(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】内視鏡のための光学系、および内視鏡のための光学系の遠位光学アセンブリを近位光学アセンブリに固定する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220708BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/00 522
A61B1/00 715
G02B23/26 C
(21)【出願番号】P 2020548965
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2019055406
(87)【国際公開番号】W WO2019174967
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】102018105846.2
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591228476
【氏名又は名称】オリンパス ビンテル ウント イーベーエー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴィータース マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シェラー ウーヴェ
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0143162(US,A1)
【文献】特開平08-029701(JP,A)
【文献】特開2000-342512(JP,A)
【文献】特開2000-010022(JP,A)
【文献】特開2009-018164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0058581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
G02B23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡(2)のための光学系(10)であって、遠位光学アセンブリ(12)と近位光学アセンブリ(14)とを備え、前記光学系(10)は、細長形状を有する少なくとも1つの棒状の固定要素(15、16)としての第1固定要素(15)及び第2固定要素(16)を備え、前記近位光学アセンブリ(14)は、それぞれ画像センサ(40)を受容するよう構成された第1ホルダ(20)と第2ホルダ(21)とを備え、
前記光学系(10)は、前記第1固定要素(15)が前記第1ホルダ(20)を前記遠位光学アセンブリ(12)に固定し、前記第2固定要素(16)が前記第2ホルダ(21)を前記遠位光学アセンブリ(12)に固定する、光学系(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、前記光学系(10)の長手軸線(56)に平行な方向に延びる、光学系(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、円筒形状を有し、前記固定要素(15、16)の円筒軸線(18)は、前記光学系(10)の前記長手軸線(56)に平行に延びる、光学系(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、前記遠位光学アセンブリ(12)と一体的に製造される、光学系(10)。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、別々の要素として製造され、前記遠位光学アセンブリ(12)のマウント(13)に固定される、光学系(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、基材から製造され、コーティングが施され、前記コーティングは前記基材よりも良好なはんだ濡れ性を有する、光学系(10)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、基材から製造され、前記遠位光学アセンブリ(12)の前記マウント(13)は、マウント材料から製造され、前記基材は前記マウント材料と異なる、光学系(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は、はんだ付け接合により、前記近位光学アセンブリ(14)に固定される、光学系(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の光学系(10)であって、前記第1ホルダ(20)は、前記光学系(10)の