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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】充電式クリーナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20220711BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220711BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220711BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220711BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20220711BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
H02J7/10 J
H02J7/00 X
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
A47L9/28 U
A47L5/24 A
H02J7/00 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018120351
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020005350
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩
【審査官】坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127783(JP,A)
【文献】特開2005-073434(JP,A)
【文献】実開平03-057680(JP,U)
【文献】特開平08-098426(JP,A)
【文献】特開2005-245062(JP,A)
【文献】特開2001-218378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00- 7/12
7/34- 7/36
H01M10/42-10/48
A47L 5/00- 7/08
A47L 9/22- 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせるモータと前記モータを収容するハウジングとを含む本体部と、
前記モータに電力を供給する充電式のバッテリと、
前記本体部に配置され、前記バッテリと電気的に接続される端子部と、
前記バッテリに供給する充電電流を、第一充電電流と、前記第一充電電流より大きい第二充電電流との少なくとも二段階で設定する操作が可能な充電設定操作部と、
前記端子部と電気的に接続可能で、前記バッテリを充電する充電器と、
前記充電設定操作部において前記充電電流が前記第一充電電流に設定されると、前記バッテリに前記第一充電電流を供給し、前記充電設定操作部において前記充電電流が前記第二充電電流に設定されると、所定条件を満たすまでの間、前記バッテリに前記第二充電電流を供給する制御部と、
塵埃の吸込力を設定する操作が可能なモード設定操作部と、
前記モード設定操作部によって設定された吸込力を記憶する吸込力情報記憶部と、
を備え、
前記所定条件は、前記バッテリの充電容量が閾値以上になることであり、
前記制御部は、前記吸込力情報記憶部が記憶した吸込力に応じて、前記充電容量の閾値を設定する、
ことを特徴とする充電式クリーナ。
【請求項2】
前記充電設定操作部は、前記本体部に配置されている、
請求項1に記載の充電式クリーナ。
【請求項3】
前記充電設定操作部は、前記充電器に配置されている、
請求項1に記載の充電式クリーナ。
【請求項4】
空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせるモータと前記モータを収容するハウジングとを含む本体部と、
前記モータに電力を供給する充電式のバッテリと、
前記本体部に配置され、前記バッテリと電気的に接続される端子部と、
前記端子部と電気的に接続可能で、前記バッテリを充電する充電器と、
充電開始時における前記バッテリの残容量が閾値より大きい場合、前記バッテリに第一充電電流を供給し、充電開始時における前記バッテリの残容量が閾値以下である場合、所定条件を満たすまでの間、前記バッテリに第一充電電流より大きい第二充電電流を供給する制御部と、
塵埃の吸込力を設定する操作が可能なモード設定操作部と、
前記モード設定操作部によって設定された吸込力を記憶する吸込力情報記憶部と、
を備え、
前記所定条件の1つは、前記バッテリの充電容量が閾値以上になることであり、
前記制御部は、前記吸込力情報記憶部が記憶した吸込力に応じて、前記充電容量の閾値を設定する、
ことを特徴とする充電式クリーナ。
【請求項5】
前記所定条件の1つは、前記バッテリの充電容量に関する情報に基づいて設定される条件である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の充電式クリーナ。
【請求項6】
前記バッテリの充電容量に関する情報は、一時急速充電を開始してからの経過時間と、前記バッテリの充電容量と、前記バッテリの電圧と、前記バッテリのセル電圧との少なくともいずれかである、
請求項5に記載の充電式クリーナ。
【請求項7】
前記所定条件の1つは、一時急速充電を開始してからの経過時間が閾値以上になることであり、
前記制御部は、充電開始時における前記バッテリの残容量に応じて、前記経過時間の閾値を設定する、
請求項6に記載の充電式クリーナ。
【請求項8】
前記所定条件の1つは、一時急速充電を開始してからの経過時間が閾値以上になることであり、
前記制御部は、充電開始時における前記バッテリの電圧に応じて、前記経過時間の閾値を設定する、
請求項6に記載の充電式クリーナ。
【請求項9】
前記所定条件の1つは、一時急速充電を開始してからの経過時間が閾値以上になることであり、
前記制御部は、充電開始時における前記バッテリのセル電圧に応じて、前記経過時間の閾値を設定する、
請求項6に記載の充電式クリーナ。
【請求項10】
前記所定条件の1つは、一時急速充電を開始してからの経過時間が閾値以上になることであり、
前記制御部は、前記バッテリの定格容量応じて、前記経過時間の閾値を設定する、
請求項6に記載の充電式クリーナ。
【請求項11】
前記バッテリに前記第二充電電流を供給した回数と時間間隔との少なくともどちらかを充電情報として記憶する充電情報記憶部、
を備え、
前記制御部は、前記充電情報記憶部が記憶した前記充電情報に基づいて、前記バッテリに対する第二充電電流の供給を規制、または、警告を行う、
請求項1から10のいずれか一項に記載の充電式クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式のバッテリから供給される電力で動作する充電式クリーナに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、使用者の使用態様に応じた充電量を実現し、充電式のバッテリを長寿命化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-171730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電式クリーナの使用時に、清掃対象範囲のうちの少しの範囲を残して、バッテリが充電切れになることがある。例えば、充電式クリーナを3分程度使用可能な状態まで充電して、やり残した範囲を清掃するためには、15分程度の充電時間を要する。
