(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力供給のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20220708BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20220708BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220708BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/20
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2020546355
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 US2019021151
(87)【国際公開番号】W WO2019173590
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-10-26
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519430963
【氏名又は名称】サプライ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Supply,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァロ,グスタヴォ
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミー,ヴァルン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴランテス,クリストファー,ジョセフ
【審査官】原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-093234(JP,A)
【文献】特開2015-039271(JP,A)
【文献】特表2018-506252(JP,A)
【文献】特開2013-050899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313450(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-13/00
15/00-15/42
B60M 1/00-7/00
H01F 38/14
38/18
H02J 5/00-7/12
7/34-7/36
50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
・第1の受信機および第2の受信機を含む受信機グループを決定するステップと、
・前記受信機グループの決定に応答して、
・前記第1の受信機に関連付けられた第1の目的関数と、
・前記第2の受信機に関連付けられた第2の目的関数とに基づいて、複数の伝送パラメータセットを決定するステップであって、前記複数の伝送パラメータセットを決定することが、前記複数の伝送パラメータセットのうちの各伝送パラメータセット毎に、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第1および第2の目的関数を評価することを含む、ステップと、
・前記第1および第2の目的関数の評価に基づいて充電計画を決定するステップであって、前記充電計画が、
・前記複数の伝送パラメータセットのうちの第1の伝送パラメータセットと、
・前記第1の伝送パラメータセットに関連付けられた第1のデューティサイクルと、
・第2の伝送パラメータセットと、
・前記第2の伝送パラメータセットに関連付けられた第2のデューティサイクルとを含む、ステップと、
・
複数の送信要素を含む送信機において、前記充電計画に基づいて前記第1および第2の受信機にワイヤレスで電力を伝送するステップ
であって、前記複数の伝送パラメータセットに関連付けられた伝送パラメータ空間が、複数の送信要素のうちの各送信要素について、それぞれの位相パラメータおよびそれぞれの振幅パラメータのうちの少なくとも一方を含むものである電力を伝送するステップと、を含み、
それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第1および第2の目的関数を評価することは、
・前記送信機において、それぞれの時間間隔を通して、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて電力を伝送するステップと、
・前記第1の受信機において、それぞれの時間間隔中に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
・それぞれの時間間隔中に前記第1の受信機で受信されたそれぞれの
第1の電力を測定するステップと、
・それぞれの
第1の電力に基づいて、前記第1の目的関数を評価するステップと、
・前記第2の受信機において、それぞれの時間間隔中に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
・それぞれの時間間隔中に前記第2の受信機で受信されたそれぞれの
第2の電力を測定するステップと、
・それぞれの
第2の電力に基づいて、前記第2の目的関数を評価するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記充電計画に基づいてワイヤレスで電力を伝送することは、
・第1の時間間隔を通して、前記第1の伝送パラメータセットに基づいて伝送するステップと、
・第2の時間間隔を通して、前記第2の伝送パラメータセットに基づいて伝送するステップとを含み、
第1の時間間隔の持続時間と第2の時間間隔の持続時間との比が、前記第1のデューティサイクルと前記第2のデューティサイクルとのデューティサイクル比に実質的に等しいことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記複数の伝送パラメータセットが、前記第2の伝送パラメータセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
・第3の受信機を含む第2の受信機グループを決定するステップと、
・前記第2の受信機グループの決定に応答して、前記第3の受信機に関連付けられた第3の目的関数に基づいて、第2の複数の伝送パラメータセットを決定するステップとをさらに含み、
・前記第2の複数の伝送パラメータセットが、前記第2の伝送パラメータセットを含み、
・前記充電計画が、前記第3の目的関数の評価にさらに基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
・前記第2の受信機グループが、第4の受信機をさらに含み、
・前記第2の複数の伝送パラメータセットが、前記第4の受信機に関連付けられた第4の目的関数にさらに基づいて決定され、
・前記充電計画が、前記第3および第4の目的関数の評価にさらに基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、
前記第2の受信機グループが、前記第2の受信機をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
・前記第1の受信機に関連付けられた第1の供給エネルギー目標量を決定するステップと、
・前記第2の受信機に関連付けられた第2の供給エネルギー目標量を決定するステップとをさらに含み、
・前記充電計画が、前記第1および第2の供給エネルギー目標量にさらに基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記充電計画を決定することは、離散最適化アルゴリズムを使用して、第1および第2の供給エネルギー目標量を満たすのに必要な予想電力伝送時間を最小化することを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記複数の伝送パラメータセットが、前記第1および第2の目的関数のパレート非支配セットを規定することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記複数の伝送パラメータセットを決定することが、前記第1および第2の目的関数およびパレート擬似焼きなましアルゴリズムに基づいて探索を実行することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
探索が、多目的粒子群最適化アルゴリズムにさらに基づいて実行されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
・
前記複数の送信要素がフェーズドアレイを規定し、
・
前記伝送パラメータ空間が、複数の送信要素のうちの各送信要素について、それぞれの位相パラメータを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
・第1の受信機および第2の受信機を含む第1の受信機グループを決定するステップと、
・第3の受信機を含む第2の受信機グループを決定するステップと、
・前記第1の受信機グループの決定に応答して、
・前記第1の受信機に関連付けられた第1の目的関数と、
・前記第2の受信機に関連付けられた第2の目的関数とに基づいて、第1の複数の伝送パラメータセットを決定するステップであって、前記第1の複数の伝送パラメータセットを決定することが、前記第1の複数の伝送パラメータセットのうちの各伝送パラメータセット毎に、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第1および第2の目的関数を評価することを含む、ステップと、
・前記第2の受信機グループの決定に応答して、前記第3の受信機に関連付けられた第3の目的関数に基づいて、第2の複数の伝送パラメータセットを決定するステップであって、第3の複数の伝送パラメータセットを決定することが、前記第2の複数の伝送パラメータセットのうちの各伝送パラメータセット毎に、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第3の目的関数を評価することを含む、ステップと
・前記第1、第2および第3の目的関数の評価に基づいて充電計画を決定するステップであって、前記充電計画が、
・前記第1の複数の伝送パラメータセットのうちの第1の伝送パラメータセットと、
・前記第1の伝送パラメータセットに関連付けられた第1のデューティサイクルと、
・前記第2の複数の伝送パラメータセットのうちの第2の伝送パラメータセットと、
・前記第2の伝送パラメータセットに関連付けられた第2のデューティサイクルとを含む、ステップと、
・
