(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】リチウム回収方法
(51)【国際特許分類】
C22B 26/12 20060101AFI20220711BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20220711BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20220711BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20220711BHJP
C22B 3/06 20060101ALI20220711BHJP
C22B 1/02 20060101ALI20220711BHJP
B01D 61/44 20060101ALI20220711BHJP
B01D 61/52 20060101ALI20220711BHJP
C01D 15/08 20060101ALI20220711BHJP
C01D 15/02 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C22B26/12
C22B3/44 101Z
C22B3/22
C22B7/00 C
C22B3/06
C22B3/44 101A
C22B1/02
B01D61/44 500
B01D61/52 500
C01D15/08
C01D15/02
(21)【出願番号】P 2019028547
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三保 慶明
(72)【発明者】
【氏名】紀平 幸則
(72)【発明者】
【氏名】横山 佳帆
(72)【発明者】
【氏名】石田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 悟
(72)【発明者】
【氏名】藤原 義浩
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-171827(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132282(WO,A1)
【文献】特開2018-172732(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181816(WO,A1)
【文献】特開2012-234732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0342573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
B01D 61/42-61/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムが少なくとも溶解した被処理液に炭酸ガスを混合する及び/又は水溶性の炭酸塩を添加する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程により析出した炭酸リチウムの結晶を含む析出物を被処理液から分離する固液分離工程と、
前記固液分離工程後の被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことにより該被処理液から少なくとも水酸化リチウムを含むアルカリを分離して回収する電気透析工程と、を有する、リチウム回収方法
であって、
前記炭酸化工程前に、被処理液を蒸発濃縮する濃縮工程をさらに有しており、
前記電気透析工程で被処理液から水酸化リチウムを回収した後の脱塩液の少なくとも一部を前記濃縮工程に循環して前記濃縮工程に供給される被処理液とともに蒸発濃縮する、
リチウム回収方法。
【請求項2】
リチウムが少なくとも溶解した被処理液に炭酸ガスを混合する及び/又は水溶性の炭酸塩を添加する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程により析出した炭酸リチウムの結晶を含む析出物を被処理液から分離する固液分離工程と、
前記固液分離工程後の被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことにより該被処理液から少なくとも水酸化リチウムを含むアルカリを分離して回収する電気透析工程と、を有する、リチウム回収方法であって、
前記炭酸化工程前に、被処理液を蒸発濃縮する濃縮工程をさらに有
しており、
前記濃縮工程で発生する凝縮水を、前記固液分離工程に循環して前記固液分離工程により得られた炭酸リチウムの結晶を含む析出物の洗浄に利用する、
リチウム回収方法。
【請求項3】
前記電気透析工程
で被処理液から水酸化リチウムを回収した後の脱塩液の少なくとも一部を前記濃縮工程に
循環して前記濃縮工程に供給される被処理液とともに蒸発濃縮する、請求項2に記載のリチウム回収方法。
【請求項4】
