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特許7101913ライブ電圧に触れている人体の存在を検出するための回路を有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス
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  • 特許-ライブ電圧に触れている人体の存在を検出するための回路を有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】ライブ電圧に触れている人体の存在を検出するための回路を有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/31 20200101AFI20220708BHJP
【FI】
H05B45/31
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021576747
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020067492
(87)【国際公開番号】W WO2020260276
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】19182895.3
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】デ ボンド ガイ ルイス パウル
(72)【発明者】
【氏名】チボリッチ ダリボール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォッセン フランシスクス ヤコブス
(72)【発明者】
【氏名】タオ ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス ヘルマヌス ヨハンネス マリア
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0103524(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0170336(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108901096(CN,A)
【文献】特表2020-527287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC主電源に接続するよう構成されるLEDベースの照明デバイスであり、
前記AC主電源によって供給されるAC電圧におけるゼロ交差を検出するよう構成されるゼロ交差検出モジュールと、
検出される前記ゼロ交差に基づいて検出パルスを供給するよう構成される検出パルスモジュールと、
供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定し、決定される前記電流に基づいて人体の存在を決定するよう構成される人体検出モジュールと、
前記供給される検出パルスの間、前記AC主電源から一定の電流が引き出されることを確実にするよう構成される電流リミッタとを有するLEDベースの照明デバイスであって、
前記検出パルスモジュールが、前記検出されるゼロ交差の後に前記検出パルスを供給するよう構成され、前記検出パルスモジュールが、較正パルスを供給するよう構成され、前記較正パルスの終了と前記検出パルスの開始とが共に、前記検出されるゼロ交差に対応し、
前記人体検出モジュールが、更に、供給される前記較正パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定するよう構成され、前記電流リミッタが、更に、前記供給される較正パルスの間、前記AC主電源から電流が引き出されないこと、又は前記検出パルスの間に引き出されている電流よりも低い電流が前記AC主電源から引き出されることを確実にするよう構成されるLEDベースの照明デバイス。
【請求項2】
前記LEDベースの照明デバイスが、前記AC電圧のピーク電圧を検出するよう構成される主電源ピーク検出モジュールを更に有し、
前記主電源ピーク検出モジュールが、更に、検出される前記ピーク電圧に基づいて前記検出パルスの持続時間を決定するよう構成される請求項1に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項3】
前記人体検出モジュールが、決定される電流と所定の電流との間の比率に基づいて前記人体の存在を決定するよう構成される請求項1乃至2のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項4】