長手軸線(56)において前記第2ホルダ(21)に対して軸対称に配置され、前記第1ホルダ(20)と前記第2ホルダ(21)とが互いに固定される、光学系(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の光学系(10)であって、前記光学系(10)は、第1固定要素(15)と第2固定要素(16)とを備え、各ホルダ(20、21)は、それぞれにおいて、第1固定領域(26)と第2固定領域(27)とを備え、前記第1固定要素(15)は、前記遠位光学アセンブリ(12)を、前記第2ホルダ(21)の前記第1固定領域(26)と前記第1ホルダ(20)の前記第2固定領域(27)とに固定し、前記第2固定要素(16)は、前記遠位光学アセンブリ(12)を、前記第1ホルダ(20)の前記第1固定領域(26)と前記第2ホルダ(21)の前記第2固定領域(27)とに固定する、光学系(10)。
【請求項11】
請求項2,3,9のいずれか1項に記載の光学系(10)であって、前記光学系(10)は、第1光軸(53)を有する第1レンズ系チャネル(51)と、第2光軸(54)を有する第2レンズ系チャネル(52)とを備え、前記第1光軸(53)は、前記第2光軸(54)と前記光学系(10)の前記長手軸線(56)とに平行に延び、第1固定要素(15)は前記第1レンズ系チャネル(51)の上に配置され、第2固定要素(16)は前記第2レンズ系チャネル(52)の下に配置される、光学系(10)。
【請求項12】
内視鏡(2)であって、請求項1から11のいずれか1項に記載の光学系(10)を備える、内視鏡(2)。
【請求項13】
内視鏡(2)のための光学系(10)の近位光学アセンブリ(14)を遠位光学アセンブリ(12)に固定する方法であって、前記近位光学アセンブリ(14)は、
細長形状を有する棒状の固定要素(15、16)
としての第1固定要素(15)及び第2固定要素(16)と、それぞれ画像センサ(40)を受容するよう構成された第1ホルダ(20)及び第2ホルダ(21)とを備え、
前記第1固定要素(15)により前記第1ホルダ(20)が前記遠位光学アセンブリ(12)に固定され、前記第2固定要素(16)により前記第2ホルダ(21)が前記遠位光学アセンブリ(12)に固定され、これにより、
前記近位光学アセンブリ(14)が前記遠位光学アセンブリ(12)に固定され
る、
内視鏡(2)のための光学系(10)の近位光学アセンブリ(14)を遠位光学アセンブリ(12)に固定する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記固定要素(15、16)の前記細長形状は、固定のあと、前記光学系(10)の長手軸線(56)に平行な方向に延びる、方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法であって、前記固定要素(15、16)は、前記遠位光学アセンブリ(12)と一体的に製造される、方法。
【請求項16】
請求項13又は14に記載の方法であって、前記固定要素(15、16)は、別々の要素として製造され、前記遠位光学アセンブリ(12)のマウント(13)に固定される、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記固定要素(15、16)は、基材から製造され、その後コーティングが施され、前記コーティングは前記基材よりも良好なはんだ濡れ性を有する、方法。
【請求項18】
請求項13から17のいずれか1項に記載の方法であって、前記固定要素(15、16)は、はんだ付け接合により、前記近位光学アセンブリ(14)に固定される、方法。
【請求項19】
請求項5に記載の光学系(10)であって、前記固定要素(15、16)は前記遠位光学アセンブリ(12)のマウント(13)に溶接される、光学系(10)。
【請求項20】
ステレオビデオ内視鏡であって、請求項1から11のいずれか1項に記載の光学系(10)を備える、ステレオビデオ内視鏡。
【請求項21】
請求項16に記載の方法であって、前記固定要素(15、16)は、前記遠位光学アセンブリ(12)のマウント(13)に溶接される、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、遠位光学アセンブリと近位光学アセンブリとを備える、内視鏡のための光学系に関する。さらに、本発明は、内視鏡と、内視鏡のための光学系の近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法とに関する。
【0002】