前記炭酸化工程では、炭酸ガスを被処理液に混合する、請求項1~3のいずれかに記載のリチウム回収方法。
【請求項5】
前記炭酸化工程前に、
廃リチウムイオン電池を無機酸で浸出してリチウムを溶出する酸溶出工程と、
前記酸溶出工程により得られたリチウム含有液にアルカリを添加してpHを調整するpH調整工程と、をさらに有し、
前記pH調整工程により析出した析出物をリチウム含有液から分離することで被処理液が生成される、請求項1~
4のいずれかに記載のリチウム回収方法。
【請求項6】
リチウムが少なくとも溶解した被処理液に炭酸ガスを混合する及び/又は水溶性の炭酸塩を添加する炭酸化工程と、
前記炭酸化工程により析出した炭酸リチウムの結晶を含む析出物を被処理液から分離する固液分離工程と、
前記固液分離工程後の被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことにより該被処理液から少なくとも水酸化リチウムを含むアルカリを分離して回収する電気透析工程と、を有する、リチウム回収方法であって、
前記炭酸化工程前に、
廃リチウムイオン電池を無機酸で浸出してリチウムを溶出する酸溶出工程と、
前記酸溶出工程により得られたリチウム含有液にアルカリを添加してpHを調整するpH調整工程と、をさらに有し、
前記pH調整工程により析出した析出物をリチウム含有液から分離することで被処理液が生成され、
前記酸溶出工程前に、前記廃リチウムイオン電池を焙焼する焙焼工程をさらに有し、
前記炭酸化工程では、前記焙焼工程で発生した排気ガスを炭酸ガスとして被処理液に混合する、リチウム回収方法。
【請求項7】
前記電気透析工程で回収したアルカリを前記pH調整工程で添加するアルカリとして再利用する、請求項
5又は6に記載のリチウム回収方法。
【請求項8】
前記電気透析工程では、バイポーラ膜電気透析により該被処理液からアルカリとともに無機酸を分離して回収し、
前記電気透析工程で回収した無機酸を前記酸溶出工程で用いる無機酸として再利用する、請求項
5~7のいずれかに記載のリチウム回収方法。
【請求項9】
前記酸溶出工程前に、前記廃リチウムイオン電池を焙焼する焙焼工程をさらに有し、
前記炭酸化工程では、前記焙焼工程で発生した排気ガスを炭酸ガスとして被処理液に混合する、請求項
5に記載のリチウム回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムが少なくとも溶解した被処理液からリチウムを回収するリチウム回収方法、特に、廃リチウムイオン電池からリチウムを回収する際に用いられるリチウム回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、軽量かつ高エネルギー密度の電池として注目されており、各種携帯機器、電気自動車、電動アシスト自転車などのバッテリーとして大量に使用されている。このリチウムイオン電池の正極には、正極活物質として例えばコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物が使用されており、廃リチウムイオン電池から有価金属のコバルトやニッケルを回収することは資源の有効利用の観点から極めて重要であるため、多くの方法が提案されている。
【0003】
一方で、廃リチウムイオン電池からリチウムを回収する方法は、リチウムの単価が低いこともあり、あまり多くは提案されていない。しかし、リチウムイオン電池の需要はますます増加しており、今後も廃棄物の増加が予想されるため、リチウムを効率よく回収することができれば有益である。
【0004】
特許文献1には、使用済みのガルバニ電池(リチウムイオン電池)のリチウム及び遷移金属の複合酸化物含有部分を硫酸で溶解し、これにより得られる硫酸リチウムと遷移金属の硫酸塩とを含有する溶液にアルカリを添加して遷移金属の水酸化物を結晶として析出させた後に分離し、これにより得られる硫酸リチウム含有液に対してバイポーラ膜を用いた電気透析を行うことによって、硫酸リチウム含有液に含まれるリチウムを水酸化リチウムとして硫酸リチウム含有液から分離して回収する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、硫酸リチウム含有液からリチウムを水酸化リチウムとして回収した後、電気透析後の硫酸リチウム含有液に未回収のリチウムが残存しており、リチウムの回収率をより向上させるという点で、改良の余地がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、リチウムが溶解したリチウム含有液からリチウムを高回収率で回収することができるリチウム回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のリチウム回収方法は、リチウムが少なくとも溶解した被処理液に炭酸ガスを混合する及び/又は水溶性の炭酸塩を添加する炭酸化工程と、前記炭酸化工程により析出した炭酸リチウムの結晶を含む析出物を被処理液から分離する固液分離工程と、前記固液分離工程後の被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことにより該被処理液から少なくとも水酸化リチウムを含むアルカリを分離して回収する電気透析工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のリチウム回収方法においては、前記炭酸化工程前に、被処理液を蒸発濃縮する濃縮工程をさらに有することが好ましい。
