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特許7102105複合材ヒートパイプ並びに複合材ヒートパイプを有するサンドイッチパネル、ラジエータパネル、及び宇宙機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】複合材ヒートパイプ並びに複合材ヒートパイプを有するサンドイッチパネル、ラジエータパネル、及び宇宙機
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/50 20060101AFI20220711BHJP
   B64G 1/22 20060101ALI20220711BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B64G1/50 Z
B64G1/22
F28D15/02 101A
F28D15/02 101M
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017094164
(22)【出願日】2017-05-10
(65)【公開番号】P2018008680
(43)【公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】15/153,386
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アストン, リチャード ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】トムジンシュカ, アンナ マリア
【審査官】中野 宏和
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102006025733(DE,A1)
【文献】実開平01-106777(JP,U)
【文献】特開2000-129857(JP,A)
【文献】特開2003-336977(JP,A)
【文献】特開2013-007545(JP,A)
【文献】特開平11-148787(JP,A)
【文献】特開2004-19990(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04130976(DE,A1)
【文献】実開平01-081481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/50
B64G 1/22
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材ヒートパイプであって、
外周領域を有する内部空間を画定する細長い伝導性ケーシング、
前記細長い伝導性ケーシングの前記内部空間の前記外周領域内に配置されたウィック構造、
前記外周領域の前記内部空間内の作動流体、及び
前記細長い伝導性ケーシングの1つ以上の外部側面に動作的に結合された1つ以上の繊維強化複合材層であって、各繊維強化複合材層が、前記細長い伝導性ケーシングと長さ方向に整列され、結合剤によって動作的に結合された複数の細長い繊維を含む、1つ以上の繊維強化複合材層
を含み、
前記細長い伝導性ケーシングが、第1の引張強度及び第1の圧縮強度を有する材料から作製され、前記複数の細長い繊維が、第2の引張強度及び第2の圧縮強度を有する材料から作製され、前記第2の引張強度が、前記第1の引張強度の少なくとも2倍であり、前記第2の圧縮強度が、前記第1の圧縮強度の少なくとも2倍である、複合材ヒートパイプ。
【請求項2】
前記結合剤が接着テープを含む、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項3】
前記複数の細長い繊維が、前記接着テープの表面に付着している、請求項2に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項4】
前記複数の細長い繊維が、前記接着テープに埋め込まれている、請求項2に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項5】
前記結合剤が、前記結合剤のマトリックスを含み、前記複数の細長い繊維が、前記マトリックスの中にある、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項6】
前記複数の細長い繊維が、各繊維強化複合材層内で、1384~2768kg/m (0.05~0.10lbs/in.)の密度を有する、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項7】
前記複数の細長い繊維が、各繊維強化複合材層内で間隔を空けて配置される、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項8】
前記複数の細長い繊維が、ボロン繊維又は炭素繊維を含む、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項9】
前記複数の細長い繊維が、一方向性である、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項10】
前記1つ以上の繊維強化複合材層が、前記細長い伝導性ケーシングの対向する外部側面に動作的に結合された2つの繊維強化複合材層を含む、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項11】
前記1つ以上の繊維強化複合材層と、前記細長い伝導性ケーシングの前記1つ以上の外部側面のそれぞれとの間の接着層を更に含み、前記接着層は、0.0127~0.0635cm(0.005~0.025インチ)の厚さを有し、エポキシ接着剤を含む、請求項1に記載の複合材ヒートパイプ。
【請求項12】
サンドイッチパネルを組み立てる方法であって、
10~38℃(50~100°F)の環境で、1つ以上の繊維強化複合材層を、細長い伝導性ケーシングの1つ以上の外部側面に動作的に結合させることと、
2つの相隔たった表面シートの第1の表面シートをコアに動作的に結合させることと、
前記2つの相隔たった表面シートの第2の表面シートを前記第1の表面シートの反対側で前記コアに動作的に結合させることと、
前記第1の表面シートと前記第2の表面シートの間に1つ以上の複合材ヒートパイプを動作的に配置することと、
前記1つ以上の繊維強化複合材層を動作的に結合させること、前記第1の表面シートを動作的に結合させること、前記第2の表面シートを動作的に結合させること、及び前記動作的に配置することの後に、66~121℃(150~250°F)の温度で前記サンドイッチパネルを硬化させることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートパイプ及びヒートパイプを含むラジエータパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートパイプは、電子デバイスからヒートシンクへなど、ある場所から別の場所へ熱を伝達するために、作動流体の相転移に依拠する熱伝達デバイスである。ヒートパイプは、ヒートパイプの用途に応じて、様々な材料から作製され得るが、通常、ヒートパイプの本体は、熱伝達特性及び密度のため、アルミニウムなどの金属から作製される。一例として、ヒートパイプは、電子機器が過熱するのを防止するために、電子機器から熱を引き離すために、よく用いられる。幾つかの用途では、極度の温度変化によるヒートパイプの熱膨張及び収縮は、望ましくないことがある。
【0003】
宇宙機は、電子機器などの、熱を発生させる大量の機器を含む。この熱は放散されねばならず、宇宙には本質的に空気がないので、熱は宇宙空間に放射されなければならない。人工衛星などの宇宙機は、電子機器及び他の機器から宇宙機の外側表面へ熱を取り出すラジエータパネルを通常含む。ラジエータパネルの熱膨張及び収縮は、地球及び/又は宇宙空間における他の宇宙機又は他の物体への宇宙機の通信機器のポインティングの精度に影響を与え得る。幾つかの宇宙機にとって、通信機器の正確なポインティングは、その機能に対して重要である。従来、ラジエータパネルは、熱的不均衡によるラジエータパネルの歪みを最小化し、通信機器のポインティングに対する影響を最小化するために、同様の熱膨張率(CTE)を有する材料から作製されて来た。加えて、ラジエータパネルは、ラジエータパネルによって支持されている、通信機器を含む電子機器のためのグランド、又は電源リターンとして、従来用いられて来た。従って、ラジエータパネルは、アルミニウム表面シート間に挟まれたアルミニウムハニカムコア及びコアを通って延びるアルミニウムヒートパイプを用いて、従来作製されて来た。
