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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】基板検出装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
H05K13/02 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018047446
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019161082
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 和広
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-191029(JP,A)
【文献】特開2006-199483(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035195(WO,A1)
【文献】特開2009-256002(JP,A)
【文献】特開2001-093961(JP,A)
【文献】特開平06-140498(JP,A)
【文献】特開2010-045072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台上の搬送路に沿って基板を搬送する搬送部と、
前記搬送路上に搬送された前記基板又は前記基板を支持する基板支持体に対向する対向面、前記対向面に形成される検出穴、及び、前記検出穴に連なる空気の通路を有する通路形成部材と、
前記通路の空気を媒体として伝達される物理量に基づいて前記基板を検出する検出部と、を備え、
前記通路形成部材は、加圧された空気が流通する加圧通路と、減圧された空気が流通する減圧通路と、を有し、前記通路形成部材の対向面には、前記加圧通路に連なる加圧穴と、前記減圧通路に連なる減圧穴と、が形成されており、
前記加圧穴から噴出された前記空気が前記減圧穴内に吸入されることで、前記通路形成部材の上を通る前記基板と前記対向面との間に前記空気が流通し、
前記検出部は、前記基板が所定の位置に搬送されたことを検出した時には、前記通路内の空気の加圧を停止し、減圧を行う、基板検出装置。
【請求項2】
前記検出穴は、前記対向面における前記搬送路に沿う方向に複数設けられており、
前記検出部は、前記複数の検出穴のうち、前記基板又は前記基板支持体が対向する前記検出穴の位置に応じて異なる物理量に基づいて前記搬送路上における前記基板の位置を検出する請求項1に記載の基板検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記空気の圧力により前記基板を検出する請求項1又は請求項2に記載の基板検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記空気の流量により前記基板を検出する請求項1又は請求項2に記載の基板検出装置。
【請求項5】
前記通路は、前記検出穴に連なる第1通路と、前記第1通路とは交差する方向に延びる第2通路と、を備え、
前記検出部は、前記第2通路内に音波を発生させる音波発生源と、前記第2通路の空気を介して伝搬される音波を検出する音波検出器と、を備える請求項1又は請求項2に記載の基板検出装置。
【請求項6】
前記通路には、加圧された空気が流通する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板検出装置。
【請求項7】
前記通路形成部材は、複数の前記加圧穴と複数の前記減圧穴とが前記基板の搬送方向に間隔を空けて交互に並んでいる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の基板検出装置。
【請求項8】
前記検出部により前記基板が検出されなかったときに報知する報知手段を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板検出装置。
【請求項9】
