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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】液体移送装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20220708BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20220708BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
A61M5/14 510
A61M39/10 100
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021544627
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2020050790
(87)【国際公開番号】W WO2020157719
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】62/799,317
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521316936
【氏名又は名称】ウェスト・ファーマ・サービシーズ・アイエル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アヴィアド・イェドガー
(72)【発明者】
【氏名】アミール・レフ
(72)【発明者】
【氏名】ユリ・ダビデ
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3205560(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0303720(US,A1)
【文献】国際公開第2011/132657(WO,A1)
【文献】特表2009-513294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 5/14
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブを画成する突出部分を備えるコネクタ本体と、
細長い接続部材と捩切部材とを備えるIVポートであって、前記IVポートは、前記コネクタ本体の第1端部に配置され、前記細長い接続部材は、前記IVポートから突出かつ切欠きを画成し、前記捩切部材は、一度トルクの印加により除去されると前記IVポートへのアクセスを提供するように構成される、IVポートと、
を備える液体移送装置であって、
前記突出部分は、前記細長い接続部材に受容されるように構成され、前記タブは、前記IVポートを前記コネクタ本体に対して回転方向で固定するように前記切欠きと係合するように構成される、液体移送装置。
【請求項2】
前記切欠きは、複数の角度方向に離間される切欠きを含み、前記タブは、対応する複数の角度方向に離間されるタブを含む、請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項3】
前記タブのそれぞれは、実質的に矩形断面を有する、請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項4】
前記突出部分は、前記IVポートを前記突出部分に封止して取付けるための嵌合部材を備える、請求項2または3に記載の液体移送装置。
【請求項5】
前記嵌合部材は、開口端部を備え、かつ前記開口端部から離れる方向に漸進的に増加する直径を有する円錐台状に形作られる、請求項4に記載の液体移送装置。
【請求項6】
前記液体移送装置は、
IVボトルに取付けるために構成されかつ前記コネクタ本体の第2端部に配置されるバイアルアダプタと、
前記コネクタ本体の第3端部に配置される添加剤ポートと、を備え、
前記コネクタ本体は、前記IVポートと前記バイアルアダプタと前記添加剤ポートとの間の流体連通を提供する、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体移送装置。
【請求項7】
前記バイアルアダプタは、IVボトルストッパを穿刺するための穿刺カニューレを備える、請求項6に記載の液体移送装置。
【請求項8】
前記コネクタ本体は、前記バイアルアダプタの穿刺カニューレの管腔と連続的に流体連通する管腔を画成し、前記管腔は、前記突出部分内の第1管腔と、第2管腔と、に分かれ、前記添加剤ポートは、前記第2管腔の周縁端部に位置付けられる、請求項6または7に記載の液体移送装置。