複数の送信要素を含む送信機において、前記充電計画に基づいて前記第1および第2の受信機にワイヤレスで電力を伝送するステップ
と、を含み、
・前記複数の伝送パラメータセットに関連付けられた伝送パラメータ空間が、複数の送信要素のうちの各送信要素について、それぞれの位相パラメータおよびそれぞれの振幅パラメータのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第1および第2の目的関数を評価することは、
・前記送信機において、それぞれの第1の時間間隔を通して、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて電力を伝送するステップと、
・前記第1の受信機において、それぞれの第1の時間間隔中に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
・それぞれの第1の時間間隔中に前記第1の受信機で受信されたそれぞれの
第1の電力を測定するステップと、
・それぞれの
第1の電力に基づいて、前記第1の目的関数を評価するステップと、
・前記第2の受信機において、それぞれの第1の時間間隔中に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
・それぞれの第1の時間間隔中に前記第2の受信機で受信されたそれぞれの
第2の電力を測定するステップと、
・それぞれの
第2の電力に基づいて、前記第2の目的関数を評価するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
・前記第1の目的関数が、
前記第1の電力に比例し、
・前記第2の目的関数が、
前記第2の電力に比例することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
・前記第2の受信機グループが、前記第1の受信機をさらに含み、
・前記第2の複数の伝送パラメータセットが、前記第1の目的関数にさらに基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
・前記第1の複数の伝送パラメータセットが、前記第1および第2の目的関数のパレート非支配セットを規定し、
・前記第2の複数の伝送パラメータセットが、前記第1および第3の目的関数のパレート非支配セットを規定することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、
・前記第2の受信機グループが、第4の受信機をさらに含み、
・前記第2の複数の伝送パラメータセットが、前記第4の受信機に関連付けられた第4の目的関数にさらに基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の受信機グループを決定することは、
・前記第1および第2の複数の伝送パラメータセットに関連付けられた伝送パラメータ空間上で、前記第1の目的関数に基づいて第1の最適探索を実行するステップと、
・前記第1の最適探索に基づいて、第1の最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
・前記伝送パラメータ空間上で、前記第2の目的関数に基づいて第2の最適探索を実行するステップと、
・前記第2の最適探索に基づいて、第2の最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
・前記伝送パラメータ空間上で、前記第3の目的関数に基づいて第3の最適探索を実行するステップと、
・前記第3の最適探索に基づいて、第3の最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
・前記伝送パラメータ空間における、前記第1の最適化されたパラメータ値セットと前記第3の最適化されたパラメータ値セットとの間の第1の距離を求めるステップと、
・前記伝送パラメータ空間における、前記第2の最適化されたパラメータ値セットと前記第3の最適化されたパラメータ値セットとの間の第2の距離を求めるステップと、
・前記伝送パラメータ空間における、前記第1の最適化されたパラメータ値セットと前記第2の最適化されたパラメータ値セットとの間の第3の距離を求めるステップと、
・前記第1、第2および第3の距離のなかで、前記第3の距離が最短距離であると判定するステップと、
・前記第3の距離が最短距離であると判定したことに基づいて、前記第1の受信機グループに前記第1および第2の受信機を選択するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の受信機グループを決定することは、
・前記第1および第2の複数の伝送パラメータセットに関連付けられた伝送パラメータ空間上で、前記第1の目的関数に基づいて最適探索を実行するステップと、
・前記最適探索に基づいて、最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
・前記最適化されたパラメータ値セットに基づいて、前記第2および第3の目的関数を評価するステップであって、第2の目的関数値が第3の目的関数値を超える、ステップと、
・前記第2の目的関数値が第3の目的関数値を超えることに基づいて、前記第1の受信機グループに前記第1および第2の受信機を選択するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
ワイヤレス電力伝送システムであって、
複数の送信要素を含む送信機を備え、この送信機が、
・第1の受信機および第2の受信機を含む受信機グループを決定するステップと、
・前記受信機グループの決定に応答して、
・前記第1の受信機に関連付けられた第1の目的関数と、
・前記第2の受信機に関連付けられた第2の目的関数とに基づいて、複数の伝送パラメータセットを決定するステップであって、前記複数の伝送パラメータセットを決定することが、前記複数の伝送パラメータセットのうちの各伝送パラメータセット毎に、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第1および第2の目的関数を評価することを含む、ステップと、
・前記第1および第2の目的関数の評価に基づいて充電計画を決定するステップであって、前記充電計画が、
・前記複数の伝送パラメータセットのうちの第1の伝送パラメータセットと、
・前記第1の伝送パラメータセットに関連付けられた第1のデューティサイクルと、
・第2の伝送パラメータセットと、
・前記第2の伝送パラメータセットに関連付けられた第2のデューティサイクルとを含む、ステップと、
・前記複数の送信要素を制御して前記充電計画に基づいて伝送するステップとを実行するように構成され、
それぞれの伝送パラメータセットに基づいて前記第1および第2の目的関数を評価することは、
・前記送信機において、それぞれの時間間隔を通して、それぞれの伝送パラメータセットに基づいて、前記複数の送信要素を制御して電力を伝送するステップと、
・前記第1の受信機において、それぞれの時間間隔中に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
・それぞれの時間間隔中に前記第1の受信機で受信されたそれぞれの
第1の電力を測定するステップと、
・それぞれの
第1の電力に基づいて、前記第1の目的関数を評価するステップと、
・前記第2の受信機において、それぞれの時間間隔中に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
・それぞれの時間間隔中に前記第2の受信機で受信されたそれぞれの
第2の電力を測定するステップと、
・それぞれの
第2の電力に基づいて、前記第2の目的関数を評価するステップとを含むことを特徴とするワイヤレス電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ワイヤレス電力供給分野に関し、より具体的には、ワイヤレス電力供給分野における新規かつ有用な方法およびシステムに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月8日に出願された米国仮出願第62/640,269号、2018年9月11日に出願された米国仮出願第62/729,860号、2018年11月27日に出願された米国仮出願第62/772,052号、並びに、2018年11月28日に出願された米国仮出願第62/772,425号の利益を主張するものであり、それらの各々は、引用によりその全体が本明細書中に援用されるものとする。
【0003】
本出願は、2018年6月6日に出願された米国特許出願第16/001,725号に関連しており、その全体が引用により本明細書中に援用されるものとする。
【背景技術】
【0004】
一般的なワイヤレス電力供給システムは、ビームフォーミング構成に限定されており、高性能の結果が得られない場合がある。したがって、ワイヤレス電力供給分野では、ワイヤレス電力供給のための新規かつ有用な方法およびシステムを生み出す必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】
図2Aは、本システムの第1の実施形態の概略図である。
図2Bおよび
図2Cはそれぞれ、本システムの送信機および受信機の一例の概略図である。
図2Dは、本システムの第2の実施形態の概略図である。
【
図3】
図3は、本方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をそれらの好ましい実施形態に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を製造および使用することを可能にすることを意図している。
【0007】
1.概要
ワイヤレス電力供給のための方法は、好ましくは、(例えば、
図1Aおよび/または
図3に示すように)送信機-受信機の近接度を判定するステップS100と、伝送パラメータを評価するステップS400と、および/または伝送計画に基づいて電力を伝送するステップS700とを含む。ワイヤレス電力供給のためのシステムは、好ましくは、(例えば、
図2A~
図2Dに示すように)複数の受信機および1または複数の送信機を含む。しかしながら、本システムおよび/または本方法は、追加的または代替的に、他の任意の適切な要素を含むことができる。本方法は、好ましくは、上述したシステムを使用して実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切なシステムを使用して実行することができる。
【0008】