【発明の概要】
【0004】
複合材ヒートパイプ、複合材ヒートパイプを組み立てる方法、1つ以上の複合材ヒートパイプを有するサンドイッチパネル、サンドイッチパネルを組み立てる方法、ラジエータパネル、ラジエータパネルを組み立てる方法、宇宙機、及び宇宙機を組み立てる方法が、本明細書に開示される。
【0005】
複合材ヒートパイプは、外周領域を有する内部空間を画定する細長い伝導性ケーシング、細長い伝導性ケーシングの内部空間の外周領域内に配置されたウィック構造、外周領域の内部空間内の作動流体、及び細長い伝導性ケーシングの1つ以上の外部側面に動作的に結合された1つ以上の繊維強化複合材層を含む。各繊維強化複合材層は、細長い伝導性ケーシングと長さ方向に整列され、結合剤によって動作的に結合された複数の細長い繊維を含む。複合材ヒートパイプを組み立てる方法は、細長い伝導性ケーシングの1つ以上の外部側面に1つ以上の繊維強化複合材層を動作的に結合することを含む。
【0006】
サンドイッチパネルは、2つの相隔たった表面シート、2つの相隔たった表面シートの間に配置されたコア、及び1つ以上の複合材ヒートパイプを含む。サンドイッチパネルを組み立てる方法は、第1の表面シートをコアに動作的に結合すること、第2の表面シートを第1の表面シートの反対側でコアに動作的に結合すること、及び第1の表面シートと第2の表面シートの間に1つ以上の複合材ヒートパイプを動作的に配置することを含む。
【0007】
ラジエータパネルは、繊維強化複合材料から作製されている内側表面シート及び外側表面シートを含む2つの相隔たった表面シート、2つの相隔たった表面シートの間に配置されたハニカムコア、並びにハニカムコアを通って延びる1つ以上のヒートパイプを含む。表面シートの繊維強化複合材料は、2つの異なるタイプの繊維を含む。ラジエータパネルを組み立てる方法は、内側表面シートをハニカムコアに動作的に結合すること、外側表面シートを内側表面シートの反対側でコアにハニカム動作的に結合すること、及び内側表面シートと外側表面シートの間に1つ以上のヒートパイプを動作的に配置することを含む。
【0008】
宇宙機は、本体と、互いの反対側で本体に動作的に結合された2つのラジエータパネルとを含む。宇宙機を組み立てる方法は、宇宙機の本体にラジエータパネルを動作的に結合することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示による、複合材ヒートパイプを表す概略輪郭図である。
図2】本開示による、複合材ヒートパイプを表す概略側面図である。
図3】本開示による、少なくとも1つの複合材ヒートパイプを有するサンドイッチパネルを表す概略輪郭図である。
図4】本開示による方法を概略的に表すフローチャートである。
図5】本開示による、2つのラジエータパネルを含む例示的な宇宙機の等角図である。
図6】本開示による、ラジエータパネルを表す概略輪郭図である。
図7】本開示による、ラジエータパネルの表面シートの単一のプライを表す概略輪郭図である。
図8】本開示による方法を概略的に表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
複合材ヒートパイプ、複合材ヒートパイプを組み立てる方法、1つ以上の複合材ヒートパイプを有するサンドイッチパネル、サンドイッチパネルを組み立てる方法、ラジエータパネル、ラジエータパネルを組み立てる方法、宇宙機、及び宇宙機を組み立てる方法が、本明細書に開示される。
【0011】
図1及び図2は、本開示による複合材ヒートパイプ100を概略的に示す。複合材ヒートパイプ100は、細長い伝導性ケーシング102、ウィック構造108、作動流体110、及び1つ以上の繊維強化複合材層112を含む。細長い伝導性ケーシング102は、外周領域106を有する内部空間104を画定する。ウィック構造108が、外周領域106内に配置され、作動流体110が、内部空間104の中にある。1つ以上の繊維強化複合材層112が、細長い伝導性ケーシング102の1つ以上の外部側面114に動作的に結合される。
【0012】
細長い伝導性ケーシング102は、正方形の輪郭で図1に実線で概略的に表されるが、任意の適当な輪郭形状の細長い伝導性ケーシング102が、本開示の範囲内にあり、例えば、円形の輪郭又は、鎖線で図1に概略的に表されるように、本体122が、円形の輪郭と、本体122の周りに間隔を空けて配置され、本体122に沿って長さ方向に延びる4つの平面状の増設部124とを有するフランジ付きの構成を含む。細長い伝導性ケーシング102は、ある特定の用途にとって望ましい熱伝導特性を有する任意の適当な材料から作製されてもよく、アルミニウム、銅、及び鋼は、例示的で非排他的な例である。幾つかの例において、細長い伝導性ケーシング102は、押出成形プロセスによって形成され得る。幾つかのそのような例において、ウィック構造108は、細長い伝導性ケーシング102と一体的に形成され、モノリシック構造を形成し得る。
【0013】
複合材ヒートパイプ100のウィック構造108は、複合材ヒートパイプ100の特定の用途に応じて、焼結金属粉末、スクリーン、及び溝を含む(しかし、限定されない)任意の適当な形を取ってよい。複合材ヒートパイプ100の概略図は、細長い伝導性ケーシング102と一体である溝の形のウィック構造108を一般に示すが、複合材ヒートパイプ100は、そのような例に限定されず、他の形状のウィック構造108が、本開示により、複合材ヒートパイプ100に組み入れられ得る。
【0014】
複合材ヒートパイプ100の作動流体110は、複合材ヒートパイプ100の特定の用途に応じて、任意の適当な形を取ってよく、水、冷媒、アンモニア、アルカリ金属、窒素、酸素、ネオン、水素、ヘリウム、メタノール、エタン、及びリチウムが、例示的で非限定的な例である。
【0015】
すでに述べたように、複合材ヒートパイプ100は、細長い伝導性ケーシング102の1つ以上の外部側面114に動作的に結合されている1つ以上の繊維強化複合材層112を含む。細長い伝導性ケーシング102の側面114は、例えば、複合材ヒートパイプ100の端面128と対照的に、細長い伝導性ケーシング102の長さ方向軸126と平行な外面である。幾つかの例において、側面114は、平面状であってよいが、そのような形状は、例えば、円形輪郭の細長い伝導性ケーシング102を有する複合材ヒートパイプ100におけるように、細長い伝導性ケーシング102の全ての例において必要とされるわけではない。
【0016】
図1に概略的に示されるように、各繊維強化複合材層112は、細長い伝導性ケーシング102と長さ方向に整列され、結合剤118によって動作的に結合されている複数の細長い繊維116を含む。換言すると、細長い繊維116は、細長い伝導性ケーシング102の長さ方向軸126と概して平行である。幾つかの例において、細長い繊維116は、一方向性であると記載され得る。細長く一方向性であることによって、細長い繊維116、及び従って1つ以上の繊維強化複合材層112は、全体として複合材ヒートパイプ100に望ましい熱及び強度特性を与え得る。
【0017】
繊維強化複合材層112は、製造可能性、最終的な用途、複合材ヒートパイプ100が曝される典型的な温度、等に基づいて、任意の適当な仕方で作製され得る。例えば、繊維強化複合材層112は、薄膜又は積層体である、及び/又は薄膜又は積層体として記載され得る。幾つかの例において、繊維強化複合材層112は、プリプレグから形成されると記載され得る。追加的に又は代替的に、結合剤118は、接着テープであってもよく、細長い繊維116は、接着テープの表面に付着されてもよく、及び/又は接着テープに埋め込まれてもよい。追加的に又は代替的に、幾つかの例において、細長い繊維116は、結合剤118のマトリックスの中にあってもよい。結合剤118は、複合材ヒートパイプ100の最終的な用途に応じて、例えば、複合材ヒートパイプ100が曝される温度範囲に応じて、任意の適当な材料であってよい。結合剤118の例示的で非排他的な例は、エポキシ、シアネートエステル、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、及びフェノール樹脂を含む(しかし、限定されない)。
【0018】
繊維強化複合材層112の幾つかの例において、細長い繊維116は、繊維強化複合材層112内で、0.05~0.10lbs/in.の密度を有する。
【0019】
繊維強化複合材層112の幾つかの例において、図1に概略的に表されているように、細長い繊維116は、繊維強化複合材層112の中で間隔を空けて配置される。
