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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20220711BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A61B5/02 D
A61B5/022 300F
A61B5/02 310V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018047014
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019154863
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】小澤 尚志
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】八瀬 哲志
(72)【発明者】
【氏名】岩出 彩花
(72)【発明者】
【氏名】菅野 真行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】川端 康大
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-011132(JP,A)
【文献】特開2017-060637(JP,A)
【文献】特開2013-146539(JP,A)
【文献】特開2017-209454(JP,A)
【文献】特開2010-207274(JP,A)
【文献】米国特許第06231507(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の動脈を含む被測定部位を取り巻くように装着される、帯状をなすバンド部材と、
前記バンド部材の前記被測定部位と対向する面に配置され、血圧測定時に流体の注入により膨張動作して前記被測定部位を押圧する押圧部材と、
前記バンド部材の前記被測定部位と対向する面のうち前記押圧部材が配置されていない部位に、前記バンド部材が前記被測定部位に装着された状態で当該被測定部位に対し非接触の状態に設置される少なくとも1つのアンテナ支持部材と
を具備し、
前記アンテナ支持部材は、前記被測定部位に対し電波からなる測定信号を送波すると共に当該測定信号の前記被測定部位による反射信号を受波するアンテナ素子を有する、
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記アンテナ支持部材は、前記被測定部位に含まれる動脈に沿う方向に所定の間隔を隔てて複数配置される、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、1個のアンテナ支持部材に、前記被測定部位に含まれる動脈に沿う方向に所定の間隔を隔てて複数個配置される、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記アンテナ支持部材は、前記被測定部位に含まれる動脈と直交する方向に所定の間隔を隔てて複数個配置される、請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、1個のアンテナ支持部材に、前記被測定部位に含まれる動脈と直交する方向に所定の間隔を隔てて複数個配置される、請求項1又は3に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記バンド部材と前記押圧部材との間に配置され、前記アンテナ支持部材と電気的に接続される制御回路支持部材を、さらに具備し、
前記制御回路支持部材は、
前記測定信号を生成して前記アンテナ素子に供給し前記電波として送波させる送信回路部と、
前記アンテナ素子により受波された電波からなる前記反射信号を受信して検波する受信回路部と
を少なくとも有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記アンテナ支持部材および前記制御回路支持部材は共通の回路支持部材により一体的に構成され、
前記アンテナ素子は、前記共通の回路支持部材の前記押圧部材から露出している部位に設けられ、
前記送信回路部および受信回路部は、前記共通の回路支持部材の前記押圧部材と接触する部位に設けられる、
請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記共通の回路支持部材は、フレキシブル基板により構成される、請求項7に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
前記被測定部位と前記アンテナ支持部材との間に介在配置される、誘電体材料からなるスペーサ部材を、さらに具備する請求項1乃至8のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば、押圧カフを用いて血圧を測定する機能部と、電波を用いて動脈の脈波を測定する機能部とを備えた生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報測定装置の1つとして、例えば、被検者の上腕部または手首等の被測定部位を押圧カフにより圧迫してその圧力を測定することで被検者の血圧を測定する機能部と、対をなす送信アンテナと受信アンテナを被検者の動脈を含む被測定部位に対向配置し、上記送信アンテナから電波(測定信号)を被測定部位に対し送信して、この測定信号の上記被測定部位による反射波(反射信号)を上記受信アンテナで受信することで、被検者の脈波を測定する機能部を備えた装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-132437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、オシロメトリック法による血圧測定機能と、電波を用いた脈波の測定機能とを併せ持った従来の生体情報測定装置は、例えば、脈波測定用の送信アンテナおよび受信アンテナを押圧カフの押圧面、つまり皮膚に接触する面に取着した構造となっている。このため、押圧カフの加圧および減圧が繰り返されるうちに押圧カフに対する送信アンテナおよび受信アンテナの取着状態が劣化して脱落や変形等を生じるおそれがあり、装置の信頼性の低下が懸念されていた。また、押圧カフの加圧により送信アンテナおよび受信アンテナが被検者の皮膚に押し付けられるため、被検者が皮膚に痛み等を感じるなど、不快感を覚えることがあった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、装置の信頼性の向上を図ると共に被検者に与える不快感の軽減を図った生体情報測定装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明に係る生体情報測定装置の第1の態様は、生体の動脈を含む被測定部位を取り巻くように装着される帯状をなすバンド部材と、前記バンド部材の前記被測定部位と対向する面に配置され、血圧測定時に流体の注入により膨張動作して前記被測定部位を押圧する押圧部材と、前記バンド部材の前記被測定部位と対向する面のうち前記押圧部材が配置されていない部位に、前記バンド部材が前記被測定部位に装着された状態で当該被測定部位に対し非接触の状態に設置される少なくとも1つのアンテナ支持部材とを具備する。前記アンテナ支持部材には、前記被測定部位に対し電波からなる測定信号を送波すると共に、当該測定信号の前記被測定部位による反射信号を受波するアンテナ素子が設けられる。
