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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】形成体の層毎付加製造のための方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20220708BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220708BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220708BHJP
   B29C 64/00 20170101ALI20220708BHJP
   C03B 19/00 20060101ALI20220708BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/00
C03B19/00 Z
C23C26/00 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021525183
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019075562
(87)【国際公開番号】W WO2020108821
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】18209300.5
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(73)【特許権者】
【識別番号】521197472
【氏名又は名称】アイオー テック グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ゼヌー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リッツベルガー, クリスティアン
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/015850(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0197401(US,A1)
【文献】特開2014-040666(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02526328(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00 - 1/54
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理された層のスライスから構成される形成体の層毎付加製造のための方法であって、前記方法は、
スラリの層を生成するステップであって、前記スラリは、結合剤分散媒質微粒子充填剤材料とを含み、前記微粒子充填剤材料は、セラミックまたはガラスセラミック粉末である、ステップと、
前記スラリ層を固化させるステップと、
前記固化されたスラリの層を脱バインダおよび/または焼結によって処理するために、電磁放射を前記固化されたスラリの層に指向するステップと、
上述のステップを繰り返すことにより、前記形成体を連続的に蓄積するステップと
を含み、
前記スラリ層を生成することが、レーザ誘起前方転写(LIFT)プロセスによって実施されることであって、前記LIFTプロセスが、レーを利用することにより、レーザビーパルスをキャリ上のスラリのコーティンに作用するように指向し、スラリの液滴を受容体表面に転写することにより、前記スラリの層を生成し、前記スラリの層が、次いで、前記固化させるステップおよび前記脱バインおよび/または焼によってさらに処理される、ことと、
前記スラリの層を固化させることが、前記スラリの層に作用するように電磁放射を指向することによって実施されることと、
前記スラリの層に作用するように電磁放射を指向することが、前記スラリの層に作用するようにレーザビームを指向するようにレーザを制御することによって実施されることと、
前記スラリの層の固化を引き起こす前記レーザビームおよび脱バインダおよび/または焼結をもたらす前記電磁放射が、同一のレーザによって生成されることと、
前記スラリの層の固化を引き起こす前記レーザビームおよび脱バインダおよび/または焼結をもたらす前記電磁放射を生成するレーザが、前記LIFTプロセスが前記スラリの層を生成するために使用されるレーザと同一のレーザであることと
を特徴とする、方法。
【請求項2】
記スラリ層に作用するように前記レーザビームを指向することによって、前記スラリの層を固化させることが、前記スラリの層を加熱することにより、前記スラリの蒸発可能成分を蒸発させることによって実施されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記スラリが前記電磁放射のエネルギーを熱エネルギーに変換することが可能なエネルギー伝達成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリが、相互の隣に配列される複数の別個のコーティング区を担持することであって、各コーティング区域が、複数のスラリ組成物のうちの関連付けられる1つを含有する、ことと、
制御ユニットが、生成されているスラリの層毎に、堆積される層内の前記複数のスラリ組成物から選択されるスラリ組成物の選択される空間分布が、コーティング区を前記LIFTプロセスにおいて効果的であるように選択的に位置付け、生成される層内にスラリ組成物の所望の空間パターンを達成することによって形成されるように、前記レーおよび前記受容体表面に対して前記キャリを位置付けるための位置付けデバイスを制御するように配列されることと
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
記レーザのレーザビームが、前記キャリアによって影響を及ぼされることなく、前記スラリ層上に指向されることが可能であるように、前記位置付けデバイスが、前記レーに対して前記キャリを位置付けることが可能であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記スラリ層を生成すること、および、前記スラリの層を固化させることが、前記スラリの層から形成されるべき前記スライスの領域より大きい面積内で実施されることと、
バインダおよび/または焼結が、蓄積されるべき前記スライスの輪郭内でのみ生じるように、空間的に選択される様式で、前記固化されたスラリの層に作用するように電磁放射を指向することによって、前記固化されたスラリの層の脱バインダおよび/または焼結が実施されることと
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
記スラリ層が、蓄積されるべき前記スライスの輪郭と合致するように、空間的に選択される様式で、前記スラリの層を生成することが前記LIFTプロセスによって実施されることと、
成されるべき前記形成体が支持材内に少なくとも部分的に埋め込まれるように、前記支持材料が、蓄積されるべき前記スライスの領域を囲繞するように適用されることと
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理された層のスライスから構成される、形成体の層毎付加製造のための方法に関し、該方法は、スラリの層を生成するステップであって、該スラリは、結合剤と、分散媒質と、微粒子充填剤材料とを含む、ステップと、スラリ層を固化させるステップと、固化された層を脱バインダおよび/または焼結によって処理するために、電磁放射をこれに指向するステップと、上述のステップを繰り返し、形成体を連続的に蓄積するステップとを含む。
【背景技術】
【0002】
付加製造(AM)は、3次元の物体または形成体が、形成体の仮想デジタルモデル(例えば、CADモデル)から直接発生される、技法のクラスを説明する。本モデルでは、形成体は、各スライスが、モデルによって画定される輪郭を有する、複数の連続する薄いスライスに細分される。構築プロセスは、各層が、デジタルモデルによって画定される輪郭を有するように処理される、層の中に材料を層毎に添加することによって実施される。最終的には、相互接続される層のスタックが、いくつかの技法では、最終製品を取得するために(例えば、脱バインダ、焼結等によって)さらに処理される必要がある、形成体を形成する。概して、以下のプロセスタイプを区別する。