【請求項9】
前記液体移送装置は、
前記コネクタ本体の第2端部に配置されるIVスパイクと、
前記コネクタ本体の第3端部に配置される添加剤ポートと、を備え、
前記コネクタ本体は、前記IVポートと前記IVスパイクと前記添加剤ポートとの間の流体連通を提供する請求項1から5のいずれか1項に記載の液体移送装置。
【請求項10】
前記コネクタ本体は、前記IVスパイクの穿刺カニューレの管腔と連続的に流体連通する管腔を画成し、前記管腔は、前記突出部分内の第1管腔と、第2管腔と、に分かれ、前記添加剤ポートは、前記第2管腔の周縁端部に位置付けられる、請求項9に記載の液体移送装置。
【請求項11】
前記添加剤ポートは、自己封止バルブを含む、請求項6から10のいずれか1項に記載の液体移送装置。
【請求項12】
前記捩切部材は、第1捩切部材へのトルクの印加の際に破断するように構成される破断可能箇所を備える請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項13】
前記コネクタ本体は、三叉コネクタ本体である、請求項1から12のいずれか1項に記載の液体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に送達される点滴液を収容する従来の点滴液容器は、一般に、点滴液バッグ、点滴液ボトルなどの形態をとる。予め充填されたシリンジまたはバイアルは、一般に、液体移送装置を介して点滴液内容物に液体薬品を添加して、薬用点滴液を形成するために利用される。その後、IVスパイクを含む点滴セットが、一般に、薬用点滴液内容物の患者への点滴のために、液体移送装置のIVポートに挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的には、IVポートは、接着剤を介して液体移送装置の残りの部分に接続される。捩切部材(twist-off member)であるカバーは、除去のためにトルクの印加を必要とし、IVポートにアクセスするために、除去される必要がある。使用者が液体移送装置を把持し捩切部材を除去する方法は、接着剤をトルクにさらすという結果となり得る。接着剤の損傷は、液体移送装置に欠陥を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、IVポートと液体移送装置の残りの部分との間に回転方向で固定された機械的接続部を有し、機械的接続部の損傷を引き起こすことなくこのようなトルクに耐えるように設計された、液体移送装置を製造することが有利である。
【0005】
本発明の実施形態の以下の説明は、添付の図面と併せて読むことでよりよく理解される。しかしながら、本発明は、示された正確な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本発明による液体移送装置と共に使用可能な点滴バッグの正面図である。
図1B】本発明による液体移送装置と共に使用可能なIVボトルの正面図である。
図1C】本発明による液体移送装置と共に使用可能な、予め充填された無針シリンジ、オス型バイアルアダプタ、およびバイアルの正面図である。
図1D】本発明による液体移送装置と共に使用可能な点滴セットの正面図である。
図2A】本発明による液体移送装置の第1構成の斜視図である。
図2B図2Aの断面線2b-2bに沿って得られた、図2Aの液体移送装置の断面立面図である。
図2C図2Aの断面線2c-2cに沿って得られた、図2Aの液体移送装置の断面立面図である。
図2D図2Aの液体移送装置の分解斜視図である。
図3A】本発明による液体移送装置の第2構成の部分正面図である。
図3B図3Aの断面線3-3に沿って得られた、自己封止アクセスバルブが閉位置にある、図3Aの液体移送装置の自己封止アクセスバルブの拡大断面立面図である。
図3C図3Aの断面線3-3に沿って得られた、自己封止アクセスバルブが開位置にある、自己封止アクセスバルブの拡大断面立面図である。
図3D】自己封止アクセスバルブの上面図である。
図4図2Aの線2b-2bなどの断面線に沿って得られた、本発明による液体移送装置の第3構成の部分断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特定の用語は、以下の説明では、簡便のためにのみ使用されており、限定をするものではない。「下側」、「下部」、「上側」および「上部」という単語は、参照される図面内の方向を指定する。「内方に」、「外方に」、「上方に」および「下方に」という単語は、本開示に従って、液体移送装置および液体移送装置の指定された部分の幾何学的中心にそれぞれ向かう方向および離れる方向を参照する。本明細書で具体的に明記されていない限り、「a」、「an」および「the」という語は、一要素に限定されず、代わりに「at least one」を意味すると解釈されるべきである。用語は、上に記載の単語、上に記載の単語の派生語、および類似の意味の単語を含む。
