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特許7101933ラミネート用ホットメルト接着剤及びそれを用いたラミネートフィルム積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】ラミネート用ホットメルト接着剤及びそれを用いたラミネートフィルム積層体
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/16 20060101AFI20220711BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220711BHJP
   C09J 123/26 20060101ALI20220711BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220711BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C09J123/16
C09J11/06
C09J123/26
B32B27/00 D
B65D65/40 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018124037
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020002283
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘征
(72)【発明者】
【氏名】窪田 育夫
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106118548(CN,A)
【文献】特開2008-094869(JP,A)
【文献】特開2015-105345(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080298(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105793378(CN,A)
【文献】特開2004-027055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000682(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤100質量%中、エチレン-プロピレンコポリマー(A)20~50質量%、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)1~20質量%、(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)10~35質量%、及び酸変性オレフィン(C)1~20質量%を含む、ラミネート用ホットメルト接着剤。
【請求項2】
さらに、(A)以外のエチレン系ポリマー(D)を含む、請求項1に記載のラミネート用ホットメルト接着剤。
【請求項3】
接着剤100質量%中、エチレン-プロピレンコポリマー(A)25~45質量%、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)2~15質量%、(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)15~30質量%、酸変性オレフィン(C)2~15質量%、及び(A)以外のエチレン系ポリマー(D)4~40質量%を含む、請求項2に記載のラミネート用ホットメルト接着剤。
【請求項4】
水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)の酸価が150以上である、請求項1~3いずれか1項に記載のラミネート用ホットメルト接着剤。
【請求項5】
第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とを、請求項1~4いずれか1項に記載のラミネート用ホットメルト接着剤によりラミネートしてなる、ラミネートフィルム積層体。
【請求項6】
第1のフィルム基材及び/又は第2のフィルム基材が、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムであり、ラミネート用ホットメルト接着剤が、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面を介して、第1のフィルム基材及び/又は第2のフィルム基材と積層されてなる、請求項5に記載のラミネートフィルム積層体。
【請求項7】
ラミネートフィルム積層体における、ラミネート用ホットメルト接着剤の塗布量が5g/m未満である、請求項5又は6に記載のラミネートフィルム積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜でもアルミニウム、珪素酸化物や金属酸化物(アルミナ)を蒸着したプラスチックフィルムに対して十分なラミネート強度を有し、透明性に優れたホットメルト接着剤及びそれを用いた複合フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医療品及び化粧品等の包装用フィルムとしては、幾つかの種類の機能性フィルムを貼り合せした複合フィルムが用いられており、機能性フィルム同士をラミネート用接着剤で複合化するのが一般的である。更に、空気中の酸素による酸化劣化紫外線などの劣化からフィルムで包む内容物を保護する為にフィルムにアルミ、珪素酸化物、金属酸化物(アルミナ)の蒸着が行われている。近年、環境負荷の低減及び作業環境の改善の観点から、無溶剤型のラミネート用接着剤の開発が行われており、特許文献1には、化学的反応を必要とせず、環境面、安全面に優れた無溶剤のホットメルト型のラミネート用接着剤が提案されている。
【0003】
