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特許7101866車両用の危険識別のための1D超音波変換器ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】車両用の危険識別のための1D超音波変換器ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20060101AFI20220708BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
G01V1/00 A
G01S7/521 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021505834
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019000165
(87)【国際公開番号】W WO2020025158
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】102018006130.3
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513003622
【氏名又は名称】ペッパール プルス フクス エス・エー
【氏名又は名称原語表記】Pepperl + Fuchs SE
【住所又は居所原語表記】Lilienthalstrasse 200, 68307 Mannheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レギーネ アウゲンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス カインドル
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00940801(EP,A2)
【文献】特開2009-264872(JP,A)
【文献】KONETZKE Eric et al.,Phased array transducer for emitting 40-kHz air-coupled ultrasound without grating lobes,2015 IEEE International Ultrasonics Symposium (IUS),IEEE,2015年,pages 1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00
G01S 7/521
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(14)と、少なくとも3つの超音波変換器(12)と、制御ユニットとを含む、車両(100)用の危険識別のための1D超音波変換器ユニット(10)であって、
・前記制御ユニットは、各超音波変換器(12)を個別に駆動制御するように設計されており、
・各超音波変換器(12)はそれぞれ、変換器ハウジング(18)と、前記変換器ハウジング(18)内に配置されている圧電体と、気体状の媒質への分離のために前記変換器ハウジング(18)の開放端部に配置されている音響分離層(20)とを有しており、かつ、前記ハウジング(14)内の固定の位置に配置されており、
・各超音波変換器(12)は、一致する動作周波数を有する音波を放射し及び/又は受け取るように設計されており、
・前記音波の前記動作周波数は、20kHz~400kHzの範囲にあり、
・互いに直接的に隣接する2つの超音波変換器(12)はそれぞれ、前記ハウジング(14)内で、最大10cm又は最大5cm又は最大2cmの、前記音響分離層(20)の中心から前記音響分離層(20)の中心までの間隔(A1)を有しており、
・前記1D超音波変換器ユニット(10)は、超音波変換器(12)毎に1つの音響チャネル(22)を有しており、
・各音響チャネル(22)は、入口開口部(24)と出口開口部(26)とを有しており、
・各音響分離層(20)には、厳密に前記複数の入口開口部(24)のうちの1つが割り当てられており、
・前記出口開口部(26)は、直線に沿って配置されており、
・前記出口開口部(26)はそれぞれ、前記ハウジング(14)の第1の壁部に配置されており、又は、前記音響チャネル(22)は、前記車両(100)に接していない、前記ハウジング(14)の壁部を貫通しており、
・複数の前記出口開口部(26)のうちの1つの出口開口部の中心から、直接的に隣接する出口開口部(26)の中心までの間隔(A2)は、最大で、気体状の媒質における波長に相当し、又は、最大で、気体状の媒質における波長の半分に相当し、
・直接的に隣接する2つの出口開口部(26)間の前記間隔(A2)はそれぞれ、対応する前記入口開口部(24)に割り当てられている前記超音波変換器(12)間の前記間隔(A1)よりも短く、
・前記入口開口部(24)の面積に対する前記出口開口部(26)の面積の比は、0.30~1.2の間の値を有しており、
・各音響チャネル(22)は、少なくとも、前記入口開口部(24)の直径に相当する長さを有している、