【0005】
本発明の態様は、一時的に、通常の充電時の充電電流より大きい充電電流で充電し、短時間で使用可能な状態にすることができる充電式クリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせるモータと前記モータを収容するハウジングとを含む本体部と、前記モータに電力を供給する充電式のバッテリと、前記本体部に配置され、前記バッテリと電気的に接続される端子部と、前記バッテリに供給する充電電流を、第一充電電流と、前記第一充電電流より大きい第二充電電流との少なくとも二段階で設定する操作が可能な充電設定操作部と、前記端子部と電気的に接続可能で、前記バッテリを充電する充電器と、前記充電設定操作部において前記充電電流が前記第一充電電流に設定されると、前記バッテリに前記第一充電電流を供給し、前記充電設定操作部において前記充電電流が前記第二充電電流に設定されると、所定条件を満たすまでの間、前記バッテリに前記第二充電電流を供給する制御部と、を備える充電式クリーナが提供される。
【0007】
本発明の態様に従えば、空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせるモータと前記モータを収容するハウジングとを含む本体部と、前記モータに電力を供給する充電式のバッテリと、前記本体部に配置され、前記バッテリと電気的に接続される端子部と、前記端子部と電気的に接続可能で、前記バッテリを充電する充電器と、充電開始時における前記バッテリの残容量が閾値より大きい場合、前記バッテリに第一充電電流を供給し、充電開始時における前記バッテリの残容量が閾値以下である場合、所定条件を満たすまでの間、前記バッテリに第一充電電流より大きい第二充電電流を供給する制御部と、を備える充電式クリーナが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、一時的に、通常の充電時の充電電流より大きい充電電流で充電し、短時間で使用可能な状態にすることができる充電式クリーナが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る充電式クリーナの一例を示す斜視図である。
図2図2は、第一実施形態に係る充電式クリーナの本体部の一例を示す斜視図である。
図3図3は、第一実施形態に係る充電式クリーナの本体部の一例を示す断面図である。
図4図4は、第一実施形態に係る充電式クリーナの本体部の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、第一実施形態に係る充電式クリーナの充電器の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、第一実施形態に係る充電式クリーナの充電方法の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、バッテリの残容量ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。
図8図8は、バッテリの電圧ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。
図9図9は、セル電圧ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。
図10図10は、直前の動作モードごとに設定された、所定時間の動作に必要な容量の一例を示す図である。
図11図11は、第二実施形態に係る充電式クリーナの充電器の一例を示す斜視図である。
図12図12は、第二実施形態に係る充電式クリーナの充電器の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
図13図13は、第二実施形態に係る充電式クリーナの充電方法の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、バッテリの容量ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。
図15図15は、第三実施形態に係る充電式クリーナの充電方法の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、第四実施形態に係る充電式クリーナの本体部の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、または実質的に同一のものを含む。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0011】
以下の説明においては、X軸方向を、「前後方向」とする。Y軸方向を、「左右方向」とする。Y軸方向とは、X軸方向に対して水平に直交する方向である。前後方向「前」側へ向かって、左手側が「左」、右手側が「右」である。Z軸方向を、「上下方向」とする。Z軸方向とは、X軸方向及びY軸方向に対して直交する方向である。
【0012】
[第一実施形態]
図1ないし図3を参照して、充電式クリーナ10の概要について説明する。図1は、第一実施形態に係る充電式クリーナの一例を示す斜視図である。図2は、第一実施形態に係る充電式クリーナの本体部の一例を示す斜視図である。図3は、第一実施形態に係る充電式クリーナの本体部の一例を示す断面図である。充電式クリーナ10は、充電式のバッテリパック(以下、「バッテリ」という。)26から電力が供給されて動作する。
【0013】
充電式クリーナ10は、本体ユニット(本体部)20と、パイプユニット30と、ノズルユニット40と、制御回路基板60と、AC(Alternating Current)アダプタ(充電器)100とを備える。
【0014】
本体ユニット20は、空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせる。本体ユニット20は、ケース(ハウジング)21と、吸込口22と、モータ23と、吸込用ファン24と、集塵フィルタ25と、バッテリ26と、ハンドル27と、DC(Direct Current)ジャック(端子部)28とを有する。
【0015】
ケース21は、本体ユニット20の外形を規定する。ケース21は、モータ23と、吸込用ファン24と、集塵フィルタ25と、バッテリ26とを収容する。ケース21は、筒状に形成されている。ケース21は、開閉カバー211と、蓋部212と、排気口213とが配置されている。
【0016】
開閉カバー211は、ケース21の外周の一部を形成している。開閉カバー211は、ケース21の外周の前上部に配置されている。開閉カバー211は、ケース21に対して開閉する。開閉カバー211を開いた状態で、集塵フィルタ25が出し入れ可能になる。
【0017】
蓋部212は、ケース21の外周の一部を形成している。蓋部212は、ケース21の外周の後下部に配置されている。蓋部212は、ケース21に対して開閉する。蓋部212を開いた状態で、バッテリ26が出し入れ可能になる。
【0018】
