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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】食品原木供給機
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20220711BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20220711BHJP
   F25D 3/00 20060101ALI20220711BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B26D3/28 610G
B26D7/06 A
F25D3/00 D
A22C17/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019097626
(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公開番号】P2020192609
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】西本 嘉尹
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-048034(JP,A)
【文献】米国特許第07959401(US,B2)
【文献】特開昭60-099838(JP,A)
【文献】登録実用新案第3042273(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/28
B26D 7/06
F25D 3/00
A22C 17/00
B65G 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角棒状の食品原木を処理する外部機器に、前記食品原木を供給する食品原木供給機であって、
前記食品原木を上下に複数段積み重ねて成る積重体を載置する積重体載置部材と、前記積重体載置部材を昇降させる部材昇降手段と、前記積重体の最上位置の食品原木を前記外部機器の原木受け台に取り込める位置に当該食品原木を持ち上げるように前記部材昇降手段を駆動制御する制御手段と、を有して成る原木リフトユニットと、
予備の積重体を載置する予備体載置部材と、前記予備体載置部材を前記原木リフトユニットの前記積重体載置部材に対して近接・離間自在に前後方向に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記予備体載置部材が前記原木リフトユニットの積重体載置部材の上方位置に移動したのちに、前記予備の積重体を前記積重体載置部材に載せ替える予備積重体載替え手段と、を有して成る予備体供給ユニットと、
前記積重体載置部材、前記部材昇降手段および前記予備体載置部材を収容するとともに断熱材で構成された断熱箱体と、を備えて成り、
前記断熱箱体は、上面および背面が開口して形成されているとともに前記積重体載置部材および前記部材昇降手段を収容する前部箱体と、上面および前面が開口して形成されているとともに前記予備体載置部材が取り付けられている後部箱体と、から構成されていて、
前記前部箱体の底板と前記後部箱体の底板とが前後移動自在に重ね合わせられ、前記前部箱体の左右の側板と前記後部箱体の左右の側板とがそれぞれ前後移動自在に重ね合わせられていることを特徴とする食品原木供給機。
【請求項2】
記制御手段により前記最上位置の食品原木が前記外部機器の原木受け台に取り込まれる位置に持ち上げられたのちに、当該持ち上げられた食品原木を前記積重体載置部材上から前記原木受け台上に押し込む原木押込みユニットを、備えていることを特徴とする請求項1に記載の食品原木供給機。
【請求項3】