医療用内視鏡では、内視鏡シャフトの外径が小さいことが望ましい。小型化を増進することに起因して、光学系の生産およびアセンブリが技術的な課題となっている。ゆえに、例えば、光学系の小型化において、内視鏡の光学特性が仕様を満たすとともに、内視鏡が操作中および準備中に曝される負荷に耐えることが保証されなければならない。また、これは、例えば光学素子や画像センサなどの部材を受容する、光学系におけるホルダに特に当てはまる。
【0003】
ステレオビデオ内視鏡は、互いに別々の2つのレンズ系チャネルを有し、2つのレンズ系チャネルは、それぞれにて、画像センサ上でそれぞれで僅かに異なる視野角を有する視野からの光束を結像する。このようにして、受容領域の立体画像を形成でき、観察者に空間の拡がり感を与える。2つのレンズ系チャネルの使用は、ステレオビデオ内視鏡の外径を不必要に拡大しないように、特に光学系の省スペース設計が必要である。
【0004】
本発明の目的は、内視鏡の光学系のためのホルダと、内視鏡のための光学系と、内視鏡と、内視鏡の光学系のためのホルダの製造方法とを記載することであって、該ホルダは、狭い設置スペースで、安定性および信頼性の高い構成を可能にすることが意図される。
【0005】
この目的は、内視鏡のための光学系によって解決され、該光学系は、遠位光学アセンブリと近位光学アセンブリとを備え、該光学系は、細長形状を有する少なくとも1つの棒状の固定要素を備え、近位光学アセンブリは固定要素により遠位光学アセンブリに固着される。
【0006】
固定要素は、好ましくは、光学系の長手軸線に平行な方向に延びる。光学系の長手軸線に平行な方向へ固定要素が整列するおかげで、遠位光学アセンブリに対する近位光学アセンブリの整列が簡潔になる。また、光学系の長手軸線に斜めに対して整列することも可能である。
【0007】
本明細書の文脈において、遠位光学アセンブリは、同様に言及される近位光学アセンブリから遠位にある光学アセンブリを意味する。同じことは近位光学アセンブリにも適用される。
【0008】
特に、遠位光学アセンブリは、挿入側レンズを備える。特に、近位光学アセンブリは、少なくとも1つの画像センサを備える。
【0009】
[発明の詳細な説明]
省スペース固定は、有利には、細長形状である固定要素によって解決される。固定要素の細長形状とは、例えば、横長のピン又はバーの形状を有する固定要素を意味する。いずれの場合でも、固定要素は横長である。すなわち、固定要素は、長手伸長方向を有し、その寸法は、該長手伸長方向に直角な方向におけるものより大きいか又はかなり大きい。例えば、固定要素の長さは、その直径よりも少なくとも2倍長い。
【0010】
複数のアセンブリのうちの1つが他のアセンブリを環状に囲む固定のための変更の場合以外では、囲んでいるアセンブリの径方向への拡大は、1つ又は複数の固定要素での固定の場合では不要である。
【0011】
固定要素は、好ましくは円筒形状であって、固定要素の円筒軸は、光学系の長手軸線に平行に延びる。円筒形の固定要素は製造し易い一方で、円筒の側面と上面は固定のための接触面として非常に適している。
【0012】
固定要素は棒形状である。つまり、固定要素は中実であって中空の円筒でなく、光学素子はその内部に配置されない。具体的には、固定要素は断面が円形である。
【0013】
固定要素は、好ましくは剛性体であり、可撓性がない物体、あるいは、曲げられない物体である。固定要素は、好ましくは空洞を有さない。硬質で空洞がない固定要素の実施形態は、特に安定した構成となる。
【0014】
固定要素により占有される空間は、具体的には、光学系への入射光のビーム路の完全に外側にある。
【0015】
固定要素は、具体的には、少なくとも1つの光学素子を受容する、遠位光学アセンブリのマウントを、少なくとも1つの別の光学素子および/または画像センサを受容する、近位光学アセンブリのホルダに接合する。
【0016】
具体的には、固定要素は、遠位光学アセンブリのマウントの前側から近位方向に突出している。マウントの前側は、遠位光学アセンブリを近位方向に終端する。固定要素の直径は、具体的にはマウントの直径より小さい。さらに、固定要素の直径は、具体的には、マウントに受容される少なくとも1つの光学素子の直径より小さい。
【0017】
実施形態によれば、固定要素は、遠位光学アセンブリと一体的に製造される。よって、この実施形態では、固定要素は、例えば、遠位光学アセンブリのマウントの一部として構成される。固定要素は、マウントの一部として、該マウントと共に一体的に製造される。
【0018】
代替の実施形態によれば、固定要素は、別体として製造され、遠位光学アセンブリのマウントに固定され、具体的には溶接される。この実施形態では、遠位光学アセンブリと固定要素とは別々に製造される。この利点は、遠位光学アセンブリの製造又は遠位光学アセンブリのマウントの製造と、固定要素の生産との両方が容易になることである。安定的な固定は、固定要素を遠位アセンブリのマウントに溶接することで実現される。固定要素をはんだ付け又は接着することも同様である。