前記供給される較正パルスの間、前記AC主電源から電流が引き出されず、 前記人体検出モジュールが、更に、前記較正パルスの開始時に前記AC主電源の電圧を測定し、測定される前記電圧に基づいて人体の存在を決定するよう構成される請求項1に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項5】
前記較正パルスが、前記検出パルスと同じ持続時間を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項6】
前記検出パルスの検出が、安定したAC主電源の検出が確立されるまで延期される請求項1乃至5のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイスによって人体の存在を決定する方法であり、
前記ゼロ交差検出モジュールによって、前記AC主電源によって供給される前記AC電圧及びゼロ交差を検出するステップと、
前記検出パルスモジュールによって、検出される前記ゼロ交差に基づいて前記検出パルスを供給するステップと、
前記人体検出モジュールによって、供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から引き出される前記電流を決定し、決定される前記電流に基づいて前記人体の存在を決定するステップとを有する方法であって、
前記検出パルスモジュールが、前記検出されるゼロ交差の後に前記検出パルスを供給するよう構成される方法。
【請求項8】
前記LEDベースの照明デバイスが、前記AC電圧のピーク電圧を検出するよう構成される主電源ピーク検出モジュールを更に有し、前記方法が、前記主電源ピーク検出モジュールによって、検出される前記ピーク電圧に基づいて前記検出パルスの持続時間を決定する、更なるステップを有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記人体検出モジュールが、決定される電流と所定の電流との間の比率に基づいて前記人体の存在を決定するよう構成される請求項7乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記人体検出モジュールによって、前記較正パルスの開始時に前記AC主電源の電圧を測定し、測定される前記電圧に基づいて人体の存在を決定するステップを更に有する請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記較正パルスが、前記検出パルスと同じ持続時間を有する請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人体の存在を検出するための回路を有するLEDベースの照明デバイスを対象にするものであり、より具体的には、電力ループ内の人体の存在の検出を対象にするものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光TL管は、管の2つの端部の間に導電路が存在する前に、まず、管内のガスが点火される必要があることから、本質的に安全である。この安全性は、ランプソケットが通電されている間に管が器具に取り付けられているときに必要である。この状況においては、例えば、管の一方の端部が、ソケットに挿入され、通電されており、他方の端部が挿入されていないときには、自由端部のピンは危険なライブ電圧(live voltage)を有してはならない。
【0003】
ガス入り蛍光管では、これは問題ない。しかしながら、レトロフィット発光ダイオード(LED)管(TLED)を使用する場合、管の2つの端部の間に導電路がある。ピンが人間によって触れられるときには、内蔵LEDドライバが、電流を伝導し、動作し始める傾向があり、これは、通常、安全限界を超え、感電の危険をもたらす。
【0004】
この問題は、例えば、TLEDの一方の側を主電源からガルバニック絶縁する(galvanically isolate)ことによって、解決され得る。しかし、このような解決策においては、ランプを動作させるためには、管のグロースタータが短絡に置き換えられる必要がある。このような問題に対する別の既知の解決策は、TLEDのためのシングルエンド(single ended)入力方式を採用するものである。しかしながら、このような管は、TLEDが取り付けられる方向に依存し、TLEDを取り付ける人はこのことを承知していなければならない。更に、シングルエンドTLEDは世界の或る特定の地域でしか普及していない。シングルエンドTLEDは、ダブルエンド(double ended)TLEDとして機能するよう変換され得るが、追加の回路又は要素が追加される必要があり、このことは、TLEDの複雑さ及びコストを増大させる。これは望ましくない。
【0005】
