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特許7102001キャスターの取付金具およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】キャスターの取付金具およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20220711BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B60B33/00 G
A47B91/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019191888
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021066280
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】597100860
【氏名又は名称】ゴールドキャスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 政広
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-185213(JP,A)
【文献】実開昭59-070804(JP,U)
【文献】独国実用新案第202015004161(DE,U1)
【文献】特開平09-108056(JP,A)
【文献】特開2007-007066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00 - 33/08
B62D 1/00 - 5/08
A47B 91/00 - 97/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形に形成された金属製の板材からなる取付基板と、
前記取付基板に立設された支持部と、
前記取付基板の外周に設けた受片部と、
前記取付基板に設けられたキャスターを取り付ける取付部と、を備えたキャスターの取付金具であって、前記支持部は、
対向する第1の固定片及び第2の固定片と、
前記第1の固定片の両端面部から直角に延設された第1屈曲部及び第2屈曲部と、
前記第2の固定片の両端面部から直角に延設された第3屈曲部及び第4屈曲部とを備え、
前記第1屈曲部の下部には、前記取付基板に当接するように下方に延設された第1下垂部が形成され、
前記第3屈曲部の下部には、前記取付基板に当接するように下方に延設された第2下垂部が形成されたことを特徴とするキャスターの取付金具。
【請求項2】
1枚の金属製の板材からキャスターの取付金具を製造する方法であって、
輪郭を形成する工程と、
取付基板から第1の固定片を立設する工程と、
前記取付基板に前記第1の固定片と対向する第2の固定片を立設する工程と、前記第1の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第1屈曲部及び第2屈曲部を形成する工程と、
前記第2の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第3屈曲部及び第4屈曲部を形成する工程を有することを特徴とするキャスターの取付金具の製造方法。
【請求項3】
1枚の金属製の板材からキャスターの取付金具を製造する方法であって、
輪郭を形成する工程と、
取付基板から第1の固定片を立設する工程と、
前記取付基板に前記第1の固定片と対向する第2の固定片を立設する工程と、前記第1の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第1屈曲部及び第2屈曲部を形成する工程と、
前記第2の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第3屈曲部及び第4屈曲部を形成する工程と、
前記第1屈曲部乃至第4屈曲部の少なくとも一方に切り欠き部を形成する工程とを有することを特徴とするキャスターの取付金具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚の支柱にキャスターを取り付けるための取付金具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャスターの取付金具としては、金属製の板材からなる取付基板と、取付基板から上方へ垂直に折り曲げ立設された固定片と、取付基板の中央に設けたねじ孔と、固定片に設けたばか孔とを備え、支柱の底面を取付基板で支持した状態でビス止めすると共に、支柱の外面を固定片で支持した状態でビス止めするものがある(特許文献1)。
【0003】
また、図22に示すような従来の取付金具100として、略方形の金属製の板材からなる取付基板101と、平面視コ字状となるよう折り曲げ形成され、取付基板101上に溶接された支持部101Aと、取付基板101の支持部101Aに囲まれた中央部分にキャスターの取付孔102を備え、支持部101Aを支柱の下側から支柱の内部に挿入し、支持部101Aの3面で支柱の内面を支持し、ビス止めするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実全昭59-150358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前者の取付金具では、重量物が棚に片寄って載置された場合等、支柱に横向きの力がかかり固定片の折り曲げ方向に力がかかると、固定片が倒れてしまい、支柱の固定が解除されてしまう虞があるという問題点があった。
