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特許7102186発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法
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  • 特許-発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法 図1
  • 特許-発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/00 20190101AFI20220711BHJP
   C12G 3/06 20060101ALI20220711BHJP
   C12C 5/02 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C12G3/00
C12G3/06
C12C5/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018059596
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019170174
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 隆一
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-520413(JP,A)
【文献】特開2005-013150(JP,A)
【文献】特開2014-140352(JP,A)
【文献】特開2016-082896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G、C12C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ppm以上、290ppm以下のユッカ抽出物と、5ppm以上、590ppm以下のキラヤ抽出物とを含む、発泡性アルコール飲料。
【請求項2】
NIBEM値が30以上である、請求項1に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項3】
非発酵飲料である、請求項1又は2に記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項4】
非麦類飲料である、請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項5】
果汁を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡性アルコール飲料。
【請求項6】
発泡性アルコール飲料の製造方法であって、
前記発泡性アルコール飲料における含有量が1ppm以上、290ppm以下となるようにユッカ抽出物を添加することと、
前記発泡性アルコール飲料における含有量が5ppm以上、590ppm以下となるようにキラヤ抽出物を添加することと、
を含む、発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項7】
NIBEM値が30以上の前記発泡性アルコール飲料を製造する、
請求項6に記載の発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項8】
麦類を使用することなく、前記発泡性アルコール飲料を製造する、
請求項6又は7に記載の発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項9】
果汁を添加することを含む、
請求項6乃至8のいずれかに記載の発泡性アルコール飲料の製造方法。
【請求項10】
発泡性アルコール飲料の製造において、前記発泡性アルコール飲料における含有量が1ppm以上、290ppm以下となるようにユッカ抽出物を添加するとともに、前記発泡性アルコール飲料における含有量が5ppm以上、590ppm以下となるようにキラヤ抽出物を添加することにより、前記ユッカ抽出物及び前記キラヤ抽出物を添加しない場合に比べて、前記発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サポニンを0.0001~0.01重量%含む炭酸ガス含有飲料であって、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムから選択される1種以上の起泡剤又は泡保持剤を含むことを特徴とする炭酸ガス含有飲料について記載されている。
【0003】
特許文献2には、サポニン類を含有する植物抽出物及び希少糖類が配合されたサポニン類含有飲料であって、飲料中のサポニン類の合計含有量(wt%)[S]が1.0×10-4~3.5×10-2の範囲であると共に、希少糖類の含有量(wt%)[R]に対する上記サポニン類の含有量[S]の比、[R]/[S]が5.7~1500の範囲であることを特徴とするサポニン類含有飲料について記載されている。
【0004】
特許文献3には、炭酸ガスを圧入して製造する炭酸飲料の製造において、炭酸飲料原料に消泡剤と、飲料全量に対して、0.01~0.5重量%の起泡剤とを併用して添加し、炭酸飲料製造時及び飲用開栓時の噴きこぼれ抑制と泡のはじけ感を保持させた高味覚容器詰め炭酸飲料について記載されている。
【0005】
特許文献4には、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物の複合組成物及び乳酸菌を含有することを特徴とする飲食品について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-011200号公報
【文献】特開2015-035970号公報
【文献】特開2014-087359号公報
【文献】特開2007-082403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、本発明の発明者は、発泡性アルコール飲料の泡特性に加えて、香味をも向上させるための技術的手段について、鋭意検討を重ねた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、香味が効果的に向上した発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料は、ユッカ抽出物と、キラヤ抽出物とを含む。本発明によれば、香味が効果的に向上した発泡性アルコール飲料が提供される。
【0010】
