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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】車両給電装置及び路盤ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20220708BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20220708BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220708BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220708BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20220708BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20220708BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20220708BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20220708BHJP
   B60L 53/38 20190101ALI20220708BHJP
【FI】
H02J50/90
E04H6/42 Z
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
H02J50/10
B60L5/00 B
B60M7/00 X
B60L53/12
B60L53/30
B60L53/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021107761
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2020078521の分割
【原出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021184695
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】峯▲崎▼ 晃洋
(72)【発明者】
【氏名】三上 恭伸
(72)【発明者】
【氏名】久米 毅志
(72)【発明者】
【氏名】内藤 泰文
(72)【発明者】
【氏名】増田 宏
(72)【発明者】
【氏名】守谷 憲和
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-045189(JP,A)
【文献】特開平09-215211(JP,A)
【文献】特開2013-055803(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141732(WO,A1)
【文献】特開2018-166394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0084426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60M7/00
E04H6/42
H01F38/14
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に設けられた一次コイルから車両に設置された二次コイルに非接触で給電する車両給電装置であって、
前記車両を搭載させる天板を備えたボックス形状の路盤ユニットを備えており、
前記路盤ユニット内には、
前記一次コイルと、
前記一次コイルを移動可能に収納し、前記天板の下側中央に設置された一次コイル移動エリアと、
前記一次コイル移動エリアの周囲に設けられ、前記車両のタイヤが載置されて荷重を受ける圧縮部材と、
前記二次コイルの位置に対向する位置に前記一次コイルを移動させる駆動手段と、を備え、
前記天板の上面には、前記天板上に位置する前記車両の前記二次コイルの位置を検出して前記駆動手段により前記一次コイルを移動させる検出部が設けられたことを特徴とする車両給電装置。
【請求項2】
前記一次コイル移動エリアには互いに直交する方向にガイドレールが設けられ、前記一次コイルは前記ガイドレールに沿って移動可能とした請求項1に記載された車両給電装置。
【請求項3】
前記一次コイルを有線または無線により無軌道に移動可能とした請求項1または2に記載された車両給電装置。
【請求項4】
前記路盤ユニットは、前記一次コイル移動エリアを備えた上段部と、荷重を支える下段部と、を備え、
前記下段部には電源から前記一次コイルに電力を供給する電気配線、または電源に接続されていて前記一次コイルに非接触で電気を供給する電源コイルが配設されている請求項1から3のいずれか1項に記載された車両給電装置。