排気口213は、ケース21の外部と内部とを連通する。排気口213は、吸込口22から吸い込んだ空気をケース21の外部へ排出する。排気口213は、モータ23が回転することによって温められた空気をケース21の外部へ排出する。排気口213は、吸込用ファン24が回転することにより、充電式クリーナ10の内部の空気をケース21の外部に排出する。
【0019】
排気口213は、ケース21の前後方向の中間部に配置されている。より詳しくは、排気口213は、モータ23の径方向の外側に配置されている。
【0020】
吸込口22は、空気とともに塵埃を集塵フィルタ25へ吸い込む吸込み口である。吸込口22は、ケース21の外部と内部とを連通する。吸込口22は、ケース21の前端部に配置されている。吸込口22は、パイプユニット30が連結可能である。吸込口22は、吸込用ファン24が回転することにより、パイプユニット30を介して外部の空気を筐体2の内部に吸い込む。
【0021】
モータ23は、回転することによって空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせるための吸込用ファン24を回転させる。モータ23は、バッテリ26から供給される電力によって回転する。モータ23は、出力軸を介して吸込用ファン24と連結されている。モータ23は、ケース21の内部において、吸込口22と吸込用ファン24と集塵フィルタ25より後側に配置されている。モータ23は、回転速度を調節可能であってもよい。本実施形態では、モータ23は、3段階で回転速度を調節可能である。モータ23は、制御回路基板60の制御回路70を介して回転速度が制御される。
【0022】
吸込用ファン24は、モータ23が回転することによって空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせる。吸込用ファン24は、空気とともに塵埃を吸込可能な空気の流れを生じさせる。吸込用ファン24は、ケース21の内部において、モータ23より前側で、集塵フィルタ25より後側に配置されている。吸込用ファン24は、モータ23の回転軸と連結されている。吸込用ファン24は、モータ23が回転すると回転する。吸込用ファン24が回転すると、空気が吸込口22からケース21の内部に吸引される。吸込用ファン24は、モータ23の回転速度に連動して風量が調節可能である。本実施形態では、吸込用ファン24は、3段階で風量を調節可能である。吸込用ファン24の風量は、充電式クリーナ10の動作モードに対応する。
【0023】
集塵フィルタ25は、吸引した空気に含まれる塵埃を除去する。集塵フィルタ25は、一方が開口し、他方の端部が閉じた筒状に形成されている。集塵フィルタ25は、ケース21の内部に収容されている。より詳しくは、集塵フィルタ25は、ケース21の内部において、吸込口22の後側に配置されている。集塵フィルタ25は、ケース21の内部において、吸込用ファン24の前側に配置されている。集塵フィルタ25は、開口が吸込口22に向かい合っている。集塵フィルタ25は、吸込口22から吸引した空気を通過させ、空気に含まれる塵埃を内部に留めおく。集塵フィルタ25を通過した空気は、排気口213から排出される。集塵フィルタ25は、開閉カバー211を開いた状態で装着と取外しとが可能である。
【0024】
バッテリ26は、充電式のバッテリである。バッテリ26は、充電式クリーナ10のモータ23に電力を供給する。バッテリ26は、複数のセルが接続されて形成されている。本実施形態では、バッテリ26は、セル261、セル262、セル263が直列に接続されている。バッテリ26は、ケース21の内部において、後下部に配置されている。バッテリ26は、蓋部212を開いた状態で、ケース21の内部に着脱可能である。バッテリ26は、セル261、セル262、セル263の温度を検出する温度検出素子264を有する。バッテリ26は、制御回路基板60の制御回路70と電気的に接続されている。
【0025】
温度検出素子264は、バッテリ26の温度を検出する。温度検出素子264は、バッテリ26の内部に配置されている。温度検出素子264は、検出したバッテリ26の温度を制御回路70に出力する。
【0026】
ハンドル27は、ユーザが把持する把持部である。ハンドル27は、ケース21の後上部に配置されている。ハンドル27は、ケース21に収容されたバッテリ26の上部に配置されている。
【0027】
DCジャック28は、ACアダプタ100のDCプラグ104と電気的に接続可能である。DCジャック28は、制御回路基板60を介してバッテリ26と電気的に接続可能である。これらにより、DCジャック28は、ACアダプタ100から供給される充電用の直流電圧を、制御回路基板60を介してバッテリ26へ供給する。DCジャック28は、ケース21の側面上部に配置されている。
【0028】
パイプユニット30は、ノズルユニット40から吸引した空気と塵埃とを通過させる。パイプユニット30は、吸込口22とノズルユニット40と着脱可能である。パイプユニット30は、吸込口22とノズルユニット40とを連結する。パイプユニット30は、パイプ部材31を有する。パイプ部材31は、円筒状に形成されている。パイプ部材31は、前端部がノズルユニット40に連結可能である。パイプ部材31は、後端部が吸込口22に連結可能である。
【0029】
ノズルユニット40は、空気を塵埃とを吸引する。ノズルユニット40は、パイプユニット30のパイプ部材31の前端部に着脱可能である。ノズルユニット40は、連結部41と、ヘッド部42とを有する。
【0030】
連結部41は、パイプユニット30のパイプ部材31の前端部に連結可能である。連結部41は、パイプ状に形成されている。連結部41は、筒状のパイプ部材411を有する。さらに、パイプ部材411は、屈曲部412と、パイプユニット連結部413と、ヘッドユニット連結部414とを有する。屈曲部412とパイプユニット連結部413とヘッドユニット連結部414とは、一体に形成されている。パイプ部材411の中間部が屈曲部412である。パイプ部材411は、側面視においてへの字型に形成されている。パイプ部材411の屈曲部412より後側がパイプユニット連結部413であり、前側がヘッドユニット連結部414である。パイプユニット連結部413とヘッドユニット連結部414とは、異なる方向に沿って延在している。
【0031】
パイプユニット連結部413は、パイプ部材31の前端部に連結可能である。パイプユニット連結部413の先端部は、パイプ部材31の内部に嵌合可能な大きさに形成されている。本実施形態では、パイプユニット連結部413は、先端部の径が、パイプ部材31の前端部の径より縮径されて形成されている。
【0032】
ヘッドユニット連結部414は、ヘッド部42が回動可能に連結されている。
【0033】
ヘッド部42は、空気と塵埃とを吸引する吸込口である。ヘッド部42は、ハウジング421と、図示しない吸込口とを有する。ヘッド部42は、ヘッドユニット連結部414に対してパイプ部材31の周方向で相対的に回転可能に連結される。ハウジング421は、左右方向に延びる箱状に形成されている。ハウジング421は、各種部材を収容可能である。吸込口は、ハウジング421の底面に形成された開口である。吸込口は、連結部41と連通している。
【0034】
