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特許7101977遊技機用発射ハンドル及びこれを用いた遊技機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】遊技機用発射ハンドル及びこれを用いた遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
A63F7/02 308G
A63F7/02 309
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018133220
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020010751
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 和哉
(72)【発明者】
【氏名】原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】附柴 亜弥
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112064(JP,A)
【文献】特開2016-209415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射する球発射装置の球発射動作を操作する遊技機用発射ハンドルであって、
遊技機の枠体の前面側に取り付けられるハンドル本体と、
前記ハンドル本体に対して、基準位置から所定方向に所定の範囲内で相対的に移動可能に組み付けられた操作部材と、
前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、
遊技者が任意のタイミングで前記球発射装置により遊技球を遊技領域に打ち出す任意発射動作と前記球発射装置固有のタイミングで遊技球を連続的に遊技領域に打ち出す連続発射動作のいずれかを入力可能な発射動作入力部と、
前記操作量検出手段で検出された検出値に応じて前記球発射装置による遊技球の打ち出し強さを制御すると共に、前記発射動作入力部の入力操作に応じて前記任意発射動作と前記連続発射動作のいずれかで前記球発射装置による球発射動作を制御する制御手段と、を備え
前記発射動作入力部は、前記任意発射動作と前記連続発射動作のいずれかを入力する第一入力部を備え、前記ハンドル本体又は前記操作部材に前記操作量検出手段で検出された検出値に応じた前記球発射装置による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、前記球発射装置による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続して発射する特定発射動作に切り替える第二入力部を備え、
前記第一入力部と前記第二入力部は同一作動軸線上に設けられ、前記第一入力部の入力動作を待って前記第二入力部の入力動作が許容されることを特徴とする遊技機用発射ハンドル。
【請求項2】
遊技者の接触による発射操作の有無を検知する接触検知手段を備え、前記制御手段は、前記接触検知手段による接触を検出しない限り前記球発射装置による球発射動作を行わないように制御する請求項1記載の遊技機用発射ハンドル。
【請求項3】
前記発射動作入力部は、前記操作部材に一体に設けられ、前記ハンドル本体に対して相対的に移動可能に設けられている請求項1又は請求項2記載の遊技機用発射ハンドル。
【請求項4】
前記発射動作入力部は、前記操作部材に形成される遊技者が指を掛けて操作する指掛け部に設けられる請求項3記載の遊技機用発射ハンドル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の遊技機用発射ハンドルを備え、遊技者が操作部材を操作して遊技球の打ち出し強度を選択すると共に発射動作入力部により好みの発射動作を選択して球発射装置による発射動作が行われる遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機用発射ハンドル及びこれを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機は、球受け皿に貯留された遊技球を球発射装置の発射位置へ誘導し、前枠又は内枠に設けた発射ハンドルの操作により球発射装置を作動させて遊技盤の遊技領域に向かって遊技球を発射させる。遊技盤には、図柄表示装置や風車、チャッカー、賞球が払い出される普通入賞口や図柄表示装置で抽選が開始される始動入賞口、大当たりが発生した場合に開口するアタッカー(大入賞口)などの役物が設けられている。
【0003】
従来のパチンコ機では、遊技球を一球ずつ遊技盤の遊技領域へ打ち出す場合には、ハンドル本体に可動に設けられた操作ハンドルを所定の強さで発射するまで操作し、ハンドル本体に別途設けられる発射ストップスイッチを操作して連続発射を止めて、スイッチを開放するたびに遊技球を発射するようにしている。例えば、図柄表示装置で抽選動作が開始されると抽選動作中の無駄な遊技球の消費を避けるため、操作ハンドルを回したまま発射ストップスイッチが押される。
【0004】
このように、遊技者が自分のタイミングで遊技球を発射するためには、操作ハンドルを操作しながら連続打ちしないように発射ストップスイッチも同時に操作しなければならず、操作し難いものとなっていた。
そこで、手打ち感覚で遊技球を発射できるように、通常発射制御モードと手打ち発射制御モードとを備え、タッチ端子信号のオン/オフを逆にすることで行われる遊技機が提案されている(特許文献1:特開2004-222768号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-222768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された遊技機は、遊技者が遊技球を連続的に発射可能な通常発射制御モードと、遊技者が遊技球を1球ずつ発射可能な手打ち発射制御モードとを切り替える発射モード切替手段と、手打ち発射制御モードにおいて、接触検知手段にて検知された接触の有無に関する検知結果を逆にする接触検知結果変換手段を備えている。通常発射制御から手打ち発射制御への移行は、図柄表示装置において当たり図柄が表示された場合に自動的に行われる。この手打ち発射制御では、遊技者が発射ハンドルに手を触れるとともに発射ハンドルを所定位置まで回動させ、発射ハンドルから手を離した瞬間に遊技球が発射される。そして、発射モータによる遊技球の発射力は、遊技者が発射ハンドルから手を離した際の発射ハンドルの位置に基づいて決定される。