しかし特許文献1の接着剤では、接着剤の膜厚が5μm未満(約5g/m未満)の場合にラミネート強度は非常に低くなり、特に食品、医療品及び化粧品等の包装用フィルム用途の要求性能を達成することは出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-082827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ポリプロピレンフィルム及び、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面に対して十分なラミネート強度を有し、透明性と塗工適正等に優れたホットメルト接着剤を提供することである。また本発明の課題は、幅広い温度領域において優れたヒートシール強度を保持可能なラミネートフィルム積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、下記発明〔1〕~〔7〕に関する。
【0007】
〔1〕 接着剤100質量%中、エチレン-プロピレンコポリマー(A)20~50質量%、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)1~20質量%、(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)10~35質量%、及び酸変性オレフィン(C)1~20質量%を含む、ラミネート用ホットメルト接着剤。
【0008】
〔2〕 さらに、(A)以外のエチレン系ポリマー(D)を含む、〔1〕に記載のラミネート用ホットメルト接着剤。
【0009】
〔3〕 接着剤100質量%中、エチレン-プロピレンコポリマー(A)25~45質量%、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)2~15質量%、(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)15~30質量%、酸変性オレフィン(C)2~15質量%、及び(A)以外のエチレン系ポリマー(D)4~40質量%を含む、請求項2に記載のラミネート用ホットメルト接着剤。
【0010】
〔4〕 水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)の酸価が150以上である、〔1〕~〔3〕いずれか1項に記載のラミネート用ホットメルト接着剤。
【0011】
〔5〕 第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とを、〔1〕~〔4〕いずれか1項に記載のラミネート用ホットメルト接着剤によりラミネートしてなる、ラミネートフィルム積層体。
【0012】
〔6〕 第1のフィルム基材及び/又は第2のフィルム基材が、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムであり、ラミネート用ホットメルト接着剤が、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面を介して、第1のフィルム基材及び/又は第2のフィルム基材と積層されてなる、〔5〕に記載のラミネートフィルム積層体。
【0013】
〔7〕 ラミネートフィルム積層体における、ラミネート用ホットメルト接着剤の塗布量が5g/m未満である、〔5〕又は〔6〕に記載のラミネートフィルム積層体。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、ポリプロピレンフィルム及び、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面に対して十分なラミネート強度を有し、透明性と塗工適正等に優れたホットメルト接着剤を提供することができる。また本発明により、幅広い温度領域において優れたヒートシール強度を保持可能なラミネートフィルム積層体を提供することができる。
【0015】
以下、本発明のホットメルト接着剤の構成要件について詳述する。
【0016】
<エチレン-プロピレンコポリマー(A)>
本発明で用いられるエチレン-プロピレンコポリマー(A)は、特に、ポリプロピレンフィルムや、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面との接着が良好であり、また溶融状態から固化するまでに時間がかかる為、薄膜塗布した後のフィルムのラミネートに最適である。エチレンを含有していない場合には、硬くなり過ぎて接着力が不足する。
【0017】
エチレン-プロピレンコポリマー(A)は、ラミネート用ホットメルト接着剤100質量%中、20質量%未満になると、ポリプロピレンフィルムに対して接着力が不足し、また、50質量%を超えると5g/m未満の薄膜で均一な塗工が出来なくなるため、20質量%以上50質量%以下(以下、20~50質量%と略する)含むことを特徴とする。25~45質量%が好ましく、30~45質量%がより好ましい。また、エチレンを含む共重合体中のプロピレン量が50モル%以上90モル%以下であることが好ましく、60モル%以上85モル%以下がより好ましい。
【0018】
<水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)>
本発明において水添したロジン系粘着付与樹脂(B1)を含むことで、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面への接着力をより向上できる。
水添したロジン系粘着付与樹脂(B1)は、ラミネート用ホットメルト接着剤100質量%中、1質量%未満になると、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面に対する接着力が不足する。また20質量%を超えると、塗工時の加熱時に熱劣化することによりホットメルト接着剤が褐色を帯びて外観が悪くなる為、1質量%以上20質量%以下(以下、1~20質量%と略する)を含むことを特徴とする。2~15質量%がより好ましい。また、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)の酸価が高い程、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面への接着力を更に向上できる為、水添ロジン系粘着付与樹脂の酸価は、50以上が好ましく、より好ましくは90以上であり、特に好ましくは150以上である。