操作スイッチ50は、ハンドル27の上部に配置されている。操作スイッチ50は、充電式クリーナ10に対する各種操作を受付可能な電子スイッチである。操作スイッチ50は、ユーザがハンドル27を握った状態で操作可能である。操作スイッチ50は、駆動スイッチ(モード設定操作部)51と、停止スイッチ52と、一時急速充電スイッチ(充電設定操作部)53とを有する。
【0035】
駆動スイッチ51は、充電式クリーナ10の吸込力の強さを示す動作モードを切り替えるためにユーザによって押し操作されるスイッチである。本実施形態では、駆動スイッチ51は、押下されるたびに、動作モードを強(ハイモード)と、標準(ローモード)と、ターボ(ハイパワーモード)とに交互に切り替え可能である。ハイモードは、モータ23を高速で回転させる。ローモードは、モータ16をハイモードより低速で回転させる。ハイパワーモードは、モータ23をハイモードより高速で回転させる。駆動スイッチ51は、押下されるたびに、操作情報に応じた電気信号を制御回路70に出力する。
【0036】
停止スイッチ52は、充電式クリーナ10の動作を停止させるためにユーザによって押し操作されるスイッチである。停止スイッチ52は、充電式クリーナ10の動作時に押下されると、動作を停止可能である。停止スイッチ52は、押下されると、操作情報に応じた電気信号を制御回路70に出力する。
【0037】
一時急速充電スイッチ53は、充電式クリーナ10の充電時、一時的な急速充電(以下、「一時急速充電」という。)を行うためにユーザによって押し操作されるスイッチである。一時急速充電スイッチ53は、バッテリ26に供給する充電電流を、第一充電電流と、第一充電電流より大きい第二充電電流との少なくとも二段階で設定する操作が可能である。第一充電電流は、通常の充電時の充電電流である。第二充電電流は、一時急速充電時の充電電流である。一時急速充電は、一時的に、第一充電電流より大きい第二充電電流で90秒程度の充電によって、3分程度の使用を可能な容量を充電する。
【0038】
例えば、バッテリ26の定格容量が2.5Ahで、ローモードで3分程度の使用が可能な容量が0.25Ahとする。通常の通電は、1Aの第一充電電流で2.5時間程度で満充電にする。一時急速充電は、例えば、0.25Ahを、10Aの第二充電電流で90秒程度で充電する。
【0039】
一時急速充電スイッチ53は、押下されると、第一充電電流より大きい第二充電電流がバッテリ26に供給されるように制御回路70を介して制御する。例えば、バッテリ26の定格容量が2.5Ahの場合、通常の充電の第一充電電流を1A程度とすると、一時急速充電の第二充電電流は10A程度とする。一時急速充電スイッチ53は、押下されると、操作情報に応じた電気信号を制御回路70に出力する。
【0040】
一時急速充電スイッチ53が押下されていない状態では、通常の充電となり、第一充電電流がバッテリ26に供給されるように制御回路70を介して制御する。
【0041】
LED54は、操作スイッチ50の前側に配置されている。LED54は、充電式クリーナ10の充電時に点灯して充電状態を示す。例えば、LED54は、一時急速充電時は赤色で点灯し、通常の充電時は橙色で点灯し、充電していない時または満充電時には消灯する。LED54は、制御回路70を介して点灯状態が制御される。
【0042】
制御回路基板60は、ケース21の内部において、モータ23の上側で、操作スイッチ50の下側に配置されている。制御回路基板60は、ACアダプタ100から電力供給を受けてバッテリ26を充電する機能と、バッテリ26から電力供給を受けてモータ23へ放電する機能とを有する。言い換えると、制御回路基板60は、放電回路と充電回路とを有する。放電回路は、バッテリ26の正極側からモータ23を介してバッテリ26の負極側へ電流を流す、言い換えると、バッテリ26から電力を放電する回路である。充電回路は、ACアダプタ100の正極側端子をバッテリ26の正極側に接続し、ACアダプタ100の負極側端子をバッテリ26の負極側に接続する、言い換えると、バッテリ26を充電する回路である。制御回路基板60は、このような機能を実装するための電子部品が組み付けられている。
【0043】
図4を用いて、制御回路基板60について説明する。図4は、第一実施形態に係る充電式クリーナの本体部の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。制御回路基板60は、放電制御用FET(Field Effect Transistor)62と、充電制御用FET64と、充電保護用FET66と、制御回路70と、セル電圧検出部72と、断線検出部74と、保護回路76と、抵抗78と、レギュレータ80と、ダイオード82と、ダイオード84とを有する。
【0044】
放電制御用FET62は、バッテリ26からモータ23への放電電流、言い換えると、モータ23の駆動電流を制御する。放電制御用FET62は、放電回路におけるモータ23の下流側、言い換えると、バッテリ26の負極側に配置されている。
【0045】
充電制御用FET64と充電保護用FET66とは、充電回路のうち、ACアダプタ100の正極側端子からバッテリ26の正極側に至る充電回路上に、直列接続された状態で配置されている。充電制御用FET64は、ACアダプタ100からバッテリ26への充電電流を制御する。充電保護用FET66は、充電時にバッテリ26を過電流や過充電から保護する。
【0046】
放電制御用FET62と充電制御用FET64と充電保護用FET66とは、それぞれ、放電回路または充電回路を導通・遮断する半導体スイッチング素子である。放電制御用FET62と充電制御用FET64と充電保護用FET66とは、制御回路70によって駆動される。
【0047】
セル電圧検出部72は、バッテリ26のセル261、セル262、セル263の出力電圧を検出する。セル電圧検出部72は、制御回路70に、セル261、セル262、セル263の電圧を表す検出信号を出力する。
【0048】
断線検出部74は、バッテリ26の内部におけるセル261、セル262、セル263の接続部分を所定電位にすることにより、セル電圧検出部72で検出されるセル電圧に基づいて、バッテリ26における断線を検出する。
【0049】
保護回路76は、バッテリ26の充電中、セル261、セル262、セル263からの電圧を取得する。保護回路76は、取得した電圧が過電圧判定値より高い閾値に達したとき、言い換えると、制御回路70による過電圧保護が正常に機能しなかったとき、充電制御用FET64を強制的にオフ状態にして、バッテリ26への充電を強制的に停止させる。
【0050】
レギュレータ80は、制御回路70に動作用の電源電圧、より詳しくは、直流定電圧を供給する。レギュレータ80は、2つのダイオード82、ダイオード84を介して、バッテリ26とACアダプタ100との両方から直流電圧を供給可能である。レギュレータ80は、バッテリ26とACアダプタ100とのどちらかから供給される直流電圧から、制御回路70を駆動する直流定電圧を生成する。
【0051】
制御回路70は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラムを格納したメモリとを備える。制御回路70は、レギュレータ80から供給される電力によって動作する。制御回路70は、メモリに記憶した制御プログラムに従って、放電制御用FET62と充電制御用FET64と充電保護用FET66とをそれぞれオン状態とオフ状態を切り替えて、モータ23の回転と、バッテリ26への充電とを実行する。本実施形態では、メモリは、駆動スイッチ51によって設定された動作モードを記憶する吸込力情報記憶部として機能する。本実施形態では、メモリは、一時急速充電を実行した回数と時間間隔との少なくともどちらかを充電情報として記憶する充電情報記憶部として機能する。
