(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20220711BHJP
G01N 21/954 20060101ALI20220711BHJP
B61B 13/10 20060101ALI20220711BHJP
F16L 55/32 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G01N21/84 B
G01N21/954 A
B61B13/10
F16L55/32
(21)【出願番号】P 2018156522
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000220620
【氏名又は名称】東芝テリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諒
(72)【発明者】
【氏名】日原 大知
(72)【発明者】
【氏名】井手 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 祥典
(72)【発明者】
【氏名】石川 隆博
(72)【発明者】
【氏名】那須川 慎介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 芳和
(72)【発明者】
【氏名】岩元 英之
(72)【発明者】
【氏名】井原 博人
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-068452(JP,A)
【文献】国際公開第2015/196297(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
B61B 13/10
F16L 55/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内検査を行なう第1自走車と第2自走車を連結する連結装置であり、
軸方向に交差して配置された面を有し、前記面の中央側に前記第1自走車と接続するための接続手段を備え、前記面の外周側に前記軸方向に設けられた複数のねじ貫通孔を備える第1ホルダと、
前記第1ホルダと略平行に配置される面を有し、前記面の中央側に前記第2自走車と前記接続手段を接続する中継接続具が侵入する侵入貫通孔を備え、前記複数のねじ貫通孔に対応した各位置に前記軸方向に設けられたねじ螺合部を備える第2ホルダと、
前記ねじ貫通孔の中に前記軸方向に起立して設けられ、基端側の径より先端部の径が細く形成され、スペーサとして機能するガイド筒と、
前記第1ホルダと前記第2ホルダの間に配置され、前記ねじ貫通孔および前記ねじ螺合部に対応し
前記ガイド筒が貫通する中間貫通孔を備え
、前記中継接続具が通過する中継貫通孔を備える弾性パッキンと、
前記第1ホルダと前記弾性パッキンと前記第2ホルダとを順次配置した状態で、前記弾性パッキンに前記軸方向へ与圧を掛けるように、前記ねじ貫通孔、前記中間貫通
孔を介して前記ねじ螺合部に螺合されて、前記第1ホルダと前記第2ホルダとを締め付けるねじとを有し、
前記ガイド筒の前記先端部は前記第1ホルダの前記ねじ貫通孔を貫通し、前記先端部と前記第1ホルダおよび前記弾性パッキンの間に空間が設けられ
る、連結装置。
【請求項2】
前記ガイド筒の前記先端部は、前記ねじ貫通孔の部分では、前記ねじ貫通孔の径より細い径の部分を形成し、前記ガイド筒の前記基端側の径の大きさは、前記ねじ貫通孔の径より大きく、前記第1ホルダの傾きの程度を制限するストッパーとして機能す
る、請求項1記載の連結装置。
【請求項3】
前記弾性パッキンは、その外周側に厚み方向の硬度が異なる複数の領域を分布させている、請求項1記載の連結装置。
【請求項4】
前記弾性パッキンは、前記複数の領域の一部が、前記軸方向と交差する第1方向において、一方と他方に位置し、前記第1方向と交差する第2方向においても、前記軸方向と交差する一方と他方に位置し、前記第1方向の領域と、前記第2方向の領域の硬度が異なる
、請求項3記載の連結装置。
【請求項5】
前記弾性パッキンの前記複数の領域は、前記第1及び第2自走車の下部と上部に対応する第1の複数領域と、前記上部と下部方向に交差する左側部と右側部に対応する第2の複数領域であり、前記第2の複数領域の硬度が、前記第1の複数領域の硬度よりも弱く構成されている
、請求項3記載の連結装置。
【請求項6】
前記弾性パッキンは、貯水用の空洞を備える
、請求項1記載の連結装置。
【請求項7】
前記弾性パッキンは、前記軸方向のすくな
くとも一方の面において、前記中継