【請求項5】
前記下段部には荷重を支える柱体または鋼板が所定間隔で設置されている請求項4に記載された車両給電装置。
【請求項6】
前記路盤ユニットにおける前記一次コイル移動エリアの周囲の表面には、前記天板またはその裏面に前記車両のタイヤが載置される太陽光発電パネルが設置され、前記太陽光発電パネルで発電された電力を前記一次コイルの電源に供給している請求項1から5のいずれか1項に記載された車両給電装置。
【請求項7】
電気自動車を搭載させる天板を備えたボックス形状の路盤ユニットであり、前記路盤ユニットは内部に、
前記電気自動車に設けた二次コイルに非接触で給電するための一次コイルと、
前記一次コイルを移動可能に収納し、前記天板の下側中央に設置された一次コイル移動エリアと、
前記一次コイル移動エリアの周囲に設けられ、前記電気自動車のタイヤが載置されて荷重を受ける圧縮部材と、
前記二次コイルの位置に対向する位置に前記一次コイルを移動させる駆動手段と、を備え、
前記天板の上面には、前記天板上に位置する前記電気自動車の前記二次コイルの位置を検出して前記駆動手段により前記一次コイルを移動させる検出部を設けたことを特徴とする路盤ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の車両に非接触で給電する車両給電装置及び路盤ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車に備えられたバッテリーに充電する場合、駐車場等で給電装置のコネクタを電気自動車のコネクタに接続して充電していた。コネクタ同士の接続は手作業で行うためヒューマンエラーや接続の不具合や充電時に感電する危険性等があった。しかも、長期間に亘ってコネクタの接続と離脱を繰り返すことでコネクタが劣化すると交換する必要があった。
【0003】
これらの不便を改善する技術として非接触型の電力供給システムが提案されている。例えば特許文献1や2に記載された車両の非接触給電装置では、地上に給電装置の一次コイルを設置し自動車の底部に二次コイルを装着させて、一次コイルに電流を流して誘導電流を発生させて二次コイルに発生する電力を蓄電池に充電している。この場合、充電効率を向上させるために自動車の二次コイルを地上の一次コイルの真上にくるよう停車させる必要がある。
【0004】
また、特許文献2に記載された電力供給システムは立体駐車場における充電システムであり、電気自動車をエレベータの昇降リフトで持ち上げて横行トレイで駐車室に入庫させる。横行トレイに設けた4個の検出器と一次コイルを移動させて電気自動車に搭載した二次コイルを検知し、一次コイルを二次コイルに対応する位置に移動させて一次コイルの電磁誘導波によって二次コイルに電力を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-33112号公報
【文献】特許第5559518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された電力供給システムでは、一次コイルの真上に電気自動車の二次コイルを対向して配設する必要があり、二次コイルの位置がずれると充電ロスが発生する。例えば、運転者の運転の巧拙によって電気自動車の停車位置が地上の一次コイル設置位置からずれてしまうことがある。また、車両の大きさの違いや車種の違い、前向き駐車と後ろ向き駐車の違い等によって駐車位置がずれてしまうことがある。そのため、地上の一次コイルの設置場所に二次コイルが対向して位置するように電気自動車の停車位置を制御することは困難であった。
【0007】
また、特許文献2に記載された非接触式充電装置は、立体駐車場における充電装置であり、構造が複雑で高コストである。しかも、横行トレイに4個の検出器を配置して検知する電流値の高い方に一次コイルを移動させるとしている。立体駐車場の非接触充電装置であるため、昇降リフト、横行トレイ、リフトフォーク、トレイフォーク、4つの検出器等が必要であり、構造が複雑で高コストであった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で一次コイルと二次コイルを精度良く対向させて効率よく電力を充電できる車両給電装置及び路盤ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による車両給電装置は、車両の外部に設けられた一次コイルから車両に設置された二次コイルに非接触で給電する車両給電装置であって、一次コイルを収納した路盤ユニットが設けられ、路盤ユニットは、一次コイルを移動可能に収納した一次コイル移動エリアと、二次コイルの位置を検出する検出部と、検出部で検出した二次コイルの位置に対向する位置に一次コイルを移動させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、路盤ユニットを地中に設置することで車両給電装置を容易に設置できる。しかも、路盤ユニット上に車両を駐車させて検出器によって車両の二次コイルの位置を検出し、駆動手段によって検出部で検出した二次コイルの位置に対向する位置に一次コイルを移動させて、一次コイルに給電することで誘導電流を発生させて二次コイルに電力を生じさせることができる。この電力を蓄電池に充電できる。
