(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】集魚器具取付具
(51)【国際特許分類】
A01K 91/04 20060101AFI20220711BHJP
A01K 85/14 20060101ALI20220711BHJP
A01K 91/03 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A01K91/04 E
A01K85/14
A01K91/03 Z
(21)【出願番号】P 2019078733
(22)【出願日】2019-04-17
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000128614
【氏名又は名称】株式会社オーナーばり
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】中道 成之
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-109824(JP,A)
【文献】特開2018-161111(JP,A)
【文献】登録実用新案第3212240(JP,U)
【文献】登録実用新案第3140404(JP,U)
【文献】登録実用新案第3076917(JP,U)
【文献】登録実用新案第3034645(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000149(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/04
A01K 85/14
A01K 91/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣針の軸部に着脱自在に装着する装着部材と、該装着部材の端部に一端が埋め込まれ、他端に集魚器具を連結するための連結部材と、を備えてなり、
前記装着部材は、弾性を有する略円柱状体であり、略円柱状体の上端から中央付近まで貫通して前記釣針の軸部を挿入するための挿入孔と、略円柱状体の周面には前記挿入孔に連通する第一の開口部
と、前記第一の開口部の反対側に形成された前記挿入孔に連通する第二の開口部と、略円柱状体の下端に前記連結部材の一端を埋め込むための埋込部と、を有することを特徴とする集魚器具取付具。
【請求項2】
第一の開口部は、装着部材の周面から挿入孔まで連通し、その周囲の肉厚を取り除いて断面略凹状に形成され、前記装着部材全体を折曲することでチモト部及び針先部を挿入し得る程度の幅まで拡開し得ることを特徴とする請求項1記載の集魚器具取付具。
【請求項3】
第二の開口部は、第一の開口部から挿入された針先部を、装着部材の周面に挿通し得る程度の幅で切り込むように形成され、前記釣針の軸部を挟持し得ることを特徴とする請求項1記載の集魚器具取付具。
【請求項4】
埋込部は、装着部材の下端部周辺を膨出して形成され、任意の方向に弾性変形し得ることを特徴する請求項1記載の集魚器具取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集魚を目的とする反射板やラトル等の集魚器具を釣針に取り付けるための集魚器具取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚食性の強い魚を釣るための仕掛けとして、釣針に小魚を模した反射板や音を発するラトル等の集魚器具を釣針に直接溶接したものや、釣り糸等で根巻き等の手段を用いているものが知られている。
【0003】
また、三股状の釣針(いわゆるトリプルフックと呼ばれる)に取付ける場合には、釣針の軸部の下方に集魚器具を取付けることが好ましく、例えば、特許文献1のような釣針の軸部の下方に集魚器具が位置するように、環状の取付部を軸部の直下にロウ付けで形成されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された考案は、従来の釣針に対して特殊な形状でロウ付けされたものであり、単にブレード等の集魚器具を取付けたい場合においても、従来の仕掛けなどに用いられている釣針を外して交換する手間が掛かるなどの欠点があった。
【0006】
また、上記特許文献1に記載された環状の取付部にブレード等の集魚器具を取付けた場合には、水の抵抗等によって生じるブレードの動作方向は概ね取付部に沿って動くため動作方向が制限されブレードの揺動が規則的なものとなってしまい、本来の小魚等の自然な動作を模倣するには不十分であった。
【0007】
そこで、本発明は、釣針(とりわけ、三股状の釣針)の軸部に対して着脱自在に取付けることできるとともに、集魚器具の動作方向を制限せず任意の方向に揺動することで小魚等の動作を模倣することが可能な集魚器具取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明の集魚器具取付具は、釣針の軸部に着脱自在に装着する装着部材と、該装着部材の端部に一端が埋め込まれ、他端に集魚器具を連結するための連結部材と、を備えてなり、
前記装着部材は、弾性を有する略円柱状体であり、略円柱状体の上端から中央付近まで貫通して前記釣針の軸部を挿入するための挿入孔と、略円柱状体の周面には前記挿入孔に連通する第一の開口部と、前記第一の開口部の反対側に形成された前記挿入孔に連通する第二の開口部と、略円柱状体の下端に前記連結部材の一端を埋め込むための埋込部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上述した構成に加え、第一の開口部は、装着部材の周面から挿入孔まで連通し、その周囲の肉厚を取り除いて断面略凹状に形成され、装着部材全体を折曲することでチモト部及び針先部を挿入し得る程度の幅まで拡開し得ることが好ましい。
【0010】
また、上述した構成に加え、第二の開口部は、第一の開口部から挿入された針先部を装着部材の周面に挿通し得る程度の幅で切り込むように形成され、釣針の軸部を挟持し得ることが好ましい。
【0011】
また、上述した構成に加え、埋込部は、装着部材の下端部周辺を膨出して形成され、任意の方向に弾性変形し得ることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1-4記載の発明よれば、従来の釣針の軸部下方に集魚器具を取付けることできる着脱自在な集魚器具取付具を提供することが可能である。とりわけ、三股状に分岐する分岐部を有する釣針に対しても、分岐部を回避しながら軸部下方に集魚器具を連結するための連結部材を位置させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態における集魚器具取付具を示す斜視図である。
