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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】クリーナ
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20220711BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A47L9/00 H
A47L5/24 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018144478
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020018577
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩上 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小西 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】堀田 誠
(72)【発明者】
【氏名】森本 健太
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-017808(JP,U)
【文献】特開2018-084152(JP,A)
【文献】特開昭63-109300(JP,A)
【文献】実開昭56-167800(JP,U)
【文献】特開2018-017197(JP,A)
【文献】特開平08-154871(JP,A)
【文献】特開2004-000799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
A47L 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、
前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する整流部を有するモータベースと、
前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆い、前記モータ、前記吸込用ファン及び前記モータベースをハウジングに固定するファンカバーと、
を備え、
前記整流部は、空気の流路の径方向外側が、前記ファンカバーの内周面によって規定され、
前記ファンカバーは、円筒部と、前記円筒部の一方の端部に配置され、前記吸込用ファンと対面する蓋部と、を有し、
前記円筒部は、前記蓋部と反対側の端部が開口され、前記モータベースの周方向外側の端部と接することを特徴とするクリーナ。
【請求項2】
前記モータベースは、前記吸込用ファンの外径より大きい外径を有し、
前記整流部は、前記吸込用ファンより径方向外側に配置されている、
請求項1に記載のクリーナ。
【請求項3】
前記整流部は、前記モータの軸方向及び周方向に沿って傾斜した傾斜面、を有し、
前記傾斜面は、前記吸込用ファンから吹き出された空気を前記モータ側に案内する、
請求項2に記載のクリーナ。
【請求項4】
前記整流部は、前記傾斜面より径方向外側に突設されたストッパ部を有し、
前記ストッパ部は、前記ファンカバーの軸方向の端部と突き当たることによって、軸方向において、前記ファンカバーを位置決めする、
請求項3に記載のクリーナ。
【請求項5】
モータと、
前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、
前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する傾斜面を含む整流部を有するモータベースと、
前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、
を備え、
前記傾斜面は、前記モータの軸方向の高さが、4mm以上、9.5mm以下、より好ましくは、6mm以上、8mm以下である、
ことを特徴とするクリーナ。
【請求項6】
モータと、
前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、
前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する傾斜面を含む整流部を有するモータベースと、
前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、
を備え、
前記傾斜面は、内径側の角度が、14°以上、23.5°以下、より好ましくは、17°以上、22°以下である、
ことを特徴とするクリーナ。
【請求項7】
モータと、
前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、