【0007】
しかしながら、手打ち発射制御が終了し通常発射制御に移行すると、打球の発射強さを調整するために操作ハンドル操作すると、操作ハンドルに触れて回動する時点で球発射装置による遊技球の発射動作が開始されてしまうため、余分な遊技球が発射されてしまう問題がある。また、発射モードの切替は主制御部でされ、所定の条件下のみで手打ち発射が可能となり、遊技者の自由な選択で遊技球を発射することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に述べるいくつかの実施形態に適用される開示は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、無駄な遊技球を打ち出すことなく、遊技者が自ら調整した打ち出し強度及び自らの入力操作で球発射装置固有のタイミングで連続発射する連続発射動作若しくは任意のタイミングで発射することができる遊技機用発射ハンドルを提供し、それを備えて遊技者にとって操作性や使い勝手の良い遊技機を提供することにある。
【0009】
以下に述べるいくつかの実施形態に関する開示は、少なくとも次の構成を備える。遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射する球発射装置の球発射動作を操作する遊技機用発射ハンドルであって、遊技機の枠体の前面側に取り付けられるハンドル本体と、前記ハンドル本体に対して、基準位置から所定方向に所定の範囲内で相対的に移動可能に組み付けられた操作部材と、前記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、遊技者が任意のタイミングで前記球発射装置により遊技球を遊技領域に打ち出す任意発射動作と前記球発射装置固有のタイミングで遊技球を連続的に遊技領域に打ち出す連続発射動作のいずれかを入力可能な発射動作入力部と、前記操作量検出手段で検出された検出値に応じて前記球発射装置による遊技球の打ち出し強さを制御すると共に、前記発射動作入力部の入力操作に応じて前記任意発射動作と前記連続発射動作のいずれかで前記球発射装置による球発射動作を制御する制御手段と、を備え、前記発射動作入力部は、前記任意発射動作と前記連続発射動作のいずれかを入力する第一入力部を備え、前記ハンドル本体又は前記操作部材に前記操作量検出手段で検出された検出値に応じた前記球発射装置による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、前記球発射装置による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続して発射する特定発射動作に切り替える第二入力部を備え、前記第一入力部と前記第二入力部は同一作動軸線上に設けられ、前記第一入力部の入力動作を待って前記第二入力部の入力動作が許容されることを特徴とする。
上記構成によれば、遊技者は操作部材の操作量を調整し発射動作入力部より所望の発射動作を入力することで、遊技者自ら調整した打ち出し強度及び連続発射動作若しくは任意発射動作のいずれかで遊技球を遊技領域に発射することができる。
よって、遊技球の発射動作が制御プログラムや抽選動作に必ずしも連動することなく、遊技者が自らの選択で遊技球の自由な発射動作を楽しむことができ、無駄な遊技球を打ち出すことなく、使い勝手が向上する。そして、第一入力部の入力により任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかの動作状態から第二入力部を入力することで特定発射動作に移行して球発射装置による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて打ち出すことができ、遊技状態や抽選結果に合わせた球発射動作を行うことができる。また、発射動作入力部を操作部材と共にコンパクトに組み付けることができ、しかも、第一入力部の入力(任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかの入力)を行わなければ、第二入力部の入力が行えないため、誤って特定発射動作に移行することは無く、操作性が良い。
【0010】
遊技者の接触による発射操作の有無を検知する接触検知手段を備え、前記制御手段は、前記接触検知手段による接触を検出しない限り前記球発射装置による球発射動作を行わないように制御することが望ましい。
これにより、遊技者が操作部材を操作して発射操作を行わない限り球発射装置による球発射動作が行われないので、遊技者が意図しない無駄な遊技球の発射動作を防ぐことができる。
【0011】
前記発射動作入力部は、前記操作部材に一体に設けられ、前記ハンドル本体に対して相対的に移動可能に設けられていてもよい。
これにより、遊技者の操作部材の操作量を調整してからそのまま発射動作入力部の入力を行って任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかで遊技球を発射することができ、操作性が向上する。
【0012】
前記発射動作入力部は、前記操作部材に形成される遊技者が指を掛けて操作する指掛け部に設けられていてもよい。
これにより、遊技者は操作部材を握ったまま指の操作で発射動作入力部の入力を行って任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかを実行することができ、操作性が極めて良い。
【0013】
前記発射動作入力部は、前記任意発射動作と前記連続発射動作のいずれかを入力する第一入力部を備え、前記ハンドル本体又は前記操作部材に前記操作量検出手段で検出された検出値に応じた前記球発射装置による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、前記球発射装置による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続して発射する特定発射動作に切り替える第二入力部を備えていてもよい。