前記発泡性アルコール飲料は、1ppm以上、290ppm以下の前記ユッカ抽出物を含むこととしてもよい。また、前記発泡性アルコール飲料は、5ppm以上、590ppm以下の前記キラヤ抽出物を含むこととしてもよい。また、前記発泡性アルコール飲料は、NIBEM値が30以上であることとしてもよい。また、前記発泡性アルコール飲料は、非発酵飲料であることとしてもよい。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法は、ユッカ抽出物を添加することと、キラヤ抽出物を添加することと、を含む。本発明によれば、香味が効果的に向上した発泡性アルコール飲料の製造方法が提供される。
【0012】
また、前記発泡性アルコール飲料の製造方法において、前記発泡性アルコール飲料における含有量が1ppm以上、290ppm以下となるように前記ユッカ抽出物を添加することとしてもよい。また、前記発泡性アルコール飲料の製造方法において、前記発泡性アルコール飲料における含有量が5ppm以上、590ppm以下となるように前記キラヤ抽出物を添加することとしてもよい。また、前記発泡性アルコール飲料の製造方法において、NIBEM値が30以上の前記発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法は、発泡性アルコール飲料の製造において、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを添加することにより、前記ユッカ抽出物及び前記キラヤ抽出物を添加しない場合に比べて、前記発泡性アルコール飲料の香味を向上させる。本発明によれば、発泡性アルコール飲料の香味を効果的に向上させる方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、香味が効果的に向上した発泡性アルコール飲料及びその製造方法並びに発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る実施例1において発泡性アルコール飲料を評価した結果を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る実施例2において発泡性アルコール飲料を評価した結果を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係る実施例3において発泡性アルコール飲料を評価した結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0017】
本実施形態に係る発泡性アルコール飲料(以下、「本飲料」ということがある。)は、ユッカ抽出物と、キラヤ抽出物と、を含む。また、本実施形態に係る発泡性アルコール飲料の製造方法(以下、「本製法」ということがある。)は、ユッカ抽出物を添加することと、キラヤ抽出物を添加することと、を含む。
【0018】
すなわち、本発明の発明者は、発泡性アルコール飲料の泡特性に加えて、香味をも向上させるための技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、後述のとおり、意外にも、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを併用することにより、泡特性が向上するのみならず、従来にない香味が付与されることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
したがって、本実施形態は、発泡性アルコール飲料の製造において、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを添加することにより、当該ユッカ抽出物及び当該キラヤ抽出物を添加しない場合に比べて、当該発泡性アルコール飲料の香味を向上させる方法をも含む。
【0020】
すなわち、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを添加して製造された発泡性アルコール飲料の香味は、当該ユッカ抽出物及び当該キラヤ抽出物を添加しないこと以外は同一の方法で製造された発泡性アルコール飲料のそれに比べて、効果的に向上する。
【0021】
具体的に、後述の実施例において示されるように、発泡性アルコール飲料がユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを含むことにより、当該発泡性アルコール飲料には、当該ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)が効果的に付与される。
【0022】
また、発泡性アルコール飲料がキラヤ抽出物を含む場合、当該発泡性アルコール飲料は当該キラヤ抽出物に由来する好ましくない香味(例えば、エグ味)を有することとなるが、発泡性アルコール飲料が当該キラヤ抽出物に加えてユッカ抽出物をも含むことにより、当該好ましくない香味が効果的に低減される。
【0023】
また、発泡性アルコール飲料がユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを含むことにより、当該発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、特に、泡のきめ細かさ、及び/又は泡立ち特性)が効果的に向上する。また、発泡性アルコール飲料がユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを含むことにより、アルコール臭が効果的に低減される。
【0024】
ユッカ抽出物は、リュウゼツラン科ユッカ属の植物(すなわち、ユッカ)の抽出により得られる組成物である。具体的に、ユッカ抽出物は、ユッカの根、茎、葉、花、種子及び果実からなる群より選択される1以上を溶媒で抽出することにより得られる。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)又はこれらの混合液が好ましく用いられる。ユッカ抽出物は、ユッカ由来成分を含む。具体的に、ユッカ抽出物は、例えば、ユッカサポニンを含む。
【0025】
キラヤ抽出物は、キラヤ科キラヤ属の植物(すなわち、キラヤ)の抽出により得られる組成物である。具体的に、キラヤ抽出物は、キラヤの樹皮、葉、花、種子及び果実からなる群より選択される1以上を溶媒で抽出することにより得られる。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)又はこれらの混合液が好ましく用いられる。キラヤ抽出物は、キラヤ由来成分を含む。具体的に、キラヤ抽出物は、例えば、キラヤサポニンを含む。
【0026】