【0008】
本発明の構成要素の寸法または特性を参照するときに本明細書で使用される、「約」、「およそ」、「一般に」、「実質的に」および同様の語は、説明された寸法/特性は厳密な境界またはパラメータではなく、機能的に類似する説明された寸法/特性からの軽微な変更を除外するものでないことを指摘するということも理解されるべきである。少なくとも、数値パラメータを含むこのような参照は、当技術分野で受け入れられている数学的および産業的原理(例えば、丸め、測定または他の系統的誤差、製造公差など)を使用して、最下位有効数字を変化させない変更を含む。
【0009】
図を詳細に参照すると、同様の数字は全体を通して同様の要素を示し、図2A図4には、点滴液を収容する点滴液容器および添加剤移送装置と共に使用することが意図される液体移送装置50,50’,50”の複数の構成が示される。このような点滴液容器は、点滴液バッグ10(図1A)、点滴液ボトル18(図1B)などの形態をとり得、このような添加剤移送装置は、オス型コネクタ26、例えば、オス型ルアーコネクタを有するシリンジ24(図1C)、バイアルアダプタ30または(以下でさらに説明される)162に接続可能な、封止されたバイアル28(図1C)などの形態をとり得る。
【0010】
当業者によって理解されるはずであるように、従来の点滴液バッグ10(図1A)は、点滴液を収容し、静脈内(IV)または投与ポート14および添加剤ポート16と流体連通する、リザーバ12を含む。点滴液バッグ10は、点滴液バッグ10からの点滴液の投与の際につぶれることが可能である。従来の点滴液ボトル18(図1B)はまた、点滴液を収容するリザーバ20を含み、(当業者によってよく理解されている方法で)ストッパ22によって封止して閉じられる。点滴液ボトル18は、点滴液ボトル18からの点滴液の投与の際につぶれるよう意図される、つぶれることが可能な材料から、または、代替的には、例えば、ポリマーまたはプラスチック材料(以下では「プラスチック」と呼称する)、ガラスなど、つぶれることが不可能な材料から作成され得る。
【0011】
シリンジ24は、一般に、点滴液バッグ10およびボトル18のいずれかの中の点滴液と混合して、患者への投与または患者への直接投与のための薬用点滴液を形成するために、点滴液バッグ10およびボトル18のいずれかに注入するための薬液で予め充填される。同様に、バイアル28は、一般に、投与前に再調製を必要とする薬液添加剤または凍結乾燥粉末薬品を収容する。バイアル28の内容物は、(以下でさらに詳細に説明されるように)点滴液と混合して患者への投与のための薬用点滴液を形成するために、点滴液バッグ10またはボトル18に導入される。
【0012】
図2A図4を参照すると、液体移送装置50,50’,50”は、三叉コネクタ本体52を含む。三叉コネクタ本体52は、三叉コネクタ本体52の第1端部にIVポート54を含む(図2A図4)。一構成では、図2A図2Dに示されるように、三叉コネクタ本体52は、三叉コネクタ本体52の第2端部にバイアルアダプタ56を含む。代替的には、別の構成では、図3Aおよび図4に示されるように、三叉コネクタ本体52は、三叉コネクタ本体52の第2端部にIVスパイク58を含み得る。一構成では、図2A図2B図2Dおよび図3A図3Dに示されるように、三叉コネクタ本体52は、三叉コネクタ本体52の第3端部に常閉(NC)無針添加剤ポート60をさらに含む。代替的には、別の構成では、図4に示されるように、三叉コネクタ本体52は、三叉コネクタ本体52の第3端部にバイアルアダプタ162を含み得る。すなわち、例示的な構成では、液体移送装置50は、三叉コネクタ本体52の第1端部にIVポート54と、三叉コネクタ本体52の第2端部にバイアルアダプタ56またはIVスパイク58と、三叉コネクタ本体52の第3端部に無針添加剤ポート60またはバイアルアダプタ162と、を含み得るが、開示はそのように限定されない。
【0013】