これにより、第一入力部の入力により任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかの動作状態から第二入力部を入力することで特定発射動作に移行して球発射装置による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて打ち出すことができ、遊技状態や抽選結果に合わせた球発射動作を行うことができる。
【0014】
前記第一入力部と前記第二入力部は同一作動軸線上に設けられ、前記第一入力部の入力動作を待って前記第二入力部の入力動作が許容されることが好ましい。
これにより、発射動作入力部を操作部材と共にコンパクトに組み付けることができ、しかも、第一入力部の入力(任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかの入力)を行わなければ、第二入力部の入力が行えないため、誤って特定発射動作に移行することは無く、操作性が良い。
【0015】
上述したいずれかに記載の遊技機用発射ハンドルを備え、遊技者が操作部材を操作して遊技球の打ち出し強度を選択すると共に発射動作入力部により好みの発射動作を選択して球発射装置による発射動作が行われる遊技機においては、操作性や使い勝手が向上するのみならず、遊技者の好みに応じた自由な発射動作を選択して遊技することができ、電動機ながら手打ち感覚の発射動作を実現することで、遊技者の満足感を高揚することができる。
【発明の効果】
【0016】
上述した遊技機用発射ハンドル及び遊技機を用いれば、無駄な遊技球を打ち出すことなく、遊技者が自ら調整した打ち出し強度及び自らの入力操作で球発射装置固有のタイミングで連続発射する連続発射動作若しくは任意のタイミングで発射する任意発射動作により遊技球を発射することができる。また、遊技機用発射ハンドルを備えた遊技機においては、操作性や使い勝手が向上するのみならず、電動機ながら手打ち感覚の発射動作を実現することで、遊技者の満足感を高揚することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パチンコ機の正面図である。
図2】遊技機用発射ハンドルの斜視図である。
図3図2の遊技機用発射ハンドルの断面図である。
図4】(a)は第一入力部の入力前後の状態を示す部分断面図、(b)第二入力部の入力前後の状態を示す部分断面図である。
図5図2の遊技機用発射ハンドルの分解斜視図である。
図6】遊技機用発射ハンドルの制御系を示すブロック構成図である。
図7】遊技機用発射ハンドルの制御動作の一例を示すフローチャートである。
図8】他例に係る遊技機用発射ハンドルの動作前後を示す正面断面図である。
図9】他例に係る遊技機用発射ハンドルの斜視図である。
図10】(a)他例に係る遊技機用発射ハンドルの第一入力部及び第二入力部が入力前の正面断面図、(b)第一入力部が入力後で第二入力部が入力前の状態を示す正面断面図、(c)第一入力部及び第二入力部が入力後の状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための一実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。図1を参照して本実施形態に係る遊技機用発射ハンドル及び遊技機の概略構成について説明する。本実施例としては、遊技機の一例としてパチンコ機について説明するものとする。
【0019】
先ずパチンコ機1の概略構成について説明すると、図1においてパチンコ機1の外形をなす矩形状の外枠2の側部に対して内枠ヒンジ3a,3bにより内枠(図示せず)が開閉可能に取り付けられ、該内枠の側部に対して前枠ヒンジ4a,4bにより前面枠5が開閉可能に取り付けられている。また、前面枠5にはシリンダ錠5aが設けられている。図示しないキーを鍵穴に挿入して回転操作することでシリンダ錠5aの開錠施錠が行われる。シリンダ錠5aはキーを差し込んで一方向へ回転させると外枠2と内枠の施錠が開錠され、他方向へ回転させると前面枠5と内枠の施錠が開錠するようになっている。
【0020】
前面枠5の中央部には遊技者が遊技盤6をガラス板等の透明板を介して視認できる窓部7が設けられている。該窓部7の上方には装飾ランプ8などが設けられている。また、窓部7の下方には、貸球や賞球を貯留して球発射装置10へ球を誘導する球受け皿9が設けられている。球受け皿9の背面側には、球発射装置10が設けられている。球発射装置10は、モータ或いはソレノイド駆動により槌が所定量変動して遊技球をガイドレール13に沿って遊技領域に打ち出すようになっている。球受け皿9の前面部右側には、後述する操作部材の操作量に応じて遊技球の発射力を調整するための発射ハンドル11が設けられている。また、球受け皿9の前面部中央部には、球受け皿9に貯留した遊技球を皿底部に設けられた開閉孔を開口させてドル箱等に排出する球抜きボタン12が設けられている。
【0021】
遊技盤6の盤面上にガイドレール13等によって略円形に形成される遊技領域内は、センター役物14として図柄表示装置15(液晶表示装置)が設けられている。図柄表示装置15の周囲には図示しない釘、スルーチャッカー16、始動口17及び始動口センサ(図示せず)、風車18、アタッカー19(可変入賞装置)等が各々設けられている。遊技球が始動口17に入球すると、図柄表示装置15にて図柄等が変動して大当たり抽選が開始されるようになっている。また、図柄表示装置15に例えば「7,7,7」が表示されると「大当たり」となりアタッカー19が所定時間若しくは所定数の遊技球が入球するまで開口するようになっている。始動口17に複数の遊技球が入球すると、始動口センサ(図示せず)は入球した遊技球の数をカウントして保留球数を保留する。図柄表示装置15は、保留球の数だけ抽選動作を継続するようになっている。また、遊技領域の最下端にはアウト球(始動口17、アタッカー19に入賞しなかった遊技球)を回収するアウト口20が設けられている。
【0022】
次に、遊技機用発射ハンドル11の一例について、図2乃至図5を参照して説明する。図2において、遊技機用発射ハンドル11は、パチンコ機1の前面側に変位不能に取り付けられる(図1参照)ハンドル本体21と、ハンドル本体21に対して回動可能に組み付けられる操作部材22と、操作部材22の前面側にハンドル本体21に対して固定される半球状の装飾キャップ23を備え、遊技球を遊技盤6の遊技領域に向けて発射する球発射装置10の球発射動作を操作する。ハンドル本体21は、筒状形態(例えば円筒)をなす胴体部の前端から前方に向かって漸次拡開(例えば椀形状)してなる拡開部を有し、胴体部の後端側がパチンコ機1の前面枠5の前面側に取り付けられる。操作部材22は、環状に形成されており、ハンドル本体21に対して、基準位置から所定方向(図1の正面視時計回り方向)に所定の範囲内で相対的に回動可能に組み付けられている。操作部材22の外周縁部には、指掛け部22aが複数箇所に突設されている。これらの指掛け部22aに指を掛けながら操作部材22をハンドル本体21に対して時計回り方向に回転操作できるようになっている。