前記検出部による検出結果に応じて前記基板の搬送速度を検出し、検出した前記搬送速度に応じて前記搬送部を制御する制御手段を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板検出装置。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板検出装置と、前記検出部により所定位置に搬送されたことが検出された前記基板に対して予め決められた処理を行う処理実行部と、を備える基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、搬送部により搬送される基板を検出する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送部により搬送される基板の有無を検出可能な技術が知られている。特許文献1のスクリーン印刷装置は、投光部と、この投光部から投光された光のうち、反射部によって反射された光を受光する受光部とを有する反射型の基板検出センサを備えている。搬送コンベアで搬送された基板が基板停止位置に至ると、投光部から投光された光は基板によって遮光されて受光部に受光されないため、投光部から投光された光が受光部に受光されるか否かによって基板の有無が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-93765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、光の投受光により搬送路上の基板の有無を検出する構成では、投光部から投光された光が基板により遮光される必要があるため、原理的に基板が透明である場合には基板を検出できないという問題がある。
【0005】
本明細書に記載された技術は、基板が透明であっても搬送路上の基板を検出することが可能な基板検出装置及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された基板検出装置は、基台と、前記基台上の搬送路に沿って基板を搬送する搬送部と、前記搬送路上に搬送された前記基板又は前記基板を支持する基板支持体に対向する対向面、前記対向面に形成される検出穴、及び、前記検出穴に連なる空気の通路を有する通路形成部材と、前記通路の空気を媒体として伝達される物理量に基づいて前記基板を検出する検出部と、を備える。
【0007】
本構成によれば、基板や基板支持体が検出穴に対向する場合と、基板や基板支持体が検出穴に対向しない場合とで、通路内の空気を媒体として検出部に伝達される物理量が変化するため、基板が透明であっても、通路内の空気を媒体として検出部に伝達された物理量に応じて搬送路上における基板の有無を検出することが可能になる。
【0008】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記検出穴は、前記対向面における前記搬送路に沿う方向に複数設けられており、前記検出部は、前記複数の検出穴のうち、前記基板又は前記基板支持体が対向する前記検出穴の位置に応じて異なる物理量に基づいて前記搬送路上における前記基板の位置を検出する。
このようにすれば、基板の有無だけでなく、基板の位置を検出することができる。
【0009】
前記検出部は、前記空気の圧力により前記基板を検出する。
前記検出部は、前記空気の流量により前記基板を検出する。
【0010】
前記通路は、前記検出穴に連なる第1通路と、前記第1通路とは交差する方向に延びる第2通路と、を備え、前記検出部は、前記第2通路内に音波を発生させる音波発生源と、前記第2通路の空気を介して伝搬される音波を検出する音波検出器と、を備える。
このようにすれば、検出部により空気の圧力や流量を検出しなくても基板を検出することが可能になる。
【0011】
前記通路には、加圧された空気が流通する。
このようにすれば、空気の力で基板や基板支持体を通路形成部材の対向面に倣わせることができるため、基板や基板支持体に反りが生じていても安定した搬送が可能になる。
【0012】
前記通路形成部材は、加圧された空気が流通する加圧通路と、減圧された空気が流通する減圧通路と、を有し、前記通路形成部材の対向面には、前記加圧通路に連なる加圧穴と、前記減圧通路に連なる減圧穴と、が形成されている。
このようにすれば、基板と対向面との間を流通する空気により、基板や基板支持体と通路形成部材の対向面との間の過度な密着が緩和され、一定のギャップを保つことができるため、基板や基板支持体と通路形成部材の対向面との間のすべり抵抗を小さくすることができ、安定した基板の搬送が可能になる。また、一定のギャップを保つことで、圧力応答、流量応答、周波数応答等が安定するため、基板の検出の精度を高めることが可能になる。
【0013】
前記通路形成部材は、複数の前記加圧穴と複数の前記減圧穴とが前記基板の搬送方向に間隔を空けて交互に並んでいる。
