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  • 特許-給水装置及び給水装置の運転方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】給水装置及び給水装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
F04B49/02 311
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018131748
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020008000
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】502002407
【氏名又は名称】川本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】坂藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】深川 豊明
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-106469(JP,A)
【文献】特開平10-169568(JP,A)
【文献】特開2017-194044(JP,A)
【文献】特開昭64-077791(JP,A)
【文献】特開平03-173327(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104005944(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0129536(US,A1)
【文献】特開2009-216321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00-51/00
F04D 15/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置と、
前記ポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段と、
総消費電力を検出する消費電力検出手段と、
前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出圧力を検出する圧力検出手段と、
前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出流量を検出する流量検出手段と、
氷点以上の温度であって、前記ポンプ装置の駆動を開始する第1閾値、前記第1閾値よりも高い温度であって、且つ、前記第1閾値に基づいて開始した前記ポンプ装置の駆動を停止する第2閾値、及び、前記総消費電力の許容値を記憶する記憶部と、
前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて前記ポンプ装置を制御可能であり、且つ、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となった場合に、凍結防止運転として、停止している前記ポンプ装置を、前記消費電力検出手段で検出される前記総消費電力が前記許容値以下の範囲で駆動するとともに、前記温度検出手段で検出された温度が前記第2閾値以上となったときに、駆動している前記ポンプ装置を停止する制御部と、
を備える給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となったときに、前記ポンプ装置を一定の周波数で駆動する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となったときに、前記ポンプ装置を前記一定の周波数で駆動したときに前記消費電力検出手段で検出された前記総消費電力が前記許容値を超える場合には、前記ポンプ装置を前記一定の周波数よりも低い周波数で駆動する、請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて前記ポンプ装置を駆動しているときに、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となった場合に、停止している前記ポンプ装置を前記凍結防止運転によって駆動するとともに、前記温度検出手段で検出された温度が前記第2閾値以上となったときに、前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて駆動していた前記ポンプ装置を停止し、前記凍結防止運転によって駆動した前記ポンプ装置を前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて駆動する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記第1閾値は、水源の水の温度よりも低い温度である請求項1に記載の給水装置。
【請求項6】
前記温度検出手段は、前記複数のポンプ装置にそれぞれ1つ設けられる請求項1に記載の給水装置。
【請求項7】
前記温度検出手段は、前記複数のポンプ装置の二次側にそれぞれ接続される複数の吐出管にそれぞれ1つ設けられる請求項1に記載の給水装置。
【請求項8】
前記温度検出手段は、サーミスタである請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項9】
ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置、前記ポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段、総消費電力を検出する消費電力検出手段、前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出圧力を検出する圧力検出手段、前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出流量を検出する流量検出手段、及び、氷点以上の温度であって、前記ポンプ装置の駆動を開始する第1閾値、前記第1閾値よりも高い温度であって、且つ、前記第1閾値に基づいて開始した前記ポンプ装置の駆動を停止する第2閾値、及び、前記総消費電力の許容値を記憶する記憶部を備える給水装置において、
前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて前記ポンプ装置を制御可能であり、且つ、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となった場合に、凍結防止運転として、停止している前記ポンプ装置を、前記消費電力検出手段で検出される前記総消費電力が前記許容値以下の範囲で駆動し、前記温度検出手段で検出された温度が前記第2閾値以上となったときに、駆動している前記ポンプ装置を停止する前記給水装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポンプ装置を備える給水装置及び給水装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から冬に気温が氷点下に下がることが予想される場合に、ポンプ装置の運転を継続し、水を吐出し続けることで、配管内の水の凍結を防止する技術が知られている。また、吐出側が締め切られている場合には、締切運転を行い、ポンプ装置の温度を上昇させることで、水の凍結を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、別の方法として、配管にヒータを設置することにより配管内の水が凍結することを防止する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-169568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、給水装置が設置される工場等では、使用できる電力が予め契約により定められていることがある。この場合、給水装置は、契約電力を超えて運転をすることはできない。しかし、複数のポンプ装置を有する給水装置において、上述のポンプ装置を駆動することで凍結を防止する技術を適用すると、駆動するポンプ装置の数、または、モータの周波数によっては、給水装置の消費電力が契約電力を超える虞がある。
【0005】
また、上述のヒータを設置することで凍結を防止する技術を適用した場合も、消費電力がヒータ分上昇し、また、ヒータの増加は、給水装置のコストの上昇を招く。
【0006】
そこで、本発明は、消費電力が契約電力を超えることがなく、且つ、簡単な構成で凍結を防止することが可能な給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の給水装置は次のように構成されている。
【0008】
本発明の一態様として、給水装置は、ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置と、前記ポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段と、総消費電力を検出する消費電力検出手段と、前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出圧力を検出する圧力検出手段と、前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出流量を検出する流量検出手段と、氷点以上の温度であって、前記ポンプ装置の駆動を開始する第1閾値、前記第1閾値よりも高い温度であって、且つ、前記第1閾値に基づいて開始した前記ポンプ装置の駆動を停止する第2閾値、及び、前記総消費電力の許容値を記憶する記憶部と、前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて前記ポンプ装置を制御可能であり、且つ、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となった場合に、凍結防止運転として、停止している前記ポンプ装置を、前記消費電力検出手段で検出される前記総消費電力が前記許容値以下の範囲で駆動するとともに、前記温度検出手段で検出された温度が前記第2閾値以上となったときに、駆動している前記ポンプ装置を停止する制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様として、給水装置の運転方法は、ポンプ及び前記ポンプを駆動するモータを有する複数のポンプ装置、前記ポンプ内の水の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段、総消費電力を検出する消費電力検出手段、前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出圧力を検出する圧力検出手