(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20220711BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220711BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20220711BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220711BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220711BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220711BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/653
H01M10/625
H01M10/647
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2020522387
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2019008118
(87)【国際公開番号】W WO2020009465
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077325
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ユル・アン
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-018915(JP,A)
【文献】特表2016-514345(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0107798(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0090800(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0175468(US,A1)
【文献】国際公開第2011/149234(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/008866(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/012721(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60
H01M 50/209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立した状態で互いに積層された複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルを収容し、前記複数のバッテリーセルを支持する支持部材を含むハウジングと、
前記支持部材に接触するように構成されるヒートシンクと、
を含み、
前記支持部材には、
前記支持部材の両端部から前記支持部材の中央部に向けて貫通ホールの数が減るように複数の貫通ホールが形成され、前記複数の貫通ホールは熱伝達物質で満たされる、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記複数のバッテリーセルが配置される領域が複数の温度領域に区分され、
前記支持部材に形成される複数の貫通ホール間の間隔は前記複数の温度領域によって異なるように設定される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記複数の温度領域は、高温領域、低温領域、及び前記高温領域と前記低温領域との間の中間領域を含み、
前記中間領域に対応する前記支持部材の部分における前記複数の貫通ホール間の間隔は前記高温領域から前記低温領域に向かう方向において漸進的に増加することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
互いに積層された複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルを収容し、前記複数のバッテリーセルを支持する支持部材を含むハウジングと、
前記支持部材に接触するように構成されるヒートシンクと、
を含み、
前記支持部材には複数の貫通ホールが形成され、前記複数の貫通ホールは熱伝達物質で満たされ、
前記複数のバッテリーセルと前記支持部材との間には、前記支持部材の前記複数の貫通ホール内の熱伝達物質と連結されるように、熱伝達物質が介在される、バッテリーモジュール。
【請求項5】
互いに積層された複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルを収容し、前記複数のバッテリーセルを支持する支持部材を含むハウジングと、
前記支持部材に接触するように構成されるヒートシンクと、
を含み、
前記支持部材には複数の貫通ホールが形成され、前記複数の貫通ホールは熱伝達物質で満たされ、
前記複数のバッテリーセルと前記支持部材との間に配置される放熱パッドをさらに含み、
前記放熱パッドには複数の貫通ホールが形成され、前記放熱パッドの複数の貫通ホールは熱伝達物質で満たされる、バッテリーモジュール。
【請求項6】