このようにすれば、基板と通路形成部材の対向面との間に流通する空気について、基板の位置における圧力のばらつきを抑制することができる。
【0014】
前記検出部は、前記基板が所定の位置に搬送されたことを検出した時には、前記通路内の空気の加圧を停止し、減圧を行う。
このようにすれば、搬送した基板を所定の位置に保持することができる。
【0015】
前記検出部により前記基板が検出されなかったときに報知する報知手段を備える。
このようにすれば、作業者に基板の搬送に異常が生じたことを知らせることができる。
【0016】
前記検出部による検出結果に応じて前記基板の搬送速度を検出し、検出した前記搬送速度に応じて前記搬送部を制御する制御手段を備える。
このようにすれば、搬送部により搬送される基板の速度が予め設定されている速度とは異なる場合には、検出部により検出した実際の基板の速度により搬送部の速度を補正すること可能になる。
【0017】
前記基板検出装置と、前記検出部により所定位置に搬送されたことが検出された前記基板に対して予め決められた処理を行う処理実行部と、を備える基板処理装置とする。
このようにすれば、基板検出装置の検出結果に基づいて、基板に対して予め決められた電子部品の実装、半田ペーストの塗布、接着剤の塗布、基板検査等の処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書に記載された技術によれば、基板が透明であっても搬送路上の基板を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1の表面実装機を示す平面図
図2】表面実装機の断面図
図3】基板がバックアップ装置によりバックアップされた状態を示す表面実装機の断面図
図4】通路形成部材を示す斜視図
図5】通路形成部材を示す分解斜視図
図6】通路形成部材を示す平面図
図7図6のA-A断面図
図8】圧力センサ等による基板の検出を説明するための図
図9】音波を利用した基板の検出を説明するための図
図10】基板の位置による音波の変化を説明するための図
図11】表面実装機の電気的構成を示す図
図12】表面実装機の動作を示すフローチャート
図13】実施形態2の 通路形成部材上に基板が搬送された状態を示す図
図14図13に対して搬送速度の検出のために基板表面に検出溝を設けた図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
1.表面実装機10の全体構成
実施形態の表面実装機10(「基板処理装置」の一例)について図1図12を参照しつつ説明する。以下の説明では、基台11の長辺方向(図1の左右方向)及び搬送コンベア12の搬送方向をX軸方向とし、基台11の短辺方向(図1の上下方向)をY軸方向とし、基台11の高さ方向(図2の上下方向)をZ軸方向とする。図1は表面実装機10の平面図である。
【0021】
表面実装機10は、図1に示すように、基台11と、プリント基板(「基板」の一例。以下では「基板P」と示す)を搬送方向(X軸方向)に搬送する一対の搬送コンベア12(「搬送部」の一例)と、一方の搬送コンベア12の脇に配され、内部に空気が流通する通路が形成された通路形成部材30と、電子部品Bを吸着して基板P上に実装するヘッドユニット50とを備えている。基台11は、平面視長方形状をなし、平坦な上面を有する。
【0022】
搬送コンベア12は、基板Pを基台11上の搬送路LCに沿って搬送するものであって、図2に示すように、Y軸方向に向かい合う一対の側壁体13と、搬送方向に沿って循環駆動する一対の搬送ベルト14とを備えている。基板Pは、両搬送ベルト14に架設する形でセットされる。搬送ベルト14は、一対のローラ16を掛け渡して取り付けられている。基板Pは、搬送方向の一方側(図1の右側)からコンベアモータ15(図11参照)の作動により循環駆動する搬送ベルト14に沿って基台11上において実装作業が行われる実装位置に搬入される。そして、この実装位置に停止した状態で電子部品Bの実装作業がされた後、搬送ベルト14に沿って他方側(図1の左側)に搬出される。一対の搬送コンベア12のうちの一方の内側の隣接する位置には、通路形成部材30が取り付けられている。
【0023】