1D超音波変換器ユニット(10)において、
・前記ハウジング(14)は、前記車両(100)に取り付けられており、
・前記ハウジング(14)は、可動の被覆装置(32)を有しており、前記被覆装置(32)は、すべての音響チャネル(22)の前記出口開口部(26)を閉鎖するように設計されており、
・すべての音響チャネル(22)の前記出口開口部(26)は、湾曲した面(F1)にある、
ことを特徴とする1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項2】
前記入口開口部(24)の面積に対する前記出口開口部(26)の面積の比は、0.5~1.5の間又は0.9~1.1の間の値を有している、
請求項1に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項3】
各音響チャネル(22)は、各超音波変換器(12)の前記音響分離層(20)から、割り当てられている前記音響チャネル(22)の前記出口開口部(26)までの長さ(L1)を有しており、前記長さ(L1)は音響周波数の波長の8分の1の整数倍又は前記音響周波数の半波長の整数倍である、
請求項1又は2に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項4】
各音響チャネル(22)は、金属若しくはプラスチックから成る、又は、金属若しくはプラスチックを含む、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項5】
各超音波変換器(12)は、前記音響分離層(20)と前記変換器ハウジング(18)との間に音響減結合層(28)を有している、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項6】
前記制御ユニットは、完全に又は部分的に、前記ハウジング(14)内に配置されている、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項7】
前記1D超音波変換器ユニット(10)の前記ハウジング(14)は、少なくともIP40保護等級に従って形成されている、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【請求項8】
前記ハウジング(14)は、測定信号及び/又は制御信号を伝送するための少なくとも1つの信号インタフェースを有している、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の1D超音波変換器ユニット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体、輪郭又は間隔を検出するための少なくとも3つの、離散した、個別に駆動制御可能な超音波変換器を備える、1D超音波変換器ユニットに関する。
【0002】
超音波又は超音波変換器は、極めてさまざまな測定装置において使用される。用途に応じて、超音波は液体状の媒質又は気体状の媒質へ分離される。
【0004】
気体状の媒質における用途のための超音波変換器アレイは、国際公開第2008/135004号から知られている。このアレイは、2つの電極構造間のエレクトレットの層から成る層構造を有しており、ここで、1つの電極構造は、独立してアドレッシング可能な複数の電極要素を含み、これによって、エレクトレット層の局所的な、厚さ振動が生じる。
【0005】
近接場分解能が改善された超音波変換器の1.5Dアレイは、米国特許出願公開第2013/0283918号明細書から知られている。米国特許出願公開第2014/0283611号明細書及び米国特許第6310831号明細書には、位相制御された超音波変換器アレイ及び適応型の制御方法又は補償を行う制御方法が記載されている。
さらなる超音波変換器が、欧州特許出願公開第0940801号明細書、並びに、Eric Konetzke等著「Phased array transducer for emitting 40 kHz air-coupled ultrasound without grating lobes」(IEEE International Ultrasonic Symposium, 2015年, 1~4頁)、及び、Jaeger等著「Air-coupled 40-kHz ultrasonic 2D-phased array based on a 3D-printed waveguide structure」(IEEE International Ultrasonic Symposium, 2017年, 1~4頁)、及び、Takahashi等著「Ultrasonic phased array sensor for electrical travel aids for visually impaired people」(Proceedings of the spie -The international society for optical engineering spie - vertical-cavity surface-emitting lasers XIII,第6794巻,2007年12月3日 67943V頁, ISSN: 0277-786X)、及び、Manufactoring Murata「Ultrasonic Sensor Application Manual」(Cat. No. S15E-5,2009年1月1日, URL;https://cdn-reichelt.de/documents/datenblatt/8400/ultraschall%20sensor.pdf, 3頁)から知られている。