貫通孔の周囲に溝が形成されると共に、この溝につながる空洞が形成されている、請求項1記載の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ガス管、水道管、電線管等を検査するのに用いられる例えば連結自走車に使用される連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からガス管、水道管、電線管等を検査する、いわゆる管内検査装置がある。この管内検査装置は、自走車の先頭にカメラを搭載している。カメラで撮像された画像データは、自走車に先端が取り付けられたケーブルを介して伝送される。ケーブルは、ドラム装置のドラムに巻回されている。自走車が管内に侵入するときは、該ケーブルを自走車が牽引し、該ケーブルがドラムから解かれる。自走車が管内から引き出されるときは、該ケーブルがドラムに巻き取られ、該自走車がケーブルにより牽引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-153458号公報
【文献】特開2001-349844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自走車は、被検査管に侵入するのであるが、最近では管の入り口から撮影箇所までの距離が従来に比べて格段と長くなっている。このために、被検査管の奥深く自走車が侵入するに従い、ケーブルの長さも長くなりかつ重量も大きくなる。ケーブルが長くかつ重量も大きくなると、自走車の牽引力が不足する。
【0005】
そこで、自走車を複数台連結して牽引力を強くする手法がとられている。しかし、被検査管の内部には、様々な環境がある。管内を進行したり、後退したりする仮定において、管内検査装置は、管の屈曲部、管内の水たまり、温度や圧力の変化を伴う区間などを通過することになる。このために、管内検査を行う自走車は、気圧、水圧などに耐え得るとともに、管の屈曲部をスムーズに通過することが要求される。
【0006】
しかし自走車が複数台連結された場合、気圧、水圧などに耐え得ること、管の屈曲部をスムーズに通過することに関して、自走車の連結部で問題を生じることがある。例えば、管の屈曲部で、連結自走車が容易に通過できないこともある。
そこで、本実施形態は、連結される複数の自走車の走行を円滑にする連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、管内検査を行なう第1自走車と第2自走車を連結する連結装置60が連結する。第1ホルダ601は、前記第1自走車と接続するための接続手段を備え、また複数のねじ貫通孔を備える。第2ホルダ650は、前記第2自走車と前記接続手段を接続する中継接続具が侵入する侵入貫通孔を備え、またねじ螺合部を備える。ガイド筒g1~g6は、基端側の径より先端部の径が細く形成され、スペーサとして機能する。弾性パッキン620は、中間貫通孔b1~b6を備え、且つ前記中継接続具が通過する中継貫通孔625を備える。そしてねじe1~e4は、前記弾性パッキンに与圧を掛け、前記第1ホルダと前記第2ホルダとを締め付ける。ここで、前記ガイド筒の前記先端部の通過部では前記第1ホルダおよび前記弾性パッキンの間に空間が設けられる連結装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、一実施形態が適用された管内検査装置の概要を示す平面図である。
【
図1B】
図1Bは、一実施形態が適用された管内検査装置の概要を示す側面図である。
【
図1C】
図1Cは、一実施形態が適用された管内検査装置の概要を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、管内検査装置が被検査管の内部に侵入している様子を示す図である。
【
図3】
図3は、管内検査装置が被検査管の内部で曲り部分を侵入している様子を示す図である。
【
図4】第2連結部40の連結装置を取り出して示し、分解した状態と組み立てた状態を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、
図2で示したように、管内検査装置200が直管内を直進している場合の連結装置60の様子を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、
図3で示したように、管内検査装置200が湾曲した管内を進行している場合の連結装置60の様子を示す図である。
【
図6】
図6は、連結装置60の弾性パッキンの機能を説明する図である。
【
図7】
図7は、連結装置60の弾性パッキンの他の機能を説明する図である。
【
図8A】
図8Aは、連結装置60の基本原理を説明する図である。
【
図8C】
図8Cは、弾性パッキンの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
図1Aは、一実施形態が適用された管内検査装置の概要を示す平面図、
図1Bは、一実施形態が適用された管内検査装置の概要を示す側面図、
図1Cは、一実施形態が適用された管内検査装置の概要を示す斜視図である。
