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特許7101856脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220708BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20220708BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220708BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220708BHJP
【FI】
A61B5/055 380
G01T1/161 A
A61B5/055 390
A61B10/00 H
G06T7/00 612
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021187865
(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公開番号】P2022081457
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0155063
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520110216
【氏名又は名称】ヒューロン カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516350318
【氏名又は名称】ギル メディカル センター
【氏名又は名称原語表記】GIL MEDICAL CENTER
(73)【特許権者】
【識別番号】514140698
【氏名又は名称】カチョン ユニバーシティ オブ インダストリー-アカデミック コーオペレイション ファウンデイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソンボム
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スーファ
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ヨン
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-531228(JP,A)
【文献】国際公開第2020/218460(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0107831(KR,A)
【文献】Seun Jeon et al.,Topographical Heterogeneity of Alzheimer's Disease Based on MR Imaging, Tau PET, and Amyloid PET,Frontiers in Aging Neuroscience,2019年08月20日,11(211),1-10
【文献】山尾天翔ほか,[11C]PiBアミロイドPETと[18F]THK5351タウPETに対するCentiloid scaleによる定量的比較,核医学技術,2019年,39(suppl),356
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01T 1/161
A61B 10/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する画像受信部と、
前記複数の画像から、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVRの情報を取得する画像処理部と、
前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断をし、及び第3判断する画像解析部と、
前記第1判断、前記第2判断、及び前記第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連する前記オブジェクトの生物学的分類を行う分類部と、を含み、
前記複数の画像は、
前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含み、
前記SUVRの情報は、前記アミロイドPET画像に関連する第1SUVR画像及び前記タウPET画像に関連する第2SUVR画像を含み、
前記画像処理部は、
前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、
前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴、前記第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得し、
前記画像処理部は、
前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴を取得する第1画像処理部と、
前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像から、前記第1SUVR画像を取得する第2画像処理部と、
前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するタウPET画像から、前記第2SUVR画像を取得する第3画像処理部と、を含み、
前記第1画像処理部は、
アキシャル(Axial)方向の脳画像と、ラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された深層ニューラルネットワークモジュールと、
前記MRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する分類モジュールと、
前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴を取得する解析モジュールと、を含
前記分類部が行う生物学的分類は、
前記オブジェクトが正常段階であることを意味する第1分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記オブジェクトがアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記オブジェクトが前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む、
ことを特徴とする脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項2】
前記画像解析部は、
前記取得された脳萎縮特徴に基づいて、前記脳神経に関連して正常又は異常を第1判断する第1画像解析部と、
前記第1SUVR画像に基づいて、ベータアミロイド蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断する第2画像解析部と、
前記第2SUVR画像に基づいて、タウ蛋白質に関連して正常又は異常を第3判断する第3画像解析部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項3】
前記分類部は、
前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを前記第1分類とし、
前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第2分類とし、
前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合と、前記第1判断が異常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを第3分類とし、
前記第1判断が異常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第4分類とし、
前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、並びに前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを前記第5分類とする、
ことを特徴とする請求項に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項4】
前記解析モジュールは、
前記分類された脳領域に基づいて、脳萎縮特徴マップ(neurodegeneration feature map)を生成し、
前記脳萎縮特徴マップから前記脳萎縮特徴を取得し、
前記脳萎縮特徴は、
皮質厚(cortical thickness)、ボリューム(volume)、表面(surface)面積、及び脳回指数(Gyrification index)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項5】
前記分類モジュールは、
前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像のいずれかを用いて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項6】
前記深層ニューラルネットワークモジュールは、
前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像を共に用いて前記MRI画像を3次元的に再構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項7】
前記分類モジュールは、
前記3次元的に再構成されたMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を95個のクラスに分類し、
前記95個のクラスのうち、海馬(Hippocampus)領域を13個のサブ領域に再分類する、
ことを特徴とする請求項に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項8】
前記分類モジュールは、
前記95個のクラスに分類された領域及び前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域について、2以上の領域にさらに分類する作業、及び前記分類された領域のうち2以上を混合する作業のうち少なくとも一つを通じて、複合領域(composite-region)に再分類する、
ことを特徴とする請求項に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項9】
前記分類モジュールは、
前記95個のクラスに分類された領域及び前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域について、予め指定された脳疾患と関連のない領域は除いて、前記予め指定された脳疾患と関連のある領域のみを選択して再分類する、
ことを特徴とする請求項に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項10】
前記解析モジュールは、
前記95個に分類された領域から領域別ボリューム(volume)、前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域において、サブフィールドボリューム(subfield volume)、及び前記複合領域から複合領域ボリューム(composite-region volume)を計算する、
ことを特徴とする請求項に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項11】
前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、
前記第1画像処理部の前記領域分類動作及び前記脳萎縮特徴の取得で用いられるROI(Region Of Interest)特徴をさらに適用し、前記第1SUVR画像及び前記第2SUVR画像を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項12】
前記ROIは、
灰白質(Cerebellum grey matter)領域、白質(Cerebellum white matter)領域、小脳(Whole cerebellum)領域、橋(pons)領域、及び脳幹(brainstem)領域を含み、
前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部で用いられるROIは、
前記アミロイドPET画像及び前記タウPET画像のトレーサー(tracer)によって変わりうる、
ことを特徴とする請求項11に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項13】
前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、予め指定された前処理過程を行い、
前記前処理過程は、
