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特許7102046一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/00 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
F15B15/00
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022036996
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】202110267616.5
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514276562
【氏名又は名称】燕山大学
【氏名又は名称原語表記】YANSHAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 438, Hebei Street, Haigang District, Qinhuangdao City, HeBei 066004 P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】杜 冰
(72)【発明者】
【氏名】劉 鳳華
(72)【発明者】
【氏名】崔 海龍
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-136860(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123530(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダであって、
シリンダヘッドを含み、前記シリンダヘッド内に支持軸が設けられ、前記支持軸にプランジャーモータが周設されており、前記プランジャーモータは、前記支持軸の軸方向に沿って摺動可能であり、前記プランジャーモータによって前記シリンダヘッドが第一油室と第二油室とに分けられ、前記第一油室及び前記第二油室は、何れも前記プランジャーモータに連通しており、前記プランジャーモータは、対向して設けられたプランジャー構造及び斜板を含み、前記プランジャー構造と前記斜板とは、相互作用して接線方向トルクを発生し、
前記支持軸の外側にボールねじが周設されており、前記ボールねじは、前記支持軸の軸方向に沿って摺動可能であり、前記プランジャーモータは、前記ボールねじの外側に周設され、前記プランジャー構造と前記ボールねじとの間にボールが設けられており、
前記ボールねじの外側にスライドウェイスリーブが周設されており、前記ボールねじの前端及び前記支持軸の前端は、何れも前記スライドウェイスリーブ内に伸入しており、前記支持軸は、前記スライドウェイスリーブに摺接され、前記支持軸の後端は、前記シリンダヘッドの後端におけるシリンダボトムに固定接続され、前記スライドウェイスリーブの後端は、前記斜板と前記ボールねじとの間に伸入しており、前記スライドウェイスリーブの外側にバッフルが設けられており、前記バッフルは、前記斜板の位置を規制するためのものであり、前記スライドウェイスリーブの前端は、前記シリンダヘッドの前端におけるシリンダカバーに摺接され、
前記プランジャー構造及び前記斜板の外側に液圧シリンダスリーブが設けられており、
前記プランジャー構造は、油分配板を含み、前記油分配板には、いくつかの第一貫通孔及びいくつかの凹溝が開設されており、前記凹溝は、前記油分配板の内側に設けられ、前記凹溝と前記第一貫通孔とが交互に設けられており、前記油分配板の前側にシリンダブロックが設けられており、前記凹溝は、前記シリンダブロックと前記液圧シリンダスリーブとの間の隙間と同じである上に、前記液圧シリンダスリーブの内部には、連通した油路が形成され、前記ボールは、前記シリンダブロックと前記ボールねじとの間に位置し、前記ボールは、前記ボールねじ及び前記シリンダブロック内で内循環を形成しており、前記シリンダブロックは、前記ボールねじ上で自由に回転可能であり、前記シリンダブロックには、前記シリンダブロックの周方向に沿っていくつかのプランジャーが設けられており、前記プランジャーの前端は、前記斜板内に嵌入され、
