(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20220711BHJP
E03C 1/06 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A47K3/28
E03C1/06
(21)【出願番号】P 2017180365
(22)【出願日】2017-09-20
【審査請求日】2020-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 翔太
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-024627(JP,U)
【文献】特開2009-028140(JP,A)
【文献】特開2003-245217(JP,A)
【文献】実開平02-080173(JP,U)
【文献】特開2003-088480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の取付面に対して磁気吸着する吸着部を備えるシャワーヘッドであって、
前記吸着部として、互いに離間した位置に設けられる第1吸着部及び第2吸着部を備え、
前記第1吸着部と前記第2吸着部との間には、前記取付面に磁気吸着しない把持部が設けられ、
前記把持部は、上下方向に延びるとともに上下方向の中央部分が正面側に膨らむように湾曲しており、
前記取付面に取り付けた状態において、前記取付面と前記把持部との間、又は前記把持部には、前記把持部の一方の側面から指を回り込ませて前記把持部を握り込むための空間が設けられ、
前記空間は、前記把持部における前記一方の側面から、その反対側の側面までつながっていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記第1吸着部の磁気吸着力と前記第2吸着部の磁気吸着力とが異なることを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記第1吸着部における前記第2吸着部と反対側の端部、及び前記第2吸着部における前記第1吸着部と反対側の端部の少なくとも一方には、前記取付面に取り付けた状態において、前記取付面との間に隙間を生じさせる角部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記把持部は、前記取付面に取り付けた状態において、前記取付面側から突出するように形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記第1吸着部及び前記第2吸着部は共に、上下方向において、シャワーフェイスの中心よりも下側の部分に設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、浴室壁として磁性体として機能する壁部を用いるとともに、シャワーヘッドに磁石を付加することにより、浴室壁とシャワーヘッドとの間の磁気吸着を利用して、使用者が浴室壁の任意の位置に自在にシャワーヘッドを固定可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気吸着により浴室壁の取付面に固定されるシャワーヘッドは、水滴が付着した環境で使用されることや、シャワー吐水時に大きな水圧が作用することから、取付面に対する固定状態が不安定になりやすい傾向がある。取付面に対する固定状態を安定化させる方法として、取付面とシャワーヘッドとの間に生じる磁気吸着力を高めることが考えられる。しかしながら、上記磁気吸着力を高めると、取り外し時に大きな力が必要になることから、その利便性が低下してしまう。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、取付面に対するシャワーヘッドの固定状態の安定化と、取付面からシャワーヘッドを取り外す操作に要する力の低減との両立を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するシャワーヘッドは、所定の取付面に対して磁気吸着する吸着部を備えるシャワーヘッドであって、前記吸着部として、互いに離間した位置に設けられる第1吸着部及び第2吸着部を備え、前記第1吸着部と前記第2吸着部との間には、前記取付面に磁気吸着しない把持部が設けられ、前記取付面に取り付けた状態における前記取付面と前記把持部との間、又は前記把持部には、指を回り込ませて前記把持部を握り込むための空間が設けられている。
【0007】
上記構成によれば、互いに離間した位置に第1吸着部及び第2吸着部が設けられて、複数の吸着部分を備えるため、高い磁気吸着力を確保することが容易である。そのため、濡れた取付面に取り付ける場合や、シャワー吐水時の水圧が作用している場合にも取付面に対するシャワーヘッドの固定状態が安定化して、位置ずれや外れを抑制することができる。
【0008】