【0020】
繊維強化複合材層112の細長い繊維116は、細長い繊維116が複合材ヒートパイプ100の特定の用途にとって望ましい特性を有するような任意の適当な材料及びサイズであってよい。細長い繊維116の例示的で非排他的な例は、ボロン繊維及び高強度炭素繊維を含む(しかし、限定されない)。幾つかの例において、細長い繊維116は、50~200μm,50~150μm,50~100μm,100~200μm,100~150μm,又は150~200μmの範囲の平均直径を有する。
【0021】
更に、複合材ヒートパイプ100の幾つかの例において、細長い繊維116は、細長い伝導性ケーシング102が作製される材料の引張及び圧縮強度と異なる引張及び圧縮強度を有する材料から作製され得る。例えば、細長い繊維116の引張及び/又は圧縮強度は、細長い伝導性ケーシング102の引張及び/又は圧縮強度の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍であってもよい。例示的で非限定的な例として、細長い繊維116は、500~600ksiの範囲の引張強度及び/又は圧縮強度を有し得る。細長い繊維116、故に繊維強化複合材層(複数可)112が、細長い伝導性ケーシング102の引張強度及び/又は圧縮強度と異なる引張強度及び/又は圧縮強度を有する結果として、複合材ヒートパイプ100は全体として、極度の温度変化を受ける特定の用途において複合材ヒートパイプ100を用いるために望ましい物理的特性を有し得る。例えば、宇宙機のラジエータパネルなどのラジエータパネルで用いられる複合材ヒートパイプ100の用途において、極度の温度変化の結果としてのラジエータパネルの変形は、宇宙機の性能に有害であり得、複合材ヒートパイプ100は、細長い繊維116の引張及び/又は圧縮強度の結果として、望ましくない変形を縮小し、さもなければ制限し、又は防止さえし得る。従って、繊維強化複合材層112は、ストラップ、抑制ストラップ、及び/又は複合材抑制ストラップと記載され得る。
【0022】
すなわち、細長い伝導性ケーシング102が、細長い繊維116及び繊維強化複合材層(複数可)112とは異なる引張及び/又は圧縮強度を有する結果として、複合材ヒートパイプの全体的な熱膨張率は、細長い伝導性ケーシング102単独の、又は本開示による1つ以上の繊維強化複合材層112を含まないヒートパイプの熱膨張率の25~75%,30~70%,40~60%,又は約50%であり得る。単に例示的な例として、ヒートパイプのケーシングに動作的に結合された1つ以上の繊維強化複合材層112のないアルミニウムヒートパイプは、約12.5ppm/°Fの熱膨張率を有し得る。対照的に、アルミニウムの細長い伝導性ケーシング102及び細長い伝導性ケーシング102の側面114に動作的に結合された1つ以上の繊維強化複合材層112を有する、本開示による複合材ヒートパイプ100は、5~7.5ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有し得る。
【0023】
続けて図1を参照して、実線で概略的に示されるように、複合材ヒートパイプ100は、細長い伝導性ケーシング102の側面114に動作的に結合されている少なくとも1つの繊維強化複合材層112を含む。図1に破線で概略的に表されているように、複合材ヒートパイプ100は、細長い伝導性ケーシング102の対向する外部側面114に動作的に結合されている2つの繊維強化複合材層112を含んでもよい。そのような構成は、例えば、温度変化を受けたときにさもなければ生じ得る細長い伝導性ケーシング102内部の望ましくない応力を制限するために、好ましいことがある。しかしながら、繊維強化複合材層112が、2つより多い外部側面114に結合されること、及び任意選択で、細長い伝導性ケーシング102の周りに完全に延びる、又は包む繊維強化複合材層112さえも、本開示の範囲内にある。
【0024】
繊維強化複合材層112は、破線で図1に概略的に表されているように、側面114の幅全体にわたっていてもよい。しかしながら、そのような構成は必要ではなく、追加的又は代替的に、繊維強化複合材層112は、実線で図1に概略的に表されているように、側面114の幅全体より短くてもよい。同様に、繊維強化複合材層112は、側面114の長さ全体にわたっていてもよいし、側面114の長さ全体より短くてもよい。幾つかの例では、繊維強化複合材層112は、側面114と同一の広がり、又は実質的に同一の広がりをもっていてもよく、他の例では、繊維強化複合材層112は、側面114と同一の広がり、又は実質的に同一の広がりをもっていなくてもよい。図1及び図2の概略図は、側面114に対する繊維強化複合材層112の任意のそのような構成を概略的に表すことを意図している。
【0025】
すでに述べたように、複合材ヒートパイプ100において、繊維強化複合材層112が、細長い伝導性ケーシング102の外部側面114に動作的に結合されている。「動作的に結合されている」とは、繊維強化複合材層112が、細長い伝導性ケーシング102の側面114に直接的に係合又は接触していてもよいし、又は繊維強化複合材層112が、細長い伝導性ケーシング102の側面114に間接的に結合されており、直接的に係合又は接触していなくてもよいということを意味する。例えば、繊維強化複合材層112の結合剤118が、接着テープである場合、接着テープは、細長い伝導性ケーシング102の側面114に直接的に付着されてもよい。しかしながら、図1に破線で概略的かつ任意選択で示されるように、複合材ヒートパイプ100は、繊維強化複合材層112と細長い伝導性ケーシング102の側面114との間にある別個の接着層120を更に含んでもよい。
【0026】
存在する場合、接着層120は、複合材ヒートパイプ100の用途及び複合材ヒートパイプ100が曝され得る温度に応じて、エポキシ接着剤を含む(しかし、限定されない)任意の適当な接着剤で作製され得る。幾つかの用途では、0.005~0.025インチの厚さを有する接着層120などの、望ましい厚さの接着層を利用することが好ましいことがある。例えば、幾つかの用途では、複合材ヒートパイプ100が温度変化を受けたとき、接着層120が、細長い伝導性ケーシング102と繊維強化複合材層112との間の歪みを吸収することが、望ましいことがある。
【0027】
次に図3を参照して、複合材ヒートパイプ100が、サンドイッチパネル130の構造部品として用いられ得る。より具体的には、サンドイッチパネル130は、2つの相隔たった表面シート132、2つの相隔たった表面シートの間に配置されているコア134、及びコア134を通って延びる1つ以上の複合材ヒートパイプ100を含み、1つ以上の繊維強化複合材層112が、直接的に1つ以上の複合材ヒートパイプ100と2つの相隔たった表面シート132との間に延びていない。サンドイッチパネル130は、宇宙機用ラジエータパネル、フェーズドアレイ用ラジエータパネル、及びアンテナ用ベースプレートを含む(しかし、限定されない)任意の適当な用途のために作製及び利用され得る。
【0028】
表面シート132は、サンドイッチパネル130の用途及び/又は所望の特性に応じて、任意の適当な材料から作製され得る。例示的で非排他的な例として、表面シート132は、アルミニウム又は鋼などのシートメタル、又は強化複合材料などの複合材料から作製され得る。本書で用いられる場合、「強化複合材料」とは、充填剤とともにポリマー又は他の結合剤マトリックスを含む材料を指す。充填剤は、強化複合材料の所望の特性に応じて、繊維、微粒子、又は他の形状の材料であってよい。更に、充填剤は、織った繊維、又は長さ方向に整列された繊維のように、規則正しく並べられていてもよいし、ランダムに並べられているなど、乱雑に並べられていてもよい。充填剤の例は、炭素粒子、炭素繊維、ボロン繊維、ポリアラミド繊維、ガラス繊維、及び/又は他の粒子及び/又は繊維を含む(しかし、限定されない)。充填剤が繊維を含む場合、強化複合材料は、繊維強化複合材料と呼ばれ得る。
【0029】
コア134は、任意の適当な構成を有してよく、サンドイッチパネル130の用途及び/又は所望の特性に応じて、任意の適当な材料から作製されてよい。幾つかの用途において、コア134は、ハニカムコアであってよい。例えば、ハニカムコアは、所望の圧縮及び重量特性を提供し得る。ハニカムコアは、中空セルを画定する複数の薄い壁セクション、すなわちリガメントによって定められる構造である。全ての例において必要というわけではないが、典型的には、セルは、断面が六角形である。コア134が作製され得る材料の例示的で非排他的な例は、金属、プラスチック、及び繊維強化複合材料を含む強化複合材料を含む。