【0007】
この発明の第1の態様によれば、アンテナ支持部材は押圧部材の押圧面に取着されるのではなく、バンド部材上の押圧部材が配置されていない部位に設置される。このため、押圧部材の加圧および減圧が繰り返されてもアンテナ支持部材の設置状態は劣化せず、これによりアンテナ支持部材の脱落や変形等の不具合の発生は未然に回避されて、装置の信頼性を高めることができる。また、アンテナ支持部材は押圧部材の加圧により被検者の皮膚に押し付けられない構造であるため、被検者が痛み等の不快感を覚える心配もない。
【0008】
この発明に係る生体情報測定装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記アンテナ支持部材を、前記被測定部位に含まれる動脈に沿う方向に所定の間隔を隔てて複数配置するようにしたものである。
【0009】
この発明に係る生体情報測定装置の第3の態様は、前記第1の態様において、前記アンテナ素子を、1個のアンテナ支持部材に、前記被測定部位に含まれる動脈に沿う方向に所定の間隔を隔てて複数個配置するようにしたものである。
【0010】
この発明の第2および第3の態様によれば、例えば、1本の動脈の上流側と下流側の異なる複数の位置においてそれぞれ測定信号の送波と反射波の受波が行われる。このため、動脈の異なる位置で脈波信号を検出することが可能となり、これらの脈波信号に基づいて脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)に着目した血圧推定を行うことが可能となる。
【0011】
この発明に係る生体情報測定装置の第4の態様は、前記第1または第2の態様において、前記アンテナ支持部材を、前記被測定部位に含まれる動脈と直交する方向に所定の間隔を隔てて複数個配置するようにしたものである。
【0012】
この発明に係る生体情報測定装置の第5の態様は、前記第1または第3の態様において、前記アンテナ素子を、1個のアンテナ支持部材に、前記被測定部位に含まれる動脈と直交する方向に所定の間隔を隔てて複数個配置するようにしたものである。
【0013】
この発明の第4および第5の態様によれば、動脈と直交する方向の複数の位置でそれぞれ測定信号および反射信号の送受波が行われる。このため、例えば、被検者の動脈の位置に個人差があっても、また被測定部位に対する装置の装着位置が動脈と直交する方向にずれても、前記複数のアンテナ支持部材のうちの少なくとも1つを動脈に近接させることが可能となり、これにより動脈の動きを表す脈波を品質良く測定することが可能となる。
【0014】
この発明に係る生体情報測定装置の第4の態様は、前記第1乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記バンド部材と前記押圧部材との間に前記アンテナ支持部材と電気的に接続される制御回路支持部材を配置し、この制御回路支持部材に、前記測定信号を生成して前記アンテナ素子に供給し前記電波として送波させる送信回路部と、前記アンテナ素子により受波された電波からなる前記反射信号を受信して検波する受信回路部とを少なくとも設けるようにしたものである。
【0015】
この発明の第4の態様によれば、制御回路支持部材をアンテナ支持部材と近接する位置に配置することが可能となる。このため、制御回路支持部材とアンテナ支持部材との間で、測定信号および反射信号を大きな減衰を生じることなく伝達することが可能となり、これにより脈波信号の信号対雑音比を高めることができる。
【0016】
この発明に係る装置の第5の態様は、前記第4の態様において、前記アンテナ支持部材および前記制御回路支持部材を共通の回路支持部材により一体的に構成する。そして、前記アンテナ素子を前記共通の回路支持部材の前記押圧部材から露出している部位に設け、前記送信回路部および受信回路部を前記共通の回路支持部材の前記押圧部材と接触する部位に設けるように構成したものである。
【0017】
この発明の第5の態様によれば、前記アンテナ支持部材および前記制御回路支持部材が共通の回路支持部材により一体的に構成される。このため、装置の生産コストを低減することができる。
【0018】
この発明に係る装置の第6の態様は、前記第5の態様において、前記共通の回路支持部材をフレキシブル支持部材により構成するようにしたものである。
【0019】
この発明の第6の態様によれば、バンド部材に例えば曲げや捻り等の外力が加わった場合でも、アンテナ支持部材および制御回路支持部材にひび割れや折損等が発生し難くなり、これにより装置の信頼性を高めることができる。また、バンド部材の厚さ方向の寸法を小さくすることができ、また装置の軽量化も期待できる。
【0020】
この発明に係る生体情報測定装置の第7の態様は、前記第1乃至第6の態様のいずれかにおいて、前記被測定部位と前記アンテナ支持部材との間に、誘電体材料からなるスペーサ部材を介在配置するようにしたものである。
【0021】
この発明の第7の態様によれば、アンテナ支持部材が安定に保持されることになり、これにより装置の信頼性をより高めることができる。加えて、アンテナ支持部材と被検者の被測定部位との間に誘電体材料が介在配置されることにより、アンテナ素子と被測定部位との間の空間をなくして、被測定部位表面における電波の反射や電波の減衰、外来の混入を低減することが可能となり、これにより脈波の測定品質をさらに高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
すなわちこの発明の各態様によれば、装置の信頼性の向上を図ると共に被検者に与える不快感の軽減を図った生体情報測定装置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る生体情報測定装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した生体情報測定装置の要部を拡大して示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した装置の要部のC-C矢視断面を示す図である。
図4図4は、図1に示した生体情報測定装置をユーザの左手首に装着した状態の一例を示す、図3のF-F矢視断面図である。
図5図5は、図1に示した生体情報測定装置をユーザの左手首に装着したときの左手首の皮膚面に対する装置の接触状態を示す断面図である。
図6図6は、図1に示した生体情報測定装置をユーザの左手首に装着したときの手首に対するアンテナ基板および押圧カフの配置位置を示す平面図である。
図7図7は、図1に示した生体情報測定装置の制御系の全体構成を示すブロック図である。
図8図8は、図7に示した制御系のうち脈波センサの構成を示すブロック図である。
図9図9は、図7に示した制御系のうちオシロメトリック法による血圧測定系の構成を示すブロック図である。
図10図10は、図1に示した生体情報測定装置の制御系による制御手順と制御内容の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、脈波の測定動作を説明するための図で、図11(A)は左手首の長手方向に沿った断面を模式的に示す図、図11(B)は第1および第2の脈波センサにより得られる脈波の波形の一例を示す図である。
図12図12は、この発明の変形例(1)に係る生体情報測定装置を左手首に装着した状態における要部の拡大横断面図である。
図13図13は、この発明の変形例(2)に係る生体情報測定装置を左手首に装着した状態における要部の拡大横断面図である。