【0052】
制御回路70は、モータ23の停止時に駆動スイッチ51が操作されると、動作モードを、初期動作モードとして、ハイモード、または、吸込力情報記憶部に記憶した直前の動作モードに設定する。そして、初期動作モードの設定後は、停止スイッチ52が操作されるまで、駆動スイッチ51の操作の有無、または、操作継続時間、言い換えると、オン状態の継続時間に応じて動作モードを切り替える。
【0053】
制御回路70は、モータ23の動作時に駆動スイッチ51が操作されるたびに、モータ23の回転速度を動作モードに応じて制御する。制御回路70は、駆動スイッチ51が操作されてハイモードにされると、モータ23の回転速度をハイモードに応じた速い速度になるように制御する。制御回路70は、駆動スイッチ51が操作されてローモードにされると、モータ23の回転速度をローモードに応じた通常の速度になるように制御する。制御回路70は、駆動スイッチ51が操作されてハイパワーモードにされると、モータ23の回転速度をハイパワーモードに応じた速い速度になるように制御する。より詳しくは、制御回路70は、駆動スイッチ51が操作されるたびに、動作モードに応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、放電制御用FET62に出力して、放電制御用FET62を制御する。これにより、モータ23には、そのPWM信号のデューティ比に対応した駆動電流が流れ、モータ23が駆動電流に対応した回転速度で回転する。そして、充電式クリーナ10の吸引量が、各動作モードに対応して制御される。
【0054】
制御回路70のメモリには、各動作モードでモータ23を回転するための制御データとして、動作モードごとに設定された放電制御用FET62の駆動用のデューティ比が記憶されている。駆動用のデューティ比は、動作モードごとに設定されている。駆動用のデューティ比は、ローモードが小さく(例えば、50%より低い値)、ハイパワーモードが大きく(例えば、100%)、ハイモードが中間の値(例えば、50%以上で100%より低い値)に設定されている。
【0055】
制御回路70は、モータ23の回転時に停止スイッチ52が操作されると、放電制御用FET62をオフ状態にして、モータ23の回転を停止する。
【0056】
制御回路70は、モータ23の駆動停止時、ACアダプタ100が接続されて、バッテリ26の状態が充電開始条件を満たすと、充電制御用FET64と充電保護用FET66とをオフ状態からオン状態に切り換えて、バッテリ26への充電を開始する。この場合、充電電流は、第一充電電流に設定される。より詳しくは、制御回路70は、通常の充電に応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、充電制御用FET64に出力して、充電制御用FET64を制御する。これにより、バッテリ26には、そのPWM信号のデューティ比に対応した充電電流が流れる。
【0057】
例えば、バッテリ26の充電開始条件とは、バッテリ26の残容量が充電開始判定用の閾値より低いことである。より詳しくは、バッテリ26の充電開始条件とは、バッテリ26からの出力電圧が充電開始判定用の閾値電圧より低いことである。または、バッテリ26の充電開始条件とは、温度検出素子264で検出した温度が規定範囲内であることである。
【0058】
また、制御回路70は、通常の充電において一定電流による定電流充電中に、バッテリ26からの出力電圧が低下しはじめると、言い換えると、バッテリ26からの出力電圧が閾値電圧になると、一定電圧による定電圧充電に切り替える。これにより、バッテリ26は、定格容量まで満充電が可能になる。
【0059】
制御回路70によるバッテリ26への充電制御は、バッテリ26が満充電状態になるまで継続される。制御回路70は、バッテリ26の充電開始後、バッテリ26が満充電状態になると、充電制御用FET64及び充電保護用FET66をオフ状態に切り換えて、バッテリ26の充電を終了する。
【0060】
制御回路70は、モータ23の停止時、ACアダプタ100が接続されて、バッテリ26の状態が一時急速充電開始条件を満たし、さらに、一時急速充電スイッチ53が操作されると、充電制御用FET64と充電保護用FET66とをオフ状態からオン状態に切り換えて、バッテリ26への一時急速充電を開始する。この場合、充電電流は、第二充電電流に設定される。より詳しくは、制御回路70は、一時急速充電を開始すると、一時急速充電に応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、充電制御用FET64に出力して、充電制御用FET64を制御する。これにより、バッテリ26には、そのPWM信号のデューティ比に対応した通常の充電時より大きい一定電流の第二充電電流が流れる。
【0061】
例えば、バッテリ26の一時急速充電開始条件とは、バッテリ26の残容量が充電開始判定用の閾値より低い、一時急速充電用の閾値より低いことである。例えば、充電開始判定用の閾値が定格容量の90%であり、一時急速充電用の閾値は定格容量の10%である。
【0062】
制御回路70は、充電情報記憶部の充電情報に基づいて、一時急速充電を実行した回数が閾値以上であったり、時間間隔が閾値以下である場合、一時急速充電の実行を規制したり、警告を行ってもよい。
【0063】
制御回路70によるバッテリ26への一時急速充電制御は、一時急速充電の完了条件を満たすまで継続される。制御回路70は、バッテリ26の一時急速充電開始後、一時急速充電の完了条件を満たすと、通常の充電に移行する。より詳しくは、制御回路70は、一時急速充電の完了条件を満たすと、通常の充電に応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、充電制御用FET64に出力して、充電制御用FET64を制御する。または、制御回路70は、一時急速充電の完了条件を満たすと、通常の充電に移行せず、充電を終了してもよい。
【0064】
制御回路70のメモリには、充電を制御するための制御データとして、通常の充電における充電制御用FET64の駆動用のデューティ比と、一時急速充電における充電制御用FET64の駆動用のデューティ比とが記憶されている。一時急速充電の駆動用のデューティ比は、通常の充電の駆動用のデューティ比より10倍程度大きく設定されている。
【0065】
制御回路70は、充放電制御を行うとき、バッテリ26からの出力電圧に加えて、セル261、セル262、セル263の出力電圧と、バッテリ26の温度と、バッテリ26における断線の有無などの各種のパラメータを監視する。そして、これら各パラメータの異常時には、充電保護用FET66や放電制御用FET62をオフ状態にして、バッテリ26への充放電を停止させる。
【0066】