【0006】
産業環境で使用するために、使用される超音波変換器は、-40℃から、時には+100℃を超える、測定の温度安定性と、他の技術的な機器との電磁適合性とを保証できなければならない。さらに、超音波変換器は、粉塵、湿気、攻撃的な化学物質等の厳しい環境影響に対して、及び、機械的な衝撃に対して、又は、機械的な引っかき傷に対して堅牢でなければならない。
【0007】
大きい検出範囲を得るために、石英、エレクトレット又はPVFD等の他の圧電材料と比較して高い結合係数を有する、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックが使用される。結合係数はここで、機械的に蓄積されたエネルギーと電気的に蓄積されたエネルギーとの間の変換効率の尺度を表す。PZTの場合、励起の方向に応じて、これらはたとえば、0.3~約0.75の範囲にある。
【0008】
圧電材料の分極方向に応じて、交流電圧を使用して、幾何学的な伝播に応じて平面振動(Planarschwingung)、厚さ振動(Dickenschwingung)又はせん断振動(Scheerschwingung)と称される共振機械振動を圧電体において生成することができる。これらの振動形態の場合、所定の周波数での共振振動に必要な圧電体の典型的な寸法を、材料固有の周波数定数から推定することができる。PZTの場合には、これらの周波数定数は、振動のタイプに応じて、典型的に、1300kHz*mm~2600kHz*mmである。
【0009】
したがって、センサ技術に適したPZTから成る薄いディスクは、平面モードにおいて、20kHz~500kHzの励起周波数の場合に、約4mm~100mmの直径を有する。このような薄いディスクの容量特性に基づき、相応する分極において、低い励起電圧が良好に実装される。
【0010】
圧電ディスクを厚くすることは望ましくない。圧電材料の厚さが増すにつれて、一方では、同一の周波数範囲の場合に、より高い電圧を、端的にkV範囲においても、印加する必要がある。これは、安全に関するコストがより高くなることを意味する。他方では、圧電体の厚さが増すにつれて、その剛性も変化し、これは音波の受け取りの場合に直接的に影響を及ぼしてしまう。
【0011】
位相制御された少なくとも1次元のアレイ(フェイズドアレイ(phased array))において複数の超音波変換器を使用する場合にはさらに、隣接する超音波変換器間の間隔が、超音波の波長より大きくてはならない、又は、有利には半波長より大きくてはならない、ということに注意する必要がある。このような間隔条件によって、相応に、個々の変換器の構造サイズ又は超音波変換器の特定の構造形態/サイズによって可能な周波数範囲が制限される。
【0012】
20kHz~500kHzの間の周波数範囲及び空気への分離の場合、たとえば、隣接する変換器間の最大の間隔は、約8.5mm~約0.3mmのオーダーにある。
【0013】
しかし、センサ技術に適したPZTから成る薄いディスクを備える上述の変換器は、すでに圧電ディスクの直径に基づいて、平均で10倍以上の直径を有している。
【0014】
これを背景に、本発明の課題は、従来技術を発展させる装置を提供することである。
【0015】
上述の課題は、請求項1の特徴部分の構成を備える、車両のための、危険識別用の1D超音波変換器ユニットによって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項の構成要件である。
【0016】
本発明の構成要件によれば、車両用の危険識別のための1D超音波変換器ユニットが提供される。この1D超音波変換器ユニットは、ハウジングと、少なくとも3つの超音波変換器と、制御ユニットとを含む。ここで、制御ユニットは各超音波変換器を個別に駆動制御するように設計されており、ハウジングは車両に取り付けられており、各超音波変換器はそれぞれ、変換器ハウジングと、変換器ハウジング内に配置されている圧電体と、気体状の媒質への分離のために、変換器ハウジングの開放端部に配置されている音響分離層(Schallauskoppelschicht)とを有しており、かつ、ハウジング内の固定の位置に配置されている。
【0017】
各超音波変換器は、一致する動作周波数を有する音波を放射し及び/又は受け取るように設計されており、音波の動作周波数は20kHz~400kHzの範囲にある。ハウジング内の互いに直接的に隣接する2つの超音波変換器はそれぞれ、最大10cm又は最大5cm又は最大2cmの、音響分離層の中心から音響分離層の中心までの間隔を有している。
【0018】