通路形成部材30は、X軸方向に延びる角筒状であって、搬送される基板Pの下側に配されており、図5図7に示すように、通気路本体31と、通気路本体31を覆う蓋部35とを有する。通気路本体31は、上方側が開放されており、左右に並んだ3つの通気溝32A~32Cが通気路本体31の全長に延びている。3つの通気溝32A~32Cのうち、真ん中の検出溝32Bは、空気を伝達媒体として基板Pを検出するために設けられており、左右方向の一方側の加圧溝32Aは、圧縮機75で加圧された空気が流通するために設けられており、左右方向の他方側の減圧溝32Cは、真空ポンプ76で減圧された空気が流通するために設けられている。通気路本体31が蓋部35で覆われると3本の空気の通路30A~30Cが形成される。
【0024】
加圧溝32A及び減圧溝32Cは、例えば、通路形成部材30の端部(通気溝32A~32Cの端部)に接続された図示しないホース又は配管を介してそれぞれ圧縮機75及び真空ポンプ76に接続されている。
【0025】
蓋部35は、第1蓋体36~第3蓋体38が重ねられて構成されている。各蓋体36~38は、共に帯状に延びる平板状であって、下側の第1蓋体36は、それぞれ加圧溝32A及び減圧溝32Cに連通する2列の貫通穴36A,36Cが等間隔に並んで設けられている。真ん中の第2蓋体37は、斜めに延びる貫通穴37Aが並行に並んで設けられている。上側の第3蓋体38は、第1蓋体36の半分の間隔で二倍の数の貫通穴38A,38Cが2列に並んで設けられている。第3蓋体38の上面は、搬送路LC上に搬送された基板Pに対向する対向面39とされる。対向面39の貫通穴38A,38Cは、加圧された空気が上方に排出される加圧穴38Aと、上方の空気を減圧する減圧穴38Cとされる。2列の貫通穴38A,38Cは、各列ごとに、加圧穴38Aと減圧穴38Cとは前後方向に交互に並んで配置されている。また、対向面39には、基板Pの有無を検出するための空気が流通する検出穴38Bが形成されており、検出穴38Bは、2列の貫通穴38A,38Cの間に所定間隔ごとに配置されている。第1蓋体36及び第2蓋体37には、図7に示すように、検出穴38Bに連なる貫通穴36B,37Bが形成されている。
【0026】
通路形成部材30は、通気路本体31上に第1蓋体36~第3蓋体38が積層されることにより検出溝32Bに、貫通穴36B,37B及び検出穴38Bに連なり、空気の通路30Bが形成される。また、加圧溝32Aは、貫通穴36A,37A及び加圧穴38Aに連なる空気の加圧通路30Aを形成し、減圧溝32Cは、貫通穴36C,37A及び減圧穴38Cに連なる空気の減圧通路30Cを形成する。通路形成部材30には、通路30Bの空気を媒体として伝達される物理量を受信するセンサ41が取り付けられている。
【0027】
センサ41は、例えば、圧力センサ、流量センサ等を用いることができる。センサ41の取付位置は、例えば、図8に示すように、通路30Bに貫通形成された通気穴43を介して連通した通路形成部材30の外部に取り付けることができる。なお、図8では、第2蓋体37及び第3蓋体38を設けず、第1蓋体36の上面を基板Pに対向する対向面42としている。
【0028】
ここで、基板Pを検出する検出部40として、上記したセンサ41に限られず、図9に示すように、音波発生源45及び音波検出器46を用いて音波の変化を利用してもよい。具体的には、通路形成部材30の通路30Bは、検出穴38Bに連なる第1通路33と、第1通路33とは交差する方向に延びる第2通路34と、を備える。第2通路34の一端側には、音波を発生する音波発生源45が設けられ、第2通路34の他端側には、音波を検出する音波検出器46が設けられる。なお、図9では、第2蓋体37及び第3蓋体38を設けず、第1蓋体36の上面を基板Pに対向する対向面42としている。音波発生源45は、例えば、リード(楽器)、スピーカー、圧電振動子等を用いることができる。音波検出器46としては、マイクロホン等の集音器や圧電センサを用いることができる。このようにすれば、基板Pの位置により、基板Pによって塞がれる(基板が対向する)貫通穴36B(検出穴)の位置が異なるため、通路30Bと、貫通孔36Bとによって形成される音波が伝わる領域の共振周波数が変化する。この結果、検出される波長及び周波数が変化する。これにより、図10(A),(B)に示すように、基板Pが貫通穴36B(検出穴38B)の塞いだ状態の共振周波数が変化し、音波WA2は、音波WA1よりも波長が長くなっている(周波数が低くなっている)。
【0029】
