IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムエムテー アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図1
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図2
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図3
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図4
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図5
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図6
  • 特許-位置決めアクチュエータおよび製造方法 図7a-7c
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】位置決めアクチュエータおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20220711BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20220711BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20220711BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220711BHJP
   H02K 11/21 20160101ALI20220711BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20220711BHJP
【FI】
H02K5/04
F16J15/06 H
H02K5/22
H02K7/116
H02K11/21
H02K11/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017541095
(86)(22)【出願日】2016-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2016052435
(87)【国際公開番号】W WO2016124715
(87)【国際公開日】2016-08-11
【審査請求日】2018-11-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】1550881
(32)【優先日】2015-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519076174
【氏名又は名称】エムエムテー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シグ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グラフ,フィリップ
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】田合 弘幸
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-136590(JP,A)
【文献】特表2012-528564(JP,A)
【文献】特開2013-94009(JP,A)
【文献】特開平10-51989(JP,A)
【文献】特開平11-346461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00- 5/26
F16J 15/00-15/14
H02K 7/00- 7/20
H02K 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータアセンブリ(22)と、
ロータ(6)と、
複数の電子構成部品を備えるプリント回路(29)と、
回転部材を駆動する減速ギア(4、5)とを含む位置決めアクチュエータであって、
2つの補完的な第1ブロック(1)と第2ブロック(2)を含み、
上記第1ブロック(1)は、1W/m/K以上の熱伝導率を有するジャケットから成り、
上記第1ブロック(1)は、上記減速ギア(4、5)を内蔵するとともに、上記減速ギア(4、5)の出力シャフト(11)用の通路および開放された接合面を有し、
上記第2ブロック(2)は、上記ステータアセンブリ(22)のオーバーモールド成形体から成るとともに、上記ロータのための後方軸受(23)用の凹部と、上記第1ブロック(1)の上記接合面を補完する接合面とを有し、上記ステータアセンブリのボビンがある位置のオーバーモールド成形体の厚さは、上記ステータアセンブリのボビンがない位置のオーバーモールド成形体の厚さよりも大きく、
上記プリント回路(29)は、上記第1ブロック(1)と上記第2ブロック(2)との間に画定される空間内に位置することを特徴とする、位置決めアクチュエータ。
【請求項2】