操作部材22の最左端側の指掛け部22aには、発射動作入力部24が一体に組み付けられている。操作部材22を回転操作しながら、発射動作入力部24を入力操作することにより、後述するように遊技者が任意のタイミングで球発射装置10により遊技球を一球ずつ遊技領域に打ち出す任意発射動作と球発射装置10固有のタイミングで遊技球を連続して遊技領域に打ち出す連続発射動作のいずれかを実行することができる。
【0023】
図3において、筒体状のハンドル本体21内には内部空間を仕切る仕切り壁21aが設けられている。この仕切り壁21aの中心部に筒状の軸保持部21bが設けられている。軸保持部21bの筒孔内には回動軸25が正逆回転可能に嵌め込まれている。回動軸25の前面側軸端は操作部材22の中心軸22bと篏合しており、ねじ22cにて一体に組み付けられている。軸保持部21bを支持する仕切り壁21aには発射ボリューム28(可変抵抗器:操作量検出手段)がナット29をねじ篏合することで一体に組み付けられている。回動軸25には回動ギヤ26が同心状に嵌め込まれており、回動ギヤ26と噛み合うように発射ボリューム28の回動軸28aに従動ギヤ27が同心状に嵌め込まれている。
【0024】
また、仕切り壁21aには軸保持部21bと平行に一対の支柱21cが前面側(図3の左方向)に向かって突設されており、先端部は操作部材22の中心軸22bの周囲に弧状に形成されたガイド孔22d(図5参照)を貫通して装飾キャップ23内まで延設され、装飾キャップ23が取付られている。この支柱21cと中心軸22bの前面側端部(装飾キャップ23側端部)にはねじりコイルばね30のコイル部分が各々嵌め込まれている。これにより、操作部材22はハンドル本体21に対して基準位置(図5のガイド孔22dの一端22d1に支柱21cを突き当てた状態)に保持されている。操作部材22を基準位置より回転させると、中心軸22bと共に回動軸25が回転し、回動ギヤ26と噛み合う従動ギヤ27を介して回動軸28aを回転させて発射ボリューム28の操作量(抵抗値)が変化する。後述する制御手段は、発射ボリューム28の操作量の変化(抵抗値の変化)を検出すると、操作部材22の操作量に見合った球発射装置10の出力(遊技球の打ち出しの強さ)を変化させるようになっている。尚、操作部材22は、ねじりコイルばね30の付勢に抗してガイド孔22dの他端部22d2に支柱21cが突き当たる位置まで時計回り方向に回転させることができ、操作部材22の回動範囲を定めるように機能している(図5参照)。
【0025】
仕切り壁21aには、タッチセンサー31(接触検知手段)が設けられている。タッチセンサー31は、遊技者による操作部材22への接触の有無を検知する。操作部材22の把持部である外周面には導電性めっき被膜が形成されており、操作部材22に遊技者が触れることで、抵抗値が変化して接触を検知することができる。後述する制御手段は、タッチセンサー31による接触を検出しない限り、球発射装置10による球発射動作を行わないように制御する。尚、導電性めっき被膜は第一発射スイッチ24aに形成されていてもよい。
ハンドル本体21の底部には、電源を供給するコネクタ等が配置され、後述する発射制御基板33に検出信号を送出する中継端子基板21dが設けられている。
【0026】
図3に示すように、発射動作入力部24は、第一発射スイッチ24a(第一入力部)と第二発射スイッチ24b(第二入力部)が、操作部材22の中心軸22bに向かう同一作用軸線上に設けられている。第一発射スイッチ24aは、遊技者が任意のタイミングで球発射装置10により遊技球を遊技領域に打ち出す任意発射動作と球発射装置10固有のタイミングで遊技球を連続的に遊技領域に打ち出す連続発射動作のいずれかを入力することができる。第二発射スイッチ24bは、発射ボリューム28で検出された検出値に応じた球発射装置10による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、遊技球の打ち出し強度を予め設定した強発射の抵抗値を信号として出力し球発射装置10による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続発射する特定発射動作に切り替える。
【0027】
発射動作入力部24は、第一発射スイッチ24aの入力動作を待って第二発射スイッチ24bの入力動作が許容される構成となっている。以下、この構成例について説明する。操作部材22の指掛け部22a(例えば右手親指を係止する部位)には、有底筒状の入力部本体24cが一体に支持固定されている。入力部本体24c内には、筒状に形成された第二発射スイッチ24bが同心状に挿入され昇降可能に支持されている。即ち、入力部本体24cの底部には、コイルばね24dが自然長より押し縮められて挿入されており、第二発射スイッチ24bを常時上方に付勢している。
【0028】
また、第二発射スイッチ24b内には、第一発射スイッチ24aが同心状に挿入されている。第一発射スイッチ24aは、押圧ボタン24a1と第一スイッチ本体24a2を備えたノンロックスイッチが用いられる。第一発射スイッチ24aは、端子部24a3が中継端子基板21dと電気的に接続されると共に、押圧ボタン24a1と第一スイッチ本体24a2との間に設けられたストッパ24a4とナット24a5で第二発射スイッチ24bの内壁面に設けられた鍔部24b1を挟み込んで一体に組み付けられる。押圧ボタン24a1は、ストッパ24a4と常時離間するように付勢されている。このため、押圧ボタン24a1は第二発射スイッチ24bより外方に突出した状態で組み付けられる。
【0029】