前記断熱箱体内を冷却する冷却手段を、備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品原木供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーコンスライサーなどの外部機器に角棒状の食品原木を供給する食品原木供給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状のハム原木(食品原木)の一端をグリップで掴み他端側から適宜の厚さにスライスしてスライスハムを得るスライサー(外部機器)が知られている。このようなスライサーでは、スライスが進んで切り口がグリッパー近くまでくると、原木端部を掴んだグリッパーが原点に復帰して端部を捨てた後、次の食品原木の供給を待つようになっている。そして、その状態になったスライサーに、オペレータが手で食品原木を供給した後に、次回のスライスサイクルに入って行く。このような操作態様では、スライサーの近くにオペレータが常駐してグリッパーの原点復帰のタイミングに原木の供給をしなければ、スライサーの運転効率が落ちてしまう。
【0003】
そこで、オペレータが常駐しなくても済むようなスライス装置が、下記の特許文献1に記載されている。このスライス装置は、丸棒状の食品原木をスライスして丸ハムを生成する場合には適しているが、角棒状のベーコン原木(食品原木)をスライスする場合は、多数の食品原木を待機させることに無理がある。その理由は、積み重ねた食品原木の最下位置の1個を押し出すために、例えば5個や6個もの食品原木を積み重ねると、角棒状の食品原木は底面積が広いために、最下位置の食品原木は上位置の食品原木の重量により押し出せないか、例え強力に押し出せたとしても傷付き品になってしまうおそれがあるからである。また、ベーコン原木の長さは一般的に丸棒状のハム原木よりも短いために、スライスし終わるまでの時間が短いから、食品原木の供給を頻繁に行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-251379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した文献記載装置の問題点を解決する方策として、積み重ねられた食品原木のうち最上位置のものから供給するようにすれば、多数の食品原木を積み重ねても供給に問題が生じないと考えられる。そのようにすれば、多数の食品原木を待機させることになるため、原木供給の頻度が下がってオペレータの他作業との兼業効率は上がるが、供給される食品原木の品温が上昇してスライス条件が悪化する。例えば、得られたスライス品の切り口が醜くなったり段々状になったりする。通常、食品原木のスライス条件を良好にするためには、0℃近辺に冷却した食品原木をスライスするが、スライサーが設置されている室温は、冷却されていてもせいぜい15℃程度である。すなわち、強く冷却された食品原木であっても長時間放置されると、食品原木は温度上昇してスライス条件を悪化させ、スライス品の歩留まり悪化の原因となるのである。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、多数の食品原木を一度に取り扱って外部機器へ順次供給することにより、オペレータによる操作間隔を長くしてオペレータの作業効率を向上させることのできる食品原木供給機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る食品原木供給機は、角棒状の食品原木を処理する外部機器に、食品原木を供給するものであって、食品原木を上下に複数段積み重ねて成る積重体を載置する積重体載置部材と、積重体載置部材を昇降させる部材昇降手段と、積重体の最上位置の食品原木を外部機器の原木受け台に取り込める位置に当該食品原木を持ち上げるように部材昇降手段を駆動制御する制御手段と、を有して成る原木リフトユニットと、予備の積重体を載置する予備体載置部材と、予備体載置部材を原木リフトユニットの積重体載置部材に対して近接・離間自在に前後方向に移動させる移動手段と、移動手段により予備体載置部材が原木リフトユニットの積重体載置部材の上方位置に移動したのちに、予備の積重体を積重体載置部材に載せ替える予備積重体載替え手段と、を有して成る予備体供給ユニットと、前記積重体載置部材、前記部材昇降手段および前記予備体載置部材を収容するとともに断熱材で構成された断熱箱体と、を備えて成り、前記断熱箱体は、上面および背面が開口して形成されているとともに前記積重体載置部材および前記部材昇降手段を収容する前部箱体と、上面および前面が開口して形成されているとともに前記予備体載置部材が取り付けられている後部箱体と、から構成されていて、前部箱体の底板と後部箱体の底板とが前後移動自在に重ね合わせられ、前部箱体の左右の側板と後部箱体の左右の側板とがそれぞれ前後移動自在に重ね合わせられていることを特徴とする構成にしてある。