別の市販のTLEDは、ダブルエンドTLEDであり、TLEDは、如何なる物理的な向きにも取り付けられることができる。このような構成は、管を取り付ける人が、取り付け中にピンのうちの1つと接触するときに、取り付ける人を、漏れ電流によって引き起こされる感電の危険性にさらす。既知の解決策は、TLEDが適切に取り付けられる前に電流が流れるの防止する追加の電気安全スイッチをTLEDの内部に取り付けるものである。このような解決策も、追加の要素を必要とし、それ故、TLEDのコストを増大させる。
【0006】
それ故、安全性を確保すると同時に、デバイスのコストを増大させない解決策が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電力ループ内の人体の存在を検出するよう構成される、発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスを達成することは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題のうちの1つ以上により良く対処するために、本開示の第1態様においては、交流(AC)主電源に接続するよう構成される発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスであり、
- 前記AC主電源によって供給されるAC電圧におけるゼロ交差を検出するよう構成されるゼロ交差検出モジュールと、
- 検出される前記ゼロ交差に基づいて検出パルスを供給するよう構成される検出パルスモジュールと、
- 供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定し、決定される前記電流に基づいて人体の存在を決定するよう構成される人体検出モジュールとを有するLEDベースの照明デバイスであって、
前記検出パルスモジュールが、前記検出されるゼロ交差の後に前記検出パルスを供給するよう構成されるLEDベースの照明デバイスが提供される。
【0009】
従って、前記検出パルスモジュールは、整流されたAC電圧の正の立ち上がりエッジの間、前記検出パルスを供給するよう構成され得る。好ましくは、前記検出パルスは、前記ゼロ交差が検出されるのと同時に開始する。
【0010】
上記の原理は、LEDベースの照明デバイス、より具体的には、ダブルエンドのLEDベースの照明デバイスに関する。ここで、前記LEDベースの照明デバイスが実際にオンにされる前に、人体モデル検出を実施することが必要とされ得る。これは、前記LEDベースの照明デバイスの取り付けが安全に実施されることができることを確実にした。
【0011】
このような機能は、前記AC主電源が印加された後の人体の存在を証明するピン安全性検出回路において実施されてもよい。主電源が検出され、人体の存在が検出されない場合には、 前記LEDベースの照明デバイスのドライバが、前記LEDベースの照明装置をオンにするために有効にされる。
【0012】
前記電力ループ内の人体の存在は、前記主電源のインピーダンスを測定することによって検出され得る。電流は、前記主電源の電圧が或る特定の閾値に達するときに、前記主電源から引き出される。人体が存在するか否かは、前記主電源の電流のピーク値に基づいて、判断されることができる。即ち、前記ピークが、期待されるよりもはるかに低い場合には、人体が前記電力ループ内に存在する可能性がある。このような検出証明は、前記ドライバを有効にする前に1回又は複数回実施され得る。
【0013】
本開示の利点のうちの1つは、多数のLEDベースの照明デバイスが1つのブレーカに接続されることができ、それでも、人体検出を成功裏に実施することができる可能性があることを可能にすることである。これについては、図を参照してより詳細に説明する。
【0014】
本開示の態様のうちの1つは、検出パルスの間に電流が測定されるものである。前記検出パルスは、前記検出パルスモジュールによって供給される。
【0015】
いずれの場合でも、2つのシナリオが比較され得る。第1シナリオは、人体が存在しないときの概念に関する。第2シナリオは、人体が実際に電力ループ内に存在するときの概念に関する。前記人体は相対的に大きなインピーダンスによってモデル化され得るので、前記第2シナリオでは、前記電力ループにおいて知覚される総インピーダンスがより高いことは明らかである。
【0016】
上記のものは、前記AC主電源から引き出される電流が両方のシナリオにおいて異なり得るという作用を有する。前記第1シナリオにおいて引き出される電流は、前記第2シナリオにおいて引き出される電流よりも高い可能性がある。両方のシナリオにおける電流の間の比率は、人体の存在が検知されることができる精度についての何かを示す可能性がある。
【0017】
それは、前記検出パルスが前記AC主電源の電圧の前記ゼロ交差の後にある場合に有益である可能性があるということが、本発明者らの洞察のうちの1つであった。前記検出パルスが前記ゼロ交差の後にある場合には、上記の2つの測定電流の間の比率が改善される可能性がある。