【0010】
管内検査装置200は、先頭からカメラ部10、防水の第1連結部20、第1自走車30、防水の第2連結部40、防水の第3連結部70、第2自走車80、防水の第4連結部90を備える。
第1連結部20は、カメラ部10の後方端子の接続具と第1自走車30の前方端子の接続具とを接続している。第2連結部40は、中継コネクタ50と、連結装置60で構成される。連結装置60は、第1自走車側コネクタと第2自走車側コネクタを備える。連結装置60の第1自走車側コネクタは、中継コネクタ50を介して第1自走車30の後方端子の接続具と接続する。さらに連結装置60の第2自走車側コネクタは、第3連結部70を介して第2自走車80の前方端子の接続具と接続する。
【0011】
第4連結部90は、第2自走車80の後方端子の接続具とケーブル100とを連結する。第1自走車30の内部には、第1自走車30の前方端子の接続具と後方端子の接続具の電気的端子間を接続するための第1車内ケーブル(図示せず)が存在し、また第2自走車80の内部には、第2自走車80の前方端子の接続具と後方端子の接続具の電気的端子間を接続するための第2車内ケーブル(図示せず)が存在する。
【0012】
カメラ装置10は、前方及び上方に複数の照明器11を備え、撮像カメラは開閉ドア12を介して現れ、正面方向、斜め上方向、上方向へその撮像方向を変えることができる。撮像カメラを制御するための制御信号のカメラ制御信号ライン、撮像カメラで撮像された映像信号を取り出すための撮像信号ライン、照明器11を制御するための制御信号の照明制御信号ライン、第1自走車30、第2自走車80内の駆動モータを制御するための制御信号のモータ制御信号ラインは、各連結部内の電気的接続端子、第1車内ケーブル、第2車内ケーブル、ケーブル100内を通して、外部の制御装置(図示せず)に接続されている。また撮像信号ラインからの撮像信号は、制御装置を介して外部のモニタに供給されて処理される。
【0013】
第1自走車30は、それぞれ例えばゴム製の4つのタイヤ3A,3B,3C,3Dを有し、内部のモータによりタイヤが駆動されることで前進することができる。第2自走車80も、それぞれゴム製の4つのタイヤ8A,8B,8C,8Dを有し、内部のモータによりタイヤが駆動されることで前進することができる。また制御により、タイヤをフリー回転状態に設定することもできる。
【0014】
第1自走車30及び第2自走車80は、その牽引力を効率的に発揮するために、同じ牽引力で一体的に前進駆動され動作することが望ましい。そのために連結装置60は、さまざまな工夫がなされている。この管内検査装置200において、連結装置60は、特徴的な構成を実現しており後でさらに詳しく説明する。
【0015】
図2は、上記管内検査装置200が被検査管300の内部に侵入している様子を示している。
図2の状態は、被検査管300が直進しており曲りが無い様子を示している。一方、
図3は、被検査管300の曲りのある部分300Aを通過しようとしている様子を示している。このとき、第1自走車30と第2自走車80との間の連結装置60は、管の屈曲に追従すべき変位し、管内検査装置200が管内を円滑に進行できるのに寄与している。
【0016】
図4は、連結装置60を取り出して示し、分解した状態と組み立てた状態を示している。
第1ホルダ601は、例えば金属製で四辺形基板タイプであり、軸方向Xに対して交差する方向へ平面を有する。この第1ホルダ601には、防水性を持つ電気的接続コネクタ603が取り付けられている。この電気的接続コネクタ603は、第1ホルダ601に対してその一方の面と他方の面に渡って構成され且つ第1ホルダ601に固定されている。そして電気的接続コネクタ603は、一方の面の側に前記第1自走車300の後方端子の接続具を接続するための端子604、605を有し、他方の面の側に前記第2自走車80の前方端子の接続具を接続するための端子を有する。第2自走車80の前方端子の接続具は、車内ケーブルを介して接続されるもので、車内ケーブルの一端側の端子が、前記電気的接続コネクタ603に接続される。
【0017】
ここで第1ホルダ601の周囲のエッジ部の複数個所にねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6が形成されている。図では、ねじ貫通孔a2が明瞭に見えている。他のねじ貫通孔a1,a3,a4,a5,a6は、ねじを締めつける時に座となるワッシャッタにより隠れている。ねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6をそれぞれ、ねじ(ボルトと称してもよい)e1,e2,e3,e4が軸方向へそれぞれ貫通する。この場合、ねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6の径の部分に対して、ねじe1,e2,e3,e4の対応部分の径は、余裕を持って小さく形成されている。これは軸方向に平行に姿勢を保ったままのねじe1,e2,e3,e4に対して、第1ホルダ601は、軸方向に対して若干傾くことができる。この点の動作はさらに後でも説明する。