【
図2】
図1の集魚器具取付具を示す(a)正面図、(b)側面図、(c)中央縦断面図である。
【
図3】
図1の集魚器具を釣針に装着する方法を示す概念図であり、(a)第一の開口部からチモト部及び針先部を挿入しようとする状態、(b)装着した状態、を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
本発明の実施形態の一例について
図1-3に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、釣針30は、釣糸等を結びつけるチモト部31と、該チモト部31から垂下してなる軸部33と、該軸部33の下端から三又状に分岐する分岐部34と、該分岐部34を経て該チモト部31側の上方に湾曲して形成された針先部32、32と、を有するものである。また、集魚器具40は、小魚の形状や魚皮が発する反射光を模した板体と、該板体の先端に後述する連結部材20の環状部21に取付けるためのリング部41と、を有するものである。
【0015】
本発明による集魚器具取付具1は、
図1、2に示すように、釣針30の軸部33に着脱自在に装着する装着部材10と、該装着部材10の端部に一端が埋め込まれ、他端に集魚器具40を取付けるための環状部21を備えた連結部材20と、からなるものである。
【0016】
装着部材10は、弾性を有する合成樹脂材を主体として一体に成形された略円柱状体であり、略円柱状体の上端から中央付近まで中心軸方向に貫通して釣針30の軸部33を挿入するための挿入孔13と、その略円柱状体の周面には該挿入孔13に連通する第一の開口部11と、第一の開口部11の反対側に形成された挿入孔13に連通する第二の開口部12と、略円柱状体の下端に連結部材20の一端を埋め込むための埋込部14と、を有するものである。なお、この装着部材10は、釣針30の軸部33を挿入して装着している状態を視認しやすくするために透明なものが好適である。
【0017】
第一の開口部11は、装着部材10の周面から中心付近の挿入孔13まで連通するように開口され、その周囲の肉厚を取り除いて断面略凹形状に形成されている。より具体的には、この第一の開口部11は、側面から見て装着部材10の長手方向の中央付近の三分の一程度の長さにおいて肉厚を取り除くように中心付近まで凹ませた形状である。この第一の開口部11の形状によって、装着部材10全体を略V字状に容易に折曲げることができるとともに、釣針30のチモト部31及び針先部32を同時に挿入し得る程度の幅Wまで拡開することが可能である。
【0018】
第二の開口部12は、第一の開口部11から挿入された針先部32を、装着部材10の周面に挿通し得る程度の幅で中心軸方向に切り込むように形成されたスリット状のものである。また、この第二の開口部12の横幅は、釣針30の軸部33の太さよりも若干程度狭くすることで、第二の開口部12の両側の側縁12a、12aで釣針30の軸部33周辺を挟持するものである。
【0019】
埋込部14は、装着部材10の下端部周辺に丸みを帯びて膨出するように形成されており、埋め込まれた連結部材20の一端の動作方向を制限せず、任意の方向に弾性変形し得るものである。
【0020】
連結部材20は、ステンレス等の金属材を主体として形成されるものであり、集魚器具40を取付けるための一対の環状部21、21と、該環状部21、21同士をそれぞれ独立に回動自在に軸支する回転軸部22と、を有するものである。上述した埋込部14に埋め込まれる連結部材20の一端は、一方の環状部21の全体が埋め込まれるものであり、他方の環状部21には集魚器具40のリング部41を取付けるものである。
【0021】
次に、上述した集魚器具取付具1を釣針30に装着する方法について
図3に基づいて説明する。
【0022】
はじめに、集魚器具取付具1の装着部材10は、釣針30のチモト部31を第一の開口部11から挿入孔13を介して挿入した後、装着部材10の上端側にチモト部31を露出するようにする。それと同時に、装着部材10全体を略V字状に折曲して第一の開口部11を拡開した後、針先部32を第一の開口部11から挿入する。
【0023】
次に、装着部材10の上端側をチモト部31の上端側から下方にずり落としながら、第二の開口部12から針先部32を露出させるように装着部材10を移動させた後、第二の開口部12の側縁12a、12a、で釣針30の軸部33を挟持させつつ、第二の開口部12の下方を釣針30の分岐部34周辺に位置するようにして、装着部材10の埋込部14を釣針30の軸部33下方(又は分岐部34の直下)に位置させることで装着を完了する。
【0024】
したがって、上述した構成から、従来の釣針30の軸部33下方に集魚器具40を取付けることできる着脱自在な集魚器具取付具1を提供することが可能である。また、とりわけ、三股状に分岐する分岐部34を有する釣針30に対しても、分岐部34を回避しながら軸部33下方(分岐部34の直下)に集魚器具40を連結するための連結部材20を位置させるように取付けることが可能である。
【0025】
また、釣針30と連結部材20とを任意の方向に弾性変形し得る埋込部14を介して取付けるため、従来の釣針にロウ付けされた環状の取付部に比べて、連結部材20及びそれに取付けられた集魚器具40の動作方向を制限することなく任意の方向に揺動させることで小魚等の動作をより一層自然に模倣することでき、ひいては釣果を高めることが可能である。
【0026】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、図示しないが、一本針や二股状の釣針(ダブルフック)等にも釣針の軸部下方に連結部材及びそれに取付けられる集魚器具を位置させるように装着することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1…集魚器具取付具、
10…装着部材、11…第一の開口部、12…第二の開口部、12a…側縁、13…挿入孔、W…幅、14…埋込部、
20…連結部材、21…環状部、22…回転軸部、
30…釣針、31…チモト部、32…針先部、33…軸部、34…分岐部、
40…集魚器具、41…リング部。