段、前記複数のポンプ装置の二次側に設けられ、前記複数のポンプ装置の吐出流量を検出する流量検出手段、及び、氷点以上の温度であって、前記ポンプ装置の駆動を開始する第1閾値、前記第1閾値よりも高い温度であって、且つ、前記第1閾値に基づいて開始した前記ポンプ装置の駆動を停止する第2閾値、及び、前記総消費電力の許容値を記憶する記憶部を備える給水装置において、前記吐出圧力及び前記吐出流量に基づいて前記ポンプ装置を制御可能であり、且つ、前記温度検出手段で検出された温度が前記第1閾値以下となった場合に、凍結防止運転として、停止している前記ポンプ装置を、前記消費電力検出手段で検出される前記総消費電力が前記許容値以下の範囲で駆動し、前記温度検出手段で検出された温度が前記第2閾値以上となったときに、駆動している前記ポンプ装置を停止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消費電力が契約電力を超えることがなく、且つ、簡単な構成で凍結を防止することが可能な給水装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る給水装置の構成を示す正面図。
図2】同給水装置の構成を示す側面図。
図3】同給水装置の構成を示すブロック図。
図4】同給水装置の制御の一例を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る給水装置1を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置1の構成を示す正面図である。図2は、給水装置1の構成を示す側面図である。図3は、給水装置1の構成を示すブロック図である。図4は、給水装置1の制御の一例を示す流れ図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、給水装置1は、複数のポンプ装置10と、複数のポンプ装置10の二次側にそれぞれ設けられる吐出管11と、吐出管11の二次側に設けられ、複数の吐出管11を合流させる合流管12と、合流管12に設けられた蓄圧装置13と、合流管12に設けられた圧力検出手段14と、温度検出手段15と、流量検出手段16を備えている。
【0014】
また、給水装置1は、複数のポンプ装置10が設置されるベース17と、ベース17に設けられたフレーム18と、フレーム18に固定された制御盤19と、を備えている。
【0015】
複数のポンプ装置10は、ベース17に設置される。複数のポンプ装置10は、吐出管11の一次側に設けられる。
ポンプ装置10は、モータ21と、ポンプ22と、を備えている。ポンプ装置10は、例えば、回転軸が設置面に沿って延設された遠心ポンプである。ポンプ装置10の一次側は、吸込管を介して給水装置1の一次側に設けられた水道配管、井戸または受水槽等と接続される。
【0016】
モータ21は、回転軸を介してポンプ22と接続される。モータ21は、制御盤19に電気的に接続される。ポンプ22は、モータ21により駆動される。ポンプ22は、単段または多段のポンプである。ポンプ22は、一次側が給水管を介して水源の配管に接続され、二次側が吐出管11に接続される。ポンプ22は、水源からの水を二次側へ圧送する。例えば、水源とは、井戸である。
【0017】
吐出管11は、ポンプ22内の一次側から送られた水を二次側の合流管12へ案内する配管である。吐出管11は、ポンプ22の吐出口に一端が接続され、他端が合流管12に接続される。
【0018】
合流管12は、各吐出管11の二次側に接続され、これらの吐出管11を合流する。合流管12は、複数のポンプ22の二次側において各吐出管11から吐出された水を一つの流れに合流させる配管である。合流管12は、一次側が吐出管11に接続され、二次側が配管等を介して建造物の蛇口や取水口等の給水先に接続される。
【0019】
蓄圧装置13は、合流管12に設けられる。蓄圧装置13は、例えば、アキュムレータである。
【0020】
図1乃至図3に示すように、圧力検出手段14は、合流管12に設けられ、合流管12内の吐出圧力を検出可能に構成される。圧力検出手段14は、信号線等を介して制御盤19に電気的に接続され、検出した情報を信号に変換し、制御盤19に送信する。
【0021】
図1乃至図3に示すように、温度検出手段15は、ポンプ22内の水の温度を直接的、または、間接的に検出可能に構成される。ここで、ポンプ22内の水の温度を直接的に検出するとは、例えば、ポンプ22内の水の温度を、直接検出することであり、ポンプ22内の水の温度を間接的に検出するとは、検出した温度からポンプ22内の水の温度を推定可能なように、ポンプ22内の水の温度以外の温度を検出することである。本実施形態においては、温度検出手段15は、ポンプ22内の水の温度以外の温度を検出可能とし、この温度検出手段15に基づいて、制御盤19がポンプ22内の水の温度を推定する構成を説明する。
【0022】
本実施形態の温度検出手段15は、図1に示すように、制御盤19に設けられた第1温度検出手段15aと、複数のポンプ装置10のそれぞれのポンプ22外面に設けられた複数の第2温度検出手段15bと、を備える。これら第1温度検出手段15a及び第2温度検出手段15bは、温度センサであるサーミスタを用いることができる。これらの温度検出手段15a、15bは、信号線等を介して制御盤19に電気的に接続され、検出した情報を信号に変換し、制御盤19に収容されている制御部に送信する。
【0023】
第1温度検出手段15aは、制御盤19内の温度を検出する。また、第2温度検出手段15bは、ポンプ22の外表面の温度を検出する。
