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特許7102022膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池及びその製造方法
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  • 特許-膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/44 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
H01L31/04 112Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020529152
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2019098048
(87)【国際公開番号】W WO2020206873
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】201910289598.3
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】呉 剛
(72)【発明者】
【氏名】連 小梅
(72)【発明者】
【氏名】陳 傑煥
(72)【発明者】
【氏名】陳 紅征
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170869(WO,A1)
【文献】特開2018-046096(JP,A)
【文献】特開2015-153767(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181744(WO,A1)
【文献】特開2017-112186(JP,A)
【文献】特表2018-533195(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108987584(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/119
H01L 31/18-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
まず、ITO付きガラスの表面にPEDOT:PSS層スピンコートして、基板を製造し、
そして、メチルアミンよう化水素酸塩、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、よう化鉛、及び有機溶媒を混合して前駆体溶液を製造し、前記スペーサーカチオンのよう化水素酸塩がn-ブチルアミン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、tert-ブチルアミン、及びイソブチルアミンの一種のよう化水素酸塩であり、前記有機溶媒がホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドの一種、または多種の混合物であり、前記前駆体溶液において、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛が、モル比で、(2~2x):x:2:3、(2~2x):x:3:4、または(2~2x):x:4:5であり、中でも、xが0.01~0.3であり、前記よう化鉛と前記有機溶媒の配合比が250mg~400mg:1mLであり、
その後、前記前駆体溶液を前記基板にスピンコートして成膜し、焼鈍して二次元の有機―無機ハイブリッドペロブスカイト膜を得て光吸収層とし、スピンコートする際に、前記基板の温度が25℃~150℃であり、スピンコートするための前記前駆体溶液の温度が前記基板の温度と同一であり、焼鈍温度の範囲が70℃~150℃であり、焼鈍時間の範囲が5分間~20分間であり、
最後に、前記光吸収層の表面に順にPC61BM層、BCP層をスピンコートし、その後電極層として銀を一層蒸着する
ことを特徴とする有機―無機ハイブリッドペロブスカイト膜を用いた逆型構造太陽電池の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機-無機ハイブリッドペロブスカイト材料分野に属し、具体的には、膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元有機-無機ハイブリッドペロブスカイト太陽電池は、効率が向上しているにつれ、その安定性もますます注目されている。二次元ペロブスカイト材料は、三次元ペロブスカイト材料よりも優れた耐湿性を有しているが、二次元ペロブスカイトに基づく太陽電池の効率が三次元ペロブスカイト太陽電池よりも低い。
【0003】
二次元ペロブスカイトフィルム材料のキャリア輸送能力を向上させることと、同材料の太陽光に対する吸収能力を向上させることは、いずれも高効率の二次元ペロブスカイト太陽電池を得るのに役立つ。二次元ペロブスカイトフィルム材料のキャリア輸送能力の向上という点で、現在すでにかなり良い進捗が獲得されている。熱スピンコート、添加剤の添加、または溶媒の混合という方法を採用することで、二次元ペロブスカイトフィルムにおいて基板に垂直する方向に配向する結晶粒の成長を実現することができ、光生成キャリアの迅速な輸送に有利である。しかし、これらの方法でPEDOT:PSS付き基板に製造された二次元ペロブスカイトフィルムは厚さが一般的に200nm~350nmの間にある。これは、二次元ペロブスカイト材料の結晶構造が異方性であるため、フィルムが成長する際に、フィルム中の結晶粒が一般的に薄い厚さの範囲内(<300nm)に垂直配向を維持できるしかないからである。これにより、二次元ペロブスカイトフィルムは、厚さが増加するにつれて、厚さ方向の結晶粒界が多くなり、フィルムの品質が低下するため、キャリア輸送能力が低減し、そして太陽電池の光電変換効率が低減する。PEDOT:PSS付き基板が逆型構造の太陽電池によく採用されている。また、逆型構造が太陽電池の大面積製造に有利するデバイス構造である。したがって、PEDOT:PSS付き基板に高品質の二次元ペロブスカイト厚膜(> 500nm)材料の製造を実現することは、太陽光の十分な吸収に有利し、太陽電池効率の向上に重要な価値を有している。同時に、ハイブリッドペロブスカイト電池は、大面積溶液法で製造される場合には、ハイブリッドペロブスカイトフィルムの厚さが常に完全に一致していないため、デバイス性能が過度に変動することになる。したがって、ハイブリッドペロブスカイト電池の効率がハイブリッドペロブスカイトフィルムの厚さに対する敏感性を低下させることも非常に重要である。