【0019】
固定要素は、好ましくは基材から製造され、コーティングが施され、該コーティングは基材よりも良好なはんだ濡れ性を有する。
【0020】
さらに、固定要素は、好ましくは基材から製造され、遠位光学アセンブリのマウントは、マウント材料から製造され、基材はマウント材料と異なる。
【0021】
マウント材料の選択は、遠位光学アセンブリの求める特性のため限定される。しかしながら、固定要素を別体として製造するおかげで、マウント材料とは別の材料を、固定要素の基材として有利に選択することができる。基材の選択の結果として、例えば、固定要素の熱伝導率および/または熱膨張係数を調整可能である。遠位光学アセンブリおよび/または近位光学アセンブリへの固定に非常に適した材料は、固定要素のコーティングとして選択することができる。
【0022】
固定要素は、好ましくは、はんだ付け接合により近位光学アセンブリに固定される。レーザはんだ付けは、例えば、はんだ付け方法として用いられる。その結果、例えば、金、銀又はすずのような、良好なはんだ濡れ性を有する材料を、固定要素のコーティングとして選択することが有利である。
【0023】
さらなる実施形態によれば、近位光学アセンブリは、それぞれ画像センサを受容するよう構成された第1ホルダと第2ホルダとを備え、第1ホルダは、特に光学系の長手軸線において第2ホルダに対して軸対称に配置され、第1ホルダと第2ホルダとは特に互いに固定される。
【0024】
この実施形態による光学系は、ステレオビデオ内視鏡に対して特に有利である。この実施形態では、近位光学アセンブリは、2つのホルダと、該ホルダに配置された部材とを備える。対称な配置により、近位光学アセンブリの省スペース設計が実現される。近位光学アセンブリの安定性は、第1ホルダと第2ホルダとを互いに固定することにより向上する。
【0025】
両ホルダを共にした円周は、径方向において、遠位光学アセンブリのマウントの円周とほぼ同じであることが好ましい。この径方向は光学系の長手軸線に垂直な方向であるので、円周の面積も長手軸線に垂直となる。つまり、遠位光学アセンブリの外径は、遠位光学アセンブリの外径にほぼ相当する。光学系の省スペース構造は、この方法で有利に実現される。
【0026】
さらなる実施形態では、光学系は第1固定要素と第2固定要素とを備え、第1固定要素は第1ホルダを遠位光学アセンブリに固定し、第2固定要素は第2ホルダを遠位光学アセンブリに固定する。固定要素は、有利には、各ホルダに対して設けられ、固定要素により、前記ホルダは遠位光学アセンブリに固定される。
【0027】
代替の実施形態によれば、光学系は第1固定要素と第2固定要素とを備え、各ホルダは、それぞれにおいて、第1固定領域と第2固定領域とを備え、第1固定要素は、遠位光学アセンブリを第2ホルダの第1固定領域と第1ホルダの第2固定領域とに固定し、第2固定要素は、遠位光学アセンブリを第1ホルダの第1固定領域と第2ホルダの第2固定領域とに固定する。この実施形態では、各ホルダは、有利には、それぞれにおいて、2つの固定要素のうちの1つに固着される2つの固定領域を備える。よって、言い換えると、2つのホルダの各々は、2つの固定要素の各々に固着される。この「十文字」固着により、特に安定性のある構成が保証される、すなわち、ホルダと近位光学アセンブリとを遠位光学アセンブリに特に安定して固定することを実現する。
【0028】
光学系は、好ましくは、第1光軸を有する第1レンズ系チャネルと、第2光軸を有する第2レンズ系チャネルとを備え、第1光軸は第2光軸と光学系の長手軸線とに平行に延び、第1固定要素は第1レンズ系チャネルの上に配置され、第2固定要素は第2レンズ系チャネルの下に配置される。上と下という文言は、光軸により広がる面に基づくものである。固定要素のこの配置のおかげで、固定要素に固着された近位光学アセンブリ、又はホルダの固定の安定性が増す。具体的には、2つのホルダが固定要素に十文字式に固着されるので各ホルダは固定要素の両方に固定される。
【0029】
従って、光学系は、好ましくは、ステレオビデオ内視鏡の光学系である。「遠位光学アセンブリ」や「近位光学アセンブリ」という文言は、本明細書の文脈において、およびステレオビデオ内視鏡という文脈において、遠位および近位光学アセンブリの両方が2つの光学チャネル(左チャネルおよび右チャネル)が別々に案内されるアセンブリの一部であることを意味するよう理解される。
【0030】
加えて、この目的は、上述した実施形態のうちの1つによる光学系を備える内視鏡、具体的にはステレオビデオ内視鏡、によって解決される。
【0031】
また内視鏡は、光学系について既に述べたものと同じまたは類似の利点を有するため、繰り返しは省略する。
