(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】微生物感染の予防および/または治療薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7036 20060101AFI20220711BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20220711BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20220711BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20220711BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A61K31/7036
A61K31/4745
A61K31/351
A61P31/10
A61P31/04
(21)【出願番号】P 2018521637
(86)(22)【出願日】2016-10-20
(86)【国際出願番号】 GB2016053277
(87)【国際公開番号】W WO2017072488
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-09-25
(32)【優先日】2015-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512252250
【氏名又は名称】ヘルパービー セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Helperby Therapeutics Limited
【住所又は居所原語表記】66 Lincoln’s Inn Fields,London WC2A 3LH United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】弁理士法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,プロフェッサー アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】フー,ヤンミン
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/017216(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/017215(WO,A1)
【文献】J Antimicrob Chemother 2013; 68: 374-384
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物感染の予防および/または治療のための、特にはそのような感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるための、医薬品の製造における、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物の使用。
【請求項2】
4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物を組み合わせてなる、特には微生物感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるための、微生物感染の予防および/または治療薬。
【請求項3】
4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物の濃度が、組み合わせ全量の約0.01から2重量%である、請求項
2に記載の予防および/または治療薬。
【請求項4】
ムピロシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物の濃度が、組み合わせ全量の0.2から2重量%である、請求項
2または請求項
3に記載の予防および/または治療薬。
【請求項5】
ネオマイシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物の濃度が、組み合わせ全量の0.05から1重量%である、請求項
2から
4のいずれか1項に記載の予防および/または治療薬。
【請求項6】
前記感染が細菌感染である、請求項
2から
5のいずれか1項に記載の予防および/または治療薬。
【請求項7】
前記感染がブドウ球菌、連鎖球菌、バチルス科、腸内細菌科、インフルエンザ菌(Haemophilis influenzae)、腸球菌、マイコバクテリウム属によって引き起こされる、請求項
6に記載の予防および/または治療薬。
【請求項8】
前記感染が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって引き起こされる、請求項
7に記載の予防および/または治療薬。
【請求項9】
前記微生物感染が真菌感染である、請求項
2から
5のいずれか1項に記載の予防および/または治療薬。
【請求項10】
前記感染がアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)およびニューモシスティス・ジロベシ(Pneumocystis jiroveci)によって引き起こされる、請求項
9に記載の予防および/または治療薬。
【請求項11】
結核、炭疽病、膿瘍、尋常性座瘡、放線菌症、喘息、細菌性赤痢、細菌性結膜炎、細菌性角膜炎、細菌性膣炎、ボツリヌス中毒症、ブルーリ潰瘍、骨および関節の感染症、気管支炎(急性もしくは慢性)、ブルセラ症、火傷、猫引っ掻き熱、蜂巣炎(cellulitis)、軟性下疳、胆管炎、胆嚢炎、皮膚ジフテリア、嚢胞性線維症、膀胱炎、びまん性汎細気管支炎、ジフテリア、虫歯、上気道疾患、湿疹、蓄膿症、心内膜炎、子宮内膜炎、腸チフス、腸炎、精巣上体炎、喉頭蓋炎、エリシペリス(erysipelis)、丹毒(erysipclas)、類丹毒、紅色陰癬、眼感染症、フルンケル、ガルドネレラ菌性膣炎、胃腸管感染(胃腸炎)、生殖器感染、歯肉炎、淋病、鼠径部肉芽腫、ハーバーヒル熱、感染熱傷、歯科手術後の感染、口腔領域の感染、人工器官に関連する感染、腹腔内膿瘍、レジオネラ症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、肝臓膿瘍、ライム病、鼠径リンパ肉芽腫、乳腺炎、乳様突起炎、髄膜炎および神経系の感染、菌腫、ノカルジア症、非特異的尿道炎、眼炎、骨髄炎、耳炎、精巣炎、膵炎、爪周囲炎、骨盤腹膜炎、腹膜炎、虫垂炎に伴う腹膜炎、咽頭炎、蜂巣炎(phlegmons)、ピンタ、伝染病、胸水、肺炎、術後創傷感染、術後ガス壊疽、前立腺炎、偽膜性大腸炎、オウム病、肺気腫、腎盂腎炎、膿皮症、Q熱、ネズミ咬熱、細網症、リシン中毒、リッター病、サルモネラ症、卵管炎、敗血症性関節炎、敗血症性感染、敗血症、副鼻腔炎、皮膚感染、梅毒、全身感染、へんとう炎、毒素性ショック症候群、トラコーマ、野兎病、腸チフス、発疹チフス、尿道炎、創傷感染、イチゴ腫、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症、黄癬、ヒストプラスマ症、間擦疹、ムコール菌症、白癬、爪甲真菌症、虹色粃糠疹、輪癬(ringworm)ならびにスポロトリクム症;またはMSSA、MRSA、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staph. epidermidis)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Strept. agalactiae)、ストレプトコッカス・ピオジェネス(Strept. pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebs. pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebs. oxytoca)、プロテウス・ミラビリス(Pr. mirabilis)、プロテウス・レトゲリ(Pr. rettgeri)、プロテウス・バルガリス(Pr. vulgaris)、インフルエンザ菌(Haemophilis influenzae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)またはエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)による感染の予防および/または治療のための、請求項
2から
5のいずれか1項に記載の予防および/または治療薬。
【請求項12】
4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、ならびに製薬上許容し得る補助剤、希釈剤または担体を含む、微生物感染の予防および/または治療のために使用される医薬組成物。
【請求項13】
経口投与、吸入投与または局所投与用に製剤された請求項
12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
微生物感染の治療での同時、別個または順次使用のための組み合わせ薬剤としての、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る塩および/または溶媒和物を含む製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物感染の予防および/または治療のための抗微生物剤の組み合わせに関する。特に、本発明は、ムピロシンおよびネオマイシンまたはそれらの製薬上許容し得る誘導体と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の導入以前は、急性微生物感染(例えば、結核または肺炎)の患者は生存の可能性が低かった。例えば、結核による死亡率はほぼ50%であった。1940年代および1950年代に抗微生物剤が導入されたことで、この状況が急速に変わったが、細菌は、一般に使用される抗生物質に対する抵抗性を徐々に獲得することで応答してきた。現在、世界のあらゆる国が抗生物質抵抗性細菌を有している。実際のところ、米国で院内感染を引き起こす細菌のうちの70%を超えるものが、感染と戦うのに通常使用される主要な抗微生物剤の少なくとも一つに対して抵抗性を有する(Nature Reviews, Drug Discovery 1, 895-910 (2002))。
【0003】
深刻さを増す抵抗性細菌の問題に取り組む一つの方法は、新たな種類の抗微生物剤の開発である。しかしながら、2000年にリネゾリドが導入されるまで、37年間にわたり、新たな種類の抗生物質は全く上市されなかった。さらに、新たな種類の抗生物質の開発は、一時的解決をもたらすのみであり、実際、リネゾリドに対するある種の細菌の抵抗性の報告がすでにある(Lancet 357, 1179 (2001)およびLancet 358, 207-208 (2001))。
【0004】
細菌抵抗性の問題に対するより長期間の解決法を開発するためには、代替手法が必要であることは明らかである。そのような代替手法の一つは、重要な抗生物質に対する抵抗性を細菌が獲得する機会をできるだけ減らすことである。従って、採用可能な戦略には、非急性感染の治療への抗生物質の使用の制限、および成長を促進することを目的としてどの抗生物質を動物に与えるかを管理することなどがある。
【0005】
しかしながら、その問題により効果的に取り組むためには、細菌が抗生物質剤に対する抵抗性を生じる実際の機序についての理解を得ることが必要である。それを行うには、最初に、現在の抗生物質剤がどのように作用して細菌を殺すかを考える必要がある。
【0006】
抗微生物剤は、細菌代謝の必須成分を標的とする。例えば、β-ラクタム類(例えば、ペニシリン類およびセファロスポリン類)は細胞壁合成を阻害するが、他の薬剤はDNAギラーゼ(キノロン類)およびタンパク質合成(例えば、マクロライド類、アミノグリコシド類、テトラサイクリン類およびオキサゾリジノン類)などの多様な標的を阻害する。抗微生物剤が有効である生物の範囲は、どの生物が、阻害される代謝段階に大きく依存しているかに応じて変わる。さらに、細菌に対する効果は、単なる増殖阻害(すなわち、テトラサイクリン類などの薬剤で見られるような静菌効果)から完全死滅(すなわち、例えばペニシリンで見られるような殺細菌効果)まで変動し得る。
【0007】
細菌は、30億年超にわたり地球で成長しており、その間に、膨大な数の環境ストレスに対して応答する必要があった。従って、抗生物質剤によって課される代謝ストレスに応答することができる無限に思えるほど多様な機序を細菌が作り上げたことは、恐らくは驚くに値しない。実際、細菌が抵抗性を生じ得る機序には、薬剤の失活、作用部位の変更、細胞壁の透過性の変更、標的酵素の過剰産生および阻害される段階の迂回という多様な戦略などがある。そうではあっても、特定薬剤に対する抵抗性出現の速度は、非常に多様であることが認められており、その薬剤の作用機序、その薬剤の殺菌機序が時間依存性であるか濃度依存性であるか、細菌群に対する効力、ならびに利用できる血清濃度の大きさおよび期間などの要素によって決まる。
【0008】
単一酵素を標的とする薬剤(例えばリファンピシン)が最も抵抗性発生傾向が強いことが提案されている(Science 264, 388-393 (1994))。さらに、準最適レベルの抗微生物剤が細菌と接触する時間が長いほど、抵抗性発生の可能性が高くなる。
【0009】
さらに、現在、多くの微生物感染が抗微生物剤に対して表現型的に抵抗性である細菌の下位群を含むことが知られている(J. Antimicrob. Chemother. 4, 395-404 (1988);J. Med. Microbiol. 38, 197-202 (1993);J. Bacteriol. 182, 1794-1801 (2000);ibid. 182, 6358-6365 (2000);ibid. 183, 6746-6751 (2001);FEMS Microbiol. Lett. 202, 59-65 (2001);およびTrends in Microbiology 13, 34-40 (2005))。そのような表現型的に抵抗性の細菌にはいくつかの種類があるように思われ、それには、生残菌、静止期細菌、およびバイオフィルム内部の菌などがある。しかしながら、これらの種類はそれぞれ、同一条件下で対数期細菌と比較して増殖速度が低いことを特徴とする。栄養飢餓状態および高い細胞密度も、そのような細菌の共通の特徴である。
【0010】
低増殖状態では抗微生物剤に対して抵抗性であっても、表現型的に抵抗性の細菌は、急速増殖状態(例えば、細菌にとって栄養がより容易に得られるようになった場合)に戻った場合に抗微生物剤に対する感受性を再獲得するという点で、遺伝型抵抗性の細菌とは異なる。
【0011】
感染において表現型的に抵抗性の細菌が存在することで、複数回投与を含む、抗微生物剤の長期投与が必要となる。これは、抵抗性で増殖が遅い細菌によって、条件が許せば急速増殖状態に変わり得る(それによって効果的に感染が再開する)「潜伏性」生物のプールが生じるからである。時間をかけた複数回投与は、「活性」型に変わる「潜伏性」細菌を徐々に死滅させることによって、この問題に対処するものである。