上記第2ブロック(2)の上記接合面は、上記第1ブロック(1)の補完的な上記接合面に圧接するシーリング(27)を受け入れるための溝(26)を、周囲に有することを特徴とする、請求項1に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項3】
上記第1ブロック(1)の上記接合面は、上記第2ブロック(2)の補完的な上記接合面に圧接するシーリング(27)を受け入れるための溝(26)を、周囲に有することを特徴とする、請求項1に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項4】
シーリング(27)が、上記第1ブロック(1)の上記接合面および上記第2ブロック(2)の上記接合面に対向して圧接するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項5】
数個の軸受を含み、
少なくとも上記ロータの上記後方軸受(23)は、上記第2ブロック(2)の上記凹部内への挿入の際に圧縮され得る環状シーリング(39、40)を受け入れる、少なくとも1つの溝(37、38)を有することを特徴とする、請求項1に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項6】
上記第1ブロック(1)は、上記出力シャフトの前方軸受(13)を受け入れる凹部(12)を有することを特徴とする、請求項1に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項7】
上記出力シャフトの上記前方軸受(13)は、上記第1ブロックの上記凹部内への挿入の際に圧縮され得る環状シーリングを受け入れる、少なくとも1つの溝を有することを特徴とする、請求項6に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項8】
上記第1ブロック(1)は、高い熱伝導率を有する材料から作られるとともに、冷媒の循環用の回路(41)を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項9】
上記ステータアセンブリと上記プリント回路(29)との間の電気的連結は、上記第2ブロック(2)内にオーバーモールドされた複数の接続ピンによって生じることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項10】
上記第2ブロック(2)は、オーバーモールドされたコネクタ(34)をも含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項11】
上記コネクタ(34)、ケーブル束(33)と上記プリント回路の配線との間において上記ケーブル束(33)の複数の接続ピン(35)の挿入および保持のための、複数の雌コネクタ(36)を有することを特徴とする、請求項10に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項12】
オーバーモールドされた上記コネクタ(34)、ケーブル束の保護シースと接続されるフランジ(42)を有することを特徴とする、請求項10に記載の位置決めアクチュエータ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の位置決めアクチュエータ用のオーバーモールドされたステータアセンブリを製造する方法であって、
上記ステータアセンブリに設けられるとともに軸方向に方向づけられた複数の補完的な開口部内へと貫通可能な複数のピンを有する把持装置を用いて、上記ステータアセンブリを金型内に位置付けることを含み、
上記金型は、上記ステータアセンブリボビンがある位置を補完する部分の中央ハブを有し、
上記金型は、上記把持装置を用いて上記ステータアセンブリを上記金型内へ導入する際の、上記ステータアセンブリの角度位置決めのための、少なくとも1つのピンをも有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項から12のいずれか1項に記載の位置決めアクチュエータを製造する方法であって、以下の3つの構成部品:
上記減速ギア(4、5)を内蔵するとともに、上記減速ギア(4、5)の出力シャフト(11)用の通路および開放された接合面を有する第1ブロック(1);
上記ステータアセンブリ(22)のオーバーモールド成形体から成るとともに、上記ロータの後方軸受(23)用の凹部と、上記第1ブロック(1)の上記接合面を補完する接合面とを有する第2ブロック(2);および、
上記第2ブロック内のオーバーモールドされた複数のコネクタを補完する複数の錫めっきした穿孔を有する、プリント回路(29)を別々に作製し、
上記第2ブロックは、上記ステータアセンブリのオーバーモールディングにより作られることによって、片側のみに現れる軸路を有するモノリシック部品を形成し、当該モノリシック部品の底部は、軸受の配置用の凹部を形成しており、
電気的および機械的連結を確保するために、上記プリント回路を上記第2ブロックに押し付けることにより、組み立てを行い、
に組み立てられた上記2つの構成部品に上記第1ブロックを組み合わせることにより、上記アクチュエータを完成させ、ねじ(28)が、上記第1ブロック(1)と第2ブロック(2)間の連結を確保することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、電磁アクチュエータ、特に、電動弁用アクチュエータの分野に関する。一例として、そのような電動弁の概略構造が、国際公開第2010027447号に記載されている。