【0032】
さらに、前記目的は、内視鏡のための光学系の近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法により解決され、該方法は、近位光学アセンブリは、棒状の固定要素により、遠位光学アセンブリに固定され、該固定要素は細長形状である。
【0033】
固定要素の細長形状は、有利には、固定のあと、光学系の長手軸線に平行な方向に延びる。
【0034】
実施形態によれば、固定要素は遠位光学アセンブリと一体的に製造される。代替の実施形態では、固定要素は別体として製造され、固定要素は、遠位光学アセンブリのマウントに固定される、具体的には溶接される。この実施形態では、固定要素は、好ましくは基材から製造され、続いて、被覆材料でコーティングされ、該被覆材料は、基材よりも良好なはんだ濡れ性を有する。
【0035】
さらに、固定要素は、好ましくは、はんだ付け接合により、近位光学アセンブリに固定される。
【0036】
光学系に関して上述したような同じ又は類似の利点、特徴、および特性は、近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法にも適用される。
【0037】
本発明の更なる特徴は、請求項および添付の図面とともに、本発明にかかる実施形態の記載から明らかになる。本発明にかかる実施形態は、個々の特徴または複数の特徴の組み合わせにより実現することができる。
【0038】
本発明を、図面を参照して例示的な実施形態を用いて、本発明の概念を限定することなく、以下に説明する。本文ではより詳細に説明されていない、本発明にかかる全詳細に関しても、図面にて明確に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】2つのホルダを備えるステレオビデオ内視鏡のための光学系の簡略斜視図である。
【
図3】2つの固定要素を備えるステレオビデオ内視鏡のための光学系の遠位アセンブリの簡略斜視図である。
【
図4】回転図で2つのホルダを備えるステレオビデオ内視鏡のための光学系の簡略斜視図である。
【
図5】内視鏡の光学系のためのホルダについての、簡略斜視図である。
【
図6a】近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法を示す簡略図である。
【
図6b】近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法を示す簡略図である。
【
図6c】近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法を示す簡略図である。
【
図6d】近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面では、同じまたは類似の要素および/または部品については、それぞれについて同じ符号が付されているので、それぞれ、再びは導入されない。
【0041】
図1は、シャフト3とハンドル4とを備える内視鏡2の概略断面図を示す。内視鏡2は、例えば、ビデオ内視鏡、また、例えば、ステレオビデオ内視鏡である。光学系10はシャフト3の遠位端に位置する。
【0042】
ステレオビデオ内視鏡のための光学系10は、
図2の簡略斜視図にて示される。光学系10は、遠位光学アセンブリ12と、近位光学アセンブリ14とを備える。光学系10、つまり遠位光学アセンブリ12と近位光学アセンブリ14とは、ステレオビデオ内視鏡の光学系全体の一部または部分に配置され、2つの光学チャネル(左チャネルおよび右チャネル)が別々にガイドされる。
【0043】
光学素子のいくつかは、
図2に図示されていないが、遠位光学アセンブリ12に配置される。シャフト3の遠位先端での処置および/または観察空間から入射した光束は、遠位光学アセンブリ12により受けられ、近位光学アセンブリ14に送られる。近位光学アセンブリ14は、2つの画像センサ40を備えるが、
図2ではそのうちの1つが見えるだけである。画像センサ40は、ハンドル4の方向に画像信号を送るための(例えば、柔軟性がある)プリント回路基板80に連結され、例えば、関連のプリント回路基板80に装着される。
【0044】
図2に示される光学系10の実施形態では、画像センサ40を受容するよう構成された第1ホルダ20と第2ホルダ21とを有する、近位光学アセンブリ14を備える。近位光学アセンブリ14を遠位光学アセンブリ12に固定するため、第1ホルダ20と第2ホルダ21とは、第1固定領域26と第2固定領域27とをそれぞれ備える。固定領域26、27は、円筒形の固定要素15を受けるよう構成される。
【0045】
図2の選択された表示では、第1固定要素15にはんだ付けされている、第2ホルダ21の第1固定領域26と第1ホルダ20の第2固定領域27とを単に見ることができる。第2固定要素16は、