図14図14は、この発明の変形例(3)に係る生体情報測定装置を左手首に装着した状態における要部の拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0025】
[適用例]
先ず、この発明の一実施形態に係る生体情報測定装置の適用例の1つについて説明する。
【0026】
この発明の一実施形態に係る生体情報測定装置は、脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)に基づいて血圧を推定する第1の血圧測定部と、オシロメトリック法により血圧を測定する第2の血圧測定部を備えたものである。
【0027】
PTTを使用する第1の血圧測定部は、例えば、手首または上腕等の動脈が存在する被測定部位の異なる2箇所において、上記動脈に対し電波を送波してその反射波を受波することにより上記動脈の動きを表す脈波を測定し、その測定結果に基づいてPTTを算出する。そして、このPTTの算出値と、予め定められたPTTと血圧値との関係式とを用いて、血圧値を推定する。
【0028】
オシロメトリック法を使用する第2の血圧測定部は、押圧カフを手首または上腕等の動脈が存在する被測定部位に巻き付けた状態で、押圧カフを加圧しその後減圧する過程で脈波の圧力を測定することにより血圧を測定する。
【0029】
上記PTTに基づく血圧測定と、オシロメトリック法による血圧測定を、1個の装置で実現するには、被測定部位に対し電波を送受波するアンテナ素子を有するアンテナ支持部材としてのアンテナ基板と、押圧カフの両方を設置する必要がある。このアンテナ基板および押圧カフの設置構造としては、アンテナ基板を押圧カフの押圧面上、つまり被測定部位と接触する面に設置する構造が一般的である。ところが、このような構造では、押圧カフの加圧および減圧が繰り返されるうちに押圧カフに対するアンテナ基板の設置状態が劣化して脱落や変形等を生じるおそれがあり、装置の信頼性の低下が懸念される。また、押圧カフが加圧されるごとに、その圧力によりアンテナ基板が被検者の皮膚に押し付けられるため、被検者が皮膚に痛み等の不快感を覚えることが懸念される。
【0030】
そこで、この発明の一実施形態では、例えば図5に示すように、装置を被検者(ユーザ)の左手首等の被測定部位に装着するためのバンド(例えば樹脂部材からなる帯状体)23に、押圧カフ21を設置する部位と、アンテナ基板41,42を設置する部位を別々に設け、これらの部位にそれぞれ押圧カフ21およびアンテナ基板41,42を設置するように構成している。なお、412,422はアンテナ基板41,42に設けられるアンテナ素子であり、また43は上記アンテナ基板41,42に接続される制御回路支持部材としての制御回路基板を示している。
【0031】
このような構成であるから、以下のような作用効果が奏せられる。すなわち、アンテナ基板41,42は、押圧カフ21の押圧面ではなく、バンド20の帯状体23に設置される。このため、押圧カフ21の加圧および減圧が繰り返されても、アンテナ基板41,42に変形や脱落等の設置状態の劣化が生じる心配はなく、これにより装置の信頼性を高く保持することができる。
【0032】
また、装置を被検者の被測定部位90に装着した状態で、アンテナ基板41,42は被測定部位90の皮膚に接触せず、また押圧カフ21が加圧されたときにもその圧力によりアンテナ基板41,42は皮膚に押し付けられることはない。従って、被検者が皮膚に痛み等の不快感を覚える心配はなくなり、これにより被検者の使用中のストレスを軽減することでできる。
【0033】
[一実施形態]
(構成例)
(1)装置の構造
図1はこの発明の一実施形態に係る生体測定装置の全体構造を例示する斜視図、図2図1に示した生体情報測定装置の要部を拡大して示した図、図3図2のC-C矢視断面図である。
【0034】
一実施形態に係る生体情報測定装置は、被検者の左手首に装着して使用される手首式の血圧計1である。この血圧計1は、ユーザの左手首にその外周を取り巻くように装着されるバンド20と、このバンド20に一体的に取り付けられた本体10とを備えている。
【0035】
バンド20は、左手首をその外周方向に沿って取り巻くように細長い帯状の形状を有し、左手首に接する内周面20aと、この内周面20aと反対側の外周面20bとを有している。バンド20の幅方向Yの寸法(幅寸法)は、この例では約35~40mmに設定されているが、他の値に設定してもよい。
【0036】
本体10は、バンド20のうち、外周方向に関して一方の端部20eに、この例では一体成形により一体的に設けられる。なお、バンド20と本体10とを別々に形成し、バンド20に対して本体10を係合部材(例えばヒンジなど)を介して一体的に取り付けてもよい。この例では、本体10が配置された部位は、装着状態で左手首の背側面(手の甲側の面)に対応することが想定される。
【0037】
本体10は、バンド20の外周面20bに対して垂直な方向に厚さを有する立体的形状を有している。この本体10は、ユーザの日常活動の邪魔にならないように、小型で、薄厚に形成されている。この例では、本体10は、バンド20から外向きに突起した四角錐台状の輪郭を有している。
【0038】
本体10の頂面(被測定部位から最も遠い側の面)10aには、表示画面をなす表示器50が設けられている。また、本体10の側面(図1における左手前側の側面)10fに沿って、ユーザからの指示を入力するための操作部52が設けられている。
【0039】
本体10の底面(被測定部位に最も近い側の面)10bとバンド20の端部20fとは、三つ折れバックル24によって接続されている。このバックル24は、外周側に配置された第1の板状部材25と、内周側に配置された第2の板状部材26とを含んでいる。第1の板状部材25の一方の端部25eは、幅方向Yに沿って延びる連結棒27を介して本体10に対して回動自在に取り付けられている。第1の板状部材25の他方の端部25fは、幅方向Yに沿って延びる連結棒28を介して第2の板状部材26の一方の端部26eに対して回動自在に取り付けられている。第2の板状部材26の他方の端部26fは、固定部29によってバンド20の端部20f近傍に固定されている。
【0040】
なお、バンド20の周方向(X方向)に関して固定部29の取り付け位置は、ユーザの左手首の外周囲の長さに合わせて予め可変して設定されている。これにより、血圧計1(バンド20)は、全体として略環状に構成されるとともに、本体10の底面10bとバンド20の端部20fとが、バックル24によって矢印B方向に開閉可能になっている。
【0041】
この血圧計1を左手首に装着する際には、バックル24を開いてバンド20の環の径を大きくした状態で、図1の矢印Aで示す向きに、被検者であるユーザがバンド20に左手を通す。そして、ユーザは、左手首の周方向のバンド20の位置を調節して、左手首を通っている橈骨動脈上に、バンド20の内周面に設置されるアンテナ基板(後に詳しく説明する)41,42が対向するように設定する。これにより、アンテナ基板41,42にそれぞれ設けられる送受信アンテナ対が、左手首の掌側面のうち橈骨動脈に対応する部分に当接する状態になる。この状態で、ユーザはバックル24を閉じて固定する。このようにして、ユーザは血圧計1を左手首に装着する。
【0042】
図4は、ユーザの左手首90に上記血圧計1を装着した状態の一例を示すもので、図3のF-F矢視断面図である。また、図5図4の要部を拡大して示した縦断面図である。
【0043】