【0008】
そして、前記した各構成において、制御手段により最上位置の食品原木が外部機器の原木受け台に取り込まれる位置に持ち上げられたのちに、当該持ち上げられた食品原木を積重体載置部材上から原木受け台上に押し込む原木押込みユニットを、備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記構成において、断熱箱体内を冷却する冷却手段を、備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る食品原木供給機によれば、積重体載置部材が食品原木の積重体を載置し、部材昇降手段が積重体載置部材を上昇させ、制御手段が積重体載置部材の最上位置の食品原木を外部機器の原木受け台に取り込める位置まで当該食品原木を持ち上げるので、持ち上げられた最上位置の食品原木は外部機器側の受入れ機などにより外部機器の原木受け台上に送り込まれ得る。従って、積重体を成す複数の食品原木の全てが処理される長い時間間隔でオペレータによる積重体補充操作を行なえば済む。これにより、オペレータは当該供給機から比較的長い時間離れることができ、他業務との兼業化が可能になる。
【0011】
また、予備体載置部材と、移動手段と、予備積重体載替え手段とを有して成る予備体供給ユニットを備えているので、この予備体供給ユニットにも更なる予備の積重体を用意できるから、オペレータによる操作をよりいっそう長い間隔で行なうことができる。
【0012】
そして、積重体載置部材上の食品原木を原木受け台上に押し込む原木押込みユニットを備えているものでは、外部機器側ではなく、当該供給機側の原木押込みユニットにより、食品原木を外部機器の原木受け台に押し込むことができる。
【0013】
更に、断熱箱体を備えているので、オペレータによる操作間隔が長くなるという利点と相反する食品原木の温度上昇を防げるから、食品原木のスライス性能の低下を抑制することができ、保冷ストッカーとして用いることも可能となる。そして、断熱箱体は前部箱体と後部箱体とから構成されているので、予備の積重体を積重体載置部材上に載せ替えるために予備体載置部材が積重体載置部材に近接する際には、予備体載置部材と一体の後部箱体も前進して断熱箱体の内容積を小さくすることができる。
【0014】
また、断熱箱体内を冷却する冷却手段を備えているものでは、食品原木の積重体の温度上昇をよりいっそう防ぐことができ、ひいては断熱箱体を冷却ストッカーとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る食品原木供給機の一部断面を含む側面構成図である。
図2】前記食品原木供給機の平面構成図である。
図3】前記食品原木供給機の一部断面を含む背面構成図である。
図4】前記食品原木供給機に供給される角棒状食品原木を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は複数の角棒状食品原木を積み重ねた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、図1は本発明の一実施形態に係る食品原木供給機の一部断面を含む側面構成図、図2は前記食品原木供給機の平面構成図、図3は前記食品原木供給機の一部断面を含む背面構成図である。
各図において、この実施形態に係る食品原木供給機1は角棒状の食品原木Mを処理する外部機器Qに食品原木Mを供給するものであり、後で個々に詳述する、原木リフトユニット2と、予備体供給ユニット3と、原木押込みユニット4と、断熱箱体5と、冷却手段6と、から構成されている。
【0017】
上記の原木リフトユニット2は、食品原木Mを上下に例えば5段積み重ねて成る積重体Gを載置する積重体載置部材7と、積重体載置部材7を昇降させる部材昇降手段8と、部材昇降手段8の駆動を制御する制御手段9と、を有している。前記の積重体載置部材7は平面視矩形状の板部材で構成されていて、その後辺部には前向きに切り欠かれた通過用溝部11,11,11,・・・が左右に離間して形成されている。
【0018】