【0019】
水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)は、例えば、ロジン、ロジンエステル、酸変性ロジン、重合ロジンを水添したものが好ましい。未水添のロジン系粘着付与樹脂を使用した場合、ラミネート用ホットメルト接着剤の透明性が悪くなる。
【0020】
<水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)>
本発明において水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)を含むことでポリプロピレン基材や、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面等への接着力をより向上させることができる。水添粘着付与樹脂(B2)は、ラミネート用ホットメルト接着剤100質量%中、10質量%未満になるとポリプロピレンフィルムに対する接着力が不足し、35質量%を超えてもホットメルト接着剤が硬くなり過ぎてポリプロピレンフィルムへの接着力が不足するため、10質量%以上35質量%以下(以下、10~35質量%と略する)含むことを特徴とする。15~33質量%が好ましく、15-30質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
【0021】
水添した粘着付与樹脂(B2)は、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール-変性石油樹脂、α-メチルポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂を水添したものが好ましく、脂肪族系、脂環族系、芳香族系石油樹脂、芳香族変性脂肪族系石油樹脂、芳香族変性脂環族系石油樹脂の水添したものがより好ましく、脂環族及び芳香族からなる群から選ばれる少なくとも1種の石油樹脂の水添物であることが特に好ましい。未水添の粘着付与樹脂を使用した場合、ラミネート用ホットメルト接着剤の透明性が悪くなる。
【0022】
<酸変性したオレフィン(C)>
本発明において、酸変性したオレフィン(C)を含むことで、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面への接着力を向上できる。また水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)を併用することで、エチレン-プロピレンポリマー(A)などと相溶し易くなり、透明性も維持することができる。酸変性したオレフィン(C)は、ラミネート用ホットメルト接着剤100質量%中、1質量%未満になると、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面への接着力が不足する。また、20質量%を超えると、塗工加熱時に熱劣化すことによりホットメルト接着剤が褐色を帯びて外観が悪くなる為、1質量%以上20質量%以下を含むことを特徴とする。2~18質量%がより好ましく、2~15質量%がさらに好ましい。
【0023】
酸変性したオレフィン(C)は、例えば、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂が用いられる。ベース樹脂として用いられるポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体などがある。また、これらのポリオレフィン樹脂に付加させるα,β-エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等及びこれら酸の無水物の1種若しくは2種以上が用いられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
酸変性したオレフィン(C)の具体例としては、エチレンとアクリル酸の共重合物、エチレンとメタクリル酸の共重合物、エチレンのマレイン酸或いは無水マレイン酸の変性物、エチレンポリプロピレン高重合体のマレイン酸或いは無水マレイン酸の変性物が好ましく、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
<(A)以外のエチレン系ポリマー(D)>
本発明において、エチレン-プロピレンポリマー(A)と、(A)以外のエチレン系ポリマー(D)とを併用することで、ラミネート用ホットメルト接着剤が硬くなることを抑制し、低温雰囲気下での接着力も維持することができるため好ましい。また、(A)以外のエチレン系ポリマー(D)は、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)とエチレン-プロピレンポリマー(A)との相溶性を易くする効果があり、ラミネート接着剤の透明性を向上するため好ましい。
【0025】
(A)以外のエチレン系ポリマー(D)は、ホットメルト接着剤100質量%中、4質量%以上40質量%以下(以下、4~40質量%と略する。)が好ましく、6~35質量%がより好ましく、10~35質量%がさらに好ましい。(A)以外のエチレン系ポリマー(D)は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
(A)以外のエチレン系ポリマー(D)としては、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-へプテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましく、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0027】