前記放熱パッドの前記複数の貫通ホールは前記支持部材の前記複数の貫通ホールに対応する位置に形成され、前記放熱パッドの前記複数の貫通ホール内の前記熱伝達物質と前記支持部材の前記複数の貫通ホール内の熱伝達物質とは互いに連結される、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記複数のバッテリーセルが配置される領域が複数の温度領域に区分され、
前記放熱パッドに形成される複数の貫通ホール間の間隔は前記複数の温度領域によって異なるように設定される、請求項5又は6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記複数の温度領域は、高温領域、低温領域、及び前記高温領域と前記低温領域との間の中間領域を含み、
前記中間領域に対応する前記放熱パッドの部分における前記複数の貫通ホール間の間隔は前記高温領域から前記低温領域に向かう方向において漸進的に増加する、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記複数のバッテリーセルと前記放熱パッドとの間には、前記放熱パッドの複数の貫通ホール内の熱伝達物質と連結されるように、熱伝達物質が介在される、請求項5~8のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年7月3日付の韓国特許出願第2018-0077325号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はバッテリーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブック型コンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータのような携帯用電子機器の需要が増大するにつれて、繰り返し充放電の可能な高性能二次電池に対する研究が活発に進んでいる。
【0004】
また、携帯用電子機器のような小型装置だけではなく、自動車、ロボット、衛星のような中型又は大型装置にも二次電池が広く用いられている。特に、化石燃料の枯渇及び環境汚染に対する関心が高くなるにつれてハイブリッド自動車と電気自動車に対する研究が活発に進んでいる。このようなハイブリッド自動車や電気自動車における最も核心的部品はモーターに電力を供給するバッテリーパックである。
【0005】
ハイブリッド自動車や電気自動車の場合、バッテリーパックから駆動力を得ることができるから、内燃機関のみ使う自動車に比べて燃費が優れ、公害物質を排出しないか減少させることができるという利点を有する。ハイブリッド自動車や電気自動車に使われるバッテリーパックは複数のバッテリーセルを含むバッテリーモジュールを含み、複数のバッテリーセルが互いに直列及び/又は並列で連結されることにより、バッテリーモジュールの容量及び出力が増大する。
【0006】
バッテリーパックの内部空間には複数のバッテリーセルが密接に設けられるので、複数のバッテリーセルで発生する熱を外部に円滑に放出することが特に重要である。バッテリーセルにおける電気化学的反応によって発生した熱が外部に円滑に排出されなければ、バッテリーモジュール内に熱が蓄積してバッテリーモジュールの劣化、発火又は爆発をもたらすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0107798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、バッテリーセルで発生した熱が外部に円滑に放出されることができるバッテリーモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例によるバッテリーモジュールは、互いに積層された複数のバッテリーセルと、複数のバッテリーセルを収容し、複数のバッテリーセルを支持する支持部材及び支持部材に支持された複数のバッテリーセルをカバーするカバー部材を含むハウジングと、支持部材に接触するように構成されるヒートシンクと、を含むことができ、支持部材には複数の貫通ホールが形成されることができ、複数の貫通ホールは熱伝達物質で満たされることができる。
【0010】
複数のバッテリーセルの温度分布を基準にして、複数のバッテリーセルが配置される領域が複数の温度領域に区分されることができ、支持部材に形成される複数の貫通ホール間の間隔は複数の温度領域によって異なるように設定されることができる。
【0011】
複数の温度領域は、高温領域、低温領域、及び高温領域と低温領域との間の中間領域を含むことができ、中間領域に対応する支持部材の部分の複数の貫通ホール間の間隔は高温領域から低温領域に向かう方向に漸進的に増加することができる。
【0012】
複数のバッテリーセルと支持部材との間には、支持部材の複数の貫通ホール内の熱伝達物質と連結されるように、熱伝達物質が介在されることができる。
【0013】
本発明の実施例によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルと支持部材との間に配置される放熱パッドをさらに含むことができ、放熱パッドには複数の貫通ホールが形成されることができ、放熱パッドの複数の貫通ホールは熱伝達物質で満たされることができる。
【0014】
放熱パッドの複数の貫通ホールは支持部材の複数の貫通ホールに対応する位置に形成されることができ、放熱パッドの複数の貫通ホール内の熱伝達物質と支持部材の複数の貫通ホール内の熱伝達物質とは互いに連結されることができる。
【0015】