【0010】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記電気透析工程後の被処理液の少なくとも一部を前記濃縮工程にて蒸発濃縮することが好ましい。
【0011】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記炭酸化工程では、炭酸ガスを被処理液に混合することが好ましい。
【0012】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記濃縮工程で発生する凝縮水により、前記固液分離工程により得られた炭酸リチウムの結晶を含む析出物を洗浄することが好ましい。
【0013】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記炭酸化工程前に、廃リチウムイオン電池を無機酸で浸出してリチウムを溶出する酸溶出工程と、前記酸溶出工程により得られたリチウム含有液にアルカリを添加してpHを調整するpH調整工程と、をさらに有し、前記pH調整工程により析出した析出物をリチウム含有液から分離することで被処理液が生成されることが好ましい。
【0014】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記電気透析工程で回収したアルカリを前記pH調整工程で添加するアルカリとして再利用することが好ましい。
【0015】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記電気透析工程では、バイポーラ膜電気透析により該被処理液からアルカリとともに無機酸を分離して回収し、前記電気透析工程で回収した無機酸を前記酸溶出工程で用いる無機酸として再利用することが好ましい。
【0016】
また、本発明のリチウム回収方法においては、前記酸溶出工程前に、前記廃リチウムイオン電池を焙焼する焙焼工程をさらに有し、前記炭酸化工程では、前記焙焼工程で発生した排気ガスを炭酸ガスとして被処理液に混合することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリチウム回収方法によれば、リチウムが溶解した被処理液に対して炭酸化工程においてリチウムの炭酸化を行うことで、被処理液中のリチウムを炭酸リチウムの結晶として回収した後、炭酸リチウムの結晶を回収後の被処理液を廃棄することなく、電気透析工程において被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことで、被処理液中に残存するリチウムを水酸化リチウムとして回収している。このように、本発明のリチウム回収方法では、炭酸化工程及び電気透析工程にそれぞれにおいて被処理液中のリチウムを回収しているため、リチウムを高回収率で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態のリチウム回収方法の手順を概略的に示すフローチャートである。
【
図2】
図1のリチウム回収方法に用いる処理装置の概略構成を示す模式図である。
【
図3】バイポーラ膜電気透析装置の概略構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の他の実施形態のリチウム回収方法の手順を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】
図4のリチウム回収方法に用いる処理装置の概略構成を示す模式図である。
【
図6】実施例1のろ過残渣の表面状態を撮影した写真である。
【
図7】実施例2のろ過残渣の表面状態を撮影した写真である。
【
図8】実施例3のろ過残渣の表面状態を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウム回収方法の各工程の手順を示し、
図2は、該リチウム回収方法を実施する処理装置10の概略構成を示す。本実施形態のリチウム回収方法は、廃リチウムイオン電池からリチウムを回収する場合を例にして説明する。
【0020】
本実施形態のリチウム回収方法は、
‐廃リチウムイオン電池を無機酸で浸出してリチウムを溶出する酸溶出工程S1と、
‐酸溶出工程S1により得られたリチウム含有液から不溶残渣を分離する固液分離工程S2と、
‐固液分離工程S2後のリチウム含有液にアルカリを添加してpHを調整するpH調整工程S3,S5と、