前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する傾斜面を含む整流部を有するモータベースと、
前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、
を備え、
前記傾斜面は、外径側の角度が、11°以上、21°以下、より好ましくは、13°以上、18°以下である、
ことを特徴とするクリーナ。
【請求項8】
前記吸込用ファンの径は、75mm以上、90mm以下、より好ましくは、75mm以上、82mm以下である、
請求項5ないし7のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項9】
前記吸込用ファン回転数は、18000rpm以上、35000rpm以下、より好ましくは18000rpm以上、30000rpm以下である、
請求項5ないし8のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項10】
最大吸い込み仕事率は、30W以上、70W以下、より好ましくは、30W以上、60W以下である、
請求項5ないし9のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項11】
最大風量は、1m/min以上、2m/min以下、より好ましくは、1m/min以上、1.5m/min以下である、
請求項5ないし10のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項12】
最大真空度は、4kPa以上、10kPa以下、より好ましくは、4kPa以上、8kPa以下である、
請求項5ないし11のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項13】
前記傾斜面の数は、6枚以上、20枚以下、より好ましくは、10枚以上、16枚以下である、
請求項5ないし12のいずれか一項に記載のクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
モータによって吸込用ファンを回転させて、空気とともに塵埃を吸い込む、手持ち式のクリーナに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、モータが、モータベースに連結されている。モータに連結されたファンは、カップ状のバッフル体(ファンカバー)で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-205674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手持ち式のクリーナは、ユーザが手で持った状態で使用するので、小型化、軽量化が望まれる。
【0005】
本発明の態様は、小型化、軽量化されたクリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、モータと、前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する整流部を有するモータベースと、前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、を備え、前記整流部は、空気の流路の径方向外側が、前記ファンカバーの内周面によって規定される、クリーナが提供される。
【0007】
本発明の態様に従えば、モータと、前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する傾斜面を含む整流部を有するモータベースと、前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、を備え、前記傾斜面は、前記モータの軸方向の高さが、4mm以上、9.5mm以下、より好ましくは、6mm以上、8mm以下である、クリーナが提供される。
【0008】
本発明の態様に従えば、モータと、前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する傾斜面を含む整流部を有するモータベースと、前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、を備え、前記傾斜面は、内径側の角度が、14°以上、23.5°以下、より好ましくは、17°以上、22°以下である、クリーナが提供される。
【0009】
本発明の態様に従えば、モータと、前記モータに連結され、前記モータによって回転される吸込用ファンと、前記モータを支持し、前記吸込用ファンから吹き出された空気の流れを整流する傾斜面を含む整流部を有するモータベースと、前記吸込用ファンと前記モータベースの少なくとも一部とを覆うファンカバーと、を備え、前記傾斜面は、外径側の角度が、11°以上、21°以下、より好ましくは、13°以上、18°以下である、クリーナが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、小型化、軽量化が可能なクリーナが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第一実施形態に係るクリーナの一例を示す側面図である。