図1に示すように、搬送コンベア12の両側(図1の上下両側)には、X軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所にフィーダ型供給装置18が配されている。フィーダ型供給装置18には、複数のフィーダ19が横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ19は、複数の電子部品Bが収容された電子部品供給テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及びリールから電子部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等を備えており、搬送コンベア12側に位置する端部から電子部品Bが一つずつ供給されるようになっている。供給された電子部品Bは、実装位置にてバックアップ装置20によりバックアップされた基板P上に実装される。
【0030】
バックアップ装置20は、図2図3に示すように、基台11の中央部に取り付けられており、多数個のバックアップピン22を起立状態に保持したバックアッププレート21と、バックアッププレート21を昇降させる昇降軸26を備えた昇降装置25とから構成されている。バックアッププレート21は昇降装置25の作動により、図2に示す下降位置と、図3に示す上昇位置とに変位可能となっている。バックアッププレート21を下降位置に位置させると、搬送コンベア12上を搬送される基板Pの下方において、各バックアップピン22が、基板Pから所定距離隔てた離間状態となる。バックアッププレート21を上昇位置に移動させると、バックアップピン22が基板Pを下から持ち上げてバックアップしつつ、実装位置に停止した基板Pを側壁体13の上部に取り付けられたガイド片28との間に挟み付けて保持する。
【0031】
ヘッドユニット50には、図1に示すように、電子部品Bの実装動作を行う実装用ヘッド51が列状をなして複数個搭載されている。各実装用ヘッド51の先端には電子部品Bを負圧によって吸着する吸着ノズルがそれぞれ設けられている。基台11上であって搬送コンベア12のY方向の両側には、部品認識カメラ29が一対設置されている。この部品認識カメラ29は、実装用ヘッド51の吸着ノズルにより吸着保持された電子部品Bを撮影するためのものである。
【0032】
2.表面実装機10の電気的構成
表面実装機10は、図11に示すように、実装機本体10A内に、全体を制御するコントローラ60を備える。コントローラ60は、CPU等により構成される演算処理部61、記憶部62、検出処理部63、モータ制御部64、画像処理部65、及び入出力部66を備えている。実装機本体10Aの外部には、ユーザが操作可能な操作部68及びディスプレイ等のユーザが視認可能な表示部69が設けられており、演算処理部61は、操作部68及び表示部69に接続されている。
【0033】
記憶部62には表面実装機10の実装動作を制御するための実装プログラム、及び、搬送コンベア12等を制御するための各種データが格納されている。また、演算処理部61が各種演算を行う際の情報を一時記憶させておくための作業領域が割り当てられている。
【0034】
また、記憶部62には、検出処理部63に伝達された基板Pの検出情報に基づき、基板Pの有無や位置を判断するためのデータが記憶されている。具体的には、予め基板Pの位置に応じてセンサ41等の検出部40で検出される検出信号の波形(波長、周波数、波高値等)を学習させておき、検出信号の波形と基板Pの位置との関係の検出データを記憶する。
【0035】
検出処理部63は、入出力部66を介してセンサ41から現在の検出信号が入力されるとともに、記憶部62に記憶された過去の検出信号の波形と基板Pの有無や位置との関係の検出データを読み出し、検出信号と検出データとの関係により各検出穴38Bの位置における基板Pの有無や基板Pの位置を判断する。検出処理部63は、センサ41と共に、基板Pを検出する検出部40を構成する。
【0036】
モータ制御部64は演算処理部61の指令の下、各モータ71~74を通電制御するものであり、搬送コンベア12を駆動するためのコンベアモータ15と、電子部品Bの実装作業を行うためのX軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73及びR軸モータ74が電気的に接続されている。画像処理部65には、部品認識カメラ29に電気的に接続されている。入出力部66には圧縮機75、真空ポンプ76及びセンサ41が電気的に接続されている。
【0037】
3.表面実装機10の動作