典型的な方法およびシステムを使用して効率的なワイヤレス電力供給のための送電設定を決定することは、困難であり、かつ/または非常に時間がかかることがある。候補の送電設定の評価には、時間がかかる(例えば、1~100ミリ秒以上を必要とする)場合がある。加えて、送電設定には、通常、多数のパラメータが含まれるため、探索空間が非常に大きく、その完全な探索を効果的に行うことができなくなる可能性がある。さらに、システムの要素および周囲の要素はより頻繁に移動する可能性があり、それにより、以前の解が無効となり、新しい探索を必要とする可能性がある。これらの問題に照らして、本発明者等は、迅速に求められた解(例えば、限界または最適な結果の閾値範囲内の送電をもたらす解)が、長い探索時間の後にしか見い出されないグローバルに最適な解よりも優れている可能性があることを発見した。
【0009】
2.利点
本方法は、許容可能なかつ/または望ましい送電設定を決定するのに必要な時間を大幅に短縮することができる。第一に、本方法は、局所探索または確率的グローバル探索の実行を含むことができ、通常、決定論的グローバル探索よりも遥かに短い時間で十分な解を見付けることができる。さらに、本方法は、受信機のサブセット(例えば、一対の受信機のような受信機グループ)の目的関数のみに基づく多目的探索を実行するステップを含むことができ、それは、典型的には、そのような受信機すべて、(例えば、2、3、4、5、10、5~10、10~30、30超など、閾値数の受信機よりも多い)特に多数の受信機の目的関数に基づく多目的探索よりも遥かに短い時間で十分な解を見付けることができる(例えば、様々な受信機グループについての複数の最適設定を採用して、多くの受信機への十分な電力供給を達成することができる)。この探索時間の短縮により、多くの場合(例えば、要素の向きが変化するシステムにおいて)、非常に優れたエネルギー伝送結果が得られる。
【0010】
第二に、(例えば、局所探索および/またはグローバル探索中の)送電設定の評価は、設定に従って送信機を構成し、設定を使用して送電の結果を(例えば、受信機において)測定し、かつ/または様々なエンティティ間で結果を伝達する(例えば、受信機から送信機に結果を送信する)必要性に起因して、時間がかかる可能性がある。そのような時間消費を低減するために、本方法は、任意選択的に、評価(例えば、結果)および/または関連する情報(例えば、最適化探索が現在実行されているような現在検討中の1または複数の受信機と、および送信機へのワイヤレス通信リンクを有する他の受信機などのシステムの他の任意の適当な受信機との両方)を推定および/またはキャッシュすることを含むことができ、それにより完全な評価の代わりに推定および/またはキャッシュされた値の高速探索が可能となる。
【0011】
第三に、送電最適化手法(例えば、パラメータに関連付けられた測定結果に基づく伝送パラメータの最適化などのリアルタイム最適化手法)を採用することにより、環境および/またはシステム構成における潜在的な変化にもかかわらず、受信機および/または送信機アンテナにおけるスーパーゲイン動作の励起および/または維持が可能になる。さらに、送電に純音(および/または実質的に純音)信号を使用すると、そのようなアンテナに典型的に関連する(例えば、このようなアンテナ内および/またはその周囲に通常生成される高エネルギーのエバネセント場から生じる)狭い帯域幅(例えば、分数インピーダンス帯域幅)にもかかわらず、そのようなスーパーゲインアンテナの使用を可能にすることができる。スーパーゲインアンテナは、一般的なアンテナよりも遥かに高い利得を示すことができ、それにより、例えば、電力伝送速度の増加および/または受信機および/または送信機のサイズの縮小が可能になる。しかしながら、本方法およびシステムは、追加的または代替的には、他の任意の適切な利点を与えることができる。
【0012】
3.システム
システムの1または複数の送信機は、好ましくは、送信アンテナなどの1または複数の送信要素(例えば、RFおよび/またはマイクロ波電力などの電磁放射を伝送するように構成された要素)を含む。アンテナおよび/または他の送信要素は、狭帯域要素(例えば、50、75、100、125、150、200、250、500、30~100、100~150、150~300、300~1000、または1000超などの閾値より大きいQ値)、広帯域要素(例えば、5、10、20、30、50、75、100、125、150、1~5、5~15、15~30、30~50、50~100、100~150、150~300、300~1000、または1未満などの閾値より小さいQ値)、および/または他の任意の適切な帯域幅を有する。送信要素は、任意選択的に、(例えば、送信要素の送信および/または共振周波数を制御するように構成された)1または複数の周波数適応要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、送信要素が、2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」を発明の名称とする米国特許出願第16/001,725号に(例えば、システムの送信要素に関して)記載されているような1または複数の要素を含むが、この出願は、本明細書中にその全体が引用により本明細書に援用されるものとする。
【0013】
送信要素は、好ましくは、位相および/または振幅制御可能な要素など、複数の制御可能な(例えば、適応的な)送信要素(例えば、ループ、モノポール、ダイポールなど)を含む。例えば、送信要素は、1または複数の制御可能な(例えば、適応的な)アンテナアレイ(例えば、線形アレイ、平面アレイ、3次元アレイなど;フェーズドアレイ、電子的に制御可能なアレイなど)を規定することができる。
【0014】
送信要素は、好ましくは、複数のアクティブ要素(例えば、給電によって能動的に駆動されるように構成されたアンテナなどの要素)を含み、より好ましくは、独立して制御可能なアクティブアンテナ(例えば、各アクティブアンテナは、システムの他のすべてのアクティブアンテナから独立して個別に制御することができ;アクティブアンテナのグループを、一緒に制御することができ、各グループを、他のすべてのグループから独立して制御可能である等)を含む。第1の態様では、各アクティブアンテナが駆動される振幅および/または位相を、(例えば、各アクティブアンテナの別個のIQ変調器または位相シフタを介して)独立して制御することができる。第2の態様では、アクティブアンテナが1または複数のアンテナグループに分けられ、グループのアンテナが(例えば、各グループの単一のIQ変調器または位相シフタを介して)一緒に制御される。例えば、グループのアンテナは、互いに対して固定された位相オフセット(例えば、グループのすべてのアンテナが互いに同じ位相を有するようなゼロオフセット;非ゼロオフセット等)を有することができる(例えば、固定された位相オフセットは、IQ変調器または位相シフタと各アンテナとの間のトレース長の差によって定義される)。しかしながら、アクティブアンテナは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で構成することができる。
【0015】
送信要素は、追加的または代替的には、1または複数のパッシブアンテナ(例えば、アクティブアンテナのうちの1または複数の電気的および/または共振的に結合され、それにより送信機の伝送特性を変更するように構成されたもの)を含むことができる。一例では、システムが、1または複数のパッシブアンテナの1または複数の電気的コンポーネント(例えば、抵抗器、コンデンサおよび/またはインダクタなどのパッシブコンポーネント;1または複数のアクティブアンテナおよび/または他のパッシブアンテナなどのアンテナ等)への電気的結合(例えば、接続、共振結合など)および/または分離を(例えば、ソフトウェア制御スイッチのようなスイッチを介して;可変コンデンサのような可変電気特性を有する要素等を介して)制御するように構成される。第1の例では、複数のパッシブアンテナを(例えば、2以上のそのようなアンテナを電気的に接続するように動作可能なスイッチを介して)互いに電気的に接続および/または切断することができる。第2の例では、可変キャパシタ(例えば、バラクタ)および/または他の可変(例えば、連続可変)要素が、1または複数のパッシブアンテナに電気的に結合(例えば、電気的に接続)され、それにより、パッシブアンテナの負荷の制御および/またはアレイ内の他のアンテナ(例えば、他のパッシブアンテナ、アクティブアンテナなど)へのそれらの結合および/またはそれらの給電を可能にする(例えば、アンテナに結合された可変要素のうちの1または複数の特性を変化させることが、アレイのネットパターンを制御するように機能し得る)。この第2の例の特定の例では、アダプティブアンテナアレイが、単一のアクティブアンテナおよび複数のパッシブアンテナを含み、パッシブアンテナのうちの1または複数が、1または複数の可変コンポーネントに電気的に結合される。
【0016】
本明細書ではアンテナ(例えば、アクティブアンテナ、パッシブアンテナなど)と称するが、当業者であれば、送信要素が、追加的または代替的に、他の任意の適切なタイプの送信要素(例えば、アクティブ送信要素、パッシブ送信要素など)を含むことができることを認識するであろう。本明細書ではアンテナアレイと称するが、当業者であれば、送信要素が、追加的または代替的に、他の任意の適切な送信要素のアレイおよび/または他の任意の適切な配列(例えば、アレイ以外の配列、例えば、非周期的な配列など)の送信要素を含むことができることを認識するであろう。
【0017】
送信機は、好ましくは、1または複数の電力源に結合される(例えば、導電性ワイヤによって接続されるなど、電気的に結合されるか、電力を受信するように構成される)ことが好ましい。電源は、遠隔電源(例えば、電力網、外部発電機、外部蓄電デバイスなど)および/または蓄電モジュールを含むことができる(例えば、電力供給デバイスが1または複数の蓄電モジュールを含むことができる)。蓄電モジュールは、好ましくは、電池、より好ましくは二次電池、あるいは代替として一次電池を含むが、追加的または代替的には、コンデンサ(例えば、電池と組み合わせて高速放電を容易にするため)、燃料源(例えば、金属水素化物)を有する燃料電池、任意には熱源(例えば、放射性物質、燃料およびバーナーなど)を有する熱エネルギーコンバータ(たとえば、熱電子コンバータ、熱電コンバータ、機械的熱機関など)、機械的エネルギーコンバータ(例えば、振動エネルギーハーベスタなど)、太陽エネルギーコンバータおよび/または他の任意の適切な電源を含むことができる。二次電池は、リン酸リチウム化学反応、リチウムイオンポリマー化学反応、リチウムイオン化学反応、ニッケル金属水素化物化学反応、鉛酸化学反応、ニッケルカドミウム化学反応、金属水素化物化学反応、ニッケルマンガンコバルト化学反応、マグネシウム化学反応、または他の任意の適当な化学反応を含むことができる。一次電池は、リチウムチオニルクロライド化学反応、亜鉛炭素化学反応、塩化亜鉛化学反応、アルカリ化学反応、オキシニッケル水酸化物化学反応、リチウム鉄二硫化物化学反応、リチウムマンガン酸化物化学反応、亜鉛空気化学反応、酸化銀化学反応、または他の任意の適当な化学反応を含むことができる。