【0006】
また、後者の取付金具では、取付基板101と支持部101Aが溶接によって固定されており、溶接工程を経ることで生産コストがかかるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、支柱を支持する支持部が著しく倒れることを防止し、かつ生産性に優れたキャスターの取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、略方形に形成された金属製の板材からなる取付基板と、前記取付基板に立設された支持部と、前記取付基板の外周に設けた受片部と、前記取付基板に設けられたキャスターを取り付ける取付部と、を備えたキャスターの取付金具であって、前記支持部は、対向する第1の固定片及び第2の固定片と、前記第1の固定片の両端面部から直角に延設された第1屈曲部及び第2屈曲部と、前記第2の固定片の両端面部から直角に延設された第3屈曲部及び第4屈曲部とを備え、前記第1屈曲部の下部には、前記取付基板に当接するように下方に延設された第1下垂部が形成され、前記第3屈曲部の下部には、前記取付基板に当接するように下方に延設された第2下垂部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項の発明は、1枚の金属製の板材からキャスターの取付金具を製造する方法であって、輪郭を形成する工程と、取付基板から第1の固定片を立設する工程と、前記取付基板に前記第1の固定片と対向する第2の固定片を立設する工程と、前記第1の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第1屈曲部及び第2屈曲部を形成する工程と、前記第2の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第3屈曲部及び第4屈曲部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0011】
請求項の発明は、1枚の金属製の板材からキャスターの取付金具を製造する方法であって、輪郭を形成する工程と、取付基板から第1の固定片を立設する工程と、前記取付基板に前記第1の固定片と対向する第2の固定片を立設する工程と、前記第1の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第1屈曲部及び第2屈曲部を形成する工程と、前記第2の固定片の両端面部から直角に折り曲げて第3屈曲部及び第4屈曲部を形成する工程と、前記第1屈曲部乃至第4屈曲部の少なくとも一方に切り欠き部を形成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、第1の固定片、第2の固定片および屈曲部で支柱の内面を支持するので、支柱を確実に支持することができる。また、一枚の板材から第1の固定片、第2の固定片および屈曲部を折り曲げ形成していくので、溶接工程を経ずに製造コストのかからない生産性に優れたキャスターの取付金具を提供することができる。また、固定片に横向きの負荷がかかる場合に、固定片が内側に折れ曲がろうとすると、下垂部が取付基板に当接して、固定片が内側に折れ曲がるのを防ぐことができる。
【0014】
請求項の発明によれば、第1の固定片、第2の固定片および屈曲部で支柱の内面を支持して、支柱を確実に支持するキャスターの取付金具を製造することができる。また、一枚の板材から第1の固定片、第2の固定片および屈曲部を折り曲げ形成して、溶接工程を経ずに製造コストのかからない生産性に優れたキャスターの取付金具を製造することができる。
【0015】
請求項の発明によれば、取付金具が取り付けられる棚の支柱における各種作業への影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1における取付金具を正面側から見た斜視図である。
図2】同上、取付金具を背面側から見た斜視図である。
図3】同上、取付金具の正面図である。
図4】同上、取付金具の背面図である。
図5】同上、取付金具の右側面図である。
図6】同上、取付金具の平面図である。
図7】同上、取付金具の使用状態を示す分解斜視図である。
図8】同上、取付金具を形成前の板材の平面図である。
図9】本発明の実施例2における取付金具を正面側から見た斜視図である。
図10】同上、取付金具の正面図である。
図11】同上、取付金具の背面図である。
図12】同上、取付金具の右側面図である。
図13】同上、取付金具の平面図である。
図14】同上、取付金具を形成前の板材の平面図である。
図15】本発明の実施例3における取付金具を正面側から見た斜視図である。
図16】同上、取付金具の正面図である。
図17】同上、取付金具の背面図である。
図18】同上、取付金具の右側面図である。
図19】同上、取付金具の平面図である。
図20】同上、取付金具の使用状態を示す分解斜視図である。
図21】同上、取付金具を形成前の板材の平面図である。
図22】従来のキャスターの取付金具の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明における好適な実施の形態について添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須条件であるとは限らない。
