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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】立体駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/14 20060101AFI20220711BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20220711BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20220711BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
E04H6/14 601H
E04H6/42 Z
G08G1/14 A
G08B25/00 510M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018006906
(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公開番号】P2019124087
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】伊波 泰
(72)【発明者】
【氏名】吉野 直也
(72)【発明者】
【氏名】竹越 勇人
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-003493(JP,A)
【文献】特開2017-96053(JP,A)
【文献】特開2017-48534(JP,A)
【文献】特開2005-68640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
G08G 1/14
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を備え車両が入出庫する入出庫階と、該入出庫階内部に備えた複数の撮像機と、前記入出庫階の外部に備えた運転操作盤と、を有する立体駐車装置において、
前記運転操作盤は、前記複数の撮像機からの映像をそれぞれ表示するモニター部と、利用者の暗証番号を入力するテンキー釦と、1回目の暗証番号入力情報と2回目の暗証番号入力情報とが一致したかを判定する判定部と、前記入出庫階の扉を閉じるための扉閉じ釦と、前記入出庫階が無人かを確認するための無人確認釦と、を有し、
前記立体駐車装置内には、前記入出庫階の扉を開閉する開閉機構と、前記車両を搭載可能なパレットを前記入出庫階と所定の駐車室との間で移動させる移動部と、を有し、
前記利用者が前記テンキー釦から1回目の暗証番号入力を行うと、前記パレットを前記移動部によって前記所定の駐車室から前記入出庫階まで移動させた後に前記入出庫階の扉を前記開閉機構によって開き、
前記入出庫階における前記利用者による前記車両の入庫又は出庫後に前記利用者が前記入出庫階から退出して前記扉閉じ釦を押し前記開閉機構によって前記扉を閉じ、
前記モニター部で前記入出庫階が無人かを確認し、無人の場合には前記無人確認釦を押して2回目の暗証番号入力を行い、前記1回目の暗証番号入力情報と前記2回目の暗証番号入力情報とが一致したかを前記判定部で判定し、一致した場合には、前記移動部によって前記パレットを前記所定の駐車室に移動させるように構成したことを特徴とする立体駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置に関し、詳しくは駐車装置内部に人が閉じこめられるのを未然に防止する立体駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車装置は、スペースの少ない土地に多数の車両を効率よく駐車できる駐車設備として住宅密集地等において広く利用されており、利用する土地の広狭や経済性などを考慮した種々の構造のものが提供されている。一般的に立体駐車装置には、一箇所または複数箇所に入出庫スペースが設けられており、駐車する車両は自走により入出庫スペースへの出入りを行う。入出庫スペースと駐車スペースとの間には、車両を搬送する搬送装置を備えており、入出庫スペースにおいて搬送装置上に車両を搭載し、所定の駐車スペースへと車両を搬送して格納する。入出庫スペースの入出庫口には、外部との空間を遮断する扉が設けられており、立体駐車装置が動作するときには扉を閉鎖して人が装置内へ進入しないようになっている。立体駐車装置外部の扉近傍には立体駐車装置の運転を操作する運転操作盤が設けられており、これを駐車装置の管理人あるいは車両の運転者自身が操作することにより、扉の開閉や搬送装置の動作が行われる。