取付面からシャワーヘッドを取り外す際には、第1吸着部と第2吸着部との間に設けられた把持部を持って、第1吸着部及び第2吸着部のいずれか一方側から順に吸着部を取付面から離間させることにより、第1吸着部及び第2吸着部の磁気吸着力に対して比較的、小さい力でシャワーヘッドを取り外すことができる。特に、把持部は、指を回り込ませてしっかりと握り込むことができる形状であることから、取付面にシャワーヘッドを取り付ける操作、及び取付面からシャワーヘッドを取り外す操作が行いやすい。
【0009】
上記シャワーヘッドにおいて、前記第1吸着部の磁気吸着力と前記第2吸着部の磁気吸着力とが異なることが好ましい。
上記構成によれば、取付面からシャワーヘッドを取り外す際に、磁気吸着力の小さい吸着部から順に取付面から離間させる操作を行うことにより、シャワーヘッドを容易に取り外すことができる。
【0010】
上記シャワーヘッドにおいて、前記第1吸着部における前記第2吸着部と反対側の端部、及び前記第2吸着部における前記第1吸着部と反対側の端部の少なくとも一方には、前記取付面に取り付けた状態において、前記取付面との間に隙間を生じさせる角部が設けられていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、取付面からシャワーヘッドを取り外す際に、第1吸着部又は第2吸着部の端部の角部を支点とすることにより、シャワーヘッドを傾動させる操作を容易に行うことができる。
【0012】
上記シャワーヘッドにおいて、前記把持部は、前記取付面に取り付けた状態において、前記取付面側から突出するように形成されている。
上記構成によれば、洗髪時に髪に付着した泡等を洗い流す場合のように、取付面に取り付けられたシャワーヘッドの位置をしっかりと視認できない手探りの状態であっても、容易に把持部を握ることができる。また、把持部を握る際に、指先が取付面に当たってしまうことを抑制できる。
【0013】
上記シャワーヘッドにおいて、前記第1吸着部及び前記第2吸着部は共に、上下方向において、シャワーフェイスの中心よりも下側の部分に設けられていることが好ましい。
シャワーヘッドにおけるシャワーフェイスの周辺部分には、比較的、重量の大きい部材が配置される傾向がある。そのため、上記構成のように、シャワーフェイスの中心より下側の部分に第1吸着部及び第2吸着部を設けることにより、シャワーヘッドの重心を把持部の近傍に位置させることが容易となる。把持部の近傍にシャワーヘッドの重心を位置させることにより、取付面にシャワーヘッドを取り付ける操作、及び取付面からシャワーヘッドを取り外す操作が行いやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取付面に対するシャワーヘッドの固定状態の安定化と、取付面からシャワーヘッドを取り外す操作に要する力の低減との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】取付面にシャワーヘッドを取り付けた状態を示す説明図。
【
図6】(a)、(b)は、変更例のシャワーヘッドの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、シャワーヘッド10は、その外側を形成するハウジング11を備えている。ハウジング11は、シャワー水を吐出するための吐出孔を有するシャワーフェイス12が位置するヘッド部13と、ヘッド部13の下側に設けられる把持部14とを備えている。
【0017】
図1及び
図3に示すように、ヘッド部13は、上側から下側に向かって背面側に傾斜する形状をなし、正面側に位置するシャワーフェイス12が斜め下方を向くように構成されている。把持部14は、上下方向に延びるとともに上下方向の中央部分が正面側に膨らむように湾曲した弓形に形成されている。そして、ヘッド部13と把持部14とは側面視V字状をなすように接続されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、ハウジング11の背面側には、背面側から側面側にかけて開口する第1収容部15a及び第2収容部15bが形成されている。第1収容部15aは、ヘッド部13と把持部14との接続部分に位置するとともに、第2収容部15bは、把持部14の下部に位置している。
【0019】
図2及び
図3に示すように、第1収容部15aには、所定の取付面に対して磁気吸着する第1吸着部20が収容されている。第1吸着部20は、第1収容部15aに固定される断面U字状の第1ケース部材21と、第1ケース部材21に収容される第1磁石22とを備えている。第1吸着部20の背面側の面である吸着面20aは、上下方向に平行に形成されるとともに、ハウジング11よりも背面側に突出している。
【0020】
また、ハウジング11は、第1収容部15aの側面側を塞ぐ第1蓋部材16aを備えている。第1蓋部材16aは、第1吸着部20を収容した状態の第1収容部15aに対して螺子17aにより固定されている。第1蓋部材16aによって第1収容部15aの側面側が塞がれることにより、ハウジング11内に第1吸着部20が固定されている。