前記斜板は、上配流スライドウェイ、下配流スライドウェイ及びスライドウェイ外輪を含み、前記上配流スライドウェイは、何れも前記スライドウェイスリーブの外側に周設され、前記下配流スライドウェイは、前記スライドウェイスリーブの後端に固定接続され、前記スライドウェイ外輪は、前記下配流スライドウェイの外側に位置し、前記スライドウェイ外輪の一端は、前記上配流スライドウェイの外輪に接触し、前記上配流スライドウェイの一側、前記下配流スライドウェイの一側及び前記スライドウェイ外輪の一側は、何れも波面であり、前記下配流スライドウェイの波面及び前記スライドウェイ外輪の波面は、何れも前記上配流スライドウェイの波面に対向して設けられ、前記上配流スライドウェイ、前記下配流スライドウェイ及びスライドウェイ外輪によってスライドウェイ溝が形成され、前記プランジャーの前端は、前記スライドウェイ溝内に位置し、前記上配流スライドウェイには、いくつかの第二貫通孔が開設され、前記第二貫通孔は、前記第二油室に連通しており、
前記プランジャーは、プランジャー本体を含み、前記プランジャー本体の一端にプランジャーヘッドが設けられており、前記プランジャーヘッドは、2つの対称的な円柱形のホイールを含み、2つの前記ホイールは、前記プランジャーヘッド軸方向に垂直な取付軸周りに回動し、前記プランジャー本体は、前記シリンダブロック内に位置し、前記プランジャーヘッドは、前記スライドウェイ溝内に位置する、ことを特徴とする一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ。
【請求項2】
前記ボールねじの内壁と前記支持軸の外壁との間に隙間があり、前記ボールねじの内壁と前記支持軸の外壁との間に第一シールリング及び第一ガイドリングが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ。
【請求項3】
前記シリンダブロックと前記斜板との間には、第二シールリング、スラストベアリング及びいくつかのばねが設けられており、前記第二シールリングは、いくつかの前記プランジャーの内側に位置し、前記スラストベアリング及びいくつかの前記ばねは、何れも、いくつかの前記プランジャーの外側に位置し、いくつかの前記ばねは、前記斜板の周方向に沿って設けられ、前記ばねの一端は、前記斜板に当接し、前記ばねの他端は、前記スラストベアリングの一端に当接し、前記スラストベアリングの他端は、前記シリンダブロックに当接している、ことを特徴とする請求項1に記載の一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ。
【請求項4】
前記液圧シリンダスリーブと前記斜板とは、取付ピンを介して固定接続され、前記液圧シリンダスリーブと前記シリンダヘッドとの間には、第三シールリング及び第二ガイドリングが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ。
【請求項5】
前記シリンダヘッドの側壁に第一油口及び第二油口が開設され、前記第一油口は、前記第一油室に連通し、前記第二油口は、前記第二油室に連通している、ことを特徴とする請求項1に記載の一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧機器の技術分野に関し、特に、一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液圧シリンダは、シリンダブロック、ピストン及びピストンロッドを含み、シリンダブロックには、導入油口及び吐出油口が備えられており、油口と接続された密閉空間内での油液の流動により、ピストン及びピストンロッドの往復動が実現され、液圧シリンダの推力は、有効面積に正比例する。特定の工学的条件下では、出力力要件及び実際の使用空間位置上の制限により、無闇に作動面積を高めて出力力要件が満たされるようにする従来の液圧シリンダは、既に使用要件を満たさなくなっている。例えば、多段油シリンダを用いて作用面積を増やすことで液圧シリンダの出力力を向上させるのは一般的であるが、多段液圧シリンダは、寸法が縮小されておらず、使用空間要件を満たさない。また、小寸法で超高圧の薄肉液圧シリンダもよく使用されており、このような小型高圧油シリンダは、高出力力、小寸法の使用要件を満たせるが、そのシリンダブロックが肉薄であるため、シリンダブロックの変形、ひいては、シリンダブロックの破裂を引き起こし易く、その場合、危害を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記先行技術に存在する問題を解決するための一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダを提供し、油圧及びプランジャーモータによってデュアルパワーを提供することで、出力力要件及び実際の使用空間位置要件が満たされるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明には、以下の態様が提供されている。