【0010】
また、一次コイル移動エリアには互いに直交する方向にガイドレールが設けられ、一次コイルは移動ガイドレールに沿って移動可能としてもよい。
検出器で検出した二次コイルの真下まで一次コイルを一次コイル移動エリア内でガイドレールに沿って移動できる。
【0011】
また、一次コイルを有線または無線により無軌道に移動可能としてもよい。
検出器で検出した二次コイルの真下まで一次コイルを有線または無線によって無軌道に移動できる。
【0012】
また、路盤ユニットは、一次コイル移動エリアを備えた上段部と、荷重を支える下段部と、を備え、下段部には電源から一次コイルに電力を供給する電気配線、または電源に接続されていて一次コイルに非接触で電気を供給する電源コイルが配設されていることが好ましい。
路盤ユニットの上段部における一次コイル移動エリア内で一次コイルを二次コイルの真下まで移動でき、下段部によって路盤ユニットに載置される電気自動車の重量を支えることができる。
【0013】
また、下段部には荷重を支える柱体または鋼板が所定間隔で設置されていてもよい。
下段部において、車両の荷重を支える柱体または鋼板を所定間隔で設置することで、一次コイルの発熱を冷却する空間を設けることができる上に、この空間内に電源の電気配線を配設できる。
【0014】
また、路盤ユニットにおける一次コイル移動エリアの周囲の表面には車両のタイヤが載置される太陽光発電パネルが設置され、太陽光発電パネルで発電された電力を一次コイルの電源に供給している。
路盤ユニットは車両が停車していないときに太陽光発電パネルで太陽光発電することができるため、電気のない場所にも設置できる。
また、本発明による路盤ユニットは、電気自動車に設けた二次コイルに非接触で給電するための一次コイルと、一次コイルを移動可能に収納した一次コイル移動エリアと、二次コイルの位置を検出する検出部と、検出部で検出した二次コイルの位置に対向する位置に前記一次コイルを移動させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による車両給電装置及び路盤ユニットは、車両の停車位置における二次コイルの位置を検出部で検出して一次コイルの位置を駆動手段によって対向する位置に移動調整することができるため、二次コイルに効率よく誘導電流を発生させて充電することができる。
しかも路盤ユニット内に一次コイルや検出部や駆動装置を設けたため、車両給電装置が路盤ユニットにユニット化されており、構成が簡単で低コストであり、しかも路面や駐車場等の各種停車場への設置が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態による電気自動車に非接触充電する路盤ユニットを備えた車両給電装置の側面図である。
図2図1に示す車両給電装置の背面図である。
図3】路盤ユニットの要部斜視図である。
図4図3に示す路盤ユニットの上段部を示す水平断面図である。
図5】路盤ユニットの下段部を示す水平断面図である。
図6】車両給電装置のブロック図である。
図7】第二実施形態による車両給電装置の路盤ユニットの上段部の水平断面図である。
図8】第二実施形態による路盤ユニットの下段部の水平断面図である。
図9】第三実施形態による車両給電装置の路盤ユニットを示すもので、(a)は上段部の水平断面図、(b)下段部の水平断面図である。
図10】第四実施形態による車両給電装置の路盤ユニットの下段部の水平断面図である。
図11図10に示す路盤ユニットのA-A線断面図である。
図12図10に示す路盤ユニットのB-B線断面図である。
図13】第四実施形態の変形例による図11と同様な断面図である。
図14】第四実施形態の変形例による図12と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態による電気自動車の車両給電装置について添付図面により説明する。
図1乃至図6により、第一実施形態による電気自動車1(車両)の車両給電装置2について説明する。本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2は、図1及び図2に示すように、例えば駐車場や道路の路面やガソリンスタンド等において、一次コイル3を内蔵した路盤ユニット4の上に二次コイル5を設置した電気自動車1を駐車させて非接触で電力を充電させるものである。電気自動車1の底部に4本のタイヤ7が設けられ、これらタイヤ7の間の底部に二次コイル5が設置されている。