図2図2は、第一実施形態に係るクリーナの一例を示す断面図である。
図3図3は、第一実施形態に係る駆動ユニットの分解斜視図である。
図4図4は、第一実施形態に係る駆動ユニットの分解断面図である。
図5図5は、第一実施形態に係る駆動ユニットの断面図である。
図6図6は、第一実施形態に係る駆動ユニットの斜視図である。
図7図7は、第二実施形態に係る駆動ユニットの斜視図であり、ファンカバーを外した状態の図である。
図8図8は、第二実施形態に係る駆動ユニットの正面図であり、ファンカバーを外した状態の図である。
図9図9は、第二実施形態に係る駆動ユニットの側面図である。
図10図10は、第二実施形態に係る駆動ユニットの断面図である。
図11図11は、第二実施形態に係るモータベースの形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、または実質的に同一のものを含む。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0013】
以下の説明においては、X軸方向を、「前後方向」とする。Y軸方向を、「左右方向」とする。Y軸方向とは、X軸方向に対して水平面内において直交する方向である。前後方向「前」側へ向かって、左手側が「左」、右手側が「右」である。Z軸方向を、「上下方向」とする。Z軸方向とは、X軸方向及びY軸方向に対して直交する方向である。
【0014】
[第一実施形態]
図1図2を参照して、クリーナ10の概要について説明する。図1は、第一実施形態に係るクリーナの一例を示す側面図である。図2は、第一実施形態に係るクリーナの一例を示す断面図である。本実施形態では、クリーナ10は、充電式のバッテリパック(以下、「バッテリ」という。)100から電力が供給されて動作する。
【0015】
クリーナ10は、吸込力を生じさせて、空気とともに塵埃を吸い込む。クリーナ10は、本体部11と、ハンドル部12と、吸込ノズル部13と、バッテリ装着部14と、トリガスイッチ15と、駆動ユニット20と、バッテリ100とを備える。
【0016】
本体部11は、後ハウジング111と、前ハウジング112と、排気口113と、樹脂リブ114と、フィルタ115とを有する。
【0017】
後ハウジング111は、前ハウジング112とともに本体部11の外形を規定する。後ハウジング111は、前側が開口した筒状に形成されている。後ハウジング111は、図示しない制御回路と、駆動ユニット20とを収容する。後ハウジング111には、排気口113が配置されている。
【0018】
前ハウジング112は、後側が開口した筒状に形成されている。前ハウジング112は、後ハウジング111の前側の開口に着脱可能である。前ハウジング112には、フィルタ115が収容されている。前ハウジング112は、吸込用ファン40の駆動時、吸込ノズル部13から吸い込んだ空気に含まれる塵埃を内部に留めおく。前ハウジング112を通過した空気は、フィルタ115を通過して、駆動ユニット20に流入する。前ハウジング112を後ハウジング111から取り外した状態で、前ハウジング112の内部に溜まった塵埃を除去可能である。
【0019】
排気口113は、後ハウジング111の側面に配置されている。排気口113は、後ハウジング111の外部と内部とを連通する。排気口113は、吸込ノズル部13から吸い込んだ空気を後ハウジング111の外部へ排出する。排気口113は、複数のスリット1131を含む。本実施形態では、スリット1131は、前後方向に沿って形成された長孔である。
【0020】
フィルタ115は、複数の樹脂リブ114の外周側に配置されている。フィルタ115は、吸い込んだ空気に含まれる塵埃を除去する。フィルタ115は、一方が開口し、他方の端部が閉じた筒状に形成されている。フィルタ115は、前ハウジング112の内部に収容されている。フィルタ115は、吸込ノズル部13の後側で、駆動ユニット20の吸込用ファン40の前側に配置されている。フィルタ115は、開口が吸込用ファン40の前側に面している。フィルタ115は、吸込ノズル部13から吸い込んだ空気を通過させ、空気に含まれる塵埃を前ハウジング112の内部に留めおく。フィルタ115は、吸い込んだ空気に含まれる塵埃が前ハウジング112から後ハウジング111へ流入するのを規制する。フィルタ115を通過した空気は、駆動ユニット20の内部を通過して排気口113から排出される。フィルタ115は、前ハウジング112を後ハウジング111から取り外した状態で、装着と取外しとが可能である。
【0021】