‐pH調整工程S3,S5後のリチウム含有液から析出物を分離する固液分離工程S4,S6と、
‐pH調整工程S3,S5後のリチウム含有液から析出物を分離した被処理液を蒸発濃縮する濃縮工程S7と、
‐濃縮工程S7後の被処理液に炭酸ガスを混合する及び/又は水溶性の炭酸塩を添加する炭酸化工程S8と、
‐炭酸化工程S8により析出した炭酸リチウムの結晶を含む析出物を被処理液から分離する固液分離工程S9と、
‐固液分離工程S9後の被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことにより該被処理液から少なくとも水酸化リチウムを含むアルカリ及び無機酸を分離して回収する電気透析工程S10と、
を有する。
【0021】
リチウムを回収する対象の廃リチウムイオン電池は、所定の充放電回数の使用により充電容量が低下した使用済みのリチウムイオン電池の他、電池製造工程内での不具合などで発生する半製品、製品仕様変更に伴って発生する旧型式在庫整理品などを含む。廃リチウムイオン電池は、粉砕又は焙焼処理がなされていてもよいし、粉砕及び焙焼処理がなされて得られる粉末であってもよい。
【0022】
まず、酸溶出工程S1では、上述した廃リチウムイオン電池を無機酸で浸出することにより、リチウムの他、例えばアルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄などの金属を溶出する。無機酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などを用いることができるが、本実施形態では低コストかつ扱いやすい点で硫酸が用いられている。
【0023】
酸溶出工程S1において、廃リチウムイオン電池を無機酸で浸出する方法については特に限定されるものではなく、通常行われている方法を用いることができる。例えば、酸溶解槽1内で廃リチウムイオン電池を例えば硫酸水溶液などの無機酸の水溶液に浸漬させて所定時間攪拌することで、上述したリチウムなどの金属が溶解したリチウム含有液を得る。酸溶出工程S1では、水溶液中の無機酸の濃度が1mol~5mol/Lであることが好ましく、水溶液の温度は60℃以上が好ましい。
【0024】
次の固液分離工程S2では、酸溶出工程S1により得られたリチウム含有液をろ過することにより、リチウム含有液から不溶残渣を分離する。不溶残渣は、主に無機酸に溶解しない炭素材料、金属材料、有機材料である。固液分離する方法としては、例えば、加圧ろ過(フィルタープレス)、真空ろ過、遠心ろ過などの各種ろ過装置や、デカンター型のような遠心分離装置など公知の装置を用いることができる。なお、以下の固液分離工程S4,S6,S9においても同様である。
【0025】
次のpH調整工程S3,S5では、固液分離工程S2後のリチウム含有液(ろ液)にアルカリを添加し、pHを所定の範囲に調整することにより、リチウム含有液中の上述した金属のうち、リチウム以外の金属をリチウム含有液から除去する。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを用いることができるが、本実施形態では水酸化リチウムが用いられている。
【0026】
pH調整工程S3,S5において、リチウム含有液のpHを調整する方法については特に限定されるものではなく、通常行われている方法を用いることができる。例えば、第1pH調整槽2及び第2pH調整槽3内でリチウム含有液を攪拌しながら例えば水酸化リチウム水溶液などのアルカリの水溶液を添加することで、リチウム含有液中のリチウム以外の金属を水酸化物などの無機塩の結晶として析出、沈殿させる。本実施形態では、pH調整工程S3,S5は、第1pH調整工程S3と第2pH調整工程S5とに分けられている。
【0027】
第1pH調整工程S3では、アルカリの添加によりリチウム含有液のpHを4~6、好ましくは4~5に調整する。これにより、リチウム含有液中の不純物金属(例えばアルミニウム、鉄)を水酸化物(例えば水酸化アルミニウム、水酸化鉄)などの無機塩の結晶として析出、沈殿させる。第1pH調整工程S3では、リチウム含有液を例えば30℃~60℃で一定温度に加温しながら行うことが好ましい。
【0028】
第1pH調整工程S3で添加されるアルカリの水溶液は、アルカリ濃度が1.0mol/L未満と希薄であることが好ましい。これにより、詳細は後述するが、第1pH調整工程S3で被処理液中のコバルトが不純物金属とともにコバルト塩の結晶として析出、沈殿して被処理液から除去されることを抑制できる。ただし、アルカリ濃度が過度に低いと、第1pH調整工程S3においてpH調整のためにアルカリの水溶液を大量に使用する必要があるうえ、pH調整後の被処理液の液量も多量となるため、アルカリ濃度の下限は、0.1mol/L以上であることが好ましい。また、第1pH調整工程S3で被処理液中のコバルトが被処理液から除去されることを効果的に抑制するためには、第1pH調整工程S3で添加されるアルカリの水溶液のアルカリ濃度は、0.5mol/L以下であることが好ましく、0.2mol/L以下であることがより好ましい。