<添加剤>
本発明のホットメルト型接着剤には、発明の目的を損なわない範囲でワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着昂進防止剤、抗菌剤、消臭剤、香料などの添加剤を含んでもよい。
【0028】
ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を挙げることが出来る。ワックスは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。ワックスは蝋状固体の物質である。好ましくは融点が40℃以上160℃以下であり、より好ましくは、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスであり、中でも融点120℃以上160℃以下のものが好ましい。
【0029】
酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
フェノール系酸化防止剤としては、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0031】
紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0032】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0033】
接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
抗菌剤としては、ブテナフィン及びその塩等のベンジルアミン系抗菌剤、ビフォナゾール、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びこれらの塩等のイミダゾール系抗菌剤、テルビナフィン及びその塩などのアリルアミン系抗菌剤、アモロルフィン及びその塩等のモルホリン系抗菌剤、リラナフタート、トルナフテート及びトルシクラート等のチオカルバミン酸系抗菌剤、ナイスタチン、トリコマイシン、バリオチン、シッカニン、ピロールニトリン等の抗生物質等の抗菌剤などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
消臭剤としては、消臭効果を有するものであれば特に限定はないが、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、フィルムロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、フィルムロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β-フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、フィルムラール、フィルムロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブトルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
上記の任意成分の配合量は、後述する物性との関係で様々であるため下限値は限定できない。しかし、その上限値は、熱溶融性組成物100質量部に対し、20質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。配合量が20質量%以下になることで任意成分のブリードアウト等がより生じにくくなる。
【0038】
<ホットメルト接着剤の製造>
本発明のホットメルト接着剤を製造する方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、攪拌機を備えた溶解釜、1軸又は2軸の押出し機のいずれかを用いて加熱混合するホットメルト法が望ましい。
【0039】
<ラミネートフィルム積層体(複合フィルム積層体)>
次に本発明のラミネート用ホットメルト接着剤を用いたラミネートフィルム積層体の構成について説明する。本発明のフィルム積層体は、第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とを、本発明のラミネート用ホットメルト接着剤によりラミネートしてなるラミネートフィルム積層体であって、第1のフィルム/ホットメルト接着剤層/第2のフィルムの構成を含んでいればよく、第1及び第2のフィルムとホットメルト接着剤等の間にアンダーコート層を有していてもよいし、第1及び第2のフィルムの外側にさらにフィルム等が積層されていてもよい。
また、第1のフィルム基材及び/又は第2のフィルム基材は、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムであってもよく、無機酸化物としては、珪素酸化物、アルミナ等が挙げられる。第1と第2いずれか一方又は両方が蒸着フィルムであってもよい。
【0040】
第1及び第2のフィルムは、特に限定されないが、熱成形可能な熱可塑性樹脂から押出成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形或いは絞り成形等の手段で製造された、フィルム状基材であることが好ましく、第1及び第2のフィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリカーボネート等が挙げられ、オレフィン系共重合体、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。
【0041】