第二発射スイッチ24bの移動方向(押圧方向)下端側には、径方向外側に拡径した段差部24b2が設けられている。この段差部24b2は、入力部本体24cの長手方向に形成されたスリット24c1内に挿入されている。第二発射スイッチ24bはコイルばね24dの付勢により段差部24b2がスリット24c1の長手方向一端部24c11に押し当てられている。後述するように押圧ボタン24a1がストッパ24a4に突き当てられるまで押し下げられると、更なる押圧動作により第二発射スイッチ24bは、コイルばね24dの付勢に抗して段差部24b2がスリット24c1の長手方向他端部24c12に突き当たるまで押し下げられる。
【0030】
第二発射スイッチ24bの移動方向(押圧方向)下端部には、外方に略L字状に突出するように遮光部24b3が延設されている。入力部本体24cの底部には、センサ基板24fが設けられ、センサ基板24fには、フォトセンサ24gが搭載されている。第二発射スイッチ24bがコイルばね24dの付勢に抗して押し下げられると、遮光部24b3がフォトセンサ24gの光軸を遮光するように進入する。このフォトセンサ24の検出信号により、発射ボリューム28で検出された検出値に応じた球発射装置10による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、球発射装置10による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続発射する特定発射動作に切り替えられる。
尚、第二発射スイッチ24bの遮光部24b3及びフォトセンサ24gを搭載したセンサ基板24fは、操作部材22の中心軸22bの近傍に配置されていると慣性モーメントがより小さくなり、操作部材22の操作感が良くなるため望ましい。
【0031】
ここで、第一発射スイッチ24aと第二発射スイッチ24bの操作例について図4(a)(b)を参照して説明する。図4(a)は、第一発射スイッチ24aの操作例を示す。実線が押圧ボタン24a1を押圧する前、一点鎖線が押圧ボタン24a1を押し下げた状態を示す。遊技者が、操作部材22を把持して回転操作すると、発射ボリューム28で検出された検出値に応じて球発射装置10による遊技球の打ち出し強さが制御される。そして、遊技者が発射動作入力部24の第一発射スイッチ24a(押圧ボタン24a1)を押し下げると遊技球の発射動作が開始される。即ち、一点鎖線に示すように押圧ボタン24a1をストッパ24a4に押し当てたままにすると球発射装置10固有のタイミングによる連続発射動作が実行される。また、遊技球を1球発射させるごとに押圧ボタン24a1の押圧を解除して実線で示す位置まで復帰させると、遊技者のタイミングで一球ずつ発射させる任意発射動作が実行される。
尚、押圧ボタン24a1をストッパ24a4に突き当たるまで押し下げても、コイルばね24dの付勢により第二発射スイッチ24bは押し下げられることはない。
【0032】
図4(b)は、第二発射スイッチ24bの操作例を示す。遊技者が押圧ボタン24a1を実線で示すようにストッパ24a4に突き当てて押し下げたまま、更に押圧力を強めると、一点鎖線で示すように第二発射スイッチ24bがコイルばね24dの付勢に抗して押し下げられる。第二発射スイッチ24bは、段差部24b2がスリット24c1の長手方向一端部24c11から離間して長手方向他端部24c12に突き当たるまで押し下げられる。このとき、第二発射スイッチ24bの移動方向(押圧方向)下端部に設けられた遮光部24b3が、フォトセンサ24gの光軸を遮光するように進入する。このフォトセンサ24gの検出信号により、発射ボリューム28で検出された検出値に応じた球発射装置10による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、球発射装置10による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続発射する特定発射動作に切り替えられる。これにより、所謂抽選結果で大当たりが発生した際に、操作部材22の位置を変更することなく発射動作入力部24のスイッチ操作のみでスムーズに右打ち動作に移行することができる。
【0033】
ここで、発射ハンドル11の組立例について図5の斜視図を参照して説明する。
ハンドル本体の21の前面側より、軸保持部21bの軸孔に回動軸25が挿入組み付けられ、回動軸25には回動ギヤ26が一体に組み付けられる。また、ハンドル本体の21の仕切り壁21aには、前面側にタッチセンサー31が一体に組み付けられ、後面側より発射ボリューム28の回動軸28aを挿通して仕切り壁21aの前面側でナット29を螺締して発射ボリューム28を固定する。また、回動軸28aに嵌め込まれた従動ギヤ27が回動ギヤ26と噛み合った位置で組み付けられる。
【0034】
また、操作部材22の最左端側の指掛け部22aには、発射動作入力部24(第一発射スイッチ24a及び第二発射スイッチ24b)が中心軸22bに向かう作用軸線に沿って一体に組み付けられる。発射動作入力部24が組み付けられた操作部材22は、操作部材22のガイド孔22dに支柱21cを挿通させ、中心軸22bの軸孔に回動軸25の前面側端部が嵌め込まれてねじ22cにより一体に組み付けられる。また、コイルばね30の一端を中心軸22bの前面側軸端部22b1に形成された溝部に固定し、他端のコイル部分をガイド孔22dを介して前面側に延設された一方の支柱21cの前面側端部に嵌め込んで(図3参照)、操作部材22はハンドル本体21に対して基準位置(ガイド孔22dの一端22d1に支柱21cを突き当てた状態)に付勢保持される。
最後に操作部材22の前面を覆って装飾キャップ23が嵌め込まれて、ハンドル本体21(支柱21c)の後方からビス着することで図2に示す発射ハンドル11が組み立てられる。
【0035】
ここで、発射ハンドル11の制御系について、図6に示すブロック構成図を参照して説明する。尚、パチンコ機1本体の制御系については省略するものとし、発射ハンドル11の制御に関連するものを中心に説明する。
主制御基板32は、パチンコ機1の背面側に設けられ、遊技動作を統括制御する。主制御基板32は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装されており、CPUがROMに格納された各種プログラムやデータをRAMに読み出して実行することにより、遊技動作を統括制御する。尚、主制御基板32には図示しない球払出装置の払い出し動作を制御する払出制御基板、図柄表示装置15の画像表示を制御する画像処理基板、パチンコ機1に電源を供給する電源基板などが電気的に接続されて設けられている。
【0036】