【0012】
しかしながら、抗微生物剤の長期投与による「潜伏性」細菌の処理により、それ自体の問題が生じる。すなわち、準最適濃度の抗微生物剤への細菌の長期曝露によって、遺伝子型的に抵抗性の細菌の出現を生じる可能性があり、その細菌は、その後高濃度の抗微生物剤の存在下でも急速に増殖し得るものである。
【0013】
非増殖性細菌が生存する傾向があり、そして興味深いことに、抵抗性に突然変異する能力が高まる可能性が高いことから、長期抗微生物剤投与は、比較的短期間の投与の場合より、遺伝子型抵抗性の出現を促進しやすい(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 11736-11740(1995);J. Bacteriol. 179, 6688-6691 (1997);およびAntimicrob. Agents Chemother. 44, 1771-1777 (2000))。
【0014】
上記の点を考慮すると、細菌抵抗性の問題と戦う新たな方途は、「潜伏性の」微生物を死滅させる能力に基づいて抗微生物剤を選択および開発することであると考えられる。そのような薬剤を製造することで、特に、微生物感染の治療における化学療法の短縮が可能となり、それによって遺伝子型抵抗性が微生物で生じる頻度を低下させることが可能となる。
【0015】
公開番号WO2000028074の国際出願には、臨床的に潜伏性の微生物を死滅させる能力を求めるための化合物のスクリーニング方法が記載されている。この方法を用い、当該出願人は、他の場合では対数期(すなわち増殖する)細菌に対して優れた生物活性を示すネオマイシンおよびムピロシンなどの多くの従来の抗微生物剤が、臨床的に潜伏性の微生物に対してほとんどあるいは全く活性を示さないことを認めている。この所見により、臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるのに用いることができる新規な抗微生物剤の開発が必要となった。
【0016】
公開番号WO2007054693、WO2008117079およびWO2008142384の国際出願には、臨床的に潜伏性の微生物に対して生物活性を示す化合物が記載されている。そのような化合物の例には、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリン、4-(3-ベンジルピロリジン-1-イル)-2-メチル-6-フェノキシキノリン、N-[4-(3-ベンジルピロリジン-1-イル)-2-メチルキノリン-6-イル]ベンズアミドおよびそれらの製薬上許容し得る誘導体などがある。
【0017】
ムピロシンは、元はシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)から単離された抗生物質である。ムピロシンは、イソロイシル転移RNA合成酵素の阻害によって、細菌タンパク質およびRNA合成の強力な阻害剤として作用する。それは、メチシリン抵抗性株を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、および大腸菌(Escherichia coli)やインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)などのグラム陰性菌などの非常に多様な細菌に対して有効であることが知られている。
【0018】
ムピロシンは、クリームおよび軟膏の形態で商品名バクトロバン(Bactroban)(登録商標)で欧州にて市販されている。バクトロバン(登録商標)は、膿痂疹、毛嚢炎およびせつ腫症などの皮膚感染の治療に適応である。それは、約20%の人々が持つ前鼻孔からの黄色ブドウ球菌(S. aureus)の根絶および鼻のMRSAコロニー消滅にも適応である。入院患者での鼻からの黄色ブドウ球菌(S. aureus)の除去は、手術部位感染(Bode et al., N. Engl. J. Med., 362(1), 9-17, (2010))および院内感染(Perl et al., N. Engl. J. Med., 346(24), 1871-1877, (2002))の発生率低下に関連する。
【0019】
ある種の他の抗生物質と組み合わせたムピロシンの抗細菌活性が、以前に報告されている。例えば、ギセリら(Ghiselli et al.)(J. Surg. Res., 99(2), 316-320, (2001))は、アモキシシリン-クラブラン酸と組み合わせたムピロシンの効果について研究しており、それは、人口血管移植片感染の予防のラットモデルにおいて黄色ブドウ球菌(S. aureus)およびMRSAの増殖を完全に抑制した。さらにアロウら(Alou et al.)(J. Antimicrob. Agents, 23(5), 513-516, (2004))は、黄色ブドウ球菌(S. aureus)の106CFU/mL接種材料において、ムピロシンおよびアモキシシリン-クラブラン酸の組み合わせについて2.5log10CFU/mLの低下を認めている。
【0020】
公開番号WO2012017215の国際出願には、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体と、β-ラクタム系抗微生物剤、ムピロシンおよびクロルヘキシジンまたはそれらの製薬上許容し得る誘導体からなる群から選択される別の抗微生物剤とを含む組み合わせが開示されている。
【0021】
ネオマイシンは、経鼻クリームの形態で、ナセプチン(Naseptin)(登録商標)の商品名でクロルヘキシジンと組み合わせて欧州で市販されている。ナセプチン(登録商標)は、ブドウ球菌類による、またはブドウ球菌類が媒介する鼻の感染症の根絶に適応である。ネオマイシンは、錠剤の形態で商品名ニベマイシン(Nivemycin)(登録商標)でも欧州で市販されている。ニベマイシン(登録商標)は、硫酸塩としてのネオマイシンを含み、腸の手術前滅菌に適応である。それは、門脈体循環性脳症を含む切迫肝性昏睡の治療において有用であるともされている。
【0022】
公開番号WO2012017216の国際出願には、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体と、アミノグリコシド系抗微生物剤(例えばネオマイシン)またはその製薬上許容し得る誘導体とを含む組み合わせが開示されている。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、ある種の抗微生物剤、特にムピロシンおよびネオマイシンまたはそれらの製薬上許容し得る誘導体の抗微生物活性が、これら薬剤を化合物4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体との三剤組み合わせとして投与すると大幅に改善されるという予想外の知見に基づくものである。
【0024】
本発明はさらに、抗微生物活性におけるこの向上が、低濃度の化合物4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体で認められるという所見に基づくものである。
【0025】
さらに、この活性剤の三剤組み合わせは、驚くべきことに、対数期(すなわち増殖性)および静止期(すなわち非増殖性)微生物に対する相乗的抗微生物活性、すなわち指定の用量レベルでの各薬剤の予想される相加効果より大きい活性を示すことが明らかになった。本発明の組み合わせの驚くべき生物活性は、化学療法を短縮する機会を提供するものであり、そのような組み合わせの使用に関連する微生物抵抗性の発生を減らすことができる。
【0026】
抗微生物薬剤における相乗作用は、「相乗作用は、相加作用より大きい効果である」という一般に受け入れられている意見に従う多くの方法で測定される。相乗作用が認められたか否かを評価する方法の一つは、「チェッカーボード」技術を用いることである。これは、部分阻害濃度指数(fractional inhibitory concentration index)(FICI)と称される値を発生させる広く受け入れられた方法である。Orhan et al J. Clin. Microbiol. 2005, 43(1):140には、140から141頁にかけての段落にチェッカーボード方法および分析が記載されており、FICI値が、単独でおよび混合物での各個々の成分のMIC(最小阻害濃度)レベルの合計の比であると説明している。その組み合わせは、ΣFICが<0.5である場合は相乗的であり、ΣFICが>0.5から<2である場合は不関的であり、ΣFICが>2である場合は拮抗的であると考えられる。
【0027】
相乗効果の有無を確認するための別の許容された試験は、経時的な細菌の対数的増殖または静止的増殖に対する効果を評価する場合に、薬剤組み合わせの動的効果を、各薬剤単独と比較する時間-殺菌法(time-kill methods)を用いるものである。やはり、もたらされ得る結果は、相乗効果、相加効果または拮抗効果に関するものである。
【0028】
従って、一実施形態において、本発明は、ムピロシンおよびネオマイシンまたはそれらの製薬上許容し得る誘導体と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体を提供する。
【0029】
さらに別の実施形態において、本発明は、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体を含む組み合わせを提供する。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、微生物感染の予防および/または治療のための、特には、そのような感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるための、医薬品の製造における、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体の使用を提供する。
【0031】
本発明はさらに、微生物感染の予防または治療方法、特にはそのような感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させる方法であって、ヒトなどの哺乳動物に、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、微生物感染の予防および/または治療のための、特にはそのような感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるための、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体の使用を提供する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「組み合わせ」および「と組み合わせて」という用語は、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体の、別個もしくは順次の両方の投与を指す。それら薬剤を順次投与する場合、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンもしくはその製薬上許容し得る誘導体、ムピロシンもしくはその製薬上許容し得る誘導体、またはネオマイシンもしくはその製薬上許容し得る誘導体のいずれかを最初に投与することができる。投与が同時である場合、それら薬剤は同一または異なる医薬組成物で投与することができる。補助的療法、すなわち一つまたは二つの薬剤を一次治療として用い、他の薬剤を一次治療の支援に用いる療法も、本発明の実施形態である。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態によれば、微生物感染の予防および/または治療での同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせ薬剤としての、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体を含む製品が提供される。
【0035】
4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、ならびに製薬上許容し得る補助剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物も提供される。そのような組成物は、微生物感染の予防および/または治療に使用することができ、特には微生物感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物の死滅に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施例1において、対照実験ならびにバクトロバン(登録商標)クリームおよびナセプチン(登録商標)に対する、F017A、F017BおよびF019についての結果を示すグラフ
【
図2】実施例2において、対照実験、接種材料、ならびにバクトロバン(登録商標)クリーム、バクトロバン(登録商標)軟膏およびナセプチン(登録商標)に対する、F017A、F017BおよびF019についての結果を示すグラフ
【
図3】実施例3で得られた各製剤および対照についての結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の組み合わせを用いて、微生物感染を予防および/または治療することができる。特に、それは微生物感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるのに用いることができる。従って、本明細書において微生物感染の治療について言及する場合、それは、そのような感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させることを含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、「死滅させる」とは、代謝活性欠如によって評価される生存度喪失を意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「臨床的に潜伏性の微生物」とは、代謝的に活性であるが感染症発現の閾値以下の成長速度を有する微生物を意味する。感染症発現の閾値はそれ以下では宿主における感染症の症状がない成長速度閾値を指す。
【0040】
臨床的に潜伏性の微生物の代謝活性は、当業者には公知のいくつかの方法によって測定することができ、例えば微生物におけるmRNAレベルを測定することで、または微生物のウリジン取り込み速度を測定することで行う。この点において、対数増殖条件下(in vitroまたはin vivo)の微生物と比較して、臨床的に潜伏性の微生物は、低いがなおも有意な、
(I)mRNAレベル(例:mRNAのレベルの0.0001から50%、例えば1から30%、5から25%または10から20%);および/または
(II)ウリジン(例えば[3H]ウリジン)取り込みレベル(例:[3H]ウリジン取り込みのレベルの0.0005から50%、例えば1から40%、15から35%または20から30%)
を有する。