図2A図2Dを参照すると、三叉コネクタ本体52は、液体移送装置50を点滴液ボトル18と共に使用するために、三叉コネクタ本体52の第2端部にバイアルアダプタ56を含み得る。バイアルアダプタ56は、例えば、ポリカーボネートなどの適切な硬質プラスチック材料から作成されている。バイアルアダプタ56は、コネクタ本体52の第2端部に、横方向に延在する上部表面64と、上部表面64から下方に垂れるスカート66と、を含み、スカート66は、(当業者によってよく理解されている方法で)IVボトル18に挿抜可能にスナップフィット取付する(telescopically snap fit mounting)ように、構成される、例えば、サイズおよび寸法が定められる。穿刺カニューレ68は、穿刺カニューレ68のスパイク端部に近接しかつ周縁に配置された開口部69aを有する液体管腔69を有し、バイアルアダプタ56をIVボトル18に挿抜可能にスナップフィット取付する際に、IVボトルストッパ22を穿刺するために、横方向バイアルアダプタ上部表面64から下方に突出する。バイアルアダプタスカート66は、ストッパ22の下にあるIVボトル18のフランジ21の下にスナップフィットするための少なくとも2つの内方に方向付けられた突起70(図2C)を含む。一実施形態では、穿刺カニューレ68は、およそ3mmの外径を有し得る。
【0014】
コネクタ本体52は、管腔72を画成し、管腔72は、バイアルアダプタ56の穿刺カニューレ68の管腔69と連続的に流体連通し、かつバイアルアダプタ56の上部表面64から穿刺カニューレ68と反対側の方向に突出する。管腔72は、(ニップル部分88内の)第1管腔72aと第2管腔72bとに分かれる。図示される実施形態では、第1管腔72aは管腔69と同一方向であるが、開示はそのように限定されない。第2管腔72bは、第1管腔72aおよび管腔69に対して角度を付けられる、すなわち、第1管腔72aおよび管腔69から分岐する。図2Bおよび図2Cに最もよく示されるように、第1管腔72aは、管腔69と管腔72a,72bとの間の固体微粒子の連通を防止するインライン微粒子フィルター73を含み得る。
【0015】
図3Aおよび図4に示されるように、液体移送装置50’,50”の三叉コネクタ本体52の別の構成は、液体移送装置50を点滴液バッグ10と共に使用するために、すなわち、IVスパイク58をバッグ10のIVポート14に封止して挿入するために、三叉コネクタ本体52の第2端部にIVスパイク58を含む。IVスパイク58もまた、例えば、ポリカーボネートなどの適切な硬質プラスチック材料から作成される。IVスパイク58は、IVスパイク58のスパイク端部に近接して周縁に配置された開口部58bを有する内部液体管腔58aを含む。(内部液体管腔58aは、管腔72aと同一方向であり、両方の管腔72a,72bと連続的に流体連通する。)フランジ74が、バッグ10のIVポート14への挿入深さを制限するために、IVスパイク58の反対側の端部に近接しかつIVスパイク58から横方向に、延在する。一実施形態では、IVスパイク58は、フランジ74を有する射出成形一体構造として一体的に形成されるが、開示はそのように限定されない。スパイクキャップ75(図4)は、非使用時にスパイク58を除去可能に覆い得る。
【0016】
図2A図3Dに示されるように、三叉コネクタ本体52は、液体移送装置50を、オス型コネクタを有する任意の添加剤移送装置、例えばシリンジ24またはバイアルアダプタ30に取付けられるバイアル28と共に使用するために、三叉コネクタ本体52の第3端部に一体的に形成された無針添加剤ポート60を含み得る。無針添加剤ポート60は、第2管腔72bの周縁端部に位置付けられ、かつオス型コネクタをねじ留めして受容するための自己封止アクセスバルブ76が取り付けられる。アクセスバルブ76は、典型的には、例えば、ポリカーボネートなどの硬質透明プラスチック材料から作成される。アクセスバルブ76は、当接表面78とリム79とを含む階段状外部表面77を有する。アクセスバルブ76は、管状主要部分81と円筒状無針入口部分82とを有するシリコン自己封止バルブ部材80(図3Bおよび図3C)を格納する。無針入口部分82は、露出した入口表面83と、入口表面83に沿って延在する予め形成されたスリット83aと、を有する(図3B図3D)。自己封止バルブ部材80は、自然長L1を有し、また、入口表面83がリム79と同一平面になるように寸法が定められ、それにより、入口表面83が滅菌目的で容易に拭き取られることを可能にする(図3Bを参照)。
【0017】