発射制御基板33(制御手段)は、主制御基板32からの指令により球発射装置10の発射動作を制御する。発射制御基板33には、発射ボリューム28からの検出信号、第一発射スイッチ24aからの検出信号、第二発射スイッチ24bからの検出信号、タッチスイッチ31からの検出信号が入力される。また、発射制御基板33からは、球発射装置10の球発射動作(連続発射動作若しくは任意発射動作)の制御信号が出力される。
【0037】
ここで、発射制御基板33による制御動作の一例について、図7のフローチャートを参照して説明する。まず、遊技者が発射ハンドル11の操作部材22を把持しているか否かを判定する。即ち、タッチスイッチ31がONになっているか否かを判定する(ステップS1)。発射制御基板33は遊技者による操作部材22への接触を検出しない限り、球発射装置10による球発射動作を行わないように制御している。
【0038】
次いで、発射制御基板33は、操作部材22が基準位置より回転操作されたか否かを判定する(ステップS2)。即ち、操作部材22が回転操作されると発射ボリューム28の検出値(抵抗値)が変化するため、この検出値の大きさに応じた球発射装置10の出力(打ち出しの強さ)が制御される。この段階では、球発射装置10による遊技球の発射動作は行われない。
【0039】
次に、第一発射スイッチ24aが押された(ON状態)か否かを判定する(ステップS3)。第一発射スイッチ24aがON状態になって初めて球発射装置10による発射動作が開始される。次いで、第一発射スイッチ24aがON状態を所定時間継続しているか否かを判定する(ステップS4)。この第一発射スイッチ24aの押圧状態(ON状態)が継続しているか否かで発射動作が異なる。
【0040】
即ち、第一発射スイッチ24aがON状態を継続している場合には、球発射装置10は固有のタイミングで連続発射動作を行い、操作部材22の回転量に応じた強さで球発射装置10は遊技球を遊技領域へ連続発射する動作を実行する(図4(b)実線参照:ステップS5)。一方、第一発射スイッチ24aのON状態が継続しない、即ち、押圧ボタン24a1より手を放した場合には、任意発射動作を行い、押圧ボタン24a1を1回押圧する毎に操作部材22の回転量に応じた強さで球発射装置10を起動して遊技球を遊技領域へ発射する動作を実行する(ステップS6)。
これにより、遊技球の発射動作が遊技プログラムや抽選動作に必ずしも連動することなく、遊技者が自らの選択で遊技球の自由な発射動作を楽しむことができ、無駄な遊技球を打ち出すことなく、使い勝手が向上する。
【0041】
次に、第二発射スイッチ24bが押された(ON状態)か否かを判定する(ステップS7)。第二発射スイッチ24bは、第一発射スイッチ24aが押された状態で、押圧力を強めた場合に限ってON状態となる。即ち、第二発射スイッチ24bはコイルばね24dの付勢に抗して入力部本体24c内に押し込まれて遮光部24b3がフォトセンサ24gの光軸を遮光してON状態となる(図4(b)一点鎖線参照)。
第二発射スイッチ24bがON状態となると、第一発射スイッチ24aの入力により任意発射動作若しくは連続発射動作のいずれかの動作状態から、第二発射スイッチ24bを入力することで特定発射動作に移行して球発射装置10による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて打ち出す(ステップS8)。これにより、遊技状態や図柄表示装置15の抽選結果に合わせた球発射動作を行うことができる。
尚、ステップS5の連続発射動作又はステップS6の任意発射動作のいずれかにおいて、第二発射スイッチ24bが押されない(OFF状態)場合には、ステップS1~ステップS4までの動作を継続する。
【0042】
第二発射スイッチ24bの押圧を解除(OFF)し、第一発射スイッチ24aの押圧を解除すれば、球発射装置10により球発射動作は終了となり、遊技者が操作部材22の回転操作を解除すれば、ねじりコイルばね30の付勢により基準位置まで戻るため、以後はステップS1乃至ステップS8の制球動作が繰り返し行われる。
【0043】
以上説明したように、上述した発射ハンドル11を用いれば、遊技者が操作部材22を操作して遊技球の打ち出し強度を選択すると共に発射動作入力部24により好みの発射動作を選択して球発射装置10による発射動作を行うことができ、操作性や使い勝手が向上する。
また、遊技者の好みに応じた自由な発射動作(連続発射か任意発射か)を選択して遊技することができ、電動式ながら手打ち感覚の発射動作を実現することで、遊技者の満足感を高揚することができる。
【0044】
第一発射スイッチ24aと第二発射スイッチ24b(発射動作入力部24)は、ハンドル本体21に対して相対的に移動可能に設けられていれば、上記径方向に同一軸線上に組み付けられる場合に限られず、また、操作部材22に対して一体に組み付けられる場合に限らない。以下、他の発射ハンドル11A~11Cの構成について説明する。尚、上述した実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
【0045】
図8(a)(b)に示すように、発射ハンドル11Aに設けられる第一発射スイッチ24aは、押圧ボタン24aが、操作部材22の径方向ではなく、指掛け部22aの指を添える側面部22a1に周方向に沿って移動可能に設けられていてもよい。指掛け部22aの内部にはコイルばね34が設けられ、押圧ボタン24a1が操作部材22の周方向に穿設されたスリット22e内を移動可能に設けられていてもよい。図8(a)は操作部材22が基準位置にある状態を示している。図8(a)に示すように、押圧ボタン24a1は、コイルばね34の付勢によって、指で押圧する操作面24a6が指掛け部22aの側面部22a1より周方向に離れた位置あり、操作面24a6の一部がスリット22eの端部に突き当てられている。押圧ボタン24a1の径方向内側に第一スイッチ本体24a2(リミットスイッチ)を操作する押圧部24a7が突設されており、この押圧部24a7は、第一スイッチ本体24a2(リミットスイッチ)に設けられた板ばね24a8と常時当接している。板ばね24a8が設けられた第一スイッチ本体24a2の設置面には、スイッチレバー24a9が先端を設置面より突出するように付勢されて設けられている。スイッチレバー24a9は、板ばね24a8により押し下げられない限り、第一発射スイッチ24aがOFF状態にある。
【0046】