【0002】
そのようなアクチュエータの堅牢性(頑強性)を向上させるため、モータの構成部品の一部をプラスチック材料内に封入することが周知慣用となっている。このオーバーモールディングにより、振動を受ける構成部品の固定が可能となり、熱伝導が促進される。また、ねじまたは接着による組み立て作業を不要とすることも可能となる。
〔背景技術〕
先行技術において、ステータ構造体のオーバーモールディング方法を記載した米国特許第7036206号が知られている。当該方法は、内径および外径を有するステータコアにボビンアセンブリを組み立てることを含む、中間ステータアセンブリの構築工程と、カバーハーフ(cover half)と、エジェクターの内部コアおよび可動板を備えるエジェクターハーフ(ejector half)とを含む成形装置内に中間ステータアセンブリを配置する工程と、成形装置内に軸受を装着し、可動板を金型内で移動させるカバーハーフを閉じて、可動板を金型内で移動させる工程とを含む。次いで、結合材料を成形装置内に注入して中間ステータアセンブリを封入し、オーバーモールドされたモータステータ構造体を形成する。
【0003】
また、ブラシレス直流アクチュエータを記載した国際公開第2010/027447号が知られている。当該ブラシレス直流アクチュエータは、モータアセンブリを受け入れるための空洞を画定する基部と、ギアアセンブリを受け入れるための空洞を画定するキャップとを含む筐体を備える。プリント回路基板アセンブリが、筐体内の、モータアセンブリとギアアセンブリとの間に載置される。ロータシャフトが、プリント回路基板アセンブリに設けられた開口部を貫通してギアアセンブリと接続される。一実施形態によれば、軸受および軸受保持要素が、基部内に形成されたスリーブに取り付けられて、筐体内のロータを保持する。別の実施形態によれば、ロータの頂部に当接する近位端と、ねじ山付き遠位端または切り欠き遠位端とを備えるロータ保持ピンが、筐体のスリーブを貫通して筐体内のロータを保持する。
【0004】
国際公開第2014/090953号には、ステータのオーバーモールディングを伴わない、直流モータに関する別の解決手法が記載されている。
〔従来技術の課題〕
これらの従来技術の解決手法は、オーバーモールドされたステータ構造体の製造に関するものであるが、当該構造体は、その後、通常の方法でモータの他の構成部品に取り付けられる。これらの解決手法によれば、特に電子回路がステータアセンブリの近傍かつ冷却回路の反対側に位置する場合において、固定されるべき多数のサブアセンブリによる振動の問題およびアクチュエータの異なる構成部品間における熱の拡散の問題を回避できない。また、多数の構成部品と、さらに通常は数個の密封材とが必要であるため、組み立てが複雑である。
【0005】
特に、国際公開第2010/027447号の提案する解決手法において、ボビンを支える、ステータアセンブリを収容するジャケットにより形成される部分は、オーバーモールドされるのではなく、この出願において特定されていない機械的手段によって固定される。この結果、複雑な組み立および追加的な製造工程が必要となる。
〔課題を解決するための手段〕
これらの欠点を改善するために、本発明は、最も広義において、ステータアセンブリと、ロータと、複数の電子構成部品を備えるプリント回路と、回転部材を駆動する減速ギアとを含む位置決めアクチュエータであって、2つの補完的なブロックを含み、上記第1ブロックは、1W/m/K以上の熱伝導率を有するジャケットから成り、上記第1ブロックは、上記減速ギアを内蔵するとともに、上記減速ギアの出力シャフト用の通路と開放対向面とを有し、上記第2ブロックは、上記ステータアセンブリのオーバーモールド成形体から成るとともに、上記ロータ用の後方軸受用の凹部と、上記第1ブロックの接合面を補完する接合面とを有し、上記電子回路は、上記第1ブロックと上記第2ブロックとの間に画定される空間内に位置することを特徴とする、位置決めアクチュエータに関する。
【0006】
このように、アクチュエータのアセンブリは、従来技術よりも単純化されており、電子回路は、第1ブロックの良好な熱伝導率の恩恵を受けて、許容できる作動温度を確保(保証)する。
【0007】
ステータのオーバーモールディングによって第2ブロックが形成されており、したがって、第2ブロックは、ステータのオーバーモールド成形体の前面により閉じられる。この解決手法には、不特定の機械的手段によって複数のボビンが固定される部品内に、当該ボビンを収容することを提案する国際公開第2010/027447の開示内容とは根本的に異なる。この実施形態では、全体がオーバーモールディングにより形成されたブロックによって確保される熱機能を、全く確保することができない。また、求められる単純な取り付けに逆行するものであり、振動に対する好ましい低感度性を確保することもできない。
【0008】
したがって、上記アクチュエータは、以下の3つの独立した構成部品:
複数の機械的構成部品の全てを内蔵する、高い熱伝導率を有する第1ブロック;