【0018】
例においては、前記LEDベースの照明デバイスは、
- 前記AC電圧のピーク電圧を検出するよう構成される主電源ピーク検出モジュールを更に有し、
【0019】
前記検出モジュールは、更に、検出される前記ピーク電圧に基づいて前記検出パルスの持続時間を決定するよう構成される。
【0020】
本発明者らは、検出プロセスの精度を向上させるために、前記検出パルスは、適用される前記AC主電源、例えば277Vac又は120Vacに応じて、調節されてもよいことを見出した。
【0021】
例においては、前記人体検出モジュールは、
- 前記決定される電流と所定の電流との間の比率に基づいて前記人体の存在を決定するよう構成される。
【0022】
前記所定の電流は、前記電力ループ内に人体が存在しないときに前記AC主電源から引き出される電流であってもよい。従って、これは、ある種の較正電流を形成し得る。前記決定される電流が前記較正電流よりもはるかに低い場合には、人体が前記電力ループ内に存在すると判断され得る。従って、前記決定される電流と前記所定の電流との間の前記比率は、人体が存在するか否かを決定するための入力を形成し得る。
【0023】
更なる例においては、前記LEDベースの照明デバイスは、
- 供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から一定の電流が引き出されることを確実にするよう構成される電流リミッタを更に有する。
【0024】
前記検出パルスの前記持続時間の間、前記AC主電源から引き出される電流は変化するかもしれない。前記検出パルスの前記持続時間の間、前記AC主電源から引き出される電流の量が増加する可能性がある。このことは、人体を検出する処理をより不正確にする。前記電流リミッタは、前記精度が高められるように、前記検出パルスの間に引き出される電流が一定に保たれることを確実にし得る。
【0025】
更に別の例においては、前記検出パルスモジュールは、較正パルスを供給するよう構成され、前記較正パルスの終了と前記検出パルスの開始とが共に、前記検出されるゼロ交差に対応し、
前記人体検出モジュールは、更に、供給される前記較正パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定するよう構成され、前記電流リミッタは、更に、前記供給される較正パルスの間、前記AC主電源から電流が引き出されないことを確実にするよう構成される。
【0026】
更なる例においては、前記人体検出モジュールは、更に、前記較正パルスの開始時に前記AC主電源の電圧を測定し、測定される前記電圧に基づいて人体の存在を決定するよう構成される。
【0027】
上記の例は、以下のように要約され得る。EM安定器の大きなインダクタンスがあっても、前記主電源と前記LEDベースの照明デバイスとの間に存在するケーブルの直列インダクタンスの影響をキャンセル又は低減するために、測定中の電流が一定であることを確実にする必要があり得る。これは、上記のような電流リミッタを使用して達成される。
【0028】
更に、チェーン全体の抵抗、即ち、前記ケーブルの抵抗及び(存在する場合には)人体の抵抗を正確に測定するために、或る半サイクルの下り勾配(descending slope)、前記電流リミッタをオンにせずに、正弦波がトリガ電圧からゼロボルトになるのにかかる時間であって、従って、その特定の時間の間、電流が流れない時間が測定されてもよいことが分かった。上昇勾配において、即ち、ゼロボルト検出直後に、前記電流リミッタは再びオンに切り替えられ得る。
【0029】
その場合、無負荷主電源と負荷時主電源との差を決定することが可能である。前記電流リミッタによる電流も既知である。前記電流は安定しており、特定の設定電流に等しい、故に、前記直列インダクタンスの両端の電圧はゼロになる。その場合、前記電流ループの抵抗を決定することが可能である。
【0030】
更なる例においては、前記較正パルスは、前記検出パルスと同じ持続時間を有する。
【0031】
本開示の第2態様においては、上記で提供したような例のいずれかによる発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスによって人体の存在を決定する方法が提供される。
【0032】
前記方法は、
- 前記ゼロ交差検出モジュールによって、前記AC主電源によって供給される前記AC電圧及びゼロ交差を検出するステップと、
- 前記検出パルスモジュールによって、検出される前記ゼロ交差に基づいて前記検出パルスを供給するステップと、
- 前記人体検出モジュールによって、供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から引き出される前記電流を決定し、決定される前記電流に基づいて前記人体の存在を決定するステップとを有し、