複数のバッテリーセルの温度分布を基準にして、複数のバッテリーセルが配置される領域が複数の温度領域に区分されることができ、放熱パッドに形成される複数の貫通ホール間の間隔は複数の温度領域によって異なるように設定されることができる。
【0016】
複数の温度領域は、高温領域、低温領域、及び高温領域と低温領域との間の中間領域を含むことができ、中間領域に対応する放熱パッドの部分の複数の貫通ホール間の間隔は高温領域から低温領域に向かう方向に漸進的に増加することができる。
【0017】
複数のバッテリーセルと放熱パッドとの間には、放熱パッドの複数の貫通ホール内の熱伝達物質と連結されるように、熱伝達物質が介在されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例によるバッテリーモジュールを概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例によるバッテリーモジュールに備えられるバッテリーセルを概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施例によるバッテリーモジュールに備えられるバッテリーセルを概略的に示した分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施例によるバッテリーモジュールを概略的に示した断面図である。
【
図5】本発明の第1実施例によるバッテリーモジュールの他の例を概略的に示した断面図である。
【
図6】本発明の第1実施例によるバッテリーモジュールに備えられる支持部材を概略的に示した斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施例において複数のバッテリーセルが配置される領域の温度分布を概略的に示した図である。
【
図8】本発明の第2実施例によるバッテリーモジュールに備えられる放熱パッド及び支持部材を概略的に示した斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施例によるバッテリーモジュールを概略的に示した断面図である。
【
図10】本発明の第2実施例によるバッテリーモジュールの他の例を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例によるバッテリーモジュールについて説明する。
【0020】
図1に示したように、本発明の第1実施例によるバッテリーモジュール10は、互いに積層された複数のバッテリーセル100と、バッテリーセル100を収容するハウジング200と、ハウジング200と連結されるヒートシンク300と、を含む。
【0021】
複数のバッテリーセル100は互いに対向するように位置する。複数のバッテリーセル100は互いに電気的に連結されることができる。以下、バッテリーセル100の長手方向をY軸方向として定義し、バッテリーセル100の幅方向をZ軸方向として定義し、バッテリーセル100の厚さ方向をX軸方向として定義する。ここで、複数のバッテリーセル100はX軸方向に積層される。
【0022】
図2及び
図3に示したように、バッテリーセル100は、電極組立体110と、電極リード120と、パウチ130とを含む。
【0023】
電極組立体110は、複数の電極板と複数の電極板との間に介在される複数の分離膜(セパレーター)を含む。複数の電極板は、一枚以上の陽極板、及び一枚以上の陰極板を含む。電極組立体110の各電極板には、電極タブ140が備えられる。電極タブ140は、電極板から外部に突出する形態に構成される。
【0024】
電極リード120の端部(連結部)は電極タブ140を介して電極組立体110と連結され、電極組立体110と連結される連結部の反対側端部はパウチ130の外部に露出される。電極リード120はバッテリーモジュール10の電極端子としての役割を果たす。電極リード120は、陽極リード121及び陰極リード122を含む。電極リード121、122は電極タブ140を介して電極組立体110と電気的に連結される。電極リード121、122は電極タブ140の連結部に溶接されることによって電極タブ140と連結される。
【0025】
複数の電極板、すなわち、陽極板及び陰極板はそれぞれ電極タブ140を備える。電極タブ140は、陽極リード121と連結される陽極タブ141と、陰極リード122と連結される陰極タブ142とを含む。一つの陽極リード121には複数の陽極タブ141が連結され、一つの陰極リード122には複数の陰極タブ142が連結される。
【0026】
パウチ130は、その内部に電極組立体110と電解液を収容する収容空間を有する。パウチ130は、第1パウチ部材131及び第2パウチ部材132を含む。第1パウチ部材131及び第2パウチ部材132のいずれか一つには、凹んでいる凹部133が形成される。
【0027】
第1パウチ部材131及び第2パウチ部材132は互いに結合して収容空間を形成する。第1パウチ部材131及び第2パウチ部材132の縁部が熱融着などによってシーリングされることにより、収容空間が密閉される。パウチ130は、収容空間が形成される部分から延びる延長部135を備え、延長部135から電極リード120が外部に引き出される。
【0028】
図4及び
