備える電力エネルギーのユーザー12に電力エネルギーを供給するのに十分であり得る。
【0067】
回転トランス14は、遠心分離機1のローター装置2内の電力エネルギーのユーザー12に電力エネルギーを供給するように配置されている。したがって、とりわけ
遠心分離機またはローター装置の内部の分離プロセスのパラメーターを測定すること、
ローター装置からローター装置の外部のシステムにデータを通信すること、
ローター装置の外部から、例えばローター装置の内部の制御システムと通信すること、
などの可能性がある。
【0068】
図6aは、実施形態の遠心分離機1の断面図を模式的に示す。遠心分離機1は、ローター装置2と、駆動装置5と、回転トランス14と、を備える。さらに、電力エネルギーのユーザー12は、ローター装置2内に配置されている。
【0069】
これらの実施形態では、遠心分離機1は、ローター装置2内に配置されたアクチュエーター40を備える。アクチュエーター40は、電力エネルギーのユーザー12の少なくとも一部を形成する。アクチュエーター40は、回転トランス14から電力エネルギーを供給される。電力エネルギーのユーザー12は、アクチュエーター40に加えてさらなる構成要素またはデバイスを備えてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、遠心分離機1は、ローター装置2内に配置されたバルブ42を備えてもよい。アクチュエーター40は、バルブ42の可動機構を作動させるように構成されていてもよい。このようにして、バルブ42は、アクチュエーター40によって制御されてもよく、すなわち回転トランス14によって供給される電力エネルギーは、ローター装置2内に配置されたバルブを制御するために利用されてもよい。
【0071】
図6aはまた、トランス回転子22はスピンドル4の周りに配置され、スピンドル4に接続され、トランス固定子20はスピンドル4の周りにスピンドル4に隣接して配置されている、回転トランス14の実施形態を示す。トランス固定子20は、ハウジング3と関連して固定されるので、スピンドル4と関連して固定される。
【0072】
アクチュエーター40およびバルブ42を備える電力エネルギーのユーザー12の上記態様は、開示の回転トランス14の実施形態と関連しない。
【0073】
図6bは、実施形態の遠心分離機1の断面図を模式的に示す。遠心分離機1は、前述した実施形態のいずれか一つのローター装置2と、駆動装置5と、回転トランス14と、を備える。さらに、電力エネルギーのユーザー12は、ローター装置2内に配置されている。
【0074】
これらの実施形態では、遠心分離機1は、ローター装置2内に配置されたセンサー44を備える。センサー44は、電力エネルギーのユーザー12の少なくとも一部を形成する。つまり、電力エネルギーのユーザー12は、センサー44に加えてさらなる構成要素またはデバイスを備えてもよい。センサー44は、回転トランス14から電力エネルギーを供給される。
【0075】
図6cは、実施形態の遠心分離機1の断面図を模式的に示す。遠心分離機1は、前述した実施形態のいずれか一つのローター装置2と、駆動装置5と、回転トランス14と、を備える。さらに、電力エネルギーのユーザー12は、ローター装置2内に配置されている。
【0076】
これらの実施形態では、遠心分離機1は、ローター装置2内に配置された制御ユニット46を備える。制御ユニット46は、電力エネルギーのユーザー12の少なくとも一部を形成する。つまり、電力エネルギーのユーザー12は、制御ユニット46に加えてさらなる構成要素またはデバイスを備えてもよい。制御ユニット46は、回転トランス14から電力エネルギーを供給される。
【0077】
図6a~図6cを参照すると、遠心分離機1のローター装置2では、電力エネルギーのユーザー12は、アクチュエーター40、バルブ42、センサー44、および制御ユニット46のそれぞれの一つまたは複数、および/またはアクチュエーター40、バルブ42、センサー44、および制御ユニット46の一つまたは複数の種々の組み合わせを備えてもよい。
【0078】
それに加えて、電力エネルギーのユーザー12は、図6cに例示した通信ユニット48を備えてもよい。通信ユニット48は、例としてワイヤレス通信用のBluetooth通信デバイスを備えてもよい。代替的な通信ユニット48は、図2および図3を参照すると、回転トランス14の二次コイル24を介して通信することができる。二次コイル24を介して高周波数通信信号を送信するおよび/または受信することができる。高周波数通信信号は、二次コイル24内に発生した連続AC電流にオーバーレイ(overlaid)される。同様に、通信ユニット48への、および/または通信ユニット48からの二次コイル24を介した高周波数通信信号の送信および/または受信に一次コイル23を利用することができる。それに伴って、遠心分離機1は、トランス固定子20から制御ユニット46にトランス回転子22を介して信号を送信するように構成されている。