【0018】
路盤ユニット4は例えば地表面に埋設されている。路盤ユニット4は、図3に示すように例えば四角形箱状に形成され、上面に天板8が設置され、底面に底板9、側面に主桁10及び端板11が設けられている。路盤ユニット4の天板8の内側には後述する一次コイル移動エリア12が中空形状に配設されている。天板8は電気自動車1を停車させて一次コイル3で励起される磁力を通過させ且つ磁性を帯びない特性を有する非磁性体等で構成され、例えば強化プラスチックや強化ガラス等からなっている。
【0019】
路盤ユニット4は地中に埋設され、天板8は地表面に露出している。或いは、天板8の表面がアスファルトで被覆されていてもよい。路盤ユニット4は雨水や洗浄水等がかかっても内部に漏水しないように水密にシールされている。天板8には滑り止め用のスリットや凹凸が所定間隔で形成されていてもよい。底板9、主桁10、端板11は例えばステンレスやアルミ等の金属製とされているが、合成樹脂、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)等でもよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、路盤ユニット4は天板8と底板9の間が上段部13と下段部14との上下二段に分かれて構成されている。上段部13と下段部14とは例えば金属製の上下仕切り板21によって仕切られている。上段部13において、天板8の下側の中央には中空の一次コイル移動エリア12が設置され、その周囲には電気自動車1のタイヤ7が載置されて荷重を受ける圧縮部材16が設けられている。
圧縮部材16はモルタルやコンクリート等が充填されている。圧縮部材16と一次コイル移動エリア12との境界には仕切り板17が四辺に沿って配設されている。四辺の仕切り板17は一次コイル3で発生する電磁波を遮断するもので、例えばアルミ、セラミック、アモルファス金属等の非磁性体からなる。
【0021】
図4に示す上段部13において、一次コイル移動エリア12の内部には、長辺の主桁10に平行で対向する一対の仕切り板17に沿って設置された移動ガイドレール18と一対の移動ガイドレール18間に直交して架け渡された一対の可動ガイドレール19とが設置されている。一対の可動ガイドレール19の両端には移動ガイドレール18上をスライド可能な走行部15が設置され、可動ガイドレール19上には一次コイル3を搭載した台車20がスライド可能に設置されている。移動ガイドレール18と可動ガイドレール19は互いに直交する方向に延びている。
【0022】
そのため、一次コイル3を搭載した台車20は水平面内で可動ガイドレール19に沿ってX軸方向にスライド移動可能であり、更に台車20を備えた可動ガイドレール19は移動ガイドレール18に沿ってY軸方向にスライド移動可能である。図2に示すように、可動ガイドレール19は長手方向に連続する凹凸をなすラックが形成され、台車20の下部には車輪としてラックに噛合するギア20aが設置されている。
これにより、台車20に搭載された一次コイル3は一次コイル移動エリア12内の任意の位置における二次コイル5に対向する位置に移動可能である。路盤ユニット4の外部(または内部)には電源22が設置され、電気配線(有線)が下段部14内を通して上下仕切り板21に設けた穴部21aを通して上段部13の一次コイル3に接続されている。
【0023】
図1、2及び図5に示す下段部14において、上段部13の圧縮部材16の下側には柱体、例えば円柱状の荷重支持用円柱体23aが所定間隔で複数設置され、電気自動車1の荷重と圧縮部材16の荷重を受けて支持している。また、柱体として、一次コイル移動エリア12内には荷重支持及び冷却を行う冷却用円柱体23bが所定間隔で複数設置されている。冷却用円柱体23bは一次コイル3の励磁作用によって発生する発熱を地中に放熱するため、上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12内に露出している。なお、柱体は上述した荷重支持用円柱体23aや冷却用円柱体23b等の円柱体だけでなく、角柱体等、適宜の形状のものを採用できる。
【0024】
これら荷重支持用円柱体23a及び冷却用円柱体23bは上下仕切り板21及び底板9の間に所定間隔で設定されている。そのため、一次コイル3が励磁して発熱した際、この熱を荷重支持用円柱体23a及び冷却用円柱体23bの間隙を通して分散でき、冷却用円柱体23b及び底板9を介して地中に放熱することができる。
そのため、荷重支持用円柱体23aはステンレスやアルミ等の金属製、樹脂、GFRP、CFRP等でもよいし、円筒内にコンクリート等の圧縮性の良い材料を充填してもよい。冷却用円柱体23bはステンレスやアルミ等の熱伝導率のよい材質を用いることが好ましい。
【0025】