【0021】
図2及び
図3に示すように、第2収容部15bには、所定の取付面に対して磁気吸着する第2吸着部30が収容されている。第2吸着部30は、第2収容部15bに固定される断面U字状の第2ケース部材31と、第2ケース部材31に収容される第2磁石32とを備えている。第2吸着部30の背面側の面である吸着面30aは、上下方向に平行に形成されるとともに、ハウジング11よりも背面側に突出している。
【0022】
また、ハウジング11は、第2収容部15bの側面側を塞ぐ第2蓋部材16bを備えている。第2蓋部材16bは、第2吸着部30を収容した状態の第2収容部15bに対して螺子17bにより固定されている。第2蓋部材16bによって第2収容部15bの側面側が塞がれることにより、ハウジング11内に第2吸着部30が固定されている。
【0023】
図3に示すように、第1吸着部20及び第2吸着部30は共に、上下方向において、シャワーフェイス12の中心線Lよりも下側の部分に設けられている。これにより、シャワーヘッド10の重心を把持部14の近傍に位置させている。
【0024】
また、第2磁石32として、第1磁石22よりも磁力の小さい磁石を採用している。これにより、第1吸着部20よりも第2吸着部30の方が、磁気吸着力が小さくなるように調整されている。なお、第1磁石22及び第2磁石32としては、合金磁石、フェライト磁石、希土類磁石等の永久磁石を用いることができる。
【0025】
図1~3に示すように、ハウジング11の下部には、給水ホースに連結される連結部18が取り付けられている。
なお、ハウジング11の内部に設けられる流路等の構成は特に限定されるものではなく、公知のシャワーヘッドに用いられる構成を適宜、採用することができる。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、シャワーヘッド10は、磁性体として機能する壁部40を有する浴室等に設置して用いられる。磁性体として機能する壁部40としては、例えば、鋼板を含む壁パネル、ホーロー製の壁パネルが挙げられる。
【0027】
シャワーヘッド10は、壁部40の取付面41における任意の位置において、ハウジング11の背面側に設けられた第1吸着部20及び第2吸着部30を取付面41に接触させることにより、第1吸着部20及び第2吸着部30と取付面41との間に発生する磁気吸着力に基づいて取付面41に取り付けられる。具体的には、第1吸着部20の吸着面20a及び第2吸着部30の吸着面30aと取付面41とが面同士で接触した状態で取付面41に固定される。
【0028】
このとき、シャワーヘッド10は、上下方向(シャワーヘッド10の長手方向)における互いに離間した二箇所である第1吸着部20及び第2吸着部30において、取付面41に吸着する。そのため、取付面41に吸着する部分を一箇所に集中して設けた構成と比較して、高い磁気吸着力が得られる。
【0029】
一方、取付面41からシャワーヘッド10を取り外す際には、把持部14を持って、矢印A又は矢印Bに示すようにシャワーヘッド10を上側又は下側に傾けて、第1吸着部20及び第2吸着部30を一方側から順に取付面41から離間させる。そして、傾けた状態のシャワーヘッド10を正面側に引く等して、第1吸着部20及び第2吸着部30の他方側を取付面41から離間させる。
【0030】
ここで、
図3に示すように、第1吸着部20は、ハウジング11から背面側に突出するように設けられているため、第1吸着部20の吸着面20aにおける上側の端部(第2吸着部30と反対側の端部)には、取付面41との間に隙間S1を生じさせる角部23が存在する。そのため、角部23を支点とすることにより、シャワーヘッド10を容易に上側(
図4における矢印A側)に傾動させることができる。なお、第1吸着部20の角部23は、第1ケース部材21により構成されている。
【0031】
第2吸着部30も同様に、第2吸着部30の吸着面30aにおける下側の端部(第1吸着部20と反対側の端部)には、取付面41との間に隙間S1を生じさせる角部33が存在する。そのため、角部33を支点とすることにより、シャワーヘッド10を容易に下側(
図4における矢印B側)に傾動させることができる。なお、第2吸着部30の角部33は、第2磁石32により構成されている。
【0032】
また、本実施形態のシャワーヘッド10では、第1吸着部20よりも第2吸着部30の方が、磁気吸着力が小さくなるように調整されている。そのため、シャワーヘッド10を上側(
図4における矢印A側)に傾動させて、磁気吸着力の小さい第2吸着部30を先に取付面41から離間させるようにすると、より小さい力でシャワーヘッド10を取り外すことができる。
【0033】
また、
図3及び
図4に示すように、把持部14は、上下方向の中央部分が正面側に膨らむように湾曲した弓形に形成されていることにより、把持部14と取付面41との間に空間S2が形成される。そのため、取付面41に取り付けられた状態においても、空間S2を通じて把持部14の奥側に指を回り込ませて、把持部14をしっかりと握り込むことができる。そのため、取付面41にシャワーヘッド10を取り付ける操作、及び取付面41からシャワーヘッド10を取り外す操作を行う際に、シャワーヘッド10に力が伝わりやすい。また、把持部14を握った手が邪魔になり難く、上記の各操作が行いやすい。