【0029】
なお、この第1pH調整工程S3においては、pH調整に使用するアルカリの水溶液量を減らすために、被処理液のpHが4より小さい所定値となるまでは1.0mol/L以上の濃いアルカリ濃度を有するアルカリの水溶液を被処理液に添加し、被処理液のpHが所定値となった後は、1.0mol/L未満の薄いアルカリ濃度を有するアルカリの水溶液を被処理液に添加することで、被処理液のpHを4~6に調整することもできる。上述した被処理液のpHの所定値としては、2~3の範囲内で設定することができる。
【0030】
第1pH工程S3で析出、沈殿した析出物は、次の固液分離工程S4において、リチウム含有液をろ過することでリチウム含有液から分離される。なお、第1pH調整工程S3でリチウム含有液から除去される不純物金属には、その他、銅などが含まれていてもよい。固液分離工程S4においては、析出物を洗浄液で洗浄し、洗浄した後の洗浄廃液を被処理液(ろ液)とともに、次の第2pH調整工程S5に循環することが好ましい。これにより、洗浄廃液に含まれるリチウムについてもろ液に含まれるリチウムとともに第2pH調整工程S5に供給することができる。この析出物の洗浄に用いる水は、特に限定されるものではないが、後述する濃縮工程S7において被処理液を蒸発濃縮した際に発生する凝縮水を利用することが好ましく、これにより、凝縮水の有効利用が可能である。
【0031】
第2pH調整工程S5では、固液分離工程S4後のリチウム含有液(ろ液)にアルカリを添加して、pHを7~11、好ましくは8~10の範囲に調整する。これにより、リチウム含有液中の有価金属(例えばコバルト、ニッケル)を水酸化物(例えば水酸化コバルト、水酸化ニッケル)などの無機塩の結晶として析出、沈殿させる。第2pH調整工程S5で添加されるアルカリの水溶液のアルカリ濃度は、特に限定されるものではないが、第1pH調整工程S3で使用したアルカリの水溶液のアルカリ濃度以上であることが好ましい。
【0032】
第2pH工程S5で析出、沈殿した析出物は、次の固液分離工程S6において、リチウム含有液をろ過することでリチウム含有液から分離される。なお、第2pH調整工程S5でリチウム含有液から除去される有価金属には、その他、マンガンなどが含まれていてもよい。
【0033】
一方、固液分離工程S6後のリチウム含有液(ろ液)中には、リチウム及び無機酸の陰イオン(例えば硫酸イオン)が含まれている。本実施形態においては、このpH調整工程S3,S5後のリチウム含有液が特許請求の範囲に記載の「被処理液」に該当する。
【0034】
固液分離工程S6においては、析出物を洗浄液で洗浄し、洗浄した後の洗浄廃液を被処理液(ろ液)とともに、次の濃縮工程S7に循環することが好ましい。これにより、洗浄廃液に含まれるリチウムについてもろ液に含まれるリチウムとともに濃縮工程S7に供給することができ、後述する炭酸化工程S8で炭酸化することで、リチウムを高回収率で回収することができる。この析出物の洗浄に用いる水は、特に限定されるものではないが、濃縮工程S7において被処理液を蒸発濃縮した際に発生する凝縮水を利用することが好ましく、これにより、凝縮水の有効利用が可能である。
【0035】
次の濃縮工程S7では、固液分離工程S6後の被処理液を蒸発濃縮する。これにより、被処理液の液量が減少し、被処理液中のリチウム濃度が増加する。よって、後述する炭酸化工程S8において炭酸リチウムの回収率を向上することができる。
【0036】
また、濃縮工程S7では、被処理液を蒸発濃縮することにより、濃縮後の被処理液の温度を高くすることができ、後述する炭酸化工程S8において炭酸リチウムの回収率を向上することができる。炭酸リチウムの溶解度は温度が高くなるほど低くなるため、炭酸化工程S8において、被処理液の温度が高くなることにより、被処理液中のリチウムと炭酸ガスとの反応で生じる炭酸リチウムの溶解度が低下するため、炭酸リチウムの結晶の析出量を増やすことができる。
【0037】
この濃縮工程S7では、濃縮後の被処理液にリチウムが例えば硫酸リチウムなどのリチウム塩の結晶として析出しない程度の濃度まで被処理液を濃縮することが好ましい。これにより、濃縮後の被処理液におけるリチウムの溶解量を高くすることができ、後述する炭酸化工程S8において炭酸リチウムの回収率を向上することができる。なお、濃縮工程S7で析出物が析出した場合には、被処理液からこれを分離する固液分離工程を行ってもよい。
【0038】
濃縮工程S7において、被処理液を蒸発濃縮する方法については特に限定されるものではなく、例えば蒸発濃縮装置4を用いることができる。蒸発濃縮装置4としては、被処理液を蒸発により濃縮可能であれば特に限定されず、例えばヒートポンプ型、エゼクター駆動型、スチーム型、フラッシュ型などの公知の蒸発濃縮装置を用いることができるが、好ましくはヒートポンプ型の蒸発濃縮装置である。ヒートポンプ型の蒸発濃縮装置を用いた場合には、使用するエネルギーを著しく抑制することができる。また、減圧雰囲気下で被処理液の濃縮を行うことで、さらに省エネルギー化を図ることができる。