【0041】
臨床的に潜伏性の微生物は代表的には、多くの識別可能な特徴を有する。例えば、それは生存しているが培養不能である場合がある。すなわち、その微生物は通常は標準的な培養技術によって検出できないが、液体希釈カウンティング、顕微鏡観察またはポリメラーゼ連鎖反応などの分子技術などの技術によって検出可能かつ定量可能である。さらに、臨床的に潜伏性の微生物は、表現型的に耐性であることから、従来の抗微生物剤の静菌効果に対して感受性(対数期において)である(すなわち、従来の抗微生物剤の最小阻害濃度(MIC)が実質的に変わらない微生物)であるが、薬剤誘発の死滅に対する感受性が大きく低下している(例えば、いずれか所定の従来の抗微生物剤で、最小殺菌剤濃度(例えば最小殺細菌剤濃度、MBC)のMICに対する比率が10以上である微生物)。
【0042】
本明細書で使用される場合、「微生物」という用語は、真菌および細菌を意味する。本明細書において「微生物の」、「抗微生物剤」または「抗微生物的に」と言う場合、それは前記に従って解釈されるものである。例えば「微生物の」という用語は「真菌の」または「細菌の」を意味し、「微生物感染」は真菌感染または細菌感染を意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「細菌」という用語(および「微生物感染」などのそれの派生語)は、下記の分類および具体的な種類の生物(または生物による感染)に言及することを含むが、これらに限定されるものではない。
【0044】
グラム陽性球菌、例えば、ブドウ球菌(例えば、黄色ブドウ球菌(Staph. aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staph. epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィティクス(Staph. Saprophyticus)、スタフィロコッカス・アウリクラリス(Staph. auricularis)、スタフィロコッカス・カピティス・カピティス(Staph. capitis capitis)、スタフィロコッカス・カピティス・ウレオリティクス(Staph. c. ureolyticus)、スタフィロコッカス・カプラエ(Staph. caprae)、スタフィロコッカス・コーニ・コーニ(Staph. cohnii cohnii)、スタフィロコッカス・コーニ・ウレアリティクス(Staph. c. urealyticus)、スタフィロコッカス・エクオラム(Staph. equorum)、スタフィロコッカス・ガリナルム(Staph. gallinarum)、スタフィロコッカス・ヘモリティクス(Staph. haemolyticus)、スタフィロコッカス・ホミニス・ホミニス(Staph. hominis hominis)、スタフィロコッカス・ホミニス・ノボビオセプティシウス(Staph. h. novobiosepticius)、スタフィロコッカス・ヒクス(Staph. hyicus)、スタフィロコッカス・インターメディウス(Staph. intermedius)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staph. lugdunensis)、スタフィロコッカス・パステウリ(Staph. pasteuri)、スタフィロコッカス・サッカロリティクス(Staph. saccharolyticus)、スタフィロコッカス・シュレイフェリ・シュレイフェリ(Staph. schleiferi schleiferi)、スタフィロコッカス・シュレイフェリ・コアグランス(Staph. s. coagulans)、スタフィロコッカス・スシウリ(Staph. sciuri)、スタフィロコッカス・シムランス(Staph. simulans)、スタフィロコッカス・ワルネリ(Staph. warneri)およびスタフィロコッカス・キシロサス(Staph. xylosus)、
連鎖球菌(Streptococci)(例えば、β-溶血性化膿性連鎖球菌(ストレプトコッカス・アガラクチア(Strept. agalactiae)、ストレプトコッカス・カニス(Strept. canis)、ストレプトコッカス・ジスガラクチア・ジスガラクチア(Strept. dysgalactiae dysgalactiae)、ストレプトコッカス・ジスガラクチア・エキシミリス(Strept. dysgalactiae equisimilis)、ストレプトコッカス・エキ・エキ(Strept. equi equi)、ストレプトコッカス・エキ・ズーエピデミクス(Strept. equi zooepidemicus)、ストレプトコッカス・イニアエ(Strept. iniae)、ストレプトコッカス・ポルシヌス(Strept. porcinus)およびストレプトコッカス・ピオジェネス(Strept. pyogenes)など)、微好気性化膿性連鎖球菌(ストレプトコッカス・「ミレリ」、例えば、ストレプトコッカス・アンギノサス(Strept. anginosus)、ストレプトコッカス・コンステラタス・コンステラタス(Strept. constellatus constellatus)、ストレプトコッカス・コンステラタス・ファリンギディス(Strept. constellatus pharyngidis)およびストレプトコッカス・インターメディウス(Strept. intermedius))、「ミティス」(α-溶血性ストレプトコッカス・「ビリダンス」、例えば、ストレプトコッカス・ミティス(Strept. mitis)、ストレプトコッカス・オラリス(Strept. oralis)、ストレプトコッカス・サンギニス(Strept. sanguinis)、ストレプトコッカス・クリスタタス(Strept. cristatus)、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Strept. gordonii)およびストレプトコッカス・パラサンギニス(Strept. parasanguinis))、「サリバリウス」(非溶血性、例えば、ストレプトコッカス・サリバリウス(Strept. salivarius)およびストレプトコッカス・ベスチブラリス(Strept. vestibularis))および「ミュータンス」(歯表面の連鎖球菌、例えば、ストレプトコッカス・クリセチ(Strept. criceti)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Strept. mutans)、ストレプトコッカス・ラッチ(Strept. ratti)およびストレプトコッカス・ソブリヌス(Strept. sobrinus))群の口腔内連鎖球菌、ストレプトコッカス・アシドミニマス(Strept. acidominimus)、ストレプトコッカス・ボビス(Strept. bovis)、ストレプトコッカス・フェカリス(Strept. faecalis)、ストレプトコッカス・エキナス(Strept. equinus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Strept. pneumoniae)およびストレプトコッカス・スイス(Strept. suis)、または別途A、B、C、D、E、G、L、P、UもしくはV群連鎖球菌として分類される連鎖球菌);
グラム陰性球菌、例えば、ナイセリア・ゴノロア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、ナイセリア・シネレア(Neisseria cinerea)、ナイセリア・エロンガタ(Neisseria elongata)、ナイセリア・フラベセンス(Neisseria flavescens)、ナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)、ナイセリア・ムコサ(Neisseria mucosa)、ナイセリア・シッカ(Neisseria sicca)、ナイセリア・スブフラバ(Neisseria subflava)およびナイセリア・ウェアベリ(Neisseria weaveri);
バチルス科、例えば、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)およびバチルス・セレウス(Bacillus cereus);
腸内細菌科、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター属(例えば、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)およびエンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae))、シトロバクター属(シトロバクター・フレウンジ(Citrob. freundii)およびシトロバクター・ジベルニス(Citrob. divernis)など)、ハフニア属(例えば、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei))、エルウィニア属(例えば、エルウィニア・ペルシシヌス(Erwinia persicinus))、モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii)、サルモネラ菌(サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)およびサルモネラ・チフィ(Salmonella typhi))、シゲラ菌(例えば、シゲラ・ジセンテリア(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ボイジ(Shigella boydii)およびシゲラ・ソネイ(Shigella sonnei))、クレブシエラ菌(例えば、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebs. pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebs. oxytoca)、クレブシエラ・オルニトリティカ(Klebs. ornitholytica)、クレブシエラ・プランチコラ(Klebs. planticola)、クレブシエラ・オザナエ(Klebs. ozaenae)、クレブシエラ・テリゲナ(Klebs. terrigena)、クレブシエラ・グラヌロマティス(Klebs. granulomatis)(カリマトバクテリウム・グラヌロマティス(Calymmatobacterium granulomatis))およびクレブシエラ・リノスクレロマティス(Klebs. rhinoscleromatis))、プロテウス属(例えば、プロテウス・ミラビリス(Pr. mirabilis)、プロテウス・レトゲリ(Pr. rettgeri)およびプロテウス・バルガリス(Pr. vulgaris))、プロビデンシア属(例えば、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、プロビデンシア・レトゲリ(Providencia rettgeri)およびプロビデンシア・スツアルティ(Providencia stuartii))、セラチア属(例えば、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)およびセラチア・リキファシエンス(Serratia liquifaciens))ならびにエルシニア属(例えば、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)およびエルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis));
腸球菌(例えば、エンテロコッカス・アビウム(Enterococcus avium)、エンテロコッカス・カセリフラバス(Enterococcus casseliflavus)、エンテロコッカス・セコラム(Enterococcus cecorum)、エンテロコッカス・ジスパル(Enterococcus dispar)、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フラベセンス(Enterococcus flavescens)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・マロドラタス(Enterococcus malodoratus)、エンテロコッカス・ムンドチ(Enterococcus mundtii)、エンテロコッカス・シュードアビウム(Enterococcus pseudoavium)、エンテロコッカス・ラフィノサス(Enterococcus raffinosus)およびエンテロコッカス・ソリタリウス(Enterococcus solitarius));
ヘリコバクター属(例えば、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ヘリコバクター・シナエジ(Helicobacter cinaedi)およびヘリコバクター・フェネリア(Helicobacter fennelliae));
アシネトバクター属(例えば、アシネトバクター・バウマニ(A. baumanii)、アシネトバクター・カルコアセチカス(A. calcoaceticus)、アシネトバクター・ヘモリティカス(A. haemolyticus)、アシネトバクター・ジョンソニ(A. johnsonii)、アシネトバクター・ジュニ(A. junii)、アシネトバクター・ルウォフィ(A. lwoffi)およびアシネトバクター・ラジオレシステンス(A. radioresistens));
シュードモナス属(例えば、シュードモナス・エルギノーサ(Ps. aeruginosa)、シュードモナス・マルトフィリア(Ps. maltophilia)(ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia))、シュードモナス・アルカリジェネス(Ps. alcaligenes)、シュードモナス・クロロラフィス(Ps. chlororaphis)、シュードモナス・フルオレセンス(Ps. fluorescens)、シュードモナス・ルテオラ(Ps. luteola)、シュードモナス・メンドシナ(Ps. mendocina)、シュードモナス・モンテイリ(Ps. monteilii)、シュードモナス・オリジハビタンス(Ps. oryzihabitans)、シュードモナス・ペルトシノゲナ(Ps. pertocinogena)、シュードモナス・シューダルカリジェネス(Ps. pseudalcaligenes)、シュードモナス・プチダ(Ps. putida)およびシュードモナス・スツゼリ(Ps. stutzeri));
バクテリオイデス・フラギリス(Bacteriodes fragilis);
ペプトコッカス属(例えば、ペプトコッカス・ニガー(Peptococcus niger));
ペプトストレプトコッカス属;