ハンドル部12は、ユーザが把持する把持部である。ハンドル部12は、前ハウジング112の後側で、後ハウジング111の上側に配置されている。ハンドル部12は、ハンドル部12の外形を規定するハンドルハウジング121と、バッテリ装着ハウジング122とを有する。
【0022】
吸込ノズル部13は、空気とともに塵埃を前ハウジング112へ吸い込む吸込み口である。吸込ノズル部13は、前ハウジング112の外部と内部とを連通する。吸込ノズル部13は、前ハウジング112の前側の端部に配置されている。吸込ノズル部13は、吸込用ファン40が回転することにより、外部の空気を前ハウジング112の内部に吸い込む。
【0023】
バッテリ装着部14について説明する。バッテリ装着部14は、ハンドル部12の下側に配置される。バッテリ装着部14は、バッテリ100が着脱可能である。バッテリ装着部14は、バッテリ100が装着される装着面14Fを有する。バッテリ装着部14は、ハンドルハウジング121の下側に配置されるバッテリ装着ハウジング122を含む。
【0024】
装着面14Fは、下方を向くバッテリ装着部14の下面を含む。バッテリ装着部14は、接続端子を有する。接続端子は、バッテリ装着部14の装着面14Fに配置されたガイドレールの近傍に配置される。
【0025】
バッテリ100は、充電式のバッテリである。バッテリ100は、クリーナ10のモータ30に電力を供給する。バッテリ100は、複数のセルが電気的に接続されて形成されている。
【0026】
バッテリ100は、バッテリ端子を有する。バッテリ端子は、バッテリ100の上面に配置される。バッテリ100は、バッテリ100の後部において上側に隆起する隆起部101を有する。
【0027】
バッテリ100は、バッテリ装着部14に着脱可能である。バッテリ100をバッテリ装着部14に装着するとき、バッテリ100の上面と装着面14Fとが対向するように、バッテリ100をバッテリ装着部14の後方から前方へスライドさせる。バッテリ100をスライドさせることによって、隆起部101の前部が、バッテリ装着部14の後部に当接する。また、バッテリ100の上面にはバッテリ100の上面から突出するバッテリ爪102が設けられる。バッテリ爪102は、弾性部材により上側に付勢される。バッテリ爪102は、バッテリ装着部14の後部に設けられたバッテリ装着凹部に挿入される。これにより、バッテリ100とバッテリ装着部14とが位置決めされ、バッテリ100がバッテリ装着部14に装着される。
【0028】
バッテリ100がバッテリ装着部14に装着された状態において、バッテリ100の上面と装着面14Fとが対向する。また、バッテリ100がバッテリ装着部14に装着された状態において、バッテリ端子と接続端子とが電気的に接続される。これにより、バッテリ100とバッテリ装着部14に設けられるターミナルとが電気的に接続される。ターミナルは、制御回路と電気的に接続される。
【0029】
バッテリ装着部14からバッテリ100を外すとき、バッテリボタン103が操作される。バッテリボタン103は、バッテリ爪102と一体の樹脂部材で形成されている。バッテリ爪102及びバッテリボタン103は、弾性部材によって上方に付勢されている。バッテリボタン103が下方へと押されると、弾性部材が弾性変形して、バッテリ爪102及びバッテリボタン103は、下方へと移動する。バッテリボタン103が操作されることにより、バッテリ爪102がバッテリ装着凹部から外れ、バッテリ装着部14からバッテリ100が解放される。バッテリ装着部14に装着されたバッテリ100を後側にスライドさせることによって、バッテリ装着部14からバッテリ100が外される。
【0030】
トリガスイッチ15は、引き込み操作によってクリーナ10の起動と停止とを切り替える。より詳しくは、トリガスイッチ15は、引き込み操作によってモータ30の起動と停止とを切り替える。トリガスイッチ15は、+X側のハンドル部12の前部で、-Z側のハンドル部12の下部に配置される。トリガスイッチ15は、トリガ操作部材151を有する。
【0031】
トリガ操作部材151は、トリガスイッチ15においてユーザが操作する部材である。トリガ操作部材151は、ハンドル部12に対して引き込み操作が可能なトリガ型の操作部材である。トリガ操作部材151は、ハンドル部12に配置される。より詳しくは、トリガ操作部材151は、+X側のハンドル部12の前部で、-Z側のハンドル部12の下部に配置される。
【0032】
トリガ操作部材151は、ユーザがハンドル部12を握った状態で、上方に引き上げられると、モータ30への通電が開始される。トリガ操作部材151は、ユーザが手指を離すと、図示しない弾性部材の弾性力により、元の位置に復帰して、モータ30への通電が停止される。
【0033】