Partial volume correction(PVC)処理及びCo-registration処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項14】
前記Partial volume correction(PVC)処理は、
partial volume effectに影響を受け、指定された基準より低い解像度により画像がぼやけ、濃度が低く測定されるスピルアウト(Spill-out)及び関心領域の周囲の濃度が高いとき、前記関心領域において実際よりも高く測定されるスピルイン(spill-in)現象を補正するためのものであり、
前記Partial volume correction(PVC)処理方法は、
Geomatric transfer matrix方法及びMuller-gartner方法を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置。
【請求項15】
画像受信部がオブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する第1段階と、
画像処理部が前記複数の画像から、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVRの情報を取得する第2段階と、
画像解析部が前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する第3段階と、
分類部が前記第1判断、前記第2判断、及び前記第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連する前記オブジェクトの生物学的分類を行う第4段階と、
を含み、
前記複数の画像は、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含み、
前記SUVRの情報は、前記アミロイドPET画像に関連する第1SUVR画像及び前記タウPET画像に関連する第2SUVR画像を含み、
前記画像処理部は、
前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、
前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴、前記第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得し、
前記第2段階は、
前記画像処理部のうち、第1画像処理部が、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴を取得する第2-1段階と、
前記画像処理部のうち、第2画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像から、前記第1SUVR画像を取得する第2-2段階と、
前記画像処理部のうち、第3画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するタウPET画像から、前記第2SUVR画像を取得する第2-3段階と、を含み、
前記第2-1段階は、
前記第1画像処理部のうち深層ニューラルネットワークモジュールが、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された段階と、
前記第1画像処理部のうち分類モジュールが、前記MRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する段階と、
前記第1画像処理部のうち、解析モジュールが、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴を取得する段階と、を含
前記第4段階において、前記分類部が行う生物学的分類は、
前記オブジェクトが正常段階であることを意味する第1分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記オブジェクトがアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記オブジェクトが前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む、
ことを特徴とする脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項16】
前記第3段階は、
前記画像解析部のうち第1画像解析部が、前記取得された脳萎縮特徴に基づいて、前記脳神経に関連して正常又は異常を第1判断する第3-1段階と、
前記画像解析部のうち第2画像解析部が、前記第1SUVR画像に基づいて、ベータアミロイド蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断する第3-2段階と、
前記画像解析部のうち第3画像解析部が、前記第2SUVR画像に基づいてタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第3判断する第3-3段階と、を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項17】
前記第4段階において、前記分類部は、
前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを前記第1分類とし、
前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第2分類とし、
前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合と、前記第1判断が異常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを第3分類とし、
前記第1判断が異常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第4分類とし、
前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、並びに前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを前記第5分類とする、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項18】
前記解析モジュールは、
前記分類された脳領域に基づいて、脳萎縮特徴マップ(neurodegeneration feature map)を生成し、
前記脳萎縮特徴マップから前記脳萎縮特徴を取得し、
前記脳萎縮特徴は、
皮質厚(cortical thickness)、ボリューム(volume)、表面(surface)面積、及び脳回指数(Gyrification index)を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項19】
前記分類モジュールは、
前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像のいずれかを用いて前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項20】
前記深層ニューラルネットワークモジュールは、
前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像を共に用いて前記MRI画像を3次元的に再構成する、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項21】
前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、
前記第1画像処理部の前記領域分類動作及び前記脳萎縮特徴の取得で用いられるROI(Region Of Interest)特徴をさらに適用し、前記第1SUVR画像及び前記第2SUVR画像を取得する、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項22】
前記ROIは、
灰白質(Cerebellum grey matter)領域、白質(Cerebellum white matter)領域、小脳(Whole cerebellum)領域、橋(pons)領域、及び脳幹(brainstem)領域を含み、
前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部で用いられるROIは、
前記アミロイドPET画像及び前記タウPET画像のトレーサー(tracer)によって異なり得る、
ことを特徴とする請求項21に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項23】
前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、予め指定された前処理を行い、
前記前処理過程は、
Partial volume correction(PVC)処理及びCo-registration処理を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法。
【請求項24】
画像受信部、画像処理部、画像解析部、分類部、及び中央管理部を含む脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置を用いて、オブジェクト群を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法であって、
前記画像受信部が薬の効能を実証するための臨床試験の実験候補群である複数のオブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する第1段階と、
前記画像処理部が、前記複数の画像から、前記複数のオブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVRの情報を取得する第2段階と、
前記画像解析部が前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する第3段階と、
前記分類部が前記第1判断、前記第2判断、及び前記第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連する前記複数のオブジェクトの生物学的分類を行う第4段階と、
前記中央管理部が、前記複数のオブジェクトの生物学的分類特徴を前記分類部から提供される第5段階と、
前記中央管理部が、前記複数のオブジェクトの生物学的分類情報に基づいて、前記臨床試験のための第1オブジェクトを選別する第6段階と、
を含み、
前記複数の画像は、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含み、
前記SUVRの情報は、前記アミロイドPET画像に関連する第1SUVR画像及び前記タウPET画像に関連する第2SUVR画像を含み、
前記画像処理部は、
前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、
前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴、前記第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得し、
前記第2段階は、
前記画像処理部のうち、第1画像処理部が、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴を取得する第2-1段階と、
前記画像処理部のうち、第2画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像から、前記第1SUVR画像を取得する第2-2段階と、
前記画像処理部のうち、第3画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するタウPET画像から、前記第2SUVR画像を取得する第2-3段階と、を含み、
前記第2-1段階は、
前記第1画像処理部のうち深層ニューラルネットワークモジュールが、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された段階と、
前記第1画像処理部のうち分類モジュールが、前記MRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する段階と、
前記第1画像処理部のうち、解析モジュールが、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴を取得する段階と、を含
前記第4段階において、前記分類部が行う生物学的分類は、
前記オブジェクトが正常段階であることを意味する第1分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記オブジェクトがアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記オブジェクトが前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む、