バット光重合(光造形SLA、デジタル光処理DLP、連続デジタル光処理CDLP)、
材料押出(熱溶解積層法FDM)、
材料噴射(材料噴射MJ、ナノ粒子噴射NPJ、ドロップオンデマンドDOD)、
結合剤噴射(BJ)、
粉体床融合(マルチ噴射融合MJF、選択的レーザ焼結SLS、直接金属レーザ焼結/選択的レーザ融解DMLS/SLM、電子ビーム融解EBM)、
指向性エネルギー堆積(レーザエンジニアリングネットシェイプLENS、電子ビーム付加製造EBAM)、および
シート積層(積層物体製造LOM)。
【0003】
ガラス、ガラスセラミック、セラミック、または金属材料から成る歯科修復物の製造のために、ステレオリソグラフィー光重合プロセスが、例えば、第WO 2010/045950 A1号において説明されるように提案されている。説明される本方法は、充填剤材料、本場合では、セラミック粉末と混合される、光重合結合剤を利用する。説明される方法では、構築プラットフォームが、少なくとも、底部面積の一部において透過性である、タンク底部の上方に垂直に移動可能な状態に保持される。タンク底部の下方において、露光ユニットが、空間的に選択的な様式において、光を露光面積に投射するために提供される。構築プラットフォームは、最初に、所望の層厚を伴うスラリの層が、生産プラットフォームとタンク底部との間に留まるまで、光重合性材料およびセラミック充填剤材料のスラリの中に下げられる。本層は、続いて、3次元CADモデルによって画定される所定の輪郭を伴う、面積内に露光され、これは、層の固化を引き起こす。生産プラットフォームが、上昇された後、スラリが、周囲から補充され、生産プラットフォームは、所望の厚さを伴う層が、最後に形成された層とタンク底部との間に画定されるような方法で、再度下げられる。後者の2つのステップが、硬化された層のスタックによって画定される所望の形状を有する形成体が、生産されるまで、繰り返される。露光ユニットによる空間的に選択的な露光は、層を次々に固化させるために制御ユニットの制御下で、固化されるべき面積をレーザ走査することによって実施され、層の輪郭が、形成体のデジタルCADモデルによって画定されることができる。代替として、例えば、光源および空間的に選択的な投射光によって処理されるべき層の輪郭内に含有される画素に照明される、マイクロミラーデバイスまたは液晶ディスプレイの形態において、選択的にアクティブ化され得る、露光要素のアレイを含む空間光変調器を伴う露光ユニットが、利用されることができる。
【0004】
本発明の意味での層または結果として生じる処理されたスライスの「輪郭」という用語は、境界として輪郭を伴う1つのみの接続される面積だけが存在することを含意するものではない。輪郭は、相互から別個である、または層に属さない、内側空隙面積を囲繞する、内側境界輪郭成分を含み得る、層またはスライスのいくつかの面積を画定する、いくつかの輪郭成分を含み得る。
【0005】
このように形成される形成体は、脱バインダによってさらに処理される必要がある、素地である。脱バインダのために、素地は、結合剤材料に応じて、炉の中で80℃~600℃の範囲内の温度まで加熱される。高温において、固化された結合剤(重合樹脂)が、低分子量種に熱的に分解され、これは、最終的には、セラミック微粒子材料が留まるように、揮発性ガスとして逃散する。本白色体は、最終的に、炉の中への熱のさらなる印加による焼結を実施することによって、高密度化を受ける。
【0006】
歯科修復物を製造するために利用され得る別の技法は、例えば、セラミック粉末の選択的レーザ焼結(SLS)である。そのような技法は、典型的には、焼結されるべき粉末を、ローラまたは同等物を用いて、乾燥粉末として薄い層に広げ、粉末層を焼結することを伴う。そのような粉末層が、比較的に低い密度を有することが、欠点である。本理由のために、セラミック粉末と、液体分散媒質とから成る、スラリの層を形成することが、すでに提案されている。そのような方法は、例えば、第WO 2016/207241 A1号に説明されている。本方法では、分散媒質および結合剤中に懸濁されるセラミック粒子を含有する、スラリの層が、形成される。レーザ光源が、レーザビームをスラリ層上に投射し、本ステップにおいて添加されるべきスライスの輪郭を有する面積内のスラリを固化させる。レーザビームは、分散媒質を蒸発させ、層を固化させる。レーザエネルギーの本堆積は、スライスをこのように連続的に添加することによって、セラミック素地が形成されるように、分散媒質の蒸発を引き起こすが、セラミック粒子の焼結を引き起こさないような様式で制御される。最終的には、本素地は、脱バインダおよび焼結によってさらに処理される必要がある。
【0007】
既存のスラリベースのプロセスの主な欠点は、結合剤の揮発性分解生成物が、形成体の内側から外側に拡散する必要があり、拡散経路が、一定ではなく、形成体のサイズおよび形状への依存度が形成体毎に異なるため、脱バインダおよび焼結ステップが、時間がかかり、典型的には、素地のサイズおよび形状に応じて、数時間から最大数日を要することである。したがって、亀裂および変形のリスクの観点から、発生される本体が大きいほど、脱バインダプロセスが、より重要になる。
【0008】
最初に素地を発生させる、スラリベースのプロセスは、確かに、さらなる別個の処理ステップ、すなわち、通常、専用の炉内で実施され、上記に述べられるように、実質的な処理時間を必要とする、脱バインダおよび焼結を要求する。
【0009】
スラリ層を用いて達成され得る、より高い粒子密度を利用する、付加製造のさらなる技術が、層毎スラリ堆積(LSD)として公知である。LSDプロセスは、例えば、「Slurry-based powder beds for The selective laser sintering of silicate ceramics」、T. Muehler et al. J. Ceram. Sci. Tech., 06 [02] 113-118 (2015)において説明されている。スラリの層が、スラリ材料を基板表面上(第1の層が、形成されるべき場合)または形成された最後の層の表面上に適用することによって生成され、適用されたスラリは、ドクターブレードによって所望の厚さに水平にされる。新たに堆積された層の乾燥工程が、2つの主な機構によって生じ、第1のものは、スラリ層の堆積の間または直後、液体溶媒が、毛管力によって、以前に堆積された層によって形成された、支持粉末圧密物の中に引き込まれ、第2のものは、溶媒の急激な蒸発によるものである。第1の機構は、新たに堆積された層が、堆積の直後にその液相を喪失することを確実にする。したがって、支持乾燥層のための温度は、溶媒の沸点を有意に超過する温度において保たれることができる。溶媒の除去による固化の後、任意の残存結合剤が、脱バインダステップにおいて除去され、新たに添加されるスライスを高密度化させるための焼結ステップが続く。請求項1の前提部分は、そのようなLSDプロセスに基づく。
【0010】
上記に説明されるようなLSDプロセスでは、異なる組成のスラリを使用することは、これが、スラリ組成物のタイプ毎に、別個の容器が提供されること、および特定のものが、選択され、適用区域に移動され、次のスラリ層のための材料を供給することが必要になることを要求するであろうため、複雑である。さらにより複雑であるものは、可能である場合、スラリ層内のスラリ組成物の変更、例えば、生成されている層の中心面積内に第1のスラリ組成物を、および中心面積を囲繞する外側領域内に第2の、可能性としてさらなるスラリ組成物を添加することである。
【0011】