図5に示したように、ハウジング200は複数のバッテリーセル100を収容する。ハウジング200はカバー部材210及び支持部材220を含み、カバー部材210及び支持部材220が互いに結合されることにより、ハウジング200の内部に複数のバッテリーセル100を収容するための空間が形成される。支持部材220は複数のバッテリーセル100を支持する役割を果たす。また、支持部材220はヒートシンク300と接触し、複数のバッテリーセル100で発生した熱をヒートシンク300に伝達する役割を果たす。カバー部材210は支持部材220に支持された複数のバッテリーセル100をカバーして外部から保護する役割を果たす。
【0029】
図4に示したように、複数のバッテリーセル100は支持部材220に直接的に接触することができる。この場合、複数のバッテリーセル100で発生した熱は支持部材220に直接的に伝達された後、ヒートシンク300に伝達されることができる。
【0030】
他の例として、
図5に示したように、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間には熱伝達物質(thermal interface material;TIM)400が介在されることができる。熱伝達物質400は接着特性を有することができる。この場合、複数のバッテリーセル100は、接着特性を有する熱伝達物質400を介して支持部材220に付着されることができる。また、複数のバッテリーセル100が積層される状態が熱伝達物質400によって維持されることができる。放熱グリース、熱伝導性接着剤及び相変化物質の少なくとも一つが熱伝達物質400として使われることができる。この場合、複数のバッテリーセル100で発生した熱は熱伝達物質400を介して支持部材220に伝達された後、ヒートシンク300に伝達されることができる。熱伝達物質400は樹脂素材からなって複数のバッテリーセル100の表面に密着することができるので、複数のバッテリーセル100で発生した熱を円滑に吸収して支持部材220に伝達することができる。
【0031】
支持部材220は、剛性及び円滑な熱伝達を確保するために、金属素材からなることができる。例えば、支持部材220は、剛性及び円滑な熱伝達とともに軽量化を確保するために、アルミニウムからなることが好ましい。
【0032】
図6に示したように、支持部材220には複数の貫通ホール225が形成されることができる。複数の貫通ホール225のそれぞれは、円形、多角形などの多様な形状を有することができる。複数の貫通ホール225は複数のバッテリーセル100と支持部材220と間の接触抵抗を減らす役割を果たすことができる。
【0033】
複数の貫通ホール225の内部は熱伝達物質400で満たされることができる。熱伝達物質400は貫通ホール225を介して複数のバッテリーセル100及びヒートシンク300と接触することができる。よって、複数のバッテリーセル100で発生した熱が熱伝達物質400を介してヒートシンク300に伝達されることができる。
【0034】
このように、支持部材220に複数の貫通ホール225が形成され、複数の貫通ホール225が熱伝達物質400で満たされることにより、複数のバッテリーセル100で発生した熱が支持部材220及び貫通ホール225内の熱伝達物質400を介して外部に円滑に放出されることができる。
【0035】
したがって、
図4に示したように、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に熱伝達物質400が介在されていない場合にも、複数のバッテリーセル100で発生した熱を支持部材220及び貫通ホール225内の熱伝達物質400を介して外部に円滑に放出することができる。
【0036】
一方、
図5に示したように、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に、熱伝達物質400が支持部材220の複数の貫通ホール225内の熱伝達物質400と連結されるように備えられることができる。この場合、支持部材220の複数の貫通ホール225が熱伝達物質400で満たされることによって熱伝達効率が上昇するから、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に介在される熱伝達物質400の量を減らすことができる。よって、熱伝達物質400の量が減った分だけ、バッテリーモジュール10の重量を減らすことができ、熱伝達物質400の使用に必要な費用を節減することができる。
【0037】
一方、支持部材220に形成される複数の貫通ホール225は、互いに一定の間隔で配置されることができるが、複数のバッテリーセル100が配置される領域の温度分布を考慮して、複数の貫通ホール225が適切なパターンで分布することが好ましい。
【0038】
図7に示したように、バッテリーモジュール10内の複数のバッテリーセル100の温度は全体的に均一ではなく、温度が相対的に高い高温領域と、温度が相対的に低い低温領域と、高温領域と低温領域との間に温度勾配を有する(温度が漸進的に変化する)中間領域とが存在する。
【0039】
したがって、高温領域に相当する支持部材220の部分では、熱が外部に円滑に放出できるように、残りの部分に比べて複数の貫通ホール225を小さな間隔で配列すること(すなわち、より多数の貫通ホール225を緻密に配列すること)が好ましい。そして、低温領域に相当する支持部材220の部分では、残りの部分に比べ、複数の貫通ホール225をより大きな間隔で配列すること(すなわち、より少ない数の貫通ホール225を配列すること)が好ましい。そして、中間領域に相当する支持部材220の部分では、複数の貫通ホール225間の間隔が高温領域から低温領域に向かう方向に漸進的に増加すること(すなわち、複数の貫通ホール225の個数が高温領域から低温領域に向かう方向に漸進的に減少すること)が好ましい。