1D超音波変換器ユニットは、超音波変換器毎に1つの音響チャネルを有しており、各音響チャネルは入口開口部と出口開口部とを有しており、各音響分離層には、厳密に複数の入口開口部のうちの1つが割り当てられており、出口開口部は、直線に沿って配置されている。出口開口部はそれぞれ、車両に接していない、ハウジングの壁部に配置されており、又は、音響チャネルは、ハウジングの壁部を貫通しており、ここで、複数の出口開口部のうちの1つの出口開口部の中心から、直接的に隣接する出口開口部の中心までの間隔は、最大で、気体状の媒質における波長に相当し、又は、最大で、気体状の媒質における波長の半分に相当し、直接的に隣接する2つの出口開口部間の間隔はそれぞれ、対応する入口開口部に割り当てられている超音波変換器同士の間隔よりも短い。入口開口部の面積に対する出口開口部の面積の比は、0.30~1.2の間の値を有しており、各音響チャネルは、少なくとも、入口開口部の直径に相当する長さを有している。
【0019】
1D超音波変換器ユニットの超音波変換器が個別の離散した構成部分であり、各超音波変換器はハウジング内に配置されておりかつハウジングと結合されており、これによって他のすべての超音波変換器に対して固定的な間隔を有していることが明らかである。ここで、互いに並んで配置され、その間に他の超音波変換器が配置されていない2つの超音波変換器は、互いに直接的に隣接している。
【0020】
個々の音響チャネルが管状又は棒状に形成されており、ここで、たとえば、管の直径が減少する、及び/又は、断面の形状が変化する、及び/又は、チャネルの経路が弧状に形成されていることも明らかである。有利には音響チャネルは、音響分離層からその出口開口部までの自身の全長にわたってエッジを有していない。
【0021】
音響チャネルは、個々の超音波変換器によって生成された音波をハウジングから外に導き、又は、反射された音波を超音波変換器に戻す。したがって、ハウジング壁部の出口開口部で、又は、ハウジングの外側で、重畳によって波面が生じる。
【0022】
個別に駆動制御可能な複数の超音波変換器を用いて、時間的にシフトされた駆動制御又は位相シフトされた駆動制御によって、調整可能な主要伝播方向を有する波面が生成される。個々の超音波変換器の前に音響チャネルを配置することによって、重畳の際に、又は、共通の波面のための重畳に対して、個々の音響源が音響チャネルの各端部若しくは出口開口部に移される。これによって、個々の音響源間の間隔を個々の超音波変換器のサイズ、たとえば直径とは無関係に、又は、個々の超音波変換器間の間隔とは無関係に調整することができる。特に、個々の変換器間の間隔と比較して、音響源間の間隔を短くすることができる。
【0023】
しかし、個々の超音波変換器のハウジング直径がたとえば7mmである場合、2つの変換器の間隔は少なくとも14mmになる。したがって、音響チャネルがない場合には、最大22kHz(λ≧14mm)又は最大11kHz(λ/2≧14mm)の周波数を有する波面しか実現可能ではない。重畳の際の個々の「音響源」の間隔は、変換器ハウジングのサイズではなく、音響チャネル出口開口部のサイズ及び間隔によってしか特定されないので、より高い周波数、すなわちより短い波長を有する波面の生成は、同等の超音波変換器を用いる場合には、本発明の音響チャネルによってはじめて可能になる。
【0024】
音響チャネルによってさらに、正確な、配向された検出が保証される。
【0025】
圧電変換器の放射開口、たとえば圧電体によって設定された直径を有する円形の開口は、それらが少なくとも1つの次元において、所望のアレイ配置の条件を満たすように、音響チャネルによって変えられる。これによって、フェイズドアレイ配置での、堅牢であり、信頼性の高い、及び/又は、低コストの離散した超音波変換器の使用が可能になり、これは同様に、大きな視野角、ひいては車両の危険領域の確実な監視を可能にする。MEMS等の、特に小型の、たとえば一体型の超音波変換器を使用する必要はない。複数のセンサユニットを取り付け、読み取り、必要に応じて相互に調整する必要もそれほどない。
【0026】
発展形態では、ハウジングは可動の被覆装置を有しており、ここで、この被覆装置はすべての音響チャネルの出口開口部を閉鎖するように設計されている。1D超音波変換器ユニットが使用されない間は、この被覆装置を使用して音響チャネルを閉鎖することができ、これによって、汚物の侵入を防止することができる。音響チャネルを開閉するために、又は、被覆装置を動かすために、1D超音波変換器ユニットは、たとえば動作手段を含む。選択的に動作手段は、車両の一部である。たとえば音響チャネルは通常は被覆装置によって閉鎖されており、車両が後方に走行すると又はバック・ギアが入れられると直ちに、被覆装置が除去される。
【0027】
発展形態では、第2の断面の面積と第1の断面の面積との間の比は0.5~1.5の間又は0.9~1.1の間の値を有している。本発明では、入口面の面積を増加させること、低減させること又は保持することができ、ここで同時に、少なくとも、出口開口部の幅を、入口開口部と比較して低減させることができる。
【0028】
さらなる実施形態では、各音響チャネルは、各超音波変換器の音響分離層から、割り当てられている音響チャネルの出口開口部までの長さを有しており、ここで、この長さは、音響周波数の波長の8分の1の整数倍又は音響周波数の半波長の整数倍である。