図1ないし図6を用いて、駆動ユニット20について説明する。図3は、第一実施形態に係る駆動ユニットの分解斜視図である。図4は、第一実施形態に係る駆動ユニットの分解断面図である。図5は、第一実施形態に係る駆動ユニットの断面図である。図6は、第一実施形態に係る駆動ユニットの斜視図である。駆動ユニット20は、空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせる。駆動ユニット20は、後ハウジング111の内部に収容される。駆動ユニット20は、モータ30と、吸込用ファン40と、モータベース50と、ファンカバー60と、防振ゴム70とを有する。
【0034】
モータ30は、回転することによって吸込用ファン40を回転させる。モータ30は、バッテリ100から供給される電力によって回転する。モータ30は、出力軸31を介して吸込用ファン40と連結されている。モータ30は、吸込用ファン40より後側に配置されている。
【0035】
吸込用ファン40は、モータ30が回転することによって空気とともに塵埃を吸込可能な吸込力を生じさせる。言い換えると、吸込用ファン40は、空気とともに塵埃を吸込可能な空気の流れを生じさせる。吸込用ファン40は、モータ30より前側で、フィルタ115より後側に配置されている。吸込用ファン40は、モータ30の出力軸31と連結されている。吸込用ファン40は、モータ30が回転すると回転する。吸込用ファン40が回転すると、外部の空気が吸込ノズル部13から前ハウジング112を通過して後ハウジング111の内部に吸い込まれる。本実施形態では、吸込用ファン40は、遠心ファンである。吸込用ファン40は、一対の壁部41と、複数の羽根42とを有する。
【0036】
一対の壁部41は、軸方向に間隔を空けて配置されている。一対の壁部41は、向かい合って配置されている。前側に配置された壁部41は、中央部に円形の開口43を有する。後側に配置された壁部41は、円板状に形成されている。開口43は、空気の吸込口である。
【0037】
羽根42は、開口43から吸い込んだ空気を径方向外側から外部に吹き出す。羽根42は、一対の壁部41の間に配置されている。羽根42は、径方向内側から径方向外側に延びている。羽根42は、モータ30の出力軸31を中心にして、周方向に間隔を空けて複数が配置されている。羽根42は、後側の壁部41と一体に形成されている。羽根42は、径方向内側が開口43に面している。羽根42は、径方向外側が露出している。
【0038】
隣接する羽根42の外径側の端部と、一対の壁部41の外径側の端部とで吹出口44が規定される。吹出口44は、空気を外部に吹き出す。吹出口44は、周方向に間隔を空けて複数が形成される。
【0039】
モータベース50は、モータ30を後ハウジング111に固定する部材である。モータベース50は、ベース部51と、整流部53と、突起部58と、挿通孔59とを有する。
【0040】
ベース部51は、円形の板材で形成されている。ベース部51の直径は、吸込用ファン40の後側の壁部41の直径と同じである。ベース部51は、吸込用ファン40の後側の壁部41と向かい合って配置される。ベース部51は、一対の挿通孔511を有する。挿通孔511は、モータ30をベース部51に組み付ける際に雄ねじ39が挿通される。
【0041】
整流部53は、吸込用ファン40の吹出口44から径方向外側に吹き出された空気が後側に向かって流れるように整流する。整流部53は、周方向に間隔を空けて複数配置されている。本実施形態では、整流部53は、ベース部51の表面51aと反対側の裏面51bの周縁部から後側に立設されている。本実施形態では、整流部53は、10個配置される。整流部53は、内径側壁部54と、傾斜部55と、外径側壁部56と、ストッパ部57とを有する。内径側壁部54と傾斜部55と外径側壁部56とストッパ部57とは、一体に形成されている。なお、ベース部51の表面51aと裏面51bとは、ほぼ同じ方向に延びている。
【0042】
この中で、特に、内径側壁部54は、ベース部51の裏面51bの周縁部から後側に立設されている。内径側壁部54は、ベース部51の外径と同じ外径を有する円筒の周面を、扇形状に切り取った形状である。内径側壁部54の後側の周縁部541は、周方向の一方の端部から他方の端部に向かうにつれて、ベース部51の裏面51bから離間する。
【0043】
傾斜部55は、周方向に沿って配置されている。傾斜部55は、軸方向に面した傾斜面55Fを有する。傾斜面55Fは、内径側壁部54の後側の周縁部541から径方向外側に延びる。傾斜面55Fは、周方向の一方の端部から他方の端部に向かうにつれて、ベース部51の裏面51bから離間する。傾斜面55Fは、周方向の一方の端部に、リブ551を有する。
【0044】
外径側壁部56は、傾斜面55Fの径方向外側の周縁部552から後側に立設されている。外径側壁部56は、傾斜面55Fの外径と同じ外径を有する円筒の周面を、傾斜面55Fの長さに応じて台形状に切り取った形状である。外径側壁部56の外周面は、ファンカバ-60の円筒部61の内周面と向かい合う。外径側壁部56の後側の周縁部561は、ベース部51の裏面51bから同じ距離に位置する。
【0045】