【実施例1】
【0018】
図1乃至図8は、本発明のキャスターの取付金具の一実施形態について示している。本実施例において、取付金具1は、略方形、特に略正方形に形成された金属製の板材からなる取付基板2と、取付基板2から垂直に折り曲げて立設 された第1の固定片9と、取付基板2から第1の固定片9と対向するように垂直に折り曲げて立設 された第2の固定片10と、取付基板2の外周縁に設けられた受片部11 と、取付基板2の中心部分に設けられたキャスターCの取付孔12とを備えている。図7に示すように、本実施例ではキャスターCは、取付金具1の取付孔12にピン13を介して水平方向に回動自在に取り付けられる。
【0019】
第1の固定片9の水平方向の両端面部 9A、9Bからは、第1の固定片9から水平方向へ直角に延設された第1屈曲部14及び第2屈曲部15を備えている。
【0020】
第2の固定片10の水平方向の両端面部 10A、10Bからは、第2の固定片10から水平方向へ直角に延設された第3屈曲部19及び第4屈曲部20を備えている。
【0021】
第1屈曲部14及び第3屈曲部19の端面部 14A、19A同士は、間隙S(図3,4,6参照)を有して対向して近接している 。ここで、第1屈曲部14及び第3屈曲部19は、第1の辺3及び第2の辺4と隣接して直交する第3の辺16と平行に形成されている。第1屈曲部14及び第3屈曲部19の下部には、下方に延設された第1の下垂部17及び第2の下垂部18が形成されている。第1の下垂部17及び第2の下垂部18の下部は、取付基板2に当接している 。
【0022】
ここで、第2屈曲部15及び第4屈曲部20は、第1の辺3と第2の辺4と隣接して直交し、第3の辺16と対向する第4の辺21と平行に形成されている。第2屈曲部15及び第4屈曲部20の端面部15A、20A 同士は、間隙22を設けて対向している。
【0023】
図6に示すように、第1の固定片9と第1屈曲部14との境界部分である第1の角部23は、外側をR形状に形成されている。同様に、第2の固定片10と第3屈曲部19との境界部分である第2の角部24、第1の固定片9と第2屈曲部15との境界部分である第3の角部25、第2の固定片10と第4屈曲部20との境界部分である第4の角部26も外側をR形状に形成されている。
【0024】
また、各固定片9、10には棚等の支柱への取付用のねじ孔27Aが水平方向に複数並設して形成されている。
【0025】
図6に示すように第1の固定片9、第2の固定片10、第1屈曲部14、第2屈曲部15、第3屈曲部19、第4屈曲部20からなる支持部1Aは、取付金具1を平面視した場合に、第1の固定片9、第1屈曲部14及び第2屈曲部15からなるコ字形状と、第2の固定片10、第3屈曲部19及び第4屈曲部20からなるコ字形状との互いの開放側を突き合わせた形状としており、 間隙Sと間隙22を開口部としている。受片部11は取付基板2外周 に形成されている。
【0026】
以上の構成の取付金具1の使用について説明する。まず、取付金具1の取付孔12にピン13を挿通し、ピン13をキャスターCに固定して、取付金具1に対してキャスターCを水平方向に回動自在に取り付ける。
【0027】
また、図7に示すように棚等の中空な角パイプ状の支柱29の下部に対して、取付基板2から立設された支持部1Aを挿入すると、支柱29の内側の4面は、図6に示すように第1の固定片9、第2の固定片10、第1屈曲部14、第2屈曲部15、第3屈曲部19、第4屈曲部20によって面接触が可能な状態で支持される。また、支柱29の下面 29Aは受片部11によって支持される。
【0028】
尚、支柱29の内側4面に対して、第1の固定片9と第2の固定片10はそれぞれ単独で1面を面接触が可能な状態で支持しているのに対して、他の2面に対しては、第1屈曲部14と第2屈曲部15、第3屈曲部19と第4屈曲部20がそれぞれ一対となって面接触が可能な状態で支持することが可能 となる。
【0029】
そして、各固定片9、10の取付用のねじ孔27Aと支柱29に設けた取付用の貫通孔30に螺子31を通して固定片9、10と支柱29を固定する。
【0030】
また、図7に示すように、支柱29間に棚板を載置するための梁32を架設する場合、梁32の両端に設けたフック状の係止部33を支柱29に設けた複数のスリット状の溝部34に係止する。図3及び図7に示すように、溝部34は上部の幅広部34Aと下部の幅狭部34Bから構成され、幅広部34Aと幅狭部34Bは連続している。係止部33は幅広部34Aを通過後に幅狭部34Bに落とし込まれた状態で係止される。
【0031】
ここで、第3屈曲部19と第4屈曲部20間に間隙22を設けている。間隙22は係止部33と溝部34の係止動作に干渉しない長さに形成されており、溝部34に係止された係止部33が支柱29内部で取付金具1に接触するのを防止する。
【0032】
次に、取付金具1の製造方法について図8に基づき説明 する。1枚の金属製の板材1Bを用意して、取付基板2、第1の固定片9、第2の固定片10の各領域を形成する工程について説明する。取付金具1を形成する略長方形状の板材1Bは、長手方向に3つの領域に分割され、中央を取付基板2が形成される取付基板側領域35、そして取付基板側領域35の両側をそれぞれ第1の固定片9が形成される第1の固定片側領域36と第2の固定片10が形成される第2の固定片側領域37とする。ここで、図8に示す板材1Bの長手方向をX方向とし、短手方向をY方向とする。板材1Bの一方の長辺を1C、長辺1Cと対向する他方の長辺を1D、板材1Bの第1の固定片側領域36側の短辺を1E、短辺1Eと対向する板材1Bの第2の固定片側領域37側の他方の短辺を1Fとする。