【0040】
このように、複数のバッテリーセル100の温度分布を基準にして、複数のバッテリーセル100が配置される領域が複数の温度領域に区分され、複数の貫通ホール225間の間隔が複数の温度領域によって異なるように設定されることにより、複数のバッテリーセル100で発生する熱をより効率的に放出することができる。特に、低温領域に相当する支持部材220の部分には複数の貫通ホール225をより大きな間隔で(少ない個数で)形成することができるので、複数のバッテリーセル100が配置される領域全体に対して複数の貫通ホール225を互いに一定の間隔で形成する場合に比べ、複数の貫通ホール225の個数を減らすことができる。よって、複数の貫通ホール225を支持部材220に加工するとともに複数の貫通ホール225を熱伝達物質400で充填するのに要求される工数及び時間を減らすことができる。また、複数の貫通ホール225を充填するのに必要な熱伝達物質400の量を減らすことができるので、熱伝達物質400の使用に必要な費用を減らすことができる。
【0041】
一方、ヒートシンク300は、複数のバッテリーセル100に対向する支持部材220の一面の反対側の支持部材220の他面と接触する。ヒートシンク300の内部には冷却流路310が形成される。冷却流路310の内部には、複数のバッテリーセル100を冷却するための冷媒が流動することができる。冷媒は冷却用ガス又は冷却水であり得る。複数のバッテリーセル100で発生した熱は支持部材220に伝達されてからヒートシンク300に伝達され、ヒートシンク300の冷却流路310で流動する冷媒に吸収されることができる。
【0042】
本発明の第1実施例によれば、複数のバッテリーセル100に隣接してヒートシンク300と接触する支持部材220に複数の貫通ホール225が形成され、複数の貫通ホール225が熱伝達物質400で満たされることにより、複数のバッテリーセル100で発生する熱が複数の貫通ホール225内の熱伝達物質400を介してヒートシンク300に円滑に放出されることができる。よって、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に別途の熱伝達物質400を介在する必要がないか、あるいは複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に熱伝達物質400を介在する場合にも熱伝達物質400の量を減らすことができるので、バッテリーモジュール10の重量を減らすことができ、熱伝達物質400の使用に必要な費用を節減することができる。
【0043】
また、本発明の第1実施例によれば、複数のバッテリーセル100の温度分布を基準にして、複数のバッテリーセル100が配置される領域が複数の温度領域に区分され、複数の貫通ホール225間の間隔が複数の温度領域によって異なるように設定される。よって、複数のバッテリーセル100で発生する熱をより効率的に放出することができ、特に、低温領域に相当する部分の貫通ホール225の数を減らすことにより、貫通ホール225を形成するとともに貫通ホール225を熱伝達物質400で充填するのに要求される工数及び時間を減らすことができる。
【0044】
以下、
図8~
図10を参照して本発明の第2実施例によるバッテリーモジュールについて説明する。前述した第1実施例の構成要素と同一の構成要素に対しては同じ符号を付与し、これについての詳細な説明は省略する。
【0045】
図8~
図10に示したように、本発明の第2実施例によるバッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に配置される放熱パッド500をさらに含むことができる。
【0046】
放熱パッド500は熱伝導性及び緩衝特性を有する材料からなることが好ましい。
【0047】
図9に示したように、複数のバッテリーセル100は放熱パッド500に直接的に接触することができる。この場合、複数のバッテリーセル100で発生した熱は放熱パッド500に直接的に伝達された後、支持部材220を介してヒートシンク300に伝達されることができる。
【0048】
他の例として、
図10に示したように、複数のバッテリーセル100と放熱パッド500との間には熱伝達物質400が介在されることができる。この場合、複数のバッテリーセル100で発生した熱が熱伝達物質400を介して放熱パッド500に伝達された後、支持部材220を介してヒートシンク300に伝達されることができる。
【0049】
図8に示したように、放熱パッド500には複数の貫通ホール525が形成されることができる。放熱パッド500の複数の貫通ホール525は、支持部材220の複数の貫通ホール225に対応する位置に形成されることができる。複数の貫通ホール525のそれぞれは、円形、多角形などの多様な形状を有することができる。複数の貫通ホール525の内部は熱伝達物質400で満たされることができる。熱伝達物質400は、貫通ホール525を通して複数のバッテリーセル100、支持部材220及び支持部材220の貫通ホール225内の熱伝達物質400と接触することができる。よって、複数のバッテリーセル100で発生した熱が熱伝達物質400を介して支持部材220に伝達されることができる。
【0050】
したがって、
図9に示したように、複数のバッテリーセル100と放熱パッド500との間に別途の熱伝達物質400が介在されない場合にも、複数のバッテリーセル100で発生した熱が放熱パッド500、放熱パッド500の貫通ホール525内の熱伝達物質400、支持部材220、支持部材220の貫通ホール225内の熱伝達物質400を介して外部に円滑に放出されることができる。