前記検出パルスモジュールは、前記検出されるゼロ交差の後に前記検出パルスを供給するよう構成される。
【0033】
本発明の第1態様の実施形態に関して開示されているような利点及び定義は、前記電力ループ内の人体の存在を決定する方法である本発明の第2態様の実施形態にも対応することに留意されたい。
【0034】
例においては、前記LEDベースの照明デバイスは、前記AC電圧のピーク電圧を検出するよう構成される主電源ピーク検出モジュールを更に有し、前記方法は、
- 前記検出モジュールによって、検出される前記ピーク電圧に基づいて前記検出パルスの持続時間を決定する、更なるステップを有する。
【0035】
別の例においては、前記人体検出モジュールは、
- 前記決定される電流と所定の電流との間の比率に基づいて前記人体の存在を決定するよう構成される。
【0036】
更なる例においては、前記LEDベースの照明デバイスは、
- 供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から一定の電流が引き出されることを確実にするよう構成される電流リミッタを更に有する。
【0037】
更に別の例においては、前記検出パルスモジュールは、較正パルスを供給するよう構成され、前記較正パルスの終了と前記検出パルスの開始とが共に、前記検出されるゼロ交差に対応し、
前記人体検出モジュールは、更に、供給される前記較正パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定するよう構成され、前記電流リミッタは、更に、前記供給される較正パルスの間、前記AC主電源から電流が引き出されないことを確実にするよう構成される。
【0038】
更なる例においては、前記方法は、
- 前記人体検出モジュールによって、前記較正パルスの開始時に前記AC主電源の電圧を測定し、測定される前記電圧に基づいて人体の存在を決定するステップを更に有する。
【0039】
例においては、前記較正パルスは、前記検出パルスと同じ持続時間を有する。
【0040】
本開示の第3態様においては、コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体に記憶された命令であって、発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスによって実行されるときに、前記LEDベースの照明デバイスに、上記で提供したような例のいずれかによる方法を実施させる命令を有するコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0041】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】従来技術によるLEDベースの照明デバイスを示す。
図2】従来技術による別のLEDベースの照明デバイスであって、ピン安全回路を有する別のLEDベースの照明デバイスを示す。
図3】複数の並列カスケード接続されたLEDベースの照明デバイスを備える主電源のシステムを示す。
図4】本開示の概念を説明するシミュレーション回路を示す。
図5】本開示による方法を実施するよう構成される集積回路(IC)のビルディングブロックを示す。
図6】グラフを示し、前記グラフにおいては、較正パルス及び検出パルスが利用される。
図7】別のグラフを示し、前記別のグラフにおいては、較正パルス及び検出パルスが利用される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、従来技術によるLEDベースの照明デバイス1を示している。
【0044】
図1は、異なる種類の管を取り付ける際のあり得るシナリオを図示している。参照符号1によって示されているような蛍光TL管は、管の2つの端部の間に導電路が存在する前に、まず、管6内のガスが点火される必要があることから、本質的に安全である。管6は、家庭用建物においてよく見られるもののような交流(AC)主電源電圧電源4に接続される。管6、又は管6が取り付けられる器具は、安定器5及びジャンパ又はスタータ要素9などの追加要素を有してもよい。
【0045】
この安全性は、ランプソケットが通電されている間、即ち、主電源の電圧が存在する間に管6が器具に取り付けられているときに必要である。管の一方の端部が、ソケットに挿入され、通電されており、他方の端部が挿入されていない状況においては、自由端部のピンは通電状態(live)になってはならない。
【0046】
これは、6のようなガス入り蛍光管では、問題ないが、参照符号2で示されているように管の2つの端部の間に導電路が存在するLED照明デバイス7を使用する場合、問題である。ピンが人間10によって触れられる、即ち、人体が電力ループ内に存在するときには、内蔵LEDドライバは、電流を伝導する傾向があり、これは、通常、安全限界を超え、感電の危険をもたらす。