【0033】
取付基板側領域35において、長辺1CをX方向と平行に長辺1Dへ向けて段差状に落ち込むように切り欠いた開口部38が形成される。尚、開口部38における開口部分と対向するX方向と平行な面は、取付基板2の第3の辺16となる。また、取付基板側領域35における長辺1Dは、取付基板2の第4の辺21となる。また、開口部38において、第1の固定片側領域36と隣接するY方向と平行な面は、第1の下垂部17の底面17Aとなる。
【0034】
第3の辺16と隣接している側の底面17Aには、第1の固定片側領域36に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第1の溝部39が形成されている。第1の溝部39の第1の固定片側領域36側の先端には、長辺1Dに向けてY方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第2の溝部40が形成されている。第2の溝部40の先端には、取付基板側領域35に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第3の溝部41が形成されている。第3の溝部41の先端には、平面視半円状の凹溝状に形成された第1の逃げ部42が形成されている。このように、開口部38には、第1の溝部39、第2の溝部40、第3の溝部41及び第1の逃げ部42からなる平面視略コ字型状の第1の分割用溝43 が形成されている。
【0035】
また、長辺1Dにおける取付基板側領域35と第1の固定片側領域36との間には、長辺1Cに向けてY方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第4の溝部44が形成されている。第4の溝部44の先端には、取付基板側領域35に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第5の溝部45が形成されている。尚、第2の溝部40と第4の溝部44は、Y方向に同一に形成されている。第5の溝部45の先端には、平面視半円状の凹溝状に形成された第2の逃げ部46が形成されている。このように、長辺1Dには、第4の溝部44、第5の溝部45及び第2の逃げ部46からなる平面視略L字型状の第2の分割用溝47 が形成されている。
【0036】
そして、第1の分割用溝43と第2の分割用溝47によって、板材1Bには取付基板側領域35の輪郭の一部と第1の固定片側領域36の輪郭の一部が形成される。短辺1Eは、第1の固定片9、第1屈曲部14及び第2屈曲部15の各上辺を連続して構成している。
【0037】
また、開口部38において、第2の固定片側領域37と隣接するY方向と平行な面は、第2の下垂部18の底面18Aとなる。
【0038】
第3の辺16と隣接している側の底面18Aには、第2の固定片側領域37に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第6の溝部48が形成されている。第6の溝部48の第2の固定片側領域37側の先端には、長辺1Dに向けてY方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第7の溝部49が形成されている。第7の溝部49の先端には、取付基板側領域35に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第8の溝部50が形成されている。第8の溝部50の先端には、平面視半円状の凹溝状に形成された第3の逃げ部51が形成されている。このように、開口部38には、第6の溝部48、第7の溝部49、第8の溝部50及び第3の逃げ部51からなる平面視略コ字型状の第3の分割用溝52 が形成されている。
【0039】
また、長辺1Dにおける取付基板側領域35と第2の固定片側領域37との間には、長辺1Cに向けてY方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第9の溝部53が形成されている。第9の溝部53の先端には、取付基板側領域35に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第10の溝部54が形成されている。尚、第7の溝部49と第9の溝部53は、Y方向に同一に形成されている。第10の溝部54の先端には、平面視半円状の凹溝状に形成された第4の逃げ部55が形成されている。このように、長辺1Dには、第9の溝部53、第10の溝部54及び第4の逃げ部55からなる平面視略L字型状の第4の分割用溝56 が形成されている。
【0040】
そして、第3の分割用溝52と第4の分割用溝56によって、板材1Bには取付基板側領域35の輪郭の一部と第2の固定片側領域37の輪郭の一部が形成される。短辺1Fは、第2の固定片10、第3屈曲部19及び第4屈曲部20の各上面を連続して構成している。
【0041】
尚、板材1Bの四隅、開口部38の縁部分、第1の分割用溝部43~第4の分割用溝部54の開口部縁や角部分は、すべてR形状に形成されている。取付基板側領域35の中央部分には、取付孔12が形成される。また、第1の固定片9には、複数のねじ孔27がY方向に並設して形成される。同様に、第2の固定片10には、複数のねじ孔27AがY方向に並設して形成される。