オレフィン系共重合体としては、低-、中-或いは高-密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-共重合体、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等が、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンナフタレート等が、ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、メタキシリレンアジパミド等のポリアミド、スチレン系共重合体としては、ポリスチレン、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等が、塩化ビニル系共重合体としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等が、アクリル系共重合体としては、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体等がそれぞれ挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
好ましい熱可塑性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本発明のラミネートフィルム積層体における第1のフィルム基材としては、二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが好ましい。本発明のラミネートフィルム積層体における第2のフィルム基材としては、袋状包装袋などを形成する際に熱接着層として機能させるためにヒートシール性を有するものが好ましく、熱シール、高周波シールなどが可能な材料が使用される。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸塩共重合体、エチレン-アクリレート共重合体などが挙げられ、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合フィルム、無延伸ポリプロピレンが特に好ましく用いられる。
【0044】
更に、内容物の長期保存の目的で、ガスバリヤ層を用いても良く、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレン-酢酸ビニルの部分鹸化物、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリロニトリル共重合体などの層を有していてもよい。
【0045】
フィルム積層体は印刷層を有していてもよい。印刷層は、第1及び第2のフィルムのホットメルト接着剤層側の面又はもう一方の面のいずれでもよいが、意匠性や安全性から、印刷面が接着剤層側の面に印刷したものが好ましい。また、第1及び第2のフィルムは、インキ等の密着性を向上する等の目的で、コロナ処理を行ってもよい。
【0046】
本発明の複合フィルムの積層体は、ホットメルト接着剤を加熱溶融し、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、スリットコーターを用いて、OPP(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)等の第1のフィルム基材上に塗布し、直ちにヒートシール可能なCPP(無延伸ポリプロピレンフィルム)等の第2のフィルム基材と貼り合せ、加圧ロールにて圧着して作製することが好ましいが、CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム)等の第2のフィルムに塗布した後に、直ちにOPP(2軸延伸ポリプロピレンフィルム)の第1フィルムと貼り合せて、加圧ロールにて圧着して作成してもよい。アルミニウム、珪素酸化物やアルミナ等の無機酸化物の蒸着は、第1、第2フィルムのどちらでもよい。また、ホットメルト接着剤を一度、シリコンロール等の転写可能なロールに塗布してから、プロピレンフィルムに転写して貼り合せを行ってもよい。
【0047】
ホットメルト接着剤の塗布量は、5g/m未満が望ましく、柔軟性の観点から4g/m以下が更に好ましい。本発明の複合フィルムは、ヒートシールなどにより、食品、医療品及び化粧品等を包装することができる。
【実施例
【0048】
以下、本発明を実施例により具体的にかつ詳細に説明するが、これら実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表す。
【0049】
<ホットメルト接着剤の製造方法>
[実施例1~10、比較例1~16]
攪拌機を備えたニーダーに、表1及び表2に示した部数で、ポリマー、粘着付与樹脂等を添加し、180℃で3時間撹拌することでホットメルト接着剤を製造した。
【0050】
<ホットメルト接着剤の評価>
[ラミネート積層体(複合フィルム(1))の製造]
実施例及び比較例で得られたホットメルト接着剤を、130℃に加熱したグラビアコーターを用いて二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)に約4g/m塗布し、その後直ぐにアルミニウム蒸着した無延伸ポリプロピレンフィルム(VM-CPP)のアルミニウム面と合わせ、ロール圧2.5kgfで貼り合せ圧着し、OPP/VM-CPP構成の複合フィルム(1)を作製した。
【0051】
[ラミネート積層体(複合フィルム(2))の製造]
実施例及び比較例で得られたホットメルト接着剤を、130℃に加熱したグラビアコーターを用いて二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)に約4g/m塗布し、その後直ぐに無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)と合わせ、ロール圧2.5kgfで貼り合せ圧着し、OPP/CPP構成の複合フィルム(2)を作製した。
【0052】
得られたホットメルト接着剤、ラミネート積層体(1)及び(2)について、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0053】
[透明性]
複合フィルム(2)について、透明性を目視で判定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):無色透明
△(可):無色半透明