【0047】
この問題に対する既知の解決策は、参照符号3によって示されているように、管の一方の側にしか主電源入力を印加しないものである。従って、他方の側は主電源4からガルバニック絶縁される。この場合には、管の両側の間に導電路はないが、ランプ8を動作させるためには、グロースタータが短絡9に置き換えられる必要がある。
【0048】
図2は、従来技術により知られているシングルエンド管20及びダブルエンド管21を概略的に図示している。TLEDは4つの入力端子を有することから、市場には、2つの主要な入力方式、即ち、シングルエンドのもの20と、ダブルエンドのもの21とが存在する。ダブルエンド入力方式は、ランプの内部でピンの安全対策が講じられない限り、安全ではない。シングルエンド管20は、端子の2つのセット22、25を有する。ドライバ23及び発光ダイオード(LED)アレイ24などの内部の構成要素は、端子の一方のセット22にしか接続されない。
【0049】
従って、シングルエンド入力の不利な点は、設置者が、端子の2つのセット22、25のうちのどちらが主電源4に接続されなければならないかに留意し、次いで、それに従ってランプを取り付ける必要があることである。ランプが間違って取り付けられる場合には、ランプは点灯しない。
【0050】
この問題に対処するために、シングルエンド入力菅は、示されていないジャンパ線を追加することによって、向きに依存しないようにされ得る。このやり方においては、ランプはどちらの取り付け方でも動作する。しかしながら、ジャンパ線の追加はコストを増大させる。
【0051】
ダブルエンド管は、端子の両方のセット26、29が、内部で短絡されており、ドライバ27及びLEDアレイ28などの内部の構成要素に接続されていることから、取り付けられる向きに関係なく動作することができることは、参照符号21から明らかである。しかしながら、取り付ける際、例えば端子26が最初に挿入される場合には、他方の端部29が第1端部26から電気的に絶縁されていないことから、端子29と接触している人、即ち、人体は、感電する危険性がある。
【0052】
本開示は、測定されるインピーダンスに基づいて、電力ループ内の人体の存在を検出するよう構成されるピン安全回路の導入に向けられている。電流は、主電源電圧が或る特定の閾値に達するときに、主電源4から引き出され得る。人体が存在するか否かは、電流のピーク値に基づいて、判断されることができる。換言すれば、ピーク電流が、期待されるよりもはるかに低い場合には、人体が電力ループ内に存在すると判断され得る。
【0053】
本開示の利点のうちの1つは、図3において示されているように、単一の主電源34が、複数の並列カスケード接続されたLEDベースの照明デバイス32、34に電力を供給するよう構成されるシステム31に関する。
【0054】
複数のLEDベースの照明デバイスを同時にオンにすることにより、受け取られる電流のランプアップ(ramp-up)の減少が発生する場合がある。主電源は、大きなインダクタ、即ち、複数のLEDベースの照明デバイスをシミュレートする統合インダクタ(aggregated inductor)(AC電源のインダクタンスと並列ランプの数の積)を認識する場合がある。これは、LEDベースの照明デバイスの各々に、人体を誤検出させる可能性がある。換言すれば、LEDベースの照明デバイスの各々が、このような電流の減少を検出する可能性があり、前記電流の減少は、電力ループ内に存在する人体に似ている可能性がある。しかしながら、この特定のシナリオにおいては、電流の減少は、並列カスケード接続されたLEDベースの照明デバイスによって引き起こされており、電力ループ内の人体の存在によって引き起こされていない。
【0055】
上記のものは、図4においても示されており、図4は、本開示の概念を説明するシミュレーション回路41を示している。従って、図4は、複数の並列カスケード接続されたLEDベースの照明デバイスを利用する場合の等価回路を示している。
【0056】
ここでは、主電源電圧は、参照符号46で示されており、人体は、参照符号45で示されており、LEDベースの照明デバイスは、参照符号42で示されている。
【0057】
インピーダンス44及びインダクタ43が設けられており、これらのインピーダンス44及びインダクタ43は、AC電源インピーダンス及び複数のLEDベースの照明デバイスの存在をシミュレートしている。換言すれば、インピーダンス44の値は、主電源の出力抵抗のN倍に対応することができ、ここで、Nは、LEDベースの照明デバイスの数に関係する。インダクタ43の値は、主電源の出力インダクタンスのN倍に対応することができ、ここで、Nは、LEDベースの照明デバイスの数に関係する。
【0058】