【0018】
また第1ホルダ601の上下方向(自走車の上下と一致する方向)の辺の一部には、基板の中央側に切り込むように切欠き610が形成されている。図では1か所しか見えていないが、他の箇所にも形成されている。
図に示した上記第1ホルダ601は、例えば平板形状がほぼ四角形であるが、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、5角形、6角形、楕円形などが可能である。また容器型であってもよい。
【0019】
650は、第2ホルダである。この第2ホルダ650も例えば金属製である。この第2ホルダ650は、軸X方向の一方側に第1ホルダ603を軸方向に受けとり、且つ前記軸方向へ深さを備えた配置空間651を形成している。さらに、第2ホルダ650は、軸方向の他方側には肉厚の基部652を形成しており、且つこの第1ホルダ601のねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6に対応した位置に有低のねじ螺合部c1,c2,c3,c4,c5,c6を形成されている。図では、ねじ螺合部c2のみが見えている。
【0020】
さらに第2ホルダ650は、電気的接続用コネクタ603に対応した位置に第2自走車80の前方端子の中継接続具用が侵入する第1(侵入)貫通孔653を形成している。この侵入貫通孔653を介して、第2自走車80の前方端子の中継接続具が侵入し、電気的接続用コネクタ603に直接或いは防水ケーブルを介して接続される。
【0021】
なお第2ホルダ650はこのような形状に限定されるものではなく、コネクタを有する金属製の基板であってもよい。
次に、エラストマー材料による弾性パッキン620が用意される。この弾性パッキン620は、弾性を有した合成樹脂により構成され、前記配置空間651にほぼ合致する外周形を有し、軸X方向に厚みを有する。この弾性パッキン620は、第2自走車80の前方端子の中継接続具が侵入し、電気的接続用コネクタ603に直接或いは防水ケーブルを介して接続可能なように、中継貫通孔625を形成している。
【0022】
また弾性パッキン620は、前記ねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6に対応した位置に中間貫通孔b1,b2,b3,b4,b5,b6を有し、ここにガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6が貫通して配置される。ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6は、スペーサとして機能する。ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6の先端部は、外径が細く形成されているために、第1ホルダ601のねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6を挿通することができる。この場合、該先端部とねじ貫通孔との径の関係は、第1ホルダ601が軸方向に対して傾くことができるように設計されている。
【0023】
ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6が弾性パッキン620の中間貫通孔b1,b2,b3,b4,b5,b6を挿通し、ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6の先端部が、ねじ貫通孔a1,a2,a3,a4,a5,a6を挿通した状態で、ねじe1,e2,e3,e4が、ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6内を挿通して、第2ホルダ650の基部652に形成されているねじ螺合部c1,c2,c3,c4,c5,c6に螺合される。このとき、弾性パッキン620の厚みは、この弾性パッキン620が厚み方向へ圧縮される程度に設計されている。
【0024】
上記したように、ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6は、第1ホルダ601と第2ホルダ650の基部652の面との間のスペーサとして機能する。しかし、ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6は、その前方の一部(先端部)の外周径が小さく、後方の外周系が大きく形成されている。これは、後述するように第1ホルダ601が軸方向に対して傾くのを許容することと、弾性パッキン620の過大な変形を抑制するためである。