クロストリジウム属(例えば、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(C. perfringens)、クロストリジウム・ジフィシレ(C. difficile)、クロストリジウム・ボツリナム(C. botulinum)、クロストリジウム・テタニ(C. tetani)、クロストリジウム・アブソナム(C. absonum)、クロストリジウム・アルゲンチネンセ(C. argentinense)、クロストリジウム・バラチ(C. baratii)、クロストリジウム・ビフェルメンタンス(C. bifermentans)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(C. beijerinckii)、クロストリジウム・ブチリカム(C. butyricum)、クロストリジウム・カダベリス(C. cadaveris)、クロストリジウム・カルニス(C. carnis)、クロストリジウム・セラタム(C. celatum)、クロストリジウム・クロストリジオフォルム(C. clostridioforme)、クロストリジウム・コクレアリウム(C. cochlearium)、クロストリジウム・コクレアタム(C. cocleatum)、クロストリジウム・ファラックス(C. fallax)、クロストリジウム・ゴニ(C. ghonii)、クロストリジウム・グリコリカム(C. glycolicum)、クロストリジウム・ヘモリティカム(C. haemolyticum)、クロストリジウム・ハスチフォルム(C. hastiforme)、クロストリジウム・ヒストリティカム(C. histolyticum)、クロストリジウム・インドリス(C. indolis)、クロストリジウム・イノカム(C. innocuum)、クロストリジウム・イレグラレ(C. irregulare)、クロストリジウム・レプタム(C. leptum)、クロストリジウム・リモサム(C. limosum)、クロストリジウム・マレノミナタム(C. malenominatum)、クロストリジウム・ノビ(C. novyi)、クロストリジウム・オロチカム(C. oroticum)、クロストリジウム・パラプトリフィカム(C. paraputrificum)、クロストリジウム・ピリフォルム(C. piliforme)、クロストリジウム・プトレファシエンス(C. putrefasciens)、クロストリジウム・ラモサム(C. ramosum)、クロストリジウム・セプチカム(C. septicum)、クロストリジウム・ソルデリ(C. sordelii)、クロストリジウム・スフェノイデス(C. sphenoides)、クロストリジウム・スポロゲネス(C. sporogenes)、クロストリジウム・スブテルミナレ(C. subterminale)、クロストリジウム・シンビオサム(C. symbiosum)およびクロストリジウム・テルチウム(C. tertium));
マイコプラズマ属(例えば、マイコプラズマ・ニューモニエ(M. pneumoniae)、マイコプラズマ・ホミニス(M. hominis)、マイコプラズマ・ゲニタリウム(M. genitalium)およびマイコプラズマ・ウレアリチカム(M. urealyticum));
マイコバクテリウム属(例えば、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・フォルツイタム(Mycobacterium fortuitum)、マイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)、マイコバクテリウム・シェロナエ(Mycobacterium chelonae)、マイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscessus)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・スメグミティス(Mycobacterium smegmitis)、マイコバクテリウム・アフリカナム(Mycobacterium africanum)、マイコバクテリウム・アルベイ(Mycobacterium alvei)、マイコバクテリウム・アジアチカム(Mycobacterium asiaticum)、マイコバクテリウム・オーラム(Mycobacterium aurum)、マイコバクテリウム・ボヘミカム(Mycobacterium bohemicum)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ブランデリ(Mycobacterium branderi)、マイコバクテリウム・ブルマエ(Mycobacterium brumae)、マイコバクテリウム・セラタム(Mycobacterium celatum)、マイコバクテリウム・チュベンセ(Mycobacterium chubense)、マイコバクテリウム・コンフルエンティス(Mycobacterium confluentis)、マイコバクテリウム・コンスピカム(Mycobacterium conspicuum)、マイコバクテリウム・クッキ(Mycobacterium cookii)、マイコバクテリウム・フラベセンス(Mycobacterium flavescens)、マイコバクテリウム・ガディウム(Mycobacterium gadium)、マイコバクテリウム・ガストリ(Mycobacterium gastri)、マイコバクテリウム・ゲナベンス(Mycobacterium genavense)、マイコバクテリウム・ゴルドナ(Mycobacterium gordonae)、マイコバクテリウム・ゴージ(Mycobacterium goodii)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(Mycobacterium haemophilum)、マイコバクテリウム・ハシカム(Mycobacterium hassicum)、マイコバクテリウム・イントラセルラレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・インタージェクタム(Mycobacterium interjectum)、マイコバクテリウム・ヘイデルベレンス(Mycobacterium heidelberense)、マイコバクテリウム・レンチフラバム(Mycobacterium lentiflavum)、マイコバクテリウム・マルモエンス(Mycobacterium malmoense)、マイコバクテリウム・ミクロゲニカム(Mycobacterium microgenicum)、マイコバクテリウム・ミクロチ(Mycobacterium microti)、マイコバクテリウム・ムコゲニカム(Mycobacterium mucogenicum)、マイコバクテリウム・ネオオーラム(Mycobacterium neoaurum)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(Mycobacterium nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・ペレグリナム(Mycobacterium peregrinum)、マイコバクテリウム・フレイ(Mycobacterium phlei)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(Mycobacterium scrofulaceum)、マイコバクテリウム・シモイデイ(Mycobacterium shimoidei)、マイコバクテリウム・シミアエ(Mycobacterium simiae)、マイコバクテリウム・スズルガイ(Mycobacterium szulgai)、マイコバクテリウム・テラエ(Mycobacterium terrae)、マイコバクテリウム・サーモレジスタビル(Mycobacterium thermoresistabile)、マイコバクテリウム・トリプレックス(Mycobacterium triplex)、マイコバクテリウム・トリビアレ(Mycobacterium triviale)、マイコバクテリウム・ツシアエ(Mycobacterium tusciae)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)、マイコバクテリウム・ウォリンスキ(Mycobacterium wolinskyi)およびマイコバクテリウム・キセノピ(Mycobacterium xenopi));
ヘモフィルス属(例えば、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、ヘモフィルス・エジプチウス(Haemophilus aegyptius)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィルス・ヘモリティカス(Haemophilus haemolyticus)およびヘモフィルス・パラヘモリティカス(Haemophilus parahaemolyticus));
アクチノバチルス属(例えば、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アクチノバチルス・エクリ(Actinobacillus equuli)、アクチノバチルス・ホミニス(Actinobacillus hominis)、アクチノバチルス・リグニエレシ(Actinobacillus lignieresii)、アクチノバチルス・スイス(Actinobacillus suis)およびアクチノバチルス・ウレア(Actinobacillus ureae));
アクチノミセス属(例えば、アクチノミセス・イスラエリ(Actinomyces israelii));
ブルセラ菌(例えば、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリンテンシス(Brucella melintensis)およびブルセラ・スイス(Brucella suis));
カンピロバクター属(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)およびカンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus));
リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes);
ビブリオ属(例えば、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)およびビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・アルギノリティカス(Vibrio alginolyticus)、ビブリオ・カルチャリア(Vibrio carchariae)、ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)、ビブリオ・フルニシ(Vibrio furnissii)、ビブリオ・ホリサエ(Vibrio hollisae)、ビブリオ・メトシュニコビ(Vibrio metschnikovii)、ビブリオ・ミミカス(Vibrio mimicus)およびビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus));
エリシペロトリックス・ルゾパシア(Erysipelothrix rhusopathiae);
コリネバクテリウム属(例えば、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ジェイケウム(Corynebacterium jeikeum)およびコリネバクテリウム・ウレアリティカム(Corynebacterium urealyticum));
スピロヘータ科、例えば、ボレリア属(例えば、ボレリア・レクレンティス(Borrelia recurrentis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・アンダーソニ(Borrelia andersonii)、ボレリア・ビセッティ(Borrelia bissettii)、ボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、ボレリア・ジャポニカ(Borrelia japonica)、ボレリア・ルシタニエ(Borrelia lusitaniae)、ボレリア・タヌキ(Borrelia tanukii)、ボレリア・タルジ(Borrelia turdi)、ボレリア・バライシアナ(Borrelia valaisiana)、ボレリア・カウカシカ(Borrelia caucasica)、ボレリア・クロシデュラエ(Borrelia crocidurae)、ボレリア・デュトニ(Borrelia duttoni)、ボレリア・グラインゲリ(Borrelia graingeri)、ボレリア・ヘルムシ(Borrelia hermsii)、ボレリア・ヒスパニカ(Borrelia hispanica)、ボレリア・ラチシェウィ(Borrelia latyschewii)、ボレリア・マゾッティ(Borrelia mazzottii)、ボレリア・パルケリ(Borrelia parkeri)、ボレリア・ペルシカ(Borrelia persica)、ボレリア・ツリカタエ(Borrelia turicatae)およびボレリア・ベネズエレンシス(Borrelia venezuelensis))ならびにトレポネマ属(トレポネマ・パリダム種パリダム(Treponema pallidum ssp. pallidum)、トレポネマ・パリダム種エンデミカム(Treponema pallidum ssp. endemicum)、トレポネマ・パリダム種ペルテヌ(Treponema pallidum ssp. pertenue)およびトリポネマ・カラテウム(Treponema carateum));
パスツレラ属(例えば、パスツレラ・アエロジェネス(Pasteurella aerogenes)、パスツレラ・ベチアエ(Pasteurella bettyae)、パスツレラ・カニス(Pasteurella canis)、パスツレラ・ダグマティス(Pasteurella dagmatis)、パスツレラ・ガリナルム(Pasteurella gallinarum)、パスツレラ・ヘモリティカ(Pasteurella haemolytica)、パスツレラ・マルトシダ・マルトシダ(Pasteurella multocida multocida)、パスツレラ・マルトシダ・ガリシダ(Pasteurella multocida gallicida)、パスツレラ・マルトシダ・セプティカ(Pasteurella multocida septica)、パスツレラ・ニューモトロピカ(Pasteurella pneumotropica)およびパスツレラ・ストマティス(Pasteurella stomatis));