以上のことから、LEDベースの照明デバイス42によって受け取られる電流、即ち、ランプアップも、システム内のLEDベースの照明デバイスの数に依存することは明らかであり得る。
【0059】
本開示によれば、LEDベースの照明デバイス42は、
- 前記AC主電源によって供給されるAC電圧におけるゼロ交差を検出するよう構成されるゼロ交差検出モジュールと、
- 検出される前記ゼロ交差に基づいて検出パルスを供給するよう構成される検出パルスモジュールと、
- 供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定し、決定される前記電流に基づいて人体の存在を決定するよう構成される人体検出モジュールとを有し、
前記検出パルスモジュールは、前記検出されるゼロ交差の後に前記検出パルスを供給するよう構成される。
【0060】
本発明者らは、システムの電力ループ内の人体の存在の検出は、検出されるゼロ交差の後に、例えば、受け取られるAC主電源の電圧の立ち上がりの正のエッジにおいて実施されるべきであることを見出した。これは、人体の存在の決定の精度を高める。
【0061】
図5は、本開示による方法を実施するよう構成される集積回路(IC)51のビルディングブロックを示している。
【0062】
ICは、AC主電源によって供給されるAC電圧におけるゼロ交差を検出するよう構成されるゼロ交差検出モジュール52を有してもよい。
【0063】
ICは、ICが正常に動作するために必要とされる電力を生成するための電圧生成回路55を更に有してもよい。
【0064】
更に、参照符号54及び53で示されているように、主電源ピーク検出及びパルス幅タイマが設けられてもよい。
【0065】
AC主電源電圧の電圧レベル、例えば277V又は120Vは、検出パルスの幅に影響を及ぼす可能性があることが分かった。それ故、主電源ピーク検出回路54は、受け取ったAC主電源電圧の電圧を決定してもよく、続いて、パルス幅タイマ53に、検出パルスの特定のパルス幅を設定するよう命令してもよい。
【0066】
続いて、パルス幅タイマは、検出されるゼロ交差に基づく検出パルスを人体検出モジュール56に供給してもよい。
【0067】
図6は、グラフを示しており、前記グラフにおいては、較正パルス及び検出パルスが利用されている。
【0068】
図6は、上記の検出方法の更なる改善を開示している。HBMの抵抗は、より正確に測定されることができ、故に、EM安定器において存在するような高く大きな直列インダクタンスがあっても、正確な結果が得られ得る。
【0069】
それは、より長いケーブル及び非常に多くのLEDベースの照明デバイスが並列に配置されるのを更に改善し、それでも、人体存在検出を成功裏に実施し得る。
【0070】
例えば、2つの端部における主電源接続を備えるタイプBのTLEDランプは、安全な取り付けを保証するために、オンに切り替える前に主電源の検出を実施する必要がある場合がある。
【0071】
検出方法では、狭い検出パルスを利用する場合がある。主電源インダクタンス、例えば、ケーブル、変圧器は、検出電流の立ち上がり速度に優勢な影響(dominant effect)を及ぼす可能性があり、その影響は、並列に接続されるランプの数とともに増す。それ故、並列に接続されることができるランプの最大数は制限される場合がある。
【0072】
図6は、提示した方法の2つの更なる強化に関する。
1. 電圧測定が行われるときに検出電流が確実に一定であるようにすることによって、主電源ケーブルのインダクタンス及びEM安定器のインダクタンスの影響がキャンセル又は低減される。そのため、電流制限回路、即ち、電流リミッタが導入され得る。
2. 検出電流が引き出されていない状態と引き出されている状態との電流リミッタの両端の電圧の差を測定することによって、ライン抵抗が測定されることができ、即ち、ライン抵抗は(Vunloaded-Vloaded)/Iに等しい。検出電流がない場合、電流リミッタの両端の電圧Vunloadedは主電源に等しい。
【0073】
このレベルは、予め規定され、Vtriggertrackに等しい。Vloaded電圧が主電源の半サイクル内の正しい瞬間に測定されることを確実にするために、検出電流が引き出されるとき、デュアルスロープ原理(dual-slope principle)が実施され得る。即ち、主電源がレベルVtriggerを横切った瞬間からゼロ交差までの主電源の下降勾配、即ち、最第1勾配において時間間隔を測定するためにタイマが使用される。次いで、この同じタイマが、前述の主電源のゼロ交差、即ち、第2勾配の後に生成される検出パルスの長さを設定するために使用され得る。このやり方においては、検出パルスは、無負荷の主電源の上昇勾配がVtriggerを横切る瞬間に終了する。検出パルスの終了時に電圧Vloadedが測定される。ポイント1で説明したように、検出パルスの終了時に検出電流が確実に一定であるようにすることによって、ラインインダクタンスの影響がキャンセルされる。