【0039】
次の炭酸化工程S8では、濃縮工程S7後の被処理液に炭酸ガスを混合する及び/又は水溶性の炭酸塩を添加することにより、被処理液中のリチウムを炭酸リチウムの結晶として析出、沈殿させる。これにより、被処理液中のリチウムを炭酸リチウムとして回収することができる。炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウムなどを用いることができる。
【0040】
この炭酸化工程S8においては、被処理液に炭酸ガスを混合することにより炭酸リチウムの結晶を析出、沈殿させることが好ましい。このように、炭酸化工程S8において、例えばナトリウムなどのアルカリ金属を含まない材料を用いることにより、析出する炭酸リチウムの結晶にリチウム以外のアルカリ金属が混入することを抑制することができる。
【0041】
炭酸化工程S8において、被処理液に炭酸ガスを混合する方法については特に限定されるものではなく、通常行われている方法を用いることができる。例えば、炭酸化槽5内で被処理液を攪拌しながら被処理液中に炭酸ガスをノズルにより微細な気泡の状態で供給することで、被処理液に炭酸ガスを均一に混合することができ、被処理液中のリチウムと炭酸ガスとを効率よく反応させることができる。また、被処理液を炭酸ガスの雰囲気下に噴霧することで炭酸ガスと反応させてもよい。
【0042】
炭酸リチウムの溶解度は温度が高くなるほど低くなるため、炭酸化工程S8においては、被処理液を加温することが好ましい。これにより、被処理液中のリチウムと炭酸ガスとの反応で生じる炭酸リチウムの溶解度が低下するので、炭酸リチウムの結晶の析出量を増やすことができる。
【0043】
次の固液分離工程S9では、炭酸化工程S8後の被処理液をろ過することにより、リチウム含有液から炭酸リチウムの結晶を含む析出物を分離する。固液分離工程S9においては、リチウム含有液から分離した析出物を水などで洗浄することで、不純物を除去し、炭酸リチウムの純度を上げることができる。この析出物の洗浄に用いる水は、特に限定されるものではないが、濃縮工程S7において被処理液を蒸発濃縮した際に発生する凝縮水を利用することが好ましく、これにより、凝縮水の有効利用が可能である。なお、析出物を洗浄した後の洗浄廃液は、固液分離工程S9後の被処理液(ろ液)とともに、後述する電気透析工程S10のバイポーラ膜電気透析装置6に供給することが好ましい。
【0044】
次の電気透析工程S10では、固液分離工程S9後の被処理液をバイポーラ膜電気透析装置6に供給することにより、該被処理液からアルカリ及び無機酸を分離して回収する。バイポーラ膜電気透析装置6としては、例えば
図3に示すように、陽極65と陰極66との間に、陰イオン交換膜61、陽イオン交換膜62及び2つのバイポーラ膜63,64を備えるセル60が複数積層された三室セル方式のバイポーラ膜電気透析装置を好適に使用することができる。本実施形態のバイポーラ膜電気透析装置6は、陰イオン交換膜61及び陽イオン交換膜62により脱塩室R1を形成し、陰イオン交換膜61及び一方のバイポーラ膜63との間に酸室R2を形成し、陽イオン交換膜62と他方のバイポーラ膜64との間にアルカリ室R3を形成している。各バイポーラ膜63,64の外側には陽極室R4と陰極室R5とが形成されており、陽極室R4に陽極65が、陰極室R5に陰極66が、それぞれ配置されている。
【0045】
この電気透析工程S10では、脱塩室R1に被処理液を導入し、酸室R2及びアルカリ室R3にそれぞれ純水を導入することで、被処理液がリチウムと無機酸の陰イオン(本実施形態では硫酸イオン)とを含む場合、脱塩室R1においては、リチウムイオン(Li+)は陽イオン交換膜62を通過し、硫酸イオン(SO4
2-)は陰イオン交換膜61を通過する。一方、酸室R2及びアルカリ室R3においては、供給された純水がバイポーラ膜63,64において水素イオン(H+)及び水酸化物イオン(OH-)に解離され、酸室R2では水素イオン(H+)が硫酸イオン(SO4
2-)と結合して硫酸(H2SO4)が生成され、アルカリ室R3では水酸化物イオン(OH-)がリチウムイオン(Li+)と結合して水酸化リチウム(LiOH)が生成される。これにより、酸室R2から無機酸として硫酸(H2SO4)が、アルカリ室R3からアルカリとして水酸化リチウム(LiOH)が、それぞれ回収される。
【0046】
脱塩室R1から排出される脱塩後の希薄な被処理液(脱塩液)は、特に限定されるわけではないが、少なくとも一部を蒸発濃縮装置4に供給して、濃縮工程S7において再び蒸発濃縮することが好ましい。
【0047】
また、酸室R2から回収した無機酸(本実施形態では硫酸)は、特に限定されるわけではないが、酸溶出槽1に供給して、酸溶出工程S1において廃リチウムイオン電池を浸出する無機酸として再利用することが好ましい。
【0048】