路盤ユニット4の天板8の表面には一対の車止め25が設置されている。電気自動車1のタイヤ7を車止め25に当接して停車させることで、車種に関わらずその底部に設置された二次コイル5が一次コイル移動エリア12内に位置するように位置調整できる。車止め25の前方には二次コイル5の位置を検出して一次コイル3の位置を調整するためのコンソールユニット(操作盤)26が設置されている。
電気自動車1を前止めまたは後ろ止めすることで、前輪または後輪の2つのタイヤ7を車止め25に当接させるか、またはその近傍に配設することができる。これによって、車種に関わらず4つのタイヤ7の中間の底部に設置された二次コイル5は一次コイル移動エリア12に対向する位置に配設することができる。
【0026】
コンソールユニット26及び車止め25にタイヤ7の位置を検知するためのセンサー27a、27bがそれぞれ設けられている。センサー27a、27bは例えば赤外線やレーザ光等の光学式センサーや無線センサー、或いはカメラによる画像認識システム等によってタイヤ7の位置を検出する。また、車止め25のセンサー27bによって電気自動車1の底部に設置された二次コイル5の位置を直接検出することができる。車止め25のセンサー27bがタイヤ7で邪魔されて二次コイル5を検出できない場合には、両方のセンサー27a、27bによるタイヤ7の位置と予めコンソールユニット26に入力された車種等との関係で、コンソールユニット26によって自動的に二次コイル5の位置を演算して検出する。なお、コンソールユニット26及びそのセンサー27aと車止め25のセンサー27bは二次コイル5の検出部に含まれる。
【0027】
図6のブロック図に示すように、コンソールユニット26では、センサー27a、27bで検知した電気自動車1のタイヤ7の位置と手入力した車種等の情報から二次コイル5の位置を演算等で検知し、台車20内に設けた制御部30(コンソールユニット26に設けてもよい)に指示信号を出力する。台車20の制御部30では、コンソールユニット26からの指示信号により台車20内のモータM1を駆動させてギヤ20aを可動ガイドレール19に沿ってX軸方向に移動させる。
台車20内の制御部30は一対の走行部15内に設けたモータM2を同期して駆動させて、可動ガイドレール19を台車20と共に移動ガイドレール18に沿ってY軸方向に移動させる。これにより、コンソールユニット26で演算した二次コイル5の位置、または車止め25のセンサー27bで検出した二次コイル5の位置に対向する真下に台車20に搭載した一次コイル3を移動させることができる。
【0028】
なお、車種の認識について、手動で入力する方式に代えて、コンソールユニット26のセンサー27aによって車種を自動的に認識してもよい。或いは、二次コイル5の位置をセンサー27a、27bまたは路盤ユニット4に埋め込んだ他のセンサーで認識してコンソールユニット26から台車20の制御部30に一次コイル3の移動位置を指示する信号を出力するようにしてもよい。
また、コンソールユニット26は商用の無人レジスターとしてもよいし、スマートフォン等を活用したスマートキーボックスとしてもよい。或いは、コンソールユニット26は遠隔地からのリモートコントロールを受けて集中管理室から管理されてもよい。また、コンソールユニット26に車種等を手入力で入力する際、IDとパスワードを入力させるようにしてもよい。
【0029】
本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2は上述した構成を備えているから、設置に際して路盤ユニット4を地中に埋設し、地表面に天板8を露出させる。
電気自動車1に対する充電時には、図1及び図2に示すように、路盤ユニット4の天板8上に電気自動車1を移動させて入庫させ、車止め25またはその近傍に前のタイヤ7または後ろのタイヤ7を位置決めする。予め車種が入力されていない場合には、運転者等が車種をコンソールユニット26に手入力する。そして、センサー27a、27bによって検出した4つのタイヤ7の位置と車種との関係で電気自動車1の底部に設置した二次コイル5の位置を演算で割り出す。或いは、車止め25のセンサー27bで二次コイル5の位置を検出してもよい。また、二次コイル5から発信する微弱な電波をセンサー27aまたはセンサー27bによって検出して二次コイル5の位置を特定してもよい。
【0030】
コンソールユニット26から二次コイル5の位置に対応する指示信号を出力して一次コイル3内の台車20の制御部30によってモータM1及びモータM2を駆動手段として駆動制御する。図4に示すように、モータM1の駆動によって、一次コイル3を搭載した台車20を可動ガイドレール19に沿ってX軸方向に移動させる。また、走行部15のモータM2の駆動によって、一対の走行部15を同期して移動ガイドレール18に沿って移動させることで、台車20を含む可動ガイドレール19をY軸方向に移動させる。