図12に示すように、ユーザにより操作部68が操作されると、コントローラ60は、圧縮機75及び真空ポンプ76に駆動信号を出力し、圧縮機75及び真空ポンプ76を駆動する(S1)。また、搬送コンベア12に駆動信号を出力し、搬送コンベア12を循環駆動する(S2)。圧縮機75及び真空ポンプ76が駆動すると、加圧穴38Aから加圧された空気が噴出され、減圧穴38C内に負圧が生じ、減圧穴38C内に空気が吸入される。搬送コンベア12が駆動すると、搬送路LC上の基板Pが搬送方向に搬送される。基板Pが通路形成部材30の上を通ると、基板Pは、通路形成部材30の対向面39(上面)に対して空気が流通する隙間を空けた状態で搬送され、基板Pと対向面39との間のすべり抵抗が少なくなる。
【0038】
そして、通路形成部材30の対向面39上を移動する基板Pは、検出穴38Bの上を通ると複数の検出穴38Bを順番に覆っていく。検出穴38B内の空気は、検出穴38Bの上を基板Pが通らず、開放された状態では、大気圧とほぼ同じとされているが、検出穴38Bの上を基板Pが通ると、検出穴38Bが基板Pにより覆われるため、検出穴38Bに連なる通路30B内の気圧及び空気の流れが変化する。これにより、通路30B内の空気を媒体としてセンサ41に伝達される物理量(圧力、流量、周波数等)が変化し、センサ41からの検出信号を受けた検出処理部63は、記憶部62に記憶された検出データに基づき基板Pの位置を検知し、基板Pが電子部品Bを実装する実装位置まで移動したか否かを判断する(S3)。基板Pが実装位置に到達していないと判断したときには(S3で「NO」)、検出処理部63は、記憶部62に記憶されている所定時間(予め設定した基板Pが実装位置に到達しているべき時間)が経過した後に(S9で「YES」)、表示部69の表示や音声等により、基板P検出の異常を報知し(S10)、搬送コンベア12の駆動を停止する(S11)。
【0039】
S3にて、検出処理部63は、基板Pが実装位置に到達したと判断したときには(S3で「YES」)、搬送コンベア12及び圧縮機75を停止し、真空ポンプ76の駆動を継続する(S4)。これにより、基板Pの搬送が停止されるとともに、真空ポンプ76の駆動により基板Pの位置が実装位置に保持される。
【0040】
次に、検出処理部63は、基板Pの所定の移動距離及び所定の移動距離の移動にかかる時間に基づいて搬送速度を検知し(S5)、基板Pの搬送速度が予め設定されている速度に対して所定範囲内の速度が検出されているか否かを判断する(S6)。具体的な基板Pの搬送速度の検知は、例えば、図10の複数の検出穴38Bのうち、1つの上流側の検出穴38B上を基板が通過したこと検出してから、下流側の検出穴38B上を通過するまでの時間と、この時間での基板の移動距離である上流側の検出穴38Bと下流側の検出穴38Bの距離とから搬送速度を求めることができる。そして、基板Pの搬送速度が設定されている速度に対して所定範囲内の速度と判断した場合には(S6で「YES」)、電子部品Bの実装作業を行う(S7)。一方、基板Pの搬送速度が設定されている速度に対して所定範囲内の速度でないと判断した場合には(S6で「NO」)、基板Pの搬送速度に所定以上の誤差を生じているため、誤差に応じて補正した搬送コンベア12の速度を記憶部62に記憶し(S12)、電子部品Bの実装作業を行う(S7)。電子部品Bの実装作業では、バックアップ装置20を作動する。これにより、基板Pがバックアップされ、各種モータ71~74を駆動してバックアップされた基板Pに対する電子部品Bの実装作業を行う。実装作業が完了すると、バックアップ装置20が基板Pを下降させる。そして、圧縮機75,真空ポンプ76及び搬送コンベア12を駆動して部品実装済みの基板Pを搬出する(S8)。
【0041】
4.本実施形態の作用、効果
表面実装機10(基板処理装置)は、基台11と、基台11上の搬送路LCに沿って基板Pを搬送する搬送コンベア12(搬送部)と、搬送路LC上に搬送された基板Pに対向する対向面39(42)、対向面39(42)に形成される検出穴38B(36B)、及び、検出穴38B(36B)に連なる空気の通路30A~30Cを有する通路形成部材30と、通路30A~30Cの空気を媒体として伝達される物理量に基づいて基板Pを検出する検出部40と、を備える。
本実施形態によれば、基板Pが検出穴38B(36B)に対向する場合と、基板Pが検出穴38B(36B)に対向しない場合とにより、通路30A~30Cの通路の空気を媒体として検出部40に伝達される物理量が変化するため、空気を媒体として検出部40に伝達された物理量に応じて搬送路LC上における基板Pの有無を検出することが可能になる。これにより、例えば光学的なセンサを用いる場合のように、基板Pが透明な場合や、基板Pの形状(基板の反り)等により、基板に投光した光が基板P上で乱反射することがないため、基板Pの検出精度を向上させることが可能になる。