ACアダプタ100は、バッテリ26へ直流の充電電流を供給する。ACアダプタ100は、交流電源から供給された電力から、バッテリ26を充電するための直流の充電電流を生成する。ACアダプタ100は、差込プラグ101と、アダプタケース102と、電線103と、DCプラグ104とを有する。差込プラグ101は、交流電源のコンセントに差し込み可能である。アダプタケース102には、直流の充電電流を生成するための各種電子部品が収容されている。アダプタケース102に収容された各種電子部品は、差込プラグ101と電線103とを電気的に接続する。電線103は、差込プラグ101とDCプラグ104とを電気的に接続する。DCプラグ104は、電線103の先端部に配置されている。DCプラグ104は、本体ユニット20のDCジャック28と電気的に接続可能である。DCプラグ104は、本体ユニット20のDCジャック28に差し込むことによって、ACアダプタ100において生成された直流の充電電流を、制御回路基板60を介してバッテリ26へ供給する。
【0067】
図5を用いて、ACアダプタ100について説明する。図5は、第一実施形態に係る充電式クリーナの充電器の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。ACアダプタ100のアダプタケース102に収容された電子部品は、電流保護素子111と、ノイズフィルタ112と、入力整流平滑回路113と、スイッチング電源回路120と、出力整流平滑回路131と、電圧検出部132と、ノイズフィルタ133と、出力過電圧保護回路134と、電流検出部135と、フィードバック制御回路136と、出力電圧低下時電源137とを含む。
【0068】
電流保護素子111は、交流電源から過大な電流が供給されたことを検知すると、回路を遮断してバッテリ26の充電を停止する。
【0069】
ノイズフィルタ112は、電流保護素子111を通過した、交流電源から供給された交流に含まれるノイズを除去する。ノイズフィルタ112は、ラインフィルタである。
【0070】
入力整流平滑回路113は、ノイズフィルタ112を通過した、交流電源から供給された交流を直流に整流する。
【0071】
スイッチング電源回路120は、入力整流平滑回路113を通過して直流に整流された電源電圧を、バッテリ26の充電電圧に変換する。
【0072】
出力整流平滑回路131は、スイッチング電源回路120を通過して、電圧が変換された直流を平滑化する。
【0073】
ノイズフィルタ133は、出力整流平滑回路131を通過して、平滑化された直流のノイズを除去する。ノイズフィルタ133は、ラインフィルタである。
【0074】
出力過電圧保護回路134は、DCプラグ104から出力される直流の電圧を監視する。出力過電圧保護回路134は、過大な電圧が供給されたことを検知すると、回路を遮断してバッテリ26の充電を停止する。
【0075】
また、スイッチング電源回路120は、電圧検出部132と電流検出部135とによって、出力される直流の電圧と電流とを検出する。検出された電圧と電流とは、フィードバック制御回路136に入力されて、スイッチング電源回路120を介してフィードバック制御される。フィードバック制御回路136には、出力電圧低下時電源137が接続されている。
【0076】
次に、図6を用いて、充電式クリーナ10の充電方法について説明する。図6は、第一実施形態に係る充電式クリーナの充電方法の一例を示すフローチャートである。
【0077】
制御回路70は、モータ23の停止時、ACアダプタ100が接続された状態で、一時急速充電スイッチ53が操作されたかを判定する(ステップS100)。制御回路70は、一時急速充電スイッチ53が操作されたと判定すると(ステップS100でYes)、ステップS110に進む。制御回路70は、一時急速充電スイッチ53が操作されていないと判定すると(ステップS100でNo)、ステップS150に進む。
【0078】
制御回路70は、さらに、バッテリ26の残容量が閾値以下であるかを判定する(ステップS110)。制御回路70は、バッテリ26の残容量が閾値以下であると判定した場合(ステップS110でYes)、ステップS120に進む。例えば、バッテリ26の残容量の閾値は、バッテリ26がハイモード、ローモードまたはハイパワーモードで3分程度の使用ができない程度の容量である。例えば、バッテリ26の残容量の閾値は、定格容量の10%程度としてもよい。制御回路70は、バッテリ26の残容量が閾値以下ではないと判定した場合(ステップS110でNo)、ステップS150に進む。
【0079】
制御回路70は、さらに、一時急速充電の回数が閾値以下であるかを判定する(ステップS120)。例えば、制御回路70は、充電情報記憶部の充電情報に基づいて、一時急速充電を実行した回数が閾値以下であるかを判定する。制御回路70は、一時急速充電の回数が閾値以下であると判定した場合(ステップS120でYes)、ステップS130に進む。制御回路70は、一時急速充電の回数が閾値以下ではないと判定した場合(ステップS120でNo)、ステップS150に進む。ステップS120でNoとされた場合、音や光を発することによって、ユーザに警告情報を報知してもよい。
【0080】
制御回路70は、一時急速充電を実行する(ステップS130)。より詳しくは、制御回路70は、充電制御用FET64と充電保護用FET66とをオフ状態からオン状態に切り換えて、バッテリ26への一時急速充電を実行する。制御回路70は、一時急速充電に応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、充電制御用FET64に出力して、充電制御用FET64を制御する。制御回路70は、一時急速充電を実行すると、一時急速充電を実行した回数と時間間隔との少なくともどちらかを充電情報としてメモリに記憶する。
【0081】
制御回路70は、一時急速充電の完了条件を満たすかを判定する(ステップS140)。制御回路70は、バッテリ26の充電容量に関する情報に基づいて、一時急速充電の完了条件を判定する。バッテリ26の充電容量に関する情報とは、充電容量そのものに限らず、充電容量を算出可能な情報を含む。例えば、制御回路70は、例えば、一時急速充電を開始してからの経過時間と、バッテリ26の充電容量と、バッテリ26の電圧と、バッテリ26のセル電圧との少なくともいずれかに基づいて一時急速充電の完了条件を判定する。制御回路70は、一時急速充電の完了条件を満たすと判定した場合(ステップS140でYes)、ステップS150に進む。制御回路70は、一時急速充電の完了条件を満たさないと判定した場合(ステップS140でNo)、ステップS140の処理を再度実行する。
【0082】
例えば、制御回路70は、一時急速充電の完了条件を、一時急速充電を開始してからの経過時間が一時急速充電時間を経過したこととしてもよい。一時急速充電は定電流充電であるので、一定電流値に経過時間を乗算することで充電容量を算出可能である。一時急速充電時間は、あらかじめ設定してメモリに記憶する。
【0083】
図7に示すように、一時急速充電開始時のバッテリ26の残容量ごとに、一時急速充電時間を設定してもよい。図7は、バッテリの残容量ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。バッテリ26の残容量が少ないほど、一時急速充電時間が大きくなる。より詳しくは、制御回路70は、残容量がα11(%)以下であれば、一時急速充電時間をT11(sec)とする。制御回路70は、残容量がα11(%)より大きく、α12(%)以下であれば、一時急速充電時間をT12(<T11)(sec)とする。制御回路70は、残容量がα12(%)より大きければ、一時急速充電時間をT13(<T12)(sec)とする。
【0084】