第EP 1 268 211 B1号は、集束レーザビームが、エネルギーを、印刷されるべき材料に局所的に供給し、材料内に瞬時の温度上昇および体積拡張を引き起こし、液滴、本場合では、印刷されるべき基板上に堆積されるインクの排出につながる、印刷プロセスを開示する。本方法は、レーザ誘起前方転写(LIFT)プロセスと称される。印刷されるべき材料が、いわゆる、ドナーから受容体基板に転写される。ドナーは、印刷されるべき材料の薄いコーティングが適用される、キャリアから成る。集束レーザビームパルスが、本層に作用し、これは、それによって、瞬時に加熱され、部分的に蒸発される。透過性のキャリアに関して、レーザビームは、キャリアの裏側を通して、キャリアを通して、キャリアの反対の表面上の材料コーティングに作用するように通過することによって、印刷されるべき材料に作用する。キャリアが、透過性ではない、または材料コーティングとの界面において透過性の吸光層を有していない場合、キャリアは、材料コーティングとの界面において加熱され、これは、印刷されるべき材料へのエネルギー伝達につながる。キャリア層が、透過性である場合、集束レーザビームは、印刷されるべき材料に直接作用することができる。本目的のために、印刷されるべき材料は、レーザ放射を吸光し、これを熱エネルギーに転換することが可能である、エネルギー転換成分を含有してもよい。レーザエネルギーパルスを用いて、印刷されるべき材料は、局所的に急激に加熱され、部分的に蒸発され、拡張する蒸気が、キャリア上の材料コーティングに面する、受容体基板上に堆積される少量の材料を除去するように搬送する。
【0012】
LIFTプロセスによるセラミックまたはガラスセラミック層の発生は、先行技術から公知ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2016/207241号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
層毎スラリ堆積を利用する、形成体の層毎付加製造のための方法であって、生成されるスラリ層内での異なるスラリ組成物の使用を促進し、次いで、固化および脱バインダによってさらに処理される、方法を提供することが、本発明の目的である。
【0015】
本目的は、請求項1の特徴を備える方法によって達成される。本方法の好ましい実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0016】
本発明のある方法では、形成体が、各スライスが、結合剤と、分散媒質と、微粒子充填剤材料とを含む、スラリの層を生成することによって形成される、処理された層のスライスを添加すること、生成された層のスラリを固化させること、および固化された層を脱バインダおよび/または焼結によって処理するために、電磁放射をこれに指向することによって蓄積される。これらのステップは、最後に処理されたスライスの上に新たに生成されるスラリの層内のそれぞれに関して繰り返される。本発明によると、形成されるべき次のスライスのためのスラリの層が、以下の様式において生成される。新しいスラリ層が、レーザを利用し、レーザビームパルスをキャリア上のスラリのコーティングに作用するように指向する、レーザ誘起前方転写(LIFT)プロセスによって添加される。LIFTプロセスにおいて、各レーザビームパルスは、ビームスポット内にスラリの瞬時の局所的な温度上昇を引き起こし、これは、スラリ材料の液滴の爆発的な排出をもたらす。液滴は、受容体表面(最初に生成される層の場合では、基板表面、または付加製造方法の後続のステップでは、最後に処理されるスライスの表面)に転写される。転写された液滴は、それらが合わせて、連続層になるような様式で形成され、これは、次いで、固化によって処理され、脱バインダおよび/または焼結によってさらに処理される。
【0017】
該電磁放射を固化された層に指向するステップが、実施され、エネルギーを堆積させ、温度を上昇させ、固化された層を脱バインダおよび/または焼結するための熱処理を引き起こす。電磁放射は、例えば、レーザ源によって、または赤外光源によって印加されることができる。熱処理は、スラリが、別個の第1の脱バインダステップは存在せず、電磁放射が固化された層上に指向されると、焼結がすでに開始されるほど、非常に低い結合剤含有量を有する場合、焼結するステップのみを含んでもよい。通常、固化された層上に電磁放射を指向することによる、エネルギーの本印加は、固化された層が、現在発生されるスライスの輪郭内での脱バインダおよび/または焼結のみによってさらに処理されるように、空間的に選択的な様式において実施されるであろう。
【0018】
添加されている次の層のためのスラリを堆積するためにLIFTプロセスを利用することは、特定の利点をもたらす。次の層の生成のために、レーザビームパルスが、スラリの液滴をキャリア上のスラリコーティングから転写する。キャリアは、例えば、フィルムであることができる。キャリアは、キャリア上に別個に位置する、キャリアの異なる面積内に、異なる組成のスラリコーティングを担持することができる。生成されている新しい層へのLIFT転写のプロセスは、次いで、キャリアを受容体表面およびレーザに対して選択的に移動させ、所望のスラリ組成物を、レーザビームがスラリコーティングに作用し、それによって、選択されるスラリ組成物を所望のパターンにおいて生成されているスラリの層に転写している、転写点にもたらすことによって制御されることができる。材料転写のために異なるスラリ組成コーティングを伴うキャリアの異なる面積を効果的に使用することによって異なるスラリ組成物間を変化させる原理は、類似するカラーリボンが、キャリアの異なる面積内に異なるコーティング組成物を伴うコーティングされたキャリアに対応する、従来的なカラータイプライターにおけるカラーリボンの原理に匹敵する。
【0019】
LIFTプロセスを実施するために、レーザビームパルスは、キャリア上のスラリコーティングに作用し、本相互作用は、直接的または間接的相互作用であり得る。直接的相互作用の場合では、レーザビームパルスは、レーザエネルギーを吸収し、それによって、加熱される、スラリコーティング上に指向され、吸収は、例えば、エネルギー伝達成分を結合剤に添加することによって向上されることができ、エネルギー伝達成分は、レーザ放射を吸収し、吸収された照射エネルギーを熱エネルギーに変換することが可能である。レーザビームは、例えば、キャリアとして透過性フィルムを利用することによって、およびレーザビームをスラリコーティングの反対のキャリアフィルムの裏側上に指向することによって、スラリ層上に指向されることができる。透過性キャリアフィルムを通した通過の後、レーザビームは、スラリコーティングに入射し、瞬時の温度上昇を誘発し、スラリコーティング材料を排出する。代替として、レーザビームは、キャリアフィルムとそのスラリコーティングとの間に挟入される、吸光層を提供することによって、間接的様式においてスラリコーティングに作用することができる。また、本場合では、レーザビームは、透過性キャリアフィルムの裏側上に指向され、キャリアフィルムを通した通過の後、吸光層内に吸光され、これは、それによって、急激に加熱され、熱伝導によって、隣接するスラリコーティング内に急激な温度上昇を引き起こし、LIFTプロセスのためのスラリの液滴の排出をもたらす。
【0020】
スラリ層が、ガスフローをスラリ層に作用するように印加することによって固化されることが望ましい。これは、例えば、スラリの蒸発可能成分を蒸発させる、加減されたガスフローであることができる。
【0021】
代替の好ましい実施形態では、スラリ層は、電磁放射をスラリ層に作用するように指向することによって固化される。
【0022】
好ましい実施形態では、該電磁放射の指向は、レーザを制御し、レーザビームを層材料に作用するように指向することによって実施される。
【0023】
好ましい実施形態では、レーザビームをスラリ層に作用するように指向することによって固化させるステップは、スラリ層を加熱し、スラリの蒸発可能成分を蒸発させることによって実施される。例えば、分散媒質として水の大部分と、添加剤として他の結合剤材料のごく少量とを含有する、例示的水ベースのスラリに関して、水成分の蒸発は、スラリ層を効果的に乾燥および固化させている。代替として、多量の光重合樹脂前駆体を含有する他の分散媒体/結合剤に関して、レーザビームをスラリに作用するように指向することによって固化させるステップは、レーザ放射によって、結合剤の光重合前駆体成分の重合を誘発し、スラリ層を固化させることによって実施される。
【0024】