【0003】
近年、立体駐車装置は、商業施設での利用に加えてオフィスビルやマンション等の集合住宅に併設されて利用されることも多く、この場合には、駐車装置の管理人が常駐することなく、特定の利用者自身が立体駐車装置の運転操作を行うことが多い。しかしながら、このように専門の管理人の操作によらず、利用者自身の操作により立体駐車装置を動作させる場合には、利用者の注意不足や確認不足により、立体駐車装置内に他の人が取り残された状態で扉が閉じられてしまう可能性がある。例えば、出庫時には利用者が車両を運転して入出庫スペースから退出し、この後、立体駐車装置の運転操作を行うため、他の人が立体駐車装置内に取り残されることはほとんどない。これに対して入庫時には、同乗者を乗せたまま入出庫スペースに進入し、この後同乗者の退出を確認しないまま運転操作を行うと、同乗者が立体駐車装置内に閉じこめられてしまうといった可能性がある。
【0004】
このようなことから従来、立体駐車装置内の人の存在を確認する方法として、光電センサにより人を検知する技術(例えば、特許文献1参照)、撮像装置により画像を撮像しこれを画像処理して検知する技術(例えば、特許文献2参照)、マイクロ波を照射してドップラーセンサにより検知する技術(例えば、特許文献3参照)、等が知られており、これらにより人の存在が検知されると立体駐車装置の運転ができないようにしている。また、駐車場内で生じる音を集音し、この音を判定することにより駐車場内に人が閉じ込められていることを検知する技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-59839号公報
【文献】特開2002-167996号公報
【文献】特開平9-228679号公報
【文献】特開平6-257315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来提案された技術は、各種センサを極力死角のないように配置して人の存在を検知するようにしたものであるが、センサの故障や検知不良等により人の存在を検知できない状態となる事態も少なからず想定され、この場合には、前述したように人が立体駐車装置内部に閉じ込められてしまう可能性がある。そして、このような場合には、立体駐車装置内部からは立体駐車装置の運転を行うことができないため、次の利用者等が運転操作盤を操作するまでは扉が開かないという事態を生じる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、立体駐車装置内部に人が閉じ込められることを未然に防止する立体駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、扉を備え車両が入出庫する入出庫階と、該入出庫階内部に備えた複数の撮像機と、前記入出庫階の外部に備えた運転操作盤と、を有する立体駐車装置において、前記運転操作盤は、前記複数の撮像機からの映像をそれぞれ表示するモニター部と、利用者の暗証番号を入力するテンキー釦と、1回目の暗証番号入力情報と2回目の暗証番号入力情報とが一致したかを判定する判定部と、前記入出庫階の扉を閉じるための扉閉じ釦と、前記入出庫階が無人かを確認するための無人確認釦と、を有し、前記立体駐車装置内には、前記入出庫階の扉を開閉する開閉機構と、前記車両を搭載可能なパレットを前記入出庫階と所定の駐車室との間で移動させる移動部と、を有し、前記利用者が前記テンキー釦から1回目の暗証番号入力を行うと、前記パレットを前記移動部によって前記所定の駐車室から前記入出庫階まで移動させた後に前記入出庫階の扉を前記開閉機構によって開き、前記入出庫階における前記利用者による前記車両の入庫又は出庫後に前記利用者が前記入出庫階から退出して前記扉閉じ釦を押し前記開閉機構によって前記扉を閉じ、前記モニター部で前記入出庫階が無人かを確認し、無人の場合には前記無人確認釦を押して2回目の暗証番号入力を行い、前記1回目の暗証番号入力情報と前記2回目の暗証番号入力情報とが一致したかを前記判定部で判定し、一致した場合には、前記移動部によって前記パレットを前記所定の駐車室に移動させるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者が入出庫階を退出して直ぐ扉を閉じるので、他の人が入出庫階に進入することがなく、また、扉を閉じた後に複数の撮像機により入出庫階内の無人を確認することができ、入出庫階での人の閉じ込めを防止することができる。また、センサ等を使用しないので、センサの故障や検知不良等の心配がなく、撮像機が故障等した場合にはモニターにより故障が判明するので、保守等の対応が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】立体駐車装置の概略を示す側面図