または、図8に示すように、一時急速充電開始時のバッテリ26の電圧ごとに、一時急速充電時間を設定してもよい。バッテリ26の電圧が小さいほど、一時急速充電時間が大きくなる。より詳しくは、制御回路70は、バッテリ26の電圧がβ21(V)以下であれば、一時急速充電時間をT21(sec)とする。制御回路70は、バッテリ26の電圧がβ21(V)より大きく、β22(V)以下であれば、一時急速充電時間をT22(<T21)(sec)とする。制御回路70は、バッテリ26の電圧がβ22(V)より大きければ、一時急速充電時間をT23(<T22)(sec)とする。
【0085】
または、図9に示すように、一時急速充電開始時のバッテリ26のセル電圧ごとに、一時急速充電時間を設定してもよい。図9は、セル電圧ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。セル電圧が小さいほど、一時急速充電時間が大きくなる。より詳しくは、制御回路70は、セル電圧がβ31(V)以下であれば、一時急速充電時間をT31(sec)とする。制御回路70は、セル電圧がβ31(V)より大きく、β32(V)以下であれば、一時急速充電時間をT32(<T31)(sec)とする。制御回路70は、セル電圧がβ32(V)より大きければ、一時急速充電時間をT33(<T32)(sec)とする。
【0086】
さらに、例えば、制御回路70は、一時急速充電の完了条件を、バッテリ26の充電容量が所定時間の動作に必要なバッテリ26の容量以上であることとしてもよい。必要なバッテリ26の容量は、あらかじめ設定してメモリに記憶する。
【0087】
図10に示すように、直前の動作モードごとに、所定時間の動作に必要なバッテリ26の容量を設定してもよい。図10は、直前の動作モードごとに設定された、所定時間の動作に必要な容量の一例を示す図である。制御回路70は、吸込力情報記憶部に基づいて、直前の動作モードがローモードであれば、必要なバッテリ26の容量はS1とする。制御回路70は、吸込力情報記憶部に基づいて、直前の動作モードがハイモードであれば、必要なバッテリ26の容量はS2(>S1)とする。制御回路70は、吸込力情報記憶部に基づいて、直前の動作モードがハイパワーモードであれば、必要なバッテリ26の容量はS3(>S2)とする。
【0088】
さらに、例えば、制御回路70は、一時急速充電の完了条件を、バッテリ26の電圧が閾値以上であることとしてもよい。
【0089】
さらに、例えば、制御回路70は、一時急速充電の完了条件を、バッテリ26のセル電圧が閾値以上であることとしてもよい。
【0090】
制御回路70は、通常の充電を実行する(ステップS150)。より詳しくは、制御回路70は、直前のステップがステップS100またはステップS110またはステップS120であるときは、充電制御用FET64と充電保護用FET66とをオフ状態からオン状態に切り換えて、通常の充電に応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、充電制御用FET64に出力して、充電制御用FET64を制御する。制御回路70は、直前のステップがステップS140であるときは、制御回路70は、通常の充電に応じたデューティ比のパルス幅変調信号を生成し、充電制御用FET64に出力して、充電制御用FET64を制御する。定電流充電中に、バッテリ26からの出力電圧が上昇しはじめると、言い換えると、バッテリ26からの出力電圧が閾値電圧になると、一定電圧による定電圧充電に切り替える。これらにより、バッテリ26へ通常の充電を実行する。
【0091】
制御回路70は、充電の完了条件を満たすかを判定する(ステップS160)。制御回路70は、バッテリ26の充電容量に関する情報に基づいて、充電の完了条件を判定する。例えば、制御回路70は、例えば、充電を開始してからの経過時間と、バッテリ26の充電容量と、バッテリ26の電圧と、バッテリ26のセル電圧との少なくともいずれかに基づいて充電の完了条件を判定する。制御回路70は、充電の完了条件を満たすと判定した場合(ステップS160でYes)、充電を終了する。制御回路70は、充電の完了条件を満たさないと判定した場合(ステップS160でNo)、ステップS160の処理を再度実行する。
【0092】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザが本体ユニット20の一時急速充電スイッチ53を操作することによって、一時的に、通常の充電時の第一充電電流より大きい第二充電電流で充電し、短時間で使用可能な状態にすることができる。本実施形態によれば、清掃対象範囲の少しの範囲を残して充電切れになったようなとき、数10秒程度の短時間の充電で、やり残した範囲を清掃することができる。
【0093】
本実施形態は、ユーザが本体ユニット20の一時急速充電スイッチ53を操作しない限り、一時急速充電は実行されない。本実施形態によれば、不用意に、バッテリ26に通常より大きい第二充電電流を流して、バッテリ26の寿命に影響を与えることを抑制することができる。
【0094】
本実施形態によれば、一時急速充電を開始してからの経過時間と、バッテリ26の充電容量と、バッテリ26の電圧と、バッテリ26のセル電圧との少なくともいずれかに基づいて一時急速充電の完了条件を判定する。これにより、一時急速充電開始時のバッテリ26の状態に応じて、適切に充電することができる。
【0095】
本実施形態は、一時急速充電の回数をカウントし、回数が閾値以上であったり、短時間に繰り返して一時急速充電を行おうとしたりする場合、一時急速充電を行わずに通常充電を実行する。本実施形態によれば、一時急速充電を繰り返すことによって、バッテリ26の寿命に影響を与えることを抑制することができる。
【0096】
[第二実施形態]
図11ないし図14を参照しながら、本実施形態に係る充電式クリーナ10について説明する。図11は、第二実施形態に係る充電式クリーナの充電器の一例を示す斜視図である。図12は、第二実施形態に係る充電式クリーナの充電器の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。図13は、第二実施形態に係る充電式クリーナの充電方法の一例を示すフローチャートである。図14は、バッテリの容量ごとに設定された、一時急速充電時間の一例を示す図である。充電式クリーナ10は、基本的な構成は第一実施形態の充電式クリーナ10と同様である。以下の説明においては、充電式クリーナ10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、ACアダプタ100Aに一時急速充電スイッチ105が配置され、ACアダプタ100Aが充電電流を制御する点で、第一実施形態と異なる。本実施形態では、操作スイッチ50には、一時急速充電スイッチ53は配置されていない。
【0097】
ACアダプタ100Aは、外周に一時急速充電スイッチ105が配置されている。ACアダプタ100Aは、一時急速充電スイッチ105が操作されると、交流電源から供給された交流から、通常より大きい一定電流の直流を生成して、バッテリ26に供給する。
【0098】
一時急速充電スイッチ105は、一時急速充電を行うためにユーザによって押し操作されるスイッチである。一時急速充電スイッチ105は、押下されると、通常の充電時より大きな第二充電電流がACアダプタ100Aからバッテリ26に供給されるように制御する。一時急速充電スイッチ105は、押下されると、操作情報に応じた電気信号を制御回路140に出力する。