固化のステップおよび脱バインダのステップが、必ずしも厳密に別個のステップであるわけではないことに留意されたい。例えば、固化が、スラリ層の温度を上昇させ、蒸発可能な分散媒質を蒸発させることによって実施される場合、(例えば、レーザ放射による)熱供給が、持続的であることができ、両方のステップが、時間的に部分的に重複し得る、固化させるステップから脱バインダするステップへの中断のない遷移が存在し得る。伴われる材料に応じて、固化ステップから脱バインダステップへの遷移の間に、温度上昇が起こり得る。これは、脱バインダおよび焼結ステップにも当てはまり、脱バインダのための上昇された温度処理から焼結相への持続的遷移が存在し得る。また、本場合では、2つのプロセス相間の遷移は、伴われる材料に応じて、焼結のためのより高い温度を達成するために、レーザエネルギー供給の増加を伴い得る。
【0025】
原理上、固化および脱バインダおよび/または焼結をもたらすための、上記に述べられるレーザビームは、別個のレーザ源によって発生されることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、同一のレーザが、スラリ層の固化をもたらすため、および固化された層の脱バインダおよび/または焼結をもたらすために使用される。
【0026】
脱バインダおよび/または焼結をもたらすためのレーザビームを発生させるレーザ、および新しいスラリ層を生成するためのLIFTプロセスのために使用されるレーザビームが、同一のレーザによって発生される一方、固化が、温かいガスフロー、IR光源によって、別のレーザによって、または任意の他の手段によってもたらされ得ることもまた、望ましい。
【0027】
代替として、固化をもたらすためのレーザビーム、および新しいスラリ層を生成するためのLIFTプロセスのために使用されるレーザビームが、同一のレーザによって発生される一方、脱バインダおよび/または焼結が、別のレーザによって、または任意の他の手段によってもたらされる。
【0028】
しかしながら、固化、脱バインダ、および/または焼結をもたらすためのレーザビームを発生させるために使用されるレーザが、新しいスラリ層を生成するためのLIFTプロセスのために使用されるものと同一のレーザであることが、特に好ましい。本実施形態では、単一のレーザ源が、新しいスラリ層を添加し、これを添加された現在のスライスの最終処理状態に完全に処理するための印加および処理ステップの全てに関わり、ステップの全てが、同一のデバイス内で同一のレーザを使用して実施され、これは、本方法を迅速かつ効率的に実施することを可能にする。
【0029】
レーザベースのLIFTプロセスを使用したスラリの堆積と固化、脱バインダ、および焼結との組み合わせは、プロセスステップの全てを統合型処理デバイス内で組み合わせることを可能にする、すなわち、中間の状態部品の炉等の別個の処理デバイスへの移送は、必要ではない。さらに、固化、脱バインダ、および焼結は、層毎に実施される。加えて、同一のレーザが、利用され、スラリ層堆積のため、固化のため、および脱バインダおよび/または焼結のためのLIFTプロセスを生じさせ、次のスラリ層が上述のステップによって転写され、処理され、形成体の次のスライスを形成する前に、形成体のスライスを形成することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、スラリはさらに、電磁放射のエネルギーを熱エネルギーに変換することが可能なエネルギー伝達成分を含む。
【0031】
好ましい実施形態では、キャリアは、相互の隣に配列される、複数の別個のスラリコーティング区域を担持し、各コーティング区域は、複数のスラリ組成物のうちの関連付けられる1つを含有する。制御ユニットが、LIFTプロセスによって生成されているスラリの層毎に、堆積される層内の複数のスラリ組成物から選択されるスラリ組成物の選択される空間分布が、コーティング区域をLIFTプロセスにおいて効果的であるように選択的に位置付けることによって形成されるように、キャリアをレーザビームおよび受容体表面に対して位置付けるための位置付けデバイスを制御するように配列される。言い換えると、位置付けデバイスは、複数のスラリ組成物からのスラリ組成物が堆積される、生成されているスラリ層の位置毎の、空間的に選択的な様式における制御を可能にする。これは、生成される層内にスラリ組成物の所望の空間パターンを達成することを可能にする。
【0032】
好ましい実施形態では、位置付けデバイスは、レーザのレーザビームがキャリアによって影響を及ぼされることなくスラリ層上に指向され得るように、キャリアをレーザおよび受容体に対して位置付けることが可能である。キャリアは、例えば、LIFTプロセスの後、位置付けデバイスによって、レーザからスラリ層までのビーム経路の面積の外に移動されることができる。これは、スラリ層の適用の後のさらなる処理ステップのため、すなわち、層の固化のため、およびその脱バインダおよび/または焼結のためのレーザエネルギーの効果的な印加を可能にする。
【0033】
好ましい実施形態では、スラリ層は、固化、脱バインダ、および/または焼結のさらなる処理によって、スラリ層から形成されるべきである、スライスの領域より大きい面積内に生成される、すなわち、スラリ層は、形成されるべきスライスの輪郭を越えて延在する。そのような実施形態では、固化されたスラリ層の脱バインダおよび/または焼結の間、電磁放射が、固化された層の脱バインダおよび/または焼結が、蓄積されるべきスライスの輪郭内でのみ生じるような空間的に選択的な様式において、固化されたスラリ層に指向されることが、好ましい。
【0034】
前述の実施形態では、形成されたスライスの輪郭を囲繞するスラリは、形成体を側方から埋め込み、最終的には、形成体の蓄積が完了すると、除去される、支持材料の機能を有する。形成されたスライスの輪郭を囲繞するスラリ材料は、概して、固化ステップが空間的に非選択的な様式において実施されると、固化される。本場合では、固化されたスラリは、形成体を側方から埋め込む、強力な支持構造を形成し、この支持構造は、最終的に、例えば、溶媒の印加による蓄積プロセスの完了後、除去されてもよい。
【0035】
代替として、LIFTプロセスによるスラリ層の生成は、スラリ層が蓄積されるべきスライスの輪郭と合致し、支持材料が、形成されるべき形成体が支持材料内に埋め込まれるように、蓄積されるべきスライスの輪郭を囲繞するように印加されるように、空間的に選択的な様式において実施される。典型的には、また、そのような場合には、脱バインダおよび/または焼結をもたらすための電磁放射の指向も、支持材料が、脱バインダおよび/または焼結をもたらす電磁放射によって影響を及ぼされないように、蓄積されるべきスライスの輪郭によって画定される面積に対して、空間的に選択的な様式において実施される。
【0036】
スラリの微粒子充填剤材料は、例えば、ガラス粉末、ガラスセラミック粉末/セラミック粉末、または金属粉末である。
【0037】
本発明の方法は、上記に述べられるような処理ステップの全てを、小型の設計であり得る、および高速において形成体を発生させるように動作され得る、単一のデバイス内で生じるように統合することを可能にする。本発明による形成体の製造は、固化/脱バインダ炉および焼結炉等の付加的デバイスにおける素地の時間がかかる後処理を伴わず、プロセスステップの全てのために同一のレーザを使用して単一のデバイス内で実施されることができる。さらに、層毎の様式においてスラリのLIFT転写、固化、脱バインダ、および焼結のステップ全てを実施することは、大型の形成体を製造することを可能にし、プロセスステップが、各場合において、ほぼ2D様式において、薄い層毎に個々に起こるため、変形および内部張力を回避し、したがって、脱バインダの間に残留成分が薄い層から離れるための大きい拡散距離を伴わない。脱バインダもまた、層毎に実施されるため、条件は、温度勾配等の薄い層の状態勾配においてはるかにより効果的な様式において制御され得るため、はるかにより良好に制御されることができる。
【0038】