【0029】
他の実施形態では、すべての音響チャネルの出口開口部は、共通の平坦な面又は湾曲した面にある。湾曲した面、たとえば凹面に配置することによって、たとえば集束された波面が生成される。
【0030】
他の実施形態では、各音響チャネルは、金属又はプラスチックから成る。選択的に、各音響チャネルは、金属又はプラスチックを含む。
【0031】
さらなる実施形態では、各超音波変換器は、分離層と変換器ハウジングとの間に音響減結合層(Schallentkopplungsschicht)を有している。
【0032】
他の実施形態では、制御ユニットは、完全に又は部分的に、ハウジング内に配置されている。選択的に、制御ユニットは車両内に又は車両に取り付けられており、適当な通信インタフェースを介して1D超音波変換器ユニットと結合されている。
【0033】
他の実施形態では、1D超音波変換器ユニットのハウジングは、少なくともIP40保護等級に従って形成されている。
【0034】
さらなる発展形態では、ハウジングは、測定信号及び/又は制御信号を伝送するための少なくとも1つの信号インタフェースを有している。信号出力側は、たとえば、通信インタフェースとして形成されており、これによって、通常のバスシステム又はプロトコルを使用して車両と通信することができる。
【0035】
他の実施形態では、各超音波変換器は、はじめは、音響分離層と共に、割り当てられている入口開口部内に突出し、発展形態において、各音響チャネルは、割り当てられている超音波変換器の少なくとも一部を正確に適合して収容する。言い換えれば、このような実施形態での入口開口部の領域における音響チャネルの内部形状は、各超音波変換器の外側形状に可能な限り正確に相当する。
【0036】
さらなる実施形態では、各超音波変換器のハウジングは、少なくとも7mmの直径を有している。各超音波変換器のハウジングは、たとえば、円筒形の金属カップとして形成されている。このような実施形態の発展形態では、音響分離層の表面、金属カップの縁部及びたとえば、個々の各超音波変換器の、それらの間に配置されている音響減結合層はそれぞれ平坦な面に展開する。
【0037】
他の実施形態では、各超音波変換器は、基準電位にある電磁シールドを有している。電磁シールドが、ハウジング、特にハウジングとして用いられる金属カップによって完全に又は少なくとも部分的に形成されていてもよいことが明らかである。選択的に、1D超音波変換器ユニットは、すべての超音波変換器に対して共通のシールド、たとえば共通のハウジングを有していてもよい。
【0038】
さらなる実施形態では、各音響チャネルは、少なくとも0.5mm又は少なくとも1mmの壁の厚さを有している。他の発展形態では、それぞれ2つの音響チャネルは互いに、2つの音響チャネルの全長にわたって、少なくとも0.5mm又は少なくとも1mmの間隔を有している。
【0039】
他の実施形態では、ハウジングは、平坦な後壁と、この後壁に対して平行に延在する前壁とを有している。これによって、1D超音波変換器ユニットを、特に容易にかつ確実に、車両に取り付け、配向することができる。超音波変換器は有利には後壁に取り付けられており、音響チャネルは有利には前壁で又は前壁内で終端する。特に有利には、音響チャネルの出口開口部だけでなく、超音波変換器及び音響チャネルの入口開口部も直線に沿って配置されている。音響チャネルの入口が展開する直線は、たとえば、出口開口部が展開する直線よりも格段に長い。
【0040】
本発明を、図面を参照して以降においてより詳細に説明する。ここでは、同様の部分に同一の参照記号が付けられている。図示の実施形態は、非常に概略的である。すなわち、間隔、横方向の延在及び縦方向の延在は縮尺通りではなく、特に、そうでないことが明記されていない限り、導出可能な相互の幾何学的な関係も有していない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1Aは、1D超音波変換器ユニットの第1の本発明による実施形態の側面図であり、図1Bは、1D超音波変換器ユニットの第1の本発明による実施形態の平面図である。
図2】1D超音波変換器ユニットのハウジングの本発明による実施形態の断面図である。
図3】音響チャネルのさらなる本発明による実施形態の図である。
図4】音響チャネルのさらなる本発明による実施形態の図である。
図5】個々の音響チャネルのさらなる実施形態の図である。
図6】音響チャネルの出口面の種々の実施形態の概略図である。
【0042】
図1Aは、車両100での、本発明に係る1D超音波変換器ユニット10の第1の実施形態の図を示している。図1Bには、1D超音波変換器ユニット10を備える車両100の平面図が示されている。1D超音波変換器ユニットは、車両100の後面102に、中央に、かつ、下方の領域に取り付けられており、これによって、1D超音波変換器ユニット10によって生成された音波11が車両の後面102から伝播し、動作領域、特にいわゆる音波ビームの領域に存在する物体13によって反射される。
【0043】