図3Bおよび図3Cに最もよく示されるように、オス型コネクタ、例えば、シリンジ24のオス型ルアーコネクタ26は、無針添加剤ポート60にねじ留めされ得、かつコネクタ26が当接表面78に当接するまで前進させられ得る。前進中に、オス型ルアーコネクタ26は、バルブ部材80を圧縮された長さL2<L1に圧縮し、これは、シリンジ24と管腔72bとの間の流体連通を可能にするために、入口表面83をその予め形成されたスリット83aに沿って分割する(図3Cを参照)。当業者によって理解されるはずであるように、シリンジ24は、液体添加剤で予め充填され得る。代替的には、シリンジ24は、凍結乾燥粉末薬品バイアルから再調製された液体薬品で充填され得る。再調製された液体薬品は、点滴バッグ10、点滴液ボトル18などから吸引された液体内容物で再調製されたものであり得る。また理解されるはずであるように、バイアルアダプタ30のオス型ルアーコネクタ30aは、同じ方法で無針添加剤ポート60にねじ留めされ得る。バイアルアダプタ30は、装置50をバイアル28の形態の添加剤移送装置と共に使用することを可能にするように、当業者によってよく理解されている方法でバイアル28に挿抜可能にスナップフィット取付可能である。バイアル28は、患者への点滴液の投与前の点滴液と混合可能な、あるいは点滴手順中に患者に投与される、液体添加剤を収容し得る。バイアル28が凍結乾燥粉末薬品を収容する場合、薬品は、点滴バッグ10またはボトル18からバイアル28に液体を押し込むために、点滴バッグ10または点滴ボトル18を圧迫することによって、再調製され得る。したがって、当業者によって理解されるはずであるように、(前述されるように)液体移送装置50を点滴液バッグ10または点滴液ボトル18に連結し、(前述されるように)液体移送装置50をシリンジ24またはバイアル28に連結する際に、液体バッグ10または点滴液ボトル18内の内容物は、コネクタ本体52の流体接続された管腔72a,72bを介して、シリンジ24またはバイアル28内の内容物と、流体接続されかつ混合可能/組合せ可能である。
【0018】
代替的には、液体移送装置50は、バイアル28の形態の添加剤移送装置と共に使用するために専用であり得る。すなわち、代替の構成では、図4に示されるように、液体移送装置50”のバイアルアダプタ162は、三叉コネクタ本体52の第3端部に一体的に形成され得る。一体型バイアルアダプタ162は、(標準的な方法で)バイアル28に挿抜可能にスナップフィット取付するためのスカート162aと、例えばバイアル28のストッパを介してバイアル28と流体連通するためにバイアル28を穿刺するためのカニューレ162bと、を含む。穿刺カニューレ162bは、第2管腔72bと流体連通しかつ次に第1管腔72aと流体連通する管腔162cを含む。バイアル28内の内容物の添加/混合は、前述されるように実施され得る。
【0019】
三叉コネクタ本体52の第2または第3端部に関する液体移送装置50の構成に関わらず、本体52は、本体52の第1端部にIVポート54を含む。図2A図2Dに示されるように、IVポート54は、ポート54の周縁自由端部に近接する捩切部材54aと、細長い接続部材86であって、捩切部材54aから突出し、かつ捩切部材54aを通って延在する内部管腔54bを有し、かつ(捩切部材54aの反対側の)開口端部86aを終端部とする、細長い接続部材86と、を含む。組立てられた液体移送装置50の内部管腔54bは、三叉コネクタ本体52の第1管腔72aと同一方向に延在する。一実施形態では、IVポート54は、例えば、PVCなどの適切な軟質プラスチック材料から作成され得る。
【0020】
IVポート54は、一般に、細長い接続部材86内に横方向に位置付けられ(図2Bおよび図2Cを参照)、かつ内部管腔54bを横切って延在する、封止膜84を含む。したがって、捩切部材54aは、封止膜84を越える流れの連通をもたらすことなく、除去され得る。封止膜84を越える流れの連通は、(以下でさらに詳細に論じられるように)封止膜84を穿刺する際にのみ達成される。したがって、捩切部材54aは、使用するまで封止膜84を無菌に保つ。
【0021】
図2A図2Dに最もよく示されるように、コネクタ本体52は、横方向バイアルアダプタ上部表面64から(またはIVスパイク58-図示されず-から)、すなわち、バイアルアダプタ56またはIVスパイク58から離れて、上方に突出するニップル部分88であって、ニップル部分88の中に第1管腔72aを画成する、ニップル部分88を含む。ニップル部分88は、第1管腔72a(およびしたがって、第2管腔72b)が細長い接続部材86の内部管腔54bと流体連通するように、開口端部90aを有するかかり付嵌合部材90を終端部とする。かかり付嵌合部材90は、すなわち、サイズ、寸法、材料が、細長い接続部材86の内径および材料に対して、開口端部86aを通って内部管腔54b内に前進し、かつかかり付嵌合部材90と細長い接続部材86との間に、かかり、摩擦、すなわち、干渉、嵌合を形成するように構成される。当業者によって理解されるはずであるように、かかり付嵌合部材90は、内部管腔54b内へのかかり付嵌合部材90の前進が、IVポート54をコネクタ本体52のニップル部分88に同一方向に、封止してかつ確実に取付けること、また、細長い接続部材86およびかかり付嵌合部材90の少なくとも1つを損傷することなく、ニップル部分88の引き抜きを実質的に防止することを可能にする。