【0042】
次に、第1の固定片9に第1屈曲部14を折り曲げ形成する工程について説明する。短辺1Eと第2の溝部40の間の第1の固定片側領域36において、X方向と平行となるように設定された第1の折り曲げ線57で第1の固定片側領域36の長辺1C側を垂直に折り曲げて、第1屈曲部14を形成する。尚、第1の折り曲げ線57は、Y方向に対して第3の辺16から第4の辺21に向けて支柱29の板厚t1(図6参照)と板材1Bの板厚t2(図6参照)を合わせた距離よりわずかに大きい位置に設計されている。これにより、取付基板2の第3の辺16側の外周縁は、第1屈曲部14から支柱29の板厚t1以上に突出し、支柱29の底面29Aを支持する受片部11の一部を構成している。
【0043】
続いて、第1の固定片9に第2屈曲部15を折り曲げ形成する工程について説明する。短辺1Eと第4の溝部44の間の第1の固定片側領域36において、X方向と平行となるように設定された第2の折り曲げ線58で第1の固定片側領域36の長辺1D側を垂直に折り曲げて、第2屈曲部15を形成する。尚、第2の折り曲げ線58は、Y方向に対して第4の辺21から第3の辺16に向けて支柱29の板厚t1と板材1Bの板厚t2を合わせた距離よりわずかに大きい位置に設計されている。 これにより、取付基板2の第3の辺21側の外周縁は、第2屈曲部15から支柱29の板厚t1以上に突出し、支柱29の底面29Aを支持する受片部11の一部を構成している。
【0044】
続いて、取付基板2に第1の固定片9を折り曲げ形成する工程について説明する。第3の溝部41と第1の逃げ部42の境界部分と、第5の溝部45と第2の逃げ部46の境界部分とを結ぶY方向と平行となるように設定された第3の折り曲げ線59で、第1の固定片側領域36を垂直に折り曲げて、第1の固定片9を形成する。ここで、第3の折り曲げ線59の両側に第1の逃げ部42と第2の逃げ部46を備えたことで、第3の折り曲げ線59付近で板材1Bが破断しながら折れ曲がる無理曲げを防ぎ、第1の固定片9を第1の下垂部17の下面17Aが取付基板2に当接するまで精度よく折り曲げることができる。
【0045】
ここで上述の第1屈曲部14と第2屈曲部15が形成された後に第1の固定片9が折り曲げ形成されると、第1屈曲部14の内面が取付基板2における折り曲げ前の第1の折り曲げ線57の延長線上に配置され、第1の下垂部17の底面17Aが取付基板2に当接するとともに、第2屈曲部15の内面が取付基板2における折り曲げ前の第2の折り曲げ線58の延長線上に配置される。尚、底面17Aは取付基板2に当接させず、取付基板2に極めて近接させた状態としてもよい。
【0046】
次に、第2の固定片10に第3屈曲部19を折り曲げ形成する工程について説明する。短辺1Fと第7の溝部49の間の第2の固定片側領域37において、X方向と平行となるように設定された第4の折り曲げ線60で第2の固定片側領域37の長辺1C側を垂直に折り曲げて、第3屈曲部19を形成する。尚、第4の折り曲げ線60は、Y方向に対して第3の辺16から第4の辺21に向けて支柱29の板厚t1と板材1Bの板厚t2を合わせた距離よりわずかに大きい位置に設計されている。 これにより、取付基板2の第3の辺16側の外周縁は、第3屈曲部19から支柱29の板厚t1以上に突出し、支柱29の底面29Aを支持する受片部11の一部を構成している。
【0047】
続いて、第2の固定片10に第4屈曲部20を折り曲げ形成する工程について説明する。短辺1Fと第9の溝部53の間の第2の固定片側領域37において、X方向と平行となるように設定された第5の折り曲げ線61で第2の固定片側領域37の長辺1D側を垂直に折り曲げて、第4屈曲部20を形成する。尚、第5の折り曲げ線61は、Y方向に対して第4の辺21から第3の辺16に向けて支柱29の板厚t1と板材1Bの板厚t2を合わせた距離よりわずかに大きい位置に設計されている。 これにより、取付基板2の第4の辺21側の外周縁は、第4屈曲部20から支柱29の板厚t1以上に突出し、支柱29の底面29Aを支持する受片部11の一部を構成している。
【0048】
続いて、取付基板2に第2の固定片10を折り曲げ形成する工程について説明する。第8の溝部50と第3の逃げ部51の境界部分と、第10の溝部54と第4の逃げ部55の境界部分とを結ぶY方向と平行となるように設定された第6の折り曲げ線62で、第2の固定片側領域37を垂直に折り曲げて、第2の固定片10を形成する。ここで、第6の折り曲げ線62の両側に第3の逃げ部51と第4の逃げ部55を備えたことで、第6の折り曲げ線62付近で板材1Bが破断しながら折れ曲がる無理曲げを防ぎ、第2の固定片10を第2の下垂部18の下面18Aが取付基板2に当接するまで精度よく折り曲げることができる。
【0049】
ここで上述の第3屈曲部19と第4屈曲部20が形成された後に第2の固定片10が折り曲げ形成されると、第3屈曲部19の内面が取付基板2における折り曲げ前の第3の折り曲げ線の延長線上に配置され、第2の下垂部18の底面18Aが取付基板2に当接するとともに、第4屈曲部20の内面が取付基板2における折り曲げ前の第4の折り曲げ線の延長線上に配置される。尚、底面18Aは取付基板2に当接させず、取付基板2に極めて近接させた状態としてもよい。
【0050】