【0034】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)シャワーヘッド10は、取付面41に対して磁気吸着する吸着部として、互いに離間した位置に設けられる第1吸着部20及び第2吸着部30を備えている。第1吸着部20と第2吸着部30との間には、取付面41に磁気吸着しない把持部14が設けられている。取付面41に取り付けた状態における取付面41と把持部14との間には、指を回り込ませて把持部14を握り込むための空間S2が設けられている。
【0035】
上記構成によれば、互いに離間した位置に第1吸着部及び第2吸着部が設けられて、複数の吸着部分を備えるため、高い磁気吸着力を確保することが容易である。そのため、濡れた取付面に取り付ける場合や、シャワー吐水時の水圧が作用している場合にも取付面に対するシャワーヘッドの固定状態が安定化して、位置ずれや外れを抑制することができる。
【0036】
一方、取付面41からシャワーヘッド10を取り外す際には、第1吸着部20と第2吸着部30との間に設けられた把持部14を持って、第1吸着部20及び第2吸着部30のいずれか一方側から順に吸着部を取付面41から離間させる。これにより、第1吸着部20及び第2吸着部30の磁気吸着力に対して比較的、小さい力でシャワーヘッド10を取り外すことができる。
【0037】
また、指を回り込ませてしっかりと握り込むことができる形状の把持部14としたことにより、取付面41にシャワーヘッド10を取り付ける操作、及び取付面41からシャワーヘッド10を取り外す操作が行いやすい。また、取付面41に対するシャワーヘッド10の取り付け及び取り外しを行う際に、シャワーヘッド10を持ち変えるような状況が少なくなる。
【0038】
(2)第2吸着部30の磁気吸着力が第1吸着部20の磁気吸着力よりも小さくなるように調整されている。
上記構成によれば、取付面41からシャワーヘッド10を取り外す際に、磁気吸着力の小さい第2吸着部30から先に取付面41から離間させるようにシャワーヘッド10を傾動させることにより、シャワーヘッド10を容易に取り外すことができる。
【0039】
(3)第1吸着部20における第2吸着部30と反対側の端部には、取付面41に取り付けた状態において、取付面41との間に隙間S1を生じさせる角部23が設けられている。また、第2吸着部30における第1吸着部20と反対側の端部には、取付面41に取り付けた状態において、取付面41との間に隙間S1を生じさせる角部33が設けられている。
【0040】
上記構成によれば、取付面41からシャワーヘッド10を取り外す際に、第1吸着部20の角部23又は第2吸着部30の角部33を支点としてシャワーヘッド10を傾動させる操作を容易に行うことができる。
【0041】
特に、上記実施形態においては、
図3に示すように、ハウジング11における第1吸着部20の上側に位置する部分、及び第2吸着部30の下側に位置する部分を正面側に屈曲させて、取付面41との間に形成される隙間S1が大きくなるように構成している。隙間S1が大きく確保されることにより、角部23,33を支点としてシャワーヘッド10を傾動させる操作を更に容易に行うことができる。
【0042】
(4)把持部14は、取付面41に取り付けた状態において、取付面41側から正面側に突出するように形成されている。
上記構成によれば、洗髪時に髪に付着した泡等を洗い流す場合のように、取付面41に取り付けられたシャワーヘッド10の位置をしっかりと視認できない手探りの状態であっても、容易に把持部14を握ることができる。また、把持部14を握る際に、指先が取付面41に当たってしまうことを抑制できる。
【0043】
(5)第1吸着部20及び第2吸着部30は共に、シャワーフェイス12の中心線Lよりも下側の部分に設けられている。
シャワーヘッド10におけるシャワーフェイス12の周辺部分には、比較的、重量の大きい部材が配置される傾向がある。そのため、上記構成のように、シャワーフェイス12の中心より下側の部分に第1吸着部20及び第2吸着部30を設けることにより、シャワーヘッド10の重心を把持部14の近傍に位置させることが容易となる。把持部14の近傍にシャワーヘッド10の重心を位置させることにより、取付面41にシャワーヘッド10を取り付ける操作、及び取付面41からシャワーヘッド10を取り外す操作が行いやすくなる。
【0044】
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・
図5に示すように、把持部14を環状に形成する等して、奥側に指を回り込ませて把持部14を握り込むための空間S2を把持部14に設けてもよい。この場合には、把持部14と取付面41との間に上記空間S2を設ける必要はない。