【0042】
また、検出穴38Bは、対向面39における搬送路LCに沿う方向に複数設けられており、検出部40は、複数の検出穴38Bのうち、基板Pが対向する検出穴38Bの位置に応じて異なる物理量に基づいて搬送路LC上における基板Pの位置を検出する。
このようにすれば、複数の検出穴38Bにより、検出部40で検出される物理量を変化させることができるため、基板Pの有無だけでなく、基板Pの位置を検出することができる。
【0043】
また、通路30Bは、検出穴38B(36B)に連なる第1通路33と、第1通路33とは交差する方向に延びる第2通路34と、を備え、検出部40は、第2通路34内に音波を発生させる音波発生源45と、第2通路34の空気を介して伝搬される音波を検出する音波検出器46と、を備える。
このようにすれば、検出部40により空気の圧力や流量を検出しなくても基板Pを検出することが可能になる。
【0044】
また、通路30A~30Cには、加圧された空気が流通する。
このようにすれば、空気の力で基板Pを通路形成部材30の対向面39に倣わせることができるため、基板Pに反りが生じていても安定した搬送が可能になる。
【0045】
また、通路形成部材30は、加圧された空気が流通する加圧通路30Aと、減圧された空気が流通する減圧通路30Cと、を有し、通路形成部材30の対向面39には、加圧通路30Aに連なる加圧穴38Aと、減圧通路30Cに連なる減圧穴38Cと、が形成されている。
このようにすれば、基板Pと対向面39との間を流通する空気により、基板Pと対向面39との間の過度な密着が緩和され、基板Pと対向面39との間に一定のギャップを保つことができるため、安定した基板Pの搬送が可能になる。また、基板Pと対向面39との間に一定のギャップを保つことで、圧力応答、流量応答、周波数応答等が安定するため、基板Pの検出の精度を高めることが可能になる。
【0046】
また、通路形成部材30は、複数の加圧穴38Aと複数の減圧穴38Cとが基板Pの搬送方向に間隔を空けて交互に並んでいる。
このようにすれば、基板Pと通路形成部材30の対向面39との間に流通する空気について、基板Pの位置における圧力のばらつきを抑制することができる。
【0047】
また、検出部40は、基板Pが実装位置(所定の位置)に搬送されたことを検出した時には、通路30A,30C内の空気の加圧を停止し、減圧を行う。
このようにすれば、搬送した基板Pを実装位置に保持することができる。
【0048】
また、検出部40により基板Pが検出されなかったときに報知する表示部69(報知手段)を備える。
このようにすれば、作業者に基板Pの搬送に異常が生じたことを知らせることができる。
【0049】
また、検出部40による検出結果に応じて基板Pの搬送速度を検出し、検出した搬送速度に応じて搬送コンベア12(搬送部)を制御するコントローラ60(制御手段)を備える。
このようにすれば、搬送コンベア12により搬送される基板Pの速度が予め設定されている速度とは異なる場合には、検出部40により検出した実際の基板Pの速度により搬送コンベア12の速度を補正すること可能になる。
【0050】
表面実装機10(基板処理装置)は、基台11、搬送コンベア12、通路形成部材30及び検出部40を有する基板検出装置と、検出部40により所定位置に搬送されたことが検出された基板Pに対して予め決められた処理を行うコントローラ60(処理実行部)とを備える。
このようにすれば、基板検出装置の検出結果に基づいて、基板Pに対して予め決められた電子部品Bの実装、半田ペーストの塗布、接着剤の塗布、基板P検査等の処理を行うことができる。
【0051】
<実施形態2>
実施形態2について、図13図14及び図11を参照しつつ説明する。実施形態1の通路形成部材30は、検出用の通路30Bと、加圧及び減圧用の通路30A,30Cとを別々に構成したが、実施形態2では、通路形成部材80の通路81,82は、検出用の通路と加圧又は減圧用の通路との一部を共用するものである。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
通路形成部材80の通路81,82は、通路形成部材80の上下方向に貫通形成された検出用通路81と、検出用通路81に対して分岐し、基板Pの搬送方向に沿って延びる送風用通路82とを有する。検出用通路81は、対向面80Aに貫通形成された検出穴38Bと、対向面80Aとは反対側の下面80Bとの間に貫通形成されている。下面80Bには、センサ41が取り付けられている。
【0053】