そして、第1の固定片9と第2の固定片10が折り曲げ形成された取付基板2の外周には、板厚t1以上に突出して支柱29の底面29Aを支持可能とする受片部11が形成される。
【0051】
第1屈曲部14の側面部14Aと第3屈曲部19の側面部19Aとの間には間隙Sが形成される。支柱29の下端を支持部1A1に対して斜め方向から嵌合しようとすると、支柱29の内面に押圧された第1の固定片9又は第2の固定片10が内向きに弾性変形して、間隙Sが狭まることによって、支持部1A1は間隙Sが狭まるように弾性的に変形し、支柱29の底面29Aが受片部11に支持されるまで支柱29が支持部1A1に完全に嵌合されると弾性変形していた第1の固定片9又は第2の固定片10が復元しようとする力によって支柱29の内面が支持され、支柱29と支持部1A1との嵌合が強固なものとなる。
【0052】
第1屈曲部14の第1の角部23付近には、第1の溝部39、第2の溝部40及び第3の溝部41によってアーチ状に切り欠いて形成された第1のアーチ部14Bが形成される。同様に、第3屈曲部19の第2の角部24付近には、第6の溝部48、第7の溝部49及び第8の溝部50によってアーチ状に切り欠いて形成された第2のアーチ部19Bが形成される。
【0053】
以上の構成のキャスターCの取付金具1は、略方形に形成された金属製の板材からなる取付基板2と、前記取付基板2に立設された支持部1A1と、前記取付基板2の外周に設けた受片部11と、前記取付基板2に設けられたキャスターCを取り付ける取付部12と、を備えたキャスターCの取付金具1であって、前記支持部1A1は、対向する第1の固定片9及び第2の固定片10と、前記第1の固定片9の両端面部9A、9Bから直角に延設された第1屈曲部14及び第2屈曲部15と、前記第2の固定片10の両端面部10A、10Bから直角に延設された第3屈曲部19及び第4屈曲部20とを備えている。
【0054】
この場合、第1の固定片9、第2の固定片10、第1屈曲部14、第2屈曲部15、第3屈曲部19及び第4屈曲部20で支柱29の内面を支持するので、支柱29を確実に支持することができる。また、一枚の板材から第1の固定片9、第2の固定片10、第1屈曲部14、第2屈曲部15、第3屈曲部19及び第4屈曲部20を折り曲げ形成して、溶接工程を経ずに製造コストのかからない生産性に優れたキャスターの取付金具を提供することができる。
【0055】
また、本実施例では、前記第1屈曲部14の下部には、取付基板2に当接するように下方に延設された第1下垂部17が形成され、前記第3屈曲部19の下部には、取付基板2に当接するように下方に延設された第2下垂部18が形成されている。
【0056】
この場合、取付金具1の支持部1A1を支柱29の下部に挿通した状態で、支柱29に横向きの負荷がかかり、第1の固定片9及び第2の固定片10に横向きの負荷がかかる場合に、第1の固定片9及び第2の固定片10が互いに向かって内側に折れ曲がろうとすると、第1の下垂部17及び第2の下垂部18の下部が取付基板2に当接して、第1の固定片9及び第2の固定片10が内側に折れ曲がるのを防ぎ、支柱29を安定して支持することが可能である。
【0057】
また、本実施例のキャスターCの取付金具1の製造工程は、1枚の金属製の板材1BからキャスターCの取付金具1を製造する方法であって、輪郭を形成する工程と、取付基板2から第1の固定片9を立設する工程と、前記取付基板に第1の固定片と対向する第2の固定片10を立設する工程と、前記第1の固定片9の両端面部9A、9Bから直角に折り曲げて第1屈曲部14及び第2屈曲部15を形成する工程と、前記第2の固定片10の両端面部10A、10Bから直角に折り曲げて第3屈曲部19及び第4屈曲部20を形成する工程を有している。
【0058】
この場合、第1の固定片9、第2の固定片10、第1屈曲部14、第2屈曲部15、第3屈曲部19及び第4屈曲部20で支柱29の内面を支持して、支柱29を確実に支持するキャスターCの取付金具1を製造することができる。また、一枚の板材から第1の固定片、第2の固定片、第1屈曲部14、第2屈曲部15、第3屈曲部19及び第4屈曲部20を折り曲げ形成して、溶接工程を経ずに製造コストのかからない生産性に優れたキャスターCの取付金具1を製造することができる。
【0059】
本実施例の支持部1A1は、一枚の板材を折り曲げて中空な四角筒状を形成したことで、第1の角部23、第2の角部24、第3の角部25及び第4の角部26からなる支持部1Aの四隅は、折り曲げ形状により外側がR形状となっており、例えば4枚の板材の端同士を突き合わせて四角筒状を形成した場合のように四隅が鋭利な形状とはならず、支柱29の内側に支持部1A1を挿入する際に支持部1A1の四隅が引っ掛かることを防ぐことができる。
【実施例2】
【0060】
図9図14は本発明の実施例2を示し、上記第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な本実施例では、説明を省略して詳述する。本実施例の支持部1A2の第2屈曲部63及び第4屈曲部64 には、溝部34の位置に干渉しないように段差状の第1の切り欠き部65及び第2の切り欠き部66を設け、図10に示すように溝部34の幅狭部34Bに係止された係止部33に第2屈曲部63及び第4屈曲部64が接触するのを防ぐことができる。また、各固定片9、10には棚等の支柱への取付用のねじ孔27Bが上下方向に複数並設して形成されている。第2屈曲部63及び第4屈曲部64の端面部63A、64A同士は、間隙S1を有して対向している。