【0022】
すなわち、示されるように、かかり付嵌合部材90は、開口端部90aから離れる方向に漸進的に増加する直径を有する円錐台状に形作られる。かかり付嵌合部材90の反対側の端部は、下にあるニップル部分88からより大きい直径を画成し、細長い接続部材86からのかかり付嵌合部材90の引き抜きを試みる際に、環状リブ92が細長い接続部材86の内側壁に食い込む結果となる。したがって、かかり付嵌合部材90は、組立て中に細長い接続部材86の内部管腔54b内に前進可能であり、かつその後、損傷を引き起こすことなく容易に引き抜かれることができない。
【0023】
図2Dに最もよく示されるように、細長い接続部材86の開口端部86aを画成する細長い接続部材86のリムは、少なくとも1つの切欠き94aを含み、ニップル部分88は、切欠き94aと係合するように構成される対応する少なくとも1つの径方向タブ94bを含む。図示される実施形態では、細長い接続部材86は、複数の角度方向に離間される切欠き94aを含み、ニップル部分88は、対応する複数の角度方向に離間されるタブ94bを含む。タブ94bは、コネクタ本体52のかかり付嵌合部材90へのIVポート54の取付け中に切欠き94aと係合し、液体移送装置50の残りの部分に対してIVポート54を回転方向で固定する。有利には、したがって、IVポート54は、機械的方法でコネクタ本体52と封止して組立てられるだけでなく、捩切部材54aを捩切る際のトルクの印加中のIVポート54とコネクタ本体52との間の接続部の損傷を最小限にするのに十分に、機械的方法でコネクタ本体52と回転方向で固定される。
【0024】
使用時に、(前述されるように)液体移送装置50を点滴液バッグ10または点滴液ボトル18に連結し、(前述されるように)液体移送装置50をシリンジ24またはバイアル28に連結し、かつ(薬用点滴液を生成するために)液体バッグ10または点滴液ボトル18内の内容物をシリンジ24またはバイアル28内の内容物と混合および/または添加した後、捩切部材54aは除去され、内部管腔54bへのアクセスを提供する。その後、点滴セット95のIVスパイク96(図1D)は、内部管腔54bに封止して挿入され、かつ封止膜84を貫通し、それにより、患者への薬用点滴液の投与のために、IVスパイク96を、封止膜84を越える内部管腔54bの任意の残りの部分と、そして次に、第1および第2管腔72a,72bと、流体接続する。従来、点滴セット50は、患者への流体投与を制御するために、第1チューブ97aと、クランプ97bと、ドリップチャンバー97cと、第2チューブ97dと、ローラークランプ97eと、オス型ルアーコネクタ97fと、をさらに含む。
【0025】
図2Dに最もよく示されるように、切欠き94aのそれぞれは、径方向において等距離に離間され得る。同様に、タブ94bのそれぞれは、径方向において等距離に離間され得る。しかしながら、切欠き94aおよびタブ94bのための他の間隔が予期される。さらに、タブ94bのそれぞれは、矩形断面を有し得、切欠き94aは、タブ94bと相補的な形状を画成し得る。しかしながら、切欠き94aおよびタブ94bのための他の形状が予期される。
【0026】
本発明の広範な発明の概念から逸脱することなく上に説明される実施形態に変更が加えられ得ることが当業者によって認識される。限定しない一例として、無針添加剤ポート60は、手動で操作される止め栓などに置き換えられ得る。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本発明の精神および範囲内の変更を包含することが意図されることが理解される。
【符号の説明】
【0027】
18…IVボトル、22…IVボトルストッパ、50,50’50”…液体移送装置、52…コネクタ本体、54…IVポート、54a…捩切部材、56…バイアルアダプタ、58…IVスパイク、58a,69,72…管腔、60…添加剤ポート、68…穿刺カニューレ、72a…第1管腔、72b…第2管腔、80…自己封止バルブ、86…細長い接続部材、88…突出部分、90…嵌合部材、90a…開口端部、94a…切欠き、94b…タブ
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4