図8(b)に示すように、操作部材22を図8(a)に示す基準位置から時計回り方向へ所定量回転させて、押圧ボタン24a1をコイルばね34の付勢に抗して、指掛け部22aの側面部22a1に向かって押し込むと、押圧部24a7は板ばね24a8を押し倒してスイッチレバー24a9を押圧して第一スイッチ本体24a2がON状態となる。これにより球発射装置10による発射動作が行われる。
即ち、押圧ボタン24a1を押し続けると、第一スイッチ本体24a2のON状態が継続するため、所定の打ち出し強さで球発射装置10固有のタイミングで遊技球が連続発射される。また、押圧ボタン24a1の押圧を解除すると、コイルばね34の付勢によって、操作面24a6が指掛け部22aの側面部22a1より周方向に離れた位置へ移動し、図8(a)に示すように操作面24a6の一部がスリット22eの端部に突き当てられる。これにより、押圧部24a7は板ばね24a8より離れるので第一スイッチ本体24a2がOFF状態となる。よって、押圧ボタン24a1を1回ずつ押し込むことで、遊技球は任意のタイミングで発射される。このように、押圧ボタン24a1を指掛け部22aの指を添える側面部22a1側に設けることにより、任意発射動作と連続発射動作のいずれの操作も自然な状態で操作することができ、疲れることなく遊技を楽しむことができる。尚、第二発射スイッチ24bは、図示されていないが、別途操作部材22若しくはハンドル本体21等に設けられていてもよい。
【0047】
図9に他例に係る発射ハンドル11Bを示す。ハンドル本体21に対して、回転操作する操作部材22に代えて、中空状の操作軸35と操作レバー36を起立して設けたジョイスティック方式を採用したものである。操作レバー36を把持して操作軸35をハンドル本体21に対して直立した位置(基準位置)より所定量傾けると、当該操作軸35の傾き量(傾斜角)で球発射装置10による遊技球の打ち出し強さを調整するようになっている。
【0048】
また、操作軸35内には、発射動作入力部24が設けられている。発射動作入力部24は第一発射スイッチ24aと第二発射スイッチ24bが軸線方向に同心状に組み付けられている。第一発射スイッチ24aが押圧されないと第二発射スイッチ24bが押圧できないのは前述した構成と同様である。
遊技者は、操作レバー36を把持するとともに例えば親指を第一発射スイッチ24aの押圧ボタン24a1に載せながら操作軸35を図9の一点鎖線に示すように所望の打ち出し強さまで傾けて第一発射スイッチ24aを押し続ければ遊技球を球発射装置10の固有のタイミングで連続発射することができ、1回ずつ押圧動作を解除すると遊技球を任意のタイミングで発射することができる。また、第一発射スイッチ24aを押したまま更に押圧力を強めて第二発射スイッチ24bを押すと、操作軸35の傾きに応じた球発射装置10による遊技球の打ち出し強さを制御する制御動作を無効化し、球発射装置10による遊技球の打ち出し強度を所定値まで強めて連続して発射する特定発射動作に切り替える。
【0049】
図10(a)~(c)に他例に係る発射ハンドル11Cを示す。は、図8(a)(b)の操作部材22の指掛け部22aに第一発射スイッチ24aの他に、第二発射スイッチ24bを設けた発射ハンドル11Cの構成例を示す。本実施形態は、指掛け部22aに設けられた単一のレバー回転操作により第一発射スイッチ24aと第二発射スイッチ24bを操作できるようになっている。
【0050】
図10(a)において、操作部材22に設けられた複数の指掛け部22aのうち最も左側の指掛け部22aには、親指37を添えるガイド枠22fが設けられている。遊技者が、操作部材22を、指掛け部22aに沿って把持し、ガイド枠22fに親指37を添えながら、回動軸25を中心に図10(a)に示す基準位置から時計回り方向に向かって回転させることができる。
【0051】
また、最も左側の指掛け部22aには、ガイド枠22fの上方に先端部が位置するように発射レバー24b4が設けられている。発射レバー24b4は、指掛け部22a内に設けられた回動支点24b5を中心に回動可能に組み付けられている。回動支点24b5にはねじりコイルばね24b6のコイル部が嵌め込まれている。ねじりコイルばね24b6の固定端は、指掛け部22aに固定され、自由端は発射レバー24b4に設けられた係止部24b7に係止している。これにより、発射レバー24b4は、ねじりコイルばね24b6の開き角度が一定となるようにレバー先端部が操作部材22の外周面より離間する位置で付勢保持されている。発射レバー24b4の中途部には第一押圧部24b8が径方向内側に向けて突設されており、発射レバー24b4の回動支点24b5の周囲には第二押圧部24b9が各々突設されている。
【0052】
操作部材22には、第一スイッチ本体24a2が一体に組み付けられている。第一スイッチ本体24a2には、板ばね24a8が一端を固定されて組み付けられている。また、第一スイッチ本体24a2の板ばね24a8の自由端側には、発射レバー24b4に設けられた第一押圧部24b8が常時当接するように位置している。図10(b)の一点鎖線で示すように親指37で発射レバー24b4を操作して、親指37がガイド枠22fの上端に当接するまで押し下げられることにより、第一押圧部24b8が板ばね24a8を押し下げてスイッチレバー24a9を押圧して第一発射スイッチ24aがON状態となる(図10(c)参照)。このとき、第二押圧部24b9は図10(c)に示すように板ばね24b11の直近に位置するも、第二発射スイッチ24bを作用させることはない。また、親指37で発射レバー24b4を操作する際に、図10(b)一点鎖線に示すようにガイド枠22fの上端で押圧範囲を規制されるため、第一発射スイッチ24aのみを作用させることができ、誤って押え過ぎて第二発射スイッチ24bをON状態にすることはない。
【0053】
また、操作部材22には、第二スイッチ本体24b10が一体に組み付けられている。第二スイッチ本体24b10には、板ばね24b11が一端を固定されて組み付けられている。この板ばね24b11が設けられた第二スイッチ本体24b10の設置面には、スイッチレバー24b12が先端を設置面より突出するように付勢されて設けられている。板ばね24b11の先端近傍に、所定の間隔を隔てて第二押圧部24b9が位置している。スイッチレバー24b12は、板ばね24b11により押し下げられない限り、第二発射スイッチ24bがOFF状態にある(図10(b)一点鎖線参照)。第二発射スイッチ24bを作用させるには、発射レバー24b4を、回動支点24b5を中心に反時計回り方向に押し下げると、ねじりコイルばね24b6の開き角度が大きくなる。