【0061】
本実施例の取付金具1の製造方法について図14に基づいて説明する。第1の切り欠き部65は、第2の折り曲げ線58より長辺1D寄りの短辺1E側から取付基板側領域35に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の垂直切り欠き部65Aと、垂直切り欠き部65Aの先端を長辺1Dに向けてY方向と平行に切り欠いた平面視直線状の水平切り欠き部65Bと、垂直切り欠き部65Aと水平切り欠き部65Bの境界部分の角部をY方向に平面視半円状の凹溝状に凹設させた逃げ部65Cとを備えている。
【0062】
第2の切り欠き部66は、第5の折り曲げ線61より長辺1D寄りの短辺1F側から取付基板側領域35に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の垂直切り欠き部66Aと、垂直切り欠き部66Aの先端を長辺1Dに向けてY方向と平行に切り欠いた平面視直線状の水平切り欠き部66Bと、垂直切り欠き部66Aと水平切り欠き部66Bの境界部分の角部をY方向に平面視半円状の凹溝状に凹設させた逃げ部66Cとを備えている。
【0063】
第2の折り曲げ線58は、第1の切り欠き部65の垂直切り欠き部65Aと平行に形成されている。また、第5の折り曲げ線61は、第2の切り欠き部66の垂直切り欠き部66Aと平行に形成されている。
【0064】
逃げ部65Cを備えたことで、第2の折り曲げ線58付近で板材1Bが破断しながら折れ曲がる無理曲げを防ぎ、第2屈曲部15を精度よく折り曲げることができる。また、逃げ部66Cを備えたことで、第5の折り曲げ線61付近で板材1Bが破断しながら折れ曲がる無理曲げを防ぎ、第4屈曲部20を精度よく折り曲げることができる。
【0065】
以上のように本実施例のキャスターCの取付金具1の製造工程は、1枚の金属製の板材からキャスターの取付金具を製造する方法であって、輪郭を形成する工程と、取付基板2から第1の固定片9を立設する工程と、前記取付基板2に第1の固定片9と対向する第2の固定片10を立設する工程と、前記第1の固定片9の両端面部9A、9Bから直角に折り曲げて第1屈曲部14及び第2屈曲部15を形成する工程と、前記第2の固定片10の両端面部10A、10Bから直角に折り曲げて第3屈曲部19及び第4屈曲部20を形成する工程と、前記第1屈曲部14乃至第4屈曲部20の少なくとも一方に切り欠き部として第1の切り欠き部65及び第2の切り欠き部66を形成する工程と、を有している。
【0066】
この場合、図10に示すように溝部34の幅狭部34Bに係止された係止部33に第2屈曲部63及び第4屈曲部64が接触するのを防ぐことができるので、取付金具1が取り付けられる棚の支柱29における各種作業への影響を抑えることができる。
【実施例3】
【0067】
図15図21は本発明の実施例3を示し、上記第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例の支持部1A3では、第2屈曲部67及び第4屈曲部68 の下部には、下方に延設された第3の下垂部69及び第4の下垂部70が形成されている 。第3の下垂部69の底面69A及び第4の下垂部70の底面70Aは、取付基板2に当接している 。
【0068】
本実施例の取付金具1の製造方法について図21に基づいて説明する。取付基板側領域35において、長辺1DをX方向と平行に長辺1Cへ向けて段差状に落ち込むように切り欠いた開口部71が形成される。尚、開口部71における開口部分と対向するX方向と平行な面は、取付基板2の第4の辺21となる。また、開口部71において、第1の固定片側領域36と隣接するY方向と平行な面は、第3の下垂部69の底面69Aとなる。
【0069】
第4の辺21と隣接している側の底面69Aには、第1の固定片側領域36における第4の溝部44の基端に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第11の溝部72が形成されている。このように、開口部71には、第4の溝部44、第5の溝部45、第11の溝部72及び第2の逃げ部46からなる平面視略コ字型状の第2の分割用溝73 が形成されている。
【0070】
そして、第1の分割用溝43と第2の分割用溝73によって、板材1Bには取付基板側領域35の輪郭と第1の固定片側領域36の輪郭の一部が形成される。短辺1Eは、第1の固定片9、第1屈曲部14及び第2屈曲部67の各上辺を連続して構成している。
【0071】
また、開口部71において、第2の固定片側領域37と隣接するY方向と平行な面は、第4の下垂部70の底面70Aとなる。第4の辺21と隣接している側の底面70Aには、第2の固定片側領域37における第9の溝部53に向けてX方向と平行に切り欠いた平面視直線状の第12の溝部74が形成されている。
【0072】
このように、開口部71には、第9の溝部53、第10の溝部54、第12の溝部74及び第4の逃げ部55からなる平面視略コ字型状の第4の分割用溝75 が連続して形成されている。
【0073】
そして、第3の分割用溝52と第4の分割用溝75によって、取付基板側領域35の輪郭の一部と第2の固定片側領域37の輪郭の一部が形成される。短辺1Fは、第2の固定片9、第3屈曲部19及び第4屈曲部68の各上面を連続して構成している。
【0074】