さらに、アルカリ室R3から回収したアルカリ(本実施形態では水酸化リチウム)は、特に限定されるわけではないが、pH調整槽2,3に供給して、pH調整工程S3,S5においてリチウム含有液のpH調整のためのアルカリとして再利用することが好ましい。
【0049】
上述した本実施形態のリチウム回収方法によれば、リチウムが溶解した被処理液に対して炭酸化工程S8においてリチウムの炭酸化を行うことで、被処理液中のリチウムを炭酸リチウムとして回収した後、炭酸リチウム回収後の被処理液を廃棄することなく、電気透析工程S10において被処理液に対してバイポーラ膜電気透析を行うことで、被処理液中に残存するリチウムを水酸化リチウムとして回収している。このように、本実施形態のリチウム回収方法では、炭酸化工程S8及び電気透析工程S10にそれぞれにおいて被処理液中のリチウムを回収しているため、リチウムを高回収率で回収することができる。
【0050】
また、本実施形態のリチウム回収方法によれば、電気透析工程S10において水酸化リチウム回収後の希薄な被処理液(脱塩液)について、少なくとも一部を濃縮工程S7から再び炭酸化工程S8及び電気透析工程S10に循環させることで、被処理液中のリチウムの回収率をさらに向上することができる。
【0051】
また、本実施形態のリチウム回収方法によれば、電気透析工程S10において回収した無機酸及びアルカリを、それぞれ酸溶出工程S1及びpH調整工程S3,S5に循環させて再利用することで、各工程S1,S3,S5において使用する無機酸やアルカリの量を減らすことができる。
【0052】
また、本実施形態のリチウム回収方法によれば、pH調整工程S3,S5において使用するアルカリを水酸化リチウムとすることにより、水酸化ナトリウムなどの他のアルカリ金属の水酸化物を用いた場合に比べて、炭酸化工程S8において析出する炭酸リチウムの結晶について、例えばナトリウムなどのリチウム以外のアルカリ金属の混入を抑制することができる。よって、純度の高い炭酸リチウムを回収することができる。さらに、炭酸化工程S8においても、炭酸ガスにより被処理液中のリチウムの炭酸化を行うことにより、析出する炭酸リチウムの結晶にリチウム以外のアルカリ金属の混入を効果的に抑制することができるので、純度の高い炭酸リチウムを回収することができる。
【0053】
また、本実施形態のリチウム回収方法によれば、炭酸化工程S8前に濃縮工程S7において被処理液を蒸発濃縮することで、被処理液の液量を減らして被処理液中のリチウム濃度を増加させているので、炭酸化工程S8において炭酸リチウムの回収率を良好に向上することができる。そのうえ、炭酸化工程S8に供給される被処理液の温度が高くなるので、炭酸リチウムの溶解度が低下して、炭酸リチウムの析出量を増やすことができる。
【0054】
また、本実施形態のリチウム回収方法によれば、濃縮工程S7で発生する凝縮水を用いて固液分離工程S9により得られた炭酸リチウムを含む析出物を洗浄することにより、炭酸リチウムの回収率を良好に向上することができるうえ、凝縮水を有効利用することができる。
【0055】
以上、本発明のリチウム回収方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態のリチウム回収方法では、電気透析工程S10により水酸化リチウムを回収した後の希薄な被処理液(脱塩液)について、少なくとも一部を濃縮工程S7に供給しているが、これに代えて又はこれに加えて、電気透析工程S10に供給するように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態のリチウム回収方法では、電気透析工程S10で回収したアルカリを第1pH調整工程S3及び第2pH調整工程S5に供給しているが、いずれか一方にのみ供給するように構成してもよい。
【0058】
また、上記実施形態のリチウム回収方法では、炭酸化工程S8の前に濃縮工程S7を有しているが、濃縮工程S7は必ずしも有している必要はない。なお、この場合、電気透析工程S10により水酸化リチウムを回収した後の希薄な被処理液(脱塩液)について、少なくとも一部を炭酸化工程S8に供給するように構成することができる。
【0059】
また、上記実施形態のリチウム回収方法では、pH調整工程S3,S5が第1pH調整工程S3及び第2pH調整工程S5を含んでいるが、廃リチウムイオン電池に含まれる成分に応じて、3つ以上の工程を含むように構成してもよいし、1つの工程のみを含むように構成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態のリチウム回収方法において、電気透析工程S10に供給する被処理液に対して、被処理液中の2価以上の多価陽イオン(代表的には、カルシウムイオンやマグネシウムイオン)の不純物を除去するように構成してもよい。