今までに、膜の厚さに鈍感な逆型構造の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池の製造に関する開示がまだない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来の技術における上記の課題を解決し、膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を提供することである。該太陽電池は二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を光吸収層とする。前記厚膜材料は厚さの範囲が500nm~800nmであり、太陽光の充分吸収に有利する。前記厚膜材料は、グアニジンよう化水素酸塩(Guanidinium Iodide)が添加された前駆体溶液から堆積して得ることができ、厚さ方向に沿って配向して成長する大結晶粒から構成され、500nm~800nmの厚さ範囲内に電池効率が膜の厚さに鈍感であるため、製造過程における膜の厚さのムラによるデバイス性能の変動を避けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の具体的な技術案は下記のとおりである。
膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池であって、該太陽電池の光吸収層が前駆体溶液から堆積して得る二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料であり、前記前駆体溶液がメチルアミンよう化水素酸塩(Methylamine Hydroiodide)、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、よう化鉛、及び有機溶媒の混合物であり、前記スペーサーカチオンのよう化水素酸塩がn-ブチルアミン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、tert-ブチルアミン、及びイソブチルアミンの一種のよう化水素酸塩であり、前記二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料の厚さが500nm~800nm範囲内にあり、電池効率の変動範囲が5%未満である膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池。
【0006】
上記の技術案に基づいて、本発明はさらに下記の一種または多種の実現方式を提供することができる。なお、本発明におけるそれぞれの好ましい実現方式の技術特徴は、互いに衝突しない限り相応的に組み合わせることができる。
【0007】
好ましくは、前記有機溶媒が、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドの一種、または多種の混合物である。
【0008】
好ましくは、前記前駆体溶液において、よう化鉛と有機溶媒の配合比が250mg~400mg:1mLである。
【0009】
好ましくは、前記前駆体溶液において、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛が、モル比で (2~2x):x:2:3、(2~2x):x:3:4または(2~2x):x:4:5であり、中でも、x = 0.01~0.3。
【0010】
好ましくは、前記堆積の具体的な方法が、前記前駆体溶液を基板にスピンコートして成膜し、焼鈍する方法である。
【0011】
さらに、スピンコートする際に、基板の温度が25℃~150℃であり、前記前駆体溶液の温度が基板と同一である。
【0012】
さらに、焼鈍温度の範囲が70℃~150℃であり、焼鈍時間の範囲が5分間~20分間である。
【0013】
さらに、前記基板はPEDOT:PSSが覆っているITO付きガラスである。
【0014】
さらに、太陽電池は、下から上に向かって順にITO付きガラス、PEDOT:PSS層、前記光吸収層、PC61BM層、BCP層(すなわち、Bathocuproine,バソクプロイン)、及び銀電極層である多層構造である。
【0015】
本発明の目的は膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供することにもある。該製造方法のプロセスが下記のとおりである。
【0016】
まず、表面にPEDOT:PSS層がスピンコートされているITO付きガラス基板を製造する。
【0017】
そして、メチルアミンよう化水素酸塩、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、よう化鉛、及び有機溶媒を混合して前駆体溶液を調製する。前記スペーサーカチオンのよう化水素酸塩がn-ブチルアミン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、tert-ブチルアミン、及びイソブチルアミンの一種のよう化水素酸塩である。前記有機溶媒がホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドの一種、または多種の混合物である。前記前駆体溶液において、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛が、モル比で、(2~2x):x:2:3、(2~2x):x:3:4、または(2~2x):x:4:5であり、中でも、x = 0.01~ 0.3である。また、よう化鉛と有機溶媒の配合比が250mg~400mg:1mLである。
【0018】
次に、前記前駆体溶液をITO付きガラス基板にスピンコートして成膜し、そして焼鈍して光吸収層を得る。スピンコートする際に、基板の温度が25℃~150℃であり、スピンコートするための前駆体溶液の温度が基板の温度と同一である。焼鈍温度の範囲が70℃~150℃であり、焼鈍時間の範囲が5分間~20分間である。
【0019】
最後に、光吸収層の表面に順にPC61BM層とBCP層とをスピンコートし、その後電極層として銀を一層蒸着する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は高品質の二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を採用して膜の厚さに鈍感な逆型太陽電池を製造する。一方、太陽電池の光吸収層が配向のよく、欠陥の少なく、厚さが500nm~800nmである高品質の二次元ハイブリッドペロブスカイトフィルムから構成されるため、光吸収が向上させると同時にかなり良いキャリア輸送性を維持し、電池効率を向上させる。また、厚さが500nm~800nm範囲内にある場合には、電池効率の変動範囲が5%未満であり、大面積製造の実現に有利する。本発明は大面積の溶液加工が可能な高効率の光電気デバイスの実現に非常に重要な意味を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料の横断面のSEM画像である。