バンド20は、バンドの基体を構成する帯状体23を備える。帯状体23は、樹脂材料(この例ではシリコーン樹脂)からなり、この例では、図4に示す厚さ方向Zに関して可撓性を有し、かつ周方向Xに関して殆ど伸縮しないように実質的に非伸縮性を有している。
【0044】
帯状体23の内周面には、その幅方向(Y方向)の中央部でおいて、周方向(X方向)に長い帯状の形状を有する第1の設置部位が設けられ、この帯状の第1の設置部位に押圧部材としての押圧カフ21が設置される。
【0045】
押圧カフ21は、この例では、伸縮可能な2枚のポリウレタンシートを厚さ方向Zに対向させ、それらの周縁部を溶着することにより作製された流体袋からなっている。また押圧カフ21は、この例では、例えば図1に示すように、その幅方向の寸法が帯状体23の幅寸法である35~40mmより小さい25mmに設定されている。
【0046】
また、上記帯状体23の内周面の上記押圧カフ21の両側部から露出する部位には、図1および図2に示すように対をなすアンテナ基板41,42が設置される。またそれと共に、上記帯状体23の内周面の上記押圧カフ21により隠れる部位、つまり帯状体232と押圧カフ21との間に挟まれる位置には、図3に示すように制御回路基板43が設置される。
【0047】
上記各アンテナ基板41,42と制御回路基板43とは、短冊状をなす共通の1枚の誘電体基板を基体として構成される。すなわち、共通の誘電体基板の中央部位が制御回路基板43として、また両端部位がアンテナ基板41,42として作製される。誘電体基板は、例えばエポキシ樹脂からなり、厚さは1~2mm程度である。
【0048】
上記誘電体基板のアンテナ基板41,42として使用される各部位には、それぞれ、送信アンテナ411および受信アンテナ412の対と、送信アンテナ421および受信アンテナ422の対が設けられている。これらの送受信アンテナ411~422は、いずれも上記アンテナ基板41,42上に導電パターンを印刷形成することにより設けられる。
【0049】
送信アンテナ411,421および受信アンテナ412,422は、いずれも方形をなすパッチアンテナからなり、バンド20の周方向Xに一定の間隔を隔てて配置される。この例では、送信アンテナ411,421および受信アンテナ412,422は、いずれも縦横が3mmの正方形の形状を有している。また、この例では、送信アンテナ411と受信アンテナ412との間、および送信アンテナ421と受信アンテナ422との間の間隔は、その中心間の距離がバンド20の周方向Xに関して8mm~10mmの範囲内になるように設定されている。
【0050】
また、バンド20の幅方向Yに関して、送信アンテナ411および受信アンテナ412の対と、送信アンテナ421および受信アンテナ422の対との間の配置間隔は、この例では押圧カフ21の幅長である25mmより若干長い30mmに設定される。なお、上記送信アンテナ411および受信アンテナ412の対と、送信アンテナ421および受信アンテナ422の対との配置間隔は、血圧計1のサイズや押圧カフ21の幅長等に応じて、適宜最適な長さを選択すればよい。
【0051】
一方、上記誘電体基板の制御回路基板43として使用される部位には、制御回路430が設けられる。この制御回路430は、2組の送信回路および受信回路を含む。制御回路430は、通常では集積回路により構成されるが、ディスクリート回路であってもよい。上記組の送信回路および受信回路は、誘電体基板上に形成された導電パターンを介して、上記2組の送信アンテナ411および受信アンテナ412と、送信アンテナ421および受信アンテナ422に接続される。
【0052】
以上のような構造であるから、血圧計1をユーザの左手首90に装着した状態では、アンテナ基板41,42の高さ寸法は1~2mm程度あるのに対し、押圧カフ21の加圧されていないときの厚さ寸法は3~5mmであるため、アンテナ基板41,42は、例えば図4および図5に示すように、左手首90の皮膚面に対し非接触の状態を維持する。
【0053】
また、上記帯状体23の周方向Xにおける上記アンテナ基板41,42の位置は、血圧計1を左手首90に正規の状態に装着した状態で、橈骨動脈91の長手方向の異なる2つの位置にそれぞれ対向するように設定される。
【0054】
図6は、上記本体10をユーザの左手首90に装着したときの、橈骨動脈91に対する、送信アンテナ411および受信アンテナ412の対と、送信アンテナ421および受信アンテナ422の対の各配置位置を、押圧カフ21の配置位置と共に例示した平面図である。
【0055】
図6に示すように、送受信アンテナ対411,412と、送受信アンテナ対421,422は、橈骨動脈91の長手方向Yに沿って所定距離(この例では30mm)離間して配置される。また、上記送受信アンテナ対411,412、および送受信アンテナ対421,422は、いずれも送信アンテナ411と受信アンテナ412との間、および送信アンテナ421と受信アンテナ422との間に、橈骨動脈91が位置するように配置されることが望ましい。
【0056】
(2)装置1の回路系の構成例
(2-1)全体の回路構成
図7は、血圧計1の制御系の全体的な構成を例示したブロックである。
血圧計1の本体10には、前述した表示器50および操作部52に加えて、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)100等の制御部として動作するハードウェアプロセッサと、記憶部としてのメモリ51と、通信部59と、圧力センサ31と、ポンプ32と、弁33と、圧力センサ31からの出力を周波数に変換する発振回路310と、ポンプ32を駆動するポンプ駆動回路320が設けられている。なお、53は電源電圧を出力する電池である。
【0057】
上記CPU100には、前述した制御回路基板43が図示しないインタフェース回路を介して接続されている。
【0058】
表示器50は、この例では有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイからなり、CPU100から出力される表示データに従い、血圧測定結果などの血圧測定に関する情報、その他の情報を表示する。なお、表示器50は、有機ELディスプレイに限られるものではなく、例えば液晶ディスプレイ(Liquid Cristal Display:LCD)等の、他のタイプの表示器であってもよい。
【0059】
操作部52は、この例ではプッシュ式スイッチからなり、ユーザによる血圧測定開始又は停止の指示に応じた操作信号をCPU100に入力する。なお、操作部52は、プッシュ式スイッチに限られるものではなく、例えば感圧式(抵抗式)または近接式(静電容量式)のタッチパネル式スイッチなどであってもよい。また、図示しないマイクロフォンを備えて、ユーザの音声によって血圧測定開始の指示を入力するようにしてもよい。さらに、操作部52は必須ではなく、後述するCPU100が例えばタイマから出力される起動信号等に応じて、自動的に血圧測定開始指示又は停止指示を発生するように構成することも可能である。
【0060】
メモリ51は、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、ROM、RAM等を使用したもので、血圧計1を制御するためのプログラム、血圧計1を制御するために用いられる制御データ、血圧計1の各種機能を設定するための設定データ、圧力や脈波の検出信号、血圧の測定結果を表すデータなどを記憶する。また、メモリ51は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとしても用いられる。