【0074】
電流変動がゼロになると、即ち、定電流になると、直列インダクタンスにおける電圧降下はなく、故に、電圧降下は、人体の抵抗に配線の直列抵抗を加えたものに等しい抵抗のもののみになることに留意されたい。前記電圧降下は前記定電流で測定されることができる。
【0075】
好ましくは、Vtriggerからゼロボルトまでの測定時間、即ち、較正パルスは、検出パルスと等しくてもよい。これは、様々なやり方で達成され得る。
【0076】
アナログ回路では、デュアルスロープ原理が利用されることができ、Vtriggerから0Vまでの測定時間と同じ時間が、上昇電圧のためにも生成され、そのタイムスロットの間、電圧が測定されることができ、定電流リミッタを用いて電圧降下が決定されることができる。
【0077】
上昇勾配において、電圧を調べる(probe)ために、Vtriggerから0Vまでの測定時間と同じ時間を生成するデジタルカウンタを用いる。
【0078】
図7は、別のグラフ61を示しており、前記別のグラフ61においては、較正パルス及び検出パルスが利用されている。
【0079】
ここでは、参照符号62、63及び64は、検出パルスのタイマに関する。参照符号64は、プラトーの終わりまで増加するタイマである。参照番号63は、タイマをプラトーからゼロ62まで減少させる。
【0080】
対応する電流は、参照符号65、66及び67で示されている。ここでは、参照符号65で示されているような定電流を備える領域まで電流が増加することが示されている。次いで、参照符号66で示されているような検出パルスの終了時に電圧が測定される。次いで、電流は、参照符号67で示されているように、高いdi/dtを防止するよう、ゆっくりとした勾配でランプダウン(ramp down)される。
【0081】
前述のピン安全回路又は検出方法のいずれにおいても、安定した主電源電圧が想定されている。主電源電圧が安定していない場合、例えば、各主電源周期の間の電圧変動が閾値を超える場合には、前記測定は、測定結果の誤った解釈をもたらし得る。予防策として、検出パルスの検出は、安定した主電源の検出が確立されるまで延期されることができる。これは、例えば、幾つかの主電源サイクル、例えば3つ以上のサイクルをサンプリングし、これらのサイクル間の電圧差を比較することによって行われ得る。差が許容可能な閾値内にある場合、ピン安全回路又は検出方法は作動又は実行されることができる。
【0082】
前述のピン安全回路又は検出方法のいずれかに加えて、又は代わりに、LEDベースの照明デバイス内に存在するダイオード、例えば整流回路内のダイオードの非線形挙動の補償が導入されてもよい。較正パルスの間、前記AC主電源から電流を引き出さないのではなく、小さな電流が引き出されることができる。この電流は、検出パルスの間に引き出される電流よりも小さい。小さな電流が引き出される場合でも、ダイオードの非線形な電圧・電流特性の挙動のため、ダイオードにわたる電圧降下は相対的に安定したままである。より多くの電流がダイオードを通して引き出される場合、電圧は、変化を失速させるが、非常に小さな電流が引き出される又は電流が引き出されない瞬間ほど大幅には失速させない。それ故、測定に影響を及ぼすダイオードの非線形効果は大幅に低減される。
【0083】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数のアイテムの機能を果たしてもよい。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光学式記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体上に記憶/分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するような他の形態で分散されてもよい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【要約】
交流(AC)主電源に接続するよう構成される発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが、前記AC主電源によって供給されるAC電圧におけるゼロ交差を検出するよう構成されるゼロ交差検出モジュールと、検出される前記ゼロ交差に基づいて検出パルスを供給するよう構成される検出パルスモジュールと、供給される前記検出パルスの間、前記AC主電源から引き出される電流を決定し、決定される前記電流に基づいて人体の存在を決定するよう構成される人体検出モジュールとを有し、前記検出パルスモジュールは、前記AC電圧の立ち上がりの正のエッジの間、前記検出パルスを供給するよう構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7