歯科修復物の構築等の歯科用途に関して、セラミックおよび金属充填剤材料が、主な関心事である。これに関連して、主に、結合剤として有機ポリマー前駆体成分を含む、水ベースのスラリおよび複数のスラリが、使用されることができる。水ベースのスラリ中には、また、ある量の有機結合剤材料も、存在する。水ベースのスラリに関して、スラリを固化させるプロセスは、主に、熱をスラリに印加することによる、水の蒸発を伴う一方、主に有機ポリマー前駆体成分を含むスラリでは、固化が、光重合結合剤成分の場合には、レーザ放射を固化されるべきスラリ上に指向することによって達成され得る、重合を誘発することによって実施される。
【0039】
本発明の方法によって処理されることが好ましい、スラリの重要な性質は、微粒子セラミックまたはガラスセラミック充填剤材料の高含有量である。
【0040】
本発明による方法では、好ましくは、
(a)微粒子充填剤材料として、セラミックおよび/またはガラスセラミック粒子と、
(b)少なくとも1つの結合剤と、
(c)少なくとも1つのエネルギー転換成分と、
(d)少なくとも1つの分散媒質と、
を含む、スラリが、使用される。
【0041】
セラミックおよび/またはガラスセラミック粒子(a)として、熱脱バインダおよび焼結の後、所望の強度を有するセラミック体、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、または二ケイ酸リチウム粒子等の、例えば、酸化物またはガラスセラミック粒子をもたらす、セラミックおよび/またはガラスセラミック粉末が、好適である。好ましいものは、20μm未満の粒子サイズを有する粒子であり、特に好ましいものは、10μm未満であり、さらにより好ましいものは、5μm未満である。粒子は、好ましくは、非凝集性である。特に好ましいものは、3nm~20μmの粒子サイズを有する粒子であり、より好ましいサイズは、5nm~10μmであり、さらにより好ましいものは、7nm~5μmの粒子サイズである。
【0042】
本願の意味におけるセラミックは、典型的には、対応する粉末材料から成る結晶構造を有する、無機金属である。好ましいものは、ZrOまたはAlに基づくセラミック粒子、CaO、Y、La、CeO、および/またはMgO安定化ZrOに基づく粒子、複数の酸化物から成り、したがって、異なる結晶質酸化物相、好ましくは、ZrO-Al、ZrOスピネル、ZrO-Alスピネル、AB型、AB1219型、AB1118型、AB型のスピネル(Aは、好ましくは、アルカリイオンまたはアルカリ土類イオンであり、Bは、好ましくは、Aより高い酸化状態を有する、遷移金属イオンである)から成る、他の金属酸化物またはセラミックに基づく粒子である。特に好ましいものは、ZrO-Al、ZrOスピネル、ZrO-Alスピネル、またはCaO、Y、La、CeO、および/またはMgO安定化ZrO-Alを含むセラミック粒子である。
【0043】
安定化セラミックは、ZrOまたはAl等の塩基性酸化物以外にも、好ましくは、CaO、Y、La、CeO、MgO、Er、およびそれらの混合物から選択される、安定化剤を含む。安定化剤は、好ましくは、安定化セラミックの質量に対して2~14モル%の量において使用される。高強度化セラミックは、正方晶および/または立方晶構造を安定させるために、好ましくは、2~12モル%のY(酸化イットリウム)、好ましくは、2~10モル%のものを含む。本ZrOセラミックは、Y-TZP(イットリウム安定化正方晶二酸化ジルコニウム多結晶)と称される。特に好ましいものは、塩基性酸化物と、安定化剤とのみを含有する、セラミック粒子である。
【0044】
ガラスセラミックは、典型的には、特定のケイ酸塩ガラスにおける、かつガラス相および1つ以上の結晶相が、固体中に共存する、非晶質ガラスの制御された結晶化によって取得される、材料である。ガラスセラミックに関して、ガラス粉末およびガラスセラミック粉末から開始することができる。特に好ましいものは、ロイサイト結晶を含有する、ガラスセラミック粒子であり、特に好ましいものは、二ケイ酸リチウム結晶を含有するものである。これらは、熱処理(結晶化および焼結焼成)によって、二ケイ酸リチウムガラス粉末から、または複数の二ケイ酸リチウムガラス粉末から好ましい様式において作製されることができる。好ましいガラスセラミックは、第EP 1 505 041 A1号、第EP 2 261 184 A1号、第EP 2 377 830 A1号、および第EP 2 377 831 A1号に詳細に説明されている。
【0045】
成分(a)の最適な粒子サイズは、使用されるセラミックに依存する。Alに関して、成分(a)として使用される粒子のサイズは、50~500nm、特に好ましくは、75~200nmの範囲内であり、ガラスセラミックに関しては、200nm~20μmの範囲内、特に好ましくは、500nm~10μmの範囲内、さらにより好ましくは、1~5μmの範囲内であり、TCB-3Y二酸化ジルコニウムに関しては、3~500nmの範囲内、特に好ましくは、20~350nmの範囲内である。粒子サイズは、好ましくは、取得されたスラリが、沈降安定性を示すように選択される。
【0046】
スラリは、結合剤(b)として、1つ以上のラジカル重合性モノマー、好ましくは、少なくとも1つの(メタ)アクリレートおよび/または(メタ)クリルアミド、好ましくは、単官能性または多官能性(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物を含有してもよい。特に好ましいものは、ラジカル重合性モノマーとして、少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートまたは単官能性および多官能性(メタ)アクリレートの混合物を含有する、材料である。用語「単官能性(メタ)アクリレート」は、1つのラジカル重合性基を有する化合物を網羅することを意味し、用語「多官能性(メタ)アクリレート」は、2つ以上の、好ましくは、2つから6つのラジカル重合性基を有する化合物を網羅することを意味する。本タイプの好ましい結合剤が、第EP 3 147 707 A1号内の段落[0036]から[0044]に説明されている。また、ここでは、そのような結合剤が、好ましくは、光開始剤を含有することも開示されている。
【0047】
非反応性結合剤、すなわち、ラジカル重合性ではない結合剤を含む、スラリを使用することが、望ましい。反応性結合剤と対照的に、非反応性結合剤は、固化に応じて共有結合を伴う重合体網目構造を形成しない。本理由のために、セラミックおよび/またはガラスセラミック粒子(a)は、相互に対して偏移し、このように、少なくとも部分的に、乾燥および/または脱バインダの間に張力を解放することができる。
【0048】
純粋な形態において、25℃において固体である、結合剤が、望ましい。乾燥プロセスの間、そのような結合剤は、固化し、素地のより高い強度を提供する。
【0049】
好ましい結合剤は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)、およびカルボキシルメチルセルロースナトリウム(NaCMC)等のセルロース誘導体、およびセルロース誘導体である。
【0050】
好ましい結合剤のさらなる実施例は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、およびポリビニルピロリドン(PVPP)である。他の実施例は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、および室温において固体であるほどのポリエチレングリコールの十分に高いおよび/または相対的に高い量である分子量を有する、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの共重合体である。
【0051】
エネルギー転換成分(c)は、印加されるエネルギーパルスの、例えば、入射するレーザビームのエネルギーの大部分を吸収し、吸収されたエネルギーを熱に変換する。このように発生された熱パルスが、体積拡張成分に伝達され、その瞬時の拡張を引き起こす、例えば、体積拡張成分の蒸発による、微視的ガス気泡の瞬時の発生を引き起こす。このように、LIFTプロセスにおいて、キャリア基板から受容体基板へのスラリの転写が、誘発される。スラリは、受容体基板上に堆積される。
【0052】