可動部品を有さないモノリシックな第2ブロックであって、ステータおよび電気コネクタをオーバーモールディングしたプラスチック材料のブロックから成り、ロータのシャフトをガイドする軸受を有する、第2ブロック;
上記複数の電子構成部品を含むとともに、上記2つのブロックの境界に設けられた空間内に収容される、プリント回路
から成る。このプリント回路は、モノリシックな第2ブロックのステータ要素および電気コネクタと機械的および電気的に連結される。
【0009】
組み立ては非常に単純である。その理由は、上記3つの部品が、組み立て中に保持しなくてはならないような取り外し可能な部品を全く含まず(但し、ロータは例外であり得る)、3つの部品を単純に組み合わせるだけで、3つの部品が機械的および電気的に組み立てられるからである。
【0010】
有利なことに、上記第2ブロックの上記接合面は、上記第1ブロックの補完的な上記面に圧接するシーリングを受け入れるための溝を、周囲に有する。
【0011】
あるいは、上記第1ブロック(1)の上記接合面は、上記第2ブロックの補完的な上記接合面に圧接するシーリングを受け入れるための溝を周囲に有するのは、第1ブロックであってもよい。
【0012】
また、シーリングが、上記第1ブロックの上記接合面および上記第2ブロックの上記接合面に対向して圧接するように配置されることも可能である。
【0013】
このように、上記アクチュエータは、組み立て対象である2つのアセンブリが考慮されるとともに、これらの間に単一のシーリングが位置付けられる、組み立て工程のみを必要とする。
【0014】
また、存在する数個の軸受、特に上記ロータの上記軸受は、上記第2ブロックの上記凹部内への挿入の際に圧縮され得る環状シーリングを受け入れる、少なくとも1つの溝を有することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、少なくとも1つの環状シーリングを内蔵する複数の軸受を挿入することにより、密閉性が確保されるだけでなく、機械的固定も確保される。したがって、使用時において、アクチュエータが振動にさらされる際のアクチュエータの劣化を回避するために、軸受に先行荷重を加える必要がなくなる。
【0016】
変形例によれば、上記第1ブロックは、上記ロータの前方軸受を受け入れる凹部を有する。
【0017】
有利なことに、上記ロータの上記前方軸受は、上記第1ブロックの上記凹部内への挿入の際に圧縮され得る環状シーリングを受け入れる、少なくとも1つの溝を有する。
【0018】
特定の変形例によれば、上記第1ブロックは、高い熱伝導率を有する材料から作られるとともに、冷媒の循環用の回路を含む。
【0019】
特定の実施形態によれば、上記複数のステータ要素と上記プリント回路との間の電気的連結は、上記第2ブロック内にオーバーモールドされた複数の接続ピンによって生じる。
【0020】
変形例によれば、上記第2ブロックは、オーバーモールドされたコネクタをも含む。
【0021】
有利なことに、上記第2ブロックは、上記プリント回路との接続ピンにより引き延ばされる電気ワイヤとの接続エリアを有する複数のピンによって形成される、接続アセンブリを有する。
【0022】
特定の実施形態によれば、上記接続アセンブリは、ワイヤと上記プリント回路の配線との間において複数の接続ピンの挿入および保持のための、複数の雌コネクタを有する。
【0023】
有利なことに、オーバーモールドされた上記接続アセンブリは、ケーブル束の保護シースとの接続のためのフランジを有する。
【0024】
また、上記ステータの内部部分のオーバーモールド成形体の厚さは、上記ステータの外部部分のオーバーモールド成形体の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0025】
ここで、「内部部分」とは、ステータの一部であって、特に、第1ブロックと第2ブロックとの間の境界空間に位置する複数のボビンの一部を意味するものとする。
【0026】
上記特徴により、アクチュエータから外側へ向かう熱交換の促進が可能となる。
【0027】
本発明は、上述の請求項のうち少なくとも1項に記載の位置決めアクチュエータ用のオーバーモールドされたステータアセンブリを製造する方法であって、上記ステータ構造体に設けられるとともに軸方向に方向づけられた複数の補完的な開口部内へと貫通可能な複数のピンを有する把持装置を用いて、ステータアセンブリを金型内に位置付けることを含み、上記金型は、上記ステータ構造体の内部部分を補完する部分の中央ハブを有し、上記金型は、上記把持装置を用いて上記ステータ構造を上記金型内へ導入する際の、上記ステータ構造体の角度位置決めのための、少なくとも1つのピンをも有することを特徴とする方法にも関する。
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、以下の限定しない例示的実施形態の説明の記載を、添付図面を参照しつつ読むことにより、より良い理解が得られるものであろう。
【0028】
図1は、本発明に係るアクチュエータの断面図である。
【0029】
図2は、図1に示すアクチュエータの斜視図である。
【0030】
図3は、上記アクチュエータの第1の変形例の斜視図である。
【0031】
図4は、図3に示す実施形態の部分断面図である。
図5は、上記アクチュエータの第2の変形例において使用可能な、オーバーモールドされた束を示す図である。