オブジェクト群を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法。
【請求項25】
画像受信部、画像処理部、画像解析部、及び分類部を含む脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置と、前記アルツハイマー病の生物学的分類装置と通信するサーバとを用いて、オブジェクト群を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法であって、
前記画像受信部が薬の効能を実証するための臨床試験の実験候補群である複数のオブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する第1段階と、
前記画像処理部が、前記複数の画像から、前記複数のオブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVRの情報を取得する第2段階と、
前記画像解析部が前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する第3段階と、
前記分類部が前記第1判断、第2判断、及び第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連する前記複数のオブジェクトの生物学的分類を行う第4段階と、
前記サーバが、前記複数のオブジェクトの生物学的分類特徴を前記分類部から提供される第5段階と、
前記サーバが、前記複数のオブジェクトの生物学的分類情報に基づいて、前記臨床試験のための第1オブジェクトを選別する第6段階と、
を含み、
前記複数の画像は、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含み、
前記SUVRの情報は、前記アミロイドPET画像に関連する第1SUVR画像及び前記タウPET画像に関連する第2SUVR画像を含み、
前記画像処理部は、
前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、
前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴、前記第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得し、
前記第2段階は、
前記画像処理部のうち、第1画像処理部が、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴を取得する第2-1段階と、
前記画像処理部のうち、第2画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像から、前記第1SUVR画像を取得する第2-2段階と、
前記画像処理部のうち、第3画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するタウPET画像から、前記第2SUVR画像を取得する第2-3段階と、を含み、
前記第2-1段階は、
前記第1画像処理部のうち深層ニューラルネットワークモジュールが、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された段階と、
前記第1画像処理部のうち分類モジュールが、前記MRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する段階と、
前記第1画像処理部のうち、解析モジュールが、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴を取得する段階と、を含
前記第4段階において、前記分類部が行う生物学的分類は、
前記オブジェクトが正常段階であることを意味する第1分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記オブジェクトがアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記オブジェクトが前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む、
オブジェクト群を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法に関するものであって、より詳細には、脳関連のMRI画像、アミロイドPET画像、及びタウPET画像を解析し、アルツハイマー病の生物学的分類を行う装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、認知症の50~60%を占める最も広く知られた神経変性疾患である。最近の報告によれば、全世界で約5万人の人々が認知症を患っており、2050年までに約1億5千2百万人まで増加すると予想される。
【0003】
アルツハイマー病は、20年前から発症するが、症状が現れるまでは脳に起こる変化になかなか気づくことができない。記憶障害、言語障害などといった目に見える症状が現れた頃は、すでに脳の変化がある程度進行した後である。こうした症状は、思考、学習、記憶(認知機能)に関連した脳のニューロンが、損傷したり、破壊されたことによる。病気が進行すればするほど、脳の他のニューロンまで損傷し、破壊し、最後には歩き、飲み込みなどの基本的な身体活動に影響を及ぼすことになる。
【0004】
したがって、アルツハイマー病を正確に診断することは、極めて重要なことである。
【0005】
アルツハイマー病の代表的な生物学的変化は、ニューロンの外部にあるタンパク質断片であるベータアミロイド(Aβ)、ニューロンの内部に異常な形のタンパク質であるタウが蓄積される。このような変化は、シナプスにおいて、ニューロン間の通信を妨害することによってニューロンの損傷と死に影響を及ぼす。
【0006】
以前のアルツハイマー病は、問診、神経心理検査、血液検査など様々な検査をしてから、これを総合して診断することができ、死後剖検でしか確定診断することができなかった。しかし、これらの検査だけではアルツハイマー病を正確に診断することができない場合が多かった。
【0007】
近来、技術の発達により、脳内のアミロイドと過剰リン化タウを検査することができるPETの開発に伴い、生きている人々からアルツハイマー病の代表的な特徴であるベータアミロイドと異常リン酸化タウ(phosphorylated tau)神経原線維変化(neurofibrillary tangles)の沈着(deposition)を観察できるようになった。
【0008】
また、MRIを通じて脳の萎縮を観察することができるようになった。
【0009】
今日アルツハイマー病の診断は、認知機能の低下如何に関係なく、前記アルツハイマー病に関連したバイオマーカーが陽性である場合に定義づけられる。
【0010】
すなわち、アミロイドPET、タウPET、MRIを用いてバイアスのないアルツハイマー病診断への確実性を高めることができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国特許登録番号第10-2020157号(2019年11月4日公告)
【文献】大韓民国特許登録番号第10-1995383号(2019年7月2日公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、MRI画像から被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得し、アミロイドPET画像及びタウPET画像からSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得した後、予め指定されたバイオマーカーを基準に、正常又は異常を判断し、組み合わせることにより、アルツハイマー病関連の生物学的分類を行う装置及び方法を提供するものである。
【0013】
具体的には、本発明は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を判断し、アミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第2判断し、タウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を判断し、前記3つの判断による組み合わせに基づいて、アルツハイマー病関連の生物学的分類を行う装置及び方法を提供する。
【0014】
本発明において、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記被験者が前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む、生物学的分類装置及び方法を使用者に提供する。
【0015】
また、本発明において、MRI画像に基づいて、脳全体の領域を複数の領域に分類し、分類された複数の脳領域から、脳萎縮特徴を取得するとともに、分類された複数の脳領域に基づいて、アミロイドPET画像からSUVR画像と、タウPET画像からSUVR画像を取得することができる装置及び方法を使用者に提供する。
【0016】
また、本発明では、アキシャル(Axial)方向の脳画像と、ラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と、前記ラベル付きのデータで学習された第2モデルと、サジタル(Sagittal)方向の脳画像と、前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうち少なくとも一つを用いて学習された深層ニューラルネットワークモジュールを適用し、MRI画像に基づいて、被験者の脳を複数の領域に分類及び解析する、装置及び方法を使用者に提供する。
【0017】
また、本発明では、分類された複数の脳領域において、MRI画像を処理する装置の動作から取得されたROI(Region Of Interest)情報に基づいて、アミロイドPET画像及びタウPET画像からSUVR画像を取得することができる装置及び方法を使用者に提供する。
【0018】
また、本発明では、アミロイドPET画像及びタウPET画像と関連し、Partial volume correction(PVC)処理、Co-registration処理などの前処理を行うことができる装置及び方法を使用者に提供する。
【0019】
また、本発明は、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類により患者群及び健常者群の選別に活用し、臨床試験の成功確率を高める装置、システム及び方法を提供することを目的とする。
【0020】
一方、本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及されていないもう一つの技術的課題は、以下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の技術的課題を達成すべく本発明の一態様である脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置は、オブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する画像受信部と、前記複数の画像から、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVRの情報を取得する画像処理部と、前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する画像解析部と、前記第1判断、前記第2判断、及び前記第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連した前記オブジェクトの生物学的分類を行う分類部と、を含むことができる。
【0022】
また、前記複数の画像は、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含むことができる。
【0023】
また、前記SUVRの情報は、前記アミロイドPET画像に関連する第1SUVR画像及び前記タウPET画像に関連する第2SUVR画像を含み、前記画像処理部は、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、該分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮情報、前記第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得することができる。
【0024】
また、前記画像解析部は、前記取得された脳萎縮特徴に基づいて、前記脳神経に関連して正常又は異常を第1判断する第1画像解析部と、前記第1SUVR画像に基づいて、ベータアミロイド蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断する第2画像解析部と、前記第2SUVR画像に基づいて、タウ蛋白質に関連して正常又は異常を第3判断する第3画像解析部と、を含むことができる。
【0025】