エネルギー転換成分(c)は、吸光されるべきレーザ光の波長に応じて選択される。本発明に関連して、無機の、そして特に、有機の染料および顔料が、好ましい。特に好ましいものは、残留物を伴わない焼成を可能にし、脱バインダおよび焼結の後、蓄積体内に残留物を残さない、染料および顔料である。
【0053】
本発明に関連して、スラリは、分散媒質(d)として、セラミックおよび/またはガラスセラミック粒子(a)が分散される液体成分を含有する。好ましいものは、純粋な形態において、25℃において液体である、分散媒体である。好ましい分散媒体は、有機溶媒、または代替として、水である。
【0054】
異なる液体の混合物が、分散媒質として使用されることができる。分散媒質は、少なくとも1つの低沸点成分と、好ましくは、加えて、1つ以上の高沸点成分とを含む。
【0055】
低沸点成分は、ここで、(通常圧力において)200℃を下回る沸点を有する溶媒であると理解される。好適な溶媒は、例えば、酢酸ブチルエステルおよび酢酸n-ヘキシルエステルである。好ましい低融点溶媒は、1-オクタノール、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジアセテート、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、p-キシレン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシルであり、および特に好ましいものは、水である。水は、蒸発の間、健康に対して有害であり得る、または爆発的であり得る蒸気が発生しないという利点を有する。
【0056】
高沸点成分は、本願において、(通常圧力において)200℃を上回る沸点を有する溶媒であると理解される。好ましい高沸点溶媒は、150~600g/モルの分子量のプロピレングリコールを有する、液体ポリ(エチレングリコール)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、150~4000g/モルの分子量を有する、特に好ましくは、150~600g/モルの分子量を伴う、ポリ(プロピレングリコール)、モノエーテルまたはジエーテルのいずれかとして、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルエーテル等のそれらのエーテル、ジメチル、ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、グリセリン、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、アジピン酸ジブチル、またはグルタル酸、およびコハク酸ジエチルである。
【0057】
水と組み合わせるための、ポリエチレングリコール(平均分子量<600g/モル)、グリセリン、および1,2-プロパンジオール等の極性の高沸点溶媒。
【0058】
水ベースのスラリは、当然ながら、ポリマー前駆体ベースのスラリよりはるかに低い含有量の有機結合剤を有する。水ベースのスラリ中の有機結合剤のより低い含有量は、より少ない結合剤が、スラリから除去される必要があり、結合剤を熱的に分解するために必要とされる温度が、硬化された光重合体のためのものより低いため、より高速な脱バインダプロセスの利点を有する。
【0059】
水ベースのスラリ中の有機結合剤の好ましい含有量は、スラリの全量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは、0.1~3重量%、特に好ましくは、0.1~2重量%の配列内にある。水ベースのスラリでは、有機結合剤は、スラリ内の保水材としての機能を有し、スラリが急激に乾燥することを防止する役割を果たす。これらの吸水性結合剤はまた、それらが水溶性であるが、揮発性ではないポリマーであるため、除去されるためにあまりエネルギーを必要とせず、PEGは、例えば、約150℃の分解温度を有する。それらの保水剤の融解温度が、それらの鎖長に応じて異なるという事実に起因して、材料層内の脱バインダプロセスを調節するために異なる鎖長を伴う結合剤の組み合わせを使用することは、理にかなっている。異なる結合剤は、異なる温度において融解し、次いで、異なる温度レベルで分解し、これは、最大温度までの要求される温度上昇が生じる、より長い時間周期にわたる、融解/分解の広がりをもたらす。本理由のために、より少ない張力が、脱バインダプロセスの間に発生される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
処理された層のスライスから構成される形成体の層毎付加製造のための方法であって、前記方法は、
スラリの層を生成するステップであって、前記スラリは、結合剤と、分散媒質と、微粒子充填剤材料とを含む、ステップと、
前記スラリ層を固化させるステップと、
固化された層を脱バインダおよび/または焼結によって処理するために、電磁放射を前記固化された層に指向するステップと、
上述のステップを繰り返し、前記形成体を連続的に蓄積するステップと
を含み、
前記スラリ層を生成するステップが、レーザ誘起前方転写(LIFT)プロセスによって実施されることであって、前記LIFTプロセスは、レーザ(8)を利用し、レーザビーム(1)パルスをキャリア(2)上のスラリのコーティング(4)に作用するように指向し、スラリの液滴を受容体表面に転写することにより、前記スラリ層(11)を生成し、前記スラリ層(11)は、次いで、上記の固化させるステップおよび脱バインダステップおよび/または焼結ステップによってさらに処理される、こと
を特徴とする、方法。
(項目2)
前記スラリ層(11)を固化させるステップが、温かいガスフローからの熱を前記スラリ層に作用するように印加することによって実施されることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記スラリ層(11)を固化させるステップが、電磁放射を前記スラリ層に作用するように指向することによって実施されることを特徴とする、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記電磁放射を指向するステップが、レーザ(8)を制御し、レーザビームを層材料に作用するように指向することによって実施されることを特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記レーザビームを前記スラリ層に作用するように指向することによって前記固化させるステップが、前記スラリ層(11)を加熱し、前記スラリの蒸発可能成分を蒸発させることによって実施されることを特徴とする、項目3および4に記載の方法。
(項目6)
前記スラリ層の固化を引き起こす前記レーザビーム(1)、および脱バインダおよび/または焼結をもたらす前記レーザビーム(1)が、同一のレーザ(8)によって発生されることを特徴とする、項目3および4または5に記載の方法。
(項目7)
脱バインダおよび/または焼結をもたらすための前記レーザビーム(1)、および、新しいスラリ層(11)を生成するためのLIFTプロセスのために使用される前記レーザビームが、同一のレーザ(8)によって発生されることを特徴とする、項目2または3および4に記載の方法。
(項目8)
固化をもたらすために前記レーザビーム(1)を発生させる前記レーザ(8)、および、新しいスラリ層を生成するための前記LIFTプロセスのために使用される前記レーザビームが、同一のレーザによって発生されることを特徴とする、項目3および4に記載の方法。
(項目9)
固化をもたらすため、かつ、脱バインダおよび/または焼結をもたらすために前記レーザビーム(1)を発生させる前記レーザ(8)が、新しいスラリ層(11)を生成するための前記LIFTプロセスのために使用される同一のレーザ(8)によって発生されることを特徴とする、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記スラリがさらに、前記電磁放射のエネルギーを熱エネルギーに変換することが可能なエネルギー伝達成分を含むことを特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記キャリア(11)が、相互の隣に配列される複数の別個のコーティング区域(4、4’、4’’)を担持することであって、各コーティング区域(4、4’、4’’)は、複数のスラリ組成物のうちの関連付けられる1つを含有する、ことと、