ボルデテラ属(例えば、ボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)、ボルデテラ・ヒンジ(Bordetella hinzii)、ボルデテラ・ホルムセイ(Bordetella holmseii)、ボルデテラ・パラペルツシス(Bordetella parapertussis)、ボルデテラ・ペルツシス(Bordetella pertussis)およびボルデテラ・トレマタム(Bordetella trematum));
ノカルジア科、例えば、ノカルジア属(例えば、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)およびノカルジア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis));
リケッチア属(例えば、リクセトシ(Ricksettsii)もしくはコキシエラ・ブルネチ(Coxiella burnetii));
レジオネラ属(例えば、レジオネラ・アニサ(Legionalla anisa)、レジオネラ・ビルミンガメンシス(Legionalla birminghamensis)、レジオネラ・ボゼマニ(Legionalla bozemanii)、レジオネラ・シンシナチエンシス(Legionalla cincinnatiensis)、レジオネラ・デュモフィ(Legionalla dumoffii)、レジオネラ・フィーレイ(Legionalla feeleii)、レジオネラ・ゴルマニ(Legionalla gormanii)、レジオネラ・ハケリア(Legionalla hackeliae)、レジオネラ・イスラエレンシス(Legionalla israelensis)、レジオネラ・ジョルダニス(Legionalla jordanis)、レジオネラ・ランシンジェンシス(Legionalla lansingensis)、レジオネラ・ロングビーチェ(Legionalla longbeachae)、レジオネラ・マセアチェルニ(Legionalla maceachernii)、レジオネラ・ミクダデイ(Legionalla micdadei)、レジオネラ・オークリッジェンシス(Legionalla oakridgensis)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionalla pneumophila)、レジオネラ・サインテレンシ(Legionalla sainthelensi)、レジオネラ・タクソネンシス(Legionalla tucsonensis)およびレジオネラ・ワドワーシ(Legionalla wadsworthii));
モラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis);
シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis);
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica);
ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia);
膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis);
トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii);
ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia);
ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia);ブルクホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)およびブルクホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei);
フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis);
カルドネレラ属(例えば、ガルドネレラ・バギナリス(Gardneralla vaginalis)およびガルドネレラ・モビルンカス(Gardneralla mobiluncus));
ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis);
フラボバクテリア科、例えば、カプノサイトファガ属(例えば、カプノサイトファガ・カニモルサス(Capnocytophaga canimorsus)、カプノサイトファガ・シノデグミ(Capnocytophaga cynodegmi)、カプノサイトファガ・ギンギバリス(Capnocytophaga gingivalis)、カプノサイトファガ・グラヌロサ(Capnocytophaga granulosa)、カプノサイトファガ・ヘモリティカ(Capnocytophaga haemolytica)、カプノサイトファガ・オクラセア(Capnocytophaga ochracea)およびカプノサイトファガ・スプチゲナ(Capnocytophaga sputigena));
バルトネラ属(バルトネラ・バシリフォルミス(Bartonella bacilliformis)、バルトネラ・クラリッジア(Bartonella clarridgeiae)、バルトネラ・エリザベータ(Bartonella elizabethae)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、バルトネラ・キンタナ(Bartonella quintana)およびバルトネラ・ビンソニ・アルペンシス(Bartonella vinsonii arupensis));
レプトスピラ属(例えば、レプトスピラ・ビフレキサ(Leptospira biflexa)、レプトスピラ・ボルグペテルセニ(Leptospira borgpetersenii)、レプトスピラ・イナダイ(Leptospira inadai)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・キルシュネリ(Leptospira kirschneri)、レプトスピラ・ノグチ(Leptospira noguchii)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)およびレプトスピラ・ウェイリ(Leptospira weilii));
スピリリウム(例えば、スピリリウム・ミヌス(Spirillum minus));
バクテロイデス属(例えば、バクテロイデス・カッカエ(Bacteroides caccae)、バクテロイデス・カピロサス(Bacteroides capillosus)、バクテロイデス・コアグランス(Bacteroides coagulans)、バクテロイデス・ジスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・エゲルチ(Bacteroides eggerthii)、バクテロイデス・フォルシタス(Bacteroides forsythus)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・メルダエ(Bacteroides merdae)、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・プトレジニス(Bacteroides putredinis)、バクテロイデス・ピオジェネス(Bacteroides pyogenes)、バクテロイデス・スプランチニカス(Bacteroides splanchinicus)、バクテロイデス・ステルコリス(Bacteroides stercoris)、バクテロイデス・テクタス(Bacteroides tectus)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ウレオリティカス(Bacteroides ureolyticus)およびバクテロイデス・バルガタス(Bacteroides vulgatus));
プレボテラ属(例えば、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・デンタリス(Prevotella dentalis)(ミツオケラ・デンタリス(Mitsuokella dentalis))、プレボテラ・デンチコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)、プレボテラ・エノエカ(Prevotella enoeca)、プレボテラ・ヘパリノリティカ(Prevotella heparinolytica)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・ロエシ(Prevotella loeschii)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテラ・ニグレセンス(Prevotella nigrescens)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・オーロラ(Prevotella oulora)、プレボテラ・タネラエ(Prevotella tannerae)、プレボテラ・ベノラリス(Prevotella venoralis)およびプレボテラ・ズーグレオフォルミス(Prevotella zoogleoformans));
ポルフィロモナス属(例えば、ポルフィロモナス・アサカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、ポルフィロモナス・カンギンギバリス(Porphyromonas cangingivalis)、ポルフィロモナス・カノリス(Porphyromonas canoris)、ポルフィロモナス・カンサルシ(Porphyromonas cansulci)、ポルフィロモナス・カトニエ(Porphyromonas catoniae)、ポルフィロモナス・サーカムデンタリア(Porphyromonas circumdentaria)、ポルフィロモナス・クレビオリカニス(Porphyromonas crevioricanis)、ポルフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis)、ポルフィロモナス・ギンギバリス(Porphyromonas gingivalis)、ポルフィロモナス・ギンギビカニス(Porphyromonas gingivicanis)、ポルフィロモナス・レビ(Porphyromonas levii)およびポルフィロモナス・マカカエ(Porphyromonas macacae));
フソバクテリウム属(例えば、フソバクテリウム・ゴナディアフォルマンス(F. gonadiaformans)、フソバクテリウム・モルチフェラム(F. mortiferum)、フソバクテリウム・ナビフォルム(F. naviforme)、フソバクテリウム・ネクロジェネス(F. necrogenes)、フソバクテリウム・ネクロフォラム・ネクロフォラム(F. necrophorum necrophorum)、フソバクテリウム・ネクロフォラム・ファンジリフォルム(F. necrophorum fundiliforme)、フソバクテリウム・ヌクレアタム・ヌクレアタム(F. nucleatum nucleatum)、フソバクテリウム・ヌクレアタム・フシフォルム(F. nucleatum fusiforme)、フソバクテリウム・ヌクレアタム・ポリモルファム(F. nucleatum polymorphum)、フソバクテリウム・ヌクレアタム・ビンセンチ(F. nucleatum vincentii)、フソバクテリウム・ペリオドンチカム(F. periodonticum)、フソバクテリウム・ルシ(F. russii)、フソバクテリウム・ウルセランス(F. ulcerans)およびフソバクテリウム・バリウム(F. varium));
クラミジア属(例えば、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis));
クリプトスポリジウム属(例えば、クリプトスポリジウム・パルバム(C. parvum)、クリプトスポリジウム・ホミニス(C. hominis)、クリプトスポリジウム・カニス(C. canis)、クリプトスポリジウム・フェリス(C. felis)、クリプトスポリジウム・メレアグリディス(C. meleagridis)およびクリプトスポリジウム・ムリス(C. muris));
クラミドフィラ属(例えば、クラミドフィラ・アボルタス(Chlamydophila abortus)(クラミジア・プシタシ(Chlamydia psittaci))、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、(クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae))およびクラミドフィラ・プシタシ(Chlamydophila psittaci)(クラミジア・プシタシ(Chlamydia psittaci)));
ロイコノストク属(例えば、ロイコノストク・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストク・クレモリス(Leuconostoc cremoris)、ロイコノストク・デキストラニカム(Leuconostoc dextranicum)、ロイコノストク・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストク・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)およびロイコノストク・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides));
ゲメラ属(例えば、ゲメラ・ベルゲリ(Gemella bergeri)、ゲメラ・ヘモリサンス(Gemella haemolysans)、ゲメラ・モルビロラム(Gemella morbillorum)およびゲメラ・サンギニス(Gemella sanguinis));ならびに
ウレアプラズマ属(例えば、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)およびウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum))。
【0045】
本明細書で使用される場合、「真菌」という用語(および「真菌感染」などのそれの派生語)は、下記の分類および具体的な種類の生物(または生物による感染)への言及を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
アブジディア属(例えば、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera));
アジェロミセス属(例えば、アジェロミセス・カプスラタス(Ajellomyces capsulatus)およびアジェロミセス・デルマチチディス(Ajellomyces dermatitidis));