【0061】
CPU100は、メモリ51に記憶されたプログラムに従って、制御部として各種機能を実行する。
例えば、PTTにより血圧を推定する制御を実行する場合、CPU100は、制御回路基板43の送信回路44,46に対し電波(測定信号)の送信開始指示を与える。そして、上記測定信号の橈骨動脈91による反射波に対応する受信信号を受信回路45,47から取り込み、当該受信信号から脈波信号を検出してこの脈波信号をもとにPTTを算出する。そして、算出されたPTTの値と、メモリ51に記憶されたPTTと血圧との関係式とに基づいて、血圧値を推定し、推定された血圧値が所定の閾値により規定される範囲を超えたか否かを判定する。
【0062】
また、例えばオシロメトリック法による血圧測定を実行する場合、CPU100は、上記PTTにより得られた血圧推定値が閾値により規定される範囲を超えたと判定された場合に、或いは操作部52における血圧測定開始指示の入力に応じて、圧力センサ31から出力される圧力検出信号に基づいて、ポンプ32(および弁33)を駆動する制御を行う。また、CPU100は、この例では圧力センサ31から出力された圧力検出信号に基づいて、血圧値を算出する制御を行う。
【0063】
通信部59は、CPU100によって算出された血圧の測定結果を含む情報を、ネットワーク900を介して外部の端末装置に送信したり、外部の端末装置からの情報を、ネットワーク900を介して受信してCPU100に受け渡したりする。このネットワーク900を介した通信は、無線、有線のいずれでも良い。この実施形態において、ネットワーク900は、インターネットであるが、これに限定されず、病院内LAN(Local Area Network)のような他の種類のネットワークであってもよいし、USBケーブルなどを用いた1対1の通信であってもよい。この通信部59は、マイクロUSBコネクタを含んでいてもよい。
【0064】
ポンプ32および弁33はエア配管39を介して、また、圧力センサ31はエア配管38を介して、それぞれ押圧カフ21に接続されている。なお、エア配管39,38は、共通の1本の配管であってもよい。圧力センサ31は、エア配管38を介して、押圧カフ21内の圧力を検出する。ポンプ32は、この例では圧電ポンプからなり、押圧カフ21内の圧力(カフ圧)を加圧するために、エア配管39を通して押圧カフ21に加圧用の流体としての空気を供給する。弁33は、ポンプ32に搭載され、ポンプ32のオン/オフに伴って開閉が制御される構成になっている。
【0065】
すなわち、弁33は、ポンプ32がオンされると閉じて、押圧カフ21内に空気を封入する一方、ポンプ32がオフされると開いて、押圧カフ21の空気をエア配管39を通して大気中へ排出させる。なお、弁33は、逆止弁の機能を有し、排出されるエアが逆流することはない。ポンプ駆動回路320は、ポンプ32をCPU100から与えられる制御信号に基づいて駆動する。
【0066】
圧力センサ31は、この例ではピエゾ抵抗式圧力センサであり、エア配管38を通してバンド20(押圧カフ21)の圧力、この例では大気圧を基準(ゼロ)とした圧力を検出して時系列の信号として出力する。発振回路310は、圧力センサ31からのピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値に基づき発振して、圧力センサ31の電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号をCPU100に出力する。この例では、圧力センサ31の出力は、押圧カフ21の圧力を制御するため、および、オシロメトリック法によって血圧値(収縮期血圧(Systolic Blood Pressure;SBP)と拡張期血圧(Diastolic Blood Pressure;DBP)とを含む。)を算出するために用いられる。
【0067】
電池53は、本体10に搭載された要素、この例では、CPU100、圧力センサ31、ポンプ32、弁33、表示器50、メモリ51、通信部59、発振回路310、ポンプ駆動回路320の各要素へ電力を供給する。また、電池53は、給電線71を通して、制御回路基板43の送信回路44,46および受信回路45,47へも電力を供給する。この給電線71は、信号用の配線72とともに、バンド20の帯状体23と押圧カフ21との間に挟まれた状態で、バンド20の周方向Xに沿って本体10と送受信部40との間に延在して設けられている。
【0068】
(2-2)脈波伝播時間(PTT)に基づく血圧推定部の構成
図8は、第1の脈波センサ40-1および第2の脈波センサ40-2の構成を例示するブロック図である。
【0069】
制御回路基板43には、前述したように2組の送受信回路、つまり送信回路44および受信回路45の対と、送信回路46および受信回路47の対が設けられている。送信回路44および受信回路45は、それぞれ共通回路基板上に形成された導電パターンを介して、アンテナ基板41に設けられた送信アンテナ411および受信アンテナ412に接続されている。送信回路46および受信回路47は、それぞれ共通回路基板上に形成された導電パターンを介して、アンテナ基板42に設けられた送信アンテナ421および受信アンテナ422に接続されている。
【0070】
第1の脈波センサ40-1は、上記アンテナ基板41の送信アンテナ411および受信アンテナ412と、これらのアンテナ411,412にそれぞれ接続された送信回路44および受信回路45と、脈波検出部101とにより構成される。第2の脈波センサ40-2は、上記アンテナ基板42の送信アンテナ421および受信アンテナ422と、これらのアンテナ421,422にそれぞれ接続された送信回路46,47と、脈波検出部102とにより構成される。
【0071】
送信回路44,46は、上記CPU100からの送信指示に応じて、それぞれ接続された送信アンテナ411,421に測定信号を供給し、被測定部位としての左手首90(より正確には橈骨動脈91の対応する部分)に向けて電波E1,E2を送信する。この例では、上記電波E1,E2として24GHz帯の周波数の電波が用いられる。
【0072】
受信回路45,47は、それぞれ上記電波E1,E2の上記橈骨動脈91による反射波E1′,E2′を、受信アンテナ412,422を介して受信して、検波および増幅し、この受信信号をCPU100へ出力する。
【0073】
脈波検出部101,102は、それぞれ上記受信回路45,47から出力された受信信号を、図示しないA/D変換器によりディジタル信号に変換して取り込み、上記橈骨動脈91の脈動波形を表す脈波信号PS1,PS2を検出して、PTT算出部103へ出力する。
【0074】
PTT算出部103は、上記脈波検出部101,102から出力された各脈波信号PS1,PS2間の時間差を、脈波伝播時間(PTT)として算出し、算出された脈波伝播時間(PTT)を第1の血圧算出部104に出力する。第1の血圧算出部104は、予め設定されたPTTと血圧との関係式をメモリ51から読み出し、この関係式に従い、上記算出された脈波伝播時間(PTT)に対応する血圧値を推定する。
【0075】
ここで、上記脈波検出部101,102、PTT算出部103、および第1の血圧算出部104は、いずれもCPU100が所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0076】
(2-3)オシロメトリック法を用いた血圧測定部の構成
図9は、オシロメトリック法を用いた血圧測定部の構成を例示するブロック図である。