図2】ハイブリッドペロブスカイト太陽電池の光電変換効率と二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料の厚さとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
膜の厚さに鈍感な逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池の製造プロセスは下記のとおりである。
まず、PEDOT:PSSをITO付きガラスにスピンコートして基板を製造する。
そして、メチルアミンよう化水素酸塩、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、よう化鉛、及び有機溶媒を混合して前駆体溶液を調製する。中でも、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩がn-ブチルアミン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、tert-ブチルアミン、及びイソブチルアミンのいずれか一種のよう化水素酸塩である。前駆体溶液において、スペーサーカチオンのよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛の比率(モル比)が、(2~2x):x:2:3、 (2~2x):x:3:4、または(2~2x):x:4:5であり、中でも、x = 0.01~0.3。よう化鉛と有機溶媒との配合比が250mg~400mg:1mLである(配合比によって最終に得られた膜の厚さが異なる)。有機溶媒がホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドの一種、または多種の混合物である。
その後、引き続いて前駆体溶液をITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、そして焼鈍する。スピンコートする際に、基板の温度が25℃~150℃であり、スピンコートするための前駆体溶液の温度が基板温度と同一である。焼鈍温度の範囲が70℃~150℃であり、焼鈍時間の範囲が5分間~20分間である。焼鈍が完了し、光吸収層を得る。
次に、光吸収層の表面に一層のPC61BM及び一層のBCPを順にスピンコートし、最後に、電極層として銀を100nm蒸着する。
【0023】
次に、上記の製造方法に基づいて、下記の実施例を通じて本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0024】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して、紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。フェネチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してN,N-ジメチルホルムアミドに溶かし、中でも、よう化鉛とN,N-ジメチルホルムアミドとの配合比がMmg:1mLであり、フェネチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:2:3であり(x = 0.01)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、25℃の前駆体溶液を用いて25℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、70℃で焼鈍を5分間行い、ある厚さの二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得て、電池の光吸収層とする。その後、光吸収層に順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。
【0025】
図1のSEM画像に示すように、二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料が厚さ方向に沿って配向して成長する大結晶粒から構成される。本実施例において、二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料と膜厚の関係と反映するために、それぞれ500nm、600nm、700nm、及び800nmという異なる光吸収層の厚さを4組設置している。なお、光吸収層の厚さの調整はよう化鉛とN,N-ジメチルホルムアミドの配合比を変更することによって実現する。500nm、600nm、700nm、及び800nmの厚さの光吸収層は、Mの値がそれぞれ250、300、350、及び400である。膜厚の異なる太陽電池の光電変換効率であるPCEを測定する。図2に示すように、二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料の厚さの増加につれて、太陽電池の光電変換効率が基本的に一定に維持する。具体的に、厚さがそれぞれ500nm、600nm、700nm、及び800nmである場合には、光電変換効率がそれぞれ15.7%、16.26%、16%、15.83%であり、変動が5%未満である。これから、デバイスの性能が厚さに鈍感であることが分かった。
【実施例2】
【0026】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。n-ブチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してホルムアミドに溶かし、中でも、n-ブチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:4:5であり(x = 0.3)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、150℃の前駆体溶液を用いて150℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、150℃で焼鈍を20分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とホルムアミドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
【実施例3】