これらモータM1及びモータM2の駆動によって台車20に搭載した一次コイル3を、一次コイル移動エリア12内で二次コイル5に対向する真下に移動させて停止させる。
【0031】
この状態で、電源22から一次コイル3に電流を流すことで一次コイル3を励磁させて誘導電流を発生させ、これを二次コイル5で受けて効率的に電力を発生させ、二次コイル5に接続した充電器に電力を充電させる。なお、経時的に路盤ユニット4内の一次コイル3が劣化若しくは一次コイル3を含む機器が陳腐化した場合には、天板8を外して地上側から一次コイル3の交換が可能である。充電終了後に、運転者は電気自動車1を出庫させて走行可能である。
なお、一次コイル3は励磁させる際に発熱するが、一次コイル移動エリア12内で発生した熱は冷却用円柱体23b及び底板9を通して地中に放熱することができる。
【0032】
上述したように本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2によれば、一次コイル3を含む路盤ユニット4はユニット化されており、地面を掘って路盤ユニット4を埋設することで車両給電装置2を設置できる。
また、コンソールユニット26や車止め25に設けたセンサー27a、27bによって電気自動車1の底部に設けた二次コイル5の位置を検知し、一次コイル3を一次コイル移動エリア12内で二次コイル5に対向する真下位置に移動させることができる。これによって、一次コイル3で発生する誘導電流を二次コイル5で効率的に電力に変換させることができる。
また、一次コイル3で誘導電流を発生させることで発熱するが、これを冷却用円柱体23b及び底板9を介して地中に放熱できる。
【0033】
以上、本発明の第一実施形態による電気自動車1の車両給電装置2について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。
以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述の実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0034】
次に本発明の第二実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Aについて図7及び図8により説明する。
図7は第二実施形態による路盤ユニット4Aの上段部13の水平断面図、図8は下段部14の水平断面図である。路盤ユニット4Aの上段部13において、一次コイル移動エリア12内には移動ガイドレール18と可動ガイドレール19は設けられておらず、一次コイル3を搭載した台車20は内部に設置された蓄電池とモータ(駆動手段)により無軌道で自律的に移動可能とされている。この一次コイル3を搭載した台車20はコンソールユニット26からのリモートコントロールで電気自動車1の底部に設けた二次コイル5を探査して二次コイル5に対向する位置に移動可能である。
【0035】
また、図8に示す下段部14では、外部の電源22から電気配線を介して電力を供給される電源コイル31が固定設置されている。電源コイル31はその固定位置を基準位置として真上の対向する位置に一次コイル3が停止した状態で、電源22から供給された電流に基づいて電源コイル31を励起させて誘導電流を発生させ、対向する一次コイル3に電力を発生させて台車20に設けた蓄電池(図示せず)に非接触で電力を充電させることができる。
【0036】
一次コイル3を搭載した台車20は蓄電池に充電された電力によってモータによって二次コイル5をセンシングしながら一次コイル移動エリア12内を無軌道に移動することができる。一次コイル3は二次コイル5に対向する位置で停止し、台車20の蓄電池から供給される電力により誘導電流を発生させて二次コイル5に電力を発生させて電気自動車1の蓄電池に充電する。また、二次コイル5に電力を供給しない非充電時には、一次コイル3の台車20は電源コイル31に対向する基準位置に戻って停止し、電源コイル31から非接触で電力の供給を受ける。
なお、一次コイル3の台車20はリモートコントロールによって基準位置に戻ると共に二次コイル5の下側に対向する位置に移動するようにしてもよい。或いは、電源22から一次コイル3の台車20への電力供給は、電源コイル31による非接触給電に代えて、電源22から電気配線を介して電力端子を設置してもよい。この場合、一次コイル3の台車20は基準位置に戻った状態で自動的に電力端子に電気的に接続されて給電状態になる。
【0037】
次に、本発明の第三実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Bについて図9により説明する。