【0030】
全ての例において必要というわけではないが、サンドイッチパネル130は、1つ以上の複合材ヒートパイプ100をサンドイッチパネル130のコア134に動作的に結合する泡状接着剤136を、追加的に含んでもよい。例えば、図3に概略的に示されているように、泡状接着剤136は、存在している場合に、複合材ヒートパイプ100をコア134に動作的に結合するために、複合材ヒートパイプ100の側面とコア134との間に延び得る。幾つかの用途において、適当な泡状接着剤136の例示的で非排他的な例は、CYTEC SOLVAY GROUP(商標)のFM410-1(商標)泡状接着剤を含む。
【0031】
図4は、本開示による方法の例示的で非排他的な例を表すフローチャートを概略的に提供する。図4において、幾つかのステップが、破線のボックスに示されており、これは、そのようなステップが任意選択であり得る、又は本開示による方法のオプション版に対応し得るということを表す。とは言っても、本開示による全ての方法が、実線ボックスに示されたステップを含むことを要求されるわけではない。図4に示された方法及びステップは、限定的ではなく、本明細書の議論から理解されるように、示されているステップの数より多い又は少ないステップを有する方法を含む、他の方法及びステップが、本開示の範囲内にある。
【0032】
図4の実線ボックスに概略的に示されているように、複合材ヒートパイプ100を組み立てる方法140は、142に示されているように、1つ以上の繊維強化複合材層112を細長い伝導性ケーシング102の1つ以上の外部側面114に動作的に結合させることを含む。例えば、1つ以上の繊維強化複合材層112は、本明細書に論じられているように、接着層120によって1つ以上の外部側面114に動作的に結合されてもよい。
【0033】
幾つかの方法140では、動作的に結合させること142は、カ氏50~100°(F)又は室温の環境で実行される。
【0034】
同様に図4に概略的に示されているように、サンドイッチパネル130を組み立てる方法144が、本開示の範囲内にある。実線ボックスに示されているように、方法144は、146に示されているように、第1の表面シート132をコア134に動作的に結合させることと、148に示されているように、第1の表面シート132及びコア134に対して1つ以上の複合材ヒートパイプ100を動作的に配置することと、150に示されているように、第2の表面シート132を第1の表面シート132の反対側でコア134に動作的に結合させることと、を含む。
【0035】
幾つかの方法144は、動作的に配置すること150の前に、1つ以上の複合材ヒートパイプ100を組み立てる方法140を実行することを、更に含む(しかし、含むことが必要ではない)。
【0036】
図4の破線ボックスに概略的かつ任意選択的に示されているように、幾つかの方法144はまた、動作的に結合させること146、動作的に配置すること148、及び動作的に結合させること150の後に、152に示されているように、150~250°Fの温度などの高められた温度でサンドイッチパネル130を硬化させることを含む。カ氏50~100°(F)又は室温の環境で動作的に結合させること142をも含む幾つかのそのような方法144において、動作的に結合させること142が、全体としてのサンドイッチパネル130の要求される硬化温度よりも低い温度で実行されることが、有利なことがある。より具体的には、繊維強化複合材層112が、高められていない温度で(例えば室温で)細長い伝導性ケーシング102に結合されるとき、結合の結果、結合内の内部応力はゼロ又はゼロに近くなる。その後、サンドイッチパネル130が、高められた温度で、2つの相隔たった表面シート132の間の複合材ヒートパイプ100とともに硬化されるとき、複合材ヒートパイプ100の有効熱膨張率が、高められていない温度で以前に硬化されなかったとした場合よりも低いので、複合材ヒートパイプ100と相隔たった表面シート132の間の歪みが、最小化される。その結果、相隔たった表面シート132と複合材ヒートパイプ100の間の結合の完全性が、硬化中も、その後の使用中の熱サイクルの間も、維持される。例えば、サンドイッチパネル130が極低温に曝されたとき、動作的に結合させること142もまた、サンドイッチパネル130が全体として硬化される高められた温度で実行されたとした場合よりも、1つ以上の繊維強化複合材層112と細長い伝導性ケーシング102の間の歪みが小さくなり得る。
【0037】
次に図5を参照すると、本開示による例示的な宇宙機10が示される。宇宙機10は、2つのラジエータパネル14を含む人工衛星12の形である。しかしながら、他のタイプの宇宙機10が、本開示の範囲内にあり、ラジエータパネル14は、図5に示され本明細書に記載された例示的な人口衛星12は言うまでもなく、人工衛星とともに使用されることに限定されない。更に、ラジエータパネル14は、本開示によるサンドイッチパネル130を含んでもよく、及び/又は本開示によるサンドイッチパネル130であってもよい(しかし、必須ではない)。
【0038】
宇宙機10及び人工衛星12は、ラジエータパネル14及び他の機器が動作的に据え付けられる構造本体16を含む。人工衛星12の示された例において、構造本体16は、円柱状コア18、上部パネル20、下部パネル22、左補強材24、右補強材26、上部アンテナブラケット28、及び下部アンテナブラケット30を含む。ラジエータパネル14は、上部パネル20、左補強材24、下部パネル22、上部アンテナブラケット28、及び下部アンテナブラケット30に動作的に結合されている左ラジエータパネル14、並びに上部パネル20、右補強材26、下部パネル22、上部アンテナブラケット28、及び下部アンテナブラケット30に動作的に結合されている右ラジエータパネル14を含む。集合的に、人工衛星12のラジエータパネル14及び本体16は、宇宙機バス32と記載されることもあり、バス32は、様々なペイロード34を宇宙空間に運ぶために用いられる。バス32の図示され記載された構造は、宇宙機10及び人工衛星12の一例に過ぎず、例示目的でのみ提供されており、本開示を示された例に限定するものではない。宇宙機バス32に適した追加の構造例が、米国特許出願公開第2014/0239124号に開示されており、開示内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
宇宙機10及び人工衛星12のペイロード34は、宇宙機10の最終的な用途に応じて、任意の適当な形状及び構成を取ってよい。例えば、ペイロード34は、アンテナフィード38及びアンテナリフレクター40を含む(しかし、限定されない)様々な通信装置36を含み得る。少なくとも、人工衛星12のペイロード34は、ラジエータパネル14の内側に動作的に据え付けられている電子機器42を通常含む。従って、電子機器によって発生した熱は、ラジエータパネル14に伝えられ、次にラジエータパネル14が、その熱を宇宙空間に放射する。ペイロード34は、図5に示されているような太陽電池44などの(しかし限定されない)、ラジエータパネル14の外側に据え付けられている構造物を追加的に含んでもよい。
【0040】
ラジエータパネル14は、人工衛星12の構造部品を定めるので、その熱安定性は、通信装置36が望む通りに機能することを保証するために、重要であり得る。例えば、アンテナフィード38が向けられるアンテナリフレクター40などの形状の第2の通信装置の位置に対する、アンテナフィード38などの形状の第1の通信装置の位置は、通信装置したがって人工衛星12の有効性にとって重要であり得る。それ故に、ラジエータパネル14を含むバス32は、ラジエータパネル14が著しい熱変化を受けた場合さえも、2つの通信装置36の間の望ましい位置関係を維持するように構成され得る。望ましい位置関係は、バス32への通信装置の取り付け点の移動の観点から記述され得る。アンテナの例を用いると、アンテナフィード38は、第1の取り付け具46で本体16に対して結合され、アンテナリフレクター40は、第2の取り付け具48で本体16に対して結合され得る。人工衛星12のラジエータパネル14のうちの1つ又は両方が、-50~100°C,-20~100°C,-20~80°C,0~100°C,10~100°C,20~100°C,50~100°C,及び/又は20~80°Cのうちの1つ以上の範囲における最低温度と最高温度の間の温度変化に曝されたときに、第1の取り付け具が、第2の取り付け具に対して0.1度未満だけ、0.08度未満だけ、0.06度未満だけ、又は0.04度未満だけ、移動、回転、又は旋回し得る。前述の範囲の任意の組合せが、本開示の範囲内にある。追加的又は代替的に、ラジエータパネル14のうちの1つ又は両方が、100~5000ワット,100~2500ワット,500~5000ワット,及び/又は500~2500ワットのうちの1つ以上の範囲の速度で熱を放散し始めたとき、すなわち、ゼロワットから列挙された範囲のうちの1つの範囲内に入ったとき、第1の取り付け具は、第2の取り付け具に対して0.1度未満だけ、0.08度未満だけ、0.06度未満だけ、又は0.04度未満だけ、移動、回転、又は旋回し得る。前述の範囲の任意の組合せが、本開示の範囲内にある。例示的で非排他的な例として、ラジエータパネル14が、100~5000ワットの範囲の速度で熱を放散していて、及び/又は-50~100°Cの範囲における最低温度と最高温度の間の温度変化に曝されているとき、第1の取り付け具は、0.1度未満だけ移動、回転、又は旋回し得る。