【0024】
ベース17は、複数のポンプ装置10及びフレーム18を支持する。ベース17は、例えば、給水装置1が設置される場所の床面に設置される。フレーム18は、ベース17に固定され、ベース17から離間した位置で制御盤19を支持する。
【0025】
流量検出手段16は、複数のポンプ装置10の二次側にそれぞれ設けられる。流量検出手段16は、例えば羽根車式の流量検出器であり、それぞれのポンプ装置10の吐出流量を検出可能に構成される。流量検出手段16は、信号線等を介して制御盤19に電気的に接続され、検出した情報を信号に変換し、制御盤19に送信する。
【0026】
図1乃至図3に示すように、制御盤19は、表示部31と、消費電力検出手段32と、インバータ33と、制御部34と、記憶部35と、を備えている。制御盤19は、筐体内に、これらの電装部品を収容可能に形成されている。制御盤19は、フレーム18に固定される。
【0027】
表示部31は、各ポンプ装置10の運転状況、給水装置1の総消費電力、給水装置1の異常の有無等を表示可能に構成される。表示部31は、例えば、ディスプレイ及び各部の状況等を報知するLED等である。表示部31は、信号線を介して制御部34に電気的に接続される。
【0028】
消費電力検出手段32は、給水装置1にかかる総消費電力を検出可能に構成される。例えば、給水装置1に係る総消費電力とは、ポンプ装置10の停止時の待機電力、ポンプ装置10の駆動時の消費電力、表示部31の消費電力、及び、各電装品の消費電力である。消費電力検出手段32は、信号線を介して制御部34に電気的に接続され、検出した総消費電力の情報を制御部34に送信する。
【0029】
インバータ33は、モータ21の周波数を可変可能に構成される。インバータ33は、信号線を介して制御部34に電気的に接続される。このようなインバータ33は、モータ21と同数設けられる。
【0030】
記憶部35は、第1閾値T1、第2閾値T2、及び、給水装置1の総消費電力の許容値、圧力及び流量に基づいて給水を行うときのポンプ装置10を起動する起動圧力、目標圧力及び定格流量、並びに、給水を停止する停止流量が予め記憶される。また、記憶部35は、給水装置1を制御するための各種プログラムが予め記憶される。
【0031】
第1閾値T1は、停止しているポンプ装置10の凍結を防止するために、凍結防止運転を開始する温度である。第1閾値T1は、氷点以上であって、且つ、水源の水温よりも低い温度に設定される。このため、第1閾値T1は、氷点以上であって、且つ、水源が井戸の場合には井戸水の水温よりも低い温度に設定される。
【0032】
第2閾値T2は、凍結防止運転を終了する温度である。第2閾値T2は、第1閾値T1よりも高い温度に設定される。例えば、第2閾値T2は、第1閾値T1よりも2℃から3℃程度高い温度に設定される。
【0033】
給水装置1の総消費電力の許容値は、給水装置1が設置される場所において定められる契約電力未満に設定される。総消費電力の許容値は、契約電力未満の値であれば、給水装置1が設置される状況やポンプ装置10の運転状況によって適宜設定することができる。
【0034】
また、記憶部35は、第1温度検出手段15aで検出された温度からポンプ22内の水温を推定するための第1データと、第2温度検出手段15bで検出された温度からポンプ22内の水温を推定するための第2データと、を備える。ここで、第1データ及び第2データは、例えば、各温度検出手段15a、15bで検出された温度とポンプ22内の水温との関係から求められた実験値である。なお、温度検出手段15が直接ポンプ22内の水温を検出する場合には、第1データ及び第2データは不要である。
【0035】
制御部34は、図3に示すように、表示部31、消費電力検出手段32、複数のインバータ33、記憶部35、温度検出手段15、圧力検出手段14、及び、流量検出手段16に電気的に接続される。
【0036】
制御部34は、圧力検出手段14及び流量検出手段16によって検出された圧力及び流量から、複数のポンプ装置10を推定末端圧一定制御又は吐出圧力一定制御等の目標圧力一定制御として駆動可能に構成される。また、制御部34は、複数のポンプ装置10を単独運転、並列運転及び交互運転により制御する。
【0037】
また、制御部34は、第1温度検出手段15aで検出した温度及び第1データに基づいてポンプ22内の水温を推定するとともに、第2温度検出手段15bで検出した温度及び第2データに基づいてポンプ22内の水温を推定する。
【0038】
さらに制御部34は、凍結防止運転を行う機能として、第1温度検出手段15aが検出した温度から推定されたポンプ22内の水温が第1閾値T1以下である場合に、停止しているポンプ装置10のポンプ22を、総消費電力が許容値以下となるように駆動する。なお、凍結防止運転としてポンプ装置10を駆動した場合には、制御部34は、当該ポンプ装置10を、一定の周波数で駆動するか、又は、消費電力検出手段32で検出される総消費電力が許容値以下となる範囲で、モータ21の周波数を可変速制御する機能を有する。
【0039】
加えて、制御部34は、凍結防止運転を行う機能として、第2温度検出手段15bから推定したポンプ22内の水温が第2閾値T2以上であると判断したとき、凍結防止運転のために駆動しているポンプ装置10の運転を停止する機能を有する。
【0040】
また、制御部34は、例えば、第2温度検出手段15bから推定したポンプ22内の水温が第2閾値T2以上となったときに、吐出圧力及び吐出流量に基づいて目標圧力一定制御により駆動していたポンプ装置10を停止し、凍結防止運転によって駆動したポンプ装置10を吐出圧力及び吐出流量に基づいて目標圧力一定制御により駆動する。