本飲料におけるユッカ抽出物の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、本飲料は、例えば、1ppm以上、290ppm以下のユッカ抽出物を含むこととしてもよい。また、本製法においては、最終的に得られる発泡性アルコール飲料における含有量が1ppm以上、290ppm以下となるようにユッカ抽出物を添加することとしてもよい。この場合、発泡性アルコール飲料のユッカ抽出物の含有量は、例えば、5ppm以上、280ppm以下であることとしてもよい。なお、1ppmは、0.0001w/w%に相当する。
【0027】
ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性アルコール飲料の香味がより効果的に向上する。すなわち、この場合、発泡性アルコール飲料は、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)がより効果的に付与される。
【0028】
また、ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、きめ細かさ及び/又は泡立ち特性)がより効果的に向上する。すなわち、発泡性アルコール飲料の製造において、当該発泡性アルコール飲料における含有量が上記の範囲内となる量のユッカ抽出物と、キラヤ抽出物とを添加することにより、当該量のユッカ抽出物、及び当該キラヤ抽出物を添加しない場合に比べて、当該発泡性アルコール飲料の香味を効果的に向上させることができる。
【0029】
発泡性アルコール飲料のユッカ抽出物の含有量は、例えば、15ppm以上、280ppm以下であることが好ましく、20ppm以上、250ppm以下であることがより好ましい。
【0030】
ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内である場合、発泡性アルコール飲料は、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)をより一層効果的に有する。また、例えば、発泡性アルコール飲料がアルコール飲料である場合、アルコール臭が効果的に低減される。また、ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、例えば、発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、きめ細かさ及び/又は泡立ち特性)がより一層効果的に向上する。
【0031】
発泡性アルコール飲料のユッカ抽出物の含有量は、例えば、20ppm以上、190ppm以下であることがより一層好ましく、30ppm以上、150ppm以下であることが特に好ましい。
【0032】
ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内である場合、発泡性アルコール飲料においては、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の使用に由来する好ましくない香味(例えば、エグ味)が極めて効果的に低減される。
【0033】
また、発泡性アルコール飲料のユッカ抽出物の含有量は、例えば、60ppm以上、250ppm以下であることがより一層好ましく、70ppm以上、230ppm以下であることが特に好ましい。
【0034】
ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内である場合、発泡性アルコール飲料は、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)を極めて効果的に有する。また、ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、例えば、発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、きめ細かさ及び/又は泡立ち特性)が極めて効果的に向上する。
【0035】
本飲料におけるキラヤ抽出物の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、本飲料は、例えば、5ppm以上、590ppm以下のキラヤ抽出物を含むこととしてもよい。また、本製法においては、最終的に得られる発泡性アルコール飲料における含有量が5ppm以上、590ppm以下となるようにキラヤ抽出物を添加することとしてもよい。この場合、発泡性アルコール飲料のキラヤ抽出物の含有量は、例えば、10ppm以上、550ppm以下であることとしてもよい。
【0036】
キラヤ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性アルコール飲料の香味がより効果的に向上する。すなわち、この場合、発泡性アルコール飲料は、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)がより効果的に付与される。
【0037】
また、キラヤ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、きめ細かさ及び/又は泡立ち特性)がより効果的に向上する。すなわち、発泡性アルコール飲料の製造において、ユッカ抽出物と、当該発泡性アルコール飲料における含有量が上記の範囲内となる量のキラヤ抽出物とを添加することにより、当該ユッカ抽出物、及び当該量のキラヤ抽出物を添加しない場合に比べて、当該発泡性アルコール飲料の香味を効果的に向上させることができる。
【0038】
発泡性アルコール飲料のキラヤ抽出物の含有量は、例えば、30ppm以上、550ppm以下であることが好ましく、40ppm以上、500ppm以下であることがより好ましい。
【0039】
キラヤ抽出物の含有量が上記範囲内である場合、発泡性アルコール飲料は、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)をより一層効果的に有する。また、例えば、発泡性アルコール飲料におけるアルコール臭が効果的に低減される。また、ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、例えば、発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、きめ細かさ及び/又は泡立ち特性)がより一層効果的に向上する。
【0040】
発泡性アルコール飲料のキラヤ抽出物の含有量は、例えば、40ppm以上、390ppm以下であることがより一層好ましく、50ppm以上、350ppm以下であることが特に好ましい。