【0099】
ACアダプタ100Aは、電流保護素子111と、ノイズフィルタ112と、入力整流平滑回路113と、スイッチング電源回路120と、出力整流平滑回路131と、電圧検出部132と、ノイズフィルタ133と、出力過電圧保護回路134と、電流検出部135と、フィードバック制御回路136と、出力電圧低下時電源137とに加えて、制御回路140とを有する。ACアダプタ100Aは、バッテリ26から、バッテリ26の容量を取得可能とする。
【0100】
制御回路140は、演算処理を行うCPUと、プログラムを格納したメモリとを備える。制御回路140は、一時急速充電スイッチ105が操作されると、フィードバック制御回路136とスイッチング電源回路120とを介して、通常の充電時より大きい一定電流の第二充電電流が、DCプラグ104からバッテリ26に供給されるように制御する。
【0101】
次に、図13を用いて、充電式クリーナ10の充電方法について説明する。ステップS200、ステップS210ないしステップS250の処理は、図6に示すフローチャートのステップS100、S120ないしステップS160と同様の処理を行う。本実施形態では、制御回路140によって各ステップが実行される。
【0102】
制御回路140は、一時急速充電の完了条件を満たすかを判定する(ステップS230)。例えば、制御回路140は、例えば、一時急速充電を開始してからの経過時間に基づいて一時急速充電の完了条件を判定する。制御回路140は、一時急速充電の完了条件を満たすと判定した場合(ステップS230でYes)、ステップS240に進む。制御回路140は、一時急速充電の完了条件を満たさないと判定した場合(ステップS230でNo)、ステップS230の処理を再度実行する。
【0103】
図14に示すように、一時急速充電開始時のバッテリ26の定格容量ごとに、一時急速充電時間が設定されてメモリに記憶されている。バッテリ26の定格容量がα4(Ah)以下であれば、一時急速充電時間はT41(sec)とする。残容量がα4(Ah)より大きければ、一時急速充電時間はT42(>T41)(sec)とする。
【0104】
本実施形態によれば、ユーザがACアダプタ100Aの一時急速充電スイッチ105を操作することによって、一時的に、通常の充電時の第一充電電流より大きい第二充電電流で充電し、短時間で使用可能な状態にすることができる。本実施形態では、一時急速充電スイッチ105がACアダプタ100Aに配置されているので、操作スイッチ50に配置された他のスイッチと誤って操作することを抑制することができる。
【0105】
[第三実施形態]
図15を参照しながら、本実施形態に係る充電式クリーナ10について説明する。図15は、第三実施形態に係る充電式クリーナの充電方法の一例を示すフローチャートである。充電式クリーナ10は、基本的な構成は第一実施形態の充電式クリーナ10と同様である。本実施形態では、充電式クリーナ10は、一時急速充電スイッチを有していない点で、第一実施形態と異なる。
【0106】
制御回路70は、モータ23の停止時、ACアダプタ100が接続されて、バッテリ26の残容量が閾値以下である場合、一時急速充電を開始する。制御回路70は、モータ23の停止時、ACアダプタ100が接続されて、バッテリ26の残容量が閾値より大きい場合、通常の充電を開始する。閾値は、例えば、定格容量の10%である。
【0107】
次に、図15を用いて、充電式クリーナ10の充電方法について説明する。ステップS300ないしステップS350の処理は、図6に示すフローチャートのステップS110ないしステップS160と同様の処理を行う。
【0108】
本実施形態によれば、一時急速充電スイッチがなくても、一時急速充電開始条件を満たしていれば、一時急速充電を実行することができる。本実施形態によれば、ユーザはスイッチ操作をしなくてもよいので、一時急速充電を実行するための手間を削減することができる。
【0109】
上記では、一時急速充電が終了した際に、LED54の点灯状態を変えることによってユーザに報知するものとしたが、例えば、音声によってユーザに報知してもよい。
【0110】
[第四実施形態]
図16を参照しながら、本実施形態に係る充電式クリーナ10について説明する。図16は、第四実施形態に係る充電式クリーナの本体部の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。充電式クリーナ10は、基本的な構成は第一実施形態の充電式クリーナ10と同様である。本実施形態では、充電式クリーナ10は、制御回路基板60がDC-DCコンバータ90を有する点で、第一実施形態と異なる。
【0111】
DC-DCコンバータ90は、ACアダプタ100が出力した直流を、制御回路70からの信号に基づいて、所定の充電電圧または充電電流に変換する。DC-DCコンバータ90が変換した直流は、充電制御用FET64と充電保護用FET66とを介して、バッテリ26に供給される。
【0112】
制御回路70は、通常の充電時、DC-DCコンバータ90に対して第一充電電流の電流値の信号を出力する。これにより、バッテリ26には、第一充電電流が流れる。
【0113】
制御回路70は、通常の充電において一定電流による定電流充電中に、バッテリ26からの出力電圧が閾値電圧になると、DC-DCコンバータ90に対して、充電電圧を一定電圧にするよう電圧値の信号を出力する。
【0114】
制御回路70は、一時急速充電時、DC-DCコンバータ90に対して第二充電電流の電流値の信号を出力する。これにより、バッテリ26には、第二充電電流が流れる。
【0115】
制御回路70は、一時急速充電の完了条件を満たすと、DC-DCコンバータ90に対して第一充電電流の電流値の信号を出力する。
【0116】
本実施形態では、ACアダプタ100が出力した直流が、DC-DCコンバータ90によって、所定の充電電圧または充電電流に変換された後、充電制御用FET64と充電保護用FET66とを介して、バッテリ26に供給される。本実施形態によれば、通常充電時、瞬間的に大電流がバッテリ26に流れることを規制することができる。これにより、本実施形態によれば、通常充電時に不用意に大電流が流れて、バッテリ26の寿命に影響を与えることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0117】
10…充電式クリーナ、20…本体ユニット(本体部)、21…ケース(ハウジング)、22…吸込口、23…モータ、24…吸込用ファン、25…集塵フィルタ、26…バッテリ、261、262、263…セル、264…温度検出素子、27…ハンドル、28…DCジャック(端子部)、30…パイプユニット、31…パイプ部材、40…ノズルユニット、41…連結部、42…ヘッド部、50…操作スイッチ、51…駆動スイッチ(モード設定操作部)、52…停止スイッチ、53…一時急速充電スイッチ(充電設定操作部)、54…LED、60…制御回路基板、62…放電制御用FET、64…充電制御用FET、66…充電保護用FET、70…制御回路、72…セル電圧検出部、74…断線検出部、76…保護回路、78…抵抗、80…レギュレータ、82,84…ダイオード、100…ACアダプタ。
図1
図2
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図15
図16