【0027】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。tert-ブチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してジメチルスルホキシドに溶かして、中でも、tert-ブチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:3:4であり(x = 0.2)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、70℃の前駆体溶液を用いて70℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、100℃で焼鈍を15分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とジメチルスルホキシドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
【実施例4】
【0028】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。イソブチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシドに溶かして、中でも、イソブチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:4:5であり(x = 0.1)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、80℃の前駆体溶液を用いて80℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、90℃で焼鈍を10分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
【実施例5】
【0029】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。イソブチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してN,N-ジメチルホルムアミド/ホルムアミドに溶かして、中でも、イソブチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:3:4であり(x = 0.05)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、50℃の前駆体溶液を用いて50℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、120℃で焼鈍を12分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とN,N-ジメチルホルムアミド/ホルムアミドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
【実施例6】
【0030】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。ベンジルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してジメチルスルホキシド/ホルムアミドに溶かして、中でも、ベンジルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:2:3であり(x = 0.25)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、120℃の前駆体溶液を用いて120℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、130℃で焼鈍を10分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とジメチルスルホキシド/ホルムアミドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
【実施例7】
【0031】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。tert-ブチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド/ホルムアミドに溶かして、中でも、tert-ブチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:4:5であり(x = 0.2)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、40℃の前駆体溶液を用いて40℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、140℃で焼鈍を20分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド/ホルムアミドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
【実施例8】
【0032】
ITO付きガラス基板を順に洗濯剤、アセトン、イソプロパノール、エタノールでそれぞれ超音波洗浄を5分間行う後に、脱イオン水で濯いで乾燥する。乾燥されたITO付きガラス基板に対して紫外線-オゾン処理を行う後に、スピンコート法で厚さが約25nmのPEDOT:PSS層を製造し、140℃で15分間焼成して取り出す。tert-ブチルアミンよう化水素酸塩、グアニジンよう化水素酸塩、メチルアミンよう化水素酸塩、及びよう化鉛を混合してN,N-ジメチルホルムアミドに溶かして、中でも、tert-ブチルアミンよう化水素酸塩:グアニジンよう化水素酸塩:メチルアミンよう化水素酸塩:よう化鉛(モル比)が(2~2x):x:3:4であり(x = 0.15)、一晩撹拌して前駆体溶液を得る。溶液スピンコート法により、100℃の前駆体溶液を用いて100℃のITO付きガラス基板の表面のPEDOT:PSS層にスピンコートして成膜し、150℃で焼鈍を15分間行い、厚さが500nmを超える二次元ハイブリッドペロブスカイト厚膜材料を得る。フィルムの横断面形態を調べると、得られた走査型電子顕微鏡(SEM)の写真は図1と類似している。その後、順にPC61BMを一層、BCPを一層スピンコートする。最後に、銀電極層を100nm蒸着し、逆型厚膜の二次元ハイブリッドペロブスカイト太陽電池を得る。本実施例においても、よう化鉛とN,N-ジメチルホルムアミドの配合比を変更することによって膜の厚さを調整し、厚さと配合比の関係が実施例1と同一である。厚膜材料の厚さの増加にしたがうその光電変換効率の変化状況が図2と類似しており、電池効率が厚膜材料の厚さに鈍感であることが示している。
図1
図2