【0041】
キラヤ抽出物の含有量が上記範囲内である場合、発泡性アルコール飲料においては、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の使用に由来する好ましくない香味(例えば、エグ味)が極めて効果的に低減される。
【0042】
また、発泡性アルコール飲料のキラヤ抽出物の含有量は、例えば、110ppm以上、550ppm以下であることがより一層好ましく、120ppm以上、500ppm以下であることが特に好ましい。
【0043】
キラヤ抽出物の含有量が上記範囲内である場合、発泡性アルコール飲料は、例えば、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、乳のようなまろやかさやふくらみを有する香味)を極めて効果的に有する。また、ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、例えば、発泡性アルコール飲料の泡特性(例えば、きめ細かさ及び/又は泡立ち特性)が極めて効果的に向上する。
【0044】
発泡性アルコール飲料におけるユッカ抽出物の含有量と、キラヤ抽出物の含有量との組み合わせは、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、当該ユッカ抽出物の含有量の上記範囲のいずれかと、当該キラヤ抽出物の含有量の上記範囲のいずれかと、の任意の組み合わせとして特定されてもよい。
【0045】
すなわち、発泡性アルコール飲料は、例えば、1ppm以上、290ppm以下のユッカ抽出物と、5ppm以上、590ppm以下のキラヤ抽出物とを含むこととしてもよく、5ppm以上、280ppm以下のユッカ抽出物と、10ppm以上、550ppm以下のキラヤ抽出物とを含むこととしてもよい。
【0046】
また、発泡性アルコール飲料は、例えば、15ppm以上、280ppm以下のユッカ抽出物と、30ppm以上、550ppm以下のキラヤ抽出物とを含むことが好ましく、20ppm以上、250ppm以下のユッカ抽出物と、40ppm以上、500ppm以下のキラヤ抽出物とを含むことがより好ましい。
【0047】
また、発泡性アルコール飲料は、例えば、20ppm以上、190ppm以下のユッカ抽出物と、40ppm以上、390ppm以下のキラヤ抽出物とを含むことがより一層好ましく、30ppm以上、150ppm以下のユッカ抽出物と、50ppm以上、350ppm以下のキラヤ抽出物とを含むことが特に好ましい。
【0048】
また、発泡性アルコール飲料は、例えば、60ppm以上、250ppm以下のユッカ抽出物と、110ppm以上、550ppm以下のキラヤ抽出物とを含むことがより一層好ましく、70ppm以上、230ppm以下のユッカ抽出物と、120ppm以上、500ppm以下のキラヤ抽出物とを含むことが特に好ましい。
【0049】
本実施形態において、発泡性アルコール飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を有するアルコール飲料である。すなわち、発泡性アルコール飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有するアルコール飲料である。本飲料の泡持ち特性は、例えば、NIBEM値により評価される。
【0050】
本飲料のNIBEM値は特に限られないが、例えば、30以上であることとしてもよい。また、本製法においては、NIBEM値が30以上の発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0051】
発泡性アルコール飲料のNIBEM値は、例えば、50以上であってもよく、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、200以上であることがより一層好ましく、240以上であることが特に好ましい。発泡性アルコール飲料のNIBEM値の上限値は特に限られないが、当該NIBEM値は、例えば、600以下であってもよい。
【0052】
発泡性アルコール飲料のNIBEM値は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.29 泡-NIBEM-Tを用いた泡持ち測定法-」に記載の方法により測定される。
【0053】
本飲料の20℃における炭酸ガス圧は特に限られないが、例えば、100kPa以上であることとしてもよい。また、本製法においては、20℃における炭酸ガス圧が100kPa以上である発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0054】
発泡性アルコール飲料の20℃における炭酸ガス圧は、例えば、150kPa以上であってもよく、175kPa以上であってもよく、200kPa以上であってもよく、225kPa以上であってもよい。
【0055】
発泡性アルコール飲料の20℃における炭酸ガス圧は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.21 ガス圧」に記載の方法により測定される。
【0056】
本実施形態において、飲料に発泡性を付与する方法は特に限られないが、例えば、アルコール発酵、炭酸水の使用、及び炭酸ガスの使用からなる群より選択される1以上により発泡性を付与することとしてもよい。
【0057】
すなわち、本製法は、アルコール発酵、炭酸水の使用、及び炭酸ガスの使用からなる群より選択される1以上により発泡性を付与することを含んでもよい。また、アルコール発酵を行わない場合、本製法は、炭酸水の使用、及び炭酸ガスの使用からなる群より選択される1以上により発泡性を付与することを含んでもよい。
【0058】
発泡性アルコール飲料は、上述したような発泡性を有し、アルコール含有量が1.0v/v%以上(アルコール分1度以上)の飲料である。発泡性アルコール飲料のアルコール含有量は、例えば、1.5v/v%以上であってもよく、2.0v/v%以上であってもよく、2.5v/v%以上であってもよい。
【0059】
発泡性アルコール飲料のアルコール含有量の上限値は特に限られないが、当該アルコール含有量は、例えば、20.0v/v%以下であってもよく、15.0v/v%以下であってもよく、13.0v/v%以下であってもよく、10.0v/v%以下であってもよい。
【0060】