ストッパ部57は、モータベース50にファンカバー60を組み付ける際に、ファンカバ-60を位置決めする。ストッパ部57は、外径側壁部56の後側の周縁部561から径方向外側に突設されている。ストッパ部57は、ベース部51の裏面51bから同じ距離に位置する。ストッパ部57は、外径側壁部56との段差面である突当面57Fを有する。
【0046】
突当面57Fは、軸方向に面している。突当面57Fには、ファンカバー60の円筒部61の後側の端部が突き当てられる。突当面57Fに円筒部61の後側の端部が突き当てられることにより、モータベース50とファンカバー60との間隔が適切に保持される。これにより、吸込用ファン40とファンカバー60との間隔が適切に保持される。
【0047】
このように構成された整流部53において、内径側壁部54と、傾斜面55Fと、ファンカバー60の円筒部61の内周面とによって規定される空間が、空気の流路になる。
【0048】
突起部58は、複数の整流部53のうちの1つの整流部53の外径側壁部56に突設される。突起部58は、モータベース50とファンカバー60との位置決めに使用する。突起部58は、前側から後側に向かうにつれて径方向の高さが高くなるテーパ状に形成されている。突起部58は、ファンカバー60の係合孔612と係合する。突起部58は、径方向の高さが高い所で、ファンカバー60の係合孔612の径方向の高さと同程度の径方向の高さを有する。
【0049】
挿通孔59は、モータ30の出力軸31と軸受32とが挿通される。挿通孔59は、ベース部51の中央部を軸方向に貫通している。
【0050】
ファンカバー60は、駆動ユニット20の外形を規定する。ファンカバー60は、モータ30の少なくとも一部と、吸込用ファン40と、モータベース50とを内部に収容する。ファンカバー60は、駆動ユニット20を後ハウジング111に固定する部材である。ファンカバー60は、円筒部61と、蓋部62と、小径部63と、突起部64と、吸込口65とを有する。円筒部61と蓋部62と小径部63とは、一体に形成される。
【0051】
円筒部61は、円筒状に形成されている。円筒部61は、軸方向の両側の端部が開口している。円筒部61の内径d1は、モータベース50の整流部53の外径、言い換えると、モータベース50の中心を挟んで向かい合う2つの整流部53の傾斜部55の径方向外側の端部間の距離d2と同じである。円筒部61は、後側の端部がモータベース50のストッパ部57の突当面57Fに突き当たる。円筒部61の内側には、モータ30の少なくとも一部と、吸込用ファン40の少なくとも一部と、モータベース50の少なくとも一部とを収容する。円筒部61の内周面は、モータベース50の整流部53の空気の流路の径方向外側の周面としての機能を有する。
【0052】
円筒部61は、後側の端部から後側に突設された係合部611を有する。係合部611は、隣接する整流部53のストッパ部57間に位置する。
【0053】
蓋部62は、円筒部61の前側の開口から前側に延びている。蓋部62は、円筒部61と同軸上に配置される。蓋部62は、軸方向の両側の端部が開口している。蓋部62は、後側から前側に向かうにつれて縮径されている。蓋部62の内側には、吸込用ファン40の前側の一部を収容する。
【0054】
小径部63は、蓋部62の前側の開口から前側に延びている。小径部63は、円筒部61より小さい内径d3を有する円筒状に形成されている。小径部63は、円筒部61と同軸上に配置される。小径部63は、軸方向の両側の端部が開口している。小径部63は、吸込用ファン40の開口43の内径d4以上の内径d3を有する。本実施形態では、小径部63の内径d3は、開口43の内径d4より大きい。小径部63は、内側にリブ631及びリブ632が配置される。リブ631は、小径部63と同心の円筒状に形成されている。リブ632は、径方向内側のリブ631から小径部63の内周面まで放射状に配置される。リブ632は、径方向に延びる板状に形成されている。
【0055】
突起部64は、円筒部61の外周面に突設される。
【0056】
吸込口65は、前ハウジング112を通過した空気をファンカバー60の内部に吸い込む。吸込口65は、フィルタ115の開口に面している。吸込口65は、小径部63の前側の端部の開口である。吸込口65から吸い込まれた空気は、吸込用ファン40の開口43に向かって流れる。
【0057】
防振ゴム70は、モータ30から後ハウジング111及びハンドルハウジング121に伝達される振動を低減する。防振ゴム70は、ファンカバー60の外周の一部を覆うカバー状の弾性部材である。防振ゴム70は、モータベース50とファンカバー60とが、後ハウジング111に直接接触することを規制する。防振ゴム70は、吸込用ファン40の回転によって生じる負圧によって、後ハウジング111の前側の周縁部に押し付けられてシールする。
【0058】