アルスロデルマ属(例えば、アルスロデルマ・ベンハミア(Arthroderma benhamiae)、アルスロデルマ・フルバム(Arthroderma fulvum)、アルスロデルマ・ジプセウム(Arthroderma gypseum)、アルスロデルマ・インカルバタム(Arthroderma incurvatum)、アルスロデルマ・オタエ(Arthroderma otae)およびアルスロデルマ・バンブレウセゲミ(Arthroderma vanbreuseghemii));
アスペルギルス属(例えば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)およびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger));
ブラストミセス属(例えば、ブラストミセス・デルマチチディス(Blastomyces dermatitidis));
カンジダ属(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・ギリエルモンジ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)およびカンジダ・ペリクロサ(Candida pelliculosa));
クラドフィアロフォラ属(例えば、クラドフィアロフォラ・カリオニ(Cladophialophora carrionii));
コクシジオイデス属(例えば、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)およびコクシジオイデス・ポサダシ(Coccidioides posadasii));
クリプトコッカス属(例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans);
クニングハメラ(例えば、クニングハメラ種);
表皮菌(例えば、エピデルモフィトン・フロッコサム(Epidermophyton floccosum));
エクソフィアラ属(例えば、エクソフィアラ・デルマチチディス(Exophiala dermatitidis));
フィロバシディエラ属(例えば、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans));
フォンセセア属(例えば、フォンセセア・ペドロソイ(Fonsecaea pedrosoi));
フザリウム属(例えば、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani));
ゲオトリカム属(例えば、ゲオトリカム・カンジダム(Geotrichum candidum));
ヒストプラズマ属(例えば、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum));
ホルテア属(例えば、ホルテア・ウェルネッキ(Hortaea werneckii));
イサッチェンキア属(例えば、イサッチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis));
マズレラ属(例えば、マズレラ・グリサエ(Madurella grisae));
マラセジア属(例えば、マラセジア・フルフル(Malassezia furfur)、マラセジア・グロボサ(Malassezia globosa)、マラセジア・オブツサ(Malassezia obtusa)、マラセジア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)、マラセジア・レストリクタ(Malassezia restricta)、マラセジア・スロフィア(Malassezia slooffiae)およびマラセジア・シンポディアリス(Malassezia sympodialis));
小胞子菌(例えば、ミクロスポラム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポラム・フルバム(Microsporum fulvum)およびミクロスポラム・ジプセウム(Microsporum gypseum));
微胞子虫;
ケカビ(例えば、ムコル・サーシネロイデス(Mucor circinelloides));
ネクトリア属(例えば、ネクトリア・ヘマトコッカ(Nectria haematococca));
ペシロミセス属(例えば、ペシロミセス・バリオチ(Paecilomyces variotii));
パラコクシディオイデス属(例えば、パラコクシディオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis));
ペニシリウム属(例えば、ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium marneffei));
ピチア属(例えば、ピチア・アノマラ(Pichia anomala)およびピチア・ギリエルモンジ(Pichia guilliermondii));
ニューモシスティス属(例えば、ニューモシスティス・ジロベシ(Pneumocystis jiroveci)(ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)));
シューダレシェリア属(例えば、シューダレシェリア・ボイジ(Pseudallescheria boydii));
リゾプス属(例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae));
ロドトルラ属(例えば、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra));
シェドスポリウム属(例えば、シェドスポリウム・アピオスペルマム(Scedosporium apiospermum));
シゾフィラム属(例えば、シゾフィラム・コミュネ(Schizophyllum commune));
スポロトリックス属(例えば、スポロトリックス・シェンキ(Sporothrix schenckii));
白癬菌属(例えば、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・ベルコサム(Trichophyton verrucosum)およびトリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum));ならびに
トリコスポロン属(例えば、トリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、トリコスポロン・インキン(Trichosporon inkin)およびトリコスポロン・ムコイデス(Trichosporon mucoides))。
【0046】
本発明の組み合わせを用いて治療可能な特定の細菌には、下記のものなどがある。
黄色ブドウ球菌(Staph. aureus)(メチシリン感受性(すなわち、MSSA)もしくはメチシリン耐性(すなわち、MRSA))およびスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staph. epidermidis)などのブドウ球菌;
ストレプトコッカス・アガラクチア(Strept. agalactiae)およびストレプトコッカス・ピオジェネス(Strept. pyogenes)などの連鎖球菌;
バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)などのバチルス属;
大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ(Klebsiella)(例えば、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebs. pneumoniae)およびクレブシエラ・オキシトカ(Klebs. oxytoca))ならびにプロテウス(Proteus)(例えば、プロテウス・ミラビリス(Pr. mirabilis)、プロテウス・レトゲリ(Pr. rettgeri)およびプロテウス・バルガリス(Pr. vulgaris))などの腸内細菌;
インフルエンザ菌(Haemophilis influenzae);
エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)およびエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)などの腸球菌;および
マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)などのマイコバクテリウム属。
【0047】
好ましくは、その細菌は、黄色ブドウ球菌(S. aureus);MSSAまたはMRSAである。
【0048】
本発明の組み合わせで処置可能な特定の真菌には、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)およびニューモシスティス・ジロベシ(Pneumocystis jiroveci)などがある。
【0049】
本発明の組み合わせは、上記したような細菌または真菌生物のいずれかに関連する感染を予防および/または治療するのに用いることができる。本発明の組み合わせは、特にそのような感染に関連する増殖性、非増殖性および/または臨床的に潜伏性の微生物を死滅させるのに用いることができる。
【0050】
本発明の組み合わせを用いて予防および/または治療可能な特定の疾患には、結核(例えば、肺結核、非肺結核(リンパ腺結核、泌尿生殖器結核、骨および関節の結核、結核性髄膜炎)および粟粒結核症)、炭疽病、膿瘍、尋常性座瘡、放線菌症、喘息、細菌性赤痢、細菌性結膜炎、細菌性角膜炎、細菌性膣炎、ボツリヌス中毒症、ブルーリ潰瘍、骨および関節の感染症、気管支炎(急性もしくは慢性)、ブルセラ症、火傷、猫引っ掻き熱、蜂巣炎(cellulitis)、軟性下疳、胆管炎、胆嚢炎、皮膚ジフテリア、嚢胞性線維症、膀胱炎、びまん性汎細気管支炎、ジフテリア、虫歯、上気道疾患、湿疹、蓄膿症、心内膜炎、子宮内膜炎、腸チフス、腸炎、精巣上体炎、喉頭蓋炎、エリシペリス(erysipelis)、丹毒(erysipclas)、類丹毒、紅色陰癬、眼感染症、フルンケル、ガルドネレラ菌性膣炎、胃腸管感染(胃腸炎)、生殖器感染、歯肉炎、淋病、鼠径部肉芽腫、ハーバーヒル熱、感染熱傷、歯科手術後の感染、口腔領域の感染、人工器官に関連する感染、腹腔内膿瘍、レジオネラ症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、肝臓膿瘍、ライム病、鼠径リンパ肉芽腫、乳腺炎、乳様突起炎、髄膜炎および神経系の感染、菌腫、ノカルジア症(例えば、マズラ足)、非特異的尿道炎、眼炎(例えば、新生児眼炎)、骨髄炎、耳炎(例えば、外耳炎および中耳炎)、精巣炎、膵炎、爪周囲炎、骨盤腹膜炎、腹膜炎、虫垂炎に伴う腹膜炎、咽頭炎、蜂巣炎(phlegmons)、ピンタ、伝染病、胸水、肺炎、術後創傷感染、術後ガス壊疽、前立腺炎、偽膜性大腸炎、オウム病、肺気腫、腎盂腎炎、膿皮症(例えば、膿痂疹)、Q熱、ネズミ咬熱、細網症、リシン中毒、リッター病、サルモネラ症、卵管炎、敗血症性関節炎、敗血症性感染、敗血症、副鼻腔炎、皮膚感染(例えば、皮膚肉芽腫、膿痂疹、毛嚢炎およびせつ腫症)、梅毒、全身感染、へんとう炎、毒素性ショック症候群、トラコーマ、野兎病、腸チフス、発疹チフス(例えば、流行性発疹チフス、発疹熱、草原熱および紅斑熱)、尿道炎、創傷感染、イチゴ腫、アスペルギルス症、カンジダ症(例えば、口腔咽頭カンジダ症、膣カンジダ症もしくは亀頭炎)、クリプトコッカス症、黄癬、ヒストプラスマ症、間擦疹、ムコール菌症、白癬(例えば、体部白癬、頭部白癬、頑癬、足白癬および爪白癬)、爪甲真菌症、虹色粃糠疹、輪癬(ringworm)ならびにスポロトリクム症;またはMSSA、MRSA、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staph. epidermidis)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Strept. agalactiae)、ストレプトコッカス・ピオジェネス(Strept. pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebs. pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebs. oxytoca)、プロテウス・ミラビリス(Pr. mirabilis)、プロテウス・レトゲリ(Pr. rettgeri)、プロテウス・バルガリス(Pr. vulgaris)、インフルエンザ菌(Haemophilis influenzae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)またはエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)による感染などがある。
【0051】
本明細書において「治療」に言及する場合、それは既存の疾患もしくは症状の治療だけでなく、予防にも拡大して適用される。
【0052】
本発明の1態様において、1以上の別の抗微生物化合物も、上記の本発明の組み合わせとともに投与可能であることは明らかであろう。
【0053】
本明細書で使用される場合、「製薬上許容し得る誘導体」という用語は、
(a)製薬上許容し得る塩;および/または
(b)溶媒和物(水和物など)
を意味する。
【0054】
好適な酸付加塩には、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオル酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩またはテレフタル酸塩)、ハライド塩(例えば、塩化物塩、臭化物塩またはヨウ化物塩)、スルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩、メチル-、ブロモ-もしくはクロロ-ベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、1-もしくは2-ナフタレン-スルホン酸塩または1,5-ナフタレンジスルホン酸塩)または硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩または硝酸塩などがある。
【0055】
ムピロシンの好ましい塩は、それのカルシウム塩、すなわちムピロシンカルシウムである。
【0056】
ネオマイシンの好ましい塩は、それの硫酸塩、すなわち硫酸ネオマイシンである。
【0057】
疑問が生じるのを回避するため、本明細書において4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンについて言及する場合、それは下記の化学構造を有する化合物を意味する。
【0058】
【0059】