制御ユニットが、生成されているスラリの層毎に、堆積される層内の前記複数のスラリ組成物から選択されるスラリ組成物の選択される空間分布が、コーティング区域(4、4’、4’’)を前記LIFTプロセスにおいて効果的であるように選択的に位置付け、生成される層内にスラリ組成物の所望の空間パターンを達成することによって形成されるように、前記レーザ(8)および前記受容体表面に対して前記キャリア(2)を位置付けるための位置付けデバイスを制御するように配列されることと
を特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記位置付けデバイスが、前記レーザのレーザビームが、前記キャリアによって影響を及ぼされることなく、前記スラリ層上に指向され得るように、前記レーザ(8)に対して前記キャリア(2)を位置付けることが可能であることを特徴とする、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記スラリ層を生成し、これを固化させるステップが、前記スラリ層(11)から形成されるべき前記スライスの領域より大きい面積内で実施されることと、
前記固化された層の脱バインダおよび/または焼結が、脱バインダおよび/または焼結が、蓄積されるべき前記スライスの輪郭内でのみ生じるように、空間的に選択される様式において、電磁放射を前記固化された層に作用するように指向することによって実施されることと
を特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記スラリ層(11)を生成するステップが、前記スラリ層が、蓄積されるべき前記スライスの輪郭と合致するように、空間的に選択される様式において前記LIFTプロセスによって実施されることと、
支持材料(21)が、形成されるべき前記形成体が、少なくとも部分的に、支持材料(21)内に埋め込まれるように、蓄積されるべき前記スライスの領域を囲繞するように適用されることと
を特徴とする、項目1-12のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記スラリの微粒子充填剤材料が、ガラス粉末、ガラスセラミック粉末、セラミック粉末、または金属粉末であることを特徴とする、前記項目のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明は、ここで、図に図示される好ましい実施形態を参照して説明されるであろう。
【0061】
図1図1A-1Cは、レーザ誘起転写プロセス(LIFTプロセス)によるスラリ層の生成を図示する、断面図を示す。
図2図2A-2Cは、それぞれ、固化、脱バインダ、および焼結による、スラリ層の処理を図示する、断面図を示す。
図3図3A-3Cは、形成体の蓄積プロセスを図示する、断面図を示す。
図4図4A-4Cは、実際の蓄積プロセスが完了した後のさらなる処理ステップを図示する、断面図を示す。
図5図5A-5Cは、形成体の蓄積プロセスにおいて異なるスラリ組成物を使用する蓄積プロセスを図示する、断面図を示す。
図6図6A-6Dは、スラリ層の堆積、固化、脱バインダ、および焼結の処理ステップを図示する、断面図を示す。
図7図7は、本発明の本方法を実行するためのデバイスの構成要素を図示する、概略側面図を示す。
図8図8は、本発明の本方法を実行するためのデバイスの概略斜視図を示す。
図9図9は、本発明の本方法を実行するためのデバイスのさらなる実施形態の概略側面図を示す。
図10図10は、本発明の本方法を実行するための、図9のデバイスに類似する、さらなる実施形態の概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1A-1C、2A-2C、3A-3C、および4A-4Cのシーケンスは、各場合において、本発明の実施形態による、層毎付加製造方法のステップを示す。
【0063】
図1A-1Cは、LIFTプロセスを実施することによる、基板50上でのスラリ層の発生を図式的に図示する。図1Aに示されるように、スラリの堆積は、1滴ずつ起きる。レーザビーム1が、キャリア2とキャリアに適用されるスラリコーティング4との間の界面上に集束される。図示される実施例では、キャリア2は、透過性フィルムである。スラリの液滴が、典型的には、100nsの持続時間および1μJ(マイクロジュール)未満のエネルギーを有するレーザビームパルスによって、基板50上に放出および堆積される。連続層を適用するために、図1Bに示されるように、キャリア2をレーザビーム1に対して移動させ、基板50をレーザビーム1に対して移動させ、重複する液滴を用いて基板表面の面積を連続的に被覆することが、必要である。スラリ層が基板50上に堆積された後、図1Cに示されるように、例えば、ロッドを、基板50の表面にわたってある定義されたレベルにおいて移動させることによって、平滑にされ、平坦にされ、適用されたスラリ層11を形成する。
【0064】
レーザビーム1のエネルギーをスラリコーティング4に効果的に伝達するために、スラリコーティング4のスラリは、レーザビーム1の照射を効果的に吸光し、これを熱エネルギーに変換する、エネルギー伝達成分の混合を含んでもよい。代替として、キャリアは、例えば、スラリコーティングに面しているキャリアの表面上に、吸収層の形態にある、レーザ放射エネルギー吸収体と、変換体とを含んでもよい。後者の場合では、レーザ放射エネルギーは、スラリコーティングおよびキャリアの界面において直接、吸収層内で熱エネルギーに変換される。
【0065】
図2A-2Cは、図1Cに示されるような基板50上に適用される、スラリ層11上で実施されている、さらなる処理ステップを図式的に図示する。本実施例では、水ベースのスラリが、考慮されている、すなわち、スラリの液相の大部分は、他の結合剤材料のごく一部を含む、水である。本場合では、スラリ層を固化させるステップは、スラリ層を加熱し、スラリの水成分を蒸発させることによって実施される。乾燥による固化が、本実施例では層を均一に加熱することによって、加熱されたガスフロー等のガス循環または閃光灯およびガスフローの組み合わせによって湿気を除去することによって、もたらされる。原理上、熱供給の任意の方法が、スラリから水を蒸発させるために使用されることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、熱は、レーザビーム1をスラリ層(図2Aに示されず)上に指向し、これをレーザエネルギーの吸収によって加熱することによって供給される。
【0066】
全ての水を除去することによって、固化されたスラリ層12が、取得される。次の処理ステップが、図2Bに図示され、図2Bでは、レーザビーム1が、空間的に選択的な様式において固化されたスラリ層12に作用し、本ステップにおいて発生されるべきスライスの輪郭によって画定される、脱バインダされた面積14を生成している、脱バインダのプロセスが、図示される。脱バインダのプロセスは、選択される面積内の固化されたスラリ層12を加熱し、残りの結合剤の熱分解を引き起こすことによって実施され、より低い分子量の分解生成物が、最終的には、ガスとして逃散する。脱バインダは、好ましくは、5nsのパルス持続時間および20μJのエネルギーを伴う10kHzにおける、レーザパルスのバーストによって、添加されるべき本スライスのための輪郭によって画定されるような面積を照明することによって、実施される。
【0067】
図2Cでは、図2Bに示される脱バインダされた面積14が、レーザビームが空間的に選択的な様式において脱バインダされた面積14上に、層の上に指向され、そこにさらなるレーザエネルギーを供給する、さらなるプロセスステップを受ける。脱バインダされた面積をさらに加熱することによって、残りの微粒子充填剤材料(例えば、セラミックまたはガラスセラミック粉末)が、焼結によって高密度化され、図2Cの焼結された面積16を形成する。
【0068】
焼結はまた、好ましくは、250nsのパルス持続時間を伴い、5μJ未満のパルスエネルギーを伴う300kHzにおける、レーザパルスのバーストを使用する。