また、前記分類部が行う生物学的分類は、前記オブジェクトが正常段階であることを意味する第1分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記オブジェクトがアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記オブジェクトが前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含むことができる。
【0026】
また、前記分類部は、前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを前記第1分類し、前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第2分類し、前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合と、前記第1判断が異常、第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを第3分類し、前記第1判断が異常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第4分類し、前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合と、前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合と、前記第1判断が異常、第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを前記第5分類することができる。
【0027】
また、前記画像処理部は、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴を取得する第1画像処理部と、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像から前記第1SUVR画像を取得する第2画像処理部と、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するタウPET画像から前記第2SUVR画像を取得する第3画像処理部と、を含むことができる。
【0028】
また、前記第1画像処理部は、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と、前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうち少なくとも一つを用いて、学習された深層ニューラルネットワークモジュールと、前記MRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する分類モジュールと、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴を取得する解析モジュールと、を含むことができる。
【0029】
また、前記解析モジュールは、前記分類された脳の領域に基づいて、脳萎縮特徴マップ(neurodegeneration feature map)を生成し、前記脳萎縮特徴マップから前記脳萎縮特徴を取得し、前記脳萎縮特徴は、皮質厚(cortical thickness)、ボリューム(volume)、表面(surface)面積と、脳回指数(Gyrification index)を含むことができる。
【0030】
また、前記分類モジュールは、前記第1モデルによりアキシャル(Axial)方向を基準に第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによりコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによりサジタル(Sagittal)方向を基準に第3分類されたMRI画像のいずれかを用いて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類することができる。
【0031】
また、前記深層ニューラルネットワークモジュールは、前記第1モデルによりアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによりコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによりサジタル(Sagittal)方向を基準に第3分類されたMRI画像を共に用いて、前記MRI画像を3次元に再構成することができる。
【0032】
また、前記分類モジュールは、前記3次元に再構成されたMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を95個のクラスに分類し、前記95個のクラスのうち、海馬(Hippocampus)領域を13個のサブ領域にさらに分類することができる。
【0033】
また、前記分類モジュールは、前記95個のクラスに分類された領域及び前記13個のサブ領域にさらに分類された海馬領域に対して、2以上の領域にさらに分類する作業、及び前記分類された領域のうち2以上を混合する作業のうち少なくとも一つを介して、複合領域(composite-region)に再分類することができる。
【0034】
また、前記分類モジュールは、前記95個のクラスに分類された領域、及び前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域に対して、予め指定された脳疾患と関連のない領域は除いて、前記予め指定された脳疾患と関連のある領域のみを選択して再分類することができる。
【0035】
また、前記解析モジュールは、前記95個に分類された領域から領域別ボリューム(volume)、前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域からサブフィールドボリューム(subfield volume)、及び前記複合領域から複合領域ボリューム(composite-region volume)を計算することができる。
【0036】
また、前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、前記第1画像処理部の前記領域分類動作及び前記脳萎縮特徴動作に用いられるROI(Region Of Interest)情報をさらに適用し、前記第1SUVR画像及び前記第2SUVR画像を取得することができる。
【0037】
また、前記ROIは、灰白質(Cerebellum grey matter)領域、白質(Cerebellum white matter)領域、小脳(Whole cerebellum)領域、橋(pons)領域、及び脳幹(brainstem)領域を含み、前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部で用いられるROIは、前記アミロイドPET画像及び前記タウPET画像のトレーサー(tracer)によって変わりうる。
【0038】
また、前記第2画像処理部と前記第3画像処理部は、予め指定された前処理過程を実行し、前記前処理過程は、Partial volume correction(PVC)処理及びCo-registration処理を含むことができる。
【0039】
また、前記Partial volume correction(PVC)処理は、partial volume effectに影響を受け、指定された基準より低い解像度のため画像がぼやけて濃度が低く測定されるスピルアウト(Spill-out)及び関心領域周囲の濃度が高いとき、前記関心領域で実際よりも高く測定されるスピルイン(spill-in)現象を補正するためのものであり、前記Partial volume correction(PVC)処理方法は、Geomatric transfer matrix方法、及びMuller-gartner方法を含むことができる。
【0040】
一方、前記の技術的課題を達成するための本発明のもう一つの態様である脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法は、画像受信部がオブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する第1段階と、画像処理部が前記複数の画像から、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR情報を取得する第2段階と、画像解析部が前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する第3段階と、前記分類部が前記第1判断、前記第2判断、及び前記第3判断を共に用いてアルツハイマー病に関連する前記オブジェクトの生物学的分類を行う第4段階とを、含むことができる。
【0041】
また、前記複数の画像は、前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含むことができる。
【0042】
また、前記SUVR情報は、前記アミロイドPET画像に関連する第1SUVR画像及び前記タウPET画像に関連する第2SUVR画像を含み、前記画像処理部は、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、前記分類された複数の脳領域から、前記脳萎縮特徴、前記第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得することができる。
【0043】
また、前記第3段階は、前記画像解析部のうち、第1画像解析部が前記取得された脳萎縮特徴に基づいて、前記脳神経に関連して正常又は異常を第1判断する第3-1段階と、前記画像解析部のうち、第2画像解析部が前記第1SUVR画像に基づいて、ベータアミロイド蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断する第3-2段階と、前記画像解析部のうち、第3画像解析部が前記第2SUVR画像に基づいて、タウ蛋白質に関連して正常又は異常を第3判断する、第3-3段階と、を含むことができる。
【0044】
また、前記第4段階において、前記分類部が行う生物学的分類は、前記オブジェクトが正常段階であることを意味する第1分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記オブジェクトがアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記オブジェクトが前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記オブジェクトが前記アルツハイマー病ではない他の病理を有することを意味する第5分類を含むことができる。
【0045】
また、前記第4段階において、前記分類部は、前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを前記第1分類し、前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第2分類し、前記第1判断が正常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合と、前記第1判断が異常、第2判断が異常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを第3分類し、前記第1判断が異常、前記第2判断が異常、及び前記第3判断が正常な場合、前記オブジェクトを第4分類し、前記第1判断が正常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が正常な場合、及び前記第1判断が異常、前記第2判断が正常、及び前記第3判断が異常な場合、前記オブジェクトを前記第5分類することができる。
【0046】
また、前記第2段階は、前記画像処理部のうち、第1画像処理部が前記オブジェクトの脳に関連するMRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類し、この分類された複数の脳領域から前記脳萎縮特徴を取得する第2-1段階と、前記画像処理部のうち、第2画像処理部が前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するアミロイドPET画像から前記第1SUVR画像を取得する第2-2段階と、前記画像処理部のうち、第3画像処理部が、前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連するタウPET画像から、前記第2SUVR画像を取得する第2-3段階とを含むことができる。
【0047】
また、前記第2-1段階は、前記第1画像処理部のうち、深層ニューラルネットワークモジュールが、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像、前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された段階と、前記第1画像処理部のうち、分類モジュールが前記MRI画像に基づいて、前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類する段階と、前記第1画像処理部のうち、解析モジュールが前記分類された複数の脳領域に基づいて、前記オブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴を取得する段階とを含むことができる。