【0041】
次に図6を参照すると、ラジエータパネル14の例が、概略的に表されている。必須ではないが、ラジエータパネル14は、概して平面状で長方形である。ラジエータパネル14は、2つの相隔たった表面シート50、表面シート50の間に配置されているハニカムコア52、及び表面シート50の間でハニカムコア52を通って延びる1つ以上のヒートパイプ54を含む。ラジエータパネル14が、本開示によるサンドイッチパネル130である場合、ヒートパイプ54のうちの1つ以上が、本開示による複合材ヒートパイプ100であり得る。表面シート50は、バスの構成要素として取り付けられたときにバス32の内部に面する内側表面シート56と、宇宙空間に向かってバスの外部に面する外側表面シート58とを含む。ハニカムコア52は、ラジエータパネルの構造上の支持を与える。1つ以上のヒートパイプ54は、内側表面シート56に取り付けられた電子機器42から熱を奪い、その熱を外側表面シート58に移動させ、熱が宇宙空間に放射される。図6に任意選択的にかつ概略的に示されているように、1つ以上の構造物60が、外側表面シート58に取り付けられてもよく、太陽電池44は一例である。
【0042】
ラジエータパネル14のハニカムコア52は、金属、プラスチック、及び強化複合材料を含む任意の適当な材料から作製され得る。金属の典型的な例は、アルミニウムを含む。
【0043】
ラジエータパネルの表面シート50は、少なくとも部分的に、幾つかの例では完全に、繊維強化複合材料で作製される。幾つかの例では、表面シート50は、材料の複数のプライ62の積層体として作製され得る。例えば、表面シート50は、材料の2~10,2~8,2~6,2~4,4~10,4~8,4~6,6~10,6~8,又は8~10個のプライ62を含み得る。しかしながら、列挙した範囲より少ない数、列挙した範囲より多い数、及び列挙した範囲内の数を含む他の数のプライ62が、表面シート50に含まれてもよい。追加的又は代替的に、表面シート50は、アルミニウム箔層などの少なくとも1つの金属箔層を含み得る。幾つかの例では、表面シート50は、200~1000μm,200~800μm,200~600μm,200~400μm,400~1000μm,400~800μm,400~600μm,600~1000μm,600~800μm,又は800~1000μmの範囲の厚さを有し得る。しかしながら、他の厚さの表面シート50もまた、本開示の範囲内にある。前述の範囲の任意の組合せが、本開示の範囲内にある。例えば、表面シート50は、200~1000μmの範囲の表面シート50の厚さをもたらす2~10個のプライ62を含んでよい。
【0044】
図7は、表面シート50を作製するために用いられ得る繊維強化複合材料の例示的なプライ62を概略的に表す。
【0045】
表面シート50の幾つかの例では、繊維強化複合材料は、結合剤68のマトリックス内の1組の繊維64及び1組の繊維66を含んでよく、繊維64は、1つ以上の性質又は特性において繊維66と異なる。
【0046】
例えば、表面シート50の幾つかの例において、繊維64の平均直径は、繊維66の平均直径と異なり得る。例として、繊維66の平均直径は、繊維64の平均直径の少なくとも2倍,少なくとも4倍,少なくとも6倍,少なくとも8倍,2~10倍,2~8倍,2~6倍,2~4倍,4~10倍,4~8倍,4~6倍,6~10倍,6~8倍,又は8~10倍であってよい。追加的又は代替的に、繊維64の平均直径は、5~20μm,5~15μm,5~10μm,10~20μm,10~15μm,又は15~20μmの範囲にあってよく、繊維66の平均直径は、50~200μm,50~150μm,50~100μm,100~200μm,100~150μm,又は150~200μmの範囲にあってよい。他の平均直径、並びに平均直径の比率もまた、本開示の範囲内にある。前述の範囲の任意の組合せが、本開示の範囲内にある。例えば、繊維66の平均直径は、繊維64の平均直径の少なくとも2倍であってもよい。
【0047】
表面シート50の幾つかの例において、繊維64は、炭素繊維であってもよい。表面シート50の幾つかの例において、繊維66は、ボロン繊維であってもよい。
【0048】
表面シート50の幾つかの例において、表面シート50及び/又はプライ62の内部における繊維66の総数に対する繊維64の総数の比率は、100~500,100~400,100~300,100~200,200~500,200~400,200~300,300~500,300~400,又は400~500の範囲であり得る。しかしながら、列挙した範囲の中、並びに列挙した範囲より下及び上の比率を含む他の比率が、表面シート50及び/又はそのプライ62で利用され得る。
【0049】
表面シート50の幾つかの例において、単一のプライ62の内部で、繊維64は、平均して、0~30μm,0~20μm,0~10μm,10~30μm,10~20μm,又は20~30μmの範囲で間隔を空けて配置され得る。表面シート50の幾つかの例において、単一のプライ62の内部で、繊維66は、平均して、50~200μm,50~150μm,50~100μm,100~200μm,100~150μm,又は150~200μmの範囲で間隔を空けて配置され得る。繊維66についての前述の範囲のうちの任意の範囲に対する繊維64についての前述の範囲のうちの任意の範囲の任意の比率が、本開示の範囲内にある。例えば、単一のプライ62の内部で、繊維64が、平均して0~30μmの範囲で間隔を空けて配置され、繊維66が、平均して50~200μmの範囲で間隔を空けて配置されてもよい。更に、列挙した範囲の中、並びに列挙した範囲より下及び上を含む、他の間隔が、表面シート50のプライ62で利用されてもよい。
【0050】
表面シート50の幾つかの例において、繊維64は、-0.8~0ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有し得る。表面シート50の幾つかの例において、繊維66は、2~3ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有し得る。繊維64についての前述の範囲及び繊維66についての前述の範囲の任意の組合せが用いられ得る。
【0051】
表面シート50の幾つかの例において、繊維64は、75~1100W/m・Kの範囲の熱伝導率を有し得る。表面シート50の幾つかの例において、繊維66は、25~400W/m・Kの範囲の熱伝導率を有し得る。繊維64についての前述の範囲及び繊維66についての前述の範囲の任意の組合せが用いられ得る。
【0052】
表面シート50の幾つかの例において、繊維64は、400~800ksiの範囲の引張強度を有し得る。表面シート50の幾つかの例において、繊維66は、500~600ksiの範囲の引張強度を有し得る。繊維64についての前述の範囲及び繊維66についての前述の範囲の任意の組合せが用いられ得る。
【0053】
表面シート50の幾つかの例において、表面シート50又はそのプライ62の繊維強化複合材料の結合剤68は、エポキシ、シアネートエステル、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、又はフェノール樹脂を含み得る。追加的又は代替的に、結合剤68は、ミルドカーボンファイバー、カーボンナノチューブ、及びグラファイトナノプレートレットのうちの1つ以上などの、熱伝導率向上剤を含んでもよい。
【0054】
上記のように、ラジエータパネル14の表面シート50、ハニカムコア52、及びヒートパイプ54は、ラジエータパネル14の特定の例に応じて、様々な性質及び特性を有し得る。その結果、全体としてラジエータパネル14の性質及び特性もまた、様々であり得る。