このように構成されたモータ30と吸込用ファン40とモータベース50とファンカバー60と防振ゴム70とが一体に組み付けられて駆動ユニット20が構成される。より詳しくは、モータベース50の挿通孔511に雄ねじ39を挿通して、モータ30の雌ねじ33に締結することによって、モータベース50にモータ30が組み付けられる。モータベース50の表面51aから突出したモータ30の出力軸31が、吸込用ファン40の軸受45によって支持されて、モータ30及びモータベース50と、吸込用ファン40とが組み付けられる。さらに、モータベース50の突起部58とファンカバー60の係合孔612とが係合されて、モータ30と吸込用ファン40とモータベース50とに、ファンカバー60が組み付けられる。さらに、ファンカバー60を覆うように防振ゴム70が組み付けられる。このようにして、駆動ユニット20が構成される。
【0059】
次に、クリーナ10の作用について説明する。
【0060】
クリーナ10が起動している間、モータ30がバッテリ100から供給される電力によって回転する。モータ30の回転に連動して、出力軸31を介して、吸込用ファン40が回転する。吸込用ファン40が回転すると、外部の空気が吸込ノズル部13から前ハウジング112を通過して後ハウジング111の内部に吸い込まれる。また、吸込用ファン40が回転すると、防振ゴム70が負圧によって後ハウジング111の前側の周縁部に押し付けられて、後ハウジング111の前側の周縁部と駆動ユニット20との隙間がシールされる。
【0061】
前ハウジング112を通過した空気は、吸込口65から、ファンカバー60の内部に吸い込まれる。ファンカバー60の小径部63を通過した空気は、開口43から吸込用ファン40の内部に吸い込まれる。吸込用ファン40の内部を通過した空気は、吹出口44を介して吸込用ファン40の径方向外側に吹き出される。吸込用ファン40の外部に吹き出された空気は、円筒部61と蓋部62とによって規定されるファンカバー60の内周面に沿って、後方のモータベース50に向かって流れる。モータベース50に到達した空気は、整流部53の傾斜面55Fに案内されて、後側に流れる。
【0062】
このように駆動ユニット20を通過した空気は、排気口113から外部に排出される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態は、円筒部61の内周面は、モータベース50の整流部53の空気の流路の径方向外側の周面として機能する。本実施形態は、モータベース50の整流部53において、内径側壁部54と傾斜面55Fとファンカバー60の円筒部61の内周面とによって規定される空間が、空気の流路になる。これにより、本実施形態は、整流部53には、空気の流路の径方向外側の周面を規定するための部材を設けなくてもよい。本実施形態によれば、モータベース50の整流部53の外径を、整流部53に空気の流路の径方向外側の周面を規定する円筒状の部材を設ける場合に比べて、円筒状の部材の厚さ分だけ小さくすることができる。本実施形態によれば、ファンカバー60の外径を、モータベース50の外径に合わせて小さくすることができる。
【0064】
これに対して、モータベース50の整流部53に、空気の流路の径方向外側の周面を規定するための円筒状の部材を設ける場合、ファンカバー60の円筒部61の内径d1が、円筒状の部材の厚さ分、大きくなる。また、ファンカバー60の円筒部61の全周において、円筒部61の内周面が円筒状の部材と接触する。これらにより、駆動ユニットの小型化、軽量化において、改善の余地がある。
【0065】
このようにして、本実施形態は、駆動ユニット20を小型化することにより、クリーナ10を軽量化することができる。
【0066】
本実施形態は、ファンカバー60の外径が小さくなるので、後ハウジング111の内部において、駆動ユニット20の外周面と後ハウジング111の内周面との間にスペースを確保することができる。本実施形態では、駆動ユニット20の外周面に生じたスペースを利用して、防振ゴム70の厚さを厚くして、防振性能を向上することも可能である。
【0067】
[第二実施形態]
図7ないし図11を参照しながら、本実施形態に係るクリーナ10について説明する。図7は、第二実施形態に係る駆動ユニットの斜視図であり、ファンカバーを外した状態の図である。図8は、第二実施形態に係る駆動ユニットの正面図であり、ファンカバーを外した状態の図である。図9は、第二実施形態に係る駆動ユニットの側面図である。図10は、第二実施形態に係る駆動ユニットの断面図である。図11は、第二実施形態に係るモータベースの形状を説明する図である。クリーナ10は、基本的な構成は第一実施形態のクリーナ10と同様である。以下の説明においては、クリーナ10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、モータベース50Aの整流部53Aの構成が第一実施形態と異なる。モータベース50Aは、ベース部51と、整流部53Aと、外径側壁部56Aと、突起部64と、挿通孔59とを有する。
【0068】