発泡性アルコール飲料のアルコール含有量は、例えば、上記下限値のいずれかと、上記上限値のいずれかと、を任意に組み合わせて特定されてもよい。すなわち、発泡性アルコール飲料のアルコール含有量は、例えば、1.0v/v%以上、20.0v/v%以下であってもよく、1.5v/v%以上、15.0v/v%以下であってもよく、2.0v/v%以上、15.0v/v%以下であってもよく、2.0v/v%以上、13.0v/v%以下であってもよく、2.0v/v%以上、10.0v/v%以下であってもよく、2.5v/v%以上、10.0v/v%以下であってもよい。
【0061】
発泡性アルコール飲料のアルコール含有量は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.3.6 アルコライザー法」に記載の方法により測定される。
【0062】
本飲料は、非発酵飲料であることとしてもよい。また、本製法においては、アルコール発酵を行わないこととしてもよい。
【0063】
非発酵飲料は、アルコール発酵を行うことなく製造される飲料である。本製法において、アルコール発酵を行わない場合、本製法は、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、甘味料及び苦味料からなる群より選択される1種以上を添加することを含んでもよい。
【0064】
本製法において、アルコール発酵を行うことなく、発泡性アルコール飲料を製造する場合、本製法は、アルコール(例えば、エタノール)を添加することを含んでもよい。すなわち、この場合、本製法は、例えば、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、甘味料及び苦味料からなる群より選択される1種以上を添加することと、アルコール(例えば、エタノール)を添加することと、を含んでもよい。
【0065】
アルコールの添加は、例えば、アルコールを含む組成物(すなわち、アルコールを含む液体及び/又は固体)の添加により行う。アルコールを含む組成物は特に限られないが、例えば、原料用アルコール、焼酎、ウォッカ、ウイスキー、ブランデー、その他のスピリッツ、清酒、果実酒、甘味果実酒、雑酒及び粉末酒からなる群より選択される1以上であってもよい。
【0066】
本飲料は、発酵飲料であることとしてもよい。発酵飲料は、アルコール発酵を行って製造される飲料である。また、本製法は、アルコール発酵を行うことを含んでもよい。
【0067】
アルコール発酵は、酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を含む原料液に、当該酵母を添加することにより行う。炭素源は、炭素原子を含む化合物であって酵母が資化できるものであれば特に限られないが、例えば、酵母が資化できる糖類である。窒素源は、窒素原子を含む化合物であって酵母が資化できるものであれば特に限られないが、例えば、アミノ酸及び/又はペプチドである。
【0068】
発酵飲料は、発酵成分(アルコール発酵由来成分)を含む。すなわち、発酵飲料が、酵母によるアルコール発酵を行って製造される場合、当該発酵飲料は、当該アルコール発酵において当該酵母が生成した発酵成分を含む。
【0069】
本飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。また、本製法においては、ビールテイスト飲料である発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0070】
ビールテイスト飲料は、ビール様の香味を有する発泡性アルコール飲料である。ビールテイスト飲料は、その製造時の条件(例えば、アルコール発酵の有無や、麦芽の使用の有無)に関わらず、ビール様の香味を有する発泡性アルコール飲料であれば特に限られない。すなわち、ビールテイスト飲料は、ビール、発泡酒、及び、発泡酒と他のアルコール成分(例えば、焼酎、ウォッカ、ウイスキー、ブランデー、その他のスピリッツ、清酒、果実酒、甘味果実酒、雑酒及び粉末酒からなる群より選択される1以上)とを含有する発泡性アルコール飲料、からなる群より選択される発泡性アルコール飲料であってもよい。また、ビールテイスト飲料は、発酵飲料であってもよいし、非発酵飲料であってもよい。
【0071】
本飲料は、非麦芽飲料であることとしてもよい。非麦芽飲料は、麦芽を使用することなく製造される飲料である。また、本製法においては、麦芽を使用することなく発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。麦芽は、例えば、大麦麦芽、小麦麦芽、燕麦麦芽及びライ麦麦芽である。なお、麦芽は、麦を発芽させて得られる。
【0072】
本飲料は、非麦類飲料であることとしてもよい。非麦類飲料は、麦類を使用することなく製造される飲料である。また、本製法においては、麦類を使用することなく発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。麦類は、例えば、大麦、小麦、燕麦、及びライ麦(より具体的には、未発芽の大麦、小麦、燕麦、及びライ麦、及び大麦、小麦、燕麦、及びライ麦の麦芽)である。
【0073】
本飲料は、果汁を含むこととしてもよい。また、本製法は、果汁を添加することを含むこととしてもよい。
【0074】
果汁は特に限られないが、例えば、柑橘類(例えば、レモン、オレンジ、ミカン類、ライム、ゆず、かぼす、すだち、グレープフルーツ、スウィーティー、シークァーサー、キンカン、及びシトロンからなる群より選択される1以上)、梅、桃、ブドウ、リンゴ、マンゴー、梨、メロン、イチゴ、ライチ、アセロラ、パイナップル、カシス、キウイフルーツ、バナナ、カシス、ブルーベリー及びラズベリーからなる群より選択される1以上の果汁であってもよい。
【0075】
発泡性アルコール飲料における果汁の含有量は特に限られないが、例えば、0.1w/v%以上、50.0w/v%以下であってもよく、0.1w/v%以上、46.0w/v%以下であってもよく、0.1w/v%以上、40.0w/v%以下であってもよく、0.2w/v%以上、35.0w/v%以下であってもよく、0.2w/v%以上、30.0w/v%以下であってもよく、0.2w/v%以上、25.0w/v%以下であってもよく、0.2w/v%以上、20.0w/v%以下であってもよく、0.3w/v%以上、15.0w/v%以下であってもよく、0.3w/v%以上、10.0w/v%以下であってもよく、0.3w/v%以上、5.0w/v%以下であってもよい。
【0076】
上述の特許文献1には、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムから選択される1種以上を添加して炭酸ガス含有飲料を製造することが記載されている。これに対し、本製法においては、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムを添加しないこととしてもよい。また、本飲料は、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムを含まないこととしてもよい。