【0055】
ラジエータパネル14の幾つかの例において、全体としてラジエータパネルは、その厚さにおいて0.5~13ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有し得る。追加的又は代替的に、全体としてラジエータパネル14は、表面シート50と平行な方向に、0.25~4ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有し得る。
【0056】
図8は、本開示による方法の例示的で非排他的な例を表すフローチャートを概略的に提供する。図8において、幾つかのステップが、破線のボックスに示されており、これは、そのようなステップが任意選択であり得る、又は本開示による方法のオプション版に対応し得るということを表す。とは言っても、本開示による全ての方法が、実線ボックスに示されたステップを含むことを要求されるわけではない。図8に示された方法及びステップは、限定的ではなく、本明細書の議論から理解されるように、示されているステップの数より多い又は少ないステップを有する方法を含む、他の方法及びステップが、本開示の範囲内にある。
【0057】
図8の実線ボックスに概略的に示されるように、宇宙機10のためにラジエータパネル14を組み立てる方法80は、82に示されるように、内側表面シート56をハニカムコア52に動作的に結合することと、84に示されるように、外側表面シート58を内側表面シート56の反対側でハニカムコア52に動作的に結合することと、86に示されるように、1つ以上のヒートパイプ54を内側表面シート56と外側表面シート58の間に動作的に配置することと、を含む。図8に示されるように、方法80は、本開示による方法114であってもよい。
【0058】
宇宙機10を組み立てる方法90もまた本開示の範囲内にあり、図8に92で示されているように、ラジエータパネル14を宇宙機10の本体16に動作的に結合することを少なくとも含むことができる。幾つかの方法90は、結合すること92の前に、ラジエータパネル14を組み立てる方法80を実行することを含んでもよい。
【0059】
本開示による発明の主題の例示的で非排他的な例が、以下に列挙したパラグラフに記載される。
【0060】
A. 外周領域を有する内部空間を画定する細長い伝導性ケーシング、
細長い伝導性ケーシングの内部空間の外周領域内に配置されたウィック構造、
外周領域の内部空間内の作動流体、及び
細長い伝導性ケーシングの1つ以上の外部側面に動作的に結合された1つ以上の繊維強化複合材層であって、各繊維強化複合材層は、細長い伝導性ケーシングと長さ方向に整列され、結合剤によって動作的に結合された複数の細長い繊維を含む、繊維強化複合材層、を含む複合材ヒートパイプ。
【0061】
A1. 各繊維強化複合材層が薄膜である、パラグラフA1に記載の複合材ヒートパイプ。
【0062】
A2. 結合剤が接着テープを含む、パラグラフA又はA1に記載の複合材ヒートパイプ。
【0063】
A2.1. 複数の細長い繊維が、接着テープの表面に付着されている、パラグラフA2に記載の複合材ヒートパイプ。
【0064】
A2.2. 複数の細長い繊維が、接着テープに埋め込まれている、パラグラフA2に記載の複合材ヒートパイプ。
【0065】
A3. 結合剤が、結合剤のマトリックスを含み、複数の細長い繊維が、マトリックスの中にある、パラグラフAからA2.2のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0066】
A4. 結合剤が、エポキシ、シアネートエステル、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、又はフェノール樹脂を含む、任意選択でそれらから本質的に構成される、任意選択でそれらから構成される、パラグラフAからA3のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0067】
A5. 複数の細長い繊維が、各繊維強化複合材層内で、0.05~0.10lbs/in.の密度を有する、パラグラフAからA4のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0068】
A6. 複数の細長い繊維が、各繊維強化複合材層の中で間隔を空けて配置される、パラグラフAからA5のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0069】
A7. 複数の細長い繊維が、ボロン繊維を含む、任意選択でボロン繊維から本質的に構成される、任意選択でボロン繊維から構成される、パラグラフAからA6のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0070】
A8. 複数の細長い繊維が、高強度炭素繊維を含む、任意選択で高強度炭素繊維から本質的に構成される、任意選択で高強度炭素繊維から構成される、パラグラフAからA7のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0071】
A9. 細長い伝導性ケーシングが、第1の引張強度及び第1の圧縮強度を有する材料から作製され、複数の細長い繊維が、第1の引張強度より大きい第2の引張強度及び第1の圧縮強度より大きい第2の圧縮強度を有する材料から作製される、パラグラフAからA8のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0072】
A9.1. 第2の引張強度が、第1の引張強度の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍である、パラグラフA9に記載の複合材ヒートパイプ。
【0073】
A9.2. 第2の圧縮強度が、第1の圧縮強度の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍である、パラグラフA9又はA9.1に記載の複合材ヒートパイプ。
【0074】
A10. 細長い伝導性ケーシングが、アルミニウム、銅、又は鋼から作製される、パラグラフAからA9.2のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0075】
A11. 複数の細長い繊維の細長い繊維が、一方向性である、パラグラフAからA10のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0076】
A12. 1つ以上の繊維強化複合材層が、細長い伝導性ケーシングの対向する外部側面に動作的に結合されている2つの繊維強化複合材層を含む、パラグラフAからA11のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0077】
A13. 1つ以上の繊維強化複合材層と、細長い伝導性ケーシングの1つ以上のそれぞれの外部側面との間の接着層を更に含む、パラグラフAからA12のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプ。
【0078】
A13.1. 接着層が、0.005~0.025インチの厚さを有する、パラグラフA13に記載の複合材ヒートパイプ。
【0079】
A13.2. 接着層が、エポキシ接着剤を含む、任意選択でエポキシ接着剤から本質的に構成される、任意選択でエポキシ接着剤から構成される、パラグラフA13又はA13.1に記載の複合材ヒートパイプ。
【0080】
A14. パラグラフAからA13.2のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプを、サンドイッチパネル、ラジエータパネル、宇宙機用ラジエータパネル、フェーズドアレイ用ラジエータパネル、又はアンテナ用ベースプレートの構造部品として使用すること。
【0081】
B. 細長い伝導性ケーシングの1つ以上の外部側面に1つ以上の繊維強化複合材層を動作的に結合することを含む、複合材ヒートパイプを組み立てる方法であって、
1つ以上の繊維強化複合材層及び/又は細長い伝導性ケーシングは、パラグラフAからA13.3のいずれか1つに記載の主題を含む、方法。
【0082】
B1. 動作的に結合することは、50~100°Fにおける環境で、任意選択で室温における環境で実施される、パラグラフBに記載の方法。
【0083】
C. 2つの相隔たった表面シート、
2つの相隔たった表面シートの間に配置されているコア、及び