【0025】
ここで、弾性パッキン620は、自走車の下部と上部に対応する辺631、632と、前記上部と下部方向に交差する左側部と右側部(進行方向を見て左側部と右側部を定義している)を備える。そして左側部と右側部の厚みの方向の硬度が、上部と下部の厚みの方向の硬度よりも弱く構成されている。そのために、弾性パッキン620の左側部と右側部にはそれぞれ、厚み方向強度調整用の半円状の切欠き621、622、631、632が形成されている。この切欠きの数はこれに限定されるものでは無く、また形状も限定されるものではない。
【0026】
さらにまた、弾性パッキン620は、前後方向の一方面及び又は他方の面において、前記中継貫通孔625の周囲にリング状の溝626を形成されており、このリング状の溝626は、同じく弾性パッキン620に形成されている貯水用の空洞627に連通している。なお溝626は必ずしも必要としない。
【0027】
上記のリング状の溝626、貯水用の空洞627は、弾性パッキン620の特有の構成である。弾性パッキン620の側部の厚みが圧縮された場合、或は、連結装置60内の気圧が低下し、外部から水などの液体が第1ホルダ601と弾性パッキン620の接触部から侵入した際、その液体の回収路と貯蔵部を構成している。
【0028】
図5Aと
図5Bは、
図4に示した第1ホルダ601、弾性パッキン620、第2ホルダ650が一体化された場合、その断面の状態を示している。弾性パッキン620には、常に与圧が掛かった状態である。
図5Aは、
図2で示したように、管内検査装置200が直管内を直進している場合の連結装置60の様子を示している。
図5Bは、
図3で示したように、管内検査装置200が湾曲した管内を進行している場合の連結装置60の様子を示している。直進時には、連結装置60は応力を受けないので、弾性パッキン620は、変位することなく全体の厚みが維持されている。しかし、屈曲した管内を検査装置が通過するときは、第1自走車30と第2自走車80とが直線上に並ばず、角度θを生じる。このために連結装置60は外部からの応力を受け、第1ホルダ601が弾性パッキン620を押圧した状態となる。
図5Bに示すように、例えば弾性パッキン620の進行方向左側部がさらに圧縮され、右側部の厚みよりも厚みが小さくなっている。
【0029】
このとき、ガイド筒g2は、その前方の一部の外周径が小さく、後方の外周径が大きく形成されているので、必要以上に第1ホルダ601が傾くのを規制することができる。また第2ホルダ650の基部652に形成されているねじ螺合部c2,c5は、基部652の面に形成された窪みc21、c51の底に形成されている。この窪みc21、c51は、ガイド筒g2、g5の端部を受け止めることができる。この構造により、ガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6は、第1ホルダ601と第2ホルダ650の基部652の面との間のスペーサとして機能する。
【0030】
またガイド筒g1,g2,g3,g4,g5,g6の先端部は第1ホルダ601の前記ねじ貫通孔(a1,a2,a3,a4,a5,a6)を貫通し、前記先端部と第1ホルダ601および弾性パッキン620の間に空間が設けられている。これにより第1ホルダ601は、傾くことが可能である。
【0031】
図6は、上記した弾性パッキン620の特有の機能を説明する図である。管内検査装置200は、様々な環境に耐え得ることが要求される。管内検査装置200が、管内を進行したり、後退したりする仮定において、管の屈曲部、管内の水たまり、温度変化環境などを通過することになる。このために、管内検査を行う自走車は、気圧、水圧などに耐え得るとともに、管の屈曲部をスムーズに通過することが要求される。
【0032】
図6の上段の図は、例えば管内検査装置が、冬の水たまりや水路に侵入して、急に冷却された場合の内部気圧変化を示している。自走車のモータ周辺は比較的温度が高く急激な温度変化が少ないが、自走車内の他の空間や、連結装置60の部分は、外の温度変化が、容易に伝わりやすい。このために検査装置の内部空間の気圧が急に低下することがある。検査装置が、例えば冷たい水路に侵入した場合は、内部空間の気圧が急に低下する。すると、
図6の下段の図に示すように、例えば矢印Yの系路のように水が浸入(水を吸引)する場合がある。
【0033】
この場合、本装置の弾性パッキン620は、リング状の溝626と貯水用の空洞627を有するために、ここに侵入した水を貯蔵し、他の部分に水が拡散されるのを防止することができる。
図7は、弾性パッキン620は部分的に厚み方向の硬度(強度)が異なることを説明するための図である。この弾性パッキン620は、左右領域Z1、Z2と、その間の中央領域Z3を有する。ここで領域Z1,Z2の厚み方向の硬度は、中央領域Z3よりも弱い。これは切欠き621-624を形成したことに起因している。しかし、この実施形態は一例であり、この方法に限定されるものではない。しかし通常時の弾性パッキン620の厚みWは、全体が同じである。