【0048】
また、前記解析モジュールは、前記分類された脳の領域に基づいて、脳萎縮特徴マップ(neurodegeneration feature map)を生成し、前記脳萎縮特徴マップから前記脳萎縮特徴を取得し、前記脳萎縮特徴は、皮質厚(cortical thickness)、ボリューム(volume)、表面(surface)面積、及び脳回指数(Gyrification index)を含むことができる。
【0049】
また、前記分類モジュールは、前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像のいずれかを用いて前記オブジェクトの脳全体の領域を複数の領域に分類することができる。
【0050】
また、前記深層ニューラルネットワークモジュールは、前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像を共に用いて前記MRI画像を3次元的に再構成することができる。
【0051】
また、前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、前記第1画像処理部の前記領域分類動作及び前記の脳萎縮特徴操作で用いられるROI(Region Of Interest)特徴をさらに適用し、前記第1SUVR画像及び前記第2SUVR画像を取得することができる。
【0052】
また、前記ROIは、灰白質(Cerebellum grey matter)領域、白質(Cerebellum white matter)領域、小脳(Whole cerebellum)領域、橋(pons)領域と脳幹(brainstem)領域を含み、前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部で用いられるROIは、前記アミロイドPET画像及び前記タウPET画像のトレーサー(tracer)によって変わりうる。
【0053】
また、前記第2画像処理部及び前記第3画像処理部は、予め指定された前処理過程を行い、前記前処理過程は、Partial volume correction(PVC)処理及びCo-registration処理を含むことができる。
【0054】
一方、本発明のもう一つの一実施態様によれば、画像受信部、画像処理部、画像解析部、分類部、及び中央管理部を含む脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置を用いて、オブジェクト群を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法であって、前記画像受信部が薬の効能を実証するための臨床試験の実験候補群である複数のオブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する第1段階と、前記画像処理部が、前記複数の画像から、前記複数のオブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR情報を取得する第2段階と、前記画像解析部が前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する第3段階と、前記分類部が前記第1判断、前記第2判断、及び前記第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連する前記複数のオブジェクトの生物学的分類を行う第4段階と、前記中央管理部が、前記複数のオブジェクトの生物学的分類特徴を前記分類部から提供を受ける第5段階と、前記中央管理部が、前記複数のオブジェクトの生物学的分類情報に基づいて、前記臨床試験のための第1オブジェクトを選別する第6段階とを含むことができる。
【0055】
一方、本発明のもう一つの一実施態様によれば、画像受信部、画像処理部、画像解析部、及び分類部を含む脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置と、前記アルツハイマー病の生物学的分類装置と通信するサーバとを用いて、オブジェクト群を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法であって、前記画像受信部が薬の効能を実証するための臨床試験の実験候補群である複数のオブジェクトの脳を撮影した複数の画像を受信する第1段階と、前記画像処理部が、前記複数の画像から、前記複数のオブジェクトの脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR情報を取得する第2段階と、前記画像解析部が前記脳萎縮特徴に基づいて、脳神経に関連して正常又は異常を第1判断し、前記SUVR情報に基づいて、ベータアミロイド蛋白質及びタウ蛋白質に関連して正常又は異常を第2判断し、及び第3判断する第3段階と、前記分類部が前記第1判断、第2判断、及び第3判断を共に用いて、アルツハイマー病に関連した前記複数のオブジェクトの生物学的分類を行う第4段階と、前記サーバが、前記複数のオブジェクトの生物学的分類特徴を前記分類部から提供される第5段階と、前記サーバが、前記複数のオブジェクトの生物学的分類情報に基づいて、前記臨床試験のための第1オブジェクトを選別する第6段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0056】
上述したように、本発明は、MRI画像から被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得し、アミロイドPET画像及びタウPET画像からSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得した後、予め指定されたバイオマーカーを基準に正常又は異常を判断し、組み合わせることにより、アルツハイマー病に関連する生物学的分類を行う装置及び方法を提供することができる。
【0057】
具体的には、本発明は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を判断し、アミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第2判断し、タウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を判断し、前記3つの判断による組み合わせに基づいて、アルツハイマー病に関連する生物学的分類を行う装置及び方法を提供することができる。
【0058】
また、本発明では、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記被験者が前記アルツハイマー病ではない他の病理を有することを意味する第5分類を含む生物学的分類装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0059】
また、本発明では、MRI画像に基づいて、脳全体の領域を複数の領域に分類し、分類された複数の脳領域から、脳萎縮特徴を取得するとともに、分類された複数の脳領域に基づいて、アミロイドPET画像からSUVR画像とタウPET画像からSUVR画像を取得することができる装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0060】
また、本発明では、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と、前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された深層ニューラルネットワークモジュールを適用し、MRI画像に基づいて、被験者の脳を複数の領域に分類及び解析する装置と方法を使用者に提供することができる。
【0061】
また、本発明では、分類された複数の脳領域において、MRI画像を処理する装置の動作から取得されたROI(Region Of Interest)情報に基づいて、アミロイドPET画像及びタウPET画像からSUVR画像を取得することができる装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0062】
また、本発明では、アミロイドPET画像及びタウPET画像と関連し、Partial volume correction(PVC)処理、Co-registration処理などの前処理を行うことができる装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0063】
また、本発明は、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類により患者群及び健常者群の選別に活用し、臨床試験の成功確率を高める装置、システム及び方法を提供することができる。
【0064】
一方、本発明から得られる効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及されていないもう一つの効果は、以下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置のブロック構成図の一例を示したものである。
図2】本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置の機能を含むブロック構成図の一例を示したものである。
図3】本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法を説明するフローチャートである。
図4】本発明に関連して、画像処理部の機能を説明するための図である。
図5】本発明に関連して、MRI画像処理部の機能を説明する図である。
図6】本発明に関連して、MRI画像処理部のブロック構成図の一例を示したものである。
図7】本発明に関連して、学習された深層ニューラルネットワークモジュールの機能を説明する図である。
図8(a)】本発明に関連して、画像処理部が学習された深層ニューラルネットワークモジュールに基づいて、脳の領域を複数に分類し、脳萎縮特徴を取得する過程を説明する図である。
図8(b)】本発明に関連して、画像処理部が学習された深層ニューラルネットワークモジュールに基づいて、脳の領域を複数に分類し、脳萎縮特徴を取得する過程を説明する図である。
図9】本発明に関連して、分類された複数の脳領域に基づいて、アミロイドPET画像とタウPET画像から、SUVR画像を取得する過程を説明する図である。
図10】本発明に関連して、分類された複数の脳領域でMRI画像処理部の動作によるROI(Region Of Interest)情報に基づいて、SUVR画像を取得する過程を説明する図である。
図11】本発明に関連して、分類部が行う生物学的分類の内容を表にまとめたものである。
図12】本発明に関連して、脳に関連するMRI画像、アミロイドPET画像及びタウPET画像を解析して、アルツハイマー病の生物学的分類を行う過程を示すものである。
図13】本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類を通じて患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める方法を説明する図である。
図14】本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類を通じて被験者群と正常群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める他の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施態様について説明する。なお、以下に説明する実施態様は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定せず、本実施形態で説明する全構成が、本発明の解決手段として、不可欠であるとは言えない。
【0067】
以下、本発明の好ましい実施形態による脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法を添付された図面を参照して、詳細に説明する。
【0068】
脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置
図1は、本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置のブロック構成図の一例を示したものである。
【0069】
また、図2は、本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置の機能を含むブロック構成図の一例を示したものである。
【0070】
図1を参照すると、本発明に係る脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置1は、画像受信部10、画像処理部20、画像解析部30、及び分類部40を含むことができる。