4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体は、当業界で公知の方法によって、例えば公開番号WO2007054693およびWO2008056151の国際出願に開示の方法に従うことで製造することができる。4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンの製薬上許容し得る誘導体の好ましいものには、それの塩酸塩およびメシル酸塩などがある。
【0060】
ムピロシンおよびムピロシンカルシウムは、例えばシグマ アルドリッチ社(Sigma Aldrich Limited)から市販されている。ムピロシンは、商品名バクトロバン(登録商標)でも知られており、それは軟膏およびクリームの形態で、具体的には鼻軟膏の形態で入手可能である。
【0061】
ネオマイシンおよび硫酸ネオマイシンは、例えばシグマ アルドリッチ社から市販されている。ネオマイシンは、錠剤の形態で商品名ニベマイシン(登録商標)でも知られている。クロルヘキシジン二塩酸塩と組み合わせた場合、その組み合わせは鼻クリームの形態で、商品名ナセプチン(登録商標)で知られている。
【0062】
本発明の化合物は、同時にまたは順次に投与することができる。順次に投与される場合、4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンもしくはその製薬上許容し得る誘導体、またはムピロシンもしくはその製薬上許容し得る誘導体、またはネオマイシンもしくはその製薬上許容し得る誘導体を最初に投与することができる。投与が同時である場合、その組み合わせは、同一医薬組成物または異なる医薬組成物で投与することができる。
【0063】
本発明の化合物は、原体として投与することが可能であるが、有効成分は好ましくは医薬組成物の形態で提供される。
【0064】
有効成分は、別個の製剤としてまたは単一の組み合わせ製剤として用いることができる。同一製剤中で組み合わせる場合、これら化合物が安定であって、互いに適合するとともに、製剤の他の成分とも適合しなければならないことは明らかであろう。
【0065】
本発明の製剤には、経口、非経口(例えば注射もしくはデポー錠剤による皮下、皮内、髄腔内(intrathecal)、例えばデポーによる筋肉および静脈投与など)、直腸および局所(経皮、口腔および舌下投与など)投与に好適なもの、または吸入投与もしくは吹送投与に好適な形態のものなどがある。最も好適な投与経路は、患者の状態および疾患によって決まり得るものである。
【0066】
好ましくは、本発明の組成物は経口投与、局所投与または吸入用に製剤される。
【0067】
当該製剤は簡便には、単位製剤で提供することができ、例えば“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, Lippincott Williams and Wilkins, 21st Edition, (2005)に記載のような製薬業界で公知のいずれかの方法によって調製することができる。好適な方法は、1以上の賦形剤を構成する担体と有効成分を組み合わせる段階を含む。一般に、製剤は、液体担体もしくは微粉砕固体担体またはその両方と有効成分を均一かつ十分に混和し、次にそれを必要に応じて成形して所望の製剤とすることで調製される。これら2つの有効成分を独立に投与する場合、それぞれを異なる手段によって投与可能であることは明らかであろう。
【0068】
賦形剤とともに製剤する場合、有効成分は混合物全体の0.1から99.5重量%(0.5から95重量%など)の濃度で存在させることができ、簡便には錠剤およびカプセルの場合で30から95%、液体製剤の場合で0.01から50%である。
【0069】
ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体の好適な濃度は、組み合わせ全量の約0.2から2重量%である。例えば、組み合わせ全量の0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2重量%、好ましくは約2重量%である。
【0070】
ネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体の好適な濃度は、組み合わせ全量の約0.05から1重量%であり、例えば0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9または1重量%、好ましくは約0.05から0.5重量%、例えば約0.5重量%である。
【0071】
驚くべきことに、当該三剤組み合わせが、低濃度の4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体とであっても相乗的抗微生物活性を有することが認められている。やはり驚くべきことに、当該三剤組み合わせが、ムピロシンもしくはその製薬上許容し得る誘導体、および/またはネオマイシンもしくはその製薬上許容し得る誘導体が低濃度であっても、有効であることが認められている。
【0072】
4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体の好適な濃度は、組み合わせ全量の約0.01から約2重量%、好ましくは0.1から約1重量%、例えば0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9または1重量%である。好ましくは、組み合わせ全量の約1重量%である。
【0073】
経口投与に好適な製剤は、それぞれが所定量の有効成分を含むカプセル、カシェ剤または錠剤(例えば、特に小児投与用の咀嚼錠など)などの個別の単位として;粉剤もしくは粒剤として;水系液体もしくは非水系液体中の液剤もしくは懸濁液として;または水中油型乳濁液もしくは油中水型乳濁液として提供することができる。有効成分は、ボラス剤、舐剤またはペーストとして提供しても良い。
【0074】
錠剤は、適宜に1以上の賦形剤とともに圧縮または成形することで製造可能である。圧縮錠は、好適な機械で、粉末または顆粒などの自由流動な形態の有効成分を、適宜に結合剤(例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプンのり、ポリビニルピロリドンおよび/またはヒドロキシメチルセルロース)、充填剤(例えば乳糖、砂糖、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウムおよび/またはソルビトール)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールおよび/またはシリカ)、崩壊剤(例えばジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウムおよび/またはデンプングリコール酸ナトリウム)および湿展剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などの他の従来の賦形剤と混合して圧縮することで製造することができる。成形錠は、好適な機械で、粉末の有効成分と不活性液体希釈剤との混合物を成形することで作ることができる。錠剤にはコーティングを施したり、刻印を付けても良く、有効成分の徐放(例えば遅延、持続もしくはパルス放出または即時放出と徐放の組み合わせ)が行われるように製剤することができる。
【0075】
あるいは、有効成分は、水系もしくは油系の懸濁液、液剤、乳濁液、シロップまたはエリキシル剤などの経口液体製剤に組み込むことができる。有効成分を含む製剤は、使用前に水または別の好適な媒体で再生させる乾燥品として提供することもできる。そのような液体製剤は、懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび/または硬化食用油脂)、乳化剤(例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタンおよび/またはアカシア)、非水系媒体(例えば扁桃油などの食用油、ヤシ油、油状エステル類、プロピレングリコールおよび/またはエチルアルコール)および保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、および/またはソルビン酸)のような従来の添加剤を含むことができる。
【0076】
皮膚または指状突起が届く膜(口、膣、頸部、肛門および直腸の膜など)の疾患を治療する上で有用な局所組成物には、クリーム、軟膏、ローション、噴霧剤、ゲルおよび無菌水溶液または懸濁液などがある。従って、局所組成物には、有効成分を当業界で公知の皮膚用媒体(例えば、水系もしくは非水系ゲル、軟膏、油中水もしくは水中油型の乳濁液)中に溶解または分散させたものなどがある。そのような媒体の構成要素は、水、緩衝水溶液、非水系溶媒(エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、グリコフロールもしくはグリセロールなど)、油(例えば、液体パラフィンなどの鉱物油、Miglyol(商標名)などの天然もしくは合成トリグリセリド、またはジメチコンなどのシリコン油)を含んでもよい。特に、製剤の性質ならびにそれの所期の用途および使用部位に応じて、用いられる皮膚用媒体は、以下のリスト:可溶化剤または溶媒(例えば、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンなどのβ-シクロデキストリン、またはエタノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールなどのアルコールもしくは多価アルコール);増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースもしくはカルボマー);ゲル化剤(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー);保存剤(例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、クロルブトール、安息香酸、ソルビン酸カリウムまたはEDTAもしくはその塩);ならびにpH緩衝剤(リン酸二水素とリン酸水素塩の混合物、またはクエン酸とリン酸水素塩の混合物など)から選択される1以上の成分を含んでもよい。局所製剤は、経皮貼付剤として製剤することもできる。
【0077】
クリーム、軟膏、ローション、噴霧剤および無菌水溶液または懸濁液などの局所医薬組成物を製造する方法は当業界で公知である。局所医薬組成物を調製する好適な方法は、例えば、WO9510999、米国特許第6974585号、WO2006048747およびこれらの参考文献のいずれかで引用の文書に記載されている。
【0078】
本発明による局所医薬組成物を用いて、上記いずれかの細菌、真菌(例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)(MRSA))などの前記のブドウ球菌、連鎖球菌、マイコバクテリウム属またはシュードモナス菌のいずれか)による皮膚または膜の感染(例えば、鼻粘膜、腋窩、鼠径部、会陰、直腸、皮膚炎皮膚、皮膚潰瘍、ならびに静脈注射針、カテーテルおよび気管切開チューブもしくは栄養管などの医療機器の挿入部位)などの様々な皮膚または膜の症状を治療することができる。本発明の好ましい実施形態では、MRSAの鼻除菌のための局所医薬組成物が提供される。
【0079】
本発明の局所組成物は、手術前の手術手指消毒、消毒手洗い、ならびに選択的手術を受ける患者における手術前および手術後の消毒に用いることができる。
【0080】
本発明による局所医薬組成物により治療することができる特定の細菌疾患としては、本明細書において前記で開示された皮膚および膜関連疾患、ならびに尋常性座瘡;酒さ(紅斑性毛細血管拡張性酒さ、丘疹膿疱性酒さ、瘤腫性酒さおよび眼性酒さなど);丹毒;紅色陰癬;膿瘡;壊疽性膿瘡;膿痂疹;爪周囲炎;蜂巣炎;毛嚢炎(温水浴槽毛嚢炎など)、せつ腫症、カルブンケル症、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群;外科的猩紅熱;連鎖球菌肛門周囲疾患;連鎖球菌毒素性ショック症候群;陥凹性角質溶解;黄菌毛症;外耳道感染;緑爪症候群;スピロヘータ症;壊疽性筋膜炎;マイコバクテリウム皮膚感染(尋常性狼瘡、皮膚腺病、いぼ状結核、結核疹、結節性紅斑、硬結性紅斑、結核型ハンセン病もしくは癩腫癩の皮膚症状、癩性結節性紅斑、皮膚のマイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・マルモエンス(M. malmoense)、マイコバクテリウム・スズルガイ(M. szulgai)、マイコバクテリウム・シミアエ(M. simiae)、マイコバクテリウム・ゴルドナ(M. gordonae)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(M. haemophilum)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラレ(M. intracellulare)、マイコバクテリウム・シェロナエ(M. chelonae)(マイコバクテリウム・アブセサス(M. abscessus)など)またはマイコバクテリウム・フォルツイタム(M. fortuitum)感染、スイミングプール(もしくは魚槽)肉芽腫、リンパ節炎およびブルーリ潰瘍(ベアンズデイル潰瘍、サールズ潰瘍、カケリフ潰瘍もしくはトロ潰瘍));ならびに感染性湿疹、感染熱傷、感染擦過傷および感染皮膚創傷などもある。
【0081】
本発明の局所医薬組成物により治療することができる特定の真菌症には、本明細書において前記で開示された皮膚および膜関連疾患、ならびにカンジダ症;スポロトリクム症;白癬(例えば、足白癬、頑癬、頭部白癬、爪白癬または体部白癬);癜風;および白癬菌属、小胞子菌、表皮菌もしくはピチロスポルム・オバーレ(Pityrosporum ovale)真菌による感染などもある。
【0082】
本発明による使用のための組成物は、有効成分を含む1以上の単位製剤を含むことができるパックまたはディスペンサー装置に入れて提供することができる。パックは例えば、ブリスタパックなどの金属またはプラスチック箔を含むことができる。組成物を2つの別個の組成物として投与することを意図している場合、それらはツインパックの形態で提供することができる。
【0083】
医薬組成物は、単一のパッケージ、通常はブリスタパックで、治療の全過程を含む「患者パック」で患者に処方することもできる。従来の処方では通常は紛失してしまう患者パックに入った添付書類を患者が常に見るという点で、薬剤師がバルク補給から患者の薬剤供給分を小分けする従来の処方と比較して、患者パックは有利である。添付文書を入れることで、医師の指示に対する患者の服用遵守が改善されることが明らかになっている。
【0084】
本発明の正しい使用を患者に説明する添付文書を含む、単一の患者パックまたは各組成物の患者パックによる本発明の組み合わせの投与が、本発明のさらなる特徴である。
【0085】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明による組み合わせの少なくとも一つの有効成分、すなわち4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体、ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、およびネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体のうちの少なくとも一つ、ならびに本発明の組み合わせの使用に関する説明が記載された添付文書を含む患者パックが提供される。