図9(a)は第三実施形態による車両給電装置2Bの路盤ユニット4Bの上段部13の説明図、同図(b)は下段部14の説明図である。本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Bにおいて、路盤ユニット4Bは第二実施形態による路盤ユニット4Aと概略同一の構成を有している。相違点として、路盤ユニット4Bの天板8を強化ガラス等の透過性材料として、その裏面に太陽光発電パネル32が設置されている。太陽光発電パネル32は一次コイル移動エリア12の周囲の領域に配設されている。或いは天板8を透過性の太陽光発電パネル32で形成してもよい。
太陽光発電パネル32で発電された電力は電気配線を介して例えば路盤ユニット4Bの外部に配設された蓄電池33に充電される。そして、蓄電池33に充電された電力は電気配線を通して下段部14内に配設された電源コイル31に供給することができる。
【0038】
次に、本発明の第四実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Cについて図10図12により説明する。
図10は路盤ユニット4Cの下段部14の水平断面図、図11は路盤ユニット4Cを図10のA-A線で切断した断面図、図12は同じく図10のB-B線で切断した断面図である。
図10に示す路盤ユニット4Cの下段部14では、上段部13の圧縮部材16の下側に荷重支持用円柱体23aは設けられていない。下段部14では主桁10と平行な方向に所定間隔で板状の中主桁35が配設され、端板11に平行な方向に所定間隔で板状の縦リブ36が配設されている。中主桁35と縦リブ36は下段部14の全体に直交する格子状に配設されて電気自動車1や圧縮部材16等の荷重を受けている。
【0039】
図11及び図12において、一次コイル移動エリア12の下側には上下仕切り板21を介して冷却用円柱体23bが所定間隔で配設されており、冷却用円柱体23bは上端部が上下仕切り板21を貫通して一次コイル移動エリア12に露出している。
本実施形態による電気自動車1の車両給電装置2Cにおいても、下段部14による電気自動車1等の荷重支持効果が高く、一次コイル3の励磁による発熱は冷却用円柱体23b及び底板9を通して地中に放熱できる。
【0040】
図13及び14は第四実施形態による車両給電装置2Cの変形例を示すものである。図13及び図14に示す路盤ユニット4Cにおいて、下段部14に格子状に配列させた中主桁35及び縦リブ36はそれぞれ穴部35a、36aが形成された穴あき鋼板とされている。これにより、一次コイル3の励磁による発熱は冷却用円柱体23bだけでなく、穴開きの中主桁35及び縦リブ36及び底板9の穴部35a、36aを通して空気が流通するため、冷却効果が一層高まる。
【0041】
上述した各実施形態や変形例による電気自動車1の車両給電装置2、2A、2B、2Cは路盤ユニット4、4A、4B、4Cを上段部13と下段部14を積層した長方形箱状に形成したが、正方形状や円形や楕円形状等の適宜外形の箱状を採用できる。路盤ユニット4、4A、4B、4C上に電気自動車1を搭載して一次コイル3から非接触で底部の二次コイル5に電力を発生させて給電できれば良い。
【0042】
本発明による路盤ユニット4、4A、4B、4Cの車両給電装置2、2A、2B、2Cは駐車場だけでなく、ガソリンスタンドの舗装面や道路の路面等、適宜の停車場に設置できる。また、電気自動車1の車種も適宜のものを採用できることはいうまでもない。互いに直交する移動ガイドレール18と可動ガイドレール19は一次コイル3をX軸方向及びY軸方向に移動可能なガイドレールに含まれる。
なお、本発明による電気自動車1の車両給電装置2、2A、2B、2Cは必ずしも下段部14を設けなくてもよい。この場合、電源22と一次コイル3を接続する電気配線は圧縮部材16内を挿通されていればよい。
【0043】
また、本発明による車両給電装置は次のように構成することもできる。即ち、車両給電装置は、天板8と、天板8の下側に配設されていて一次コイル3を移動可能に収納した一次コイル移動エリア12と、天板8上に載置された電気自動車における二次コイル5の設置位置を検出する検出部と、検出部で検出した二次コイル5の位置に対向する位置に一次コイル3を移動させる駆動手段と、を備えたボックス状の路盤ユニットであることを特徴とする。
【符号の説明】
【0044】
1 電気自動車
2、2A、2B、2C 車両給電装置
3 一次コイル
4、4A、4B、4C 路盤ユニット
5 二次コイル
8 天板
12 一次コイル移動エリア
13 上段部
14 下段部
18 移動ガイドレール
19 可動ガイドレール
19a 移動ガイド
20 台車
22 電源
23a 荷重支持用円柱体
23b 冷却用円柱体
25 車止め
26 コンソールユニット
27a、27b センサー
30 制御部
31 電源コイル
33 蓄電池
35 中主桁
36 縦リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14