【0041】
次に、給水装置1の制御の一例を、図4に示す流れ図を用いて説明する。
【0042】
先ず、給水装置1に電源が入れられ給水装置1に電気が供給されると、消費電力検出手段32が起動するとともに、制御部34は、給水装置1の総消費電力の監視を開始する(ステップST1)。加えて、制御部34は、圧力検出手段14で検出した圧力が起動圧力以下か否かを判断(ステップST2)し、起動圧力以下である場合(ステップST2のYES)には、目標圧力一定制御により、ポンプ装置10を制御する(ステップST3)。
【0043】
次に、制御部34は、制御盤19に設けられている第1温度検出手段15aにより制御盤19の内部空間の温度を検出する。次いで、制御部34は、第1温度検出手段15aで検出した温度から、ポンプ22内の水温を推定し(ステップST4)、推定したポンプ22内の水温が記憶部35に記憶されている第1閾値T1以下であるか否かを判断する(ステップST5)。
【0044】
また、ステップST2において、圧力検出手段14で検出した圧力が起動圧力以下でない場合(ステップST2のNO)には、制御部34は、ポンプ装置10を駆動せずに待機状態とし、ステップST4に進む。
【0045】
推定したポンプ22内の水温が第1閾値T1よりも高いと判断した場合には(ステップST5においてNO)、制御部34は、ポンプ22内の水が凍結する虞は無いと判断し、ステップST4に戻る。推定したポンプ22内の水温が第1閾値T1よりも低いと判断した場合(ステップST5においてYES)には、制御部34は、停止しているポンプ装置10があるか否かを判断する(ステップST6)。
【0046】
制御部34は、給水装置1の全てのポンプ装置10が駆動している場合には(ステップST6においてNO)、全てのポンプ装置10のポンプ22が凍結することは無いと判断し、ステップST4に戻る。停止しているポンプ装置10がある場合(ステップST6においてYES)、制御部34は、停止しているポンプ装置10が凍結する虞があると判断し、停止しているポンプ装置10の運転する凍結防止運転を開始する(ステップST7)。
【0047】
なお、ステップST6において、停止しているポンプ装置10がある場合とは、ステップST3において、目標圧力一定制御でポンプ装置10を駆動しているときであって、少なくとも1台のポンプ装置10が停止している場合、又は、ステップST2でNOのときであって、全台のポンプ装置10が待機状態で停止している場合が挙げられる。
【0048】
次に制御部34は、停止しているポンプ装置10を駆動したときの総消費電力が許容値以下であるか否かを判断する(ステップST8)。総消費電力が許容値を超えている場合(ステップST8においてNO)には、制御部34は、凍結防止運転により駆動したポンプ装置10を減台するか、インバータ33を制御し、総消費電力が許容値の範囲内となるように駆動したモータ21の周波数を変更するか、または、ポンプ装置10の減台し、そしてモータ21の周波数を変更することで、総消費電力を許容値以下に制御する(ステップST9)。
【0049】
総消費電力が許容値以下である場合(ステップST8においてYES)には、制御部34は、ポンプ装置10の駆動を継続する。なお、このとき、制御部34は、凍結防止運転と合わせて目標圧力一定制御でポンプ装置10を行うことから、給水先が締切られている場合には締切運転となり、給水先が締切られていない場合には、ポンプ装置10の二次側に水が圧送される。
【0050】
また、制御部34は、凍結防止運転により駆動しているポンプ装置10に設置されている第2温度検出手段15bで温度を検出し、検出した温度から、凍結防止運転により駆動しているポンプ装置10のポンプ22内の水温を推定する(ステップST10)。次いで、制御部34は、凍結防止運転により駆動しているポンプ装置10のポンプ22内の水温が第2閾値T2以上であるか否かを判断する(ステップST11)。
【0051】
凍結防止運転により駆動しているポンプ22内の水温が第2閾値T2以下である場合(ステップST11においてNO)には、制御部34は、凍結防止運転によるポンプ装置10の運転を継続するとともに、ステップST10に戻る。
【0052】
凍結防止運転により駆動しているポンプ装置10に設置されている第2温度検出手段15bで検出した温度から推定したポンプ22内の水温が第2閾値T2以上である場合(ステップST11においてYES)、制御部34は、ポンプ22内の水が凍結する虞は無いと判断し、当該ポンプ装置10の運転を終了する。
【0053】
次に、制御部34は、推定したポンプ22内の水温が第2閾値T2未満のポンプ装置10や、総消費電力が許容値以下とするために停止しているポンプ装置10等の、他にポンプ22内の水の凍結を防止するために凍結防止運転が必要なポンプ装置10があるか否かを確認する(ステップST12)。
【0054】
凍結防止運転が必要なポンプ装置10がある場合(ステップST12においてYES)、制御部34は、ステップST7に戻り、対象となる停止しているポンプ装置10を駆動する。その後、制御部34は、ポンプ22内の水が凍結する虞があるポンプ装置10が無くなるまで、上記同様にステップST7からステップST11の動作を繰り返す。
【0055】