前記の部材昇降手段8はパンタグラフ状の構造を有しており、基台10に立設された固定ロッド12、12と、ピン13,13を介して固定ロッド12、12に回動自在に支持されたリンクロッド14,14と、ピン15,15を介してリンクロッド14,14の先端に回動自在に支持されたリンクロッド16,16と、積重体載置部材7の下面に垂設されるとともにピン17,17を介してリンクロッド16,16の先端に回動自在に支持された固定ロッド18,18と、軸受ロッド22を介して一方のピン15に上下揺動自在に取り付けられたエアシリンダ21と、軸受ロッド19を介して他方のピン15に上下揺動自在に取り付けられるとともにエアシリンダ21に出し入れ駆動(矢印J方向)されるピストンロッド20と、エア供給管などである動力伝達機構23を介してエアシリンダ21と連結されたエア圧縮機などである動力源P2と、から構成されている。
【0019】
上記の予備体供給ユニット3は、予備の積重体Gtを載置する予備体載置部材31,31,31,・・・と、予備体載置部材31,31,31,・・・を原木リフトユニット2の積重体載置部材7に対して近接自在に水平方向に移動させる移動手段44と、移動手段44により予備体載置部材31,31,31,・・・が原木リフトユニット2の積重体載置部材7の上方位置に移動したのちに、予備の積重体Gtを積重体載置部材7に載せ替える予備積重体載替え手段45と、を有して構成されている。前記の予備体載置部材31,31,31,・・・は、断熱箱体5における後部箱体32内の底部近傍で背板32Aに取り付けられている。これらの予備体載置部材31,31,31,・・・は、左右方向に離間して配置されていてそれぞれの後端部が背板32Aに固設されている。
【0020】
前記の移動手段44は、基台10に立設された支持台24に回動自在に支持された駆動スプロケット25および従動スプロケット26と、これらのスプロケット25,26間に掛け回されたチェーン27と、前後方向に延びるガイド29と、ガイド29内に前後移動自在に配備されたスライダ30と、スライダ30とチェーン27とを連結する固定部材28と、から構成されている。スライダ30は後部箱体32の底板32Bに連結されている。
【0021】
前記の予備積重体載替え手段45は、予備体載置部材31,31,31,・・・の左右離間配置構造と、予備体載置部材31,31,31,・・・を前後・上下方向に通せる積重体載置部材7の通過用溝部11,11,11,・・・の左右離間配置構造と、部材昇降手段8による積重体載置部材7の上下昇降構造と、により構成されている。
【0022】
上記の原木押込みユニット4は、断熱箱体5の上方で左右端方に配備された一対のエアシリンダ34,34と、エアシリンダ34,34のピストンロッド35,35と、ピストンロッド35,35の各先端に固設された動力伝達板36と、動力伝達板36の左右に前向きに突設された連結ロッド37,37を介して固設された平面視Lの字状の押込み部材38,38と、エア供給管などである動力伝達機構39を介してエアシリンダ34,34と連結されたエア圧縮機などである動力源P3,P3と、から構成されている。この原木押込みユニット4は、最上位置の食品原木M(1)の底面Nが外部機器Qの原木受け台Rの上面高さを少し超える位置まで制御手段9により持ち上げられたのちに、その持ち上げられた食品原木Mを積重体載置部材7上から原木受け台R上に押し込む機能を有している。
【0023】
上記の断熱箱体5は、それぞれ断熱材で構成された、前部箱体33および後部箱体32で構成されている。前記の断熱材としては、例えば発泡樹脂製または発泡ケイ酸カルシウム製の板材を主構成とするものを用いることができる。そして、断熱箱体5内には、原木リフトユニット2および予備体供給ユニット3が収容されている。
【0024】
上記の冷却手段6は、断熱箱体5における前部箱体33の左右内側部に形成された収容ポケット41,41と、これらの収容ポケット41,41内に収容された保冷材42,42とから構成されており、断熱箱体5内を保冷する機能を有している。前記の保冷材42としては、例えばポリアクリル酸系高吸水性樹脂の水溶液を袋体に密封して成る市販保冷材を挙げることができる。尚、市販保冷材の替わりに、ドライアイスを布地で包んだものを用いることも可能である。あるいは、冷媒回路を有する外部の冷凍装置RTを利用し、この冷凍装置RTからの冷凍配管43を断熱箱体5内に導いて断熱箱体5内を冷却するようにしても構わない。