【0018】
しかしながら、送信機は、追加的または代替的には、任意の適切な構成の他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0019】
本システムの受信機は、(例えば、送信機によって送信される電磁放射を受信するように構成された)1または複数のアンテナを含むことができる。受信機は、任意選択的に、1または複数のクライアントデバイス(例えば、バッテリおよび/またはバッテリ内蔵デバイス、例えばスマートフォンおよび/または他の電気および/または電子ユーザデバイス)を含むか、かつ/またはそれらクライアントデバイスと電気的に接続する(例えば、電力を伝送するように構成する)ことができる。必要に応じて、受信機は、例えば、1または複数のアンテナとクライアントデバイスとの間(例えば、1または複数のアンテナと、クライアントデバイスに接続するように構成された電気出力との間)に電気的に接続されたバッテリのような1または複数のバッファエネルギー貯蔵部(例えば、バッテリ)を含むことができ、それが、アンテナ(これは、不均一なレートおよび/または不均一な特性で電力を提供する可能性がある)とクライアントデバイス(これは、受信機などから一時的に切り離すことができ、実質的に一定のレートおよび/または実質的に一定の特性での電力供給を必要とし、かつ/またはそれからの利益をもたらし得る)との間のバッファとして機能することができる。いくつかの実施形態では、受信機が、2018年6月6日に出願された「System and Method for Wireless Power Reception」という発明の名称の米国特許出願第16/001,628号および/または2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」という発明の名称の米国特許出願第16/001,725号に(例えば、システムの受信機に関して)記載されているような1または複数の要素を含む。それら出願の各々は、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする。
【0020】
アンテナは、好ましくは、電力(例えば、受信機に送信される電磁放射、好ましくは、伝播または「遠方場」放射であるが、追加的または代替的に、エバネセントまたは「近接場」放射)を受信し、受信した電力を受信機に結合するように機能する。
【0021】
アンテナは、指向性アンテナ、無指向性アンテナおよび/または他の任意の適切なアンテナを含むことができる。アンテナは、狭帯域要素(例えば、50、75、100、125、150、200、250、500、30~100、100~150、150~300、300~1000、または1000超などの閾値より大きいQ値)、広帯域要素(例えば、5、10、20、30、50、75、100、125、150、1~5、5~15、15~30、30~50、50~100、100~150、150~300、300~1000、または1未満などの閾値より小さいQ値)および/または他の任意の適切な帯域幅を有する。いくつかの実施形態では、受信機および/または送信機のアンテナの一部またはすべて(例えば、アクティブアンテナ、パッシブアンテナなど)は、共振器の1または複数の密結合アレイを含むが、追加的または代替的には、疎結合アレイ、疎アレイ、単一の共振器および/または他の任意の適切なアンテナ素子を含むことができる。共振器は、共振ループ、交差共振器、スプリットリング共振器、電気誘導容量共振器、他の物理的に小さい共振器(例えば、それらの共振波長に比べて小さい共振器)、および/または他の任意の適切な共振器を含むことができる。しかしながら、共振器は、他の方法で構成することもできる。
【0022】
1または複数のアンテナは、任意選択的には、異なる向きで配置された複数のアレイ(および/または他の共振器構成)を含むことができ、これは、様々な偏波(例えば、直交偏波)の放射に効率的に結合するように機能することができる。第1の実施形態では、アンテナが、平行共振器層(例えば、平行共振器アレイ)を含み、各層が、異なる面内共振器配向(例えば、直交配向、斜めの角度に向けられる等)を有する。第2の実施形態では、アンテナが、非平行平面(例えば、直交平面、斜めの角度に向けられた平面など)の上に共振器を含む。しかしながら、1または複数のアンテナは、追加的または代替的には、他の任意の適切な共振器および/または他のアンテナ要素を含むことができ、他の任意の適切な配置を有することができる。1または複数のアンテナはメタマテリアルであるか、または他の任意の適切な構成を有することができる。
【0023】
本明細書ではアンテナ(例えば、アクティブアンテナ、パッシブアンテナなど)と称するが、当業者であれば、受信機アンテナが、追加的または代替的に、他の任意の適切なタイプの受信要素を含むことができることを認識するであろう。
【0024】
送信機および受信機は、追加的または代替的には、他の任意の適切な形態(例えば、音、光学など)でエネルギーを送信および/または受信するように、かつ/または他の任意の適切な役割を実行するように構成されるものであってもよい。一実施形態では、送信機のすべてまたは一部がさらに受信機として機能することができ、かつ/または受信機のすべてまたは一部がさらに送信機として機能することができる。例えば、システムは、複数の同等のデバイスを含むことができ、それらのデバイスの各々が、他のデバイスの各々に電力をワイヤレスで伝送し、他のデバイスの各々から電力を受け取ることができる。
【0025】
送信機および受信機はそれぞれ、好ましくは無線通信モジュールを含むが、追加的または代替的には、有線通信モジュールまたは他の任意の適切な通信モジュールを含むことができるか、あるいは通信モジュールを省略することができる。無線通信モジュールは、好ましくは、1または複数の無線通信プロトコル(例えば、WiFi、Bluetooth、BLE、NFC、RF、IR、Zigbee、Z波など)をサポートする(例えば、無線通信プロトコルを使用して通信を可能にする)。しかしながら、送信機および受信機は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0026】
送信機および受信機は、好ましくは、互いに対して任意のおよび/または動的な配置を有する。一例では、システムが、固定位置の送信機と、複数の受信機とを含み、受信機の各々が、時間とともに位置および向き(例えば、送信機に対して、互いに等)において多くの変化を受ける。システムは、任意選択的に、他の近くの物体(例えば、ワイヤレス電力伝送に対する障害物)もシステムの要素に対して任意のおよび/または動的な配置を有することができる設定で配置されるようにしてもよい。しかしながら、システムは、他の任意の適切な配置を規定することができる。
【0027】
RFに敏感なコンポーネント(例えば、敏感な電子機器)を有するクライアントデバイスの場合、1または複数の散逸要素(例えば、電力供給デバイスによって伝送されるRF電力に対する散逸性を有する要素)を、任意選択的には、RFに敏感なコンポーネント(および/または、入射RF強度を最小限に抑えることが望ましい他の任意の要素)の近傍に配置することができる。散逸要素のそのような配置によって、伝送最適化アルゴリズム(例えば、方法に関して以下に記載されるようなアルゴリズム)は、敏感なコンポーネントの近くに高いRF強度を生成する伝送条件を回避し、かつ/または敏感なコンポーネントの近くに高いRF強度を生成しない伝送条件を実現することができる。追加的または代替的には、負帰還受信機(例えば、上述した1または複数の受信機に加えて)を、任意選択的には、RFに敏感なコンポーネント(および/または入射RF強度を最小限に抑えることが望ましい他の任意の要素)の近傍に配置することができる。そのような負帰還受信機は、好ましくは、受信機に関して述べた要素の一部またはすべてを含む(かつ/または、クライアントデバイスに結合された受信機と無線通信モジュールなどのいくつかの要素を共有する)。例えば、負帰還受信機は、(例えば、RFに敏感なコンポーネントへの近接度を示すかつ/または関連するプログラミングなどの構成および/または識別子を除いて)上述した受信機と実質的に同一であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、本システムは、2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」という発明の名称の米国特許出願第16/001,725号に記載されているような1または複数の要素(および/またはシステム全体)を含む。この出願は、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする。しかしながら、本システムは、任意の適切な構成の他の任意の適切な要素を追加的または代替的に含むことができる。
【0029】
4.方法
4.1 送信機-受信機の近接度の判定
送信機-受信機の近接度を判定するステップS100は、(例えば、送信機から1または複数の受信機への)ワイヤレス電力供給の機会を示すように機能することができる。好ましくは、S100は、1または複数の送信機の範囲内にある(例えば、送信機との通信範囲内にある、送信機との通信が確立されている、送信機からの距離が閾値未満である、送信機からの電力を閾値より高いレートで受信できると予測される)受信機のセットを判定することを含む。例えば、S100は、1または複数の受信機が送信機の送信範囲(例えば、効率的な電力伝送、実質的な電力伝送、任意の測定可能な電力伝送などを可能にする範囲)内にあることの判定を含むことができる。送信機-受信機の近接度は、好ましくは、無線通信を使用して(例えば、送信機および受信機の無線通信モジュールを使用して)判定される。例えば、一方のデバイスは、他方のデバイスが近くにあることを、それらの間の無線通信の確立、無線通信信号強度(例えば、RSSI)、無線接続を介して遣り取りされる情報、および/または他の任意の適切な指標に基づいて判定することができる。
【0030】
送信機-受信機の近接度の判定S100は、追加的または代替的には、光学認識(例えば、送信機のカメラによってキャプチャされた画像内で近くの受信機を検出すること)、ユーザ入力(例えば、ボタン押下)の受信、ワイヤレス電力供給の変化の検出、および/または他の任意の適切な要素を含むことができる。例えば、電力を第1の受信機にワイヤレスで伝送する送信機は、第1の受信機に供給される電力の減少に基づいて、第2の受信機の到来を検出することができる。
【0031】