【0069】
図3A-3Cは、蓄積プロセスがさらに進む様子を図示する。図3Aでは、最後に供給されたスラリ層が、最後に適用されたスラリ層を固化させることによって、添加されるべきスライスの輪郭によって画定される面積を選択的に脱バインダすることによって、および層の脱バインダされた面積を焼結し、焼結されたスライス16を形成することによる、処理を受けている。その後、さらなるスラリ層11が、(図1A-1Cに図示されるようなステップによって)適用され、次いで、図2A-2Cに図示されるようなステップによって処理され、図3Cに示されるような、さらに焼結された添加されたスライス16を形成する。
【0070】
すでに図1A-1Cおよび2A-2Cに示されているように、スラリ層は、蓄積されるべき形成体のために必要とされるものより大きい面積に適用される。図2Bおよび2Cに示されるように、添加されるべきスライスの輪郭によって画定される所望の面積のみを選択的に処理する(脱バインダおよび/または焼結)ことによって、形成体は、スライス毎に蓄積され続け、固化されたスラリ材料は、蓄積されている形成体の処理されたスライス部分を囲繞しているままであり、その囲繞する固化されたスラリは、蓄積プロセスの間に形成体を側方から埋め込む、支持材料としての役割を果たす。図示され、前述に説明されるようなステップを繰り返すことによって、形成体は、最終的には、図4Aに示されるように、完全に蓄積される。その後、構築された形成体を囲繞する、固化された材料は、例えば、図4Bのバット22内の溶媒20によって示されるような溶媒を使用してこれを溶解することによって、除去される。最終的には、所望の形成体が、図4Cに示されるように、このように取得される。
【0071】
図5A-5Cは、前述において説明されるような、但し、本場合では、蓄積プロセスにおいて2つの異なるスラリ組成物31、32を使用する、製造方法を図示する。図5Aでは、適用された層の外側または周辺領域内に第1のスラリ組成物31と、層の中心領域内に第2のスラリ組成物32とを含む、新しいスラリ層が、適用されている。本新たに添加された層31、32は、次いで、(図2A-2Cの均一なスラリ材料に関して図示されるような)固化、脱バインダ、および/または焼結によって処理される。第1のスラリ組成物の処理された面積は、図5Bでは黒色で示され、図5Aの第2のスラリ組成物32の処理された面積は、図5Bでは、スラリ32と比較して反対に傾斜された網掛けによって示されている。このように、形成体は、図5Bに示されるように、第1のセラミックまたはガラスセラミック組成物を外側シェル内に有し、第2のセラミックまたはガラスセラミック組成物を形成体のコア領域内に有する、スライス毎に蓄積される。図5Cでは、第1および第2のスラリ組成物31、32の新しい層が、堆積されており、これは、次いで、図5Aおよび5Bに関連して上記に示され、説明されるような、同一の様式において処理され、これらのステップは、形成体が完全に蓄積されるまで繰り返される。
【0072】
図6A-6Dは、本発明の方法のさらなる実施形態を図示する。図6Aでは、スラリ層が、図1A-1Cに図示されるLIFTプロセスに対応する様式において適用され、図6Aの場合では、スラリ層が、連続層としてではないが、本場合では、スラリ層面積11内に添加されるべきスライスの輪郭によって画定される面積内にのみ、空間的に選択的な様式において堆積されるという差異を伴う。スラリ層11を囲繞する面積は、同様に、支持材料コーティングを有する、キャリア2または異なるキャリアの異なる区域を使用する、LIFT手順によって堆積される、支持材料21で充填される。本実施例におけるスラリは、主に、光重合成分と、セラミック充填剤とを含有する結合剤を有する、スラリである。支持材料21は、同様に、光重合性材料であってもよい。図6Bでは、露光ユニット40が、スラリの結合剤の重合および支持材料の重合を誘発する紫外線放射によって、スラリ層11および支持材料21を照射する。次のステップでは、固化されたスラリ面積11は、レーザエネルギーをこれらの面積に空間的に選択的に印加し、図2Bに関連して示され、説明されるプロセスに対応する様式において、脱バインダを引き起こすことによって処理される。このように、脱バインダされた層面積14が、図6Cに形成される。図6Cの脱バインダされた面積14は、次いで、レーザビームパルスを図2Cに関連して示され、説明されるような様式において供給することによってさらに処理され、最終的には、支持材料21によって囲繞される焼結されたスライス面積16を形成する。図6A-6Dのこれらのステップが、図3A-3Cに対応する様式において繰り返され、最終的には、図4Aに対応する完全な形成体を蓄積する。最終的に、支持材料は、例えば、図4Bに対応する方法において、適切な溶媒によって除去され、最終的には、図4Cに示されるような形成体を取得する。
【0073】
図7は、本発明の方法を実行するためのデバイスの簡略概略側面図を示す。本デバイスは、調節可能なミラーを介して、レーザビーム1をキャリア2上に指向する、レーザ8を含む。キャリア2は、本実施例では、ローラから解かれ、離間された第2のローラ上に巻回される、透過性フィルムである。ローラは、制御ユニット(図示せず)の制御下で、キャリア2をレーザビーム1および基板50に対して移動させるように制御された様式において回転される。基板50の下方の二重矢印は、基板が、位置付けデバイスの駆動部によって、キャリア2およびレーザビーム1に対して移動可能であることを示すことを意図する。カートリッジ6は、スラリを含有し、その容器は、定義される厚さの縞状のスラリコーティング4をキャリア2上に適用することが可能なアプリケータを備える。
【0074】
類似のデバイスが、図8の概略斜視図に図示される。本実施形態では、2つのキャリアユニットが、提供され、それぞれは、閉ループ状のキャリア2と、その周囲でキャリア2が誘導される、3つのローラとを備える。1つのキャリアユニットは、第1のスラリ組成物4を含有する、カートリッジ6を具備し、第2のキャリアユニットは、第2のスラリ組成物4’を含有する、第2のカートリッジ6’を具備する。カートリッジ6、6’は、スラリ組成物4、4’の縞状コーティングを、それぞれ、個別のキャリア2上に適用する、アプリケータを有する。位置付けデバイスが、スラリ組成物4または4’を、LIFTプロセスによって受容体表面(基板表面、または最後に形成および処理された層の上側表面)上に選択的に適用するために、二重矢印によって示されるように、キャリアユニットおよび基板を相互に対して移動させる役割を果たす。これらの様式において、スラリ組成物4、4’は、空間的に選択的な様式において受容体表面上に適用され、所望に応じて、スラリ組成物4、4’の空間分布を取得することができる。
【0075】
図10は、図8のキャリアユニットに類似するキャリアユニットの側面図を示す。本図は、そのアプリケータを伴うカートリッジ6が、スラリ組成物4をキャリア上に適用し、次いで、制御ユニットの制御下で3つのローラの周囲で回転され、本様式においてもたらされるキャリアの位置付けが、キャリア2および基板50の相対位置を制御するための制御された位置付けデバイスの一部であることを図示する。図10はさらに、バット9内に回収された残りのスラリを拭取して除去した、直前のLIFTプロセスステップにおいて残ったスラリ組成物4を拭取して除去する、ワイパ5を示す。
【0076】
図9は、本発明の方法を実行するためのデバイスに関するさらなる概略図を示し、本デバイスは、図7に示されるものに類似する。本場合では、選択的かつ制御された様式においてキャリア2上に適用され、キャリア上にスラリコーティングの区域を提供する、それぞれ、第1、第2、および第3のスラリ組成物4、4’’、4’を含有する、3つのカートリッジ6、6’、6’’が存在し、区域は、異なるスラリ組成物を提供される。示されるローラは、LIFTプロセスの間に、異なるスラリ組成物が空間的に選択的な様式において選択され、LIFTプロセスによって生成される層内にスラリ組成物の所望の分布を取得するように、制御ユニットによって選択的な様式において回転される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10