そうして、上記の制御手段9は、動力源P1,P2,P3を駆動させるドライバ機能と、各動力源に対する処理手順および各検知器により検出された各機器の位置情報などに基づいて動力源P1,P2,P3の駆動方向および駆動量を算出して各ドライバへ出力する制御出力機能を有している。すなわち、制御手段9は、前記の各機能を実現する例えばマイクロコンピュータおよびデータメモリを備えており、例えば外部機器Qの原木受け台Rの上面高さまで積重体Gの最上位置の食品原木M(1)の底面Nを到達させるために、積重体Gを持ち上げるように動力源P2を駆動制御したりする。
【0025】
上記のように構成された食品原木供給機1の作用を次に説明する。この食品原木供給機1は、外部機器Qとして例えばベーコンスライサーの原料供給側に配備される。そして、食品原木供給機1に適用される食品原木Mは、例えばベーコンのスライス片を得るための角棒状塊体である。一般に食品原木Mは、図4(a)に示すように、長さHが60~100cm、奥行Kが22cm、厚さTが4cmのものが知られている。この場合、例えば長さHが80cmであるとすると、食品原木Mの表面積は4336cm2となり、載置台などに載せられる底面Nを除いて空気に触れる面積は2576cm2である。この食品原木Mを個々に5つ用意すると、空気に触れる面積の総量は12880cm2となる。これに対して、食品原木Mを5段積みにした積重体Gは、図4(b)に示すように、載せられる底面Nを除いた空気に触れる面積は5840cm2であり、個々に5つ用意した場合の45%(5840/12880)となる。従って、積重体Gは空気中で昇温しにくいと云える。
【0026】
そして、原木リフトユニット2および予備体供給ユニット3は断熱箱体5内で外界から断熱されており保冷材42によって保冷されている。そこで、前部箱体33内の底板33A直上位置(始点位置)に配置された積重体載置部材7上に、0℃程度に冷やされた積重体Gが載置される。一方、最後方位置(始点位置)に配置された予備体載置部材31,31,31,・・・上には、0℃程度に冷やされた予備の積重体Gtが載置される。
【0027】
そうして、運転スイッチ(不図示)がONにされると、制御手段9は、原木リフトユニット2の部材昇降手段8を駆動して積重体載置部材7を上昇させる(矢印Fの上向き)。そして、積重体Gの最上位置の食品原木M(1)が原木検知器46により検知されると、制御手段9は積重体載置部材7をその高さ位置で停止させる。次に、制御手段9は原木押込みユニット4を駆動しエアシリンダ34からピストンロッド35を進出させて押込み部材38を前進させる(矢印Dの前向き)。これにより、食品原木M(1)が積重体Gから前方に押し出されて外部機器Qの原木受け台R上に押し込まれてスライス処理に供される。そうして、制御手段9は、原木押込みユニット4を逆駆動して押込み部材38を始点位置に戻す。
【0028】
そして、原木検知器46が食品原木Mの存在を検知しなくなると、制御手段9は積重体載置部材7を更に上昇させ、この時に最上位置にある食品原木M(2)が原木検知器46により検知されたときに積重体載置部材7を停止させるとともに、原木押込みユニット4を駆動して押込み部材38で食品原木M(2)を外部機器Qの原木受け台R上に押し込む。このような一連の動作は、後続の食品原木M(3)~M(5)についても逐次実行される。そうして、原木検知器46が最上位置(終点位置)の積重体載置部材7を検知するとともに食品原木Mの存在を検知しなくなると、制御手段9は原木リフトユニット2を駆動し積重体載置部材7を下降させて(矢印Fの下向き)、始点位置に戻す。
【0029】
続いて、制御手段9は、予備体供給ユニット3の移動手段44を駆動して予備の積重体Gtを載せた予備体載置部材31,31,31,・・・を前進させ(矢印Eの前向き)、予備の積重体Gtを積重体載置部材7の上方位置まで持って来る。そのときのスライダ30がスライダ検知器47により検出されると、制御手段9はスライダ30をその位置で停止させる。ここで、予備体載置部材31,31,31,・・・は、それぞれ、積重体載置部材7の通過用溝部11, 11,11,・・・内か、または少し上方に位置している。そこで、制御手段9は部材昇降手段8を駆動して予備積重体載替え手段45の機能を働かせる。すなわち、部材昇降手段8の駆動により積重体載置部材7を少し持ち上げることにより、予備体載置部材31,31,31,・・・が通過用溝部11, 11,11,・・・を通過し、予備の積重体Gtが予備体載置部材31,31,31,・・・から積重体載置部材7に載せ替えられる。そうして、予備体載置部材31,31,31,・・・が空になると、制御手段9は移動手段44を逆駆動しスライダ30を後退させて(矢印Eの後向き)、始点位置(図1に示した位置)に戻す。その後、適宜の時期に、オペレータが予備の積重体Gtを予備体載置部材31,31,31,・・・上に載せることにより、食品原木Mの供給作業が続けられるのである。