S100は、追加的または代替的には、受信機および/または1または複数の送信機に関する情報を決定するステップを含むことができる。情報は、デバイスの種類(例えば、モデル、シリアル番号など)、電力需要(例えば、バッテリ充電状態、現在の消費電力など)、推定(例えば、標準、計画、予測など)近接滞留時間、近接中の推定位置安定性(例えば、テーブル上での静止、ユーザの衣服ポケットでの移動など)、デバイス位置(例えば、三辺測量/三角測量、光学認識、視線近接センサ、デバイスIMU読み取り値、デバイスGPS読み取り値などに基づくもの)、および/または他の任意の適切な情報を含むことができる。しかしながら、S100は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むか、または他の方法で実行することができる。
【0032】
4.2 伝送パラメータの評価
伝送パラメータ値の評価S400は、好ましくは、(例えば、送信機から受信機への)効率的な電力伝送を可能にすることができる1または複数の伝送パラメータ値のセット(伝送設定)を決定するように機能する。S400は、好ましくは、送信機-受信機の近接度の判定S100に応答して実行され、追加的または代替的には、伝送性能および/または必要性の変化の判定に応答して実行され得る。しかしながら、S400は、追加的または代替的には、他の任意の適切な時に実行され得る。伝送パラメータは、1または複数のアンテナの伝送位相(例えば、基準アンテナの伝送位相のような基準位相に対する)および/または伝送振幅、ビーム方向などのビームフォーミングパラメータ(例えば、方位角および極角のようなビーム方向を説明する角度)、他の空間パラメータ(例えば、高強度および/または低強度励起の領域の位置および/または向き)、スーパーゲイン受信機の種類、位置および/または向きなどのスーパーゲイン励起パラメータ、1または複数のアンテナに結合された抵抗、キャパシタンスおよび/またはインダクタンスなどのパッシブアンテナパラメータ(例えば、電気コンポーネント結合パラメータ)および/または他の任意の適切なパラメータを含むことができる。第1の例では、伝送パラメータが、1または複数のアクティブアンテナおよび/またはアンテナグループ(例えば、ハードウェア定義のグループ、ソフトウェア定義のグループなど)の伝送位相および/または振幅、好ましくは(例えば、位相アンテナアレイまたは他のアダプティブアンテナアレイのようなアンテナアレイの)1または複数の送信機の各アクティブアンテナの伝送位相および/または振幅を含む。第2の例では、伝送パラメータが、アンテナによって規定される1または複数のビームフォーミングネットワーク(例えば、Rotmanレンズ、Butlerマトリックスなど)に関連するビームフォーミングパラメータを含む(例えば、ソフトウェア定義のアンテナグループのような1または複数のアンテナグループは、各々が別個のビームフォーミングネットワークを規定する)。第3の例では、伝送パラメータが、送信機(例えば、ハードウェアおよび/またはソフトウェア定義のアンテナグループなどの1または複数のアンテナグループが、それぞれ別個のスーパーゲイン構造を定義する)および/または受信機のアンテナによって規定される1または複数のスーパーゲイン構造(例えば、アンテナ、アレイなど)に関連するスーパーゲイン励起パラメータを含む。しかしながら、伝送パラメータは、追加的または代替的には、他の任意の適切なパラメータを含むことができる。
【0033】
伝送パラメータの評価S400は、任意選択的には、1または複数のアンテナグループ(例えば、ソフトウェア定義アンテナグループ)を決定するステップを含むことができ、それは、伝送パラメータ空間の次元を低減するために使用され得る(例えば、伝送パラメータによって定義される空間は、部屋などの空間領域内の物体の位置および/または向きによって規定される物理的空間とは異なる)。例えば、各アクティブアンテナに関連するパラメータ(例えば、伝送位相および/または振幅)を独立して制御するのではなく、伝送パラメータ空間の次元を、各アンテナグループに関連するパラメータ(例えば、伝送位相および/または振幅、ビームフォーミングパラメータ、スーパーゲイン励起パラメータなど)に減らすことができる。第1の実施形態では、(例えば、送信機の特性に基づいて;固定位置に設置された送信機など、送信機の近くの固定要素の特性に基づいて)グループが予め定義される。第2の実施形態では、グループが、統計的分析および/または機械学習技術などに基づいて(例えば、システムの1または複数の受信機において受信された無線電力に関連するデータなど、以下に説明するように求められるデータを使用して)動的に決定される。例えば、主成分分析および/またはクラスタリング手法(例えば、k-meansクラスタリング、X-meansクラスタリング、スペクトルクラスタリングなど)は、アンテナグループを決定するために使用することができる(例えば、高度に相関するアンテナおよび/またはアンテナパラメータが一緒にグループ化され、クラスタのアンテナが一緒にグループ化される等である)。しかしながら、アンテナグループは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で決定することができ、あるいはアンテナグループが決定されない場合もある。
【0034】
S400は、(例えば、
図1Bに示すように)予備評価の実行S410と、受信機グループの決定S420と、多目的最適化の実行S430と、および/または伝送計画の決定S440とを含む。しかしながら、S400は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で伝送パラメータを評価することを含むことができる。
【0035】
4.2.1 予備評価の実行
予備評価の実行S410は、好ましくは、伝送パラメータ空間と目的空間(例えば、各受信機への電力伝送を示す空間)内の点間のマッピングのセットを決定するように機能し、より好ましくは、それらの点が、1または複数の受信機への電力供給のための1または複数の効率的な伝送設定に近い(伝送パラメータ空間内にある)点を含む。S410は、好ましくは、送信機-受信機の近接度の判定S100に応答して実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な時に実行することができる。
【0036】
S410は、好ましくは、1または複数の伝送設定を評価することを含む。各伝送設定は、好ましくは、2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」という発明の名称の米国特許出願第16/001,725号に記載されているように(例えば、伝送パラメータ値の決定S200に関して記載されているように、特に候補の伝送パラメータ値の評価S220に関して記載されているように)評価される。この出願は、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする。追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で評価することが可能である。評価された各送信設定について、S410は、好ましくは、対応する評価空間値(例えば、送信機の通信範囲内の各受信機などの各受信機で受信された電力;受信機で受信された電力を、伝送電力または送信機で消費された電力などの伝送電力値で割ることにより計算される電力供給効率などの電力に比例する値など)を決定および/またはキャッシュすることを含む。
【0037】
一実施例では、S410が、各受信機(例えば、送信機の通信範囲内の各受信機)について、その受信機のための最適な伝送設定を決定するために探索(例えば、単一値の目的関数探索)を実行することを含む。この探索は、好ましくは、他の受信機の性能を考慮することなく実行される。しかしながら、探索中の他の受信機(および/または任意の負帰還受信機)の性能(例えば、他の受信機によって受信された電力)に関連する情報は、(例えば、S410の一部として実行される探索などの後続の探索で使用するために、受信機グループの決定S420のために、かつ/または多目的最適化の実行S430などのために)好ましくは、決定および/またはキャッシュされる。探索は、2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」という発明の名称の米国特許出願第16/001,725号に記載されているように(例えば、伝送パラメータ値S200の決定に関して記載されているように)実行することができ、かつ/または他の任意の適切な方法で実行することができる。この出願は、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする。いくつかの実施形態では、この探索が、(例えば、局所最適探索の実行S230に関して米国特許出願第16/001,725号に記載されているように)局所最適探索に限定される一方、他の実施形態では、受信機の一部またはすべての探索が、(例えば、グローバル最適探索の実行S240に関して米国特許出願第16/001,725号に記載されているように)グローバル最適探索を含むことができる。
【0038】
追加的または代替的には、1または複数の他の受信機の性能を、この探索の実行中に考慮することができる。実施例では、探索の基礎となる目的関数が、複数の受信機の性能の関数(例えば、全体が引用により本明細書に援用される2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」という発明の名称の米国特許出願第16/001,725号に記載されているような、各受信機で受信される電力の多変量関数および/または他の任意の適切な多変量関数)となり、かつ/または探索が、多目的探索であり得る(例えば、各目的関数が異なる受信機または異なる受信機セットに関連付けられている)。システムが1または複数の負帰還受信機(例えば、RFに敏感なコンポーネントに近接して配置された負帰還受信機)を含む変形例では、1または複数の負帰還受信機で受信された電力を、この探索の実行中に考慮することができる。例えば、1または複数の目的関数は、負帰還受信機のうちの1または複数への電力供給に関連する1または複数のペナルティ項を含むことができる(例えば、目的関数値が、負帰還受信機への電力供給を減少させることによって改善される)。
【0039】
しかしながら、S410は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で予備評価を実行するステップを含むことができる。
【0040】
4.2.2 受信機グループの決定
受信機グループの決定S420は、好ましくは、同じ伝送設定の下で良好に動作することができる(例えば、動作することが期待される)受信機の1または複数のグループを決定するように機能する。好ましくは、各受信機グループについて、それぞれのグループの各受信機への高速かつ/または効率的な(例えば、閾値を超える)電力伝送が達成される伝送設定を決定することが可能であると期待される。