このとき、先ず、第一押圧部24b8が板ばね24a8を押し下げてスイッチレバー24a9を押圧して第一発射スイッチ24aがON状態となる(図10(c)参照)。第一発射スイッチ24aがON状態(親指37がガイド枠22fの上端に当接した状態)から図10(c)の一点鎖線に示すように親指37をガイド枠22fの上端から側面に沿うように移動して発射レバー24b4を押圧操作して、第二押圧部24b9が板ばね24b11を押し下げてスイッチレバー24b12を押圧するため、第二発射スイッチ24bがON状態となり特定発射動作に移行する(図10(c)一点鎖線参照)。
【0054】
発射ハンドル11のハンドル操作例について説明する。
図10(a)は、遊技者が基準位置にある操作部材22の指掛け部22aに指を掛けると共に親指37をガイド枠22fに添えながら把持した状態を示す。
【0055】
図10(b)は、遊技者が、操作部材22を把持したまま基準位置から回動軸25を中心に時計回り方向に所定量回転させ、かつ発射ボリューム28を遊技者の任意の発射強度にした状態を示す。そして、図10(c)は、発射レバー24b4を所定位置まで押し下げた状態を示す。このとき、発射レバー24b4は回動支点24b5を中心に反時計回り方向に押し下げられるが、発射レバー24b4の細幅の腕部がガイド枠22fのスリット部を通過する。そして、ねじりコイルばね24b6の開き角度が大きくなり、第一押圧部24b8が板ばね24a8を押し下げてスイッチレバー24a9を押圧し第一発射スイッチ24aがON状態となる(図10(c)参照)。
これにより、操作部材22の回転量に応じた打ち出し強さで球発射装置10による発射動作が行われる。
【0056】
発射レバー24b4を図10(b)一点鎖線に示すように押し下げ続けると、第一スイッチ本体24a2のON状態が継続するため、所定の打ち出し強さで球発射装置10固有のタイミングで連続発射される。また、発射レバー24b4の押圧を解除すると、ねじりコイルばね24b6の付勢によって、発射レバー24b4が時計回り方向に回転して操作部材22の外周面より離れた図10(b)実線位置へ移動する。これにより、第一押圧部24b8は板ばね24a8より離れて第一スイッチ本体24a2がOFF状態となる。よって、発射レバー24b4を1回ずつ押し下げることで、遊技球は任意のタイミングで発射される。
【0057】
図10(c)一点鎖線は、遊技者が、発射レバー24b4を図10(c)の実線に示す位置からさらに操作部材22の外周面に近接した位置まで回動支点24b5を中心に反時計回り方向に押し下げた状態を示す。このとき、ねじりコイルばね24b6の開き角度が最も大きくなり、回動支点24b5の周囲に設けられた第二押圧部24b9が一点鎖線で示すように板ばね24b11を押し下げてスイッチレバー24b12を押圧するため、第二発射スイッチ24bがON状態となり特定発射動作に移行する。尚、発射レバー24b4は押圧を緩めると、ねじりコイルばね24b6の付勢により、図10(c)実線の位置を経て図10(b)の位置に復帰するため、第二発射スイッチ24bがOFF状態に移行してから、第一発射スイッチ24aがOFF状態となる。これにより、遊技球の発射動作を停止することができる。そして、操作部材22より手を離すと、ねじりコイルばね30(図3参照)の付勢により操作部材22は基準位置(図10(a)参照)まで戻る。
【0058】
以上、説明したように、遊技者は操作部材22の操作量を調整して遊技球の打ち出し強さを選択すると共に、発射動作入力部24の入力操作により連続発射動作と任意発射動作のいずれかを自由に選択できるので、遊技者が自ら調整した打ち出し強度及び任意のタイミングで連続発射動作若しくは任意発射動作により遊技球を発射することができる。
よって、遊技球の発射動作が遊技プログラムや抽選動作に必ずしも連動することなく、遊技者が自らの選択で遊技球の自由な発射動作を楽しむことができ、無駄な遊技球を打ち出すことなく、使い勝手が向上する。また、遊技者の好みに応じた自由な発射動作を選択して遊技することができ、電動機ながら手打ち感覚の発射動作を実現することで、遊技者の満足感を高揚することができる。
【0059】
また、遊技機の一例としてパチンコ機について説明したが、他に例えば雀球遊技機やアレンジボール遊技機などの遊技球を使用する弾球遊技機やコイン等を使用するスロットマシンなどに適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 パチンコ機(遊技機) 2 外枠 3a,3b 内枠ヒンジ 4a,4b 前枠ヒンジ 5 前面枠 5a シリンダ錠 6 遊技盤 7 窓部 8 装飾ランプ 9 球受け皿 10 球発射装置 11,11A,11B,11C 発射ハンドル 12 球抜きボタン 13 ガイドレール 14 センター役物 15 図柄表示装置 16 スルーチャッカー 17 始動口 18 風車 19 アタッカー 20 アウト口 21 ハンドル本体 21a 仕切り壁 21b 軸保持部 21c 支柱 21d 中継端子基板 22 操作部材 22a 指掛け部 22a1 側面部 22b 中心軸 22b1 前面側軸端部 22c ねじ 22d ガイド孔 22e,24c1 スリット 22f ガイド枠 23 装飾キャップ 24 発射動作入力部 24a 第一発射スイッチ(第一入力部) 24a1 押圧ボタン 24a2 第一スイッチ本体 24a3 端子部 24a4 ストッパ 24a5,29 ナット 24a6 操作面 24a7 押圧部 24a8,24b11 板ばね 24a9,24b12 スイッチレバー 24b 第二発射スイッチ(第二入力部) 24b1 鍔部 24b2 段差部 24b3 遮光部 24b4 発射レバー 24b5 回動支点 24b6,30 ねじりコイルばね 24b7 係止部 24b8 第一押圧部 24b9 第二押圧部 24b10 第二スイッチ本体 24c 入力部本体 24d,34 コイルばね 24f センサ基板 24g フォトセンサ 25,28a 回動軸 26 回動ギヤ 27 従動ギヤ 28 発射ボリューム(操作量検出手段) 31 タッチセンサー 32 主制御基板 33 発射制御基板(制御手段) 35 操作軸 36 操作レバー 37 親指
図1
図2
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