図2】立体駐車装置の概略を示す正面図
図3】入出庫階の平面図
図4】運転制御盤を示す正面図
図5】メッセージ
図6】運転操作のフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、立体駐車装置の概略を示す側面図及び正面図であり、本説明においては、具体例としてエレベータ式立体駐車装置を示して説明を行う。立体駐車装置10の内部には、中央を上下に貫通する昇降路11が形成されており、この昇降路11を昇降可能に昇降リフト12を設けている。昇降リフト12は、車両19を搭載する搬器13の四隅にワイヤロープ14を連結し、このワイヤロープ14を立体駐車装置10の上部に設けた巻き上げ装置(図示せず)により、巻き上げ又は繰り出しすることにより搬器13を昇降駆動するようにしたものである。
【0012】
昇降路11の両側方には、複数の駐車室17が上下多段に形成されており、各駐車室17には、それぞれ車両19を搭載するためのパレット18を備えている。この立体駐車装置10においては、地上1階部分を車両19の入出庫階15としており、車両19の入退出方向16は、搬器13の長手方向に対して直交する方向に設定されている。車両19が格納されていない何れかの駐車室17にある空のパレット18は、搬器13上へスライド(横行)させられた後、搬器13とともに入出庫階15に降下して停止する。入出庫階15の下方には、パレット18を旋回して向きを変えるパレット旋回装置20を備えており、入出庫階15に到着したパレット18は、このパレット旋回装置20により90°旋回させられて、その長手方向が車両19の入退出方向16となるように方向転換して待機する。
【0013】
車両19の入庫時には、車両19が自走してパレット18上へと乗り込んだ後、車両19及びパレット18は、パレット旋回装置20により90°旋回させられて搬器13上に載置される。そしてこの後搬器13は、元の駐車室17の位置、すなわち、パレット18を取り出して空になった駐車室17まで車両19及びパレット18を搬送し、この後パレット18ごと車両19を横行させて格納する。車両19の出庫時は、これと逆の動作であり、車両19が格納された駐車室17まで空の搬器13が移動した後、駐車室17からパレット18および車両19を搬器13上へ横行させる。この後、搬器13が下降して入出庫階15に到着すると、車両19及びパレット18がパレット旋回装置20により90°旋回させられ、運転者が車両19に乗り込んで車両19を運転して立体駐車装置10から退出する。ここで、立体駐車装置10は、車両19を搭載可能なパレット18を入出庫階15と所定の駐車室17との間で移動させる図示しない移動部を備えている。
【0014】
図3は、入出庫階15の平面図である。入出庫階15の出入り口には、引き戸式の扉22を備えており、扉22近傍の外壁には、運転操作盤21を備えている。この入出庫階15の扉22は、図示しない開閉機構を駆動することにより開閉する。運転操作盤21には、入出庫を選択する釦類やタッチパネル等を備えており、利用者が運転操作盤21を操作することにより制御装置が立体駐車装置10の動作を制御する。この運転操作盤21の制御装置は、判定部を有し、この判定部は利用者の暗証番号をテンキー釦から2回入力したとき、1回目の暗証番号入力情報と2回目の暗証番号入力情報とが一致したかを判定する。入庫時には、利用者は車両19を扉22の前方で車両19を停車させ、運転操作盤21を操作すると扉22が開いて車両19の進入が可能になる。次いで、利用者が車両19を運転して入出庫階15の所定位置に車両19を停車させた後、利用者が退出して運転操作盤21を操作すると、扉22が閉じた後にパレット旋回装置20および搬器13が動作して所定の駐車室17に車両19が格納される。出庫時は、立体駐車装置10の扉22は閉じられた状態であり、この状態で利用者は車両19が格納された駐車室17の指定や装置の運転開始等の操作を運転操作盤21にて行う。車両19が駐車室17から運搬されて入出庫階15にて出庫可能な状態になると、扉22が自動的に開いた後、利用者が内部へ入構し車両19を運転して退出する。その後利用者は、一旦車両19を停車させ、運転操作盤21を操作して扉22を閉じる。入出庫階15の上部四隅には、入出庫階15内部を撮影する撮像機23が設置されており、これにより撮影された映像は、後述する運転操作盤21のモニター部33に表示される。
【0015】