尚、板材1Bの四隅、開口部38の縁部分、開口部71の縁部分、第1の分割用溝部43~第4の分割用溝部75の開口部縁や角部分は、すべてR形状に形成されている。
【0075】
続いて、取付基板2に第1の固定片9を折り曲げ形成する工程について説明する。第3の折り曲げ線59で、第1の固定片側領域36を垂直に折り曲げて、第1の固定片9を形成する。ここで、第3の折り曲げ線88の両側に第1の逃げ部42と第2の逃げ部75を備えたことで、第3の折り曲げ線88付近で板材1Bが破断しながら折れ曲がる無理曲げを防ぎ、第1の固定片9を第1の下垂部17の下面17A及び第3の下垂部69の下面69Aが取付基板2に当接するまで精度よく折り曲げることができる。
【0076】
ここで上述の第1屈曲部14と第2屈曲部67が形成された後に第1の固定片9が折り曲げ形成されると、第1屈曲部14の内面が取付基板2における折り曲げ前の第1の折り曲げ線57の延長線上に配置され、第1の下垂部17の底面17Aが取付基板2に当接するとともに、第2屈曲部67の内面が取付基板2における折り曲げ前の第2の折り曲げ線58の延長線上に配置され、第2の下垂部69の底面69Aが取付基板2に当接する。尚、底面17A、69Aは取付基板2に当接させず、取付基板2に極めて近接させた状態としてもよい。
【0077】
続いて、取付基板2に第2の固定片10を折り曲げ形成する工程について説明する。第6の折り曲げ線62で、第2の固定片側領域37を垂直に折り曲げて、第2の固定片10を形成する。ここで、第6の折り曲げ線91の両側に第3の逃げ部80と第4の逃げ部85を備えたことで、第6の折り曲げ線91付近で板材1Bが破断しながら折れ曲がる無理曲げを防ぎ、第2の固定片10を第2の下垂部18の下面18Aと第4の下垂部70の下面70Aが取付基板2に当接するまで精度よく折り曲げることができる。
【0078】
ここで上述の第3屈曲部19と第4屈曲部68が形成された後に第2の固定片10が折り曲げ形成されると、第3屈曲部19の内面が取付基板2における折り曲げ前の第4の折り曲げ線60の延長線上に配置され、第2の下垂部18の底面18Aが取付基板2に当接するとともに、第4屈曲部68の内面が取付基板2における折り曲げ前の第5の折り曲げ線61の延長線上に配置され、第4の下垂部70の底面70Aが取付基板2に当接する。尚、底面18A、70Aは取付基板2に当接させず、取付基板2に極めて近接させた状態としてもよい。
【0079】
第1屈曲部14の側面部14Aと第3屈曲部19の側面部19Aとの間には間隙Sが形成されるとともに、第2屈曲部67の側面部67Aと第4屈曲部68の側面部68Aとの間には間隙S2が形成される。この場合、支柱29の下端を支持部1A3の上端に嵌合しようとすると、支柱29の内面によって第1の固定片9と第2の固定片10が内向きに押圧されて、間隙S、S2が狭まることによって、支持部1A3が弾性的に変形し、支柱29への取付金具1の取り付けが容易になる。
【0080】
第2屈曲部67の第3の角部25付近には、第4の溝部72、第5の溝部73及び第11の溝部72によってアーチ状に切り欠いて形成された第3のアーチ部67Bが形成される。同様に、第4屈曲部68の第4の角部26付近には、第9の溝53、第10の溝部54及び第12の溝部74によってアーチ状に切り欠いて形成された第4のアーチ部68Bが形成される。
【0081】
本実施例において、支柱29間に棚板を載置するための梁32を架設する場合、梁32の両端に設けたフック状の係止部33を支柱29の下面29Aから支持部1A3との嵌合箇所より上方に設けた複数のスリット状の溝部34に係止する。よって、支柱29における支持部1A3との取付箇所に溝部34を設けないことで、支持部1A3の取り付け強度を高めることができる。
【0082】
また、取付金具1の支持部1A3を支柱29の下部に挿通した状態で、支柱29に横向きの負荷がかかり、第1の固定片9が第2の固定片10に向かって内側に折れ曲がろうとするとき、又は第1の固定片10が第2の固定片10に向かって内側に折れ曲がろうとするときに、第1の下垂部17及び第3の下垂部37の底面17A、37A、又は第2の下垂部18及び第4の下垂部38の底面18A、38Aが取付基板2に当接して、第1の固定片9及び第2の固定片10が内側に折れ曲がるのを防ぎ、支柱29をさらに安定して支持することが可能である。
【0083】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、キャスターCをねじ込み式とする場合、キャスターCの上部に備えた雄螺子からなる支軸を取付孔12と連通するように取付基板の底部に設けたナット等の雌ねじ部に螺合させてキャスターCを取付金具1に取り付けてもよい。尚、取付孔12に雌ねじを直接形成してもよいものとする。また、第1の切り欠き部35及び第2の切り欠き部36の形状も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 取付金具
1A 支持部
2 取付基板
3 第1の辺
4 第2の辺
9 第1の固定片
9A、9B 端面部
10 第2の固定片
10A、10B 端面部
11 受片部
12 取付部
14 第1屈曲部
15 第2屈曲部
17 第1の下垂部
18 第2の下垂部
19 第3屈曲部
20 第4屈曲部
37 第3の下垂部
38 第4の下垂部
65 第1の切り欠き部
66 第2の切り欠き部
C キャスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22