【0051】
また、
図10に示したように、複数のバッテリーセル100と放熱パッド500との間には、熱伝達物質400が放熱パッド500の複数の貫通ホール525内の熱伝達物質400と連結されるように備えられることができる。この場合、放熱パッド500の複数の貫通ホール525が熱伝達物質400で満たされることによって熱伝達効率が上昇するから、複数のバッテリーセル100と放熱パッド500との間に介在される熱伝達物質400の量を減らすことができる。よって、熱伝達物質400の減った分だけ、バッテリーモジュール10の重量を減らすことができ、熱伝達物質400の使用に必要な費用を節減することができる。
【0052】
一方、複数のバッテリーセル100が配置される領域全体の温度分布を考慮して、複数の貫通ホール525が放熱パッド500に適切に分布されることが好ましい。放熱パッド500の複数の貫通ホール525間の間隔及び分布パターンは支持部材220に形成される複数の貫通ホール225間の間隔及び分布パターンと同様又は同一であり得る。よって、放熱パッド500の貫通ホール525内の熱伝達物質400が支持部材220の貫通ホール225内の熱伝達物質400と連結されることができ、複数のバッテリーセル100で発生した熱が放熱パッド500の貫通ホール525内の熱伝達物質400及び支持部材220の貫通ホール225内の熱伝達物質400を介して外部に円滑に放出されることができる。
【0053】
これにより、複数のバッテリーセル100の温度分布を基準にして、複数のバッテリーセル100が配置される領域が複数の温度領域に区分され、複数の貫通ホール525間の間隔が複数の温度領域によって異なるように設定されることにより、複数のバッテリーセル100で発生する熱をより効率的に放出することができる。特に、低温領域に相当する放熱パッド500の部分には複数の貫通ホール525をより大きな間隔で(少ない個数で)形成することができるので、複数のバッテリーセル100が配置される領域全体に対して複数の貫通ホール525を互いに一定の間隔で形成する場合に比べ、複数の貫通ホール525を放熱パッド500に加工するとともに複数の貫通ホール525を熱伝達物質400で充填するのに要求される工数及び時間を減らすことができる。また、複数の貫通ホール525を満たすのに必要な熱伝達物質400の量を減らすことができ、熱伝達物質400の使用に必要なる費用を減らすことができる。
【0054】
本発明の第2実施例によれば、複数のバッテリーセル100と支持部材220との間に放熱パッド500が備えられ、放熱パッド500に複数の貫通ホール525が形成され、複数の貫通ホール525が熱伝達物質400で満たされることにより、複数のバッテリーセル100で発生する熱が放熱パッド500の貫通ホール525内の熱伝達物質400及び支持部材220の貫通ホール225内の熱伝達物質400を介して外部に円滑に放出されることができる。よって、複数のバッテリーセル100と放熱パッド500との間に別途の熱伝達物質400を介在する必要がないか、あるいは複数のバッテリーセル100と放熱パッド500との間に熱伝達物質400を介在する場合にも熱伝達物質400の量を減らすことができるので、バッテリーモジュール10の重量を減らすことができ、熱伝達物質400の使用に必要な費用を節減することができる。
【0055】
また、本発明の第2実施例によれば、複数のバッテリーセル100の温度分布を基準にして、複数のバッテリーセル100が配置される領域が複数の温度領域に区分され、複数の貫通ホール525間の間隔が複数の温度領域によって異なるように設定される。よって、複数のバッテリーセル100で発生する熱をより効率的に放出することができ、低温領域に相当する部分の貫通ホール525の数を減らすことにより、貫通ホール525を形成するとともに貫通ホール525を熱伝達物質400で充填するのに要求される工数及び時間を減らすことができる。
【0056】
本発明の好適な実施例を例示的に説明したが、本発明の範囲はこのような特定の実施例に限定されず、特許請求範囲に記載した範疇内で適切に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の実施例によれば、複数のバッテリーセルに隣接してヒートシンクと接触する支持部材に複数の貫通ホールを形成し、複数の貫通ホールが熱伝達物質で満たされることにより、複数のバッテリーセルで発生する熱が複数の貫通ホール内の熱伝達物質を介してヒートシンクに円滑に放出されることができる。よって、複数のバッテリーセルと支持部材との間に別途の熱伝達物質を介在する必要がないか、あるいは複数のバッテリーセルと支持部材との間に熱伝達物質を介在する場合にも熱伝達物質の量を減らすことができるので、バッテリーモジュールの重量を減らすことができ、熱伝達物質の使用に必要な費用を節減することができる。
【0058】
また、本発明の実施例によれば、複数のバッテリーセルの温度分布を基準にして、複数のバッテリーセルが配置される領域が複数の温度領域に区分され、複数の貫通ホール間の間隔が複数の温度領域によって異なるように設定される。よって、複数のバッテリーセルで発生する熱をより効率的に放出することができ、特に、低温領域に相当する部分の貫通ホールの数を減らすことにより、貫通ホールを形成するのに要求される工数及び時間を減らすことができる。
【符号の説明】
【0059】
100 バッテリーセル
200 ハウジング
300 ヒートシンク
400 熱伝達物質
500 放熱パッド