【0032】
図6は、上記アクチュエータの第2の変形例の斜視図である。
【0033】
図7aから図7cは、本発明に係る上記2つのブロックの密閉接続の、異なる例を示す模式図である。
〔発明を実施するための形態〕
図1に、2つの接続された補完的なブロック(1、2)から成るアクチュエータの一例を示す。
【0034】
第1ブロック(1)は、本例において、例えばアルミニウム鋳造により製造される金属シェル(3)から成る。また、第1ブロック(1)は、良好な熱伝導率(典型的には、1W/m/Kを超える)を有する、例えばシリカまたはアルミニウム粒子を充填したプラスチック等の材料により作られていてもよい。第1ブロック(1)は、第1ステージ(4)と第2ステージ(5)とから形成される減速ギアを備える。第1ステージ(4)の駆動ギアはロータ(6)に固定され、被駆動ギア(7)はシャフト(8)によって支持されるとともに、中間ギア(9)を駆動する。
【0035】
この中間ギア(9)は、第2ステージ(5)の一部を形成しており、出力シャフト(11)に固定されたギア(10)を駆動する。
【0036】
シェル(3)は、複数の軸受を受け入れる複数の穴を有し、特に、前方軸受(13)のための凹部(12)と、シャフト(8)をガイドする軸受(15)のための第2凹部(14)とを有する。有利なことに、これらの軸受は、シーリングを受け入れる、通常は環状の少なくとも1つの溝を有する。このシーリングは、軸受がその凹部内に取り付けられ、圧縮される際の、密閉性および機械的保持性を確保する。このように、この装置によれば、必ずしもプレロードばねを必要とせずに、振動の存在下でアクチュエータを保持することが可能となる。図1に、加わる振動が特に大きい場合における、軸受(13)の下の前方凹部(12)内のばねワッシャ(66)を示す。
【0037】
リップシーリング(16)は、シャフト(11)とシェル(3)との間の密閉性を確保する。
【0038】
シェル(3)は、モータシャフト(19)をガイドするための軸受(18)が嵌め込まれる、後方凹部(17)も有している。
【0039】
ばね(20)は、圧力が、シェル(3)の前方先端面(21)とギア(10)とに加わることを確保する。このばねは、アクチュエータが誤作動した場合に、「フェイルセーフ」安全位置への回帰を確保する。
【0040】
第2ブロック(2)は、外側構成が複数の固定突起(25)を形成する熱硬化性プラスチック(24)の塊の中にオーバーモールドされた、ステータアセンブリ(22)および後方軸受(23)を含む。
【0041】
後方軸受(23)は、2つの環状溝(37、38)を有している。当該環状溝の中に弾性シーリング(39、40)が収容されることにより、第2ブロック(2)の後方に設けられた空洞における機械的取り付けが確保される。
【0042】
このように、後方軸受(23)を、軸方向に沿って強制的に第2ブロック(2)内へ挿入することができる。
【0043】
このブロック(2)は、2つのブロック(1、2)の密閉性を確保するシーリング(27)を収容するための溝(26)を、周囲に有する。この溝(26)は、第1ブロック(1)のみに設けられていてもよく、または両ブロック(1、2)に設けられていてもよい。
【0044】
2つのブロック(1、2)間の機械的連結は、突起(25)を貫通するとともに第1ブロック(1)内に設けられたタップ内に固定される、複数のねじ(28)によって確保される。
【0045】
プリント回路(29)は、ブロック(1)とブロック(2)との間に画定される空間内に収容される。
【0046】
このプリント回路(29)は、モータを駆動する電子構成部品と、ロータ(6)の磁性位置を検出する複数のセンサ(30)とを含む。反対側の面において、プリント回路(29)は、出力シャフト(11)の角度位置を検出するセンサ(31)を含む。
【0047】
プリント回路(29)は、複数のねじ(32)によって第2ブロック(2)に機械的に固定されている。プリント回路(29)とケーブル束(33)との間の電気的連結は、第2ブロック(2)に内蔵された、オーバーモールドされたコネクタ(34)によって確実にされる。この目的のため、プリント回路(29)は、複数の「圧入」型コネクタ(35)と連携するための、錫めっきした複数の穿孔を有する。「圧入」型コネクタ(35)は、それ自体が、第2ブロック(2)内にオーバーモールドされた複数の雌コネクタ(36)に嵌め込まれる。あるいは、これら「圧入」型コネクタ(35)は、コネクタ(34)を引き延ばすことにより形成し、ブロック(2)内に直接オーバーモールドさせてもよい。
【0048】
上記電子回路(29)は、ロータ(11)のシャフト(19)の通り道を形成するように貫通されている。
【0049】
コネクタ(34)は、ケーブル束(33)を保護するフランジ(42)を有する。
【0050】
上述の例において、第1ブロック(1)は、熱伝導流体の循環に基づく冷却回路をも含む。
【0051】
特定の実施形態において、前方ブロック(1)は、コネクタ(36)を内蔵する、予め嵌め込まれたケーブル束(33)の端部を受け入れる凹部を備える。
【0052】
この目的のため、ブロック(1)は、複数の端部がブロック(1)の表面上に露出している空洞(41)を含むことにより、流体流入ダクトおよび流体流出ダクトの接続を可能にしている。