このオシロメトリック法を用いた血圧測定部は、圧力制御部201と、第2の血圧算出部204と、出力部205とを備えている。これらの機能部はいずれもプログラムをCPU100に実行させることにより実現される。
【0077】
圧力制御部201は、圧力検知部202と、ポンプ駆動部203とを有している。圧力検知部202は、圧力センサ31から発振回路310を通して入力された周波数信号を処理して、押圧カフ21内の圧力(カフ圧)を検知するための処理を行う。ポンプ駆動部203は、検知されたカフ圧に基づいて、ポンプ駆動回路320を通してポンプ32と弁33を駆動するための処理を行う。これにより、圧力制御部201は、所定の加圧速度で、押圧カフ21に空気を供給して圧力を制御する。
【0078】
第2の血圧算出部204は、カフ圧に含まれる動脈容積の変動成分を脈波信号として取得し、取得された脈波信号に基づいて、オシロメトリック法による公知のアルゴリズムを適用して血圧値(収縮期血圧SBPと拡張期血圧DBP)を算出する処理を行う。血圧値の算出が完了すると、第2の血圧算出部204は、ポンプ駆動部203の処理を停止させる。
【0079】
出力部205は、算出された血圧値(収縮期血圧SBPと拡張期血圧DBP)を、この例では表示器50に表示するための処理を行う。
【0080】
(動作例)
次に、以上のように構成された血圧計1の動作例を説明する。
図10は、CPU100による制御手順と制御内容を例示するフローチャートである。
なお、ここでは前述した装着手順により血圧計1がユーザの左手首90に装着されたものとして説明を行う。
【0081】
(1)脈波伝播時間(PTT)による血圧推定
ユーザが本体10に設けられた操作部52としてのプッシュ式スイッチによってPTTに基づく血圧測定を指示すると、CPU100は以下のように制御動作を実行する。なお、上記PTTに基づく血圧測定開始指示は、例えばタイマから出力される起動信号等に応じて、CPU100が自動的に発生するように構成することも可能である。
【0082】
すなわち、CPU100は、先ずステップS11において弁33を閉鎖するとともに、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32を駆動して、押圧カフ21に空気を送る制御を行って、押圧カフ21を予め定められた値に加圧する。この例では、ユーザの活動中に血圧計1の装着位置がずれない程度の圧力に、つまりユーザが不快感を覚えず、かつ被測定部位に対する送受信アンテナ対の接触位置がずれない程度の低い圧力(例えば5mmHg程度)に設定する。
【0083】
なお、一実施形態では、先に述べたようにバンド20の基体となる帯状体23の内周面に、適切な高さに設定された凸部20g,20hを形成し、この凸部20g,20h上にアンテナ基板41,42を設置している。このため、送信アンテナ411,421および受信アンテナ412,422をユーザの被測定部位の皮膚面に適切な圧力で当接させることが可能となる。このため、上記ステップS11は省略することもできる。
【0084】
この状態で、CPU100はステップS12により制御回路基板43に対し測定信号の送信開始を指示する。上記指示を受信すると、各送信回路44,46から送信アンテナ411,421に対し測定信号が予め設定された周期で供給される。この結果、例えば図11(A)に示すように、送信アンテナ411,421から上記測定信号に対応する電波E1,E2が被測定部位90に対し送波される。なお、上記測定信号は送信回路44,46から不規則な時間間隔で発生されるようにしてもよく、また連続的に発生されるようにしてもよい。
【0085】
そうすると、上記電波E1,E2の上記被測定部位90内の橈骨動脈91による反射波E1′,E2′が、例えば図11(A)に示すように上記送信アンテナ411,421とそれぞれ対をなす受信アンテナ412,422により受波され、その波形信号が受信回路45,47において検波されかつ増幅されてCPU100へ出力される。
【0086】
CPU100は、上記受信回路45,47から出力された反射波E1′,E2′の受信信号を取り込み、ステップS13においてそれぞれ以下のように脈波信号PS1,PS2を検出する。図11(B)は脈波信号PS1,PS2の検出例を示す図である。
【0087】
すなわち、CPU100は脈波検出部101として働いて、受信回路45の血管拡張期の出力と血管収縮期の出力から、橈骨動脈91の上流側部分91uの脈波を表す脈波信号PS1を検出する。また、CPU100は脈波検出部102として働いて、受信回路47の血管拡張期の出力と血管収縮期の出力から、橈骨動脈91の下流側部分91dの脈波を表す脈波信号PS2を検出する。
【0088】
以上の動作をさらに詳しく説明する。すなわち、血圧計1が装着された状態では、図11(A)に示すように、左手首90の長手方向(バンド20の幅方向Yに相当)に関して、送受信アンテナ対411,412は左手首90を通る橈骨動脈91の上流側部分91uに対向する。一方、送受信アンテナ対421,422は橈骨動脈91の下流側部分91dに対向する。送受信アンテナ対411,412によって検出された信号は、橈骨動脈91の上流側部分91uと送受信アンテナ対411,412との間の、脈波(血管の拡張と収縮をもたらす)に伴う距離の変化を表す。同様に、送受信アンテナ対421,422によって検出された信号は、橈骨動脈91の下流側部分91dと送受信アンテナ対241,422との間の、脈波に伴う距離の変化を表す。第1の脈波センサ40-1の脈波検出部101、第2の脈波センサ40-2の脈波検出部102は、それぞれ受信回路45,47の出力信号に基づいて、それぞれ図11(B)に示すような山形状の波形をもつ第1の脈波信号PS1,第2の脈波信号PS2を時系列で出力する。
【0089】
この例では、受信アンテナ412,422の受信レベルは、約1μW(1mWに対するデシベル値では-30dBm)程度になっている。受信回路45,47の出力レベルは、約1ボルト程度になっている。また、第1の脈波信号PS1および第2の脈波信号PS2のそれぞれのピークA1,A2は、約100mV~1ボルトの程度になっている。
【0090】
CPU100は、次にステップS14において、PTT算出部103として働いて、脈波信号PS1と脈波信号PS2との間の時間差を、脈波伝播時間(PTT)として算出する。より詳しくは、この例では、図11(B)中に示した第1の脈波信号PS1のピークA1と第2の脈波信号PS2のピークA2との間の時間差Δtを脈波伝播時間(PTT)として算出する。なお、脈波伝播時間(PTT)は、第1および第2の脈波信号PS1,PS2のピーク間の時間差Δtに限らず、例えば第1および第2の脈波信号PS1,PS2の各波形の立ち上がりタイミング間の時間差として算出されるようにしてもよい。
【0091】
CPU100は、続いてステップS15において、第1の血圧算出部104として働いて、メモリ51から脈波伝播時間(PTT)と血圧との関係式(対応式とも云う)Eqを読み出す。そして、この対応式Eqと、上記ステップS14で算出された脈波伝播時間(PTT)とに基づいて、血圧値の推定値を算出する。ここで、脈波伝播時間(PTT)と血圧との対応式Eqは、それぞれ脈波伝播時間をDT、血圧をEBPと表すとき、例えば
EBP=α/DT2+β …(Eq.1)
(ただし、α、βはそれぞれ既知の係数または定数を表す)
で示すような、1/DT2の項を含む公知の分数関数として提供される。この対応式は、例えば特開平10-201724号公報に詳しく述べられている。
【0092】
なお、脈波伝播時間と血圧との対応式Eqとしては、その他に、