選択的な実施形態では、2つの1D超音波変換器ユニット10が、車両100の後面102の上方のコーナーに取り付けられており(破線で示されている)、音波が実質的に下方へ、後面に沿って、及び/又は、後面に対して僅かな角度で伝播するように配向されている。
【0044】
図1Bの平面図ではさらに、1D超音波変換器ユニット10の音波11がどのように旋回可能であるか、又は、生成された音波の主要伝播方向がどのように調整可能であるかが示されている。
【0045】
図2には、超音波変換器ユニット10のハウジング14の断面図が示されている。ハウジング14には、ハウジング14の平坦な後壁16に沿って、離散した3つの超音波変換器12が配置されている。各超音波変換器12は、固有の変換器ハウジング18及び音響分離層20を有している。各超音波変換器12は、直接的に隣接する1つ又は複数の超音波変換器12に対して、音響分離層20の中心から、音響分離層20の中心までの間隔A1を有している。
【0046】
各超音波変換器12に1つの音響チャネル22が割り当てられており、各音響チャネル22は、入口開口部24及び出口開口部26を有している。入口開口部24はそれぞれ、各超音波変換器12が音響チャネル22内へ放射するように、1つの超音波変換器12の前又は周囲に配置されている。音響チャネル22の出口開口部26は、後壁の反対側の、ハウジング14の平坦な前壁30に沿って配置されており、又は、前壁30を貫通する。
【0047】
隣接する2つの出口開口部26はそれぞれ、出口開口部26の中心から出口開口部26の中心までの間隔A2を有している。本発明では、出口開口部26同士の間隔A2はそれぞれ、割り当てられている又は属する超音波変換器12同士の間隔A1以下である。
【0048】
各音響分離層20から、属する音響チャネル22の出口開口部26までの長さL1は、音響周波数の波長の8分の1の整数倍である。
【0049】
ハウジング14はさらに、可動の被覆装置32を含む。図示の実施例では、被覆装置32は閉じた状態にある。被覆装置はこの目的のために、出口開口部26を伴う、ハウジング14の前壁30の前に配置されており、その結果、音響チャネル22が閉鎖されている。開いた状態では、被覆装置32は、たとえば、畳まれて又は押し動かされて、ハウジングの前壁30及び出口開口部26の前には位置しておらず、出口開口部26は露出されている。
【0050】
図3に示された実施例では、音響チャネル22は、すべての音響チャネル22の出口開口部26が共通の平坦な面E1にあるように延在している。図示の実施例では、1D超音波変換器ユニット10のハウジング14の前壁30は、面E1内に延在している。各音響チャネル22の入口開口部24の前に存在している、各音響チャネル22の領域34は、割り当てられている各超音波変換器12が音響チャネル22内に正確に適合するように形成されている。この目的のために、各音響チャネル22は、この領域において、外径D1に相応する内径と、ストッパとして用いられるエッジ36とを有している。
【0051】
図示されていない制御ユニットは、各超音波変換器12を個別に駆動制御するように設計されている。個々の超音波変換器12の時間的にシフトされた駆動制御又は位相シフトされた駆動制御によって、1D超音波変換器ユニット10は、主要伝播方向(矢印)を有する安定した超音波を生成し、ここで、この主要伝播方向又はこの主要伝播方向と第1の面E1との間の角度は、個々の音響チャネルの出口開口部26から出る音波の間の位相シフトによって調整可能である。
【0052】
図4に示された実施例では、すべての音響チャネル22の出口開口部26は、凹状に湾曲した面F1にある。
【0053】
図5では、個々の音響チャネル22が概略的に示されており、以降においては、図1図4との違いを説明する。
【0054】
入口開口部24は幅x1及び高さy1の断面を有しており、出口開口部26は幅x2及び高さy2の断面を有している。
【0055】
入口開口部24は円形に形成されている。すなわち、断面の幅x1と高さy1とは、同一の値を有している。これとは異なり、出口開口部26は楕円形であり、断面の幅x2は幅y2よりも小さい。
【0056】
有利には、出口開口部26の幅x2は、入口開口部24の幅x1よりも小さい。これとは異なり、出口開口部26の高さy2は、有利には、入口開口部24の高さy1よりも大きい。特に有利には、入口開口部24の断面の面積が、出口開口部26の断面の面積に相当するように、音響チャネル22の高さの増加は、音響チャネル22の幅の減少を補償する。
【0057】
最大で音響周波数の波長である、出口開口部26の中心から、直接的に隣接する出口開口部26の中心までの間隔を実現できるようにするために、各出口開口部26の幅x2が音響周波数の波長よりも小さくなければならないということが明らかである。
【0058】
図6には、出口開口部26の断面の、本発明によるいくつかの実施例が概略的に示されている。出口開口部26の断面の面積が、入口開口部24の断面の面積に相当するためには、特に、高さy2に対する幅x2の比率が約1.5である形状が適している。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6