本発明は、一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダであって、シリンダヘッドを含み、前記シリンダヘッド内に支持軸が設けられ、前記支持軸にプランジャーモータが周設されており、前記プランジャーモータは、前記支持軸の軸方向に沿って摺動可能であり、前記プランジャーモータによって前記シリンダヘッドが第一油室と第二油室とに分けられ、前記第一油室及び前記第二油室は、何れも前記プランジャーモータに連通しており、前記プランジャーモータは、対向して設けられたプランジャー構造及び斜板を含み、前記プランジャー構造と前記斜板とは、相互作用して接線方向トルクを発生する、一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダを提供している。
【0005】
好ましくは、前記支持軸の外側にボールねじが周設されており、前記ボールねじは、前記支持軸の軸方向に沿って摺動可能であり、前記プランジャーモータは、前記ボールねじの外側に周設され、前記プランジャー構造と前記ボールねじとの間にボールが設けられている。
【0006】
好ましくは、前記ボールねじの内壁と前記支持軸の外壁との間に隙間があり、前記ボールねじの内壁と前記支持軸の外壁との間に第一シールリング及び第一ガイドリングが設けられている。
【0007】
好ましくは、前記ボールねじの外側にスライドウェイスリーブが周設されており、前記ボールねじの前端及び前記支持軸の前端は、何れも前記スライドウェイスリーブ内に伸入しており、前記支持軸は、前記スライドウェイスリーブに摺接され、前記支持軸の後端は、前記シリンダヘッドの後端におけるシリンダボトムに固定接続され、前記スライドウェイスリーブの後端は、前記斜板と前記ボールねじとの間に伸入しており、前記スライドウェイスリーブの外側にバッフルが設けられており、前記バッフルは、前記斜板の位置を規制するためのものであり、前記スライドウェイスリーブの前端は、前記シリンダヘッドの前端におけるシリンダカバーに摺接される。
【0008】
好ましくは、前記プランジャー構造は、油分配板を含み、前記油分配板上開設有いくつかの第一貫通孔、前記油分配板の前側にシリンダブロックが設けられており、前記ボールは、前記シリンダブロックと前記ボールねじとの間に位置し、前記シリンダブロックには、前記シリンダブロックの周方向に沿っていくつかのプランジャーが設けられており、前記プランジャーの前端は、前記斜板内に嵌入される。
【0009】
好ましくは、前記シリンダブロックと前記斜板との間には、第二シールリング、スラストベアリング及びいくつかのばねが設けられており、前記第二シールリングは、いくつかの前記プランジャーの内側に位置し、前記スラストベアリング及びいくつかの前記ばねは、何れも、いくつかの前記プランジャーの外側に位置し、いくつかの前記ばねは、前記斜板の周方向に沿って設けられ、前記ばねの一端は、前記斜板に当接し、前記ばねの他端は、前記スラストベアリングの一端に当接し、前記スラストベアリングの他端は、前記シリンダブロックに当接している。
【0010】
好ましくは、前記斜板は、上配流スライドウェイ、下配流スライドウェイ及びスライドウェイ外輪を含み、前記上配流スライドウェイは、何れも前記スライドウェイスリーブの外側に周設され、前記下配流スライドウェイは、前記スライドウェイスリーブの後端に固定接続され、前記スライドウェイ外輪は、前記下配流スライドウェイの外側に位置し、前記スライドウェイ外輪の一端は、前記上配流スライドウェイの外輪に接触し、前記上配流スライドウェイの一側、前記下配流スライドウェイの一側及び前記スライドウェイ外輪の一側は、何れも波面であり、前記下配流スライドウェイの波面及び前記スライドウェイ外輪の波面は、何れも前記上配流スライドウェイの波面に対向して設けられ、前記上配流スライドウェイ、前記下配流スライドウェイ及びスライドウェイ外輪によってスライドウェイ溝が形成され、前記プランジャーの前端は、前記スライドウェイ溝内に位置し、前記上配流スライドウェイには、いくつかの第二貫通孔が開設され、前記第二貫通孔は、前記第二油室に連通している。
【0011】