EBP=α/DT2+β/DT+γDT+δ …(Eq.2)
(ただし、α、β、γ、δはそれぞれ既知の係数または定数を表す)
のように、1/DT2の項に加えて、1/DTの項と、DTの項とを含む式など、公知の別の対応式を用いることができる。
【0093】
上記したようにPTTにより血圧値が推定されると、CPU100は次にステップS16において、上記血圧の推定値を予め設定された血圧の正常範囲を表す閾値と比較し、この閾値で示される範囲を外れているか否かを判定する。そして、上記血圧の推定値が閾値で示される範囲内であれば、操作部52によりPTTによる血圧測定の終了指示が入力されるまで、上記ステップS12による制御を繰り返す。
【0094】
(2)オシロメトリック法を使用した血圧測定
上記ステップS16において上記血圧の推定値が閾値で示される範囲を外れていると判定されると、CPU100はオシロメトリック法を使用した血圧の測定制御を、以下のように実行する。
【0095】
すなわち、CPU100は、先ずポンプ駆動回路320を介してポンプ32をオフし、弁33を開いて、押圧カフ21内の空気を排気する。続いて、圧力センサ31の現時点の出力値を大気圧に相当する値として設定する制御を行う(0mmHg調整)。
【0096】
CPU100は、続いてステップS17において、圧力制御部201のポンプ駆動部203として働いて、弁33を閉鎖し、その後、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32を駆動して、押圧カフ21に空気を送る制御を行う。これにより、押圧カフ21を膨張させるとともにカフ圧を徐々に加圧して、被測定部位としての左手首90を徐々に圧迫してゆく。
【0097】
この加圧過程においてCPU100は、血圧値を算出するために、圧力制御部201の圧力検知部202として働いて、圧力センサ31によってカフ圧をモニタし、左手首90の橈骨動脈91で発生する動脈容積の変動成分を脈波信号として検出する。
【0098】
CPU100は、次にステップS18において、第2の血圧算出部204として働いて、この時点で検出されている脈波信号に基づいて、オシロメトリック法により公知のアルゴリズムを適用して血圧値(収縮期血圧SBPと拡張期血圧DBP)の算出を試みる。そして、血圧値を算出できたか否かをステップS19で判定する。
【0099】
この時点で、データ不足のためにまだ血圧値を算出できない場合には、カフ圧が上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている)に達していない限り、ステップS17~S19の処理を繰り返す。
【0100】
一方、血圧値を算出できたとする。そうすると、CPU100はステップS20によりポンプ32を停止し、弁33を開いて、押圧カフ21内の空気を排気する制御を行う。そして最後にステップS21により、CPU100は出力部205として働いて、血圧値の測定結果を表示器50に表示するとともに、メモリ51に記憶させる。
【0101】
なお、血圧値の算出処理は、加圧過程に限らず、減圧過程において行われてもよい。また、血圧値の測定結果を、表示器50に表示せずに、メモリ51に記憶させるだけにしてもよく、さらには通信部59から予め対応付けられたスマートフォンなどのユーザ端末へ送信し、このユーザ端末において表示するようにしてもよい。さらに、上記血圧の測定結果を表すデータを通信部59またはスマートフォンから家族や医師の端末へ転送するようにしてもよい。
【0102】
また、以上の説明では、PTTによる血圧推定値が閾値により規定される範囲を超えている場合に、オシロメトリック法による血圧測定動作を行う場合を例にとって説明した。しかし、一実施形態では、PTTによる血圧推定動作と、オシロメトリック法を用いた血圧測定動作とを、それぞれ操作部の操作に応じて独立して行うこともできる。
【0103】
(一実施形態の効果)
以上詳述したようにこの発明の一実施形態では、被検者(ユーザ)の左手首90に装着して使用される血圧計1において、バンド20の基体を構成する帯状体23の内周面に、その幅方向(Y方向)の中央部に押圧部材としての押圧カフ21を配置している。またそれと共に、上記帯状体23の内周面と上記押圧カフ21とにより挟まれる位置に、上記帯状体23の幅方向(Y方向)に短冊状をなす共通回路基板を配置し、この共通回路基板の上記押圧カフ21の両側部から露出する部位にそれぞれアンテナ基板41,42を形成し、かつ上記共通回路基板の上記押圧カフ21により隠れる部位、つまり帯状体232と押圧カフ21との間に挟まれる位置に制御回路基板43を形成している。
【0104】
従って、アンテナ基板41,42は、押圧カフ21の押圧面ではなく、バンド20の帯状体23の内周面に直接設置される。このため、押圧カフ21の加圧および減圧が繰り返されても、アンテナ基板41,42に変形や脱落等の設置状態の劣化が生じる心配はなくなり、これにより血圧計1の構造上の信頼性を高く保持することが可能となる。
【0105】
また、血圧計1をユーザの被測定部位90に装着した状態で、アンテナ基板41,42は被測定部位90の皮膚に対し非接触状態を維持する。このため、押圧カフ21の加圧の有無にかかわらず、アンテナ基板41,42が皮膚に押し付けられることはなくなり、その結果ユーザが皮膚に痛み等の不快感を覚える心配は生じず、血圧計1の使用感を高く維持することができる。
【0106】
[変形例]
(1)例えば図12に示すように、アンテナ基板41,42の送受信アンテナ411,412および421,422の設置面上に誘電体材料からなるスペーサ部材413,423を設置するようにしてもよい。スペーサ部材413,423は、例えばシリコーン樹脂のような弾力性を有する樹脂材料により構成され、その高さ寸法はPTTによる血圧測定時において上記スペーサ部材413,423の頂面がユーザの左手首90の皮膚面に小さい圧力で当接する程度の高さに設定される。
【0107】
このように構成すると、アンテナ基板41,42を安定に保持することが可能となり、これにより装置の信頼性をさらに高めることができる。加えて、アンテナ基板41,42とユーザの被測定部位90との間に誘電体材料が介在配置されることにより、送受信アンテナ411~422と被測定部位90との間の空間をなくして、被測定部位90の皮膚面における電波の反射や電波の減衰、外来の混入を低減することが可能となり、これにより脈波の測定品質をさらに高めることが可能となる。
【0108】
(2)前記一実施形態では、各々送受信アンテナ対が設けられた2組のアンテナ基板41,42をバンド20の幅方向Y、つまり橈骨動脈91の長手方向に設置し、これによりPTTによる血圧推定を行う場合を例にとって説明した。しかし、この発明はこの構成に限定されるものではなく、1個の送受信アンテナ対を備えたアンテナ基板を1個のみ設けて、これにより橈骨動脈91の任意の1箇所においてその脈波を検出するように構成してもよい。
【0109】
図13はその構成の一例を示す断面図である。同図に示すように、バンド20の帯状体23の内周面には、共通回路基板により構成される制御回路基板43と1個のアンテナ基板41が設置されている。アンテナ基板41は、押圧カフ21から露出する位置に配置され、制御回路基板43は押圧カフ21により隠れる位置に、つまり押圧カフ21と帯状体23との間に配置される。この点は、前記図5に示した一実施形態の構成と同じである。
【0110】