図2では隠れている。固定要素15、16は、遠位光学アセンブリ12に固着され、それぞれにおいて、ホルダ20、21の第1固定領域26と、ホルダ20、21の他方の第2固定領域27とに、はんだ付け接合で固定される。固定要素15、16は、例えば、光学系10の長手軸線56に平行に延びる。光学系10の長手軸線56に斜めに整列することも可能である。この方法では、ホルダ20、21の非常に安定的且つ省スペースな配置が実現される。
【0046】
図3は、遠位光学アセンブリ12の簡略図を示し、2つの固定要素15、16を見ることができる。また、第1光軸53を有する第1レンズ系チャネル51と、第2光軸54を有する第2レンズ系チャネル52とが図示される。光学アセンブリ12の長手軸線56は、2つの光軸53、54間の中心に延びる。第1固定要素15は、レンズ系チャネル51、52の上に配置され、第2固定要素16はレンズ系チャネル51、52の下に配置される。
【0047】
光学系10の更に簡略化した斜視図が
図4に示される。この図では、プリント回路基板80が、それぞれについて、画像センサ40に接続されていることが分かる。画像センサ40は長手軸線56に平行に配置されるため、偏向プリズムはホルダ20、21に配置され、
図2から
図4では隠れている 。偏向プリズムは、光軸53、54に沿って入射した光束を、画像センサ40の方向に屈折させる。
【0048】
図5はホルダ20の概略的な図である。第1固定領域26と、第2固定領域27と、画像センサ40との配置を見ることができる。また、入射光束を画像センサ40の方向に屈折させる、偏向プリズムの形での光学素子30が図示される。
【0049】
図6aから
図6dは、近位光学アセンブリを遠位光学アセンブリに固定する方法を、
図2から
図4に図示された光学系10の例を用いて概略的に示し、該光学系は、
図5aから
図5cにおいて概略側面図で示される。
【0050】
図6aは、前記方法の実行前に製造される部材を示す。マウント13を備える遠位光学アセンブリ12が図示されている。対象は、例えば、マウント13に配置される。また、固定要素15、16は基材から製造され、必要であれば、コーティングが施され、該コーティングは、基材よりも良好なはんだ濡れ性を有する。固定要素15、16は、円筒軸線18を備える円筒形状を有する。また、ホルダ20、21を設け、画像センサ40と光学素子30(この場合は偏向プリズム)とが、それぞれにおいて、ホルダ20、21に受容される。ホルダ21に関しては、光学素子30は、視野角のため隠れている。
【0051】
図6bに示すように、固定要素15、16をマウント13の凹部に、例えば、溶接、はんだ付け、又は接着することにより、固定要素15、16がマウント13にまず固定される。
【0052】
続いて、
図6cに示すように、第1ホルダ20が固定要素15、16に固着される。この目的のため、第1ホルダ20の整列がまず微調整される。例えば、マウント13の対象から光学素子30を通って、第1ホルダ20に配置した画像センサ40までの光路長が調整される。はんだ付け接合により、続いて第1ホルダ20の第1固定領域26が第2固定要素16に固定され、続いて第1ホルダ20の第2固定領域27が第1固定要素15に固定される。
【0053】
最後に、
図6dに示すように、第2ホルダが固定要素15、16に固着される。この工程において、第1ホルダ20の場合のように、第2ホルダ21の整列が最初に微調整され、はんだ付け接合により、続いて第2ホルダ21の第1固定領域26が第1固定要素15に固定され、続いて第2ホルダ21の第2固定領域27が第2固定要素16に固定される。ホルダ20、21のそれぞれの固定領域26、27の交差した配置のおかげで、高い安定性と高いねじり剛性とが実現される。
【0054】
記載した特徴の全ては、図面だけから推測可能なものを含め、別の特徴との組み合わせで開示された個々の特徴とともに、単独および組み合わせの両方で、発明に不可欠と見なされる。本発明にかかる実施形態は、個々の特徴または複数の特徴の組み合わせにより行われる。発明という文脈において、「具体的には」または「好ましくは」と付された特徴は、選択的特徴と理解されるべきである。
【符号の説明】
【0055】
2…内視鏡、3…シャフト、4…ハンドル、10…光学系、12…遠位光学アセンブリ、13…マウント、14…近位光学アセンブリ、15…第1固定要素、16…第2固定要素、18…円筒軸線、20…第1ホルダ、21…第2ホルダ、26…第1固定領域、27…第2固定領域、30…光学素子、40…画像センサ、51…第1レンズ系チャネル、52…第2レンズ系チャネル、53…第1光軸、54…第2光軸、56…長手軸線、80…プリント回路基板。