(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ペダルが一つである自動車
(51)【国際特許分類】
B60T 7/12 20060101AFI20220711BHJP
B60T 7/00 20060101ALI20220711BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B60T7/12 B
B60T7/00 A
F02D29/02 311E
(21)【出願番号】P 2019167892
(22)【出願日】2019-09-16
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2019149520
(32)【優先日】2019-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509033697
【氏名又は名称】佐々木 典政
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 典政
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-248657(JP,A)
【文献】特開2004-352228(JP,A)
【文献】特開2008-110688(JP,A)
【文献】特開2006-175943(JP,A)
【文献】特開2004-042890(JP,A)
【文献】特開2008-213811(JP,A)
【文献】特公昭47-026613(JP,B1)
【文献】特公昭46-031050(JP,B1)
【文献】中国実用新案第201046701(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 25/00-28/16
B60T 1/00-8/1769
B60T 8/32-8/96
F02D 29/00-29/06
G05G 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルを踏み込まない状態で、あらかじめブレーキ圧B1がかかっており、
ペダルを踏み込むにつれ、ブレーキ圧B1が徐々に解除されて減少していき、
さらにペダルを踏み込んでいくと、ブレーキ圧B1がゼロになって、制動領域1を脱し、
さらにペダルを踏み込んでいくと、加速領域に入り、踏み込み量に応じて加速要素が徐々に増していき、ある時点で加速要素が最大となり、その後徐々に加速要素が減少してゼロになって加速領域から脱し、
さらにペダルを踏み込んでいくと、制動領域2に入りブレーキ圧B2がかかり始め、踏み込み量に応じてブレーキ圧B2が増していき、最も踏み込んだときにブレーキ圧B2が最大となり、
ペダルの踏み込み量を減ずる場合は、上記の逆の経過をたどり、
ペダルの踏み込み量がゼロから最大の間のいずれにあっても、踏み込み量を増やす方向にも減少させる方向にも操作可能である、
ペダルを有する自動車。
【請求項2】
あらかじめ与えられるブレーキ圧B1が、機械的に発生させられる、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
あらかじめ与えられるブレーキ圧B1が、自動車の電源を入れたときにアクチュエータによって発生させられる、請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
ブレーキ圧B2が、ブレーキ圧B1とは別系統の機構で発生させられる、請求項1から3までに記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加速及び制動のためのペダルが一つである自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの自動車は加速のためのアクセルペダルと制動のためのブレーキペダルを有している。
また、一つのペダルで加速及び制動を制御するワンペダル式の自動車もある。
【0003】
アクセルペダルとブレーキペダルを有する自動車において、ブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違えることによる事故が発生している。
また、ペダルの踏み込み量を小さくし、又はなくすことによりブレーキをかけるワンペダル式の自動車にあっては、従来の自動車に慣れている者は、あわてた場合に、ブレーキをかけようとしてペダルを踏み込んでしまうことも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、ペダルを踏み込んでも、ペダルの踏み込み量を小さくしてもどちらの場合もブレーキが作動するワンペダル式の自動車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の自動車は、ペダルを踏み込まない状態で、あらかじめブレーキ圧B1がかかっており、ペダルを踏み込むにつれ、ブレーキ圧B1が徐々に解除されて減少していき、さらにペダルを踏み込んでいくと、ブレーキ圧B1がゼロになって、制動領域1を脱し、さらにペダルを踏み込んでいくと、加速領域に入り、踏み込み量に応じて加速要素が徐々に増していき、ある時点で加速要素が最大となり、その後徐々に加速要素が減少してゼロになって加速領域から脱し、さらにペダルを踏み込んでいくと、制動領域2に入りブレーキ圧B2がかかり始め、踏み込み量に応じてブレーキ圧B2が増していき、最も踏み込んだときにブレーキ圧B2が最大となり、ペダルの踏み込み量を減ずる場合は、上記の逆の経過をたどり、ペダルの踏み込み量がゼロから最大の間のいずれにあっても、踏み込み量を増やす方向にも減少させる方向にも操作可能である、ペダルを有する構成とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の自動車は、誤って意図しないペダル操作を行った場合でも、ほとんどの場合にブレーキが作動するため、事故による被害の重大化を抑止することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態における自動車のペダルの制御の内容を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における自動車のペダルによる加速要素の制御を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における自動車のペダルによる一つのブレーキ系統の制御を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態における自動車のペダルによる別系統のブレーキの制御を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における自動車のペダルの制御の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
あらかじめ与えられるブレーキ圧B1は機械的に発生させてもよいし、自動車の電源を入れたときにアクチュエータによって発生させてもよい。
【0009】
坂道発進補助機能を別途、又は一体的に組み込んでもよい。
【0010】
坂道発進補助機能を一体的に組み込む場合は、自動車が停止状態のときのみa1をb1の左側に、a2をb2の右側に移動させ、走行時にはa1及びa2を本来の位置に戻すことにすればよい。
【0011】
一方向のペダル操作によって加速要素を増加から減少へと転じさせるためには、例えば
図2のようなカムを使用すればよい。
カムを使用すれば、一方向の運動を往復運動に変換することができる。
カムの形状により、加速要素の増減の仕方や加速要素が最大となっている範囲を制御することができる。
【0012】
また、例えばクランクを使用すればペダルの回転運動を往復運動に変換することができる。
【0013】
ブレーキ圧B2は、ブレーキ圧B1とは別系統の機構で発生させてもよいし、ブレーキ圧B1の再作動によって発生させてもよい。
ブレーキ圧B1の再作動によるものにあっては、例えば
図3のようなカムやクランクなどを使用すればよい。
【0014】
ブレーキ圧B1とは別系統のブレーキ機構を有する場合、例えば
図4のように作動させればよい。
【0015】
ブレーキ圧B1とは別系統のブレーキ機構を有する場合、ブレーキ圧B2を、ブレーキ圧B1とは別系統の機構で発生させられるブレーキ圧と、ブレーキ圧B1の解除の取り消し、すなわちブレーキ圧B1の再作動により発生するブレーキ圧とが合わさったものにすると、より大きい制動力を発揮することができる。
【0016】
段落0011以降の説明は、
図5の(ア)の場合に当たるが、
図5の(イ)のように制御装置にペダルの踏み込み量を取得して、ブレーキ圧B1、加速要素及びブレーキ圧B2を総合的に制御することも可能である。
【符号の説明】
【0017】
b1 ペダルの踏み込み量を増すときブレーキ圧B1がゼロになる位置
又はペダルの踏み込み量を減ずるときブレーキ圧B1がかかり始める位置
a1 ペダルの踏み込み量を増すとき加速要素がかかり始める位置
又はペダルの踏み込み量を減ずるとき加速要素がゼロになる位置
a2 ペダルの踏み込み量を増すとき加速要素がゼロになる位置
又はペダルの踏み込み量を減ずるとき加速要素がかかり始める位置
b2 ペダルの踏み込み量を増すときブレーキ圧B2がかかり始める位置
又はペダルの踏み込み量を減ずるときブレーキ圧B2がゼロになる位置