【0034】
この弾性パッキン620は、剛性を持つ領域Z3があるために、第1自走車30と第2自走車80とが一体化して動作(牽引、移動など)することができる。もし領域Z3が、柔らかいと、第1自走車30と第2自走車80との一体化が得られず、一方の自走車のモータによる駆動力が他方の自走車のモータによる駆動力とにアンバランスが生じ、牽引力を効率的に引き出すことができない。本装置の場合は、剛性を持つ領域Z3があるために、第1自走車30と第2自走車80とが一体化して牽引力を効果的に発揮することができる。
【0035】
このように剛性を持つ領域Z3を有しながら、連結装置60は、屈曲管を通過するときは
図3、
図5Bで説明したように変位しなければならない。この要求を満たすために、弾性パッキン620は左右領域Z1、Z2が中央領域Z3よりも硬度が弱いという特性をもつ。これにより、左右への変位が可能であり、自走車に要求される条件をクリアしている。
【0036】
なお上記の説明では左右へ変化する被検査管を想定したので、弾性パッキン620は左右領域Z1、Z2が上下中央領域Z3よりも硬度が弱いとした。しかし、被検査管が上下に屈曲するものであれば、弾性パッキン620は左右領域Z1、Z2の硬度が、上下中央領域Z3よりも硬度が強いものが用いられる。
【0037】
図8(A)は、連結装置60の基本的な構成例を示している。第1ホルダ601は、第1ホルダ601の前方面と後方面に基板を貫通した接続コネクタを備える。第2ホルダ650も、ホルダ650の前方面と後方面にホルダを貫通した接続コネクタを備える。第1ホルダ601と第2ホルダ650の間には、弾性パッキン620が挟持される。この弾性パッキン620は、第1ホルダ601と第2ホルダ650の対応する接続コネクタに対応する箇所に中継貫通孔625を備える。また弾性パッキン620の周囲においてこの中継貫通孔625の周囲には、リング状の溝626を形成され、この溝626に連通して、空洞627が形成されている。
【0038】
なお先の実施形態と同様な機能を持つ部分には、先の実施形態と同じ符号を付して説明は省略する。
図8(B)に示すようにさらにこの弾性パッキン620は、厚み方向に硬度が異なる複数の領域Z1,Z2,Z3を分布させて有する。領域Z1,Z2は、領域Z3の硬度より弱く構成される。領域Z1,Z2は、弾性パッキン620の縁であって対向する位置に設けられる。
【0039】
硬度の異なる領域は、弾性パッキン620が製造されたときに実現されている場合もあるが、使用状態において、硬度の異なる領域が実現される場合もある。
図8(C)は、第1ホルダ601と第2ホルダ620により、挟持され与圧が掛かったときに、弾性パッキン620に、厚み方向に硬度が異なる複数の領域Z1,Z2,Z3が分布した状態を示している。この弾性パッキン620は、製造したとき、領域Z3の厚みが、領域Z1,Z2の厚みより大きく構成される。すると、第1ホルダ601と第2ホルダ650により、挟持され矢印で示す方向に与圧が掛かったときに、厚み方向に硬度が異なる複数の領域Z1,Z2,Z3が分布することができる。勿論、先の実施形態に示した形状の弾性パッキンを用いてもよいことは勿論である。つまり弾性パッキン620は、軸方向と交差する第1方向(上下方向)において対向する領域Z3,Z3の硬度よりも、前記第1方向と交差する第2方向(左右)において対向する領域Z1,Z2の硬度が弱い構成である。
【0040】
第1ホルダ601と第2ホルダ650により、弾性パッキン620を保持する方法は、各種の方法が可能である。必ずしもねじが弾性パッキンを挿通する必要はない。弾性パッキンの外形が、第1ホルダ601と第2ホルダ650の外形より小さい場合には、直接第1ホルダ601と第2ホルダ650が締め付けられてもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
10・・・カメラ部、20・・・第1連結部、30・・・第1自走車、40・・・第2連結部、60・・・連結装置、70・・・第3連結部、80・・・第2自走車、
100・・・ケーブル、200・・・管内検査装置、300・・・被検査管、601・・・第1ホルダ、620・・・弾性パッキン、621、622、631、632・・・切欠き、627・・・空洞、626・・・溝、650・・・第2ホルダ、a1,a2,a3,a4,a5,a6・・・ねじ貫通孔、g1,g2,g3,g4,g5,g6・・・ガイド筒、a1,a2,a3,a4,a5,a6・・・ねじ貫通孔、c1,c2,c3,c4,c5,c6・・・ねじ螺合部。e1,e2,e3,e4・・・ねじ、b1,b2,b3,b4,b5,b6・・・中間貫通孔。