好ましくは、前記プランジャーは、プランジャー本体を含み、前記プランジャー本体の一端にプランジャーヘッドが設けられており、前記プランジャーヘッドは、2つの対称的な円柱形のホイールを含み、2つの前記ホイールは、前記プランジャーヘッド軸方向に垂直な取付軸周りに回動し、前記プランジャー本体は、前記シリンダブロック内に位置し、前記プランジャーヘッドは、前記スライドウェイ溝内に位置する。
【0012】
好ましくは、前記プランジャー構造及び前記斜板の外側に液圧シリンダスリーブが設けられており、前記液圧シリンダスリーブと前記斜板とは、取付ピンを介して固定接続され、前記液圧シリンダスリーブと前記シリンダヘッドとの間には、第三シールリング及び第二ガイドリングが設けられている。
【0013】
好ましくは、前記シリンダヘッドの側壁に第一油口及び第二油口が開設され、前記第一油口は、前記第一油室に連通し、前記第二油口は、前記第二油室に連通している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、先行技術に対して、以下の技術的効果を奏している。
本発明は、第一動力源として第一油室又は第二油室内に液圧油を導入するとともに、プランジャーモータを第二動力源とすることで、デュアルパワーを形成しており、プランジャーモータは、動力源として機能するだけでなく、ピストンとして、第一油室又は第二油室内に液圧油を導入してプランジャーモータを摺動させ、それと同時に、液圧油は、プランジャーモータに進入し、プランジャーモータの内部構造が回転してトルクを発生してプランジャーモータを摺動させる。プランジャーモータの巧妙な設計により、液圧シリンダのプッシュストローク時及びリターンストローク時の両方において、一定のトルクを提供することができる。本発明の目的は、特定の工学的条件下では、出力力要件及び使用空間上の制限により、小体積で高出力力の液圧シリンダの使用が必要とされるといったような需要を満たすことにある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例又は先行技術における技術態様をより明確に説明するために、以下、実施例で使用する必要のある図面を簡単に紹介するが、明らかなことに、下記の図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面から他の図面を得ることも出来る。
【0016】
図1図1は、本発明に係る一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダの模式図である。
図2図2は、図1の部分拡大図である。
図3図3は、図1のA-A断面図である。
図4図4は、本発明におけるプランジャー構造の分解図である。
図5図5は、本発明における斜板及びスライドウェイスリーブの模式図である。
図6図6は、本発明における斜板の模式図である。
図7図7は、図6のB-B断面図である。
図8図8は、本発明における上配流スライドウェイの模式図である。
図9図9は、本発明のプランジャーの模式図である。
図10図10は、本発明における油分配板の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術態様を明確かつ完全に説明するが、明らかなことに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な労働を払わずに当業者によって得られた他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0018】
本発明の目的は、上記先行技術に存在する問題を解決するための一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダを提供し、油圧及びプランジャーモータによってデュアルパワーを提供することで、出力力要件及び実際の使用空間位置要件が満たされるようにすることにある。
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明白かつ理解し易くするために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
【0019】