【0071】
ここで画像受信部10は、被験者の脳を撮影した複数の画像を受信する。
【0072】
図2を参照すると、画像受信部10が受信する複数の画像11は、被験者の脳に関連するMRI画像、被験者の脳に関連するアミロイドPET画像、及びタウPET画像を含むことができる。
【0073】
図1に戻り、画像処理部20は、複数の画像から、被験者の脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得することができる。
【0074】
本発明に係る画像処理部20は、複数の画像から、被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得するMRI画像処理部21と、被験者の脳に関連するアミロイドPET画像及びタウPET画像それぞれからSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得する、A、T PET画像処理部22、23を含むことができる。
【0075】
また、画像解析部30は、予め指定された複数のバイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)をそれぞれ判断することができる。
【0076】
具体的には、本発明に係る画像解析部30は、MRI画像解析部31、アミロイドPET画像解析部32及びタウPET画像解析部33を含むことができる。
【0077】
MRI画像解析部31は、予め指定された脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第1判断する。
【0078】
また、アミロイドPET画像解析部32は、予め指定されたアミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第2判断する。
【0079】
また、タウPET画像解析部33は、予め指定されたタウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第3判断する。
【0080】
それから、分類部40は、画像解析部30の第1判断、第2判断、及び第3判断を用いて、アルツハイマー病と関連する被験者の生物学的分類を行う。
【0081】
図2を参照すると、代表的に分類部40が判断する生物学的分類は、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、被験者がアルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、被験者がアルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び被験者がアルツハイマー病ではない他の病理を有することを意味する第5分類を含むことができる。
【0082】
脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法
図1及び図2を用いて説明した脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置1の構成に基づいて、本発明が提案するアルツハイマー病の生物学的分類方法を説明する。
【0083】
図3は、本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類方法を説明するフローチャートである。
【0084】
図3を参照すると、画像受信部10が被験者の脳を撮影した複数の画像を受信する段階(S1)を行う。
【0085】
S1段階において画像受信部10が受信する複数の画像11は、被験者の脳に関連するMRI画像、被験者の脳に関連するアミロイドPET画像及びタウPET画像を含むことができる。
【0086】
次に、画像処理部20が前記複数の画像から、前記被験者の脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得する段階(S2)を行う。
【0087】
S2段階では、MRI画像処理部21が複数の画像から、被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得し、A、T PET画像処理部22、23が、被験者の脳に関連するアミロイドPET画像及びタウPET画像それぞれからSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得することができる。
【0088】
以後、画像解析部30が、予め指定された脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第1判断し、予め指定されたアミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第2判断し、及び予め指定されたタウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第3判断する段階(S3)を行う。
【0089】
S3段階において、MRI画像解析部31は、予め指定された脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第1判断し、アミロイドPET画像解析部32は、予め指定されたアミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第2判断し、タウPET画像解析部33は、予め指定されたタウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第3判断する。
【0090】
S3段階の後、分類部40が前記第1判断、第2判断、及び第3判断を用いて、アルツハイマー病に関連する前記被験者の生物学的分類を行う段階(S4)を行う。
【0091】
S4段階では、分類部40が判断する生物学的分類は、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、被験者がアルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、被験者がアルツハイマー病に該当するを意味する第3分類、被験者がアルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び被験者がアルツハイマー病ではない他の病理を有することを意味する第5分類を含むことができる。
【0092】
以下では、図1及び図2を基に説明した画像受信部10は、画像処理部20、画像解析部30、分類部40、及び図3に基づいて説明したアルツハイマー病の生物学的分類方法の各段階について、図面を参照して、より具体的に説明する。
【0093】
画像処理部
図4は、本発明に関連して、画像処理部の機能を説明するための図である。
【0094】
図4を参照すると、本発明に係る画像処理部20は、複数の画像から、被験者の脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得することができる。
【0095】
図4を参照すると、本発明に係る画像処理部20は、MRI画像処理部21、アミロイドPET画像処理部22、及びタウPET画像処理部23を含むことができる。
【0096】
まず、MRI画像処理部21は、複数の画像から、被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得することができる。
【0097】
次に、アミロイドPET画像処理部22は、被験者の脳に関連するアミロイドPET画像から、第1SUVR画像を取得することができる。
【0098】
また、タウPET画像処理部23は、被験者の脳に関連するタウPET画像それぞれから第2SUVR画像を取得することができる。
【0099】
このとき、MRI画像処理部21は、被験者の脳に関連するMRI画像に基づいて、脳全体の領域を複数の領域に分類し、分類された複数の脳領域から、脳萎縮特徴のみならず、アミロイドPET画像処理部22とタウPET画像処理部23が第1SUVR画像及び第2SUVR画像を取得することができる。
【0100】
MRI画像処理部
図4に関連して、まず初めに、MRI画像処理部21について具体的に説明する。
【0101】
図5は、本発明に関連して、MRI画像処理部の機能を説明する図である。
【0102】
図5を参照すれば、画像受信部10は、MRI画像を受信し、MRI画像処理部21は、画像受信部10から伝達された被験者の脳に関連するMRI画像に基づいて(a)、脳全体の面積を複数の領域に分類し(b)、分類された複数の脳領域から、脳萎縮特徴を生成(c)する。
【0103】
具体的に、図6は、本発明に関連して、MRI画像処理部のブロック構成図の一例を示したものである。
【0104】
図6を参照すれば、本発明に係るMRI画像処理部21は、深層ニューラルネットワークモジュール21a、分類モジュール21b、及び解析モジュール21cを含むことができる。
【0105】
図7は、本発明に関連して、学習された深層ニューラルネットワークモジュール機能を説明する図である。
【0106】
また、図8a及び図8bは、本発明に関連して、画像処理部が学習された深層ニューラルネットワークモジュールを基に脳の領域を複数に分類し、脳萎縮特徴を取得する過程を説明する図である。
【0107】
図7を参照すれば、まず、深層ニューラルネットワークモジュール21aは、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータ61で学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と、前記ラベル付きのデータ62で学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのベータ63で学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習される。
【0108】
具体的には図8aを参照すれば、深層ニューラルネットワークモジュール21aは、第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像61a、第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像61b、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像61cのいずれかを用いて、オブジェクトの脳全体の領域を複数領域21bに分類することができる。
【0109】
また、第1モデル、第2モデル、及び第3モデルの結果を共に用いて3次元的に再構成された画像を利用することもできる。
【0110】
すなわち、本発明によれば、深層ニューラルネットワークモジュール21aは、前記第1モデルによってアキシャル(Axial)方向を基準に、第1分類されたMRI画像、前記第2モデルによってコロナル(Coronal)方向を基準に第2分類されたMRI画像、及び前記第3モデルによってサジタル(Sagittal)方向を基準に、第3分類されたMRI画像を共に用いて前記MRI画像を3次元的に再構成することができる。
【0111】
また、分類モジュール21bが深層ニューラルネットワークモジュール21aから伝達されたMRI画像に基づいて、前記被験者の脳全体の領域を複数の領域に分類する具体的な内容について説明する。
【0112】
分類モジュール21bは、深層ニューラルネットワークモジュール21aを介して、3次元的に再構成されたMRI画像に基づいて、被験者の脳全体の領域を95個のクラスに分類することができる。
【0113】
また、分類モジュール21bは、前記95個のクラスのうち、海馬(Hippocampus)領域を13個のサブ領域に再び分類することができる。
【0114】
さらに分類モジュール21bは、95個のクラスに分類された領域、及び13個のサブ領域に再分類された海馬領域について、2以上の領域にさらに分類する作業、及び前記分類された領域のうち2以上を混合する作業のうち少なくともいずれかを介して、複合領域(composite-region)に再分類することもできる。
【0115】
もう一つの方法として、前記分類モジュール21bは、95個のクラスに分類された領域及び前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域について、予め指定された脳疾患と関連のない領域は除いて、前記予め指定された脳疾患と関連のある領域だけを選択して再分類することも可能である。
【0116】
最後に、解析モジュール21cは、分類された複数の脳領域に基づいて、前記被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得する。
【0117】
ここで解析モジュール21cは、分類された脳領域に基づいて、脳萎縮特徴マップ(neurodegeneration feature map)を生成することができる。
【0118】
また、図8a及び図8bを参照すれば、解析モジュール21cは、脳萎縮特徴マップから前記脳萎縮特徴を取得することができ、脳萎縮特徴は、皮質厚(cortical thickness)、ボリューム(volume)、表面(surface)面積、及び脳回指数(Gyrification index)を含むことができる。