送風用通路82における外部に露出する開口82Aには、圧縮機75が接続されており、送風用通路82には、圧縮機75により加圧された空気が流通する。通路形成部材80の対向面80A上を移動する基板Pは、検出穴38Bの上を通ると検出穴38Bを覆って基板Pと対向面80Aとの間に空気が流通する。検出穴38Bに連なる通路81内の空気は、検出穴38Bの上を基板Pが通らず、開放された状態では、大気圧とほぼ同じとされるが、検出穴38Bの上を基板Pが通ると、基板Pにより検出穴38Bが覆われ、基板Pと対向面80Aとの間を流通する空気の影響を受けて、通路81,82の気圧及び空気の流れが変化する。これにより、空気を媒体としてセンサ41に伝達される物理量(圧力、流量、周波数等)が変化し、センサ41からの検出信号を受けた検出処理部63は、基板Pの有無を検出することができる。
【0054】
図13では、1つの検出穴38Bが図示されているが、これに限られず、通路形成部材80には、複数の検出穴38Bが搬送方向に並んでいるようにしてもよい。また、通路82には真空ポンプ76を接続してもよく、この場合、例えば、基板Pが実装位置に移動したときには、通路82に減圧された空気を流通させて基板Pの位置を保持するようにしてもよい。
ここで、検出穴38Bが1つの場合であり、基板Pが検出穴38Bに到達して一定の速度で検出穴38Bを通過するときの基板Pの搬送速度の検出は、次のようにすることができる。例えば、基板Pが検出穴38Bに到達し、基板有りが検出されてから基板Pが搬送されて基板Pが検出穴38Bを通過し、基板無しが検出されるまでの時間T1及び基板Pの搬送方向の寸法L1を用いて、基板の寸法L1÷時間T1から搬送速度を算出することができる。又は、図14に示すように、通路形成部材80の対向面80Aに、基板搬送方向に沿って延びる検出溝83を検出穴38Bに連通するように形成し、予め基板Pを検出溝83上で搬送させて、基板Pの位置と検出圧力との関係を確認し、この関係と基板Pの搬送時の検出圧力の変化とから基板Pが異なる2つの位置に到達したそれぞれの時点を検出し、それぞれの時点の時間差T2と2つの位置の距離L2とを用いて、距離L2÷時間差T2から基板Pの搬送速度を算出するようにしてもよい。
実施形態2によれば、実施形態1と比較して通路81,82の一部を共用することができるため、通路形成部材80の構成を簡素化することが可能になる。
【0055】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、基板処理装置として表面実装機10としたが、これに限られず、例えば、基板Pに半田ペーストを印刷する印刷機や、基板P上に接着剤を塗布する塗布装置としてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態では、基板Pを検出する構成としたが、上面に載置された基板Pを支持して基板Pと共に移動する例えば板状或いはブロック状の治具を基板支持体とし、この基板支持体を検出する構成としてもよい。
【0057】
(3)センサ41や音波検出器46の位置は、上記実施形態の位置に限られず、異なる位置に設けることができる。例えば通路30B,82の内部にセンサ41や音波検出器46を設けてもよい。
(4)基板Pは、リジッド基板に限られず、フレキシブル基板としてもよい。
【0058】
(5)通路形成部材30,80の位置、形状、大きさは適宜変更することができる。例えば、バックアップ装置20に代えて通路形成部材を設けてもよく、通路形成部材の通路の減圧穴により基板Pを吸着し、通路形成部材にバックアップ装置(吸着ステージ)の機能を持たせるようにしてもよい。
(6)複数の検出手段を組み合わせて基板Pの位置を検出してもよい。例えば、空気を媒体とする検出部以外の検出手段(例えば光電センサによる基板の検出)を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10:表面実装機(基板処理装置)、11:基台、12:搬送コンベア(搬送部)、30,80:通路形成部材、30A~30C,81,82:通路、36B:貫通孔(検出穴)、39,42,80A:対向面、38A:加圧穴、38B: 検出穴、38C:減圧穴、40:検出部、41:センサ(検出部)、45:音波発生源(検出部)、46:音波検出器(検出部)、60:コントローラ(制御手段、処理実行部)、63:検出処理部(検出部)、75:圧縮機、76:真空ポンプ、P:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14