図1図10に示すように、本実施例は、一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダであって、シリンダヘッド12を含み、シリンダヘッド12内に支持軸24が設けられ、支持軸24にプランジャーモータ29が周設されており、プランジャーモータ29は、支持軸24の軸方向に沿って摺動可能であり、プランジャーモータ29は、ピストンの役割を果たし、プランジャーモータ29によってシリンダヘッド12が第一油室8と第二油室9とに分けられ、第一油室8及び第二油室9は、何れもプランジャーモータ29に連通しており、プランジャーモータ29は、対向して設けられたプランジャー構造30及び斜板4を含み、プランジャー構造30と斜板4とは、相互作用して接線方向トルクを発生する、一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ100を提供している。本実施例は、第一動力源として第一油室8又は第二油室9内に液圧油を導入するとともに、プランジャーモータ29を第二動力源とすることで、デュアルパワーを形成しており、プランジャーモータ29は、動力源として機能するだけでなく、ピストンとして、第一油室8又は第二油室9内に液圧油を導入してプランジャーモータ29を摺動させ、それと同時に、液圧油は、プランジャーモータ29に進入し、プランジャーモータ29の内部構造が回転してトルクを発生してプランジャーモータ29を摺動させる。プランジャーモータ29の巧妙な設計により、液圧シリンダのプッシュストローク時及びリターンストローク時の両方において、一定のトルクを提供することができる。本実施例の目的は、特定の工学的条件下では、出力力要件及び使用空間上の制限により、小体積で高出力力の液圧シリンダの使用が必要とされるといったような需要を満たすことにある。
【0020】
具体的に、本実施例において、支持軸24の外側にボールねじ5が周設されており、ボールねじ5は、支持軸24の軸方向に沿って摺動可能であり、プランジャーモータ29は、ボールねじ5の外側に周設され、プランジャー構造30とボールねじ5との間には、ボール16、具体的にスチールボールが設けられている。
【0021】
本実施例において、支持軸24に長キーが設けられ、長キーは、ボールねじ5の長溝内に位置し、ボールねじ5と支持軸24が回動しないことを確保しており、ボールねじ5の内壁と支持軸24の外壁との間に隙間があり、ボールねじ5は、支持軸24の軸方向に沿って摺動可能であり、ボールねじ5の内壁と支持軸24の外壁との間には、2つの第一シールリング26及び2つの第一ガイドリング28が設けられており、2つの第一シールリング26は、それぞれボールねじ5の両端から10mm離れた箇所に位置し、第一ガイドリング28は、第一シールリング26の内側に位置する。
【0022】
本実施例において、ボールねじ5の外側にスライドウェイスリーブ17が周設され、ボールねじ5の前端及び支持軸24の前端は、何れもスライドウェイスリーブ17内に伸入しており、支持軸24の前端は、長キーを介してスライドウェイスリーブ17に摺接され、支持軸24の後端は、溶接によりシリンダヘッド12の後端におけるシリンダボトム11に固定接続されて回動が防止され、スライドウェイスリーブ17の後端は、斜板4とボールねじ5との間に伸入しており、スライドウェイスリーブ17の外側にバッフル31が設けられており、バッフル31は、斜板4の位置を規制するためのものであり、スライドウェイスリーブ17の前端は、シリンダヘッド12の前端におけるシリンダカバー13内に嵌め込まれてシリンダカバー13に摺接され、スライドウェイスリーブ17の前端は、中実ロッドである。
【0023】
本実施例において、プランジャー構造30は、油分配板3を含み、油分配板3には、いくつかの第一貫通孔36及びいくつかの凹溝38が開設されており、凹溝38は、油分配板3の内側に設けられ、凹溝38と第一貫通孔36とが交互に設けられ、本実施例では、4つずつの第一貫通孔36及び凹溝38が含まれ、油分配板3の前側にシリンダブロック1が設けられており、凹溝38は、シリンダブロック1と液圧シリンダスリーブ14との間の隙間と同じである上に、液圧シリンダスリーブ14の内部には、連通した油路が形成され、ボール16は、シリンダブロック1とボールねじ5との間に位置し、ボール16は、ボールねじ5及びシリンダブロック1内で内循環を形成しており、シリンダブロック1は、ボールねじ5上で自由に回転可能であり、シリンダブロック1には、シリンダブロック1の周方向に沿っていくつかのプランジャー2が設けられており、本実施例では、9つのプランジャー2が備えられ、各プランジャー2は、シリンダブロック1のプランジャー室内に位置し、プランジャー2の前端は、斜板4内に嵌入され、第一油室8と、第一貫通孔36と、プランジャー室と、斜板4と、第二油室9とは、全て連通している。