【0119】
一方、解析モジュール21cは、分類モジュール21bにより、95個のクラスに分類された領域、及び13個のサブ領域に再分類された海馬領域のうち少なくとも一つを利用することができる。
【0120】
すなわち、解析モジュール21cは、95個に分類された領域から領域別のボリューム(volume)、前記13個のサブ領域に再分類された海馬領域からサブフィールドボリューム(subfield volume)、及び前記複合領域から複合領域ボリューム(composite-region volume)を計算することができる。
【0121】
アミロイドPET画像処理部及びタウPET画像処理部
図9は、本発明に関連して、分類された複数の脳領域に基づいて、アミロイドPET画像とタウPET画像から、SUVR画像を取得する過程を説明する図である。
【0122】
前述したように、入力された複数の画像11は、被験者の脳に関連するMRI画像12、被験者の脳に関連するアミロイドPET画像13、及びタウPET画像14を含むことができる。
【0123】
また、SUVR画像は、アミロイドPET画像処理部22が取得した第1SUVR画像68と、タウPET画像処理部23が取得した第2SUVR画像69を含むことができる
【0124】
前述したように、MRI画像処理部21は、被験者の脳全体の領域を複数の領域に分類し、アミロイドPET画像処理部22及びタウPET画像処理部23は、前記分類された複数の脳領域から、第1SUVR画像68及び第2SUVR画像69を取得することができる。
【0125】
また、図10は、本発明に関連して、分類された複数の脳領域においてMRI画像処理部の動作に応じたROI(Region Of Interest)情報に基づいて、SUVR画像を取得する過程を説明する図である。
【0126】
図10を参照すると、アミロイドPET画像処理部22及びタウPET画像処理部23は、分類された複数の脳領域において、前記MRI画像処理部21の動作に応じたROI(Region Of Interest)特徴70に基づいて、第1SUVR画像68及び第2SUVR画像69を取得することもできる。
【0127】
MRI画像処理部21を介して、皮質厚(cortical thickness)、ボリューム(volume)、表面(surface)面積、脳回指数(Gyrification index)、分類された領域から領域別ボリューム(volume)、海馬サブフィールドボリューム(Hippocampus subfield volume)、前記複合領域のボリューム(composite-region volume)などの特定の情報67が取得される過程において、ROI(region Of Interest)情報70が活用される。
【0128】
代表的に、図10に適用されるROI70は、灰白質(Cerebellum grey matter)領域、白質(Cerebellum white matter)領域、小脳(Whole cerebellum)領域、橋(pons)領域、及び脳幹(brainstem)領域を含むことができる。
【0129】
また、図10において、アミロイドPET画像処理部22及びタウPET画像処理部23が用いるROIは、アミロイドPET画像及び前記タウPET画像のトレーサー(tracer)によって異なり得る。
【0130】
一方、アミロイドPET画像処理部22及びタウPET画像処理部23は、予め指定された前処理を行うこともできる。
【0131】
ここで前処理過程は、Partial volume correction(PVC)処理とCo-registration処理を含むことができる。
【0132】
ここで、Partial volume correction(PVC)処理は、partial volume effectに影響を受け、指定された基準より低い解像度のために画像がぼやけて濃度が低く測定されるスピルアウト(Spill-out)と関心領域周囲の濃度が高いとき、前記関心領域において実際よりも高く測定されるスピルイン(spill-in)現像を補正するためのものである。
【0133】
また、前記Partial volume correction(PVC)処理方法は、Geomatric transfer matrix方法及びMuller-gartner方法を含むことができる。
【0134】
画像解析部
画像解析部30は、予め指定された複数のバイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)をそれぞれ判断することができる。
【0135】
具体的には、本発明に係る画像解析部30は、MRI画像解析部31、アミロイドPET画像解析部32及びタウPET画像解析部33を含むことができる。
【0136】
MRI画像解析部31は、予め指定された脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第1判断する。
【0137】
また、アミロイドPET画像解析部32は、予め指定されたアミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第2判断する。
【0138】
また、タウPET画像解析部33は、予め指定されたタウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第3判断する。
【0139】
分類部
それから、分類部40は、第1判断、第2判断、及び第3判断を用いて、アルツハイマー病に関連する前記被験者の生物学的分類を行います。
【0140】
分類部が行う生物学的分類は、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記被験者が前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含むことができる。
【0141】
具体的には、図11は、本発明に関連して、分類部を行う生物学的分類の内容を表にまとめたものである。
【0142】
図11を参照すると、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が正常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が正常、及びタウPET画像バイオマーカーを基準に、第3判断が正常な場合81、被験者が正常段階であることを意味する第1分類をする。
【0143】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が正常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が異常、及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が正常な場合82、被験者が前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類をする。
【0144】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が正常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が異常、及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が異常な場合83、被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類をする。
【0145】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が異常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が異常、及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が異常な場合84、被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類をする。
【0146】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が異常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が異常及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が正常な場合85、被験者が前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類をする。
【0147】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が正常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が正常及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が異常な場合86、被験者が前記アルツハイマー病ではない他の病理を有することを意味する第5分類をする。
【0148】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が異常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が正常及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が正常な場合87、被験者が前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類をする。
【0149】
また、分類部40は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、第1判断が異常、アミロイドPET画像バイオマーカーを基準に第2判断が正常、及びタウPET画像バイオマーカーを基準に第3判断が異常な場合88、被験者が前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類をする。
【0150】
図12は、本発明に関連して、脳に関連するMRI画像、アミロイドPET画像及びタウPET画像を解析して、アルツハイマー病の生物学的分類を行う過程を示すものである。
【0151】
図12を参照すると、分類部40は、MRI画像解析部31から第1判断の結果を受信し、アミロイドPET画像解析部32から第2判断結果を受信し、タウPET画像解析部33から第3判断の結果を受信する。
【0152】
また、これを基に分類部40は、に、第1判断、第2判断及び第3判断の正常有無を組み合わせて、図11で説明したように、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記被験者が前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む生物学的分類を行う。
【0153】
これに基づいて、被験者の正確な現状を把握し、現状に応じた措置又は将来アルツハイマー病の可能性に応じた管理措置等を被験者に提供することが可能である。
【0154】
脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類により患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める方法
第1方法
前述した本発明に係る脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法を、患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0155】
すなわち、本発明は、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法を通じて患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める装置、システム及び方法を提供することができる。
【0156】
薬の効能を実証するための臨床試験は、予め予測された期待効果を臨床試験参加者に対して、達成するのか統計的有意性を示すことで結果が判定されるが、本発明に係る脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法を適用した場合、正確に新薬が目標とするアルツハイマー病の被験者だけを臨床試験の対象者に含ませることで、可能な限り臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0157】
まず、従来の新薬臨床試験の問題について先決的に説明する。
【0158】
薬の効能を実証するための臨床試験は、予め予測された期待効果を臨床試験参加者に対して達成するか統計的有意性を示すことで結果が判定される。
【0159】
したがって、統計的有意性を立証するには、投薬の前後、又は偽薬群と比較して評価尺度の数値が統計的に有意に上昇しなければならず、予測上昇数値が比較的大きいほど目標対象者数も少なくなり、統計的有意性を達成する可能性が上昇する。
【0160】