コアを通って延びる、パラグラフAからA13.3のいずれか1つに記載の1つ以上の複合材ヒートパイプであって、1つ以上の繊維強化複合材層が、直接に1つ以上の複合材ヒートパイプと2つの相隔たった表面シートの間に延びていない、1つ以上の複合材ヒートパイプ、を含むサンドイッチパネル。
【0084】
C1. コアが、ハニカムコアを含む、任意選択でハニカムコアから本質的に構成される、任意選択でハニカムコアから構成される、パラグラフCに記載のサンドイッチパネル。
【0085】
C2. コアが、金属から作製される、任意選択でアルミニウムから作製される、パラグラフC又はC1に記載のサンドイッチパネル。
【0086】
C3. 2つの相隔たった表面シートが、繊維強化複合材料から作製される、パラグラフCからC2のいずれか1つに記載のサンドイッチパネル。
【0087】
C4. 1つ以上の複合材ヒートパイプをコアに動作的に結合する泡状接着剤を更に含む、パラグラフCからC3のいずれか1つに記載のサンドイッチパネル。
【0088】
C5. 1つ以上の複合材ヒートパイプの1つ以上の繊維強化複合材層が、1つ以上の複合材ヒートパイプが高められた温度で2つの相隔たった表面シートに結合される前に室温で硬化される複合材積層体から作製される、パラグラフCからC4のいずれか1つに記載のサンドイッチパネル。
【0089】
C6. サンドイッチパネルが、ラジエータパネル、宇宙機用ラジエータパネル、フェーズドアレイ用ラジエータパネル、及びアンテナ用ベースプレートのうちの1つを含む、パラグラフCからC5のいずれか1つに記載のサンドイッチパネル。
【0090】
C7. パラグラフCからC6のいずれか1つに記載のサンドイッチパネルを、ラジエータパネル、宇宙機用ラジエータパネル、フェーズドアレイ用ラジエータパネル、又はアンテナ用ベースプレートとして使用すること。
【0091】
D. サンドイッチパネルを組み立てる方法であって、
第1の表面シートをコアに動作的に結合させることと、
第2の表面シートを第1の表面シートの反対側でコアに動作的に結合させることと、
第1の表面シートと第2の表面シートの間に1つ以上の複合材ヒートパイプを動作的に配置することと、を含み、
第1の表面シート、第2の表面シート、コア、及び/又は1つ以上の複合材ヒートパイプが、パラグラフCからC6のいずれか1つに記載の主題を含む、方法。
【0092】
D1. 動作的に配置することの前に、パラグラフB又はB1に記載の方法により、1つ以上の複合材ヒートパイプを組み立てることを更に含む、パラグラフDに記載の方法。
【0093】
D2. 第1の表面シートを動作的に結合させること、第2の表面シートを動作的に結合させること、及び動作的に配置することの後に、高められた温度で、任意選択で150~250°Fの温度でサンドイッチパネルを硬化させることを更に含む、パラグラフD又はD1に記載の方法。
【0094】
E. 内側表面シート及び外側表面シートを含み、繊維強化複合材料から作製されている2つの相隔たった表面シート、
2つの相隔たった表面シートの間に配置されたハニカムコア、並びに
ハニカムコアを通って延びる1つ以上のヒートパイプ、を含むラジエータパネル。
【0095】
E1. ハニカムコアが、金属から作製される、任意選択でアルミニウムから作製される、パラグラフEに記載のラジエータパネル。
【0096】
E2. 1つ以上のヒートパイプが、金属から作製される、任意選択でアルミニウムから作製される、パラグラフE又はE1に記載のラジエータパネル。
【0097】
E3. 繊維強化複合材料が、第1の組の繊維と第2の組の繊維を含み、第1の組の繊維が、少なくとも1つの特性において第2の組の繊維と異なる、パラグラフEからE2のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0098】
E3.1. 第1の組の繊維が、第1の平均直径を有する繊維を含み、第2の組の繊維が、第1の平均直径と異なる第2の平均直径を有する繊維を含む、パラグラフE3に記載のラジエータパネル。
【0099】
E3.1.1. 第2の平均直径が、第1の平均直径の少なくとも2倍,少なくとも4倍,少なくとも6倍,少なくとも8倍,2~10倍,2~8倍,2~6倍,2~4倍,4~10倍,4~8倍,4~6倍,6~10倍,6~8倍,又は8~10倍である、パラグラフE3.1に記載のラジエータパネル。
【0100】
E3.1.2. 第1の平均直径が、5~20μm,5~15μm,5~10μm,10~20μm,10~15μm,又は15~20μmの範囲にある、パラグラフE3.1又はE3.1.1に記載のラジエータパネル。
【0101】
E3.1.3. 第2の平均直径が、50~200μm,50~150μm,50~100μm,100~200μm,100~150μm,又は150~200μmの範囲にある、パラグラフE3.1からE3.1.2のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0102】
E3.2. 第1の組の繊維が、炭素繊維を含み、任意選択で炭素繊維から本質的に構成され、任意選択で炭素繊維から構成され、第2の組の繊維が、炭素繊維を含まない、パラグラフE3からE3.1.3のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0103】
E3.3. 第2の組の繊維が、ボロン繊維を含み、任意選択でボロン繊維から本質的に構成され、任意選択でボロン繊維から構成され、第1の組の繊維が、ボロン繊維を含まない、パラグラフE3からE3.2のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0104】
E3.4. 第2の組の繊維の総数に対する第1の組の繊維の総数の比率が、100~500,100~400,100~300,100~200,200~500,200~400,200~300,300~500,300~400,又は400~500の範囲にある、パラグラフE3からE3.3のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0105】
E3.5. 繊維強化複合材料の単一のプライの内部で、第1の組の繊維の繊維が、平均して、0~30μm,0~20μm,0~10μm,10~30μm,10~20μm,又は20~30μmの範囲で間隔を空けて配置されている、パラグラフE3からE3.4のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0106】
E3.6. 繊維強化複合材料の単一のプライの内部で、第2の組の繊維の繊維が、平均して、50~200μm,50~150μm,50~100μm,100~200μm,100~150μm,又は150~200μmの範囲で間隔を空けて配置されている、パラグラフE3からE3.5のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0107】
E3.7. 第1の組の繊維が、-0.8~0ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有する繊維を含む、パラグラフE3からE3.6のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0108】
E3.8. 第2の組の繊維が、2~3ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有する繊維を含む、パラグラフE3からE3.7のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0109】
E3.9. 第1の組の繊維が、75~1100W/m・Kの範囲の熱伝導率を有する繊維を含む、パラグラフE3からE3.8のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0110】
E3.10. 第2の組の繊維が、25~400W/m・Kの範囲の熱伝導率を有する繊維を含む、パラグラフE3からE3.9のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0111】
E3.11. 第1の組の繊維が、400~800ksiの範囲の引張強度を有する繊維を含む、パラグラフE3からE3.10のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0112】
E3.12. 第2の組の繊維が、500~600ksiの範囲の引張強度を有する繊維を含む、パラグラフE3からE3.11のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0113】