以上のような構成によれば、アンテナ基板41は、押圧カフ21の押圧面ではなく、バンド20の帯状体23の内周面に直接設置される。このため、押圧カフ21の加圧および減圧が繰り返されても、アンテナ基板41に変形や脱落等の設置状態の劣化が生じる心配はなくなる。従って、血圧計1の構造上の信頼性を高めることができ、また脈波を品質よく確実に測定することが可能となる。
【0111】
(3)アンテナ基板41を1個のみ設けた場合においても、図14に例示するように、アンテナ基板41のアンテナ設置面上に誘電体材料からなるスペーサ部材413を設置するとよい。このように構成すると、図12に示した構成と同様に、アンテナ基板41を安定に保持することが可能となり、これにより装置の信頼性をさらに高めることができる。加えて、アンテナ基板41とユーザの被測定部位90との間に誘電体材料が介在配置されることにより、送受信アンテナ411,412と被測定部位90との間の空間をなくして、被測定部位90の皮膚面における電波の反射や電波の減衰、外来の混入を低減することが可能となり、これにより脈波の測定品質をさらに高めることが可能となる。
【0112】
(4)帯状体23の内周面の幅方向(Y方向)の中央部に、周方向に溝状の凹部を形成し、この凹部内に押圧カフ21を配置するようにしてもよい。このように構成すると、加圧および減圧動作を繰り返す押圧カフ21をより安定して保持することができ、これにより隣接して配置されるアンテナ基板41,42に対し接触などの不具合が生じないようにすることができる。なお、この場合、制御回路基板43は、上記溝の底面に設置してもよいが、バンド20の帯状体23の空きスペースに、つまり押圧カフ21と重ならない位置に配置されるようにしてもよい。
【0113】
(5)前記一実施形態では、複数のアンテナ基板41,42を橈骨動脈91の長手方向(Y方向)に沿って所定の間隔を隔てて配置した場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず、上記アンテナ基板41,42と同一構成を有するアンテナ基板のセットを、橈骨動脈91と直交する方向、つまりバンド20の周方向(X方向)に、所定の間隔を隔てて配置するようにしてもよい。このとき、上記アンテナ基板のセットは1セットでもよいが、複数のセットを上記X方向に所定の間隔を隔てて配置するようにしてもよい。
なお、上記図13に示したようにアンテナ基板41が1個の場合にも、アンテナ基板41を、橈骨動脈91と直交する方向(X方向)に、所定の間隔を隔てて複数個配置するようにしてもよい。
【0114】
以上のように構成すると橈骨動脈91と直交する方向の複数の位置でそれぞれ測定信号および反射信号の送受波が行われる。このため、例えば、ユーザの橈骨動脈91の位置に個人差があっても、また被測定部位に対するバンド20の装着位置がX方向にずれても、上記複数のアンテナ基板のうちの少なくとも1つを動脈に近接させることが可能となり、これにより脈波を品質良く測定することが可能となる。
【0115】
(6)アンテナ基板41,42および制御回路基板43はフレキシブル基板により構成するようにしてもよい。このようにすると、バンド20の厚さをより薄くすることができ、さらにアンテナ基板41,42と制御回路基板43を1枚の共通のフレキシブル基板により構成することが可能となる。また、アンテナ基板には、送信アンテナおよび受信アンテナを保護するための誘電体材料からなる保護膜を被覆または設置するようにしてもよい。このように構成すると、送信アンテナおよび受信アンテナがユーザの皮膚に接触する際の不快感をさらに緩和する効果が期待できる。
【0116】
(7)前記一実施形態では、血圧計1により、生体情報として、脈波信号、脈波伝播時間および血圧値を測定する場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず、脈拍数を測定したり、脈波の波形を分析してユーザの心血管の状態を判定したりユーザの本人認証を行う等、脈波からその他の情報を取得するようにしてもよい。
【0117】
(8)生体情報測定装置は、手首に装着するタイプのもの以外に、上腕部等の他の上肢や、大腿部、足首等の下肢等、その他の部位に装着するものであってもよい。要するに、皮下に動脈が存在しかつ押圧カフにより加圧可能な部位であれば、どの部位に装着するものであってもよい。
【0118】
(9)前記一実施形態では、脈波および押圧カフによる圧力測定から血圧値の算出処理までの一連の処理を全て血圧計1において行う場合を例にとって説明したが、生体情報測定装置では、脈波の測定と、押圧カフの加圧および減圧とその過程における圧力の測定動作のみを行い、これらの各測定値を例えば無線ネットワーク、有線ネットワーク、または記憶媒体を介して、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ等の外部端末に直接又は間接的に送信し、これらの外部端末においてPTTによる血圧値およびオシロメトリック法による血圧値をそれぞれ算出するように構成してもよい。
【0119】
(10)送受信アンテナ対の配置方向は、橈骨動脈91の長手方向(Y方向)と直交する方向(X方向)ではなく、橈骨動脈91の長手方向(Y方向)に配置してもよい。また、送信アンテナおよび受信アンテナのパターンは、方形以外に線状またはループ状であってもよい。さらに、送信アンテナおよび受信アンテナを設置するアンテナ支持部材、および制御回路を設置する制御回路部材は、印刷配線基板に限るものではなく、例えば樹脂材料からなる単なる部材であってもよい。
【0120】
その他、アンテナ支持部材(送受信アンテナ対)の設置数やその設置位置、設置構造、PTTおよびオシロメトリック法による血圧測定制御の手順と制御内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0121】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0122】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0123】
[付記]
上記各実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
(付記1)
生体の動脈(91)を含む被測定部位(90)を取り巻くように装着される、帯状をなすバンド部材(20)と、
前記バンド部材(20)の前記被測定部位(90)と対向する面に配置され、血圧測定時に流体の注入により膨張動作して前記被測定部位(90)を押圧する押圧部材(21)と、
前記バンド部材(20)の前記被測定部位(90)と対向する面のうち前記押圧部材(21)が配置されていない部位に、前記バンド部材(20)が前記被測定部位(90)に装着された状態で当該被測定部位(90)に対し非接触の状態に設置される少なくとも1つのアンテナ支持部材(41),(42)と
を具備し、
前記アンテナ支持部材(41),(42)は、前記被測定部位(90)に対し電波からなる測定信号を送波すると共に当該測定信号の前記被測定部位(90)による反射信号を受波するアンテナ素子(411),(412),(421),(422)を有する、
生体情報測定装置。
【符号の説明】
【0124】
1…血圧計、10…本体、20…バンド、21…押圧カフ、23…帯状体、41,42…アンテナ基板、43…制御回路基板、411,421…送信アンテナ、412,422…受信アンテナ、430…制御回路、90…被測定部位(左手首)、91…橈骨動脈。
図1
図2
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図12
図13
図14