【0045】
・把持部14の形状は、奥側に指を回り込ませて把持部14を握り込むための空間S2が確保される形状であれば、正面側に突出する形状に限定されない。例えば、上下方向に直線状に伸びる把持部14であってもよい。
【0046】
・第1吸着部20及び第2吸着部30の磁気吸着力を異ならせるための構成は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、一方の吸着部の表面(吸着面)を粗面状にすることによって磁気吸着力を小さくしてもよい。
【0047】
・第2吸着部30の磁気吸着力が第1吸着部20の磁気吸着力よりも大きくなるように調整されていてもよい。この場合には、取付面41からシャワーヘッド10を取り外す際に、第1吸着部20から先に取付面41から離間させるようにシャワーヘッド10を傾動させることにより、上記(2)と同様の効果が得られる。また、第2吸着部30の磁気吸着力と第1吸着部20の磁気吸着力とが等しくなるように調整されていてもよい。
【0048】
・第1吸着部20及び第2吸着部30について、取付面41との間に磁気吸着力を発生させるための構成は特に限定されるものではない。例えば、第1磁石22及び第2磁石32として電磁石を用いてもよい。また、磁石等の磁場を発生させるための構成を取付面41側に設け、第1吸着部20及び第2吸着部30を磁性体からなる構成としてもよい。
【0049】
・第1吸着部20及び第2吸着部30について、取付面41との間に隙間S1を生じさせる角部23,33の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図6(a)に示すように、断面視において、取付面41側に台形状に突出する形状の第1磁石22を用いることにより、第1磁石22に角部23を設けてもよい。
【0050】
また、
図6(b)に示すように、ハウジング11における第1収容部15aの少なくとも上側を含む周囲に対して、第1磁石22の表面と同一面状に位置する平面部分24aを有し、背面側に突出する突出部24を設ける。そして、突出部24の角部を、取付面41との間に隙間S1を生じさせる角部とする。この場合、突出部24も第1吸着部20の一構成となる。
【0051】
また、角部23,33は、曲面状等の先端がとがった形状(ピン角状)以外の形状であってもよい。例えば、C面取り又はR面取りされた角部23,33であってもよい。
・第1吸着部20及び第2吸着部30について、いずれか一方のみに上記角部を設けた構成としてもよいし、両吸着部共に上記角部が省略された構成としてもよい。
【0052】
・第1吸着部20及び第2吸着部30の配置を変更してもよい。例えば、第1吸着部20及び第2吸着部30のうち、上側に位置する第1吸着部20をシャワーフェイス12の中心線Lと同じ位置又は中心線Lよりも上側に設け、下側に位置する第2吸着部30のみをシャワーフェイス12の中心線Lよりも下側に設けてもよい。また、第1吸着部20及び第2吸着部30を左右方向に並ぶように設けてもよい。この場合、把持部14は左右方向に延びるように設けることが好ましい。
【0053】
・第1吸着部20及び第2吸着部30の吸着面20a,30aの構成を変更してもよい。例えば、粗面状の吸着面としてもよい。この場合には、各吸着部又は取付面41に水滴が付着している場合に、その水滴が粗面の凹部に入り込むことにより、吸着面と取付面41とが水滴を介さずに直接、接触しやすくなる。これにより、取付面41に対するシャワーヘッド10の固定状態が更に安定化する。
【0054】
また、第1吸着部20及び第2吸着部30において、磁石の表面を覆う被覆部が設けられていてもよい。この場合、被覆部により吸着面が構成される。
また、マグネットラバー性の磁石やゴム製の被覆部を用いる等して、軟質材により構成される吸着面としてもよい。この場合には、取付面41にシャワーヘッド10を取り付ける際や、取付面41上をスライドさせてシャワーヘッド10の位置を変更する際に、取付面41が傷付いてしまうことを抑制できる。
【0055】
・第1吸着部20及び第2吸着部30の各構成は同じであってもよいし、その一部又は全部が異なっていてもよい。
・第1吸着部20及び第2吸着部30の他に吸着部を更に備える構成であってもよい。
【0056】
・
図7に示すように、シャワーヘッド10について、取付面41に設けられたハンガー42にも固定できる構成としてもよい。例えば、連結部18として、ハンガー42に係止可能な強度及び形状のものを採用する。この場合には、リフォーム等により壁部40が磁性体として機能しないものに変更された場合にも、取付面41のハンガー42に対してシャワーヘッド10を固定することができる。
【符号の説明】
【0057】
L…シャワーフェイスの中心線、S1…隙間、S2…空間、10…シャワーヘッド、11…ハウジング、12…シャワーフェイス、13…ヘッド部、14…把持部、20…第1吸着部、22…第1磁石、23,33…角部、30…第2吸着部、32…第2磁石、41…取付面。