【0077】
上述の特許文献2には、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース及びD-アロースを含む希少糖シロップを添加してサポニン類含有飲料を製造することが記載されている。これに対し、本製法においては、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース又はD-アロースを添加しないこととしてもよく、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース及びD-アロースを添加しないこととしてもよい。また、本飲料は、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース又はD-アロースを含まないこととしてもよく、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース及びD-アロースを含まないこととしてもよい。
【0078】
上述の特許文献3には、消泡剤を添加して炭酸飲料を製造することが記載されている。これに対し、本製法においては、消泡剤(具体的には、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルの油脂組成物)を添加しないこととしてもよい。また、本飲料は、消泡剤(具体的には、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルの油脂組成物)を含まないこととしてもよい。
【0079】
上述の特許文献4には、乳酸菌を添加して飲食品を製造することが記載されている。これに対し、本製法においては、乳酸菌を添加しないこととしてもよい。また、本飲料は、乳酸菌を含まないこととしてもよい。
【0080】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0081】
[発泡性アルコール飲料の製造]
例1-1においては、純水と、炭酸水と、アルコール含有量が65.5v/v%の原料用アルコールと、レモン果汁と、果糖ブドウ糖液糖と、クエン酸と、香料とを混合することにより、アルコール含有量が約7v/v%であり、20℃における炭酸ガス圧が2.5kgf/cmであり、レモン果汁を0.78w/v%含む飲料を得た。
【0082】
例1-2においては、さらにユッカ抽出物(サラキープ(登録商標)PE、丸善製薬株式会社製)を、最終的に得られる飲料における含有量が100ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-1と同様にして、100ppmのユッカ抽出物を含む飲料を得た。
【0083】
例1-3においては、さらにオクテニルコハク酸澱粉(エマルスター(登録商標)A1、松谷化学工業株式会社製)を、最終的に得られる飲料における含有量が0.1g/100mLとなる量で添加したこと以外は上述の例1-1と同様にして、0.1g/100mLのオクテニルコハク酸澱粉を含む飲料を得た。
【0084】
例1-4においては、さらにキラヤ抽出物(キラヤニン(登録商標)C-100、丸善製薬株式会社製)を、最終的に得られる飲料における含有量が200ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-1と同様にして、200ppmのキラヤ抽出物を含む飲料を得た。
【0085】
例1-5においては、さらにユッカ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が100ppmとなる量で、且つキラヤ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が200ppmとなる量で、それぞれ添加したこと以外は上述の例1-1と同様にして、100ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物と、を含む飲料を得た。
【0086】
[泡特性の評価]
上述のようにして例1-1~例1-5で製造された飲料の各々について、その泡立ち特性を、熟練した複数のパネラーによって評価した。具体的に、各パネラーは、各飲料について、コップに注いだ際に液面に形成される泡層を観察し、泡のきめ細かさと、泡立ちと、を目視で評価して点数を付与した。泡のきめ細かさについては、非常に粗いと評価された場合には1点、非常に細かいと評価された場合には5点を付与するという基準に基づき、1点、2点、3点、4点又は5点を付与した。泡立ちについては、全く泡立たないと評価された場合には1点、非常によく泡立つと評価された場合には5点を付与するという基準に基づき、1点、2点、3点、4点又は5点を付与した。また、各飲料のNIBEM値の測定も行った。
【0087】
[官能検査]
上述のようにして例1-1~例1-5で製造された飲料の各々について、食品官能評価能力のある熟練した複数のパネラーによる官能検査を行った。具体的に、各パネラーは、各飲料の「アルコール臭」、「エグ味」、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」、及び「飲料としての総合評価」について評価して点数を付与した。
【0088】
「アルコール臭」及び「エグ味」については、非常に弱いと評価された場合には1点、非常に強いと評価された場合には5点を付与するという基準に基づき、1点、2点、3点、4点又は5点を付与した。「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」については、全く感じられないと評価された場合には1点、非常に感じられると評価された場合には5点を付与するという基準に基づき、1点、2点、3点、4点又は5点を付与した。「飲料としての総合評価」については、非常に悪いと評価された場合には1点、非常に良いと評価された場合には5点を付与するという基準に基づき、1点、2点、3点、4点又は5点を付与した。
【0089】
[結果]
図1には、例1-1~例1-5で製造された飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(v/v%)、キラヤ抽出物の含有量(ppm)、ユッカ抽出物の含有量(ppm)及びオクテニルコハク酸澱粉の含有量(ppm)を示し、泡特性に関して泡のきめ細かさ、泡立ち及びNIBEM値(秒)の評価結果を示し、官能検査に関して「アルコール臭」、「エグ味」、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」及び「飲料としての総合評価」の評価結果を示す。