【0086】
本発明の別の実施形態では、別個投与用に関連して、(a)4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリンまたはその製薬上許容し得る誘導体、(b)ムピロシンまたはその製薬上許容し得る誘導体、および(c)ネオマイシンまたはその製薬上許容し得る誘導体を含む三剤パックが提供される。
【0087】
治療で使用する上で必要な有効成分の量は、治療される疾患の性質ならびに患者の年齢および状態によって変動するものであり、最終的には担当の医師または獣医の裁量で決まるものである。しかしながら一般には、成人の治療に用いられる用量は、代表的には0.02から5000mg/日、好ましくは1から1500mg/日の範囲である。望ましい用量は、単回投与で、または適切な間隔を設けて、例えば1日当たり2回、3回、4回もしくはそれ以上の回数に分けて投与される分割投与として、簡便に示すことができる。
【0088】
生物試験
有効成分の生物学的活性(例えば、殺細菌活性または抗微生物活性)を求めるのに用いることができる試験手順としては、
(a)臨床的に潜伏性の細菌に対する殺細菌活性;および
(b)対数期細菌に対する抗微生物活性
を測定する上での当業者に公知のものなどがある。
【0089】
上記の(a)に関して、臨床的に潜伏性の細菌に対する活性を測定する方法には、当業者に公知の条件(Nature Reviews, Drug Discovery 1, 895-910 (2002)(その開示内容は参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載のものなど)下での試験化合物に関する最小静止期殺菌濃度(「MSC」)または最小休眠期殺菌濃度(「MDC」)の測定などがある。
【0090】
例を挙げると、WO2000028074には、臨床的に潜伏性の微生物を死滅させる能力を測定するための好適な化合物スクリーニング方法が記載されている。代表的な方法には、下記の段階:
(1)細菌培養物を静止期まで増殖させる段階;
(2)静止期培養物を、増殖細菌を死滅させるのに十分な濃度および/または時間で1以上の抗微生物剤で処理することで、表現型的に抵抗性の下位個体群を選択する段階;
(3)表現型的に抵抗性の下位個体群のサンプルを1以上の試験化合物または薬剤とともにインキュベートする段階;および
(4)表現型的に抵抗性の下位個体群に対する抗微生物効果を評価する段階
を含むことができる。
【0091】
この方法によれば、表現型的に抵抗性の下位個体群は、in vivoで代謝的に活性のままであって、疾患を再発または発症させ得る臨床的に潜伏性の細菌を代表するものと見ることができる。
【0092】
上記の(b)に関して、対数期細菌に対する活性を測定する方法は、標準的な条件(すなわち、WO2005014585(その開示内容は参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載のものなどの当業者には公知の条件)下での試験化合物に関する最小阻害濃度(MIC)または最小殺細菌剤濃度(MBC)の測定などがある。そのような方法の具体例について下記で説明する。
【実施例】
【0093】
材料および方法
細菌株および培地
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(Oxford);グラム陽性;参考株。
栄養ブイヨン(Nutrient Broth)No.2(NB)(Oxoid, Cambridge, UK)を、細菌の終夜増殖に用いた。
アイソセンシテストブイヨン(Oxoid)を、抗微生物組み合わせの効力の評価に用いた。
トリプトン大豆寒天(TSA)(Oxoid, Cambridge, UK)を、生物の増殖および定量に用いた。全ての培地を、121℃で15分間オートクレーブ処理してから使用した。
【0094】
細菌増殖条件
血液寒天またはTSA上に単一の細菌コロニーを含む栄養ブイヨン10mLを接種することで細菌培養液を調製し、100rpmで連続振盪しながら16から24時間にわたって37℃でインキュベートした。その終夜培養液を実験的試験に用いた。
【0095】
CFUカウントのため、細菌懸濁液を無菌脱イオン水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS、シグマ アルドリッチ社、Poole, Dorset, UK)を用いて希釈した。細菌培養液の10倍連続希釈液100μLを三連でTSAプレートの1/3上に蒔き、37℃で24から48時間インキュベートした。プレート上にある細胞の数を、AcoLyteコロニーカウンター(Synbiosis)を用いてカウントし、結果を、コロニー形成単位/mL(CFU/mL)として表した。
【0096】
抗生物質
ムピロシン(カルシウム塩の形態)およびネオマイシン(硫酸塩の形態)は、シグマ アルドリッチ社(Poole, Dorset, UK)から購入した。4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリン(塩酸塩の形態)は、ヘルパービー セラピューティクス(Helperby Therapeutics)による提供を受けた。
【0097】
それぞれ、ジメチルスルホキシド(DMSO)または水で希釈することで、各抗生物質の10mg/mL原液を調製した。抗生物質溶液は-20℃で保存した。
【0098】
実施例1
ムピロシン(ムピロシンカルシウム)およびネオマイシン(硫酸ネオマイシン)と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリン塩酸塩(HT61 HCl)の、ブタ皮膚上での黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する抗微生物活性を評価した。
【0099】
下記の表1および表2に示した方法に従って、三剤組み合わせ製剤を調製した。
【0100】
【0101】
【0102】
上記製剤F017A、F017BおよびF019のそれぞれの効力を、ブタ皮膚上で黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対して評価した。黄色ブドウ球菌(S. aureus)培養液を、当業界で公知の方法に従って終夜増殖させた。次に、当該終夜培養液をブタ皮膚上に広げ、ブタ皮膚2cm3に対して培養液40μLを用いた。製剤F017A、F017BおよびF019のそれぞれを、そのブタ皮膚に塗布した。
【0103】
各製剤塗布から2時間後および5時間後に、ブタ皮膚を綿棒で拭き、綿棒上の細菌をCFUカウント用に処理した。対照実験(ブタ皮膚に三剤組み合わせを塗布しない)に対する、ならびに市販の製品バクトロバン(登録商標)クリーム(ムピロシン)およびナセプチン(登録商標)(クロルヘキシジンおよびネオマイシン)に対する、F017A、F017BおよびF019についての結果を
図1に示す。
【0104】
F017A、F017B、F019、バクトロバン(登録商標)クリームおよびナセプチン(登録商標)についての対数死滅値を、下記の表3に示す。
【0105】
【0106】
表3および
図1から、対照実験と比較して、本発明の製剤としてのF017A、F017BおよびF019のそれぞれが、2時間後および5時間後の両方でブタ皮膚上での黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する有効な抗微生物活性を示したことがわかる。F017Aは、5時間後に対数死滅値6.47という、logCFUの特に大幅な低下を示した。
【0107】
製剤F017A、F017BおよびF019はそれぞれ、ムピロシン単独(バクトロバン(登録商標)クリーム)と比較しても、抗微生物活性において相乗的向上を示した。バクトロバン(登録商標)クリームは、2時間後に0.47、5時間後に1.84の対数死滅値を有していた。比較すると、本発明の製剤は、2時間後で3.20、3.39および3.79、そして5時間後で3.97、4.28および6.47の値を有していた。
【0108】
バクトロバン(登録商標)と比較した全ての本発明の組み合わせについて、CFU/mLにおける相乗的低下(約2.5logから4.5logの範囲で)も
図1で見ることができる。従って、ムピロシンのネオマイシンおよびHT61との組み合わせが、ムピロシン単独の抗微生物活性を相乗的に向上させることがわかる。
【0109】
さらに、製剤F017A、F017BおよびF019のそれぞれが、ネオマイシンおよびクロルヘキシジンの組み合わせ(ナセプチン(登録商標))と比較して、5時間後の抗微生物活性において向上を示した。5時間後、ナセプチン(登録商標)は対数死滅値3.59を有していたが、本発明の製剤は3.97、4.28および6.47の値を有していた。
【0110】
実施例2
上記製剤F017A、F017BおよびF019のそれぞれの効力を、ブタ皮膚上での黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対して再度評価した。黄色ブドウ球菌(S. aureus)培養液を、当業界で公知の方法に従って終夜増殖させた。その終夜培養液をブタ皮膚上に広げ、ブタ皮膚2cm3に対して培養液40μLを用いた。製剤F017A、F017BおよびF019のそれぞれを、そのブタ皮膚に塗布した。
【0111】
各製剤塗布から2時間後、6時間後および9時間後に、ブタ皮膚を綿棒で拭き、綿棒上の細菌をCFUカウント用に処理した。対照実験(ブタ皮膚に三剤組み合わせを塗布しない)に対する、接種材料、ならびに市販の製品バクトロバン(登録商標)クリーム(ムピロシン)、バクトロバン(登録商標)軟膏(ムピロシン)およびナセプチン(登録商標)(クロルヘキシジンおよびネオマイシン)に対する、F017A、F017BおよびF019についての結果を
図2に示す。
【0112】
実施例2についての対数死滅値を下記の表4に示す。接種材料は、対数死滅値8を有していた。
【0113】
【0114】
表4および
図2から、実施例1と同じ傾向があることが分かる。すなわち本発明の製剤F017A、F017BおよびF019はムピロシン単独と比較して相乗的に向上した抗微生物活性を有する。この相乗的向上は、バクトロバン(登録商標)の軟膏およびクリームの両方に対して見られる。F017Aは特に、9時間後に、バクトロバン(登録商標)軟膏およびクリームそれぞれについての値1.87および0.82と比較して、対数死滅値7.14を示している。
【0115】
本発明の製剤は、ナセプチン(登録商標)と比較して有意に長期間続く抗微生物活性も示す。表4における数値および
図2のプロットから、6時間後においてナセプチン(登録商標)の方が有効性が低く、対数死滅値は6時間において4.58から、9時間において3.42まで低下することがわかる。対照的に、本発明の製剤は、6時間後であってもなお有効である。F017A、F017BおよびF019のそれぞれが、6時間と9時間の間で対数死滅の増加を示し、F017Aにおいてはブタ皮膚上での黄色ブドウ球菌(S. aureus)の完全死滅に近かった。
【0116】
従って、ムピロシンと、ネオマイシンおよびHT61との組み合わせが、相乗的かつ長期の抗微生物活性を有することがわかる。
【0117】
実施例3
ムピロシン(ムピロシンカルシウム)およびネオマイシン(硫酸ネオマイシン)と組み合わせた4-メチル-8-フェノキシ-1-(2-フェニルエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリン塩酸塩(HT61 HCl)の、ブタ皮膚での黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する抗微生物活性を再び評価した。
【0118】
三剤組み合わせ製剤を、下記の表5に示すように調製した。
【0119】
【0120】
上記製剤F017A、F022A、F022B、F022C、F022D、F022E、F022FおよびF022Gのそれぞれの効力を、ブタ皮膚での黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対して評価した。黄色ブドウ球菌(S. aureus)培養液を、当業界で公知の方法に従って終夜増殖させた。その終夜培養液をブタ皮膚上に広げ、ブタ皮膚2cm3に対して培養液40μLを用いた。次に、各製剤を、そのブタ皮膚に塗布した。
【0121】
各製剤塗布から2時間後、4時間後および8時間後に、ブタ皮膚を綿棒で拭き、綿棒上の細菌をCFUカウント用に処理した。上記製剤それぞれおよび対照(ブタ皮膚に三剤組み合わせを塗布しない)についての結果を
図3に示す。
【0122】
対数死滅値を下記の表6に示す。接種材料の対数死滅値は、7.6であった。
【0123】
【0124】
図3および表6の結果から、いくつかの比較を行うことができる。
【0125】
最初に、本発明の三剤組み合わせ製剤(F017A)が、個々の薬剤(F022B、F022CおよびF022D)それぞれと比較して、有意かつ相乗的に向上した抗微生物活性を有することがわかる。
【0126】
F017Aにより、2時間後にブタ皮膚における細菌が完全死滅したが(対数死滅値7.62)、ムピロシンでは対数死滅値0.49であり、HT61では対数死滅値1.87であり、ネオマイシンでは対数死滅値4.56であった。三剤組み合わせの抗微生物活性はまた、個々の薬剤の相加効果より高い。上記で説明したように、これは、本発明の三剤組み合わせが相乗的抗微生物活性を有することを意味する。
【0127】
本発明の三剤組み合わせ(F017A)はまた、二剤組み合わせであるF022E、F022FおよびF022Gと比較して有意に向上した抗微生物活性を有する。
【0128】
F022Eは、ムピロシンおよびネオマイシンを含む製剤である。この二剤組み合わせは、2時間後で7.62(すなわち、完全死滅)、4時間後で4.68、8時間後で7.62の対数死滅値を有していた。従って、三剤組み合わせ(F017A)とは異なり、この製剤は、長期間にわたってブタ皮膚での細菌の完全死滅を維持することができなかった。
【0129】
F022FはムピロシンおよびHT61を含む製剤であり、9時間後でわずか0.91という対数死滅値を有した。F022GはネオマイシンおよびHT61を含む製剤であり、2時間後の対数死滅値は6.32であったが、それが8時間後に3.37まで低下した。従って、F022Gでは、8時間を超えて抗微生物効果を維持することができなかった。
【0130】
本発明の三剤組み合わせは、個々の薬剤と比較して相乗的抗微生物効果を提供するだけではく、持続的抗微生物効果も提供するものである。従って、それは、微生物感染の治療および/または予防に明らかに有利である。
【0131】
特に留意すべき点は、当該三剤組み合わせにおいて薬剤が低濃度であることである。例えば、HT61は、0.5重量%という濃度でしか含まれていないが、これら3種類の薬剤間の相乗効果によって細菌が完全かつ持続的に殺菌される。