被処理液中にカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの多価陽イオンが存在していると、この多価陽イオンがバイポーラ膜電気透析装置6の陽イオン交換膜内で析出し、膜の性能低下を招くおそれがあるが、多価陽イオンを事前に被処理液中から除去することで、バイポーラ膜電気透析装置6における陽イオン交換膜への悪影響を防止することができる。この多価陽イオンの除去の具体的な構成は、特に限定されるものではなく、例えばキレート樹脂を充填したカラムに被処理液を通液可能な公知の多価陽イオン除去装置を例示することができる。キレート樹脂としては、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを選択的に捕捉可能なものを使用することができ、例えば、イミノジ酢酸型、アミノリン酸型などを例示することができる。多価陽イオン除去装置としては、その他に、キレート剤を添加するものや、イオン交換樹脂を利用するものなどを挙げることができる。なお、被処理液から除去する不純物には、カルシウムやマグネシウムに加えて、シリカ(ケイ酸イオン)が含まれていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態のリチウム回収方法において、
図4及び
図5に示すように、酸溶出工程S1前に、廃リチウムイオン電池を焙焼する焙焼工程S0をさらに有していてもよい。焙焼工程S0において、廃リチウムイオン電池を焙焼する方法については特に限定されるものではなく、公知の焙焼装置7を用いることができる。
【0062】
図4及び
図5の実施形態では、焙焼装置7(焙焼工程S0)で発生した排気ガスを炭酸化槽6に供給し、炭酸化工程S8において排気ガスを炭酸ガスとして被処理液に混合している。これにより、炭酸化工程S8において使用する炭酸ガスの量を減らすことができる。
【0063】
また、上記実施形態のリチウム回収方法は、廃リチウムイオン電池からリチウムを回収する場合を例にしているが、本発明は、廃リチウムイオン電池からリチウムを回収するために用いられる方法には限定されない。
【0064】
なお、第1pH調整工程S3で添加されるアルカリの水溶液のアルカリ濃度について、本発明者は以下の試験を行った。具体的に、以下の表1に示す成分を有する被処理液200mlに対して、アルカリの水溶液を添加することで被処理液のpHを調整する処理(第1pH調整工程)を行った。添加するアルカリの水溶液としては水酸化リチウム水溶液を使用した。水酸化リチウム水溶液のアルカリ濃度は、0.2mol/L(実施例1)、0.5mol/L(実施例2)、1.0mol/L(実施例3)とし、被処理液のpHが4.7となるように水酸化リチウム水溶液の添加量を調整した。水酸化リチウム水溶液の添加量は、実施例1では418.6ml、実施例2では168.5ml、実施例3では86.3mlであった。なお、水酸化リチウム水溶液の添加により、被処理液中のリチウムの含有量は、実施例1で582mg、実施例2で585mg、実施例3で599mg、さらに増加する。
【0065】
【0066】
そして、pH調整後の被処理液をろ紙を用いてろ過し、ろ過により得られたろ液に含まれる各成分の含有量を測定した。その結果を表2に示す。
【0067】
【0068】
一方で、pH調整後の被処理液のろ過により得られたろ過残渣の表面状態を確認した。その結果を
図6~
図8に示す。なお、
図6が実施例1を示し、
図7が実施例2を示し、
図8が実施例3を示している。
図8によれば、実施例3ではろ過残渣に水酸化コバルトが含まれていることを目視にて確認できたが、
図6及び
図7によれば、実施例1,2ではろ過残渣に水酸化コバルトが含まれていることを目視では確認できなかった。
【0069】
以上の結果から、
図6~
図8によると、第1pH調整工程で被処理液に添加するアルカリ水溶液のアルカリ濃度が1.0mol/Lの場合には、被処理液のpH調整後のろ過残渣に多くのコバルト塩が含まれていることが確認された。また、表2によると、第1pH調整工程で被処理液に添加するアルカリ水溶液のアルカリ濃度が1.0mol/Lの場合には、pH調整後の被処理液(ろ液)のコバルト回収率が85%を下回っているのに対して、アルカリ濃度が1.0mol/L未満の場合には、pH調整後の被処理液(ろ液)のコバルト回収率が85%以上であり、被処理液(ろ液)にコバルトが多く残存していることが確認された。
【0070】
このように、第1pH調整工程で被処理液に添加するアルカリ水溶液のアルカリ濃度を1.0mol/L未満とすることで、第1pH調整工程において被処理液からコバルトが不純物金属(例えばアルミニウム)とともに除去されることを抑制でき、次の第2pH調整工程に供給される被処理液中のコバルトの含有量を高く維持できることが分かる。よって、第2pH調整工程においてコバルトを高回収率で回収することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
S0 焙焼工程
S1 酸溶出工程
S3 第1pH調整工程(pH調整工程)
S5 第2pH調整工程(pH調整工程)
S7 濃縮工程
S8 炭酸化工程
S10 電気透析工程