【0090】
なお、図1に示す点数は、複数のパネラーにより付与された点数の合計を、当該パネラーの人数で除して得られた算術平均値である。そして、「アルコール臭」及び「エグ味」については、点数が低いほど好ましいことを示し、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」及び「飲料としての総合評価」については、点数が高いほど好ましいことを示す。
【0091】
図1に示すように、キラヤ抽出物、ユッカ抽出物及びオクテニルコハク酸澱粉のいずれも添加せずに製造された例1-1の飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を有しないものであった。
【0092】
100ppmのユッカ抽出物を添加して製造された例1-2の飲料は、僅かな泡立ち特性を有するものの、NIBEM値を測定することができないほど泡持ち特性に乏しいものであった。
【0093】
0.1g/100mLのオクテニルコハク酸澱粉を添加して製造された例1-3の飲料は、泡のきめ細かさにおいて優れていたが、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」に乏しいことに加えて、「アルコール臭」が比較的強く、「飲料としての総合評価」は高くなかった。
【0094】
200ppmのキラヤ抽出物を添加して製造された例1-4の飲料は、NIBEM値が414を示す優れた泡持ち特性を有していたが、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」に乏しいことに加えて、「エグ味」が強く、「アルコール臭」が比較的強く、「飲料としての総合評価」は高くなかった。
【0095】
これに対し、100ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物とを添加して製造された例1-5の飲料は、きめ細かい泡層が形成される優れた泡立ち特性と、NIBEM値が414を示す優れた泡持ち特性とを有することに加えて、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の好ましい香味を極めて効果的に有しており、且つ「エグ味」及び「アルコール臭」が効果的に低減され、「飲料としての総合評価」は高かった。
【0096】
すなわち、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを併用することにより、当該ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物を使用しない場合に比べてはもちろん、当該ユッカ抽出物又はキラヤ抽出物を単独で使用した場合に比べても、泡持ち特性が損なわれることなく泡のきめ細かさ及び泡立ち特性が効果的に向上し、しかも、当該併用に特有の好ましい香味が極めて効果的に付与され、且つエグ味及びアルコール臭は効果的に低減されて、香味が効果的に向上することが示された。
【実施例2】
【0097】
[発泡性アルコール飲料の製造]
例2-1においては、キラヤ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が20ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、100ppmのユッカ抽出物と、20ppmのキラヤ抽出物と、を含む飲料を得た。
【0098】
例2-2においては、キラヤ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が100ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、100ppmのユッカ抽出物と、100ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を得た。
【0099】
例2-3としては、上述の例1-5で製造された、100ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を使用した。
【0100】
例2-4においては、キラヤ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が400ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、100ppmのユッカ抽出物と、400ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を得た。
【0101】
例2-5においては、キラヤ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が600ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、100ppmのユッカ抽出物と、600ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を得た。
【0102】
[泡特性の評価]
上述の実施例1と同様に、例2-1~例2-5で製造された飲料の各々について、泡立ち特性を評価した。
【0103】
[泡特性の評価]
上述の実施例1と同様に、例2-1~例2-5で製造された飲料の各々について、官能検査を行った。
【0104】
[結果]
図2には、例2-1~例2-5で製造された飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(v/v%)、キラヤ抽出物の含有量(ppm)、及びユッカ抽出物の含有量(ppm)を示し、泡特性に関して泡のきめ細かさ、及び泡立ちの評価結果を示し、官能検査に関して「アルコール臭」、「エグ味」、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」及び「飲料としての総合評価」の評価結果を示す。
【0105】
図2に示すように、キラヤ抽出物の含有量が増加するにつれて、飲料の泡立ち特性が向上する傾向が示された。ただし、泡のきめ細かさは、キラヤ抽出物の含有量が200ppm以上において変わらなかった。
【0106】
官能検査においては、ユッカ抽出物とともに600ppmのキラヤ抽出物を添加して製造された例2-5の飲料は、「エグ味」が強く、「飲料としての総合評価」は低いものとなった。
【0107】