凍結防止運転が必要なポンプ装置10がない場合(ステップST12においてNO)には、制御部34は、凍結防止運転を終了し、ステップST2に戻り、目標圧力一定制御を行う。なお、目標圧力一定制御によりポンプ装置10を駆動している場合に、流量検出手段16で検出された流量が停止流量以下となった場合には、ポンプ装置10は、目標圧力一定制御として、ポンプ装置10を停止する。
【0056】
このように構成された給水装置1は、温度検出手段15及び消費電力検出手段32を有する簡単な構成で、容易に複数のポンプ装置10を有する給水装置1の凍結を防止することができる。すなわち、給水装置1は、ポンプ22内や各種配管をヒータで加熱することを要さないことから、ヒータを設ける必要がなく、製造コスト及びランニングコストが上昇することを防止できる。
【0057】
また、給水装置1は、総消費電力が許容値以下であれば、凍結防止運転において、停止しているポンプ装置10を同時に駆動させることができるとともに、総消費電力が許容値を超える場合には、凍結防止運転を行うポンプ装置10を輪番とすればよい。このため、制御部34は、簡単な制御で凍結防止運転を行うことができる。
【0058】
また、給水装置1は、ポンプ22内の水の温度で比較した場合に第2閾値T2の温度が第1閾値T1の温度よりも高く設定されている。特に、第1閾値T1と第2閾値T2とを、2℃から3℃異ならせることで、凍結防止運転において各ポンプ装置10の起動と停止とが高速で切り換わる、所謂チャタリングが発生することを極力防止できる。
【0059】
また、給水装置1は、総消費電力が許容値を超える場合には、凍結防止運転を行うポンプ装置10を輪番とするか、又は、運転周波数を低減させることから、総消費電力を許容値以下に保ちながら、停止している全てのポンプ装置10を運転することができる。
【0060】
上述したように、本発明の一実施形態に係る給水装置1によれば、消費電力が契約電力を超えることがなく、且つ、簡単な構成で凍結を防止することが可能となる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、温度検出手段15は、制御盤19内に設けられる第1温度検出手段15a及びポンプ22の外面に設けられた第2温度検出手段15bを備える構成を説明したがこれに限定されない。即ち、温度検出手段15は、停止しているポンプ22内の水の温度を直接検出可能か、又は、検出した温度から推定可能であれば適宜設定される。具体例としては、第1温度検出手段15aは、制御盤19外に配置され、外気温を検出する構成であってもよい。このような構成の第1温度検出手段15aとする場合には、記憶部35に記憶する第1データを外気温とポンプ22内の水温から求めておけばよい。
【0062】
また、温度検出手段15は、第1温度検出手段15aを有さず、複数の第2温度検出手段15bのみを有する構成であってもよい。このような構成の温度検出手段15とした場合には、停止しているポンプ装置10のポンプ22に設けられた第2温度検出手段15bで検出された温度の平均値と第2データからポンプ22内の水温を推定し、ポンプ22内の水温が第1閾値T1以下か否かを判断する構成とすればよい。または、このような構成の温度検出手段15とした場合には、各ポンプ装置10のポンプ22に設けられた第2温度検出手段15bで検出された温度のうち、最も低い温度からポンプ22内の水温を推定し、ポンプ22内の水温が第1閾値以下か否かを判断してもよい。また、第2温度検出手段15bは、ポンプ22に設置するのではなく、例えば、吐出管11に設けることも可能である。
【0063】
また、上述した例では、総消費電力を消費電力検出手段32により検出する構成を説明したが、給水装置1の運転状態を継続している際に必要な電力であれば、例えば、皮相電力、または、電流値及び電圧値を用いる構成であってもよい。
【0064】
また、上述した例では、給水装置1は、ステップST5において、停止しているポンプ装置10を起動した後に総消費電力が許容値以下であるかを判断しているが、これに限定されない。例えば、予め、ポンプ装置10一台当たりの周波数毎の凍結防止運転時の消費電力を求め、記憶部35に記憶させておき、制御部34がポンプ装置10の停止している台数から凍結防止運転時の消費電力を予測し、総消費電力が許容値以下となるポンプ装置10の台数又は周波数を決定する構成であってもよい。
【0065】
また、給水装置1は、目標圧力一定運転を行っているポンプ装置10がある場合に凍結防止運転を行う場合には、交互運転によって凍結防止運転と目標圧力一定運転を行う構成であってもよい。具体例を説明すると、給水装置1は、目標圧力一定運転を行っているポンプ装置10がある場合に凍結防止運転を行う場合に、まず、駆動しているポンプ装置10を停止し、且つ、停止しているポンプ装置10を目標圧力一定運転とし、次に、駆動したポンプ装置10のポンプ22内の水温が第2閾値T2以上となった場合に、駆動しているポンプ装置10を停止し、次いで、まだ駆動していないポンプ装置10を駆動する。このように、給水装置1は、交互運転、換言すると、駆動するポンプ装置10を輪番とすることで、目標圧力一定運転及び凍結防止運転を行ってもよい。
【0066】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0067】
1…給水装置、10…ポンプ装置、11…吐出管、12…合流管、13…蓄圧装置、14…圧力検出手段、15,15a,15b…温度検出手段、16…流量検出手段、17…ベース、18…フレーム、19…制御盤、21…モータ、22…ポンプ、31…表示部、32…消費電力検出手段、33…インバータ、34…制御部、35…記憶部。
図1
図2
図3
図4