×(不良):不透明
【0054】
[塗布ムラ・泡残り]
複合フィルム(2)について、塗布ムラや泡残りを目視で判定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):塗布面が平滑であり、目視で確認できる泡が無い
△(可):塗工面にわずかに凹凸があるが、目視で確認できる泡が無い
×(不良):塗布面が凸凹であり、目視で確認できる泡が点在している
【0055】
[ラミネート接着強度]
複合フィルム(1)を25mm×100mmの大きさに断裁し、二軸延伸ポリプロピレンとアルミ蒸着した無延伸ポリプロピレンの接着部分の一部分を加熱して剥がし、23℃雰囲気下でT字型になるように引張試験機にセットし、速度200mm/分でT字方向に引き剥がし、そのラミネート接着強度を測定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):2.0N/25mm以上
△(可):1.5N/25mm以上、2.0N/25mm未満
×(不良):1.5N/25mm未満
【0056】
[ヒートシール時の剥がれや浮き]
上記、複合フィルム(1)を25mm×80mmの大きさに断裁し、アルミ蒸着した無延伸ポリプロピレンの非アルミ面同士を2枚1組で貼り合わせ、140℃、1kgf、1秒の条件で25mm×20mmの幅をヒートシールした。二軸延伸ポリプロピレンとアルミ蒸着した無延伸ポリプロピレンのアルミ面を接着しているホットメルト接着剤の剥がれや浮きを目視で判定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):剥がれや浮き無し
△(可):剥がれや浮きが全体の10%未満
×(不良):剥がれ或いは浮きが全体の20%以上
【0057】
[ヒートシール強度:23℃]
上記ヒートシールを行ったサンプルについて、23℃65%RHに24時間放置後、ラミネート接着強度評価と同様に、23℃雰囲気下で、T字型になるように引張試験機にセットし、二軸延伸ポリプロピレン同士を速度200mm/分でT字方向に引き剥がし、そのヒートシール強度を測定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):10N/25mm以上
△(可):5N/25mm以上、10N/25mm未満
×(不良):5N/25mm未満
【0058】
[ヒートシール強度:低温0℃]
0℃雰囲気下でヒートシール強度を測定した以外は、上述の[ヒートシール強度:23℃]評価と同様にして、0℃雰囲気下でのヒートシール強度を測定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):10N/25mm以上
△(可):5N/25mm以上、10N/25mm未満
×(不良):5N/25mm未満
【0059】
[熱劣化試験]
50mlスチール缶にホットメルト接着剤を20g計り取り、180℃のオーブンで60分間熱経時処理を行い、ホットメルト接着剤の色相の変化や炭化物の発生状態を、目視で判定した。○、△を実用可能と判断した。
○(良):変化なし
△(可):僅かに黄色に変化、炭化物の発生なし
×(不良):黄色に変化し、炭化物が発生
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
以下に、表1、2中の略称を示す。
ポリマー1:プロピレンを83モル%含むエチレン-プロピレン共重合体
ポリマー2:プロピレンを78モル%含むエチレン-プロピレン共重合体
ポリマー3:プロピレンを58モル%含むエチレン-プロピレン共重合体
【0062】
ポリマー4:低密度ポリエチレン(融点118℃)
ポリマー5:エチレン-ブテン共重合体
ポリマー6:エチレン-オクテン共重合体
ポリマー7:エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量14wt%)
【0063】
ポリマー8: ポリブテン単独重合体
ポリマー9: ポリプロピレン単独重合体
【0064】
酸変性オレフィン1:マレイン酸変性のエチレンオクテン共重合体
酸変性オレフィン2:エチレンアクリル酸共重合体
酸変性オレフィン3:エチレン無水マレイン酸共重合物
酸変性オレフィン4:マレイン酸変性のエチレンポリプロピレン共重合体
【0065】
粘着付与樹脂1:水添ロジン(酸価170)
粘着付与樹脂2:水添したロジンエステル(酸価50)
粘着付与樹脂3:水添した酸変性ロジン(酸価240)
【0066】
粘着付与樹脂4:水添した脂環族系石油樹脂
粘着付与樹脂5:水添した芳香族系石油樹脂
粘着付与樹脂6:水添したテルペン樹脂
粘着付与樹脂7:水添した脂肪族系樹脂
粘着付与樹脂8:水添した芳香族変性脂肪族系石油樹脂
粘着付与樹脂9:水添した芳香族変性脂環族系石油樹脂
【0067】
粘着付与樹脂10:未水添のロジンエステル
粘着付与樹脂11:未水添のαメチルスチレン樹脂
粘着付与樹脂12:未水添の脂環族石油樹脂
粘着付与樹脂13:未水添の芳香族石油樹脂
粘着付与樹脂14:未水添の脂環族と芳香族の共重合体系石油樹脂
粘着付与樹脂15:未水添のテルペン樹脂
粘着付与樹脂16:未水添の脂肪族系樹脂
【0068】
ワックス1:パラフィンワックス 融点70℃
ワックス2:フィッシャートロプシュワックス 融点110℃
ワックス3:ポリエチレンワックス 融点110℃
ワックス4:ポリエチレンワックス 融点127℃
ワックス5:ポリプロピレンワックス 融点156℃
【0069】
表1及び表2の結果から、エチレン-プロピレンコポリマー(A)20~50質量%、水添ロジン系粘着付与樹脂(B1)1~20質量%、(B1)以外の水添粘着付与樹脂(B2)10~35質量%、及び酸変性オレフィン(C)1~20質量%を含む、本願発明のラミネート用ホットメルト接着剤は、ポリプロピレンフィルム及び、アルミニウム蒸着フィルム又は無機酸化物蒸着フィルムの蒸着面に対して十分なラミネート強度を有し、幅広い温度領域において優れたヒートシール強度を保持し、さらに、透明性と塗工適正(塗布ムラ)等に優れることが示された。