これに対し、ユッカ抽出物とともに600ppm未満(具体的には、20ppm以上、400ppm以下)のキラヤ抽出物を添加して製造された例2-1~例2-4の飲料は、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」を有するとともに、「エグ味」は抑制されて、例2-5の飲料に比べて「飲料としての総合評価」は高いものとなった。
【0108】
特に、ユッカ抽出物とともに、20ppm超、600ppm未満(具体的には。100ppm以上、400ppm以下)のキラヤ抽出物を添加して製造された例2-2~例2-4の飲料は、泡のきめ細かさ及び泡立ちに優れることに加えて、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の香味が効果的に付与され、且つ「アルコール臭」も効果的に抑制された。
【0109】
さらに、ユッカ抽出物とともに、20ppm超、400ppm未満(具体的には。100ppm以上、200ppm以下)のキラヤ抽出物を添加して製造された例2-2~例2-3の飲料は、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の香味が効果的に付与されるとともに、「エグ味」が極めて効果的に低減され、「飲料としての総合評価」は極めて高いものとなった。
【0110】
また、ユッカ抽出物とともに、100ppm超、600ppm未満(具体的には。200ppm以上、400ppm以下)のキラヤ抽出物を添加して製造された例2-3~例2-4の飲料は、泡のきめ細かさ及び泡立ちが極めて優れていることに加え、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の香味が極めて効果的に付与されるとともに、「アルコール臭」が極めて効果的に抑制された。
【実施例3】
【0111】
[発泡性アルコール飲料の製造]
例3-1においては、ユッカ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が10ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、10ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物と、を含む飲料を得た。
【0112】
例3-2においては、ユッカ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が50ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、50ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を得た。
【0113】
例3-3としては、上述の例1-5で製造された、100ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を使用した。
【0114】
例3-4においては、ユッカ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が200ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、200ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を得た。
【0115】
例3-5においては、ユッカ抽出物を、最終的に得られる飲料における含有量が300ppmとなる量で添加したこと以外は上述の例1-5と同様にして、300ppmのユッカ抽出物と、200ppmのキラヤ抽出物とを含む飲料を得た。
【0116】
[泡特性の評価]
上述の実施例1と同様に、例3-1~例3-5で製造された飲料の各々について、泡立ち特性を評価した。
【0117】
[泡特性の評価]
上述の実施例1と同様に、例3-1~例3-5で製造された飲料の各々について、官能検査を行った。
【0118】
[結果]
図3には、例3-1~例3-5で製造された飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(v/v%)、キラヤ抽出物の含有量(ppm)、及びユッカ抽出物の含有量(ppm)を示し、泡特性に関して泡のきめ細かさ、及び泡立ちの評価結果を示し、官能検査に関して「アルコール臭」、「エグ味」、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」及び「飲料としての総合評価」の評価結果を示す。
【0119】
図3に示すように、ユッカ抽出物の含有量が増加するにつれて、泡のきめ細かさ及び泡立ち特性が向上する傾向が示された。官能検査については、キラヤ抽出物とともに300ppmのユッカ抽出物を添加して製造された例3-5の飲料は、「エグ味」が強く、「飲料としての総合評価」は低いものとなった。
【0120】
これに対し、キラヤ抽出物とともに300ppm未満(具体的には、10ppm以上、200ppm以下)のユッカ抽出物を添加して製造された例3-1~例3-4の飲料は、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」を有するとともに、「エグ味」は抑制されて、例3-5の飲料に比べて「飲料としての総合評価」は高いものとなった。
【0121】
特に、キラヤ抽出物とともに、10ppm超、300ppm未満(具体的には。50ppm以上、200ppm以下)のユッカ抽出物を添加して製造された例3-2~例3-4の飲料は、泡のきめ細かさ及び泡立ちに優れることに加えて、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の香味が効果的に付与され、且つ「アルコール臭」も効果的に抑制されて、「飲料としての総合評価」は高いものとなった。
【0122】
さらに、キラヤ抽出物とともに、10ppm超、200ppm未満(具体的には。50ppm以上、100ppm以下)のユッカ抽出物を添加して製造された例3-2~例3-3の飲料は、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の香味が効果的に付与されるとともに、「エグ味」が極めて効果的に低減され、「飲料としての総合評価」は極めて高いものとなった。
【0123】
また、キラヤ抽出物とともに、50ppm超、300ppm未満(具体的には。100ppm以上、200ppm以下)のユッカ抽出物を添加して製造された例3-3~例3-4の飲料は、泡のきめ細かさ及び泡立ちが極めて優れていることに加え、「乳のようなまろやかさ、ふくらみ」という特有の香味が極めて効果的に付与されるとともに、「アルコール臭」が極めて効果的に抑制された。

図1
図2
図3