【0024】
本実施例において、シリンダブロック1と斜板4との間には、第二シールリング25、スラストベアリング22及びいくつかのばね10が設けられており、本実施例では、合計9つのばね10が備えられ、第二シールリング25は、シリンダブロック1と下配流スライドウェイ18との間に位置するとともに、第二シールリング25は、いくつかのプランジャー2の内側に位置し、下配流スライドウェイ18には、第二シールリング25を支持するストッパーが備えられており、スラストベアリング22及びいくつかのばね10は、何れも、いくつかのプランジャー2の外側に位置し、いくつかのばね10は、斜板4の周方向に沿って設けられ、ばね10の一端は、斜板4に当接し、ばね10の他端は、スラストベアリング22の一端に当接し、スラストベアリング22の他端は、シリンダブロック1に当接している。スラストベアリング22と斜板4との間は、ばね10によって付勢力が与えられ、シリンダブロック1と油分配板3とは、スラストベアリング22の作用の下で、しまり嵌めとされている。
【0025】
本実施例において、斜板4は、スライドウェイとして設計されており、斜板4は、上配流スライドウェイ19、下配流スライドウェイ18及びスライドウェイ外輪20を含み、上配流スライドウェイ19は、何れもスライドウェイスリーブ17の外側に周設され、下配流スライドウェイ18は、ボルト21を介してスライドウェイスリーブ17の後端に固定接続され、スライドウェイ外輪20は、下配流スライドウェイ18の外側に位置し、スライドウェイ外輪20の一端は、上配流スライドウェイ19外輪に接触し、上配流スライドウェイ19の一側、下配流スライドウェイ18の一側及びスライドウェイ外輪20の一側は、何れも波面であり、下配流スライドウェイ18の波面及びスライドウェイ外輪20の波面は、何れも上配流スライドウェイ19の波面に対向して設けられ、上配流スライドウェイ19、下配流スライドウェイ18及びスライドウェイ外輪20によってスライドウェイ溝35が形成され、プランジャー2の前端は、スライドウェイ溝35内に位置し、上配流スライドウェイ19には、いくつかの第二貫通孔37が開設されており、本実施例では、6つの第二貫通孔37が含まれ、第二貫通孔37は、第二油室9に連通している。
【0026】
本実施例において、プランジャー2は、プランジャー本体32を含み、プランジャー本体32の一端にプランジャーヘッド33が設けられており、プランジャーヘッド33は、2つの対称的な円柱形のホイール34を含み、2つのホイール34は、プランジャーヘッド33の軸方向に垂直な取付軸周りに回動し、プランジャー本体32は、シリンダブロック1内に位置し、プランジャーヘッド33は、スライドウェイ溝35内に位置する。
【0027】
本実施例において、プランジャー構造30及び斜板4の外側に液圧シリンダスリーブ14が設けられており、液圧シリンダスリーブ14とシリンダブロック1との間に隙間があり、液圧シリンダスリーブ14と斜板4とは、取付ピン23を介して固定接続され、液圧シリンダスリーブ14とシリンダヘッド12との間には、第三シールリング15及び第二ガイドリング27が設けられている。
【0028】
本実施例において、シリンダヘッド12の側壁に第一油口6及び第二油口7が開設されており、第一油口6は、シリンダボトム11に設けられ、第二油口7は、シリンダカバー13に設けられ、第一油口6は、第一油室8に連通し、第二油口7は、第二油室9に連通している。
【0029】
本実施例の作動過程は、以下の通りである。プランジャーモータ29がピストンとして作動する場合、第一油口6に液圧油が導入されると、第一油室8に高圧の液圧油が充満されて、軸方向に自由に自動可能なプランジャーモータ29は、液圧油からの圧力を受けて押動され、それと同時に、高圧の液圧油は、油分配板3の第一貫通孔36を通ってシリンダブロック1の高圧領域のプランジャー室内に進入し、プランジャー2に軸方向の作用力を与えて、プランジャーのホイール34は、上配流スライドウェイ19の波面に接触し、波面とプランジャーホイール34との接触面は、常に傾斜しているため、傾斜角度が90度未満のホイール34について、それに加わる力を解析すれば、各ホイール34と斜板4との接触面で生じる周方向力の方向が一致していることが分かり、プランジャーモータ29によって接線方向トルクが発生されるようになり、理想的には、ホイール34の側円面の法線方向と斜板4の接線方向とは垂直であり、プランジャーモータ29の低圧の液圧油は、油分配板3の内側凹溝38、シリンダブロック1と液圧シリンダスリーブ14との隙間、及び斜板4の第二貫通孔37によって構成された油路を介して第二油室9に通じされ、具体的には、第一油室8に高圧油が充満されている場合、第一貫通孔36に高圧油が導入され、プランジャー2が斜板4の波面の最低位置に到達するように押動され、このとき、該プランジャー2は、周方向に沿って凹溝38のところまで回動し、プランジャーのホイール34は、波面上で比較的上り坂となり、プランジャー2は、リターンストロークとなり、プランジャー室内の高圧油は、凹溝38に通じられ、低圧油路として、油分配板3の凹溝38とシリンダブロック1とによって構成された通路、シリンダブロック1と液圧シリンダスリーブ14とによって構成された隙間、シリンダブロック1とスライドウェイ外輪20との隙間、スライドウェイ外輪20と下配流スライドウェイ18とによって構成された円形スライドウェイは、最終的に上配流スライドウェイ19の第二貫通孔37に通じられ、ボールねじ5上でのシリンダブロック1の回動によって斜板4が動くように押動され、第二油口7に液圧油が導入されると、先ず、斜板4が押動されてプランジャーモータ29がピストン運動され、それと同時に、液圧油は、上記低圧の液圧油の油路を介して逆流すると、プランジャーモータ29は、反対方向に回動し、ボールねじ5上でのシリンダブロック1の回動により、液圧シリンダスリーブ14が押動されることで、プランジャーモータ29は、ピストン運動される。
【0030】
本実施例は、構造がコンパクトで小型であり、設計が巧妙であり、本実施例のデュアルパワーは、液圧油及びプランジャーモータ29によって提供される純粋な回転運動を軸方向の並進に変換することで発生された推力に由来するものであり、デュアルパワーによって出力力が増大されるため、出力力要件及び実際の使用空間位置要件が満たされる。本実施例では、油分配板3等によってプランジャーモータ29の室内の液圧油が高圧及び低圧油路別に分配され、液圧モータに高圧の液圧油が作用されると、トルクが出力され、低圧の液圧油が返油されると、トルクの出力が停止されたプランジャー室内の高圧油が排出されることで、各プランジャー2のホイール34には、同じ周方向力が発生される。
【0031】
本明細書では、具体的な例を元に本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例に対する説明は、本発明の方法及びその肝心な思想を理解し易くするものに過ぎず、それに伴い、当業者にとっては、本発明の思想に従って、具体的な実施形態及び適用範囲において変更され得る。故に、本明細書に開示の内容は、本発明を制限するものとして理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0032】
100 一体型プランジャーモータ式デュアルパワー液圧シリンダ
1 シリンダブロック
2 プランジャー
3 油分配板
4 斜板
5 ボールねじ
6 第一油口
7 第二油口
8 第一油室
9 第二油室
10 ばね
11 シリンダボトム
12 シリンダヘッド
13 シリンダカバー
14 液圧シリンダスリーブ
15 第三シールリング
16 ボール
17 スライドウェイスリーブ
18 下配流スライドウェイ
19 上配流スライドウェイ
20 スライドウェイ外輪
21 ボルト
22 スラストベアリング
23 取付ピン
24 支持軸
25 第二シールリング
26 第一シールリング
27 第二ガイドリング
28 第一ガイドリング
29 プランジャーモータ
30 プランジャー構造
31 バッフル
32 プランジャー本体
33 プランジャーヘッド
34 ホイール
35 スライドウェイ溝
36 第一貫通孔
37 第二貫通孔
38 凹溝
【要約】      (修正有)
【課題】出力要件及び使用空間要件が満たされるようにして、使用体積が小さくて出力の高い液圧シリンダを提供する。
【解決手段】2つの動力源を有し、プランジャーモータは、動力源として機能するだけでなく、ピストンとして、第一油室又は第二油室内に液圧油を導入してプランジャーモータを摺動させる。また、液圧油は、プランジャーモータに進入し、プランジャーモータの内部構造が回転してトルクを発生してプランジャーモータを摺動させ、液圧シリンダのプッシュストローク時及びリターンストローク時の両方において、プランジャーモータは、一定のトルクを提供することができる。
【選択図】図1
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