【0041】
S420は、好ましくは、受信機グループのセットを決定することを含む。各グループは、好ましくは、少数の受信機(例えば、2または3の受信機)を含むが、追加的または代替的には、より多数の受信機(例えば、4、5、6~10、10超など)を含むことができる。受信機グループのセットは、好ましくは、すべての受信機に及ぶ(例えば、各受信機が少なくとも1の受信機グループに含まれる)。受信機グループは、解体することも、重複させることもできる。いくつかの例では、受信機グループの数が、受信機の数よりも多い(例えば、2倍、10倍よりも遙かに多い)(すなわち、各受信機が複数の受信機グループに属する)。
【0042】
S420は、好ましくは、S410に応答して(例えば、S410の完了時に)実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な時に実行することができる。
【0043】
S420は、好ましくは、特定の伝送設定の目的関数値など(例えば、各受信機で受信された電力、各受信機への電力伝送効率など)、S410で決定されたマッピングに基づいて実行される。例えば、S420は、各受信機の最適な伝送設定におけるすべての受信機(またはそのサブセット)の目的関数値(例えば、受信機1の最適な伝送設定、受信機2の最適な伝送設定、受信機3の最適な伝送設定など、最適な伝送設定におけるすべての受信機の目的関数値のセット)に基づいて実行することができる。S420は、追加的または代替的には、補間値(例えば、S430に関して後述するように決定された値)に基づいて実行することができる。しかしながら、受信機グループは、追加的または代替的には、他の任意の適切な情報に基づいて決定することができる。
【0044】
第1の実施形態では、受信機グループは、パラメータ空間において互いに近接する最適な伝送設定を有する受信機に基づいて決定される。この実施形態の第1の例では、最適な伝送設定が互いに(例えば、伝送パラメータ空間において)閾値距離未満であるすべての受信機がグループ化される。第2の例では、予め設定された数の受信機(例えば、2または3の受信機など、各グループについて所望数の受信機)が、それらの最適伝送設定の近接度に基づいてグループ化される(例えば、各受信機は、最適伝送設定が自身の最適伝送設定に最も近い受信機とともにグループ化される)。
【0045】
第2の実施形態では、特定の伝送設定で十分な性能を有する受信機が一緒にグループ化される。この実施形態の第1のバリエーションでは、受信機が、特定の受信機の最適な伝送設定下での受信機の性能に基づいてグループ化される。このバリエーションの第1の例では、特定の受信機が、この伝送設定において閾値より高い性能を示す他のすべての受信機(または僅か1または2の他の受信機など、限られた数の受信機)と一緒にグループ化される。第2のバリエーションでは、特定の受信機が、特定の数(例えば、1または2など、予め設定された数)の他の受信機(例えば、この伝送設定で最も性能の良い受信機)とグループ化される。第2のバリエーションでは、複数の受信機が実質的に等しく(例えば、1%、5%、10%、25%、100%など、互いに閾値量の範囲内で)性能を発揮する伝送設定における受信機の性能が、好ましくは、受信機が閾値最小性能(例えば、閾値絶対量、または閾値相対量、例えば、最適な受信機性能の10、20、50、70、80、90、90、0~25、25~60、60~80、80~95、または95~100%など)を上回る性能を発揮する伝送設定に限定されると考えられる。このバリエーションでは、受信機性能を、絶対的な性能測定基準(例えば、受信電力)および/または相対的な性能測定基準(例えば、各受信機が、それ自体の最適な伝送設定の下での性能と比較される)に基づいて比較することができる。このバリエーションでは、実質的に等しく性能を発揮する受信機が、好ましくはグループを規定する。
【0046】
第3の実施形態では、受信機のグループが、分類アルゴリズム(例えば、クラスタリングアルゴリズム)などの1または複数の統計的および/または機械学習技術を用いて決定される。グループ決定(例えば、クラスタリング)は、各受信機に最適な伝送設定に基づいて、既知のすべての伝送設定(例えば、S410の実行中に決定されたすべてのマッピング)に基づいて、かつ/または他の任意の適切な情報に基づいて実行することができる。クラスタリングは、例えば、k-meansクラスタリング、X-meansクラスタリング、スペクトルクラスタリングおよび/または他の任意の適切なクラスタリング手法を用いて実行することができる。
【0047】
第4の実施形態では、受信機が、空間的な理由に基づいてグループ化される(例えば、物理的空間内で互いに近接する受信機が一緒にグループ化される)。受信機相互の近接度は、受信信号強度表示(RSSI)、空間センサ(例えば、受信機、送信機、補助デバイスなどの空間センサ)、画像データ(例えば、受信機、送信機、補助デバイスなどによってサンプリングされたもの)および/または他の任意の適切な情報(例えば、送信機-受信機の近接度の決定S100に関して述べたような情報)に基づいて決定することができる。
【0048】
第5の実施形態では、グループがランダムに決定される。第6の実施形態では、特定の1または複数のサイズ(例えば、すべてのペア、すべての3つ組、サイズ4のすべてのグループなど)のすべての可能性のある受信機グループが使用される。いくつかの例では、受信機グループが、本明細書にその全体が引用により援用される2018年11月28日に出願された米国仮出願第62/772,425号に記載されているように決定される。
【0049】
S420は、任意選択的には、1または複数の受信機(例えば、十分に高い電力伝送を達成することが困難または不可能である受信機)を、如何なる受信機グループにも含めないことなどによって、検討から除外することを含むことができる。例えば、各受信機(またはそのサブセット)について、既知の伝送設定が何れも、閾値(例えば、予め定められた値、受信機の消費電力および/または充電状態に対する相対的な値、平均または最小の目的関数の最大値などの他の目的関数値に対する相対的な値など)よりも大きい目的関数値(検討中の受信機に関連付けられた目的関数に対する)を達成しない場合、その受信機を検討から除外することができる。しかしながら、受信機を、他の任意の適切な決定に基づいて、追加的または代替的に検討から除外することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、S400が、任意選択的には、多目的最適化S430の実行中および/または実行後に(例えば、目的関数値などの多目的最適化の1または複数の結果に基づいて)受信機グループを決定するステップS420を含むことができる。例えば、S420を繰り返して、1または複数の予備的な多目的最適化の結果などに基づいて、受信機グループを修正する(かつ/または新しいグループを決定する)ことができる(例えば、この場合、S430が、ゆるい収束基準を用いて実行されたり、短い時間またはサイクル数などで実行されたりする)。第1の特定の例では、3台の受信機のグループに対する多目的最適化が適切な1または複数の伝送設定を見付けることができない場合、3台の受信機のうちの1台を、グループから除去することができ(かつ、例えば、新規または既存の受信機グループなどの異なるグループに追加して、かつそれ以外のグループに追加しない)。第2の特定の例では、いくつかの多目的最適化の結果が、潜在的に有益な可能性のある受信機グループを示している場合(例えば 多目的最適化が1または複数の伝送設定を評価し、それに対して、現在同じグループに割り当てられていない受信機などの複数の受信機が良好な性能を示し、かつ/または予備評価に基づいて受信機グループの決定に関して上述したような他の目的関数の態様を示す場合)、可能性のある受信機グループを受信機グループのセットに追加することができる(かつ、例えば、他のグループをそのまま変更せずに、新しいグループの受信機を1または複数の他のグループから除去することができる)。
【0051】
しかしながら、S420は、追加的または代替的に、他の任意の適切な方法で、他の任意の適切な時に、かつ/または他の任意の適切な情報に基づいて、受信機グループを決定するステップを含むことができる。
【0052】
4.2.3 多目的最適化の実行
多目的最適化の実行S430は、好ましくは、複数の効率の良い伝送設定(例えば、1または複数のパレート最適曲面に近い設定)を決定するように機能する。S430は、好ましくは、全体が引用により本明細書に援用される2018年6月6日に出願された「Method and System for Wireless Power Delivery」という発明の名称の米国特許出願第16/001,725号に記載されているように(例えば、多目的探索アプローチの使用に関して記載されているように)実行される。例えば、S430は、1または複数の多目的探索アプローチを使用してグローバル最適探索を実行することを含むことができる。
【0053】
各受信機グループ(例えば、S420で決定された各グループ)またはそのようなグループのサブセットについて、S430は、好ましくは、そのグループの受信機のパレート最適曲面上および/またはその近傍の伝送設定を探索すること(例えば、検討中のグループに含まれない受信機の性能に関連する情報とは無関係に、好ましくは、決定および/またはキャッシュすること)を含む。受信機のグループのパレート最適曲面は、パレート効率的な(他の伝送設定によってパレート支配されない)伝送設定のセットとして定義される。例えば、2台の受信機を有する(よって、2つの目的関数:f
iおよびf
jを含む)受信機グループでは、パレート効率的な設定xは、
であるか、
である設定x’が存在しないものである。パレート最適曲面上および/またはその近傍の伝送設定のセットは、品質および/またはダイバーシティのような1または複数の測定基準に基づいて評価することができる。例えば、セットの品質は、目的空間内の対応する点がパレート最適曲面(好ましくは真のパレート最適曲面、追加的または代替的には、その近似値および/または他の任意の適切なパレート最適曲面)に近いほど品質が高くなるように定義することができ(ここで、パレート最適曲面までの距離は、セット全体の平均距離、パレート最適曲面全体の平均距離、セット全体の最大距離などに基づいて決定され)、かつ/またはセットのダイバーシティは、セットがパレート最適曲面に沿ってより均等に分布しているときに(例えば、パレート最適曲面に投影された目的空間内の点が、パレート最適曲面の全範囲にわたってより均等に間隔を空けて配置されているときに)、ダイバーシティがより高くなるように定義することができる。しかしながら、セットを、追加的または代替的には、他の任意の適切な測定基準に基づいて評価することができる(かつ/または評価しなくともよい)。
【0054】
伝送設定の探索は、パレート焼きなまし法(PSA)、多目的焼きなまし法(MOSA)、多目的粒子群最適化(MOPSO)、多目的遺伝的局所探索(MOGLS)、修正多目的遺伝的局所探索(MMOGLS)、非支配ソート遺伝的アルゴリズム(NSGA)、NSGA II、NSGA IIC、Strength パレート進化的アルゴリズム(SPEA)、パレート測定基準アルゴリズム(PMA)、IMMOGLS、SMOSA、UMOSAおよび/またはDMOSAなどの1または複数の多目的探索アプローチを使用することを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、それら伝送設定の探索が、目的空間へのマッピングが既知である(例えば、S410で決定された)伝送設定のセットから始めることを含む。このセットは、好ましくは、目的関数のセット(好ましくは、グループの各受信機について、受信機に関連付けられた目的関数を含む)について、伝送パラメータ空間内のすべての既知の非支配点(既知のパレート非支配点)を含む(例えば、目的空間へのマッピングが既知である点であって、目的空間へのマッピングが既知である他の任意の点によってパレート支配されていない点を含む)。既知の非支配点は必ずしもパレート効率的ではなく、他のどの点も(その目的空間へのマッピングが既知であるか否かにかかわらず)既知の非支配点のいずれをも支配しない。むしろ、既知の非支配点は、既知の点(目的空間へのマッピングが既知である点)の何れもが既知の非支配点の何れをも支配しない点に限定される。しかしながら、セットは、既知の非支配点のサブセットを代替的に含むことができ、追加的または代替的には、パレート支配点(例えば、目的空間へのマッピングが既知である1または複数の他の点によってパレート支配されている点)および/または伝送パラメータ空間内の他の任意の適切な点を含むことができる。セットは、追加的または代替的に、補間された点(例えば、以下に説明するように決定された点)を含むことができる。
【0056】
これらの実施形態では、探索が、好ましくは、高ダイバーシティアプローチ(例えば、PSA)を使用して、高ダイバーシティを有する複数の伝送設定を決定することによって開始される。高ダイバーシティアプローチは、予め設定された反復回数、予め設定された実行時間、収束基準が満たされるまで(例えば、パレート最適曲面を近似するのに十分な回数、非支配点の閾値が決定されるまで、あるいはセットによって十分なダイバーシティ測定基準が達成されるまで)、かつ/または他の任意の適切な時間にわたって、実行することができる。高ダイバーシティアプローチに続いて、好ましくは、(例えば、高ダイバーシティアプローチを使用して発見された伝送設定から始めて)高品質の伝送設定を見付けるために(例えば、真のパレート最適曲面に近い伝送設定を見付けるために)高品質のアプローチ(例えば、MOPSO)が用いられる。高品質アプローチは、予め設定された反復回数、予め設定された実行時間、収束基準が満たされるまで(例えば、閾値品質測定基準がセットによって達成されるまで)、かつ/または他の任意の適切な時間にわたって実行することができる。それら実施形態は、任意選択的には、高ダイバーシティおよび/または高品質アプローチを、1または複数の追加の反復で(例えば、各反復について、前の探索反復を使用して発見された伝送設定から開始して)繰り返すことを含むことができる。一例として、PSAを実行し、次いでMOPSOを実行し、次いでMOPSOの結果を用いて再びPSAを実行することを含む。第2の例として、PSAとMOPSOとを交互に何回か(例えば、それぞれ2、3、4、または5~10回の反復など)行うことを含む。
【0057】
探索は、任意選択的には、補間を使用することを含むことができる。補間は、高ダイバーシティアプローチの代わりに、高ダイバーシティアプローチの前および/または後に、好ましくは高品質アプローチの前に実行することができ、追加的または代替的には、高品質アプローチの後および/またはその代わりに実行することができる。補間は、好ましくは、伝送パラメータ空間において実行され、好ましくは、区間補間(例えば、区間一定補間、区間線形補間、スプライン補間など)である。補間は、一定補間、線形補間、多項式補間および/または他の任意の適切な補間であってもよい。
【0058】
各受信機グループについて、S430は、好ましくは、複数の非支配的な伝送設定(例えば、そのグループの受信機の性能のみを考慮すると非支配的であり、よって、それらの受信機に関連付けられた目的関数のみに基づいて非支配的な伝送設定)を決定する。それら複数の各々は、好ましくは、単一の受信機の最適条件に対応する伝送設定(例えば、S410で決定されるような、グループの各受信機についての最適な伝送設定)を含むが、代替的には、そのような設定を除外することができる。しかしながら、S430は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で多目的最適化を実行することを含むことができる。
【0059】
4.2.4 伝送計画の決定
伝送計画の決定S440は、好ましくは、電力がどのように受信機に伝送されるのかを決定するように機能する。S440は、好ましくはS430の実行に応答して実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な時に実行することができる。S440は、好ましくは、所望の電力供給を決定するステップS441と、伝送設定のセットを選択するステップS442と、および/または伝送設定の持続時間を決定するステップS443とを含むが、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0060】
所望の電力供給の決定S441は、好ましくは、各受信機について、その受信機への所望の電力供給に関連する測定基準を決定することを含む。測定基準は、好ましくは、バッテリ(例えば、受信機に関連付けられたクライアントデバイスのバッテリ)を閾値まで充電するのに必要なエネルギーなど、供給される総エネルギーである。測定基準は、代替的には、供給される平均または最小電力(例えば、受信機によって給電されるデバイスによる予想平均電力消費以上の平均値または最小値)など、電力供給測定基準であってもよい。しかしながら、測定基準は、代替的には、デバイスのエネルギー状態および/または消費量などの情報に基づいて決定された他の任意の測定基準であってもよく、あるいは他の任意の適切な測定基準であってもよい。測定基準(および/または測定基準を決定するための情報)は、好ましくは、受信機から(例えば、無線通信を介して)受信される(例えば、送信機によって)が、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で決定することができる。S441は、好ましくは、各受信機(例えば、送信機の通信範囲内の受信機)について実行されるが、追加的または代替的には、任意の適切な受信機のセットについて実行することができる。
【0061】
システムが1または複数の負帰還受信機を含む実施形態では、S441は、任意選択的に、1または複数の負帰還受信機について(好ましくは、そのような受信機すべてについて)、関連する測定基準(例えば、上述したような測定基準)を決定することを含むことができる。例えば、負帰還受信機に関連する測定基準は、最大電力(例えば、熱放散時間枠にわたって平均化されるような平均電力、瞬時電力など)および/または総エネルギー供給値とすることができる。しかしながら、S441は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で負帰還受信機を説明することを含むことができる。
【0062】
S441は、任意選択的には、1または複数の受信機(例えば、十分に高い電力供給を達成することが困難または不可能である受信機)を、関連する測定基準をゼロに設定すること等によって、検討から除外することを含むことができる。例えば、各受信機(またはそのサブセット)について、既知の伝送設定が何れも、閾値(例えば、予め定められた値、受信機の消費電力および/または充電状態に対する相対的な値、他の目的関数値に対する相対的な値、例えば平均目的関数の最大値、複数の非支配的な伝送設定またはそのサブセット、例えば目的関数に基づいて決定されたサブセットの平均目的関数値、最小目的関数の最大値、複数の非支配的な伝送設定またはそのサブセット、例えば目的関数に基づいて決定されたサブセットの最小目的関数値など)よりも大きい目的関数値(検討中の受信機に関連付けられている目的関数に対する)を達成しない場合、その受信機を検討から除外することができる。しかしながら、S441は、追加的または代替的に、他の任意の適切な方法で測定基準を決定することを含むことができる。
【0063】
伝送設定のセットを選択することS442は、好ましくは、S430で決定された複数の非支配的な伝送設定(例えば、異なる受信機グループに関連付けられたそれぞれ複数)から選択することを含む。S442は、好ましくは、それら設定のサブセットを選択することを含む。例えば、S442は、それぞれの複数から、閾値数(例えば、1、2、3、4~9、10~30、30~100など)の伝送設定を選択することを含むことができる。特定の例では、S442が、それぞれの複数から、単一の伝送設定を選択することを含む。
【0064】
複数の非支配的な伝送設定からサブセット(例えば、最適サブセット)を選択することは、最適化探索を実行すること(例えば、最適サブセットを決定すること)を含むことができ、最適サブセットは、好ましくは、最適伝送計画に関連付けられたサブセット(例えば、最適伝送計画が、非ゼロ充電時間および/またはデューティサイクルを指定する設定のサブセット)である。探索を実行することは、好ましくは、候補サブセットを評価すること(例えば、候補サブセットに基づいて目的関数を評価すること)を含む。候補サブセットを評価するために、候補サブセットの電力伝送持続時間を(例えば、S443に関して以下に説明するように)決定することができ、候補サブセットの測定基準をそれらの持続時間(例えば、持続時間の合計)に基づいて決定することができる。例えば、探索の最適化の目標は、総充電時間(例えば、すべての受信機への所望のエネルギー供給を達成するために必要な時間)の最小化とすることができる。探索は、グリッドサーチ(例えば、適応型グリッドサーチ)、ヒルクライムアルゴリズム、離散進化アルゴリズムおよび/または他の任意の適切なアルゴリズムなど、1または複数の離散最適化アルゴリズムを使用して(例えば、候補サブセットの測定基準に基づいて)実行することができる。システムが1または複数の負帰還受信機を含む実施形態では、探索を、任意選択的には、負帰還受信機の測定基準(例えば、最大閾値電力および/またはエネルギーを超過しない)に基づいて制約することができる。しかしながら、最適サブセットは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で決定することができる(または、他の任意の適切なサブセットを選択することができる)。