【0030】
上記したように、この実施形態の食品原木供給機1によれば、複数の食品原木M,M,M,・・を上積みした積重体G,Gtが原木リフトユニット2および予備体供給ユニット3に載置され、原木リフトユニット2が積重体Gの最上位置の食品原木Mを外部機器Qの原木受け台Rの高さまで持ち上げ、持ち上げられた食品原木Mを原木押込みユニット4が外部機器Qの原木受け台R上に押し込むので、食品原木Mの供給は、予備体供給ユニット3で予備の積重体Gtが空になり、原木リフトユニット2に積載された積重体Gの食品原木Mの全てが外部機器Qで切り終わるまでの、比較的長い時間間隔で行なえばよい。従って、オペレータは他の作業との兼業が容易になるから、他の作業を本業とし、原木供給作業を非業にすることができる。すなわち、外部機器Q(例えばスライサー)へのオペレータの常駐を必要としない。
【0031】
また、底面Nの広い食品原木Mを数段上積みにして積重体載置部材7や予備体載置部材31上で待機させるため、食品原木Mの積重体Gが大気に触れる面積を極めて小さくできる。すなわち、積重体G全体の温度上昇は、食品原木Mの1個ずつを個別に処理する場合とは比較にならないほどであり極端に小さくなる。このような条件下で大気に触れる積重体Gの側面が断熱壁から成る断熱箱体5で覆われるので、食品原木Mの温度上昇を抑えることができる。更には、保冷材42を入れたことにより、温度上昇を抑え得る保冷ストッカーとなる。また、冷却手段6としての保冷材42の替わりにまたは追加構成として、冷凍装置RTおよび冷却管43を冷却手段として配備すれば、原木リフトユニット2および予備体供給ユニット3を収容した断熱箱体5を、冷却ストッカーヘと進化させることができる。すなわち、上記のように多数の食品原木Mを待機させても、食品原木Mの温度上昇を最低限に抑えることができ、スライス条件を良好な状態に維持できるのである。
【0032】
尚、上記の実施形態では、積重体Gとして食品原木Mを5つ上積みしたものを例示したが、食品原木Mの積上げ数は5つに限られない。例として10個の食品原木Mを積み上げた積重体であっても適用可能であり、その場合は食品原木Mの温度上昇をよりいっそう抑制できるし、オペレータの操作間隔もより長くすることができる。
【0033】
また、上記では、原木リフトユニット2および予備体供給ユニット3を用いた食品原木供給機1を例示したが、予備体供給ユニット3を省略して原木リフトユニット2だけを用いる食品原木供給機も、本発明に含まれる。このような構成の食品原木供給機であっても、複数の食品原木を一度に原木リフトユニット2で取り扱ってオペレータの操作間隔を長くできるという効果は奏し得る。
また、上記では、外部機器として、角棒状の食品原木Mの長さH側端部を奥行K方向にスライスしてベーコンを得るベーコンスライサーを例示したが、本発明が適用される外部機器はベーコンスライサーに限定されない。他に例えば、奥行K方向の中央部分を長さH方向に切断して2つの食品原木を得る原木切断機その他にも適用できる。
また、角棒状の食品原木を構成する食品の種類としてベーコンを例示したが、角型ハムその他の食品であっても本発明に適用可能である。
【0034】
そして、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 食品原木供給機
2 原木リフトユニット
3 予備体供給ユニット
4 原木押込みユニット
5 断熱箱体
6 冷却手段
7 積重体載置部材
8 部材昇降手段
9 制御手段
11 通過用溝部
31 予備体載置部材
32 後部箱体
32B 底板
33 前部箱体
33A 底板
41 収容ポケット
42 保冷材
43 冷却管
44 移動手段
45 予備積重体載替え手段
D,E,F 矢印
G 積重体
Gt 予備の積重体
M 食品原木
Q 外部機器
R 原木受け台
RT 冷凍装置
図1
図2
図3
図4