【0053】
アセンブリの固定は、ねじ、リベット、またはその他の標準的手段による接続が可能な、第1ブロック(1)内に形成された複数の柱(43)によって確保される。
【0054】
図2に、アクチュエータの外観斜視図を示す。
【0055】
プラスチック材料から形成される第2ブロック(2)は、ステータの形状に極めて一致する部分(44)を有し、そこから広がって、第2の部分(45)において、第1ブロック(1)との接続面上で開口する。
【0056】
複数の補強材(46~52)は、上記2つの部分(44、45)の間に延在することにより、良好な機械的強度を確保するとともに、オーバーモールドの厚さを規定する。
【0057】
複数の隆起(58~60)が、複数のステータボビンの複数の漏出ワイヤに対応している。
【0058】
第1ブロック(1)は、一方の側において、冷却空洞(41)に現れる入力開口部(53)を有し、もう一方の側において、開口部(54)を有することにより、熱伝導流体の循環に基づく冷却システムとの接続を可能にしている。
【0059】
複数の柱(43、55、56、57)によって固定が確保される。
【0060】
図3および図4は、本発明の変形例を、斜視図と、ブロック(2)のオーバーモールド成形により形成される雄コネクタを通る面に沿って得られる部分断面図として、それぞれ示す。
【0061】
この例示的な実施形態によれば、第2ブロック(2)におけるオーバーモールドされた複数の金属ピン(61~64)により、接続が確保される。金属ピン(61~64)の後端は、補完的な雌コネクタの係合を可能にするように、解放状態にある。この接続エリアの後方部の断面は、ケーブル束を引き延ばしてなる複数のコネクタの断面を補完する。
【0062】
複数の前端は、例えば「圧入」雌コネクタまたは半田を介したプリント回路への挿入を可能にするように構成されている。
【0063】
別の実施形態において、モータから分かれているとともに、オーバーモールド成形体(67)により「圧入」型コネクタ(35)に直接接続されるケーブル束(33)の製造を想定することができる。このオーバーモールドされた束を、図5に示す。これは、図6に示す、アクチュエータの第2の実施形態のためのものである。第2の実施形態において、モールドされたコネクタ(34)は、このオーバーモールドされた束(33)を、単純な機械的挿入、および場合によっては接着または半田によって、直接受け入れるよう意図されている。
【0064】
2つのブロック(1)および(2)の間の密閉性は、図7a~図7cの断面図に概略的に示される通り、様々な方法によって生み出され得る。図7aにおいて、ブロック(2)は、ブロック(1)の補完的な接合面に圧接するシーリング(27)を受け入れるよう意図された、溝(26)を有する。図7bにおいて、ブロック(2)の補完的な接合面に圧接するシーリング(27)を受け入れるよう意図された、溝(26)を有するのは、ブロック(1)である。図7cにおいて、幅広の「シリンダー・ヘッド・ガスケット」型シーリングが、単純に2つのブロック(1)および(2)の間に位置付けられる。
【0065】
本発明は、このようなアクチュエータの製造方法にも関する。当該方法は、以下の3つの構成部品:
上記減速ギア(4、5)を内蔵するとともに、上記減速ギア(4、5)の出力シャフト(11)用の通路および開放された対向面を有する第1ブロック(1);
上記ステータアセンブリ(22)のオーバーモールド成形体から成るとともに、上記ロータの後方軸受(23)用の凹部と、上記第1ブロック(1)の接合面を補完する接合面とを有する第2ブロック(2);および、
上記第2ブロック内のオーバーモールドされた複数のコネクタを補完する複数の錫めっきした穿孔を有する、電子回路(29)
を別々に作製することから成る。
【0066】
上記第2ブロックは、上記ステータアセンブリのオーバーモールディングにより作られることによって、片側のみに現れる軸路を有するモノリシック部品を形成し、当該モノリシック部品の底部は、軸受の配置用の凹部を形成する。
【0067】
電気的および機械的連結を確保するために、上記プリント回路を上記第2ブロックに押し付けることにより、組み立てを行う。続いて、上記溝(26)内にシーリングを堆積させ、続いて、上記アクチュエータを完成させるために、既に組み立てられた上記2つの構成部品に上記第1ブロックを組み合わせる。上記ねじ(28)が、上記複数のブロック間の連結を確保し、また、必要であれば、補足機器上への取り付けをも確保する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1図1は、本発明に係るアクチュエータの断面図である。
図2図2は、図1に示すアクチュエータの斜視図である。
図3図3は、上記アクチュエータの第1の変形例の斜視図である。
図4図4は、図3に示す実施形態の部分断面図である。
図5図5は、上記アクチュエータの第2の変形例において使用可能な、オーバーモールドされた束を示す図である。
図6図6は、上記アクチュエータの第2の変形例の斜視図である。
図7図7aから図7cは、本発明に係る上記2つのブロックの密閉接続の、異なる例を示す模式図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a-7c】