E4. 内側表面シートが、繊維強化複合材料の2~10,2~8,2~6,2~4,4~10,4~8,4~6,6~10,6~8,又は8~10個のプライを含む、任意選択で前記プライから本質的に構成される、任意選択で前記プライから構成される、パラグラフEからE3.12のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0114】
E4.1. 内側表面シートが、少なくとも1つの金属箔層、任意選択でアルミニウム箔層を更に含む、パラグラフE4に記載のラジエータパネル。
【0115】
E5. 外側表面シートが、繊維強化複合材料の2~10,2~8,2~6,2~4,4~10,4~8,4~6,6~10,6~8,又は8~10個のプライを含む、任意選択で前記プライから本質的に構成される、任意選択で前記プライから構成される、パラグラフEからE4.1のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0116】
E5.1. 外側表面シートが、少なくとも1つの金属箔層、任意選択でアルミニウム箔層を更に含む、パラグラフE5に記載のラジエータパネル。
【0117】
E6. 内側表面シートが、200~1000μm,200~800μm,200~600μm,200~400μm,400~1000μm,400~800μm,400~600μm,600~1000μm,600~800μm,又は800~1000μmの範囲の厚さを有する、パラグラフEからE5.1のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0118】
E7. 外側表面シートが、200~1000μm,200~800μm,200~600μm,200~400μm,400~1000μm,400~800μm,400~600μm,600~1000μm,600~800μm,又は800~1000μmの範囲の厚さを有する、パラグラフEからE6のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0119】
E8. 繊維強化複合材料が、エポキシ、シアネートエステル、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、又はフェノール樹脂を含む、任意選択でそれらから本質的に構成される、任意選択でそれらから構成される、結合剤を含む、パラグラフEからE7のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0120】
E8.1. 結合剤が、熱伝導率向上剤、任意選択で、ミルドカーボンファイバー、カーボンナノチューブ、及びグラファイトナノプレートレットのうちの1つ以上、を更に含む、パラグラフE8に記載のラジエータパネル。
【0121】
E9. ラジエータパネルが、全体として、ラジエータパネルの厚さにわたって、0.5~13ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有する、パラグラフEからE8.1のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0122】
E10. ラジエータパネルが、全体として、内側表面シート及び外側表面シートと平行な方向に、0.25~4ppm/°Fの範囲の熱膨張率を有する、パラグラフEからE9のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0123】
E11. ラジエータパネルが、概して平面状である、パラグラフEからE10のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0124】
E12. ラジエータパネルが、概して長方形である、パラグラフEからE11のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0125】
E13. 1つ以上のヒートパイプが、パラグラフAからA13.3のいずれか1つに記載の複合材ヒートパイプのうちの1つ以上を含む、パラグラフEからE12のいずれか1つに記載のラジエータパネル。
【0126】
E14. パラグラフEからE13のいずれか1つに記載のラジエータパネルを、宇宙機の構造部品として使用すること。
【0127】
E15. パラグラフEからE13のいずれか1つに記載のラジエータパネルを、宇宙機の通信装置の精度を改善するために使用すること。
【0128】
E16. パラグラフEからE13のいずれか1つに記載のラジエータパネルを、宇宙機用ラジエータパネル、フェーズドアレイ用ラジエータパネル、又はアンテナ用ベースプレートのうちの1つ以上として使用すること。
【0129】
F. 本体、及び
互いの反対側で本体に動作的に結合された、パラグラフEからE13のいずれか1つに記載の2つのラジエータパネルを備える宇宙機。
【0130】
F1. 第1の取り付け具によって本体に対して動作的に結合された第1の通信装置、及び
第2の取り付け具によって本体に対して動作的に結合された第2の通信装置、を更に備える、パラグラフFに記載の宇宙機。
【0131】
F1.1. 第1の通信装置及び第2の通信装置が、2つのラジエータパネルに電気的に接地されている、パラグラフF1に記載の宇宙機。
【0132】
F1.2. 2つのラジエータパネルのうちの1つ又は両方が、-50~100°C,-20~100°C,-20~80°C,0~100°C,10~100°C,20~100°C,50~100°C,又は20~80°Cの範囲における最低温度と最高温度の間の温度変化に曝されたときに、第1の取り付け具が、第2の取り付け具に対して0.1度未満だけ、0.08度未満だけ、0.06度未満だけ、又は0.04度未満だけ、移動、回転、又は旋回する、パラグラフF1又はF1.1に記載の宇宙機。
【0133】
F1.3. ラジエータパネルのうちの1つ又は両方が、100~5000ワット,100~2500ワット,500~5000ワット,又は500~2500ワットの範囲の速度で熱を放散し始めたとき、第1の取り付け具は、第2の取り付け具に対して0.1度未満だけ、0.08度未満だけ、0.06度未満だけ、又は0.04度未満だけ、移動、回転、又は旋回する、パラグラフF1からF1.2のいずれか1つに記載の宇宙機。
【0134】
F2. 第1の通信装置が、アンテナフィードを含み、第2の通信装置が、アンテナリフレクターを含み、アンテナフィードが、アンテナリフレクターに向けられている、パラグラフFからF1.3のいずれか1つに記載の宇宙機。
【0135】
F3. 宇宙機に、スタートラッカー取り付け具、スタンドアロン型アンテナ取り付け具、及びセンサ一式オプティカルベンチ取り付け具のうちの1つ以上がない、パラグラフFからF2のいずれか1つに記載の宇宙機。
【0136】
F4. パラグラフFからF3のいずれか1つに記載の宇宙機の使用であり、任意選択で通信衛星としての使用。
【0137】
G. ラジエータパネルを組み立てる方法であって、
内側表面シートをハニカムコアに動作的に結合することと、
外側表面シートを内側表面シートの反対側でハニカムコアに動作的に結合することと、
1つ以上のヒートパイプを内側表面シートと外側表面シートの間に動作的に配置することと、を含み、
内側表面シート、外側表面シート、ハニカムコア、及び/又は1つ以上のヒートパイプが、パラグラフEからE13のいずれか1つに記載の主題を含む、方法。
【0138】
H. 宇宙機を組み立てる方法であって、
宇宙機の本体にラジエータパネルを動作的に結合することを含み、ラジエータパネルは、パラグラフEからE13のいずれか1つに記載の主題を含み、宇宙機は、パラグラフFからF3のいずれか1つに記載の主題を含む、方法。
【0139】
本明細書に開示された種々の装置要素及び方法ステップが、本開示による全ての装置及び方法に必要とされるわけでなく、また、本開示は、本明細書に開示された種々の要素及びステップの全ての新規及び非自明なコンビネーション及びサブコンビネーションを含む。更に、本明細書に開示された種々の要素及びステップの1つ以上が、開示された装置又は方法の全体とは異なる別個の独立した発明の主題を定め得る。従って、そのような発明の主題は、本明細書に明示的に開示されている特定の装置及び方法と関連付けられる必要はなく、また、そのような発明の主題は、本明細書に明示的に開示されていない装置及び/又は方法に効用を見出すこともある。

図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8