【0065】
代替的には、S442は、非支配的な伝送設定のすべてを(例えば、そのような設定を検討から除外せずに)選択することを含むことができる。
【0066】
伝送設定の持続時間の決定S443は、好ましくは、伝送設定のサブセット(例えば、S442で選択された最適サブセット、S442で実行される最適サブセットの探索中に検討される候補サブセットなど)に対して実行される。好ましくは、S443は、線形計画問題を解くことを含む。
【0067】
この問題について、制約条件は、好ましくは、(例えば、S441で決定された所望の電力供給に基づいて)各受信機に所望量のエネルギーを供給することである。例えば、各受信機についての制約条件は、次のように表すことができる。
ここで、各y
jは、検討されるサブセットの伝送設定を表し、f
i(y
j)は、伝送設定y
jの下で受信機iに供給される電力を表し、E
iは、受信機iに供給される最小総エネルギーを表し、t
jは、伝送設定y
jの下で伝送が行われる持続時間(S443を実行することによって解かれる持続時間)を表し、好ましくは、サブセットのすべての伝送設定についての合計が求められるが、代替的には、関連する受信機のセットが受信機iを含む(サブセットの)伝送設定のみについての合計が求められ、かつ/または、他の適切な伝送設定についての合計が求められる。1または複数の受信機が優先状態(例えば、高、中、低充電優先度のような優先順位分類、優先順位ランキング、優先順位スコアなど)に関連付けられる実施形態では、制約条件を、任意選択的には、優先状態に基づいて変更することができる。例えば、すべての受信機の測定基準を満たすような合計伝送時間が増加するとしても、結果として得られる伝送計画が、より高い優先度の受信機への電力供給を優先するように、制約条件を変更することができる(例えば、変更されていない制約条件と比較して、高い優先度の受信機を満たすのに必要な伝送時間は減少するが、低い優先度の受信機を満たすのに必要な伝送時間は増加する)。システムが1または複数の負帰還受信機を含む実施形態では、線形計画問題が、追加的または代替的には、負帰還受信機の測定基準に基づいて(例えば、最大閾値電力および/またはエネルギーを超過しないように)制約され得る。
【0068】
線形計画問題の目的関数は、好ましくは、制約条件(例えば、個々の持続時間の和ttotal=Σjtj)を満たすために必要な総伝送時間を最小化することである。線形計画問題は、1または複数のシンプレックスアルゴリズム、クリスクロスアルゴリズム、内点法(例えば、パス追跡法、楕円体法、カーマーカーのアルゴリズム、アフィンスケーリング法、Mehrotraのプレディクタ・コレクタ法など)、列生成アルゴリズム、および/または他の任意の適切な線形計画法を用いて解くことができる。
【0069】
しかしながら、S443は、追加的または代替的には、持続時間(またはそのサブセット)の非線形関数を最適化することによって持続時間を決定すること、および/または他の任意の適切な方法で持続時間を決定することを含むことができる。
【0070】
S440は、好ましくは、伝送計画を決定することを含み、その計画は、好ましくは、最適なサブセット(例えば、S442で選択される)と、最適なサブセットの各伝送設定について、関連する伝送持続時間(例えば、S443で決定される)および/またはデューティサイクル(例えば、伝送持続時間に基づいて決定され、例えば、関連する伝送設定のための伝送持続時間を全伝送持続時間の合計で割った値に等しい)とを示す(例えば、含む)。しかしながら、S440は、追加的または代替的には、任意の適切な方法で他の任意の適切な送信計画を決定することを含むことができる。
【0071】
4.3 伝送計画に基づく電力の伝送
伝送計画に基づく電力の伝送S700は、受信機に電力をワイヤレスで供給するように機能することができる。電力は、好ましくは、伝送パラメータの評価S400に応答して(例えば、伝送計画の決定S440に応答して)伝送される(S700)が、追加的または代替的には、他の任意の適切な時に実行することができる。電力は、好ましくは、送信機の範囲内の受信機の滞留時間全体にわたって伝送される(S700)が、追加的または代替的には、断続的に、スケジュールに従って、受信機動作パラメータ(例えば、充電状態)に基づいて、かつ/または他の任意の適切なタイミングで伝送されるものであってもよい。
【0072】
S700は、好ましくは、計画によって示される伝送設定(例えば、設定の最適なサブセット)を循環することを含み、より好ましくは、そのような循環は、計画によって示されるように(例えば、関連する持続時間および/またはデューティサイクルに比例して)時間で重み付けされる。例えば、設定を、予め設定された合計サイクル周波数で循環させることができ、各持続時間を、予め設定された数の時間スライスに分割(例えば、均等に分割)することができ、かつ/または設定を、他の任意の適切な速度で循環させることができる。代替的には、時間重み付け(および/または他の任意の適切な時間重み付け)無しで、設定を循環させることができ、例えば、所望の持続時間が経過したら、設定をサイクルから除くことができる。しかしながら、S700は、追加的または代替的には、他の任意の適切な伝送設定の下で任意の適切な期間伝送することを含むことができる。
【0073】
電力は、好ましくは、1または複数の純音(または、閾値帯域幅未満の帯域幅を規定するような実質的に純音)信号として伝送される(例えば、1または複数のスーパーゲイン構造および/または他の狭帯域幅アンテナを使用する実施形態において有益となり得る)が、追加的または代替的には、他の任意の適切な形式で伝送されるようにしてもよい(例えば、より広い帯域幅のアンテナを使用する実施形態、通信信号が電力と共に送信される実施形態など)。第1の具体例では、放射がGHzスケールの周波数である(例えば、5~10GHz、例えば、5.8GHzおよび/または5.8GHzを超える)。第2の具体例では、放射が数百MHzスケールの周波数(例えば、100~500MHz、例えば、433MHzおよび/または433MHz未満;700~1100MHz、例えば806~821MHz、851~870MHz、896~902MHz、902~928MHz、および/または935~941MHzなど)である。しかしながら、電力は、追加的または代替的には、他の任意の適切な形態で受け取ることができる。
【0074】
S400(またはその1または複数の要素)は、任意選択的には、電力伝送S700中に繰り返すことができる(例えば、電力伝送は、伝送パラメータ再評価中に一時的に停止される)。S400の繰り返し実行は、好ましくは、最近決定された伝送設定を初期値として使用するが、追加的または代替的には、他の任意の適切な値を使用することができる(例えば、S400の初期実行中に行われるように、他の以前に決定された値などを使用する)。S400は、伝送される電力の変化(例えば、絶対的または相対的な閾値よりも大きい)の検出、移動の検出(例えば、IMU測定値のような受信機および/または送信機の測定値に基づく)、システムに近接する追加の受信機および/または送信機の検出S100、(例えば、更新されたバッテリ充電情報に基づく)1または複数の受信機への所望の電力供給の変化の判定(例えば、そのような変化に応答する繰り返しS440)、あるいはユーザ入力の受信に応答して繰り返すことができ、周期的に(例えば、予め設定されたレートで、あるいは動的に決定されたレート、例えば、システムおよび/またはその性能の観察および/または予想される時間的および/または空間的な安定性に基づいて決定されるレートであって、好ましくはより低い安定性がより迅速なレートに対応する、レート等で)、散発的に、ランダムに繰り返すことができ、かつ/または他の任意の適切な時に繰り返すことができる。しかしながら、電力は、他の任意の適切な方法で伝送することができ(S700)、本方法は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で実行される他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0075】
簡潔にするために省略するが、好ましい実施形態は、様々なシステムコンポーネントおよび様々な方法プロセスのあらゆる組合せおよび並べ替えを含むことができる。さらに、好ましい方法の様々なプロセスは、コンピュータ可読命令を記憶するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成された機械として、少なくとも部分的に具現化および/または実施することができる。命令は、好ましくはシステムに統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行されることが好ましい。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブまたは任意の適切なデバイスなど、任意の適切なコンピュータ可読媒体に記憶することができる。コンピュータ実行可能なコンポーネントは、好ましくは、一般的またはアプリケーション固有の処理サブシステムであるが、任意の適切な専用ハードウェアデバイスまたはハードウェア/ファームウェアの組合せデバイスが、追加的または代替的に命令を実行することができる。
【0076】
図面は、好ましい実施形態、例示的な構成およびそれらの変形例に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、ステップまたはコードの一部を示し、指定された1または複数の論理機能を実装するための1または複数の実行可能命令を含む。また、いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載の機能が、図面に記載される順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行され得るか、あるいはそれらブロックは、関連する機能に応じて時に逆の順序で実行され得る。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実装され得ることにも留意されたい。
【0077】
当業者であれば、前述した詳細な説明、並びに、図面および特許請求の範囲から認識されるように、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を加えることができる。