【0079】
通信ユニット48を介して、例えばデータ、制御命令などをローター装置2へ/ローター装置2から送信することができる。
【0080】
ローター装置2内の電力エネルギーのユーザー12の異なる構成要素は、データ、制御命令などを両者間で通信するために互いと接続されていてもよい。電力エネルギーのユーザー12の構成要素にかかる遠心力を減少させるために、一つまたは複数の構成要素は、ローター装置2の回転軸に近接して配置されていてもよい。電力エネルギーのユーザー12の異なる構成要素は、電気エネルギーを回転トランス14から直接的または間接的に供給される。
【0081】
電力エネルギーのユーザー12のいくつかの例、およびそれらの機能は、次のようなものである。
センサー44は、遠心分離機の操作のために測定データを制御ユニット46に供給してもよい。
制御ユニット46は、制御信号をアクチュエーター40に供給するためにアクチュエーター40に接続されていてもよい。
通信ユニット48は、センサー44から外部のデータの受け手に測定データを送信してもよい。
通信ユニット48は、外部の送信機から遠心分離機に対するの制御命令を受信し、制御ユニット46に制御命令を送信してもよい。
【0082】
図7は、遠心分離機の操作方法100を示す。遠心分離機は、図1図6cと関連して説明した遠心分離機1であってもよい。遠心分離機1は、遠心分離機のローター装置内に配置された電力エネルギーのユーザーに電流を伝達するための回転トランス14を備える。回転トランスは、図1から図6cと関連して説明した回転トランス14であってもよい。それに伴って、遠心分離機1は、ローター装置2と、駆動装置5と、電力エネルギーのユーザー12と、を備える。ローター装置2は、回転軸(X)を有し、スピンドル4と、セパレーターボウル12と、を備える。駆動装置5は、スピンドル4に接続され、またはスピンドル4の一部を形成し、ローター装置2を回転軸Xを中心に回転させるように構成されている。
【0083】
方法100は、
‐交流電流またはパルスDC電流をトランス固定子20に連続的に供給するステップ102と、
‐交流電流をトランス回転子22で連続的に受け取るステップ104と、
‐ローター装置2内に配置された電力エネルギーのユーザー12に電流を供給して交流電流を連続的に受け取るステップ104の間に受け取った交流電流を利用するステップ106と、
を含む。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、方法100は、
‐ローター装置2を駆動装置5とともに回転軸(X)を中心に回転させるステップ108を含んでもよく、交流電流をトランス固定子20に連続的に供給するステップ102は、ローター装置2を回転させるステップ108の間に行われる。
【0085】
前述のものは様々な例示的な実施形態を説明するのに役立ち、本発明は添付された特許請求の範囲によってのみ規定されることが理解されるべきである。当業者は、例示的な実施形態が修正され得、例示的な実施形態の異なる特長が、本明細書で説明されたもの以外の実施形態を作り出すために添付された特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱しないで組み合わせられ得ることに気づくだろう。
【符号の説明】
【0086】
1 遠心分離機
2 ローター装置
3 ハウジング
4 スピンドル
5 駆動装置
6 分離空間
7 分離ディスク
8 流体混合物用入口
9 軽い流体相用出口
10 重い流体相用出口
11 セパレーターボウル
12 電力エネルギーのユーザー
13 第1電気回路
14 回転トランス
15 第2電気回路
20 トランス固定子
22 トランス回転子
23 一次コイル
24 二次コイル
25 一次コア
26 電気回路
27 二次コア
30 電気モーター
32 モーター回転子
34 モーター固定子
40 アクチュエーター
42 バルブ
44 センサー
46 制御ユニット
48 通信ユニット
100 遠心分離機の操作方法
102 連続的に供給するステップ
104 連続的に受け取るステップ
106 電流を利用するステップ
108 回転させるステップ
X 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7