図4は、利用者が操作をするときの運転操作盤21を示す正面図である。運転操作盤21は、タッチパネル式であって、利用者の操作時にはタッチパネル画面上に、電源、位置ずれ、運転注意を表示する装置状況表示部30と、入庫中、待機中、出庫中、予約を表示する運転状況表示部31と、図5に示す各種のメッセージを表示するメッセージ表示部と、入出庫階15に設置された撮像機23からの映像を表示するモニター部33とが配置されており、さらに下部には、利用者がタッチ操作する無人確認釦34、起動許可釦35、完了釦36、無人確認・扉閉釦37、扉開釦38が配置されている。
【0016】
図6は、運転操作のフローチャートである。まず、運転を開始してない状態においては、運転操作盤21のタッチパネル画面には、入出庫選択釦、運転釦、認証入力部としてのテンキー釦、メッセージ表示部が配置されており(図示せず)、利用者が入出庫選択釦を押すとメッセージ表示部32にメッセージM1「暗証番号を入力して下さい」と表示され、利用者はこれにしたがってテンキー釦により暗証番号を入力する(ステップS01)。運転操作盤21では、ステップS02において入力された暗証番号が利用者の暗証番号であるかどうかを判定し、暗証番号が一致する場合はステップS04へ、一致しない場合はステップS03へ進む。ステップS03では、メッセージM8「暗証番号が一致しません」と表示された後、再びメッセージM1が表示されてステップS01へ戻る。
【0017】
ステップS02が終了するとメッセージM2「運転釦を押してください」と表示され、ステップS04において利用者によって運転釦が押される。次いで、タッチパネル画面が図4の表示に切り替わり、メッセージ表示部32にメッセージM3「運転動作中です。しばらくお待ちください」と表示されるとともに、ステップS05において利用者の暗証番号が運転操作盤21に記憶される。続いてステップS06において装置の運転が行われた後、パレット18が入出庫階15に到着して装置が停止すると、ステップS07において扉22が開く。
【0018】
次いで、タッチパネル画面のメッセージ表示部32には、メッセージM4「自動車入庫(出庫)可能です。入庫(出庫)後は、駐車場内の無人を確認して無人確認・扉閉釦を押してください」と表示される。出庫の場合は、ステップS08において利用者が入室し、車両19に乗り込んでステップS09において車両19を出庫する。入庫の場合は、ステップS08を省略してステップS09に進み車両19を入庫させた後、ステップS10において利用者が駐車場から退出し、ステップS11において利用者が無人確認・扉閉釦37を押して扉22が閉じる(ステップS12)。
【0019】
続いて、メッセージ表示部32には、メッセージM6「モニターで駐車場内の無人を確認して無人確認釦を押して下さい 人が駐車場内にいる場合は扉開釦を押してください」と表示される。利用者は、S13で駐車場内の状況をモニター部33で行い、駐車場内の無人が確認されるとステップS15において利用者が無人確認釦34を押して先へ進む。駐車場内に人が確認された場合は、利用者はステップS16において扉開釦38を押して扉22を開き(ステップS17)、再びステップS10へ戻る。
【0020】
次ぎに、ステップS15が終了するとメッセージ表示部32には、メッセージM1「暗証番号を入力して下さい」と表示され、利用者はこれにしたがってテンキー釦により暗証番号を入力する(ステップS18)。続いて、ステップS19において、ステップS18で入力された暗証番号がステップS01で入力された暗証番号と一致するかどうかを判定し、暗証番号が一致する場合はステップS21へ、一致しない場合はステップS20へ進む。ステップS20では、メッセージM8「暗証番号が一致しません」と表示された後、再びメッセージM1が表示されてステップS18へ戻る。
【0021】
次ぎに、暗証番号が一致してステップS19が終了すると、メッセージ表示部32にメッセージM5「起動許可釦を押して下さい」と表示され、ステップS21において利用者が起動許可釦35を押す。続いて、メッセージ表示部32にメッセージM7「完了釦を押して下さい」と表示され、ステップS22において利用者が完了釦36を押す。これによりステップS23において装置の運転が行われて一連の動作が完了する。
【符号の説明】
【0022】
10 立体駐車装置
11 昇降路
12 昇降リフト
13 搬器
14 ワイヤロープ
15 入出庫階
16 入退出方向
17 駐車室
18 パレット
19 車両
20 パレット旋回装置
21 運転操作盤
22 扉
23 撮像機
30 装置状況表示部
31 運転状況表示部
32 メッセージ表示部
33 モニター部
34 無人確認釦
35 起動許可釦
36 完了釦
37 無人確認・扉閉釦
38 扉開釦
図1
図2
図3
図4
図5
図6