整流部53Aは、内径側壁部54Aと、傾斜部55Aとを有する。
【0069】
外径側壁部56Aの形状は、第一実施形態と異なる。外径側壁部56Aは、モータベース50に対して1つである。外径側壁部56Aは、傾斜面55FAの外径よりわずかに大きい外径を有する円筒状に形成されている。第一実施形態の外径側壁部56が整流部53ごとに独立していたのに対して、本実施形態の外径側壁部56Aは全周に亘って形成されている。外径側壁部56Aは、ファンカバー60の円筒部61の大径部613の内周面と全周において向かい合う。
【0070】
次に、このように構成される整流部53Aの傾斜面55FAの形状、寸法について説明する。
【0071】
まず、本実施形態の整流部53Aの傾斜面55FAを含む傾斜部55Aを適用するクリーナ10の前提条件に付いて説明する。クリーナ10は、(前提1)ないし(前提6)の少なくとも1つを満たす。
【0072】
(前提1)吸込用ファン40の径は、75mm以上、90mm以下、より好ましくは、75mm以上、82mm以下である。
【0073】
(前提2)吸込用ファン40の回転数は、18000rpm以上、35000rpm以下、より好ましくは18000rpm以上、30000rpm以下である。
【0074】
(前提3)クリーナの最大吸い込み仕事率は、30W以上、70W以下、より好ましくは、30W以上、65W以下である。
【0075】
(前提4)最大風量は、1m/min以上、2m/min以下、より好ましくは、1m/min以上、1.5m/min以下である。
【0076】
(前提5)最大真空度は、4kPa以上、10kPa以下、より好ましくは、4kPa以上、8kPa以下である。
【0077】
(前提6)モータベース50に配置する傾斜面55FAの数は、6枚以上、20枚以下、より好ましくは、10枚以上、16枚以下である。
【0078】
(前提1)ないし(前提6)の少なくとも1つを満たすクリーナ10において、整流部53Aの傾斜部55Aの傾斜面55FAは、(条件1)ないし(条件4)の少なくとも1つを満たすように設定する。
【0079】
(条件1)傾斜面55FAの軸方向の高さは、4mm以上、9.5mm以下、より好ましくは、6mm以上、8mm以下である。
【0080】
(条件2)図11に示す傾斜面55FAの内径側の角度θ1は、14°以上、23.5°以下、より好ましくは、17°以上、22°以下である。
【0081】
(条件3)図11に示す傾斜面55FAの外径側の角度θ2は、11°以上、21°以下、より好ましくは、13°以上、18°以下である。
【0082】
(条件4)傾斜面55FAのリードは、60mm以上、120mm以下、より好ましくは、70mm以上、110mm以下である。
【0083】
さらに、整流部53Aは、以下の条件を満たす。
【0084】
整流部53Aが形成する流路の内径、言い換えると、内径側壁部54の外径は、78mm以上、90mm以下、より好ましくは、78mm以上、85mm以下である。
【0085】
整流部53Aが形成する流路の外径、言い換えると、外径側壁部56Aの内径は、85mm以上、100mm以下、より好ましくは、95mm以上、100mm以下である。
【0086】
このように形状、寸法が設定されたモータベース50Aを有するクリーナ10は、最大吸い込み仕事率が5%程度ないし10%程度向上する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態では、最大吸い込み仕事率を向上することができる。しかも、本実施形態は、傾斜面55FAの軸方向の高さが小さくなる。これにより、本実施形態は、モータベース50Aの軸方向の高さが小さくなるので、駆動ユニット20を小型化、軽量化することができる。
【0088】
第二実施形態では、第一実施形態と異なる形状のモータベース50Aの傾斜面55FAを含む傾斜部55Aについて説明したが、第二実施形態の形状、寸法の傾斜面55FAを含む傾斜部55Aを第一実施形態に適用してもよい。これにより、駆動ユニット20をより小型化、軽量化することができる。
【0089】
バッテリ100は、後ハウジング111の内部または外部に着脱可能であっても、着脱不可能に組み付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…クリーナ、11…本体部、111…後ハウジング、112…前ハウジング、113…排気口、114…樹脂リブ、115…フィルタ、12…ハンドル部、121…ハンドルハウジング、13…吸込ノズル部、14…バッテリ装着部、15…トリガスイッチ、151…トリガ操作部材、20…駆動ユニット、30…モータ、31…出力軸、40…吸込用ファン、42…羽根、50…モータベース、53…整流部、55…傾斜部、55F…傾斜面、57…ストッパ部、58…突起部、60…ファンカバー、70…防振ゴム、100…バッテリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11