このとき、予測上昇数値が小さければ、それだけ目標対象者数も増え、統計立証難易度が上昇する。
【0161】
最後に、アルツハイマー病の評価尺度が一段階上昇すること自体が非常に難しいので、臨床試験の通過可能性が非常に低いという問題点が発生する。
【0162】
本発明では、このような問題点を解消するため、正確に新薬が目標とするアルツハイマー病の被験者だけを臨床試験の対象者に含ませることで、可能な限り臨床試験の成功確率を高めるものである。
【0163】
中枢神経系薬物の新薬開発の過程において、重要な失敗要因の一つは、正確な対象者を選別及び薬物反応群の選別が難しいという点である。
【0164】
中枢神経系の薬物の場合、特に偽薬に対する反応率が高く、対象者群の異質性を下げ、薬物反応性を予測することができるバイオマーカーを設定することが成功率を高めることにおいて重要な戦略となる。
【0165】
また、アルツハイマー病の場合、診断確定に長い期間がかかるので、選別検査が難しく新薬が目標とするアルツハイマー病の被験者だけを臨床試験の対象者に含ませることが非常に難しいという問題がある。
【0166】
したがって、本発明が提案する脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置及び方法を通じて患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めることに活用することができる。
【0167】
図13は、本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類により患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める方法を説明する図である。
【0168】
図13は、前述した画像受信部10、画像処理部20、画像解析部30、分類部40に加えて、中央管理部(図示せず)を含む脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置を用いて、被験者を選別することにより、臨床試験の成功確率を高める方法が提供される。
【0169】
図13を参照すれば、まず第一に、画像受信部10が薬の効能を実証するための臨床試験の実験候補群である複数の被験者の脳を撮影した複数の画像を受信する段階(S11)を行う。
【0170】
それから、画像処理部20が前記複数の画像から、前記複数の被験者の脳に関連する脳萎縮特徴及びSUVR(Standardized Uptake Value Ratio )画像を取得する段階(S12)を行う。
【0171】
S12段階の後、画像解析部30が、予め指定された脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第1判断、予め指定されたアミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第2判断、及び予め指定されたタウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常又は異常を第3判断する段階(S13)を行う。
【0172】
また、分類部40が、前記第1判断、第2判断、及び第3判断を用いて、アルツハイマー病に関連する前記複数の被験者の生物学的分類を行う(S14)。
【0173】
それから、中央管理部(図示せず)が前記複数の被験者の生物学的分類特徴を前記分類部40から提供を受ける段階(S15)が行われる。
【0174】
このとき、中央管理部は、複数の被験者の生物学的分類情報に基づいて、前記臨床試験のための第1被験者を選別する(S16)。
【0175】
S16段階後、選別された被験者群を対象に臨床試験を進めすることにより、臨床試験の成功確率を高めることができる(S17)。
【0176】
したがって、正確に新薬が目標とするアルツハイマー病の被験者だけを臨床試験の対象者に含ませることで、可能な限り臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0177】
最後に、本発明に係る脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置と方法を通じて、患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高めることに活用することができる。
【0178】
第2方法
前述したS1段階ないしS4段階は、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類装置1により、独自に実行されることもでき、別途サーバ(図示せず)を置いたり、別途の集中管理装置(図示せず)を置いて、アルツハイマー病の生物学的分類装置1と共に全体の動作を行うように適用することもできる。
【0179】
第2方法は、別途サーバ(図示せず)を利用する方法を説明したものである。
【0180】
図14は、本発明に関連して、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類により患者群及び健常者群の選別に活用し、臨床試験の成功確率を高めるもう一つの方法を説明する図である。
【0181】
図14のS21段階ないしS24段階は、前述した図13におけるS11段階ないしS14段階に対応するので、明細書の簡明化のための具体的な説明は省略する。
【0182】
S24段階後、サーバ(図示せず)が複数の被験者の生物学的分類特徴を前記分類部40から無線又は有線通信を介して提供される段階(S25)が行われる。
【0183】
それから、サーバは複数の被験者の生物学的分類情報に基づいて、前記臨床試験のための第1被験者を選別する(S26)。
【0184】
S26段階後、選別された被験者群を対象に臨床試験を進めすることにより、臨床試験の成功確率を高めることができるようになり(S27)、正確に新薬が目標とするアルツハイマー病の被験者だけを臨床試験の対象者に含ませることで、可能な限り臨床試験の成功確率を高めることができる。
【0185】
本発明に係る効果
上述したように、本発明は、MRI画像から被験者の脳に関連する脳萎縮特徴を取得し、アミロイドPET画像及びタウPET画像からSUVR(Standardized Uptake Value Ratio)画像を取得した後、予め指定されたバイオマーカーを基準に、正常又は異常を判断、及び組み合わせることにより、アルツハイマー病関連の生物学的分類を行う装置及び方法を提供することができる。
【0186】
具体的には、本発明は、脳萎縮特徴バイオマーカー(biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を判断し、アミロイドPET画像バイオマーカー(Amyloid PET Image biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を第2判断し、タウPET画像バイオマーカー(Tau PET Image biomarker)を基準に、正常(normal)又は異常(abnormal)を判断し、前記3つの判断による組み合わせに基づいて、アルツハイマー病と関連する生物学的分類を行う装置及び方法を提供することができる。
【0187】
また、本発明では、被験者が正常段階であることを意味する第1分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の初期段階に該当することを意味する第2分類、前記被験者がアルツハイマー病に該当することを意味する第3分類、前記被験者が前記アルツハイマー病の病理と他の病理を共に有することを意味する第4分類、及び前記被験者が前記アルツハイマー病でない他の病理を有することを意味する第5分類を含む生物学的分類装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0188】
また、本発明では、MRI画像に基づいて、脳全体の領域を複数の領域に分類し、分類された複数の脳領域から、脳萎縮特徴を取得するとともに、分類された複数の脳領域に基づいて、アミロイドPET画像からSUVR画像とタウPET画像からSUVR画像を取得することができる装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0189】
また、本発明では、アキシャル(Axial)方向の脳画像とラベル付き(labelling)のデータで学習された第1モデル、コロナル(Coronal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第2モデル、及びサジタル(Sagittal)方向の脳画像と前記ラベル付きのデータで学習された第3モデルのうちの少なくとも一つを用いて学習された深層ニューラルネットワークモジュールを適用して、MRI画像に基づいて、被験者の脳を複数の領域に分類及び解析する装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0190】
また、本発明では、分類された複数の脳領域においてMRI画像を処理する装置の動作において取得されたROI(Region Of Interest)情報に基づいて、アミロイドPET画像及びタウPET画像からSUVR画像を取得することができる装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0191】
また、本発明では、アミロイドPET画像及びタウPET画像と関連して、Partial volume correction(PVC)処理、Co-registration処理などの前処理を行うことができる装置及び方法を使用者に提供することができる。
【0192】
また、本発明は、脳画像を用いたアルツハイマー病の生物学的分類により患者群及び健常者群の選別に活用して臨床試験の成功確率を高める装置、システム及び方法を提供することができる。
【0193】
一方、本発明から得られる効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及されていない他の効果は以下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【0194】
上述した本発明の実施態様は、様々な手段を通じて具現されることができる。例えば、本発明の実施態様は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの組み合わせなどにより具現されることができる。
【0195】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施態様に係る方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどにより具現されることができる。
【0196】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施態様に係る方法は、以上で説明した機能又は動作を行うモジュール、手続き又は関数などの形態で具現されることができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに格納され、プロセッサによって駆動されることができる。前記メモリユニットは、前記プロセッサの内部又は外部に位置し、既に公知された多様な手段により、前記プロセッサとデータを送受信することができる。
【0197】
上述したように、開示された本発明の好適な実施形態の詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。前記では、本発明の好ましい実施態様を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、本発明の範囲から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるであろう。例えば、当業者は、上述した実施態様に記載された各構成を互いに組み合わせる方式で利用することができる。したがって、本発明は、ここに示された実施形態に限定されるのではなく、ここに開示された原理と新規な特徴と一致する最も広い範囲を付与するものである。
【0198】
本発明は、本発明の精神及び必須の特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態で具体化されることができる。したがって、前記の詳細な説明は、すべての面で制限的に解釈してはならず、例示的なものとみなされるべきである。本発明の範囲は、添付された請求項の合理的な解釈によって決定されるべきであり、本発明の等価的範囲内でのすべての変更は、本発明の範囲に含まれる。本発明は、ここに示された実施形態に限定されるものではなく、ここに開示された原理と新規な特徴と一致する最も広い範囲を付与するものである。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係にない請求項を組み合わせて実施態様を構成したり、出願後の補正により新たな請求項として含めることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11
図12
図13
図14